JP2005172800A - 放射線像変換パネル及びその製造方法 - Google Patents

放射線像変換パネル及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 保護膜を構成する薄膜の形成時のシワを抑制して、放射線像変換パネルを高い防湿性と、画質低下の抑制された、高感度で良好な画質を与えることが可能なものとする。
【解決手段】 再剥離フィルム2を透明薄膜フィルム4に貼り合わせて貼合せフィルム5とし、この貼合せフィルム5の透明薄膜フィルム4側に真空堆積法により防湿層6を設けて耐湿性フィルム7とする。この耐湿性フィルム7を輝尽性蛍光体層1上に設けた後、耐湿性フィルム7から再剥離フィルム2を剥離する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、輝尽性蛍光体を利用する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネル及びその製造方法に関するものである。
X線等の放射線を照射するとこの放射線エネルギーの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光を照射すると蓄積された放射線エネルギーに応じて輝尽発光を示す輝尽性蛍光体を利用して、人体等の被写体の放射線像を輝尽性蛍光体層に一旦潜像として記録し、この輝尽性蛍光体層にレーザ光等の励起光を照射して輝尽発光光を生じせしめ、この輝尽発光光を光電的に検出して被写体の放射線像を表す画像信号を取得する放射線画像記録装置および放射線画像読取装置等からなる放射線画像記録再生システムがCR(ComputedRadiography)として知られている。
上記放射線画像記録再生システムに使用される記録媒体としては、例えば剛性を有する基板と輝尽性蛍光体層と保護層とを層状に積層して形成された放射線像変換パネルが知られている。この放射線像変換パネルは、放射線像変換パネルから放射線像が読み取られた後に消去光が照射されて輝尽性蛍光体層に残存している放射線エネルギーが放出されると再度放射線像の記録が可能となり、放射線像の記録および読取りに繰り返して使用することができる。このため、繰返し使用による輝尽性蛍光体層の化学的な変質あるいは物理的な衝撃を抑制するために、輝尽性蛍光体層の表面(支持体に面していない側の表面)には通常、保護層が設けられている。
例えば、特許文献1には保護層の厚みが 0.01μmから0.5μmであって、波長300nmから1000nm において光吸収がなく、かつ透湿度2g/m2 /24h以下、酸素透過度2cc/m2 /24h以下のガスバリア性を有する酸化アルミおよび/またはケイ素酸化物を含む蒸着によって形成された保護層を有する放射線像変換パネルが記載されている。この放射線像変換パネルに設けられた保護層はガスバリア性を有する無機物質の蒸着層であるため、薄層として形成することが可能であり、薄層ゆえに光の散乱による画質のボケが生じることがなく、初期画質が良好な放射線発光パネルとすることができるというものである。
また、特許文献2には透明無機層と有機層とを交互に少なくとも4層以上積層し、空気透過度が0.5cc/m2/24h以下であって、かつ透湿度が0.5g/m2/24h以下である、50μm以下の層厚の保護層を有する放射線像変換パネルが記載されている。この放射線像変換パネルに設けられた透明無機層は金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物からなり、真空堆積法によって形成されたものであって、有機層は塗布または真空堆積法によって形成されたものであって、防湿性をより向上させることができるとともに、透明無機層と有機層とを接着剤によって貼り合わせる必要がないため、接着状態に起因する画像ムラの発生を防止することが可能となり、加えて、透明保護層全体をより薄く形成することが可能であるため、高画質を実現することができるというものである。
特開2002−98799号公報 特開2003−227899号公報
しかし、特許文献1に記載されている保護層は蒸着によって形成され、特許文献2に記載されている保護層(透明無機層)は真空堆積法により形成されているが、いずれの場合においても、無機層を形成する対象である保護層支持体(PETフィルム)や有機層上に真空堆積層により製膜を行うとフィルム上につれやシワが発生するため、これが放射線像変換パネルの画像品質を低下させるという問題がある。
真空堆積法の製膜時のつれやシワを抑制するためには無機層を形成する対象である支持体やフィルムを厚くする必要があるが、厚くすれば光の散乱による画質のボケが発生し、良好な画質を得ることは困難となる。また、輝尽性蛍光体層に直接、真空堆積法により無機層を設けることも考えられるが、特許文献1に記載されている放射線像変換パネルのように輝尽性蛍光体層が隙間構造を有する柱状結晶に対しては、均一な無機蒸着層を形成することは困難である。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、実用耐久年数をあげることが可能な防湿性を有するとともに、高感度で良好な画質を与えることが可能な放射線像変換パネルを提供することを目的とするものである。また、真空堆積法による薄膜形成においてつれやシワが入ることがなく、上記のような性能を有する放射線像変換パネルの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の放射線像変換パネルは、再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、該貼合せフィルムの前記透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けて耐湿性フィルムとし、該耐湿性フィルムを輝尽性蛍光体層上に設け、前記耐湿性フィルムから前記再剥離フィルムを剥離して得られたことを特徴とするものである。
前記透明薄膜フィルムの厚みは10μm以下であることが好ましく、さらには2〜7μmであることがより好ましい。また、前記防湿層を設けた前記透明薄膜フィルムの透湿度は1g/(m2/day)以下であることが好ましく、さらには0.2g/(m2/day)以下であることがより好ましい。
本発明の放射線像変換パネルの製造方法は、輝尽性蛍光体層上に接着層を介して保護膜を設けた放射線像変換パネルの製造方法において、前記保護膜を、10〜500μm厚の再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、該貼合せフィルムの前記透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けて耐湿性フィルムとし、該耐湿性フィルムから前記再剥離フィルムを剥離して形成することを特徴とするものである。
また、本発明の放射線像変換パネルの製造方法は、保護膜と基板との間に輝尽性蛍光体層を密閉封止した放射線像変換パネルの製造方法において、前記保護膜を、10〜500μm厚の再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、該貼合せフィルムの前記透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けて耐湿性フィルムとし、該耐湿性フィルムから前記再剥離フィルムを剥離して形成することを特徴とするものである。
本発明の放射線像変換パネルは、再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、この貼合せフィルムの透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けて耐湿性フィルムとし、この耐湿性フィルムを輝尽性蛍光体層上に設け、耐湿性フィルムから再剥離フィルムを剥離して得られたものであるため、透明薄膜フィルムにシワがよることがなく、また再剥離フィルムの使用によって透明薄膜フィルムが薄くても均一に防湿層を設けることが可能となり、このため鮮鋭度、画像品質、防湿性に優れた放射線像変換パネルとすることができる。
なお、透明薄膜フィルムの厚みを10μm以下、より好ましくは2〜7μmとすることにより、さらに鮮鋭度の優れた放射線像変換パネルとすることができる。また、防湿層を設けた透明薄膜フィルムの透湿度を1g/(m2/day)以下、より好ましくは0.2g/(m2/day)以下とすることにより、さら防湿性に優れた放射線像変換パネルとすることができる。
本発明の放射線像変換パネルは、再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、この貼合せフィルムの透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けて耐湿性フィルムとし、この耐湿性フィルムを輝尽性蛍光体層上に設け、耐湿性フィルムから再剥離フィルムを剥離して得られたことを特徴とする。
再剥離フィルムは、最終用途である放射線像変換パネルの保護膜として加工される前に剥離されるため、透明である必要はない。再剥離フィルムの厚みは10〜500μmであり、より好ましくは20〜150μmであることが好ましい。再剥離フィルムの厚みが10μmよりも薄いと透明薄膜フィルムとのラミネートの際に取り扱いが困難となり、また、500μmよりも厚い場合には、再剥離フィルムと透明薄膜フィルムを貼り合わせた貼合せフィルムの作製後のまきとりが困難となるため好ましくない。
再剥離フィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系プラスチック、ポリ塩化ビニールやポリアクリロニトリル等のビニル系プラスチック、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、アクリル系プラスチック、ビスフェノールAをビスフェノール成分として含有するポリカーボネート、等のプラスチックを好ましく用いることができる。
また、置換あるいは非置換シクロアルキリデン基、炭素数が5以上のアルキリデン基やアラアルキレン基を有するビスフェノール成分をビスフェノール成分の一部として含有するポリアリレートやポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、具体的には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロへキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ペンタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタンをビスフェノール成分として有するポリカーボネート、ポリアリレートやポリエステルカーボネートなどのプラスチックも用いることができる。
さらに、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミド、セルローストリアセテートなども、好適に用いることができる。加えて、環状オレフィン系やノルボルネン系のプラスチックやフルオレン骨格を有するアモルファスのポリエステル系プラスチックも好適に用いることができる。
特に、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系プラスチック、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系プラスチックから成るフィルムが好ましい。
再剥離フィルムは、片面に粘着剤層を形成させてから、透明薄膜フィルムにラミネートする。粘着剤層としては、公知のアクリル系やシリコン系の粘着剤を用いることができるが、粘着剤の種類によっては加工中に発泡したり、粘着強度が上がって再剥離フィルムを剥離しにくくすることがあるため、加工条件に耐え得る粘着剤を選定する必要がある。また、再剥離フィルムの剥離時に、粘着剤が透明薄膜フィルムの表面に残ると透明性を損なうほか放射線像変換パネルの画像品質や鮮鋭度に好ましくない影響を与えるため、剥離時には再剥離フィルムとともに剥離される必要がある。そのため、再剥離フィルムに粘着加工を行う際には、再剥離フィルムの粘着加工面にコロナ処理などの粘着剤との親和性を向上する前処理を行うことが望ましい。
なお、剥離の際の粘着剤残りの問題が無ければ、透明薄膜フィルムに粘着加工してから再剥離フィルムを粘着加工面にラミネートしてもかまわない。また、ラミネート時にフィルムを加熱することは、貼合せフィルムの品質を安定させる上で好ましい。さらに、ラミネート時の異物巻き込みは、加工を経て透明薄膜フィルムへ異物斑が転写し光学的欠陥を形成するので、フィルムや環境に対して公知の異物対策を行うことが好ましい。
粘着加工した再剥離フィルムの透明薄膜フィルムからの剥離力は小さい方が好ましいが、余り小さいと、積層フィルム加工時に発泡などの問題を生じやすい。一方、余り大きいと再剥離時にフィルムが変形するなどの不都合を生じる。従って、剥離強度は10g/25mm〜70g/25mmの範囲が好ましく、さらには15g/25mm〜50g/25mmの範囲がより好ましい。
透明薄膜フィルムは強度、透明性、化学的安定性を備えていれば公知のフィルムを使用することが可能で、具体的には、公知のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、アラミド樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどの材料から任意に選ぶことができる。
透明薄膜フィルムの厚さは、用いる材質により異なるが、再剥離フィルムよりも薄いことが好ましく、具体的には10μm以下であることが好ましく、さらには2〜7μmの範囲であることが好ましい。
真空堆積法により設ける防湿層は、金属酸化物、金属窒化物または金属酸窒化物などの無機層からなるものを用いることができる。より具体的には、波長300nmから1000nmで光吸収が少なくかつガスバリア性を有する無機物質を蒸着した透明な蒸着層であることが好ましい。波長300nmから1000nmで光吸収が少ない無機物質としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化窒化ケイ素、酸化窒化アルミニウム等を好ましくあげることができる。これらのうち特に酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素は光透過率が高くかつガスバリア性が高い、すなわちクラックやマイクロポアが少なく緻密な膜を形成することができるのでより好ましく用いることができる。防湿層を2枚以上積層する場合、それぞれの防湿層の無機層は異なる材質からなるものであっても、同じ材質からなるものであってもよい。
防湿層を積層する場合、積層する防湿層の間に有機無機複合化合物層を設けてもよい。有機無機複合化合物層は、各種の無機材料と各種の有機材料との複合材料からなる層である。このような複合層を有することにより、無機層の欠陥を埋めることができ、両側に配される無機層が有する防湿性能を最大限に発現することが可能となり、長期にわたって吸湿による蛍光体層の劣化を防止できる、高品位な放射線像変換パネルを実現することができる。
有機無機複合化合物層は、放射線や輝尽発光光が透過可能であれば、各種の無機材料と有機材料との複合材料からなる層が利用可能である。無機材料としては、一例として、(a)酸化ケイ素等の前述の防湿層を形成する物質であって粉末状としたもの、(b)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物、ならびに、(c)塩化スズのうちの少なくとも1種からなるものが用いられる。他方、有機材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)やメチルセルース等の水溶性高分子物質が用いられる。
有機無機複合化合物層の形成は、上記無機材料と有機材料の混合物を、水溶液あるいは水/アルコール混合溶液とし、これを主剤とするコーティング剤を塗布等することにより行う。具体的な形成方法にも、特に限定はなく、ゾルゲル法、グラビアコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードコーティング、ディップコーティング、スライドコーティングおよびエクストルージョンコーティングなどの各種の塗布法、スクリーン印刷法、スプレー法等の各種の成膜手段が利用可能である。有機無機複合化合物層の厚さは特に限定するものではないが、良好な防湿性能が得られる厚さであって、かつトータルでの保護層の厚膜化回避等の点で、0.3〜1μm厚が好ましい。また、有機無機複合化合物層において無機材料と有機材料との比率は、防湿層の欠陥埋め効果が好適に得られる、すなわち、有機無機複合化合物層自身が防湿性を発現して保護層全体として有機無機複合化合物層がバリケード効果を発揮できる等の観点から、有機材料の量を10〜50重量%、特に、20〜40重量%とすることが好ましい。
以下、図面を参照して本発明の放射線像変換パネルおよびその製造方法について説明する。
図1は本発明の一の実施の形態を示す放射線像変換パネルの概略製造工程図である。図1(a)は再剥離フィルム2に粘着層3を介して透明薄膜フィルム4を貼り合わせた状態の貼合せフィルム5である。図1(b)はこの貼合せフィルム5の透明薄膜フィルム4側に真空堆積法により防湿層6を設けた状態の耐湿性フィルム7である。この耐湿性フィルム7の防湿層6側に接着層8を設け、設けた接着層8側を輝尽性蛍光体層1上に向けて、輝尽性蛍光体層1と接着層8を設けた耐湿性フィルム7をラミネートにより貼り合わせる(図1(c))。貼り合わせた後、図1(d)に示すように、再剥離フィルム2を粘着層3ごと剥離すると、透明薄膜フィルム4と防湿層6とからなる保護膜9を有する放射線像変換パネル10が得られる(図1(e))。
図1では防湿層を輝尽性蛍光体層1と透明薄膜フィルム4との間に設ける場合の放射線像変換パネルの製造工程を示しているが、防湿層は透明薄膜フィルムの両側に設けてもよい。図2は、透明薄膜フィルムの両側に防湿層を設ける場合の保護膜の作製手順を示す工程図である。この場合には、貼合せフィルム5の透明薄膜フィルム4側に真空堆積法により防湿層6を設けた状態の耐湿性フィルム7(図2(a))から、再剥離フィルム2を粘着層3ごと剥離する(図2(b))。続いて、防湿層6側に、粘着層13を有する再剥離フィルム12を貼り合わせ(図2(c))、この状態で、透明薄膜フィルム4側に真空堆積法により防湿層16を設ける(図2(d))。防湿層16を設けた後、最初に設けた防湿層6側の再剥離フィルム12を粘着層13ごと剥離する(図2(e))。こうして、透明薄膜フィルム4の両側に防湿層が設けられた保護膜19が作製される。
なお、図2では、防湿層16を設けた後、輝尽性蛍光体層上に耐湿性フィルムをラミネートにより貼り合わせる前に、再剥離フィルム12を粘着層13ごと剥離しているが、このように耐湿性フィルムを輝尽性蛍光体層上に設ける前に再剥離フィルムを予め剥離して、防湿層を有する透明薄膜フィルムを輝尽性蛍光体層上に設けることも可能である。
また、ここでは透明薄膜フィルムの片側あるいは両側に防湿層を1層設ける態様について説明しているが、防湿層を何層か積層して設けてもよく、また、従来より保護層として公知のガスバリア層などを設けてもよい。
さらにまた、本発明の放射線像変換パネルは、図3に示すような工程によっても製造することができる。図3に示す工程により製造される放射線像変換パネル(図3(e)に示す放射線像変換パネル20)は、基板21上に輝尽性蛍光体層1を有し、基板21上であって輝尽性蛍光体層1が設けられていない部分に封止枠22を有し、この封止枠22に接着剤を用いて保護膜9を接着するとともに、保護膜9と基板21とで輝尽性蛍光体層1を密閉封止してなるものである。製造の手順は図1に示す放射線像変換パネルの同様であり、再剥離フィルム2に粘着層3を介して透明薄膜フィルム4を貼り合わせた状態の貼合せフィルム5(図3(a))の透明薄膜フィルム4側に、真空堆積法により防湿層6を設けて耐湿性フィルム7(図3(b))とし、基板21上であって輝尽性蛍光体層1の周囲設けられて封止枠22と耐湿性フィルム7を貼り合わせ(図3(c))、貼り合わせた後に、基板21と耐湿性フィルム7と封止枠22によって、輝尽性蛍光体層1を密閉封止し、最後に、再剥離フィルム2を粘着層3ごと剥離するものである(図3(e))。
2層の防湿層の間に有機無機複合化合物層を有する放射線像変換パネルの場合には、図4に示す工程に従って製造することができる。図4(a)は再剥離フィルム2に粘着層3を介して透明薄膜フィルム4を貼り合わせた状態の貼合せフィルム5である。図4(b)はこの貼合せフィルム5の透明薄膜フィルム4側にスパッタリングにより防湿層6を設け、次いで、塗布法により有機無機複合化合物層25を設け、設けた有機無機複合化合物層25上に、再びスパッタリングにより防湿層26を設けた状態の耐湿性フィルム17である。この耐湿性フィルム17の防湿層26側に接着層8を設け、設けた接着層8側を輝尽性蛍光体層1上に向けてラミネートにより貼り合わせる(図4(c))。貼り合わせた後、図4(d)に示すように、再剥離フィルム2を粘着層3ごと剥離すると、透明薄膜フィルム4、防湿層6、有機無機複合化合物層25および防湿層26とからなる保護膜29を有する放射線像変換パネル30が得られる(図4(e))。
上気した防湿層は、真空で薄膜を形成することが可能な真空堆積法、例えば、蒸着法、スパッタ法、PVD法(物理的気相堆積法)、CVD法(化学的気相堆積法)等のドライプロセスによって直接敷設する。いずれの方法によっても、無機層の透明性、バリア性は大きく変わらないので、適宜選択することが可能である。なお、形成上の容易性、簡便性の観点からはCVD法、中でもPE−CVD(Plasma enhanced CVD )、ECR−PE−CVD法等の方法が好ましい。
スパッタリングの具体例として、インピーダンス制御による反応性スパッタリングによって無機層を形成する方法を説明する。インピーダンス制御は、反応性スパッタリングにおいてカソードに印可する電圧を一定にして、酸素ガス等の反応ガスの流量を調整することにより放電電圧を一定に保ちつつ、スパッタリングを行うものである。インピーダンス制御は、元来、成膜レートを高速化するために開発された成膜電庄の制御方法として知られているものである。ガスバリア性に優れた防湿層とするためには、成膜圧力を0.01〜0.13Paとすることが好ましい。特に、ターゲットとしてケイ素を用い、反応ガスとして酸素ガスを用いてSiO2層を形成すると、極めてガスバリア性に優れた防湿層を形成することができる。放電電圧は、480V〜660Vの範囲であることが好ましい。
図5にインピーダンス制御による反応性スパッタリングを行うスパッタリング装置の概略図を示す。図5に示すように、スパッタリング装置50は真空槽40と、真空槽40内を減圧する真空ポンプ60と、真空槽40内に形成される基板搬送系41および成膜系51を有して構成され、基板フィルム(図1〜図4に示す貼合せフィルム)5を長手方向に搬送しつつ、インピーダンス制御による反応性スパッタリングによって、基板フィルム5表面に防湿層を形成するものである。
真空ポンプ60は、排気口70を介して真空槽40内を減圧するものであり、真空槽40内の基板搬送系41と成膜系51は隔壁43(さらに後述するドラム45)によって略気密に分離されており、それに対応して各系内に対応するように2つの真空ポンプ60が設けられている。
基板搬送系41は長尺な基板フィルム5を長手方向に搬送するものであり、送り出しロール44、ドラム45、巻き取りロール46、およびガイドロール47からなる。送り出しロール44はロール状に巻回された基板フィルム5を装填されるものであり、回転して基板フィルム5を送り出す。巻き取りロール46は防湿層が成膜された基板フィルム5をロール状に巻き取るものである。
ドラム45は回転軸を基板フィルム5の長手方向(すなわち搬送方向)と直交する方向に回転するように構成され、基板フィルム5を側面に巻きつけて回転することにより、防湿層が形成される基板フィルム5を所定の成膜位置に保持しつつ長手方向に搬送する。ガイドロール47(47a〜47d)は基板フィルム5を所定の搬送経路に案内するガイドロールである。なお、少なくとも1つのガイドロールは、基板フィルム5に所定の張力を与えるテンションコントロールとなっていることが好ましい。
基板フィルム5は送り出しロール44から供給され、ガイドロール47aおよび47bによって案内されてドラム45に巻き掛けられ、ガイドロール47cおよび47dに案内されて、巻き取りロ一ル46に至る、所定の搬送経路を搬送される。
成膜系51は、ターゲット材52を保持するカソード53、カソード53に放電電圧を印可する放電電源54、反応ガス配管55、反応ガス流量調整ユニット56、ガスボンベ57、放電ガス配管58、放電ガスフローコントローラ59、放電ガスボンべ61、および制御器62を有して配置される。カソード53はドラム45の下端部に対面するようにターゲット材52を保侍する。カソード53に放電電圧を印可する放電電源54はDCパルス電源が好ましい。なお、ドラム45とターゲット材52(カソード40)との対面部分では隔壁43は開放されている。
酸素ガス等の反応ガスは反応ガスボンべ57から供給され、反応ガス流量調整ユニット56で流量を調整されて、反応ガス配管55から真空槽40(成膜系51)内に供結される。なお、反応ガス流量調整ユニット56としては、応答性等の点でピエゾバルブを用いることが好ましい。
アルゴンガス等の放電ガスは放電ガスボンベ61から供給され、放電ガスフローコントローラ59で流量を調整され、放電ガス配管58から真空槽40(成膜系51)内に供給される。なお、放電ガスフローコントローラ59はマスフローコントローラ等の通常スパッタリング装置で用いられるものが利用できる。また、制御器62は放電電源54による放電電圧および反応ガス流量調整ユニット56による反応ガス流量をコントロールするものである。
次に、上記のような構成を有するスパッタリング装置40を用いて、防湿層を製造する一実施の形態を説明する。基板フィルム5を送り出しロール46に装填し、ガイドロール47aおよび47b、ドラム45、ガイドロール47cおよび47dを順に介して巻き取りロール46まで掛け渡す。真空槽40を閉塞したら、真空ポンプ60を駆動して真空槽40内の圧力が所定値になるまで減圧する。
真空槽40内の圧力が所定圧力に到達した後、基板フィルム5を所定の速度で搬送し、放電ガスの流量を放電ガスフローコントローラ59で制御しつつ真空槽40内に放電ガスを導入する。成膜時における基板フィルム5の搬送速度にはとくに限定はなく、対象とする基板フィルム5に要求される成膜速度、カソード53の出力等に応じて、適宜決定される。その後、真空槽40内の圧力を所定圧力で安定させて放電電源54からカソード53にパワーを供給してプレスパッタを実施する。プレスパッタ実施後、反応ガス流量を反応ガス流量調整ユニット56によって制御し、反応ガスを反応ガス配管55から真空槽40内へ導入し、カソード53に所定値の電圧を印加する。
上記のようにして真空槽40内の放電電圧を所定値で一定に保った後、放電ガスと反応ガスとの供給量を低減して、真空槽40内が最終的な成膜圧力になるまで制御し、基板フィルム5上に防湿層を成膜する。この問、成膜時の放電電圧を測定し、この測定結果を制御器62にフィードバックして放電電圧が所定値となるように反応ガス流量調整ユニット56を制御し、成膜時の放電電圧を一定に保つ。防湿層が形成された基板フィルム5はガイドロール47cおよび47dに案内されて巻き取りロール46に巻き取られる。
このように、本発明の放射線像変換パネルの製造方法は、厚みが10〜500μmの再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、この貼合せフィルムの透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けるので、透明薄膜フィルムにシワを発生させることなく保護膜を作製することができ、シワのない保護膜によって画質特性に優れた放射線像変換パネルを得ることが可能である。また、輝尽性蛍光体層が隙間構造を有する柱状結晶であっても、本発明の放射線像変換パネルの保護膜は再剥離フィルムを利用して別途形成するため均一な保護膜を形成することが可能である。
次に、本発明の放射線像変換パネルの透明薄膜フィルム及び防湿層以外の層について説明する。本発明の放射線像変換パネルに用いられる輝尽性蛍光体層の輝尽性蛍光体の例としては、
米国特許第3,859,527号明細書に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、ThO2:Er、およびLa2O2S:Eu,Sm、
特開昭55-12142号に記載されている ZnS:Cu,Pb、BaO・xAl2O3:Eu(ただし、0.8≦x≦10)、および、MIIO・xSiO2 :A(ただし、MIIはMg,Ca,Sr,Zn,Cd、またはBaであり、AはCe,Tb,Eu,Tm,Pb,Tl,BiまたはMnであり、xは0.5≦x≦2.5である)、
特開昭55-12143号に記載されている (Ba1-X-y ,MgX ,Cay )FX:aEu2+(ただし、X はClおよびBrのうちの少なくとも一種であり、xおよびyは、0<x+y≦0.6、かつxy≠0であり、aは、10-6≦a≦5×10-2である)、
特開昭55-12144号に記載されている LnOX:xA(ただし、LnはLa,Y,Gd、およびLuのうちの少なくとも一種、XはClおよびBrのうちの少なくとも一種、AはCeおよびTbのうちの少なくとも一種、そして、xは、0<x<0.1である)、
特開昭55-12145号に記載されている(Ba1-X,M2+X)FX:yA(ただし、M2+はMg,Ca,Sr,Zn、およびCdのうちの少なくとも一種、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一種、AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,YbおよびErのうちの少なくとも一種、そしてxは0≦x≦0.6、yは0≦y≦0.2である)、
特開昭55-160078号に記載されているMIIFX・xA:yLn(ただし、MIIはBa,Ca,Sr,Mg,ZnおよびCdのうちの少なくとも一種、AはBeO,MgO,CaO,SrO,BaO,ZnO,Al2O3,Y2O3,La2O3,In2O3,SiO2,TiO2,ZrO2,GeO2,SnO2,Nb2O5,Ta2O5 およびThO2 のうちの少なくとも一種、LnはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,SmおよびGdのうちの少なくとも一種、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一種であり、xおよびyはそれぞれ 5×10-5≦x≦0.5、および0<y≦0.2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭56-116777号に記載されている(Ba1-X,MIIX)F2・aBaX2:yEu,zA(ただし、MIIはベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種、Aはジルコニウムおよびスカンジウムのうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ 0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭57-23673号に記載されている(Ba1-X,MIIX)F2・aBaX2:yEu,zB(ただし、MII はベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭57-23675号に記載されている(Ba1-X,MIIX)F2・aBaX2:yEu,zA(ただし、MIIはベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種、Aは砒素および硅素のうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦5×10-1である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭58-69281号に記載されている MIIIOX:xCe(ただし、MIIIはPr,Nd,Pm,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、XはClおよびBrのうちのいずれか一方あるいはその両方であり、xは0<x<0.1である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭58-206678号に記載されているBa1-XMX/2LX/2FX:yEu2+(ただし、MはLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表わし;Lは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属を表わし;X は、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表わし;そして、xは10-2≦x≦0.5、yは0<y≦0.1である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭59-27980号に記載のBaFX・xA:yEu2+(ただし、Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aはテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物であり;そして、xは10-6 ≦x≦0.1、yは0<y≦0.1 である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭59-47289号に記載されているBaFX・xA:yEu2+(ただし、Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aは、ヘキサフルオロケイ酸,ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩からなるヘキサフルオロ化合物群より選ばれる少なくとも一種の化合物の焼成物であり;そして、xは10-6≦x≦0.1、yは0<y≦0.1 である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭59-56479号に記載されているBaFX・xNaX′:aEu2+(ただし、XおよびX′は、それぞれCl、Br、およびIのうちの少なくとも一種であり、xおよびaはそれぞれ0<x≦2、および0<a≦0.2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭59-56480号に記載されているMIIFX・xNaX′:yEu2+:zA(ただし、MIIは、Ba,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X およびX′は、それぞれCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aは、V,Cr,Mn,Fe,CoおよびNiより選ばれる少なくとも一種の遷移金属であり;そして、xは0<x≦2、yは0<y≦0.2、およびzは0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭59-75200号に記載されている MIIFX・aMIX′・bM′IIX″2・cMIIIX3・xA:yEu2+(ただし、MIIはBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MI はLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;M′IIはBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり;MIII はAl,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;Aは金属酸化物であり;XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;X′,X″および Xは、F,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そして、aは0≦a≦2、bは0≦b≦10-2、cは0≦c≦10-2、かつa+b+c≧10-6 であり;x は0<x≦0.5、yは0<y≦0.2 である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭60-84381号に記載されている MII X2・aMIIX′2:xEu2+(ただし、MII はBa,Srおよび Caからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつ X≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、
特開昭60-101173号に記載されているMIIFX・aMI X′:xEu2+(ただし、MII はBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MI はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;X′はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaおよびxはそれぞれ0≦a≦4.0および0<x≦0.2である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、
特開昭62-25189号に記載されているMI X:xBi( ただし、MI はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X はCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、
特開平2-229882号に記載のLnOX:xCe(但し、LnはLa,Y,GdおよびLuのうちの少なくとも一つ、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一つ、xは0<x≦0.2 であり、LnとXとの比率が原子比で0.500<X/Ln≦0.998であり、かつ輝尽性励起スペクトルの極大波長λが550nm<λ<700nm)で表わされるセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物蛍光体、
などをあげることができる。
また、上記特開昭60-84381号に記載されているMIIX2・aMIIX′2:xEu2+輝尽性蛍光体には、以下に示すような添加物がMIIX2・aMIIX′2 1モル当り以下の割合で含まれていてもよい。
特開昭60−166379号に記載されているbMIX″(ただし、MIはRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbは0<b≦10.0である);特開昭60-221483号に記載されているbKX″・cMgX2 ・dMIII X′3(ただし、MIII はSc,Y,La,Gdおよび Luからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、X″、X およびX′はいずれもF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてb、cおよびdはそれぞれ、0≦b≦2.0、0≦c≦2.0、0≦d≦2.0であって、かつ2×10-5≦b+c+dである);特開昭60-228592号に記載されている yB(ただし、yは2×10-4≦y≦2×10-1である);特開昭60-228593号に記載されている bA(ただし、AはSiO2 およびP2O5からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物であり、そしてbは10-4 ≦b≦2×10-1 である);特開昭61−120883号に記載されているbSiO(ただし、bは0<b≦3×10-2 である);特開昭61−120885号に記載されているbSnX″2 (ただし、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbは0<b≦10-3である);特開昭61-235486号に記載されているbCsX″・cSnX2 (ただし、X″およびX はそれぞれF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbおよびcはそれぞれ、0<b≦10.0 および10-6≦c≦2×10-2である);および特開昭61-235487号に記載されているbCsX″・yLn3+(ただし、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、LnはSc,Y,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、そしてbおよびyはそれぞれ、0<b≦10.0および10-6≦y≦1.8×10-1である)。
上記の輝尽性蛍光体のうちで、二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体(例えばBaFI:Eu)、ユーロピウム賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体(例えばCsBr:Eu)、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示し、高画質を得ることが可能となることから好ましく用いることができる。またこれらの蛍光体は針状結晶とすることができるが、特に吸湿性が問題となりやすいため、本発明の保護膜を用いることによってより効果的な防湿を図ることができる。
蛍光体層は、蒸着法、スパッタ法、塗布法など公知の方法により基板上に形成することができる。蒸着法においては、まず基板を蒸着装置内に設置した後、装置内を排気して10-4 Pa程度の真空度とする。次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも一つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法等の方法で加熱蒸発させて基板表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに堆積させる。蒸着工程を複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、蒸着工程では複数の抵抗加熱器あるいはエレクトロンビームを用いて共蒸着し、基板上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することもできる。蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
スパッタ法においては、蒸着法と同様に基板をスパッタ装置内に設置した後装置内を一旦排気して10-4 Pa程度の真空度とし、次いでスパッタ用のガスとしてAr,Ne等の不活性ガスをスパッタ装置内に導入して10-1 Pa程度のガス圧とする。次に、輝尽性蛍光体をターゲットとして、スパッタリングすることにより、基板表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに堆積させる。スパッタ工程においても蒸着法と同様に、複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、また、それぞれ異なった輝尽性蛍光体からなる複数のターゲットを用いて、同時あるいは順次、ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、スパッタ法においては、必要に応じてO2 、H2 やハロゲン等のガスを導入して反応性スパッタを行ってもよい。スパッタ終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
塗布法においては、蛍光体を溶剤とともに充分に混合して結合剤溶液中に輝尽性蛍光体が均一に分散した塗布液を調製し、この塗布液を基板の表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、たとえば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なり、20μm〜1mm程度とするのが一般的であるが、50μm〜500μmとすることがより好ましい。
本発明の放射線像変換パネルは公知のガスバリア層を有していてもよい。例えば、有機材料系のガスバリア層としては、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体やアクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリロニトリル系重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールアルコール、ビニールアルコールーエチレン共重合体等のビニールアルコール系重合体、等の有機高分子材料からなる層を用いることができる。
また、無機系のガスバリア層としては、二酸化ケイ素あるいはこれを主成分として含み、一酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物の1種以上を含む化合物、及び/または、窒化ケイ素、あるいはこれを主成分として含み、窒化アルミニウムなどの金属窒化物の1種以上を含む化合物を用いることができ、この化合物の具体例としては、例えばSiOx、SiAlNなどがあげられる。前記無機系バリア薄膜、すなわちケイ素酸化物を主体とした金属酸化物、及び/または、ケイ素窒化物を主体とした金属窒化物のうちでもSiOx、特にxの値が1.3〜1.8、好ましくは1.5となるものが好ましい。ガスバリア層は、単独で用いても良く、また、複数以上を併用して用いてもよい。これら無機系バリア層は上記で説明した防湿層と同様の方法で設けることができる。なお、上記の防湿層の無機層もガスバリア層として用いることができる。
防湿層と輝尽性蛍光体層を接着する接着層、あるいは輝尽性蛍光体層の封止枠と保護膜の接着に用いられる接着剤は、特に限定されるものではないが100℃未満で硬化する樹脂であることが好ましく、樹脂の水蒸気透過係数が50g・mm/(m2・d)以下であることが好ましい。より具体的には、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリ酢酸系、ポリアクリル系、軟質アクリル系、ポリビニル系、ポリアミド系、エポキシ系、ゴム系、ウレタン系等の各種の接着剤を使用することができる。
なお、図1に示す放射線像変換パネルにおける保護膜は輝尽性蛍光体層上に接着層を介して、図3に示す保護膜は接着剤を用いて輝尽性蛍光体層を封止することによって設けるが、いずれの場合も乾燥雰囲気下で行うことが好ましい。また、封止は減圧下で行うことが好ましい。このようにすることにより、特に気圧の低い状態における、蛍光体層と保護膜との間の剥離を抑制することができる。
基板としては、従来の放射線像変換パネルの基板として公知の材料から任意に選ぶことができる。また、基板と蛍光体層の結合を強化するため、あるいは放射線像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、蛍光体層が設けられる側の基板表面にゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層としたり、あるいは二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られているが、本発明における放射線像変換パネルについても、これらの各種の層を設けることができる。それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。
なお、特開昭58−200200号に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、基板の蛍光体層側の表面(基板の蛍光体層側の表面に接着性付与層、光反射層または光吸収層などが設けられている場合には、その表面を意味する)に微小凹凸が形成されていてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1)
基板として8mm厚のソーダガラス板を処理面上に蒸着されるように蒸着機中に設置した後、所定の位置にEuBr2 タブレットおよびCsBrタブレットを配置し、蒸着機を排気して1×10-3Paの真空度とした。続いて、基板をヒーターで200℃に加熱した。その後、白金ボート中のEuBr2 タブレットおよびCsBrタブレットに電子銃から4.0kVの加速電圧の電子線を照射し、4μm/分の速度で基板上に輝尽性蛍光体(CsBr:0.01Eu)を500μm堆積させた。乾燥雰囲気下、蒸着機中を大気圧に戻し、基板を取り出した。
6μmの透明薄膜フィルムに、耐熱性があり後工程で剥離が可能な50μm厚の再剥離フィルムをニップローラーを用いて貼り合わせ、貼合せフィルムとした。次に、貼合せフィルムの透明薄膜フィルム側にスパッタリングによりSiOx防湿層を100mmの層厚で設け耐湿性フィルムとした。続いて、SiOx防湿層上に接着層(ポリエステル系樹脂:東洋紡(株)バイロン300、塗布重量2g/m2)を塗布法により形成した。形成した接着層側を上記で作製した輝尽性蛍光体層上に向け、輝尽性蛍光体層と防湿層を設けた耐湿性フィルムをラミネートによって貼り合わせた。その後、耐湿性フィルムから再剥離フィルムを剥離して放射線像変換パネルを完成させた。
(実施例2)
実施例1において、透明薄膜フィルムの膜厚を9μm、再剥離フィルムの膜厚を38μmとした以外は実施例と同様にして放射線像変換パネルを完成させた。
(実施例3)
実施例1において、透明薄膜フィルムの膜厚を12μm、再剥離フィルムの膜厚を38μmとした以外は実施例と同様にして放射線像変換パネルを完成させた。
(実施例4)
9μmの透明薄膜フィルムに、耐熱性があり後工程で剥離が可能な38μm厚の再剥離フィルムをニップローラーを用いて貼り合わせ、貼合せフィルムとした。貼合せフィルムの透明薄膜フィルム側にスパッタリングによりITO(酸化インジウムと酸化スズ)層25nm/SiO2層25nm/ITO層85nmをこの順に積層してなる反射防止層(AR層)を形成した。その後、再剥離フィルムを剥離し、透明薄膜フィルムの反射防止層側にはがした再剥離フィルムと同じ厚みに再剥離フィルムを貼り合わせた。続いて、透明薄膜フィルム側にSiOx防湿層を100mmの層厚で設けた。さらに、SiOx防湿層上にPVAおよびSiOxからなるガスバリア層を600nmの層厚で設けた。その後、さらにガスバリア層上にSiOx防湿層を100mmの層厚で、ITO層25nm/SiO2層25nm/ITO層85nmをこの順に積層してなる反射防止層を順に設けた。
ソーダガラス製封止枠(縦、横450mm角、厚さ0.5mm、幅6mm、内角部R=2mmφ)と上記で作製した保護膜(最後に設けた反射防止層側)とを2液硬化性エポキシ樹脂(XB5047、XB5067:バンティコ(株)製、水蒸気透過係数はいずれも0.5g・mm/(m2・d))を用いて接着した。この際、封止枠中心と保護層中心が合うように重ね合わせ、枠面と接触する保護層表面で接着し、40℃で1日硬化させ、保護層とガラス封止枠との接合体とした。
基板として縦、横450mm角、5mmφの減圧孔を隣りあう2辺から孔中心まで11mmの距離の角部に有する、片面に縁部(縁幅8mm)を除いてAl蒸着反射層が敷設された8mm厚のソーダガラス板を準備した。反射層面上の周縁から8mmまでの部分と減圧孔部にマスクを配置し、マスクが配置されていない反射層面上に蒸着されるように蒸着機中に設置した。次に所定の位置にEuBrm タブレットおよびCsBrタブレットを配置し、蒸着機を排気して1.0Paの真空度とした。続いて、基板をヒーターで100℃に加熱した。その後、白金ボート中のEuBrm タブレットおよびCsBrタブレットを加温して、マスク部分を除いた基板上一面に輝尽性蛍光体を(CsBr:Eu)を500μm堆積させた。乾燥雰囲気下、蒸着機中を大気圧に戻して基板を取り出した。基板上には太さ約8μmの針状輝尽性蛍光体が基板垂直方向に互いにやや隙間を空けて林立していた。
上記のように作製された、接着部(周縁から8mm)と減圧孔を除いてCsBr:Eu輝尽性蛍光体が蒸着形成された、Al蒸着反射層敷設ソーダガラス支持体と、封止枠が接合された保護膜を接着剤(SU2153-9:サンコレック社製、水蒸気透過係数は上記と同様の方法で測定して20g・mm/(m2・d))を用いて圧力をかけながら接着し、常温(25℃)で12時間硬化させた。さらに減圧孔にEDPMゴムを埋め込み、接着剤(SU2153-9)で接着することで減圧孔を密閉した。
これによって、蒸着輝尽性蛍光体層が支持体、封止枠、保護膜によって密閉された構造が形成された。続いて、この密閉構造体の封止孔EDPMゴムに注射針を刺し通し、真空ポンプにより内部の気体を抜き取り減圧状態とした。その後、減圧孔のEDPMゴム上に接着剤(SU2153-9)を付着されたガラス栓で栓をした。最後に、貼合せフィルムから再剥離フィルムを剥離して放射線像変換パネルを完成させた。
(実施例5)
6μmの透明薄膜フィルムに、耐熱性があり後工程で剥離が可能な50μm厚の再剥離フィルムをニップローラーを用いて貼り合わせ、貼合せフィルムとした。この貼合せフィルムの透明薄膜フィルム側に図5に示すスパッタリング装置を用いて、到達圧力が4×10-4Paになるまで排気した後に、Arガスを導入して成膜圧力0.27Pa、放電電力7kwでプレススパッタを行った。この後、O2ガスを導入して放電電圧を610Vに保つように制御してからArガスおよびO2ガス量を減らして成膜圧力を0.03Paまで下げ、貼合せフィルムの透明薄膜フィルム上にSiO2層を100nm厚で設けた。続いて、このSiO2層上に塗布によりPVA:SiO2比1:4の有機無機複合化合物層(有機物比率20%以上)を0.6μm厚で形成した。次いで、この有機無機複合化合物層上に、再び上記したスパッタ装置を用いて、同条件によSiO2層を100nm厚で設け保護膜を完成させた。
保護膜のSiO2層上に接着層(ポリエステル系樹脂:東洋紡(株)バイロン300、塗布重量2g/m2)を1μm厚で塗布法により形成した。この接着層を実施例1で作製した輝尽性蛍光体(CsBr:0.01Eu)層状にラミネートによって貼り合わせた。その後、耐湿性フィルムから再剥離フィルムを剥離して放射線像変換パネルを完成させた。
(比較例1)
6μm厚の透明薄膜フィルムに直接、パッタリングによりSiOx防湿層を100mmの層厚で設け、このSiOx防湿層上に接着層(ポリエステル系樹脂:東洋紡(株)バイロン300、塗布重量2g/m2)を塗布法により形成し、これを実施例1で作製した輝尽性蛍光体層上にラミネートして貼り合わせ放射線像変換パネルを完成させた。
(比較例2)
50μm厚の透明薄膜フィルムにスパッタリングにより直接SiOx防湿層を100mmの層厚で設け、このSiOx防湿層上に接着層(ポリエステル系樹脂:東洋紡(株)バイロン300、塗布重量2g/m2)を塗布法により形成し、これを実施例1で作製した輝尽性蛍光体層上にラミネートして貼り合わせ放射線像変換パネルを完成させた。
(比較例3)
6μm厚の透明薄膜フィルムに50μm厚の再剥離フィルムを貼り合わせ、SiOx防湿層を設けることなく、透明薄膜フィルム上に接着層(ポリエステル系樹脂:東洋紡(株)バイロン300、塗布重量2g/m2)を塗布法により形成し、これを実施例1で作製した輝尽性蛍光体層上にラミネートして貼り合わせ放射線像変換パネルを完成させた。
(比較例4)
9μm厚の透明薄膜フィルムの一方の面に直接、スパッタリングによりITO層25nm/SiO2層25nm/ITO層85nmをこの順に積層してなる反射防止層を設け、他方の面にスパッタリングにより直接SiOx防湿層を100mmの層厚で、その上にPVAおよびSiOxからなるガスバリア層を600nmの層厚で、さらにその上にITO層25nm/SiO2層25nm/ITO層85nmをこの順に積層してなる反射防止層を設けた以外は、実施例4と同様にして放射線像変換パネルを完成させた。
(比較例5)
実施例4において、保護膜を全く設けないで、これを放射線像変換パネルとした。
(評価方法)
上記実施例および比較例で作製した放射線像変換パネルを、保護膜のシワ、保護膜の透湿度、鮮鋭度、画像品質、防湿性についてそれぞれ評価した。結果を表1および表2に示す。なお、保護膜のシワは目視により観察し、シワが認められないものは○、シワが認められたものは×と評価し、保護膜の透湿度は40℃90%RHの環境下、24時間に面積1m2の保護膜を通過する水蒸気量により測定し、防湿性は30℃80%RHの環境下、30日間放射線像変換パネルを放置し、放置前と放置後の輝尽性蛍光の発光量の変化を測定し、5%未満の発光量低下の場合にはA、5%以上10%未満の発光量低下の場合にはB、10%以上の発光量低下の場合にはCで評価した。また、鮮鋭度は以下の方法により評価した。
<鮮鋭度>
放射線像変換パネルに、管電圧80kVpのX線を照射したのち、放射線像変換パネルに対して線状に励起光を照射するライン状LDレーザ(波長650nm)で走査して蛍光体を励起し、ライン状LDレーザにより励起光が照射された放射線像変換パネルの線状の部分の長さ方向に沿って多数の光電変換素子が配列されたCCDアレイによって、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生して表示装置上に画像を得た。これをコンピュータで解析することにより、得られた画像の変調伝達関数(MTF)(空間周波数:2サイクル/mm)を得、比較例5の放射線像変換パネルのMTF値を100として、実施例およびその他の比較例のMTF値を相対的に求めた。MTF値が高いほど鮮鋭度がよいことを示す。
Figure 2005172800
実施例1〜5の放射線像変換パネルは、いずれも保護膜にシワがなく、良好な透湿度を示し、鮮鋭度、画像品質、防湿性に優れていた。なお、実施例3は、透明薄膜フィルムが12μmとわずかに厚いために若干、鮮鋭度が悪くなった。
比較例1は実施例1において再剥離フィルムを用いることなく透明薄膜フィルムに直接、真空堆積法によって防湿層を形成したものであるが、この場合には保護膜にシワが発生し、このために画像品質が低下した。比較例2は比較例1と同様に再剥離フィルムを用いることなく透明薄膜フィルムに防湿層を形成する作製方法によったものであるが、透明薄膜フィルムの厚みを厚くしたので、防湿層の形成によってシワが生じることはなかったが、透明薄膜フィルムが厚いために相対MTFが著しく低下した。また、防湿層を形成しなかった比較例3では当然ながら防湿性が著しく低下した。比較例4は実施例4と同様の防湿層、ガスバリア層を設けた放射線像変換パネルであるが、再剥離フィルムを用いることなく放射線像変換パネルを製造したために、シワが発生し、画像品質が低下した。
実施例5は2枚の防湿層の間に有機無機複合化合物層を設けているため無機層の欠陥を埋めることが可能となり、より防湿性能の高い放射線像変換パネルとすることができるとともに、防湿層をインピーダンス制御による反応性スバックリングによって設けているため、特許文献2に記載されている保護層のようにフィルム上につれやシワが発生することがなく、画像品質に高い放射線像変換パネルを得ることが可能となった。
以上のように、本発明の放射線像変換パネルは、再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、この貼合せフィルムの透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けて耐湿性フィルムとし、この耐湿性フィルムを輝尽性蛍光体層上に設け、耐湿性フィルムから再剥離フィルムを剥離して得られたものであるため、透明薄膜フィルムにシワがよることがなく、また再剥離フィルムの使用によって透明薄膜フィルムが薄くても均一に防湿層を設けることが可能となり、このため鮮鋭度、画像品質、防湿性に優れた放射線像変換パネルとすることができた。
本発明の一の実施の形態を示す放射線像変換パネルの概略製造工程図 透明薄膜フィルムの両側に防湿層を設ける場合の保護膜の作製手順を示す工程図 本発明の別の実施の形態を示す放射線像変換パネルの概略製造工程図 本発明のさらに別の実施の形態を示す放射線像変換パネルの概略製造工程図 インピーダンス制御による反応性スパッタリングを行うスパッタリング装置の概略図
符号の説明
1 輝尽性蛍光体層
2 再剥離フィルム
3 粘着層
4 透明薄膜フィルム
5 貼合せフィルム
6 防湿層
7 耐湿性フィルム
8 接着層
9 保護膜
10 放射線像変換パネル

Claims (7)

  1. 再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、該貼合せフィルムの前記透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けて耐湿性フィルムとし、該耐湿性フィルムを輝尽性蛍光体層上に設け、前記耐湿性フィルムから前記再剥離フィルムを剥離して得られたことを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 前記透明薄膜フィルムの厚みが10μm以下であることを特徴とする請求項1記載の放射線像変換パネル。
  3. 前記透明薄膜フィルムの厚みが2〜7μmであることを特徴とする請求項2記載の放射線像変換パネル。
  4. 前記防湿層を設けた前記透明薄膜フィルムの透湿度が1g/(m2/day)以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の放射線像変換パネル。
  5. 前記防湿層を設けた前記透明薄膜フィルムの透湿度が0.2g/(m2/day)以下であることを特徴とする請求項4記載の放射線像変換パネル。
  6. 輝尽性蛍光体層上に接着層を介して保護膜を設けた放射線像変換パネルの製造方法において、前記保護膜を、10〜500μm厚の再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、該貼合せフィルムの前記透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けて耐湿性フィルムとし、該耐湿性フィルムから前記再剥離フィルムを剥離して形成することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
  7. 保護膜と基板との間に輝尽性蛍光体層を密閉封止した放射線像変換パネルの製造方法において、前記保護膜を、10〜500μm厚の再剥離フィルムを透明薄膜フィルムに貼り合わせて貼合せフィルムとし、該貼合せフィルムの前記透明薄膜フィルム側に真空堆積法により防湿層を設けて耐湿性フィルムとし、該耐湿性フィルムから前記再剥離フィルムを剥離して形成することを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
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