JP4112301B2 - ヘッドレスト用インサート及びヘッドレスト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車の後部座席等に取り付けられるヘッドレストに関するものであって、特にヘッドレスト用のインサート、及びそのインサートを用いたヘッドレストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のヘッドレスト用インサート及びヘッドレストとしては、例えば特開平9−48272号公報(第1従来構成)及び特開平9−276073号公報(第2従来構成)に開示されるような構成のものが知られている。
【0003】
すなわち、第1従来構成においては、図10及び図11に示すように、インサート31が中空状の金属パイプまたは充実状の金属棒を湾曲成形したステー32から構成されている。このステー32には、2本の脚部32a,32b及びそれらの間の張出部32cが形成されている。
【0004】
そして、このインサート31を用いてヘッドレスト33を製造する場合には、まずインサート31をヘッドレスト33のカバー34内に組み付ける。この場合には、図11に示すように、インサート31の一方の脚部32aを、カバー34の裏面に形成された一対の挿入孔34a,34bのうちの一方の挿入孔34aから挿入して、他方の挿入孔34bから外部に突出させる。これにより、インサート31の張出部32cをカバー34内に収容配置するとともに、両脚部32a,32bを挿入孔34a,34bから外方へ突出させた組立体とする。
【0005】
その後、前記組立体を図示しない成形型内に収容し、その状態で図示しない注入ノズルからカバー34の下側(図11では上側に表れている)の中央に形成された注入口34cを介して、カバー34内にポリウレタン等の発泡原料を注入する。そして、発泡原料がカバー34内にて発泡及び膨張されて、前記成形型に従った形状の発泡体35が形成されて、ヘッドレスト33全体が所定の形状に成形される。
【0006】
しかしながら、この第1従来構成においては、インサート31の張出部32cがヘッドレスト33内の前方側に延長配置されているが、ヘッドレスト33の後方突出部33a内にはインサート31が存在していない。このため、例えば、車両搭乗者がヘッドレスト33の前後の底面を持って、ヘッドレスト33の高さを調節する場合、後方突出部33aが変形して手が滑りやすく、高さの調節を容易に行うことができないという問題があった。
【0007】
このような問題点に対処するため、第2従来構成のインサート31が提案されている。すなわち、この第2従来構成においては、図12及び図13に示すように、インサート31が、2本の脚部32a,32b及び張出部32cを有するステー32と、そのステー32とは別体で、そのステー32に取り付けられる補強部材36とから構成されている。
【0008】
この補強部材36は金属棒により平面形ほぼ横U字状に形成され、その両端にフック状の取付部36aが形成されている。そして、これらの取付部36aをステー32の両脚部32a,32bの上端付近に形成された係合溝32dに係合させることにより、補強部材36がステー32に対して張出部32cの反対側に突出した状態で取り付けられるようになっている。
【0009】
このような構成のインサート31を用いてヘッドレスト33を製造した場合には、図12に示すように、ヘッドレスト33の後方突出部33a内に補強部材36が延長配置される。このため、ヘッドレスト33の高さを調節する場合、その後方突出部33aが変形することは少なく、高さの調節を容易に行うことができるようになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記第2従来構成においては、ステー32の両脚部32a,32bに補強部材36が取り付けられて、インサート31の上部が閉ループ状を呈している。このため、ステー32に補強部材36を取り付けた状態では、インサート31をヘッドレスト33のカバー34内に挿入孔34a,34bを介して挿入することができない。よって、ステー32及び補強部材36を分離した状態で、カバー34内に挿入孔34a,34bから別々に挿入し、それらをカバー34内において手探りに近い状態で組み付ける必要があって、その作業が非常に面倒で手間がかかるという問題があった。
【0011】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、ヘッドレストの後方突出部を補強する機能を有するとともに、インサートをヘッドレストのカバー内にその挿入孔から容易に挿入することができ、しかも部品点数を少なくできるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のヘッドレスト用インサートに係る発明は、2本の脚部と、それらの脚部間を連結する連結部とを連続して有するステーからなり、前記連結部は、ヘッドレストのカバー内において、カバー内の前方側に延長配置される前方張出部と、カバー内の後方側に延長配置される後方張出部とを連続して設け、前記ステーが1本の中空状の金属パイプまたは充実状の金属棒により一体に折曲形成されているたことを特徴とするものである。
【0013】
従って、この請求項1に記載の発明によれば、ヘッドレストの前方部のみでなく、後方突出部を補強する機能も有するとともに、インサートをその一端側からヘッドレストのカバーの挿入孔に容易に挿入することができる。また、前方張出部及び後方張出部のための専用部品が不要であって、部品点数が少なく、構成が簡単である。さらに、ステーの両脚部、前方張出部及び後方張出部を、1本の金属パイプまたは金属棒により連続的に形成することができて、インサートの製造を簡略化することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記前方張出部がステーの前方両側部に設けられ、後方張出部がステーの後方中央部に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
従って、この請求項2に記載の発明によれば、前方張出部及び後方張出部により、ヘッドレストの前方部及び後方突出部を効果的に補強することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、全体として一筆書き状をなすことを特徴としたものである。
【0016】
従って、請求項3に記載の発明においては、1本の棒材によりインサートを構成でき、構造が簡単である
【0018】
請求項に記載のヘッドレストに係る発明は、前記請求項1〜請求項のうちのいずれか一項に記載のヘッドレスト用インサートを備えたことを特徴とすることを特徴とするものである。
【0019】
従って、この請求項に記載の発明によれば、ヘッドレストのカバーに対するインサートの挿入組み付けを容易に行うことができて、ヘッドレストの製造コストを低減することができる。また、ヘッドレストの後方突出部を効果的に補強することができて、ヘッドレストの高さ調節を容易に行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下に、この発明の第1実施形態を、図1〜図6に基づいて説明する。
【0021】
図1〜図3に示すように、この実施形態のヘッドレスト用インサート21は、その全体が1本の中空状の金属パイプまたは充実状の金属棒により折曲形成され、全体として一筆書き状をなすステー22から構成されている。ステー22には上下方向へ平行に延びる2本の脚部22a,22bが設けられ、それらの脚部22a,22b間には一対の前方張出部22c及び1つの後方張出部22dが形成されている。これらの前方張出部22c及び後方張出部22dにより連結部が構成されている。
【0022】
前記両前方張出部22cはステー22の前方両側部において平面形ほぼ三角状に延びるように、両脚部22a,22bの上端に連続して折曲形成されている。また、後方張出部22dはステー22の後方中央部において平面形ほぼ三角状に延びるように、両前方張出部22cの後部に連続して折曲形成されている。
【0023】
図4に示すように、前記のような構成のインサート21を用いてヘッドレスト23を製造した場合には、インサート21のステー22の前方張出部22cがカバー24内の前方側に延長配置されるとともに、後方張出部22dがカバー24内の後方側に延長配置される。また、ステー22の両脚部22a,22bがカバー24外に突出配置される。この状態で、カバー24内には発泡原料の注入及び発泡により、発泡体25が充填形成される。
【0024】
そして、このヘッドレスト23が自動車の後部座席等に取り付けられた状態では、ヘッドレスト23の後方突出部23a内にステー22の後方張出部22dが延長配置されていることで、その後方突出部23aが補強される。このため、ヘッドレスト23の前後底面を持って、ヘッドレスト23の高さを調節する場合、後方突出部23aが変形するおそれはなく、高さの調節を容易に行うことができる。
【0025】
次に、前記のような構成のヘッドレスト23の製造方法について説明する。
さて、このヘッドレスト23の製造時には、図5及び図6(a)に示すように、まずインサート21をカバー24内に挿入する。すなわち、カバー24の裏面には一対の挿入孔24a,24bが所定間隔をおいて形成されるとともに、その挿入孔24a,24b間には注入口24cが形成されている。よって、図5に示すように、インサート21の一方の脚部22aを、カバー24の一方の挿入孔24aから挿入して、他方の挿入孔24bから外部に突出させれば、図6(b)に示すように、ステー22の前後両張出部22c,22dがカバー24内に収容配置される。この場合、両脚部22a間の前方張出部22c及び後方張出部22dが連続している。このため、一方の挿入孔24aまたは24bから一方の脚部22aまたは22bを通せば、前方張出部22c及び後方張出部22dがカバー24内に収容されるとともに、前記の脚部22aまたは22bが他方の挿入孔24bまたは22aから外部に出る。そして、他方の脚部22bまたは22aは前記一方の挿入孔24aまたは24bから外部へ出る状態となる。
【0026】
その後、ヘッドレスト23を図示しない成形型内に収容し、その成形型の注入ノズルからカバー24の注入口24cを介して、カバー24内にポリウレタン等の発泡原料を注入する。この状態で、図6(c)に示すように、発泡原料をカバー24内にて発泡させて発泡体25を形成し、ヘッドレスト23全体を成形型に従った所定の形状に成形する。この状態で、ヘッドレスト23の前方部がインサート21の前方張出部22cにより補強されるとともに、ヘッドレスト23の後方突出部23aがインサート21の後方張出部22dにより補強される。
【0027】
なお、インサート21を構成するステー22は、1本の金属棒が所定の複数位置で折曲加工されて構成される。
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0028】
(1) このヘッドレスト用インサート21においては、2本の脚部22a,22bを有するステー22に、前方張出部22c及び後方張出部22dが連続して一体に形成されている。このため、インサート21をヘッドレスト23のカバー24内にその挿入孔24a,24bから容易に挿入することができるとともに、ヘッドレスト23の成形状態でその前方部のみでなく、後方突出部23aを補強することもできる。
【0029】
(2) このヘッドレスト用インサート21においては、前方張出部22cがステー22の前方両側部に設けられ、後方張出部22dがステー22の後方中央部に設けられている。このため、前方張出部22c及び後方張出部22dにて、ヘッドレスト23の前方部及び後方突出部23aを効果的に補強することができる。
【0030】
(3) このヘッドレスト用インサート21においては、ステー22が1本の中空状の金属パイプまたは充実状の金属棒により一体に、一筆書き状をなすように折曲形成されている。このため、ステー22の両脚部22a,22b、前方張出部22c及び後方張出部22dを、1本の金属パイプまたは金属棒により連続的に形成することができて、部品点数が増えることなく、構成を簡単にしてインサート21の製造を簡略化することができる。
【0031】
(4) このヘッドレスト23においては、インサート21が前記のように1本の金属棒により構成されたものであるため、カバー24に対する装着が極めて容易である。従って、カバー24に対するインサート21の挿入組み付けを容易に行うことができて、ヘッドレスト23の製造コストを低減することができる。また、ヘッドレスト23の後方突出部23aが補強されているため、ヘッドレスト23が座席に取り付けられた状態において、その高さ調節を容易に行うことができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、これ以降の各実施形態の説明においては、第1実施形態と異なる部分を中心に説明するが、各実施形態においても、ステー22が1本の金属棒が折曲形成されて構成されたものである。
【0033】
さて、この第2実施形態においては、図7に示すように、ステー22の前方張出部22c及び後方張出部22dの形状が前記第1実施形態の場合と相違している。すなわち、前方張出部22cがステー22の前方両側部において、平面形ほぼ四角状に延びるように折曲形成されている。また、後方張出部22dがステー22の後方中央部において、平面形ほぼ四角状に延びるように折曲形成されている。
【0034】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態における(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態においては、図8に示すように、ステー22の前方張出部22c及び後方張出部22dの形状が前記第1実施形態の場合と相違している。すなわち、前方張出部22cがステー22の前方一側部において、平面形ほぼ四角状に延びるように折曲形成されている。また、後方張出部22dがステー22の後方他側部において、平面形ほぼ四角状に延びるように折曲形成されている。
【0035】
従って、この第3実施形態においても、前記第1実施形態における(1)、(3)及び(4)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態においては、図9に示すように、前方張出部22cがステー22の前方一側部において、平面形ほぼ三角状に延びるように折曲形成されている。また、後方張出部22dがステー22の後方他側部において、平面形ほぼ三角状に延びるように折曲形成されている。
【0036】
従って、この第4実施形態においても、前記第1実施形態における(1)、(3)及び(4)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0037】
・ 前記各実施形態において、ステー22を複数の部分に分割して形成し、それらの分割部分を溶接等により連結固定して、ステー22を構成すること。例えば、図1及び図2に示すステー22において、脚部22a,22b、前方張出部22c、後方張出部22dをそれぞれ別々に形成して、それらを互いに溶接固定すること。
【0038】
・ 前記各実施形態において、ステー22の前方張出部22c及び後方張出部22dの形状を任意に変更して構成すること。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明は、ヘッドレストの後方突出部を効果的に補強できるとともに、インサートをヘッドレストのカバー内にその挿入孔から容易に挿入することができ、しかも部品点数を少なくできて製造が容易になる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のヘッドレスト用インサートを示す斜視図。
【図2】 図1のインサートの平面図。
【図3】 図1のインサートの側面図。
【図4】 図1のインサートを備えたヘッドレストの部分破断斜視図。
【図5】 図4のヘッドレストのカバーに対するインサートの組付方法を示す斜視図。
【図6】 (a)(b)(c)は、それぞれ図4のヘッドレストの製造方法を説明する断面図。
【図7】 第2実施形態のヘッドレスト用インサートを示す平面図。
【図8】 第3実施形態のヘッドレスト用インサートを示す平面図。
【図9】 第4実施形態のヘッドレスト用インサートを示す平面図。
【図10】 従来のヘッドレストを示す部分破断斜視図。
【図11】 図10のヘッドレストのカバーに対するインサートの組付方法を示す斜視図。
【図12】 従来のヘッドレストの別の構成を示す断面図。
【図13】 図12のヘッドレストのインサートを拡大して示す斜視図。
【符号の説明】
21…ヘッドレスト用インサート、22…ステー、22a,22b…脚部、22c…前方張出部、22d…後方張出部、23…ヘッドレスト、23a…後方突出部、24…カバー、24a,24b…挿入孔、25…発泡体。

Claims (4)

  1. 2本の脚部と、それらの脚部間を連結する連結部とを連続して有するステーからなり、前記連結部は、ヘッドレストのカバー内において、カバー内の前方側に延長配置される前方張出部と、カバー内の後方側に延長配置される後方張出部とを連続して設け、前記ステーが1本の中空状の金属パイプまたは充実状の金属棒により一体に折曲形成されていることを特徴とするヘッドレスト用インサート。
  2. 前記前方張出部がステーの前方両側部に設けられ、後方張出部がステーの後方中央部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドレスト用インサート。
  3. 全体として一筆書き状をなすことを特徴とした請求項1または請求項2に記載のヘッドレスト用インサート。
  4. 求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載のヘッドレスト用インサートを備えたことを特徴とするヘッドレスト
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