JP4112630B2 - 松茸の長期保存方法及び長期保存された松茸 - Google Patents
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Description
発明の属する分野
本発明は、松茸（ｓｏｎｇｉ ｍｕｓｈｒｏｏｍ）［科学名：アルミラリア・エドデス（Ａｒｕｍｉｌｌａｒｉａ ｅｄｏｄｅｓ）］の長期保存方法及びこの方法により長期保存された松茸に関するものである。即ち、本発明は、松茸を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第一の袋に入れ、第一の袋内部を脱気して松茸と空気の接触を遮断し、第一の袋を密封し、密封した第一の袋を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第二の袋に入れ、第二の袋内部を水で満たし、第二の袋を密封し、密封した第二の袋を急速冷凍することを特徴とする、松茸を冷凍された状態で長期保存する方法；及び、本発明の方法により長期保存された松茸に関する。
発明の背景
松茸は、松の木と雑木が共にはえている場所に成育する高級天然食品であり、味と香りが非常によい。
しかし、松茸は採取後８時間程度経過すると黒変して（松茸採取者たちは、このような現象を汗が出ると言う。）変質し、元来の香りの約２／３が減少し、新鮮度も約１／３〜２／３に落ちる。約２４時間経過後には、香りと新鮮度は２０％程度まで低下してしまう。
松茸は輸出前に数日乃至２０日間臨時の貯蔵所で一時的に低温貯蔵されるため、輸出される松茸は、味と香りが落ちたものになってしまう。
このように、松茸に適した貯蔵方法が開発されていないことから、松茸は短期間しか正当な価格がつけられない季節的商品であり、価格の変動が他の商品に比較して非常に大きく、その出荷時期を少しでも逸すれば、その価格が急激に下落するという問題がある。松茸の香りと味を落とさずに長期間保存するための方法に関し、多くの研究がされてきたが、満足し得る松茸の長期保存方法は、未だ報告されていない。
正常に成育した松茸は、産地で採取した時には水分の含量が約７０〜８０％であり、黄色乃至薄いベージュ色を帯びている。大きさはその長さが約５〜１０ｃｍ程度であり、独特の強い香りを有する。松茸は主に高山の８分稜線で成育し、日照時間が長く、落ち葉が殆ど無いところで育った松茸は、水分の含量が約４０〜５０％程度である。木目方向に割いた松茸の本体内部は、白色を呈している。
松茸は時間の経過に伴い、その香りと新鮮度を急激に失い、色合いも黒変し、表面が脆くなる。
貯蔵中の松茸の変質を防止するための従来法としては、松茸の水分を除去する方法や、防腐剤を使用する方法がある。しかし、これらの方法では、長期間貯蔵した場合には松茸の自然の味が失われ、商品価値が低下するため、実用化には至っていない。
本発明者らは、松茸の長期保存方法に関する長い間の研究の結果、松茸の長期保存方法を開発し、韓国特許第６４６０２号を取得した。
この特許方法では、まず、松茸に袋を被せて脱気する。その松茸を収容し得る大きさのプラスチック容器の下部に松茸支持台を設置し、この支持台の上に松茸を立てる。一方の側面に気孔を形成し、キャップの内側にスプリングで連結した押さえ具を入れて松茸の左側を押さえ、気孔を通して容器に水を満たし、次いで松茸を長期間保存するために急速冷凍する。
この方法によれば長期保存は可能であるが、その作業工程が大変不便であり、また、松茸を正しく立てることが極めて困難であるため、作業能率が悪いという問題点がある。
本発明者らは、このような問題点を解決するために更に研究した結果、松茸を長期間保存しても松茸の香りと新鮮度をそのまま維持することのできる簡単な方法を発見し、本発明を完成した。
本発明者らは、ビニル袋のような伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第一の袋に松茸を入れ、第一の袋内部を脱気して松茸と空気の接触を遮断し、第一の袋を密封し、密封した第一の袋を伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第二の袋に入れ、第二の袋の内部を水で満たした後、密封して急速冷凍することにより、松茸の香りと新鮮度をそのまま維持することができることを見出した。
発明の概要
即ち、本発明は、松茸を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第一の袋に入れ、第一の袋内部を脱気して松茸と空気の接触を遮断し、第一の袋を密封し、密封した第一の袋を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第二の袋に入れ、第二の袋内部を水で満たし、第二の袋を密封し、密封した第二の袋を急速冷凍することにより、松茸を冷凍された状態で長期保存する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の本発明の方法により長期間保存された松茸を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
本発明の上記及びその他の目的及び特徴は、添付図面を参照することにより、以下の本発明の説明から明らかとなるはずである。
図１は、松茸を密封して松茸と空気の接触を遮断する工程を示す模式図である。
図２は、図１に示す松茸をプラスチック袋内に入れて急速冷凍することにより製造した、プラスチック袋内の冷凍松茸の様子を示す模式図である。
図３は、図２のＡ−Ａ線断面図である。
発明の詳細な説明
本発明の方法では、まずビニル袋のような伸縮性があり空気と水を通過させな合成樹脂製の袋に松茸を入れ、この袋内部を完全に脱気した後、空気や水が内部に浸入しないように密封する。
脱気は、袋内部を減圧するか、又は、袋の外部を加圧することにより行うことができる。脱気した袋の密封は、加熱融着又は超音波融着法により、或は、水と相溶性のない接着剤を使用する密封により行うことができる。このように密封することにより、好気性細菌が増殖できず、松茸の変質を防止し、香りと新鮮度を維持することができる。
この脱気及び密封工程の後、密封した袋を空気及び水を通過させない伸縮性のある第二の袋に入れ、第二の袋に水を満たして密封し、次いで急速冷凍して凍結した状態で保存する。この方法によれば、脱気されているために好気性細菌が増殖できず、また、冷凍保存されているために松茸に付着した細菌が増殖できず、酵素の活動も抑制されることから、松茸の変質を防止し、香りと新鮮度を維持することができる。
本発明で使用し得る伸縮性があり空気と水を通過させない袋の材質としては、例えばポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、軟質ポリ塩化ビニルシート、ポリエステルシート、軟質セロファンシート、その他の合成樹脂シート等が挙げられる。
このように水と遮断されて冷蔵又は冷凍された松茸は、冷蔵又は冷凍温度で長期保存が可能となる。
次に、本発明の一態様を添付した図面で詳細に説明する。
図１に、松茸（１）を示す。この松茸（１）をビニル袋のような伸縮性があり空気を完全に遮断し得る袋（２）に入れ、この袋を完全に脱気した後に密封し、松茸と空気を完全に遮断する。図１に示すように、松茸（１）をビニル袋（２）にいれて脱気することにより、松茸（１）にビニル袋（２）が完全に密着する。
このように松茸（１）を伸縮性があり空気を完全に遮断し得るビニル袋（２）に入れ、袋内部を完全に脱気して密封した松茸は、１０乃至−２０℃で保存することもできる。
図２に示すように、上記のようにして松茸（１）を伸縮性があり空気を完全に遮断し得るビニル袋（２）に入れ、その袋を完全に脱気した後、この袋を伸縮性があり水を遮断し得るプラスチック袋（３）に入れ、このプラスチック袋に水を満たして密封し、急速冷凍して松茸を保存する。
図３は、図２のＡ−Ａ線断面図であり、ここで符号１は松茸を、符号２は伸縮性があり空気を完全に遮断し得る袋を、符号３は伸縮性があり水を遮断し得るプラスチック袋を、符号４は氷を示す。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実施例１
採取した松茸から土と埃を除去する。次いでこの松茸をビニル袋に入れ、減圧下に袋内を脱気した。脱気したビニル袋を加熱融着又は超音波融着により外部の空気が袋内に浸入しないように密封した。
この袋を別のビニル袋に入れ、袋内に水を充填した。この袋を密封し、−２０℃乃至−８０℃で急速冷凍して松茸を凍結させた。このようにして凍結した松茸を、冷凍した状態で保存した。
本発明の方法で処理した松茸は、１年まで変質せず、香りと新鮮度を維持する。また、この松茸は、零下の温度では、５年まで変質することなく保存が可能である。
以上、本発明をその特定の態様について説明したが、当業者であれば、本発明を添付の請求の範囲に記載した本発明の範囲内で様々な異なる態様に変更しうることを認識すべきである。
本発明は、松茸（ｓｏｎｇｉ ｍｕｓｈｒｏｏｍ）［科学名：アルミラリア・エドデス（Ａｒｕｍｉｌｌａｒｉａ ｅｄｏｄｅｓ）］の長期保存方法及びこの方法により長期保存された松茸に関するものである。即ち、本発明は、松茸を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第一の袋に入れ、第一の袋内部を脱気して松茸と空気の接触を遮断し、第一の袋を密封し、密封した第一の袋を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第二の袋に入れ、第二の袋内部を水で満たし、第二の袋を密封し、密封した第二の袋を急速冷凍することを特徴とする、松茸を冷凍された状態で長期保存する方法；及び、本発明の方法により長期保存された松茸に関する。
発明の背景
松茸は、松の木と雑木が共にはえている場所に成育する高級天然食品であり、味と香りが非常によい。
しかし、松茸は採取後８時間程度経過すると黒変して（松茸採取者たちは、このような現象を汗が出ると言う。）変質し、元来の香りの約２／３が減少し、新鮮度も約１／３〜２／３に落ちる。約２４時間経過後には、香りと新鮮度は２０％程度まで低下してしまう。
松茸は輸出前に数日乃至２０日間臨時の貯蔵所で一時的に低温貯蔵されるため、輸出される松茸は、味と香りが落ちたものになってしまう。
このように、松茸に適した貯蔵方法が開発されていないことから、松茸は短期間しか正当な価格がつけられない季節的商品であり、価格の変動が他の商品に比較して非常に大きく、その出荷時期を少しでも逸すれば、その価格が急激に下落するという問題がある。松茸の香りと味を落とさずに長期間保存するための方法に関し、多くの研究がされてきたが、満足し得る松茸の長期保存方法は、未だ報告されていない。
正常に成育した松茸は、産地で採取した時には水分の含量が約７０〜８０％であり、黄色乃至薄いベージュ色を帯びている。大きさはその長さが約５〜１０ｃｍ程度であり、独特の強い香りを有する。松茸は主に高山の８分稜線で成育し、日照時間が長く、落ち葉が殆ど無いところで育った松茸は、水分の含量が約４０〜５０％程度である。木目方向に割いた松茸の本体内部は、白色を呈している。
松茸は時間の経過に伴い、その香りと新鮮度を急激に失い、色合いも黒変し、表面が脆くなる。
貯蔵中の松茸の変質を防止するための従来法としては、松茸の水分を除去する方法や、防腐剤を使用する方法がある。しかし、これらの方法では、長期間貯蔵した場合には松茸の自然の味が失われ、商品価値が低下するため、実用化には至っていない。
本発明者らは、松茸の長期保存方法に関する長い間の研究の結果、松茸の長期保存方法を開発し、韓国特許第６４６０２号を取得した。
この特許方法では、まず、松茸に袋を被せて脱気する。その松茸を収容し得る大きさのプラスチック容器の下部に松茸支持台を設置し、この支持台の上に松茸を立てる。一方の側面に気孔を形成し、キャップの内側にスプリングで連結した押さえ具を入れて松茸の左側を押さえ、気孔を通して容器に水を満たし、次いで松茸を長期間保存するために急速冷凍する。
この方法によれば長期保存は可能であるが、その作業工程が大変不便であり、また、松茸を正しく立てることが極めて困難であるため、作業能率が悪いという問題点がある。
本発明者らは、このような問題点を解決するために更に研究した結果、松茸を長期間保存しても松茸の香りと新鮮度をそのまま維持することのできる簡単な方法を発見し、本発明を完成した。
本発明者らは、ビニル袋のような伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第一の袋に松茸を入れ、第一の袋内部を脱気して松茸と空気の接触を遮断し、第一の袋を密封し、密封した第一の袋を伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第二の袋に入れ、第二の袋の内部を水で満たした後、密封して急速冷凍することにより、松茸の香りと新鮮度をそのまま維持することができることを見出した。
発明の概要
即ち、本発明は、松茸を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第一の袋に入れ、第一の袋内部を脱気して松茸と空気の接触を遮断し、第一の袋を密封し、密封した第一の袋を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第二の袋に入れ、第二の袋内部を水で満たし、第二の袋を密封し、密封した第二の袋を急速冷凍することにより、松茸を冷凍された状態で長期保存する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の本発明の方法により長期間保存された松茸を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
本発明の上記及びその他の目的及び特徴は、添付図面を参照することにより、以下の本発明の説明から明らかとなるはずである。
図１は、松茸を密封して松茸と空気の接触を遮断する工程を示す模式図である。
図２は、図１に示す松茸をプラスチック袋内に入れて急速冷凍することにより製造した、プラスチック袋内の冷凍松茸の様子を示す模式図である。
図３は、図２のＡ−Ａ線断面図である。
発明の詳細な説明
本発明の方法では、まずビニル袋のような伸縮性があり空気と水を通過させな合成樹脂製の袋に松茸を入れ、この袋内部を完全に脱気した後、空気や水が内部に浸入しないように密封する。
脱気は、袋内部を減圧するか、又は、袋の外部を加圧することにより行うことができる。脱気した袋の密封は、加熱融着又は超音波融着法により、或は、水と相溶性のない接着剤を使用する密封により行うことができる。このように密封することにより、好気性細菌が増殖できず、松茸の変質を防止し、香りと新鮮度を維持することができる。
この脱気及び密封工程の後、密封した袋を空気及び水を通過させない伸縮性のある第二の袋に入れ、第二の袋に水を満たして密封し、次いで急速冷凍して凍結した状態で保存する。この方法によれば、脱気されているために好気性細菌が増殖できず、また、冷凍保存されているために松茸に付着した細菌が増殖できず、酵素の活動も抑制されることから、松茸の変質を防止し、香りと新鮮度を維持することができる。
本発明で使用し得る伸縮性があり空気と水を通過させない袋の材質としては、例えばポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、軟質ポリ塩化ビニルシート、ポリエステルシート、軟質セロファンシート、その他の合成樹脂シート等が挙げられる。
このように水と遮断されて冷蔵又は冷凍された松茸は、冷蔵又は冷凍温度で長期保存が可能となる。
次に、本発明の一態様を添付した図面で詳細に説明する。
図１に、松茸（１）を示す。この松茸（１）をビニル袋のような伸縮性があり空気を完全に遮断し得る袋（２）に入れ、この袋を完全に脱気した後に密封し、松茸と空気を完全に遮断する。図１に示すように、松茸（１）をビニル袋（２）にいれて脱気することにより、松茸（１）にビニル袋（２）が完全に密着する。
このように松茸（１）を伸縮性があり空気を完全に遮断し得るビニル袋（２）に入れ、袋内部を完全に脱気して密封した松茸は、１０乃至−２０℃で保存することもできる。
図２に示すように、上記のようにして松茸（１）を伸縮性があり空気を完全に遮断し得るビニル袋（２）に入れ、その袋を完全に脱気した後、この袋を伸縮性があり水を遮断し得るプラスチック袋（３）に入れ、このプラスチック袋に水を満たして密封し、急速冷凍して松茸を保存する。
図３は、図２のＡ−Ａ線断面図であり、ここで符号１は松茸を、符号２は伸縮性があり空気を完全に遮断し得る袋を、符号３は伸縮性があり水を遮断し得るプラスチック袋を、符号４は氷を示す。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実施例１
採取した松茸から土と埃を除去する。次いでこの松茸をビニル袋に入れ、減圧下に袋内を脱気した。脱気したビニル袋を加熱融着又は超音波融着により外部の空気が袋内に浸入しないように密封した。
この袋を別のビニル袋に入れ、袋内に水を充填した。この袋を密封し、−２０℃乃至−８０℃で急速冷凍して松茸を凍結させた。このようにして凍結した松茸を、冷凍した状態で保存した。
本発明の方法で処理した松茸は、１年まで変質せず、香りと新鮮度を維持する。また、この松茸は、零下の温度では、５年まで変質することなく保存が可能である。
以上、本発明をその特定の態様について説明したが、当業者であれば、本発明を添付の請求の範囲に記載した本発明の範囲内で様々な異なる態様に変更しうることを認識すべきである。
Claims (1)
- 松茸を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第一の袋に入れ、第一の袋内部を脱気して松茸と空気の接触を遮断し、第一の袋を密封し、密封した第一の袋を、伸縮性があり、水及び空気を通過させない合成樹脂製の第二の袋に入れ、第二の袋内部を水で満たし、第二の袋を密封し、密封した第二の袋を急速冷凍することを特徴とする松茸を冷凍された状態で長期保存する方法。
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