JP4112089B2 - 軽量盛土工法用パネルの取り付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟弱地盤対策、地滑り対策、急斜面地の腹付け盛土対策、土圧軽減等を主目的とする軽量盛土工法において、その化粧材あるいは保護材として用いられる軽量盛土工法用パネル及びその取り付け方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、傾斜法面に道路を敷設する場合、図7に示すように法面21の一部を削って道路面22を形成する工法が最も一般的に用いられていた。
しかし、この工法の場合には、工事が土質等に影響され易く、大変であるばかりではなく、削った露出面23の処理や削った土の始末のために環境破壊をもたらすことがあるという大きな問題を有している。
【0003】
そこで、土を運び込んで構築する盛土工法が採用されるに到り、更に近年においては、従来の盛土工法にかわり、軟弱地盤対策等を主目的とした軽量盛土工法が注目されるようになっている。
この軽量盛土工法は、例えば、図8に示すように法面21に気泡モルタル、発砲スチロール、発砲ウレタン等からなる軽量盛土材24を、押出成形セメント板等からなる軽量盛土工法用パネル25を用いて盛土し、道路面22等を構築するものである。
【0004】
軽量盛土材24の1つである気泡モルタルは、土に水を混ぜてスラリー化したものに、気泡剤、セメントを混合して製造される気泡混合補強土であり、図9の(A)、(B)に示すように布基礎26上に立設されたH形鋼からなる支柱27に対して、下方から順に軽量盛土工法用パネル25をZクリップ28、ボルト29、ナット30、防水パッキン31、振止パッキン32等を用いて止め付けし、軽量盛土材24である気泡モルタル等を打設して盛土して行くものである。
【0005】
しかしながら、上記した従来の軽量盛土工法用パネル25は、支柱27に止め付けするために現場で両端部にボルト穴32を加工する必要であり、しかもこのボルト穴32と支柱27との位置関係から、支柱27を精度よく立設しておかなければならない等、施工に手間がかかる問題があった。
また、ボルト穴32の位置によって支柱27と軽量盛土工法用パネル25との位置関係が決まるため、軽量盛土工法用パネル25の割付けは、図6の(A)に示すようないも目地(通し目地)に限定されるものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題に対処するためになされたものであり、その第一の課題は、現場での穴開け加工を不要とし、簡単に止め付けすることができる軽量盛土工法用パネルを提供することにある。
また、本発明のもう一つの課題は、支柱の立設精度にかかわらず、軽量盛土工法用パネルを簡単に止め付けすることができると共に、いも目地以外にも破れ目地(馬踏み目地)等の割付けができる軽量盛土工法用パネルの取り付け方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明にかかる軽量盛土工法用パネルは、軽量盛土工法の化粧材あるいは保護材として使用される軽量盛土工法用パネルにおいて、上記パネルの取り付け面側にその幅方向に沿ってパネル止め付け用受け金物を幅方向にスライド可能に装着するスリット溝を設けたことを特徴とするものであり、軽量盛土工法用パネル側にパネル止め付け用受け金物をスライド可能に装着するスリット溝を設けているため、現場で穴開け加工を行うことなく、止め付け用受け金物をスリット溝に取り付けてパネルを止め付けすることができると共に、受け金物をスリット溝に沿って幅方向にスライド可能としているため、支柱の立設精度にかかわりなく、誤差を吸収して簡単に軽量盛土工法用パネルを支柱に止め付けすることができる。
【0008】
また、本発明にかかる軽量盛土工法用パネルの取り付け方法は、軽量盛土工法の化粧材あるいは保護材として使用される軽量盛土工法用パネルの取り付け方法において、上記パネルの取り付け面側にその幅方向に沿ってパネル止め付け用受け金物を幅方向にスライド可能に装着するスリット溝を設け、同スリット溝に上記受け金物をスライド可能に装着し、この受け金物の他端に取り付けられた固定金物を支柱に引っかけた後、ナットにより締め付け固定することを特徴とするものであり、パネル止め付け用受け金物をスリット溝に沿ってスライドさせることができるため、支柱の立設精度が多少ずれていても、受け金物をスライドさせることにより、ずれ寸法を吸収して軽量盛土工法用パネルを止め付けすることができると共に、受け金物を軽量盛土工法用パネルの幅方向中間に位置させてパネルを止め付けすることができるため、軽量盛土工法用パネルをいも目地の他、破れ目地に割付けて取り付けすることが可能となる。
【0009】
更に、本発明にかかる軽量盛土工法用パネルの取り付け方法は、上記した軽量盛土工法用パネルの取り付け方法において、上記軽量盛土工法用パネルと支柱との間に楔状のキャンバーを介装して軽量盛土工法用パネルを位置決めすることを特徴とするもので、支柱に多少の傾きがあっても、それを吸収して軽量盛土工法用パネルを精度よく取り付けることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図1乃至図6に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態にかかる軽量盛土工法用パネルの取り付け状態を示す平面図、図2はその止め付け部の拡大水平断面図、図3は同止め付け部の拡大垂直断面図、図4は同軽量盛土工法用パネルの取り付け方法を示す正面図、図5は同軽量盛土工法用パネルを用いた軽量盛土工法完成後における水抜き方法を示す断面図、図6(A)、(B)は軽量盛土工法用パネルの割付け状態を示す正面図である。
【0011】
図中において、1は押出成形セメント板等からなる軽量盛土工法用パネルであり、同軽量盛土工法用パネル1は軽量盛土工法において、立壁を構成する化粧材あるいは保護材として使用されるものである。
この軽量盛土工法用パネル1は、一般的にセメント、繊維等を材料として押出成形された中空板によって構成される。
【0012】
軽量盛土工法用パネル1には、図3に示すように中空部2と中空部2との間の肉厚部分に幅方向全長にわたってスリット溝3が、押出成形の際に同時成形されることにより設けられている。
このスリット溝3は、溝開口側が狭く、厚さ方法にテーパー状に拡がった断面形状を有しており、軽量盛土工法用パネル1を止め付ける受け金物4を幅方向にスライド可能に装着するためのものである。
【0013】
軽量盛土工法用パネル1の止め付け用受け金物4は、一端側にスリット溝3にスライド可能に嵌合される頭部5を有し、他端側にネジ部6を有するボルト状部材からなるものであり、他端側のネジ部6に支柱9に引っかけられるフック状の固定金物7を取り付け、ナット8を介して締め付け固定できるように構成されている。
支柱9は、C形チャンネル材やL型鋼からなるもので、布基礎10上に所定の間隔をおいて立設されている。
【0014】
また、軽量盛土工法用パネル1は、支柱9との間に楔状のキャンバー11を介装して締め付け固定されると共に、軽量盛土工法用パネル1同志の目地部分には、CRスポンジ等からなる気泡モルタルの漏れ防止及び振動防止を兼ねた防水パッキン12が介装されて取り付けられるようになっている。
なお、軽量盛土材13としては、ここでは土に水を混ぜてスラリー化したものに、気泡剤、セメントを混合して製造される気泡混合補強土である気泡モルタルを用いた例について説明するが、これに限定されず、発砲スチロール、発砲ウレタン等からなる軽量盛土材も同様に使用することができるものである。
楔状のキャンバー11としてはゴム材、発泡ゴム材、木材等からなるものを使用することができる。
【0015】
次に、上記した軽量盛土工法用パネル1を用いた軽量盛土工法及び軽量盛土工法用パネル1の取り付け方法を説明する。
まずは、図5に示すように排水口14を設けた布基礎10を施工し、この布基礎10の内側部分に割栗15を敷設し、更にこの割栗15と床盤16上に不透水シート117布設して盛土する軽量盛土材13側に水が浸透しないように水抜き施工を行う。
布基礎10上には、図4に示すように所定の間隔で支柱9が立設される。
【0016】
この状態で、一番下段側の軽量盛土工法用パネル1を、そのスリット溝3に止め付け用受け金物4を装着し、受け金物4の他端側に取り付けられた固定金物7を支柱9に引っかけ、ナット8を締め付けることにより支柱9に取り付ける。
なお、軽量盛土工法用パネル1を支柱9に取り付ける際、その間にキャンバー11を介装して位置決めを行うと共に、図2に示すように隣接する軽量盛土工法用パネル1との間に防水パッキン12を介装して防水施工を施す。
【0017】
同様の方法により、その上に2段目の軽量盛土工法用パネル1を取り付ける。この際、下段側の軽量盛土工法用パネル1との間に図3に示すように防水パッキン12を介装する。
その後、図4に斜線で示すように一段目の軽量盛土工法用パネル1の高さに相当する位置まで、軽量盛土材13となる気泡モルタルを打設して盛土する。
以下同様に順次軽量盛土工法用パネル1を1段づつ取り付けながら、気泡モルタルを打設して行き、最上段位置までの盛土を行う。
そして、最後にその上に道路面18を施工することによって、軽量盛土工法にて道路を構築することができる。
【0018】
しかして、上記の軽量盛土工法用パネル1及び同軽量盛土工法用パネル1の取り付け方法によると、以下のような効果を期待することができる。
(1)軽量盛土工法用パネル1に止め付け用受け金物4を装着するスリット溝3を押出成形時に同時成形しているため、現場での取り付け穴加工作業を省略することができる。
(2)従って、スリット溝3に止め付け用受け金物4を装着し、同受け金物4の他端側に取り付けられた固定金物7を支柱9に引っかけ、ナット8を締め付けることによって、軽量盛土工法用パネル1を支柱9に取り付けることができ、その作業を簡素化することができる。
【0019】
(3)受け金物4をスリット溝3にスライド可能に装着しているため、支柱9の位置精度にずれがあっても、この寸法ずれを受け金物4をスライドさせることによって吸収し、容易にかつ確実に軽量盛土工法用パネル1を取り付けることができる。
(4)同様にキャンバー11によって軽量盛土工法用パネル1の位置決めを行うようにしているため、支柱9の傾き誤差を吸収して軽量盛土工法用パネル1を精度よく綺麗に取り付けることができる。
【0020】
(5)更に、軽量盛土工法用パネル1の幅方向に沿って設けられたスリット溝3に受け金物4をスライド可能に装着しているため、受け金物4をその幅方向の中間位置に止め付けし、その位置に対応して設けられた支柱9で支えるようにすることにより、軽量盛土工法用パネル1の割付けを図6(A)に示すいも目地の他に、(B)に示すような破れ目地としても施工することができ、目地方式の選択の自由度を増すことができる。
【0021】
【発明の効果】
以上に詳しく説明したように、本発明にかかる軽量盛土工法用パネルによると、軽量盛土工法用パネルにスリット溝を設けて、受け金物を装着できるようにしているため、現場での穴開け加工を不要とすることができると共に、スリット溝に装着した受け金物の他端に取り付けられている固定金物を支柱に引っかけ、ナットにより締め付け固定するようにしているため、軽量盛土工法用パネルを簡単に止め付けすることができる。
【0022】
また、本発明にかかる軽量盛土工法用パネルの取り付け方法によると、受け金物をスライドさせることができるため、支柱の立設精度にかかわらず、誤差を吸収して軽量盛土工法用パネルを簡単に止め付けすることができると共に、受け金物を軽量盛土工法用パネルの幅方向中間に位置させ、軽量盛土工法用パネルを止め付けすることができるため、軽量盛土工法用パネルの割付けをいも目地以外にも破れ目地とすることができ、選択の自由度を増すことができる。
更に、軽量盛土工法用パネルと支柱との間に楔状のキャンバーを介装しているため、支柱の傾き誤差を吸収して軽量盛土工法用パネルを精度よく取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる軽量盛土工法用パネルの取り付け状態を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる軽量盛土工法用パネルの取り付け状態を示す止め付け部の拡大水平断面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる軽量盛土工法用パネルの取り付け状態を示す止め付け部の拡大垂直断面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる軽量盛土工法用パネルの取り付け方法を示す正面図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる軽量盛土工法用パネルを用いた軽量盛土工法完成後における水抜き方法を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる軽量盛土工法用パネルの割付け状態を示す正面図である。
【図7】従来の法面における道路の敷設方法を示す説明図である。
【図8】従来の軽量盛土工法による法面における道路の敷設方法を示す説明図である。
【図9】従来の軽量盛土工法に用いられている軽量盛土工法用パネルの取り付け状態を示す水平断面図(A)と垂直断面図(B)である。
【符号の説明】
1…軽量盛土工法用パネル、3…スリット溝、4…受け金物、7…固定金物、8…ナット、9…支柱、11…キャンバー、13…軽量盛土材
Claims (2)
- 軽量盛土工法の化粧材あるいは保護材として使用される軽量盛土工法用パネルの取り付け方法において、
基礎上に支柱を立設させ、
幅方向に沿ってスリット溝が設けられたパネルの当該スリット溝内に受け金物の頭部をスライド可能に嵌合させることにより、当該受け金物の頭部に立設されたボルト状部材を前記パネルから突出させた状態とし、
前記パネルから突出させたボルト状部材に固定金物を取り付け、前記基礎上に立設させた支柱のフランジに当該固定金物を引っかけた状態で、当該ボルト状部材に嵌合させたナットにより締め付けることにより前記パネルを前記支柱に固定する
ことを特徴とする軽量盛土工法用パネルの取り付け方法。 - 上記軽量盛土工法用パネルと支柱との間に楔状のキャンバーを介装して軽量盛土工法用パネルを位置決めすることを特徴とする請求項1記載の軽量盛土工法用パネルの取り付け方法。
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