JP4107715B2 - イミダゾリウム系溶融塩型電解質の調製方法 - Google Patents

イミダゾリウム系溶融塩型電解質の調製方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は室温で高いイオン伝導性を示し、且つ温度安定性と力学的特性が優れた、イミダゾリウム系室温溶融塩型電解質の調製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イミダゾリウム化合物を用いて室温溶融塩を合成する方法としては、1,3−ジアルキルイミダゾリウムハライドに、酸アニオンを含む銀塩を反応させるアニオン交換法が知られている。
この方法によれば、副生成物であるハロゲン化銀が溶媒に難溶性であるため、精製し易いという利点があるが、使用しうる銀塩の種類に制約があって所期の室温溶融塩を調製し難いものであり、また出発物質である1,3−ジアルキルイミダゾリウムハライドを合成し、精製する過程が煩雑であるため、実用化されるに至っていない。
【0003】
特開昭60−133669号、同60−133670号及び同60−136180号公報には、1,3−ジアルキルイミダゾリウムハライド及び1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムハライドとアルミニウムハロゲン化物を使用した電解質が開示されている。
しかしながら、これらの化合物を用いた電解質は、室温で高いイオン伝導性を示すものの、アルミニウムハロゲン化物が、僅かな水分の混入によって分解したり、また溶融塩の相状態が温度変化に対して不安定であるという難点があった。
本発明者等は、これらを改善する手段として既に1,3−ジアルキルイミダゾリウムハライド、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムハライドなどのイミダゾール誘導体に、酸モノマーなどを反応させた溶融塩ポリマーを有効成分と溶融塩型高分子電解質を提案している。(特開平10−83821号公報)
【0004】
近年、溶媒を含まないイオン性液体である室温溶融塩が、リチウム二次電池用の電解液として期待されている。イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩のようなオニウム塩のなかには、室温で溶融塩を形成するものがあり、特に有機酸アニオンを対イオンとするイミダゾリウム塩は、室温における粘度が低いため、その研究例が増えている。
しかしながら、これらのイミダゾリウム塩の合成はかなり煩雑であり、アニオン交換法を応用しうる有機塩に制限があるため、アニオン種の効果に関する検討は未だ充分に為されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
イミダゾリウム塩を有効成分として使用する電解質において、イミダゾリウム塩に種々のアニオンを導入した化合物を簡便に合成して、多様な物性を備えた室温で高いイオン伝導性を示し、且つ温度安定性に優れた電解質の調製方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
電解質として、1位または3位のいずれか一方だけにアルキル基を有するN−アルキルイミダゾール化合物に酸を中和反応させてN−アルキルイミダゾリウム塩とする、あるいは前記N−アルキルイミダゾール化合物と酸モノマーを反応し、その反応生成物を重合させてN−アルキルイミダゾリウム塩とすることによって、所期の目的を達成しうることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の電解質として使用されるイミダゾリウム系の室温溶融塩は、不純物の含有量が極めて少ないことを特徴とするものである。すなわち、従来知られているイミダゾリウム系の室温溶融塩は、無機塩などの混入によって諸物性、特にイオン伝導性の低下を引き起こすため、煩雑な精製を余儀なくされていた。単純な塩を混合する場合は、精製する無機塩の分離精度があまり向上せず、また難溶性の銀塩を生成させることによって、その効率を高められるものの、銀塩の生成が限られているため所期の精製を為し得ないものであった。本発明によれば、電解質として1位または3位のいずれか一方だけにアルキル基を有するN−アルキルイミダゾール化合物に酸を中和反応させてN−アルキルイミダゾリウム塩とする、あるいは前記N−アルキルイミダゾール化合物と酸モノマーを反応し、その反応生成物を重合させてN−アルキルイミダゾリウム塩とすることによって、これらの問題点を一挙に解決し、純度の高い室温溶融塩を容易に調製することを可能にし、且つ種々のアニオンを導入した多様な特性を備えた溶融塩を容易に得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明におけるN−アルキルイミダゾリウム塩は、1位あるいは3位のいずれか一方だけにアルキル基を有するイミダゾール化合物、例えば1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール等の1位あるいは3位のいずれか一方だけに低級アルキル基を有するイミダゾール化合物と、臭化水素酸、塩酸、硝酸、弗化ホウ素酸、亜硫酸水、硫酸、メタンスルホン酸などの無機酸あるいは酢酸などの有機酸を中和反応させて得られる化合物である。
N−アルキルイミダゾール化合物と酸を反応させるには、0〜20℃の水溶液中において両者を攪拌混合し、反応溶液から余分の水を溜去し、ジエチルエーテルなどの有機溶媒を用いて抽出すれば良い。なお、酸として酢酸などの有機酸を用いる場合は、精製の過程で溜去し、減圧乾燥すべきである。
【0009】
本発明に係る室温溶融塩は、N−アルキルイミダゾリウム塩に酸モノマーを反応し、これを重合させてN−アルキルイミダゾリウム塩のポリマーとすることも可能である。N−アルキルイミダゾリウム塩に反応させる酸モノマーの代表的なものは、アクリル酸、メタアクリル酸、ビニルスルホン酸などが挙げられる。
【0010】
【実施例】
以下、実施例によってこの発明を具体的に説明する。
なお、これらの試験におけるN−アルキルイミダゾール化合物と酸の中和反応の進行は、H−NMR測定及びDSC測定によって行い、反応前後におけるイミダゾールの2位に存在するプロトンの化学シフトを比較して確認したものであり、またイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、2端子交流インピーダンス法によって行ったものである。
【0011】
[実施例1]N−エチルイミダゾール10gに47%臭化水素酸水溶液12mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、減圧乾燥して余分な水を除去し、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、析出した結晶を回収し60℃の温度で48時間乾燥して、N−エチルイミダゾリウムブロミド(EtImBrと記す)17.7g(収率93%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表1に示したとおりであり、反応前後におけるイミダゾールの2位に存在するプロトンの化学シフトが、反応後低磁場にシフトしていることから反応の進行が確認された。本品は融点59.9℃を示し、無機塩などの不純物は皆無であって、そのイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図1に示したとおりであった。
【0012】
[実施例2]N−エチルイミダゾール10gに36%塩酸水溶液10mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、減圧乾燥して余分な水を除去し、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、析出した結晶を回収し60℃の温度で48時間乾燥して、N−エチルイミダゾリウムクロライド(EtImClと記す)13.5g(収率95%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表1に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認された。本品の融点57.5℃を示し、無機塩などの不純物は皆無であって、そのイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図1に示したとおりであった。
【0013】
[実施例3]N−エチルイミダゾール10gに61%硝酸水溶液8mlを加えこれを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、減圧乾燥して余分な水を除去し、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、析出した結晶を回収し60℃の温度で48時間乾燥して、N−エチルイミダゾリウム硝酸塩(EtImNO3と記す)15.6g(収率92%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表1に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、その融点は31.3℃で、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図1に示したとおりであった。
【0014】
[実施例4]N−エチルイミダゾール10gに42%弗化ホウ素酸水溶液18mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、減圧乾燥して余分な水を除去し、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、析出した結晶を回収し60℃の温度で48時間乾燥して、N−エチルイミダゾリウム弗化ホウ素酸塩(EtImBF4と記す)18.4g(収率95%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表1に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、そのガラス転移温度は−86.4℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図1に示したとおりであった。
【0015】
[実施例5]N−エチルイミダゾール10gにメタンスルホン酸7mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、析出した結晶を回収し60℃の温度で48時間乾燥して、N−エチルイミダゾリウムメタンスルホン酸塩(EtImCH3SO3と記す)19.5g(収率96%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表1に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、その融点は55.3℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図1に示したとおりであった。
【0016】
[実施例6]N−エチルイミダゾール10gに5%亜硫酸水198mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、析出した結晶を回収し60℃の温度で48時間乾燥して、N−エチルイミダゾリウム亜硫酸塩(EtImHSO3と記す)18.6g(収率91%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表1に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、そのガラス転移温度は−51.7℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図1に示したとおりであった。
【0017】
[実施例7]N−エチルイミダゾール10gに99.7%酢酸6mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、ジエチルエーテルを室温で溜去したのち、真空乾燥を行って析出した結晶を回収し、N−エチルイミダゾリウム酢酸塩(EtImCH3COOと記す)15.9g(収率98%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表1に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、そのガラス転移温度は−51.7℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図1に示したとおりであった。
【0018】
【表1】
Figure 0004107715
【0019】
[実施例8]N−メチルイミダゾール10gに47%臭化水素酸14mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、ジエチルエーテルを室温で溜去したのち、真空乾燥を行って析出した結晶を回収し、N−メチルイミダゾリウムブロミド(MeImBrと記す)17.1g(収率97%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は、表2に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、その融点は71.7℃であって、本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図2に示したとおりであった。
【0020】
[実施例9]N−メチルイミダゾール10gに36%塩酸10mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、ジエチルエーテルを室温で溜去したのち、真空乾燥を行って析出した結晶を回収し、N−メチルイミダゾリウムクロライド(MeImClと記す)13.7g(収率95%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表2に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、その融点は40.5℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図2に示したとおりであった。
【0021】
[実施例10]N−メチルイミダゾール10gに61%硝酸水溶液10mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、ジエチルエーテルを室温で溜去したのち、真空乾燥を行って析出した結晶を回収し、N−メチルイミダゾリウム硝酸塩(MeImNO3と記す)16.6g(収率94%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表2に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、その融点は69.7℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図2に示したとおりであった。
【0022】
[実施例11]N−メチルイミダゾール10gに42%弗化ホウ素酸水溶液20mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、ジエチルエーテルを室温で溜去したのち、真空乾燥を行って析出した結晶を回収し、N−メチルイミダゾリウム弗化ホウ素酸塩(MeImBF4と記す)20.0g(収率97%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表2に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、その融点は36.9℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図2に示したとおりであった。
【0023】
[実施例12]N−メチルイミダゾール10gにメタンスルホン酸8mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、ジエチルエーテルを室温で溜去したのち、真空乾燥を行って析出した結晶を回収し、N−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸塩(MeImCH3SO3と記す)20.1g(収率93%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表2に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、その融点は129.5℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図2に示したとおりであった。
【0024】
[実施例13]N−メチルイミダゾール10gに5%亜硫酸水溶液197mlを加え、これを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、ジエチルエーテルを室温で溜去したのち、真空乾燥を行って析出した結晶を回収し、N−メチルイミダゾリウム亜硫酸酸塩(MeImHSO3と記す)18.2g(収率91%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表2に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無で、その融点は40.1℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図2に示したとおりであった。
【0025】
[実施例14]N−メチルイミダゾール10gに99.7%酢酸6mlを加えこれを温度0℃に維持しながら12時間攪拌したのち、この反応生成物を攪拌している1000mlのジエチルエーテル中に滴下し、ジエチルエーテルを室温で溜去したのち、真空乾燥を行って析出した結晶を回収し、N−メチルイミダゾリウム酢酸塩(EtImCH3COOと記す)16.9g(収率98%)を得た。
本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結果は表2に示したとおりであり、前記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無で、その融点は45.3℃、また本品のイオン伝導度の温度依存性(10〜60℃)は、図2に示したとおりであった。
【0026】
【表2】
Figure 0004107715
【0027】
[実施例15]N−エチルイミダゾール10gとビニルスルホン酸(25%水溶液)52gを混合し、0℃の温度に維持しながら3時間攪拌したのち、溶媒を濃縮しエーテルを滴下して、N−エチルイミダゾリウムビニルスルホン酸(EtImVySO3と記す)21.5g(収率97%)を合成した。
本品の融点は−10℃であり、H−NMR測定及びDSC測定を行ったところ、EtImVySO3の化学シフトは8.986ppmであって(N−エチルイミダゾールは、7.565ppm)、反応の進行が確認され、無機塩などの不純物は皆無であった。
【0028】
[実施例16]実施例15において得られたN−エチルイミダゾリウムビニルスルホン酸1.0gをメタノール中に溶解させ、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを、ビニル基に対して1%の割合で加え、65℃の温度で3時間ラジカル重合させて、下式で示される溶融塩ポリマーを得た。
【0029】
【化1】
Figure 0004107715
【0030】
前記N−エチルイミダゾリウムビニルスルホン酸の溶融塩ポリマーは、無色のガラス状固体であり、その反応の進行はIRスペクトルにおける910及び990cm−1などのビニル基に基づくピークの消失によって確認した。
本品のガラス転移温度は−40℃であり、また30℃におけるイオン伝導度は2.5×10−5であって、優れたイオン伝導体になりうるものと認められた。
【0031】
[実施例17]N−メチルイミダゾール10gとビニルスルホン酸(25%水溶液)57gを混合し、0℃の温度に維持しながら3時間攪拌し、濃縮したのちエーテルを滴下して、N−メチルイミダゾリウムビニルスルホン酸(MeImVySO3と記す)22.3g(収率92%)を合成した。
本品をH−NMR測定及びDSC測定を行ったところ、MeImVySO3の化学シフトは5.860ppmであり(N−メチルイミダゾールは7.518ppm)、反応の進行が確認された。
【0032】
[実施例18]実施例17において得られたN−メチルイミダゾリウムビニルスルホン酸1.0gをメタノール中に溶解させ、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを、ビニル基に対して1%の割合で加え、65℃の温度で3時間ラジカル重合させて、N−メチルイミダゾリウムビニルスルホン酸の溶融塩ポリマーを得た。
前記1−メチルイミダゾリウムビニルスルホン酸の溶融塩ポリマーは、無色のガラス状固体であり、その反応の進行は粘性変化とIRスペクトルによる1640cm−1のピークの消失及びNMRによって確認した。
本品のガラス転移温度は7℃であり、また30℃におけるイオン伝導度は3.0×10−5であって、良好なイオン伝導体であると認められた。
【0033】
【発明の効果】
この発明によれば、不純物を含まないイミダゾール系室温溶融塩を提供しうるものであり、またイミダゾリウム塩の合成と同時に種々の対アニオンを導入しうるので、量産に適しており且つ多岐に亘る物性を備えたイミダゾリウム塩を得ることができる。本発明に係る溶融塩は室温で高いイオン伝導性を示し、且つ温度安定性並びに力学的特性が優れているので、固体電解質材料として有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】N−エチルイミダゾリウム塩のイオン伝導度の温度依存性を示す相関図。
【図2】N−メチルイミダゾリウム塩のイオン伝導度の温度依存性を示す相関図。

Claims (2)

  1. 1位または3位のいずれか一方だけにアルキル基を有するN−アルキルイダゾール化合物と酸を中和反応させることを特徴とするN−アルキルイミダゾリウム塩を有効成分とするイミダゾリウム系溶融塩型電解質の調製方法
  2. 1位または3位のいずれか一方だけにアルキル基を有するN−アルキルイミダゾール化合物と酸モノマーを反応し、その反応生成物を重合させることを特徴とするN−アルキルイミダゾリウム塩を有効成分とするイミダゾリウム系溶融塩型電解質の調製方法
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