JP4113024B2 - 基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サブトラクティブ法によりプリント配線板を作製するための基板の製造方法に係り、特に貫通孔または/及び非貫通孔(以下、これらをまとめて孔という)を有する回路形成用基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の製造方法は、サブトラクティブ法とアディティブ法の2つに大別される。サブトラクティブ法は、絶縁性基板に銅等の金属導電層を設けた回路形成用基板上にレジスト画像を形成し、そのレジスト画像で被覆されていない金属導電層をエッチングにより取り除く方法である。アディティブ法は、金属めっき処理により絶縁性基板上の配線パターン部にのみ金属導電層を形成する方法である。
【0003】
また、近年の電子機器の小型、多機能化に伴い、機器内部に使用されるプリント配線板も高密度化や回路パターンの微細化が進められており、そのような条件を達成する手段としては、プリント配線板の多層化が挙げられる。多層プリント配線板は、多層構造を成すために、一般にスルーホール、バイアホールと呼ばれる、内壁を金属導電層で被覆した貫通孔、非貫通孔といった孔を通じて各層間の導通が行われている。
【0004】
一般に、上記内壁を金属導電層で被覆した孔を形成するには、絶縁性基板の両面に金属導電層を設けた銅張り積層板もしくは多層プリント配線板の製造過程における外層板(以下、回路形成用基板)へ、ドリルまたはレーザー加工等により孔を形成した後、孔の内壁を含む基板の両面に無電解めっき処理を施し、続いて電解めっき処理により所定の厚みの金属導電層を貫通孔内壁に形成する。
【0005】
しかしながら、上記のように孔を形成する場合、回路形成用基板の両面の金属導電層上に、さらに電解めっき処理による第2の金属導電層が形成されることになり、孔内壁に所定厚みの金属導電層を形成しようとすると、第2の金属導電層もそれ相応の厚みを有することになって、必要以上にめっき液を消費してしまうばかりでなく、以降の回路形成に伴う不要の金属導電層の除去における処理液負荷も増加する。
【0006】
また、回路形成用基板に貫通孔を形成し、ドライフィルム状のめっきレジストをラミネートし、ランドを覆う部分を含めたスルーホール部のドライフィルムを除去した後、金属めっき処理する方法によれば、ランドを覆う部分を含めたスルーホールの開口部を選択的に除去するために、光硬化性樹脂等のフォトポリマーを露光したり、レーザー加工等の位置合わせを必要とする加工が必要となる。また、同様に、絶縁性基板の両面に金属導電層を形成した回路形成用基板に貫通孔を形成し、一般的なサブトラクティブ法によりスルーホール部以外の配線パターンを形成した後、ドライフィルム状のめっきレジストをラミネートし、ランドを覆う部分を含めたスルーホール部のドライフィルムを除去した後、金属めっき処理する方法によっても、ランドを覆う部分を含めたスルーホールの開口部を選択的に除去するために、光硬化性樹脂等のフォトポリマーを露光したり、レーザー加工等の位置合わせを必要とする加工が必要となるばかりでなく、スルーホール近傍の配線パターンとスルーホールめっきが意図せず短絡することがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−170068号公報(第1〜2頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、簡易な構成で孔内壁に選択的に金属導電層を形成する基板の製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために鋭意検討した結果、貫通孔または/及び非貫通孔を形成した回路形成用基板の両面に熱可塑性樹脂層とキャリアフィルムとを熱可塑性樹脂層が回路形成用基板に接するようにラミネートし、次にキャリアフィルムと共に該孔の開口部だけ熱可塑性樹脂層を除去し、続いて該孔の内壁に金属導電層を形成した後、熱可塑性樹脂層を除去する基板の製造方法を適用すれば良いことを見いだした。
【0010】
また、貫通孔または/及び非貫通孔を形成した回路形成用基板における貫通孔または/及び非貫通孔の内壁面を含む回路形成用基板の両面に金属導電層を形成し、次に該回路形成用基板の両面に熱可塑性樹脂層とキャリアフィルムとを熱可塑性樹脂層が回路形成用基板に接するようにラミネートし、キャリアフィルムと共に該孔の開口部の熱可塑性樹脂層を除去した後、該孔の内壁に金属導電層を形成し、しかる後に熱可塑性樹脂層を除去する基板の製造方法を適用しても良いことを見いだした。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の基板の製造方法について詳細に説明する。
【0012】
まず、本発明の実施形態を図を用いて説明する。本発明の第1の実施形態を示す断面図を図1に示す。絶縁性基板1の両面に金属導電層2を設けた回路形成用基板10に貫通孔3を形成する(図1(b))。次に、熱可塑性樹脂層4とキャリアフィルム5から成るドライフィルムをラミネートした後(図1(c))、キャリアフィルム5と貫通孔の開口部の熱可塑性樹脂層とを除去し、開口部を除く回路形成用基板の両面に熱可塑性樹脂層を形成する(図1(d))。次いで、無電解銅めっきにより熱可塑性樹脂層以外の部分である孔内壁に無電解銅めっき層6を設け(図1(e))、さらにこの上に電解銅めっき処理により電解銅めっき層7を所定の厚みに形成する(図1(f))。その後、熱可塑性樹脂層4を除去する(図1(g))。さらに、必要に応じて貫通孔エッジ部の余剰なめっきを研磨することにより、貫通孔を有する基板が製造される(図1(h))。
【0013】
上記では貫通孔を例にとって説明したが、非貫通孔を有する場合であっても、非貫通孔の開口部の熱可塑性樹脂層を貫通孔の場合と同様に除去すれば、他の工程は貫通孔を有する場合と同様の工程となる。また、上記第1の実施形態では、孔の内壁の金属導電層を無電解銅めっき層6及び電解銅めっき層7により構成したが、所望により無電解銅めっき層6のみでもよく、また孔の内壁に金属導電層が形成できれば、まったくめっき法によらなくてもよい。
【0014】
これにより、孔の内壁の金属導電層をめっき法により形成するとしても、回路形成用基板表面に不要なめっきを施す必要がなく、不必要なめっき液の消費を抑止し得るばかりでなく、以降の回路形成に伴う回路形成面の不要の金属導電層の除去における処理液負荷も大幅に軽減される。
【0015】
本発明の第2の実施形態を示す断面図を図2に示す。上記第1の実施形態と同様、貫通孔のみを有する基板を用いて説明する。孔の内壁のに形成する金属導電層等についても上記第1の実施形態に準ずる。絶縁性基板1の両面に金属導電層2を設けた回路形成用基板10に貫通孔3を形成する(図2(b))。次に、貫通孔3の内壁を含む基板表面に無電解銅めっき処理を施して無電解銅めっき層6を形成し(図2(c))、熱可塑性樹脂層4とキャリアフィルム5から成るドライフィルムをラミネートした後(図2(d))、キャリアフィルム5と貫通孔の開口部の熱可塑性樹脂層とを除去し、開口部を除く回路形成用基板の両面に熱可塑性樹脂層を形成する(図2(e))。さらに、電解銅めっき処理により電解銅めっき層7を所定の厚みに形成する(図2(f))。その後、熱可塑性樹脂層4を除去し(図2(g))、さらに必要に応じて貫通孔エッジ部の余剰なめっきを研磨することにより貫通孔を有する基板が製造される。
【0016】
次に、本発明の基板の製造方法に係わる各種材料について説明する。本発明に係わる貫通孔または/及び非貫通孔を形成した回路形成用基板は、基本的には、絶縁性基板の両面に金属導電層を設けた積層板、あるいは貫通孔及び非貫通孔のごとき孔を形成する工程を有する多層プリント配線板製造時の孔形成前の外層板(内層に絶縁層を介して配線パターン層、グランド層等を有する積層板)、ビルドアップ時の非貫通孔を形成する内層板等に対して、ポンチ、ドリル、またはパルスレーザー等を用いて貫通孔及び非貫通孔のごとき孔を形成することによって得られる。例えば、貫通孔及び非貫通孔による層間接続を行う上記多層プリント配線板に関しては、「JPCA規格、ビルドアップ配線板」(1998年5月、日本プリント回路工業会発刊)に記載されており、一般的なスルーホール、バリードバイアホール、ブラインドバイアホール等、基本的にサブトラクティブ法で適用可能なものに対応することが可能である。
【0017】
また、上記の絶縁性基板の両面に金属導電層を設けた積層板としては、例えば「プリント回路技術便覧−第二版−」((社)プリント回路学会編、日刊工業新聞社発刊)に記載されているものを使用することができる。絶縁性基板としては、紙基材またはガラス基材にエポキシ樹脂またはフェノール樹脂等を含浸させたもの、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。金属導電層の材料としては、例えば、銅、銀、アルミ等が挙げられる。
【0018】
本発明の基板の製造方法に係わる金属めっき処理の方法としては、例えば、めっき導電層が銅の場合には、「表面実装技術」(1993年6月号、日刊工業新聞社発刊)等記載の無電解めっき工程、無電解めっき−電解めっき工程、直接電解めっき工程等を適用することができる。
【0019】
本発明に係わる回路形成用基板の両面に形成する熱可塑性樹脂層は、基本的には、孔の開口部に於いても孔内部に熱可塑性樹脂が入らず、孔の開口部を含む回路形成基板の面上に略均一な厚みで形成されれば良い。このように熱可塑性樹脂層を形成する方法としては、ドライフィルムラミネート法、ロールコート法、テーブルコート法、及びカーテンコート法等が挙げられるが、ロールコート法、テーブルコート法、及びカーテンコート法では塗布液の粘度等の制約が大きくなるので、ドライフィルムラミネート法を用いる。熱可塑性樹脂層の厚みは5μmから30μm程度であれば良く、10μmから15μmが好適である。
【0020】
ドライフィルムラミネート法で用いるドライフィルムは、少なくともキャリアフィルムと熱可塑性樹脂層の2層から成っていれば良く、熱可塑性樹脂層は媒体に溶解せしめてキャリアフィルム上に塗布及び乾燥して形成する。キャリアフィルムとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アラミド、カプトン、ポリメチルペンテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のフィルムを使用することができる。
【0021】
その他、熱可塑性樹脂層上に接着層を有し、接着層等を介して回路形成用基板の両面へ熱可塑性樹脂層を設けてもよい。また、場合によっては、保存時の物理的衝撃や組成の経時変化に対する安定性の面から、熱可塑性樹脂層等を挟んでキャリアフィルムと反対面にポリエチレン等の保護フィルムを設けても良い。さらに、熱可塑性樹脂層を塗布する面の接着性を制御するため、コロナ処理やプライマー処理が施されたフィルムを用いることも可能である。
【0022】
本発明に係わる熱可塑性樹脂層は、基本的に貫通孔及び非貫通孔のごとき孔の内壁に金属導電層を形成する際に耐性を有するものであり、金属導電層をめっきに形成する場合は、それに使用するめっき液に不溶な熱可塑性樹脂である。その具体例としては、少なくとも酸性の電解めっき液に耐える耐酸性を有する樹脂としては、スチレン/マレイン酸モノエステル共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル類共重合体、メタクリル酸エステル類共重合体、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、及び酢酸ビニル/クロトン酸/メタクリル酸エステル共重合体等の、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、及び安息香酸ビニル単量体等、及び(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等もしくは無水マレイン酸及びフマル酸のモノエステル等のカルボキシル基含有単量体から選択した2種以上の単量体の共重合体、フェノール樹脂等が挙げられる。また、アルカリ性の無電解銅めっき液等に耐える樹脂が必要な場合は酸性の官能基を有さない単量体から共重合樹脂を得れば良い。さらに、本発明に係わる熱可塑性樹脂層に使用する熱可塑性樹脂層には、2種以上の熱可塑性樹脂を混合して用いても良い。
【0023】
熱可塑性樹脂溶液を各種コート法によって熱可塑性樹脂層を設ける場合の塗布液の作製に使用する溶剤としては、本発明に熱可塑性樹脂を均一に溶解できるものであれば良く、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール等のアルコール類、THF、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、塗布方法と乾燥条件等によって適当なものを単独または2種以上を選択して使用できる。塗布液の固形分濃度についても、塗布方法と乾燥条件等によって適切な濃度を選択できる。また、塗布液には必要に応じて、熱可塑性樹脂の他に熱可塑性樹脂層の膜物性、塗布液の粘度等を改良する目的で密着促進剤等の添加剤を加えても良い。
【0024】
また、本発明においては、必要に応じて熱可塑性樹脂層と回路形成用基板の間に、回路形成用基板との接着等の向上のため、必要に応じカゼイン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、フェノール樹脂、スチレン/無水マレイン酸共重合体、マレイン酸/アクリル酸共重合体、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、ポリアクリル酸、及びこれら高分子電解質のアルカリ金属塩及び/またはアンモニウム塩、エタノールアミン類及びそれらの塩酸塩、しゅう酸塩、リン酸塩、クエン酸、及び酒石酸等のヒドロキシカルボン酸、及びそれらの塩、グリシン、アラニン、グルタミン酸等のアミノ酸、スルファミン酸等の脂肪族アミノスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、トリエチレンンテトラミン六酢酸等の(ポリ)アミノポリ酢酸、アミノトリ(メチレンホスホン)酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)等の(ポリ)アミノポリ(メチレンホスホン酸)及びその類似物、及びこれら化合物の酸基の少なくとも一部がアルカリ金属塩或いはアンモニウム塩等からなる中間層を設けても良い。
【0025】
中間層にはさらに、酸化チタン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、及び酸化アンチモン等のサブミクロン微粒子を併用しても良い。中間層の厚みには特に制限はないが、熱可塑性樹脂層の接着性を目的とするのであれば、用いる回路形成用基板に関係なく厚くとも5μm程度で良い。
【0026】
【実施例】
以下本発明を実施例により詳説するが、本発明はその主旨を超えない限り、下記実施例に限定されるものではない。
【0027】
実施例1
熱可塑性樹脂として、2−エチルヘキシルアクリレート60部、メチルメタクリレート25部、及びフェノキシエチルメタクリレート15部から成る共重合樹脂を酢酸エチル中に溶解し、固形分25wt%としたものを調液した。片面にコロナ処理を施した厚み16μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、H500)のコロナ処理面上に、カーテンコート法を用いて、乾燥後の熱可塑性樹脂層が12μmとなるように塗布し、本発明に係わるドライフィルムを得た。また、回路形成用基板として、200×200×0.4mmの銅張り積層板(三菱ガス化学(株)製、EL170)を用い、ドリルで0.3mmの貫通孔を複数形成し、真空ラミネータを用いて100℃予熱条件で上記で調整したドライフィルムをラミネートした。その後、常温下でキャリアフィルムを剥離したところ、貫通孔の開口部の熱可塑性樹脂がキャリアフィルムに密着したまま剥離されていた。さらに、無電解銅めっき−電解銅めっき処理(奥野製薬(株)、OPCプロセスM)を施し、貫通孔内壁に厚さ10μmの銅めっき層を設けた後、2−プロパノールで回路形成用基板上の熱可塑性樹脂層を剥離し、最後にバフ研磨により貫通孔エッジ部の余剰な銅を研磨除去して貫通孔を有する基板を得た。得られた基板をパターン形成しヒートサイクル試験を行ったところ500サイクルまで問題は見られなかった。
【0028】
実施例2
熱可塑性樹脂として、2−エチルヘキシルアクリレート55部、メタクリル酸25部、及びフェノキシエチルメタクリレート20部から成る共重合樹脂を酢酸エチル中に溶解し、固形分25wt%としたものを調液した。片面にコロナ処理を施した厚み16μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、H500)のコロナ処理面上に、カーテンコート法を用いて、乾燥後の熱可塑性樹脂層が12μmとなるように塗布し、本発明に係わるドライフィルムを得た。また、回路形成用基板として、200×200×0.4mmの銅張り積層板(三菱ガス化学(株)製、EL170)を用い、ドリルで0.3mmの貫通孔を複数形成し、無電解銅めっきを貫通孔内壁を含む全面に施した。真空ラミネータを用いて100℃予熱条件で上記で調整したドライフィルムをラミネートした後、常温下でキャリアフィルムを剥離したところ、貫通孔の開口部の熱可塑性樹脂がキャリアフィルムに密着したまま剥離されていた。さらに、電解銅めっき処理を施し、貫通孔内壁に厚さ10μmの銅めっき層を設けた後、2%炭酸ナトリウム水溶液で回路形成用基板上の熱可塑性樹脂層を剥離し、最後にバフ研磨により貫通孔エッジ部の余剰な銅を研磨除去して貫通孔を有する基板を得た。得られた基板をパターン形成しヒートサイクル試験を行ったところ500サイクルまで問題は見られなかった。
【0029】
比較例
熱可塑性樹脂として、実施例2と同様の共重合樹脂を用い、それぞれ固形分に対して2−メチルアントラキノン1wt%、ペンタエリスリトール・トリメタクリレート25wt%を添加した塗布液を用いてネガ型のフォトポリマードライフィルムを得た。また、回路形成用基板として、200×200×0.4mmの銅張り積層板(三菱ガス化学(株)製、EL170)を用い、ドリルで0.3mmの貫通孔を複数形成し、無電解銅めっきを貫通孔内壁を含む全面に施した。真空ラミネータを用いて100℃予熱条件で上記で調整したドライフィルムをラミネートした後、貫通孔に対応したフィルムマスクを用いて、貫通孔の開口部とランド以外の部分を露光した。その後、常温下でキャリアフィルムを剥離したところ、貫通孔の開口部とランド部分の樹脂層がキャリアフィルムに密着したまま剥離されていた。さらに、電解銅めっき処理を施し、貫通孔内壁に厚さ10μmの銅めっき層を設けた後、2%水酸化ナトリウム水溶液で回路形成用基板上の熱可塑性樹脂層を剥離し、最後にバフ研磨により貫通孔エッジ部の余剰な銅を研磨除去して貫通孔を有する基板を得た。得られた基板を詳細に観察したところ、基板の端の方で露光パターン位置ズレに起因するめっき不良が見られた。パターン形成しヒートサイクル試験を行ったところ3サイクルで断線した。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明の基板の製造方法によれば、回路形成用基板表面に不要なめっきを施す必要が無いばかりか、フォトポリマーやレーザー加工の必要が無いので孔に対する位置合わせ精度に製品歩留まりが左右されることが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
1 絶縁性基板
2 金属導電層
3 貫通孔、孔
4 熱可塑性樹脂層
5 キャリアフィルム
6 無電解めっき層
7 電解めっき層
10 回路形成用基板
Claims (2)
- 貫通孔または/及び非貫通孔を形成した回路形成用基板の両面に熱可塑性樹脂層とキャリアフィルムとを熱可塑性樹脂層が回路形成用基板に接するようにラミネートし、次にキャリアフィルムと共に該孔の開口部だけ熱可塑性樹脂層を除去し、続いて該孔の内壁に金属導電層を形成した後、熱可塑性樹脂層を除去することを特徴とする基板の製造方法。
- 貫通孔または/及び非貫通孔を形成した回路形成用基板における貫通孔または/及び非貫通孔の内壁面を含む回路形成用基板の両面に金属導電層を形成し、次に該回路形成用基板の両面に熱可塑性樹脂層とキャリアフィルムとを熱可塑性樹脂層が回路形成用基板に接するようにラミネートし、キャリアフィルムと共に該孔の開口部の熱可塑性樹脂層を除去した後、該孔の内壁に金属導電層を形成し、しかる後に熱可塑性樹脂層を除去することを特徴とする基板の製造方法。
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