JP4111878B2 - 木製防火扉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、住宅や会社等の扉として用いられ、火災発生時に火や熱をトラップするという防火性能を有する木製防火扉に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特定防火設備60としてはスチール製しか認められなかったので、防火扉は一般的にはスチール製である。スチール製の防火扉は頑丈であるが、重く、高熱で反ってしまい、また、輻射熱が大きい(木の5〜8倍)などの欠点を有する。
【0003】
そこで、平成2年に甲種防火扉及び乙種防火扉の試験方法が改正され、一定条件を満たせば木製戸であっても特定防火設備60若しくは特定防火設備20として認可されるようになったことを契機として桐材を用いた木製防火扉が開発されている。
【0004】
そして、桐の集成材を積層した桐積層板を用いたもの(特許文献1参照)、桐集成材と熱硬化性樹脂積層板とを積層したもの(特許文献2参照)、桐材と不燃紙とを組み合わせたもの(特許文献3参照)、桐材とフェノールフォームとを組み合わせたもの(特許文献4参照)、桐集成材に耐火シートを組み合わせたもの(特許文献5参照)、桐材と火山性ガラス繊維板とを組み合わせたもの(特許文献6参照)等が開発されている。また、桐材の反りを防止する構造(特許文献7参照)、災害時の脱出を容易にする構造(特許文献8参照)等が開発されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−208033号公報 (特許請求の範囲、第2図)
【特許文献2】
特開平7−259445号公報 (特許請求の範囲、第2図)
【特許文献3】
特開平7−293127号公報 (特許請求の範囲、第1図)
【特許文献4】
特開平7−324561号公報 (特許請求の範囲、第1図)
【特許文献5】
特開平9−256746号公報 (特許請求の範囲、第2図)
【特許文献6】
特開2000−179245号公報 (特許請求の範囲、第2図)
【特許文献7】
特開2000−310090号公報 (特許請求の範囲、第1図)
【特許文献8】
特開2001−17560号公報 (特許請求の範囲、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の木製防火扉は、例えば、経年変化の中での防火性能低下や製造コスト、或いは、火災発生時の防火性能の点で問題があり、十分に満足できる製品は得られていない。すなわち、ISO基準に基づく平均約900℃の燃焼試験において60分の防火性能を得ることができず、「特定防火設備」の国土交通大臣認定を受けることができない。
【0007】
また、木製防火扉の防火性能を高めるためには、上述したように、フェノールフォームや火山性ガラス繊維板等を用いるため、製造コストが増大してしまい、最終的には、製品コストが高くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、できるだけ簡単な構造で非常に優れた防火性能を発揮できると共にコストを大幅に低減できる木製防火扉を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、木製の芯材と、表面に設けられた化粧合板とを有する木製防火扉において、前記芯材と前記化粧合板との間には、両面に耐火接着剤層を有する少なくとも1枚の紙からなる燃焼遅延部材が設けられていることを特徴とする木製防火扉にある。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、2枚以上の和紙と当該和紙のそれぞれの間及び両面に設けられた前記耐火接着剤層とからなることを特徴とする木製防火扉にある。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記燃焼遅延部材は、その両面に接合される板材の間にプレス接着されていることを特徴とする木製防火扉にある。
【0012】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記燃焼遅延部材は、前記芯材と木材に燃焼遅延剤を含浸した不燃材との間に設けられ、且つ前記不燃材の前記芯材側とは反対側の面上には前記化粧合板が接合されていることを特徴とする木製防火扉にある。
【0013】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記燃焼遅延部材は、前記不燃材と前記化粧合板との間にも設けられていることを特徴とする木製防火扉にある。
【0014】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記耐火接着剤層には、少なくともシロキサンとシラノール塩とからなる無機材料が含有されていることを特徴とする木製防火扉にある。
【0015】
本発明の第7の態様は、第4の態様において、前記燃焼遅延剤には、ポリリン酸アンモニウム及びホウ酸の少なくとも何れか一方を含む防炎薬剤が含有されていることを特徴とする木製防火扉にある。
【0016】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記燃焼遅延剤には、燃焼時に溶融状態となって炭化残渣を固定する無機材料が含有されていることを特徴とする木製防火扉にある。
【0017】
本発明の第9の態様は、第8の態様において、前記無機材料が、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ホウ酸塩及びシリカから選択される少なくとも一種からなることを特徴とする木製防火扉にある。
【0018】
本発明の第10の態様は、第1〜9の何れかの態様において、前記化粧合板に前記燃焼遅延剤が含浸されていることを特徴とする木製防火扉にある。
【0019】
本発明の第11の態様は、第1〜10の何れかの態様において、前記芯材が、桐材を主体とするものであることを特徴とする木製防火扉にある。
【0020】
本発明の第12の態様は、第1〜11の何れかの態様において、前記芯材が、桐集成材の積層板であることを特徴とする木製防火扉にある。
【0021】
本発明の第13の態様は、第12の態様において、前記芯材が、前記桐集成材の3層クロス張りの積層板であることを特徴とする木製防火扉にある。
【0022】
本発明の第14の態様は、第1〜13の何れかの態様において、前記扉の端面近傍には、グラファイト系発泡材がその長手方向に亘って設けられていることを特徴とする木製防火扉にある。
【0023】
本発明に係る木製防火扉によると、芯材と化粧合板との間に、両面に耐火接着剤層を有する少なくとも1枚の紙からなる燃焼遅延部材を設けることにより、火災発生時には、この燃焼遅延部材が火や熱を長期間に亘ってトラップし、非常に優れた防火性能を発揮する。すなわち、本発明の木製防火扉は、芯材と化粧合板との間に燃焼遅延部材を介在させた比較的簡単な構造にも関わらず、ISO基準に基づく平均約900℃の燃焼試験において60分以上の防火性能を得ることができるものである。
【0024】
また、このような燃焼遅延部材は、防火性能及びコストの両面で、複数枚、例えば、2枚以上の紙と、これら各紙の間のそれぞれに設けられた耐火接着剤層とを有する積層構造とするのが好ましい。これにより、耐火接着剤層が複数設けられるので、木製防火扉の防火性能をさらに高めることができる。
【0025】
ここで、耐火接着剤層を形成する耐火接着剤は、少なくともシロキサンとシラノール塩とからなる無機材料を含有しているのが好ましい。具体的には、耐火接着剤は、ホウ酸化合物やフッ化物等の無機酸の存在下で、金属ケイ素(純度99%)と水酸化ナトリウムとを水溶媒中で反応させることで生成したシロキサンとシラノール塩とからなる無機材料を含有しているのが好ましい。そして、このような無機材料は、Si/Naの成分比が2以上であり、アモルファス状でpHが12以下、硬度500cP以下の低粘性を有する材料である。このような耐火接着剤層を形成する耐火接着剤は、例えば、コーミックス社から、水性造膜性無機化合物「リキッドセラミックス(LC)シリカ系」などとして市販されている。
【0026】
このような耐火接着剤は、例えば、シロキサンやシラノール塩とからなる無機材料を含有させることにより、火災発生時に比較的高い温度で加熱されると、無機発泡体となり、優れた断熱性能を有すると共に、優れた防水性能を有する材料となる。そして、本発明では、このような耐火接着剤からなる耐火接着剤層を少なくとも1枚の紙の両面に形成し、これを燃焼遅延部材として芯材と化粧合板との間に介在させることで、火災発生時には、耐火接着剤層が無機発泡体となって火や熱を長期間に亘ってトラップし、芯材に対する影響が大幅に低減され、非常に優れた防火性能を有する木製防火扉を実現できる。
【0027】
例えば、両面及び間に耐火接着剤層を有する2枚の紙からなる燃焼遅延部材を用いた木製防火扉では、燃焼遅延部材の化粧合板側の耐火接着剤層が加熱されて無機発泡体となり、この無機発泡体が火や熱を長時間遮断する。また、この無機発泡体による断熱効果が低減した場合でも、燃焼遅延部材の芯材側の耐火接着剤層が無機発泡体となるので、紙と無機発泡体とで火や熱をさらに遮断でき、これにより芯材が燃焼してしまうのを長期に亘って有効に防止することができる。このように、本発明では、特に、紙を2枚以上積層することで、このような耐火接着剤層を複数設けることができるため、防火性能を高めるのに非常に有効である。
【0028】
また、このような耐火接着剤層は、上述したように、防水効果が期待できるので、この耐火接着剤層が防水シートとしての役割を果たし、芯材からの水分の発散による反りの発生を効果的に防止することができる。したがって、芯材等の反りが有効に防止され、経年変化の中での性能低下の問題はない。
【0029】
なお、燃焼遅延部材に用いられる紙としては、特に限定されず、従来公知のものを使用できるが、その一例を挙げれば、和紙や洋紙等の紙があり、特に、和紙が好ましい。なお、このような紙の厚さは、特に限定されないが、例えば、約0.1〜0.6mmのものがよい。
【0030】
また、本発明では、燃焼遅延部材は、その両面に接合される板材の間にプレス接着されているのが好ましい。例えば、芯材と化粧合板との間に燃焼遅延部材を介在させ、この燃焼遅延部材を挟み込むように芯材及び化粧合板に対して所定の荷重を加えることにより、燃焼遅延部材は、芯材と化粧合板との間で圧縮され、且つ芯材と化粧合板とのそれぞれに耐火接着剤層を介して接着される。すなわち、例えば、燃焼遅延部材が複数枚の紙からなる場合には、一方の板材上に積層して他方の板材を重ねてプレス接着するのが好ましい。このように、プレス接着して燃焼遅延部材をその厚さ方向に圧縮すると、紙に耐火接着剤層を形成する耐火接着剤が含浸されると共に両者が一体化する。この際、2枚の板材間に複数枚の紙を介して耐火接着剤層が均一に安定して形成され、且つ紙が介在しない場合と比較して、紙が緩衝材となるため耐火接着剤の流れ出しが少なく、所望の厚さの耐火接着剤層を形成できる。これにより、木製防火扉の防火性能を飛躍的に向上できる。すなわち、本発明では、紙、特に和紙が耐火接着剤層を板材間に安定して形成するように機能する。したがって、本発明では、特に2枚以上の紙を耐火接着剤層によって積層した燃焼遅延部材とし、且つこの燃焼遅延部材を芯材と化粧合板とのそれぞれにプレス接着すれば、木製防火扉の防火性能をさらに高めることができる。なお、このような燃焼遅延部材は、木製防火扉の防火性能を付与すべき一方側のみに設けてもよい。
【0031】
さらに、本発明では、このような燃焼遅延部材は、防火性能を高める点で、例えば、芯材とダミー材との間に設けるのが好ましい。そして、このダミー材と化粧合板とは耐火接着剤層によって接着するのが好ましい。これにより、耐火接着剤層の層の数が増え、火災発生時には、これら各耐火接着剤層が無機発泡体となり、木製防火扉の防火性能を高めることができる。また、このようなダミー材には燃焼遅延剤を含浸させて不燃材とするのがさらに好ましい。これにより、火災発生時には、この不燃材が火や熱を長期間に亘ってトラップできる。勿論、本発明はこれに限定されず、このようなダミー材及び不燃材の少なくとも何れか一方を芯材と燃焼遅延部材との間に設けるようにしてもよいし、ダミー材及び不燃材を複数枚設けてもよい。何れにしても、このようなダミー材又は不燃材の少なくとも何れか一方を芯材と化粧合板との間に少なくとも1枚設けることにより、木製防火扉の防火性能を高めることができる。
【0032】
また、本発明の木製防火扉では、ダミー材の他、例えば、化粧合板等に燃焼遅延剤を含浸させてもよい。すなわち、ダミー材の代わりに、化粧合板に燃焼遅延剤を含浸してもよいし、ダミー材及び化粧合板のそれぞれに燃焼遅延剤を含浸してもよい。勿論、所望の防火性能を確保するために、必要に応じて、芯材に燃焼遅延剤を含浸又は塗布してもよい。
【0033】
さらに、本発明では、防火性能を高める点で、このようなダミー材又は不燃材と燃焼遅延部材、芯材及び化粧合板とをプレス接着するのが好ましい。例えば、燃焼遅延部材、不燃材、芯材及び化粧合板のそれぞれを同時にプレス接着してもよいが、燃焼遅延部材と不燃材とを予めプレス接着した後、これを芯材と化粧合板との間に挟んで相互に接着してもよいし、芯材と化粧合板との間に挟んだ後、さらにプレス接着してもよい。
【0034】
なお、このような不燃材として用いる木材は、燃焼遅延剤を含浸するものであれば特に限定されず、従来公知の天然木材を使用できるが、その一例を挙げれば、例えば、桐、杉、唐松、及び椋など、あるいは、これらの集成材、若しくは、積層材などが挙げられる。勿論、木材のほか、樹脂等に燃焼遅延剤を含浸させて不燃材としてもよい。なお、このような不燃材の厚さは、特に限定されないが、例えば、約3〜6mmのものがよい。
【0035】
このような木材等に含浸させる燃焼遅延剤としては、リン酸系タイプ、ホウ酸系タイプ、ノンハロゲン系の水溶性タイプ等を使用するのが好ましく、無毒無臭であり、且つ揮発性有機化合物(VOC)等を一切使用していないものが好ましい。
【0036】
特に、本発明では、少なくとも防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を用いるのが好ましい。このような防炎薬剤としては、少なくともポリリン酸アンモニウム及びホウ酸の少なくとも一方を成分として含み、木材に含浸するものであれば特に限定されない。このような燃焼遅延剤に含まれるホウ酸等は、芯材、あるいは不燃材等の燃焼時に、木材の組織体(セルロース、ヘミセルロース、リグニン等)に含まれるOH基と反応することで、燃えにくい炭化層と水とを発生し、可燃性物質の生成を防止する作用(脱水炭化作用)を発揮するものである。このため、燃焼遅延剤にはホウ酸等を多く含有させると効果的である。例えば、ホウ酸化合物を常温で5g/水100gに相当する溶解度以上となるように混合した高濃度ホウ酸化合物を含有した燃焼遅延剤であるのが好ましい。勿論、燃焼遅延剤には、このようなホウ酸化合物の他に、必要に応じて、例えば、リン酸、シラノール塩、及び高分子材料等を含有させてもよい。特に好ましくは、金属イオン封鎖剤や湿潤浸透性の界面活性剤の一種以上とリン酸化合物やシラノール塩等からなる高濃度ホウ酸化合物を含有しているのがよい。
【0037】
ここで、このような防炎薬剤としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムを主成分とし、必要に応じて、さらに他の成分を含有する防炎薬剤が挙げられる。または、ホウ酸を主成分とし、必要に応じてさらに他の成分を含有する防炎薬剤が挙げられる。勿論、これら各防炎薬剤を混合した防炎薬剤を用いてもよい。なお、このようなホウ酸等のホウ酸系の化合物は、防腐防蟻効果も期待できる。
【0038】
また、本発明では、燃焼遅延剤には、上述した防炎薬剤と共に木材等が燃焼して炭化した炭化残渣を固定するための無機材料を含有させることができる。すなわち、無機材料は、高温加熱下で溶融してガラス状態となって燃えにくい炭化残渣を固定化するように作用し、炭化残渣が落下するのを防止し、さらに水を発生する性能があるので、表面温度を低下させるものであり、これにより防火性能がさらに向上する。より詳細には、結晶水を持つ無機塩類が、燃焼時に、その結晶水を放出又は分解して、吸熱効果を発揮する。このような炭化残渣を固定化する無機材料としては、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ホウ酸塩、およびシリカから選択される少なくとも一種が挙げられ、ケイ酸塩としては、例えば、二酸化ケイ素とアルカリとを融解して得られたケイ酸アルカリ塩である水ガラスが挙げられる。但し、通常の水ガラスを使用するとアルカリ成分が強すぎるので、アルカリ性を70〜80%低減したものを用いることが好ましい。また、ホウ酸塩としては、例えば、ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)が挙げられる。なお、このようなホウ酸塩についても、上述したホウ酸と同様に、防腐防蟻効果が期待できる。
【0039】
このように、本発明では、上述した燃焼遅延剤に特定の無機材料を含有させることで、脱水炭化作用と吸熱作用とが複合的に作用し、さらに優れた防火性能を得ることができる。
【0040】
このような燃焼遅延剤の含浸量は、含浸させる木材の種類や寸法に応じて、所望の防火性能が得られるように適宜調整すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、厚さ3〜6mmの木材の場合には、液体状態で50〜150g程度が目安となり、特に、90g程度が好ましい。また、木材には、燃焼遅延剤を塗布するだけでもよいので、その場合には、約200g/m程度の塗布量とするのが好ましい。
【0041】
ここで、木材に燃焼遅延剤を含浸させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、容器に十分な量の燃焼遅延剤を入れた後、約80℃に温度を上げ、その中に木材を所定温度下で一定時間浸漬して含浸させる方法等が挙げられる。なお、燃焼遅延剤の含浸後は、1〜2時間以内の自然乾燥、又は加熱により乾燥することで、一定量の有効成分を含浸させた不燃材が製造される。ここで、本発明でいう木材に燃焼遅延剤を含浸させるとは、燃焼遅延剤を溜めた容器内に木材を漬ける、いわゆるディッピングに限定されず、加圧による含浸であってもよい。
【0042】
なお、上述した燃焼遅延部材の製造方法は、特に限定されなるものではないが、例えば、ロールコータ等を用いて、紙の一方面の全面に耐火接着剤層を約200g/m塗布し、その上から別の紙又は不燃材等を張り合わせることで製造される。なお、この張り合わせの際、紙と不燃材とをプレス接着してもよい。そして、本発明の木製防火扉は、芯材の扉表面側の両面に燃焼遅延部材を接合した後、その燃焼遅延部材の面上に化粧合板をそれぞれ接合することで木製防火扉が製造される。このように、芯材、化粧合板、燃焼遅延部材を相互に接合する際には、一般的に用いられる耐熱性の接着剤を用いてもよいが、防火性能を高める点では、上述した耐火接着剤を用いるのが特に好ましい。これにより、非常に優れた防火性能を有する木製防火扉が実現できる。
【0043】
以上説明した本発明のように燃焼遅延部材を用いた木製防火扉は従来存在せず、これを用いることにより、従来の耐火性板や耐火シートなどを用いるよりも、非常に高い防火性能を有する木製防火扉を低コストで提供できる。
【0044】
ここで、本発明の木製防火扉に用いる芯材は、防火性能や軽量化の点で、桐材を用いるのが好ましいが、防火性能の点で問題がなければ、他の木材を芯材としてもよい。すなわち、芯材に用いる桐材は、それ自体で防火性能を発揮するものであるが、このような桐材の他に、上述した燃焼遅延剤の含浸量、コスト、扉重量、あるいは扉の強度等を考慮して、例えば、杉、唐松、及び椋等の木材を用いることができる。特に、扉の強度を高める点では、杉材及び唐松等を用いるのが好ましく、コスト的には、杉及び唐松等の間伐材を用いるのが好ましい。また、扉重量の軽量化を図る点では桐材を用いるのが好ましい。このように扉の軽量化を図れば、運搬費を低く抑えることができ、取り付け時の作業性を向上できるという効果もある。さらに、このように芯材を桐材とする場合には、桐材として反りが出難いとされている品質の材料を用いるのが好ましい。また、芯材は、天然の桐から切り出した桐材又は桐の集成材の何れを用いてもよく、1枚物でも積層材でもよいが、積層する場合には奇数枚用いるのが好ましい。何れにしても、要求される防火性能や、コスト等を考慮して、芯材を形成する木種を適宜決定すればよい。
【0045】
一般的には、桐の集成材を用いて複数枚積層して用いるのが好ましく、さらに、木目(繊維方向)を略直交するようにクロスさせて3層構造とした積層材が特に好ましい。
【0046】
また、桐材は熱による反りが生じやすいので、面方向の四方、すなわち、扉の四辺を、桐材より堅く、反りにくい木材からなる補強部材(框材)で覆うようにする必要がある。このような補強部材としては、比重0.5以上の天然木集成材であるのが好ましく、人工合板、L.V.L(天然目平行合板集成材)などの框材を挙げることができる。また、補強部材は、防火性能を高める点で、上述した耐火接着剤を介して積層材等に接合するのが好ましい。勿論、桐材であっても、その桐材を用いて桐集成材とすれば、強度は確保できるので、これを補強部材として用いてもよい。また、本発明では、補強部材として天然木集成材を3層クロス張りしたものを用いてもよい。この場合には、各天然木集成材を耐火接着剤により接合することで、防火性能をさらに高めることができる。そして、積層材と補強部材とは、凹凸部を介して相互に嵌合する構造により接合してもよく、このような場合にも、耐火接着剤を介して接合するのが防火性能の点で好ましい。なお、本発明では、このような補強部材を積層材に含めて芯材という。
【0047】
さらに、本発明の木製防火扉の最外表面には、化粧合板が設けられている。化粧合板に用いる材質は、天然の木材で形成されていれば特に限定されず、勿論、天然の木材を用いて形成した集成材、積層材等であってもよい。なお、このような化粧合板には、上述した燃焼遅延剤を含浸させなくてもよいが、勿論、必要に応じて含浸させてもよい。
【0048】
以上説明したように、本発明の木製防火扉は、両面に耐火接着剤層を有する少なくとも1枚の紙からなる燃焼遅延部材を芯材と化粧合板との間に設けた比較的簡単な構造にも関わらず、ISO基準に基づく平均約900℃の燃焼試験において60分以上の防火性能が得られるものである。
【0049】
また、本発明に係る木製防火扉は、耐火シートやケミカル板等を用いなくても、比較的簡単な構造で、優れた防火性能を発揮するため、従来品と比べて、製造コストが大幅に低減でき、製品を低コストで提供することができる。
【0050】
ここで、本発明では、上述したように、芯材と化粧合板との間に燃焼遅延部材を介在させることで、非常に優れた防火性能が得られるため、これ以外に扉に対して防火対策を施さなくてもよいが、必要に応じて、芯材、化粧合板等に燃焼遅延剤を含浸、又は塗布することで、防火性能をさらに高めることができる。
【0051】
例えば、補強部材を取り付けた芯材に燃焼遅延剤を含浸させる場合には、そのまま全体に燃焼遅延剤を含浸させてもよいが、桐材のみに燃焼遅延剤を含浸させた後、補強部材を取り付けてもよい。勿論、このように補強部材を後付する場合、補強部材にも燃焼遅延剤を含浸、塗布することで、防火性能をさらに高めることができる。
【0052】
また、積層材を用いて芯材を構成する場合には、防火性能を高めるため集成材等を耐火接着剤により接着するのが好ましいが、本発明では、燃焼遅延部材を用いることで優れた防火性能が得られるので、集成材等を耐火接着剤により接着しなくてもよい。勿論、要求される防火性能に応じて、耐火接着剤を介して積層材を接合して芯材としてもよい。
【0053】
なお、本発明では、両面に耐火接着剤層を有する少なくとも1枚の紙からなる燃焼遅延部材を芯材と化粧合板との間に設けた以外は、木製防火扉の構造は特に限定されず、要求される防火性能に応じて、従来からの公知の防火構造を採用してもよい。
【0054】
例えば、桐集成材と熱硬化性樹脂積層板とを積層したもの(特許文献2参照)、桐材と不燃紙とを組み合わせたもの(特許文献3参照)、桐材とフェノールフォームとを組み合わせたもの(特許文献4参照)、桐集成材に耐火シートを組み合わせたもの(特許文献5参照)、桐材と火山性ガラス繊維板とを組み合わせたもの(特許文献6参照)等を用いることができるが、桐の集成材を積層した桐積層板のみを用いたもの(特許文献1参照)でもよく、さらに、桐材の反りを防止する構造(特許文献7参照)を適用してもよい。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。
【0056】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る木製防火扉の概略斜視図である。また、図2は、本発明の実施形態1に係る木製防火扉の断面図であって、(a)は縦断面図であり、(b)は横断面図である。さらに、図3は、木製防火扉の要部拡大断面図である。
【0057】
図1及び図2に示すように、本実施形態の木製防火扉10は、複数の桐部材21〜23を積層した桐積層板24と、その四方に設けられた補強部材25とからなる芯材20と、芯材20の表面に接合された化粧合板30とを具備する。
【0058】
桐積層板24は、木目方向(繊維方向)が長手方向に一致した桐部材21、22との間に、桐部材21、22の木目方向と直交する方向である桐部材23を挟持して積層した3層クロス張り構造である。なお、この桐積層板24を構成する桐部材21〜23は、それぞれ所定の大きさに形成されたものであってもよいし、短い寸法のものを複数枚継ぎ合わせたものであってもよい。このように桐部材21〜23の木目方向が略直交するようにクロス張りすることによって形成された桐積層板24は効果的に反りの発生を防止することができる。
【0059】
また、桐積層板24の上下左右の端面には、桐材より堅い木材、本実施形態では合成合板からなる補強部材25が設けられている。このような補強部材25は、例えば、本実施形態では、桐集成材を用いた。このように、桐積層板24の四方を補強部材25で囲って芯材20としたので、反りをより確実に防止することができる。なお、補強部材25の厚さ(扉の面方向の寸法)は、木製防火扉の防火性能によって異なるが、60分防火試験を満足するためには、150mm厚程度のものが必要となる。
【0060】
さらに、本実施形態の木製防火扉10においては、補強部材25の扉端面側の表面には、発泡材40が長手方向に亘って埋め込まれるように設けられており、発泡材40を覆うように補強部材25の扉端面側表面には大手材又は横手材となる化粧材50が設けられている。
【0061】
ここで、発泡材40としては、例えば、230℃程度で厚さ方向に10倍程度に膨張するグラファイト系発泡材を用いればよく、これにより間口との隙間を完全に塞ぐことができ、煙の流れを防止すると共に延焼を防止することができる。この発泡材40は本実施形態では、防火扉の四方に設けたが、少なくとも三方の端面に設ければよい。また、化粧材50は、場所によっては必要に応じて省略できるものである。
【0062】
また、化粧合板30は、芯材20の表面に接合されており、本実施形態では、厚さ4mmの化粧合板を用いた。
【0063】
このような芯材20と化粧合板30との間には、本発明では、両面に耐火接着剤からなる耐火接着剤層を有する少なくとも1枚の紙からなる燃焼遅延部材が設けられている。例えば、本実施形態では、図3に示すように、燃焼遅延部材100は、3枚の和紙101を耐火接着剤からなる耐火接着剤層102によってそれぞれ接着したものとした。そして、この燃焼遅延部材100は、芯材20及び化粧合板30のそれぞれと耐火接着剤層102によって接合されている。
【0064】
ここで、図4を参照して、燃焼遅延部材100を説明する。なお、図4は、本発明の実施形態1に係る燃焼遅延部材及びその製造方法を説明する要部拡大断面図である。燃焼遅延部材100は、以下のようにして製造される。具体的には、まず、図4(a)に示すような厚さ0.1〜0.6mmの和紙101を3枚用意する。その後、図4(b)に示すように、芯材20の一方面上に、例えば、ロールコータ等を用いて、耐火接着剤を約200g/m塗布して耐火接着剤層102を形成する。その後、この耐火接着剤層102の上から和紙101を張り合わせ、同様の作業を2回繰り返すことにより、図4(c)に示すように、3枚の和紙101を耐火接着剤層102によって接着する。次に、図4(d)に示すように、この和紙101の上に耐火接着剤層102を形成した後、化粧合板30を貼ることにより、芯材20と化粧合板30との間に燃焼遅延部材100が形成される。
【0065】
そして、このような燃焼遅延部材100は、本実施形態では、図5に示すように、芯材20と化粧合板30とのそれぞれに耐火接着剤層102を介して当接させた後、所定の荷重でプレス接着するようにした。このとき、各和紙101に耐火接着剤層102の有効成分が含浸され且つ両者が一体化する。これにより、木製防火扉の防火性能を飛躍的に高めることができる。勿論、本実施形態のように、複数枚の和紙101を用いて燃焼遅延部材100を形成する際には、例えば、化粧合板30上に和紙101を耐火接着剤層102を介して積層して、その上に芯材20をプレス接着するようにしてもよい。
【0066】
ここで、耐火接着剤層102を形成する耐火接着剤としては、少なくともシロキサンとシラノール塩とからなる無機材料を含有しているのが好ましい。例えば、本実施形態では、耐火接着剤は、ホウ酸化合物やフッ化物等の無機酸の存在下で、金属ケイ素(純度99%)と水酸化ナトリウムとを水溶媒中で反応させることで生成したシロキサンとシラノール塩とからなる無機材料を含有させた。また、このような無機材料は、Si/Naの成分比が2以上であり、アモルファス状でpHが12以下、硬度500cP以下の低粘性を有する材料である。例えば、本実施形態では、このような耐火接着剤として、水性造膜性無機化合物「リキッドセラミックス(LC)シリカ系」(商品名:コーミックス(株)製)を用いた。
【0067】
そして、本実施形態では、耐火接着剤層102がシロキサンやシラノール塩とからなる無機材料を含有しているので、火災発生時に比較的高い温度で加熱されると、無機発泡体となり、優れた断熱性能及び防水性能を発揮する。このため、本実施形態の木製防火扉10は、火災発生時には、燃焼遅延部材100の化粧合板30側から無機発泡体となり、これが火や熱を長時間に亘って遮断する。そして、この無機発泡体による断熱効果が低減しても、和紙と和紙とに挟まれた各耐火接着剤層102も同様に無機発泡体となるので、火や熱をさらにトラップし、芯材20が燃焼してしまうのを有効に遮断できる。
【0068】
また、このような耐火接着剤層102は、防水効果があり、防水シートとしての役割を果たすため、芯材20からの水分の発散による反りの発生を効果的に防止することができる。したがって、本実施形態の木製防火扉10は、火や熱を長時間遮断すると共に反りの発生を防止できるので、非常に優れた防火性能を得ることができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の木製防火扉10は、芯材20と化粧合板30との間に、両面及び3枚の和紙101のそれぞれの間に耐火接着剤層102を有する燃焼遅延部材100を設けるようにしたので、火災発生時には、比較的簡単な構造にも関わらず、非常に優れた防火性能を得ることができる。
【0070】
また、木製防火扉10は、燃焼遅延部材100の耐火接着剤層102の防水効果により、芯材20等の反りが有効に防止され、経年変化の中での性能低下やコスト等の問題もない。
なお、燃焼遅延部材100は、防火性能を付与すべき一方側のみに設けてもよい。
【0071】
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2に係る木製防火扉の要部拡大断面図である。なお、本実施形態では、上述した図1〜図4で説明した同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0072】
図6に示すように、本実施形態の木製防火扉10Aは、燃焼遅延部材100をダミー材に燃焼遅延剤を含浸した不燃材103と芯材20との間に設けた以外は上述した実施形態1と同様である。
【0073】
具体的には、本実施形態の木製防火扉10Aは、3枚の和紙101のそれぞれと不燃材103とを耐火接着剤層102によって接着し、これを芯材20と化粧合板30とのそれぞれに耐火接着剤層102によって更に接着した構造を有している。そして、本実施形態では、不燃材103と化粧合板30との間に、両面に耐火接着剤102を有する1枚の和紙101からなる燃焼遅延部材100Aが設けられている。
【0074】
ここで、ダミー材に含浸した燃焼遅延剤は、少なくともポリリン酸アンモニウム及びホウ酸の少なくとも一方を成分として含む防炎薬剤を含有している。例えば、本実施形態では、ホウ酸を含む防炎薬剤を用いた。このようなホウ酸を含有する防炎薬剤は、ダミー材に含浸させると、火災発生時には、木材の組織に対する酸素供給を実質的に止める作用がある。すなわち、ホウ酸は、不燃材103の燃焼時に、木材の組織体に含まれるOH基と反応することで、燃えにくい炭化層と水とを発生し、可燃性物質の生成を防止する作用(脱水炭化作用)を発揮するものである。
【0075】
また、本実施形態では、ダミー材に、このような防炎薬剤と共に燃焼時に溶融状態となって炭化残渣を固定する無機材料を含有する燃焼遅延剤を含浸するのが好ましい。このような無機材料は、火災発生時等に溶融して、例えば、ガラス状態となり、不燃材103が炭化して生成した炭化残渣を相互に固定するように作用する。このため、無機材料を防炎薬剤と共に木材に含浸させれば、無機材料により炭化残渣が相互に固定され、炭化残渣が崩れ落ちるのを防止できる。このような無機材料としては、例えば、水ガラスのアルカリ性を70%〜80%低減させたもの等が挙げられる。なお、このような無機材料は、必要な防火性能に応じて適宜加えればよく、勿論、添加しなくてもよいことはいうまでもない。
【0076】
また、本実施形態では、ダミー材に燃焼遅延剤を含浸したが、これに限定されず、例えば、ダミー材の代わりに化粧合板に燃焼遅延剤を含浸してもよく、勿論、両方に含浸させてもよい。
【0077】
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3に係る木製防火扉の要部拡大断面図である。なお、本実施形態では、上述した図1〜図4で説明した同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0078】
図7に示すように、本実施形態の各木製防火扉10Bは、燃焼遅延部材100をダミー材に燃焼遅延剤を含浸した不燃材103と化粧合板30との間に設けた。そして、燃焼遅延部材100Aを芯材20と不燃材103との間に設けた以外は上述した実施形態2と同様である。
【0079】
このような構成の木製防火扉10Bとしても、燃焼遅延部材100、100A、及び不燃材103のそれぞれが火や熱を長時間に亘ってトラップするので、上述した実施形態1と同様に、非常に優れた防火性能を発揮する。
【0080】
(実施形態4)
図8は、本発明の実施形態4に係る木製防火扉の要部拡大断面図である。なお、本実施形態では、上述した図1〜図4で説明した同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0081】
図8(a)に示すように、天然木集成材60を3層クロス張りした補強部材25Cと各桐部材21〜23を3層クロス張りした桐積層材24Cとからなる芯材20Cを用いた木製防火扉10Cとした以外は上述した実施形態1と同様である。また、桐積層板24Cと補強部材25Cとは、両者の接合部分に設けられた凹凸部70を介して相互に嵌合している。これにより、十分な接合強度が得られ、扉強度を高めることができる。
【0082】
さらに、図8(b)に示すように、各天然木集成材60を耐火接着剤層102によって接着した構造の補強部材25Dを用いた木製防火扉10Dとしてもよい。また、この木製防火扉10Dでは、さらに、補強部材25Dと桐積層材24Dとを耐火接着剤層102によって接着し、芯材20Dを構成する各桐部材21〜23を相互に耐火接着剤層102によって接着している。これにより、非常に優れた防火性能を得ることができる。
【0083】
勿論、本実施形態の木製防火扉10C,10Dの扉構造に、上述した実施形態1及び2の構造を採用してもよいことは言うまでもない。
【0084】
ここで、本発明に係る木製防火扉の防火性能に関して、以下の実施例を例に挙げて、さらに詳細に説明する。
【0085】
(実施例1)
まず、桐集成材を3層クロス張りした桐積層材の上下左右の端面に、合成合板からなる補強部材を接合し、厚さ35mm、900mm×2200mmの芯材とした。
【0086】
次に、厚さ0.13mmの和紙を3枚用意し、芯材の一方面上にシロキサンとシラノール塩とからなる無機材料を含有する耐火接着剤を約200g/m塗布して耐火接着剤層を形成し、その上から和紙を貼った後、同様の作業を二回繰り返すことにより、3枚の和紙のそれぞれを耐火接着剤層によって接着した。次に、この上に厚さ5.0〜5.5mmの杉材にホウ酸を含む燃焼遅延剤の有効成分を5g/水100gを含浸させた不燃材を耐火接着剤を介して接着した。そして、同様に、芯材の反対側にも、3枚の和紙を耐火接着剤層によって接着し、この上から不燃材を耐火接着剤層によって接着した後、全体をプレス接着した。なお、耐火接着剤としては、水性造膜性無機化合物「リキッドセラミック(LC)シリカ系」(商品名;コーミックス(株)製)を用いた。
【0087】
次いで、両面側の各不燃材上に耐火接着剤層をそれぞれ形成した後、この耐火接着剤層上に1枚の和紙をそれぞれ貼り、この和紙の上にさらに耐火接着剤層をそれぞれ形成した。その後、この上に、厚さ2.7mm、900mm×2200mmの化粧合板を接合した後、これら芯材、化粧合板、不燃材、及び燃焼遅延部材を相互にプレス接着し、これを実施例1の木製防火扉とした。
【0088】
(試験例)
実施例1の木製防火扉の一方面側から平均約900℃の炎で炙って、60分の燃焼試験を行い、木製防火扉の防火性能を評価した。なお、燃焼試験は、ISO基準に基づく「特定防火設備」の国土交通大臣認定試験である。
【0089】
その結果、実施例1の木製防火扉は、扉の一方面側から約900℃の炎で60分間炙っても、燃焼深度は約15mm、すなわち、芯材は3/4以上残っており、非常に優れた防火性能が得られることが分かった。また、扉の炎で炙った面側からその反対面に伝わる輻射熱の温度は、約40℃程度であった。これは、燃焼遅延剤が不燃材の炭化残渣を固定するように作用すると共に、耐火接着剤層が無機発泡体となり、火や熱を長時間遮断できたためと考えられる。
【0090】
このことから、芯材と化粧合板との間に燃焼遅延部材を介在させることで、非常に優れた防火性能が得られることが分かった。そして、実施例1の木製防火扉は、ISO基準に基づく平均約900℃の燃焼試験において60分の防火性能が得られ、実際に、「特定防火設備」の国土交通大臣認定取得のテストに合格することができた。
【0091】
また、実施例1の木製防火扉は、900℃/60分の燃焼試験において、芯材はそのまま残っていたことから、60分以上の防火性能が得られているのは明らかである。
【0092】
なお、不燃材と化粧合板との間の燃焼遅延部材を除いても、または不燃材を設けずに化粧合板を燃焼遅延部材上に直接プレス接着したとしても、同様に、900℃/60分の防火性能が得られることは明らかである。また、燃焼遅延部材を防火性能を付与すべき一方側のみに設けて木製防火扉としても、同様に、900℃/60分の防火性能が得られることは言うまでもない。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、両面に耐火接着剤層を有する少なくとも1枚の紙からなる燃焼遅延部材を芯材と化粧合板との間に設けた比較的簡単な構造にも関わらず、非常に優れた防火性能を発揮できると共にコストを大幅に低減できる木製防火扉を低コストで提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る木製防火扉の概略斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る木製防火扉の断面図であって、(a)は縦断面図であり、(b)は横断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る木製防火扉の要部拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る燃焼遅延部材及びその製造方法を説明する要部拡大断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る木製防火扉の一製造工程を示す要部拡大断面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る木製防火扉の要部拡大断面図である。
【図7】本発明の実施形態3に係る木製防火扉の要部拡大断面図である。
【図8】本発明の実施形態4に係る木製防火扉の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 木製防火扉
20 芯材
21、22、23 桐部材
24 桐積層板
25 補強部材
30 化粧合板
40 発泡材
50 化粧材
60 天然木集成材
100 燃焼遅延部材
101 和紙
102 耐火接着剤
103 不燃材

Claims (15)

  1. 木製の芯材と、
    表面に設けられた化粧合板と、
    前記芯材と前記化粧合板との間に配置され燃焼時に無機発泡体となる無機材料を含有する耐火接着剤層を両面に有する少なくとも1枚の和紙からなる燃焼遅延部材と、
    を有することを特徴とする木製防火扉。
  2. 請求項1において、前記燃焼遅延部材は、2枚以上の和紙と当該和紙のそれぞれの間及び両面に設けられた前記耐火接着剤層とからなることを特徴とする木製防火扉。
  3. 請求項1又は2において、前記燃焼遅延部材は、その両面に接合される板材の間にプレス接着されていることを特徴とする木製防火扉。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記燃焼遅延部材は、前記芯材と木材に燃焼遅延剤を含浸した不燃材との間に設けられ、且つ前記不燃材の前記芯材側とは反対側の面上には前記化粧合板が接合されていることを特徴とする木製防火扉。
  5. 請求項4において、前記燃焼遅延部材は、前記不燃材と前記化粧合板との間にも設けられていることを特徴とする木製防火扉。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、前記燃焼時に無機発泡体となる無機材料は、シロキサン又はシラノール塩であることを特徴とする木製防火扉。
  7. 請求項4において、前記燃焼遅延剤は、ポリリン酸アンモニウム及びホウ酸の少なくとも何れか一方を含む防炎薬剤が含有されていることを特徴とする木製防火扉。
  8. 請求項7において、前記燃焼遅延剤には、燃焼時に溶融状態となって炭化残渣を固定する無機材料が含有されていることを特徴とする木製防火扉。
  9. 請求項8において、前記無機材料が、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ホウ酸塩及びシリカから選択される少なくとも一種からなることを特徴とする木製防火扉。
  10. 請求項1〜9の何れかにおいて、前記化粧合板に前記燃焼遅延剤が含浸されていることを特徴とする木製防火扉。
  11. 請求項1〜10の何れかにおいて、前記芯材が、桐材を主体とするものであることを特徴とする木製防火扉。
  12. 請求項1〜11の何れかにおいて、前記芯材が、桐集成材の積層板であることを特徴とする木製防火扉。
  13. 請求項12において、前記芯材が、前記桐集成材の3層クロス張りの積層板であることを特徴とする木製防火扉。
  14. 請求項13において、前記積層板は、前記桐集成材が前記燃焼遅延部材によって接着されたものであることを特徴とする木製防火扉。
  15. 請求項1〜14の何れかにおいて、前記扉の端面近傍には、グラファイト系発泡材がその長手方向に亘って設けられていることを特徴とする木製防火扉。
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