JP4106234B2 - 四輪駆動・前輪増速駆動切換機構 - Google Patents

四輪駆動・前輪増速駆動切換機構 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタ等の走行車両において、四輪駆動と前輪増速駆動を切り換えるクラッチの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラクタ等の走行車両において、ステアリングハンドルの操作量や、前輪の切れ角の変化等により、車体の旋回操作を検出し、車体の旋回時には後輪の周速度よりも前輪の周速度を増速するよう駆動を切り換えることにより車体の旋回速度を速くしながら圃場面を荒らさないようにする前輪増速機構を備えたものが知られている。これらの四輪駆動状態と前輪増速駆動状態の切換機構では、例えば、特開2001−328365号公報に掲載の技術のように、四輪駆動用及び前輪増速駆動用の油圧式クラッチをそれぞれ備え、個々のクラッチを断接操作することにより四輪駆動状態と前輪増速駆動状態とを切り換えるよう構成されている。そして、油圧式クラッチはエンジンにより駆動されるポンプから送られる作動油により断接操作される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の四輪駆動状態と前輪増速駆動状態の切換機構では、エンジンが停止すると油圧ポンプも停止されて作動油の圧力が低下するため、クラッチの切換操作が不能となり、前輪の駆動経路が絶たれるため、前輪が制動されなくなる。そこで、本発明では、確実に四輪駆動と前輪増速駆動が切換可能であり、且つ、エンジンが停止した状態であっても、前輪への制動力の低下することのない切換機構を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
前輪(1)への駆動出力軸である前輪駆動出力軸(30)への動力伝達状態を、前輪(1)を後輪(2)の周速と略同速に駆動する四輪駆動状態と、該前輪(1)を後輪(2)の周速よりも増速して駆動する前輪増速駆動状態に切換可能とした走行車両において、該前輪駆動出力軸(30)上に四輪駆動・前輪増速駆動切換機構(79)を設け、該四輪駆動・前輪増速駆動切換機構(79)は、該前輪駆動出力軸(30)と一体的に回動するシリンダ(80)と、該シリンダ(80)内で摺動する四駆クラッチピストン(81)と増速クラッチピストン(82)と、両クラッチピストン(81・82)を付勢する弾性体(83・84)で構成し、該四駆クラッチピストン(81)と標準駆動入力歯車(50)との間に爪式クラッチを設け、増速クラッチピストン(82)と増速駆動入力歯車(60)との間に摩擦式クラッチを設け、前記爪式クラッチは弾性体(83)にて咬合するよう付勢し、前記摩擦式クラッチは弾性体(84)にて摩擦が生じない状態に付勢し、前記シリンダ(80)内に、該四駆クラッチピストン(81)の配設された四駆側シリンダ室(Ha)と、増速クラッチピストン(82)の配設された増速側シリンダ室(Hb)の二つのシリンダ室を形成し、該二つのシリンダ室(Ha・Hb)を、シリンダ(80)の中央の仕切壁(80e)に穿設した油路(80c)により互いに連通し、油圧ポンプ(86)からの圧油を、まず標準駆動入力歯車側の四駆側シリンダ室(Ha)に供給し、続いて、該四駆側シリンダ室(Ha)から、該油路(80c)を通じて増速側シリンダ室(Hb)に送油し、該四駆クラッチピストン(81)と増速クラッチピストン(82)を順次摺動させ、一方の四駆クラッチピストン(81)の摺動により四輪駆動側の爪クラッチの係合状態を解除し、続いて他方の増速クラッチピストン(82)の摺動により摩擦式クラッチを接合し、前輪増速駆動状態に切り換えるように構成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施例に係るトラクタの全体的な構成を示した側面図、図2は同じく平面図、図3は動力伝達構成を示したスケルトン図、図4は動力伝達構成を示すミッションケースの断面展開図である。
【0007】
図5はクラッチハウジングを示す前斜視図、図6はクラッチハウジングの構造を示す断面図、図7はクラッチハウジングを示す後斜視図である。図8は副変速レバー非操作時のガイド機構を示す説明図、図9は副変速レバー操作時のガイド機構を示す説明図である。
【0008】
図10は本発明の四輪駆動・前輪増速駆動切換機構を示すミッションケース下部の側面断面図、図11は四輪駆動・前輪増速駆動切換機構の拡大図、図12は四輪駆動・前輪増速駆動切換機構の制御を示すフローチャート図である。
【0009】
図13はブレーキペダルの連結機構を示すブレーキペダルの正面図、図14は同じく側面図、図15はブレーキペダルの連結機構の別形態を示すブレーキペダルの背面図、図16はブレーキペダルの連結制御を示すブロック図、図17はブレーキペダルの連結制御を示すフローチャート図である。
【0010】
図1及び図2に示す如く、この走行車両はトラクタを実施例としており、本機の前後に前輪1・1及び後輪2・2が支承され、前部のボンネット6内部にはエンジン5が配置され、該ボンネット6の後方にはステアリングハンドル10が配設されている。前記ステアリングハンドル10の後方には座席11が配設され、該座席11の側部には主変速レバー77や副変速レバー73等の操作レバーが配設されている。
【0011】
また、エンジン5の後部にクラッチハウジング7が配置され、該クラッチハウジング7の後部にミッションケース9が配設され、エンジン5からの動力を後輪2に伝達して駆動し、後述する本発明の四輪駆動・前輪増速駆動切換機構79を介して前輪1にも同時に駆動力を伝達することを可能としている。
【0012】
なお、ミッションケース9やクラッチハウジング7には、外部と内部との間に介在する外壁127と、内部と内部との間に介在する内壁128が存在するが、内壁128には凹凸が形成され、外壁127には外側に凸となる形状のリブが存在しない状態に形成されて、ミッションケース9やクラッチハウジング7の剛性の向上が図られるとともに、土や水の付着の要因となる外側に凸となる形状のリブが廃止されている。また、クラッチハウジング7やミッションケース9の上面の凸状のリブを廃止することで、クラッチハウジング7やミッションケース9の上面に位置する、ステップ中央の膨らみを低減させている。
【0013】
一例として、図5ではクラッチハウジング7を示している。クラッチハウジング7の内壁128には、図6にも示す如く、ミッションケース9が接続される側(7a)が凹、反対側に凸となる複数の凸部126・126・・・が一体的に形成されている。該凸部126・126・・・により内壁128の剛性を向上して、外壁127に十分な剛性を付与している。特に、アルミダイキャスト製のクラッチハウジングでは、外壁に内部に対して凸状のリブが形成されると、抜き勾配が必要となることから、リブの深さに従って肉厚となるが、内壁128を外壁127の補強部として利用することでクラッチハウジング7の内壁128及び外壁127の肉厚を均等にすることができる。また、肉厚が均等になるため、外壁127の内側に放射状のリブを形成することが可能となり強度確保が容易となる。また、図7にも示す如く、前記凸部126・126・・・の間は、ミッションケース9側に対して開放された複数の小空間(小部屋)を形成することから、ミッションケース9内部より発生する放射音の減衰を図ることができる。
【0014】
前記エンジン5の駆動力はミッションケース9後端から突出したPTO軸15に伝達されて、該PTO軸15から図示しないユニバーサルジョイント等を介して車両後端に作業機装着装置を介して装着した作業機100を駆動するように構成している。そして、前記座席11前下方のステップ上にはクラッチを断接操作するためのクラッチペダル16とブレーキペダルが配設されている。
【0015】
前記ボンネット6の前方には、フロントウエイト取付部53が設けられ、ここに、車両の前後バランスを調節する化粧ウエイト54が装着されている。該化粧ウエイト54は、左右方向に横架されており、その幅は、ボンネット6の横幅より左右にそれぞれ幅Wだけ大きく、座席11に着座した状態の操縦者から見れば、化粧ウエイト54がボンネット6の左右側方にはみ出した状態に見える。このように構成した化粧ウエイト54は、操縦者が目視により畦と車両との距離を決定する目安となり、枕地旋回時に、枕地距離を略一定にすることができ、また、必要以上に枕地距離が生じることのないようにしている。
【0016】
次に、動力伝動系の構成について図3及び図4より説明する。前記クラッチハウジング7内には多板式の主クラッチ21が収納され、前記クラッチペダル16に連係されている。そして、前記エンジン5の出力軸(クランク軸)22の回転が主クラッチ21に入力され、該主クラッチ21の出力軸23は車両後方に延出され、PTOクラッチ軸29と同一軸心に配設されている。
【0017】
前記出力軸23の後端上に伝動歯車64とPTO三速爪64aが配置され、PTOクラッチ軸29上には三枚のPTO変速歯車、すなわち、PTO一速歯車61、PTO二速歯車62、PTO逆転歯車63、が遊嵌される。該PTO変速歯車61・62と伝動歯車64は、主軸25に固設あるいは形設した三枚の前記伝達歯車41・42・44に噛合しており、PTO逆転歯車63はカウンタ歯車37を介して伝達歯車43と噛合し、後述するPTOクラッチスライダ93・94の摺動により、伝達歯車41・42・43・PTO三速爪64aからPTOクラッチ軸29に回転駆動力が伝達される。
【0018】
また、PTOクラッチ軸29には二つのPTOクラッチスライダ93・94が軸方向摺動可能にスプライン嵌合されており、該PTOクラッチスライダ93・94は、図略のPTO変速レバーに連係されている。そして、PTO変速レバーの操作によりPTOクラッチスライダ93・94とPTO一速歯車61、PTO二速歯車62、PTO逆転歯車63に形成した爪とPTO三速爪64aとの咬合を選択しPTOクラッチ軸29に回動力が伝達される。前記PTOクラッチ軸29の回転動力は減速歯車91を介してPTO軸15伝達され、該PTO軸15は後方に延出され、作業車後端に接続された作業機100を駆動する。
【0019】
前記主軸25に固設あるいは形設した四枚の前記伝達歯車41・42・43・44は、主変速軸24にそれぞれ遊嵌された主変速歯車、すなわち、主変速一速歯車31、主変速二速歯車32、主変速三速歯車33、主変速四速歯車34と噛合している。主変速軸24には二つの主変速クラッチスライダ51・52が軸方向摺動可能にスプライン嵌合されており、該主変速クラッチスライダ51・52は、主変速レバー77に連係されている。そして、主変速レバー77の操作により主変速クラッチスライダ51・52と主変速一速歯車31、主変速二速歯車32、主変速三速歯車33、主変速四速歯車34に形成した爪との咬合を選択し、選択されたいずれか一つの主変速歯車31・32・33・34を介して主軸25から主変速軸24へ動力が伝達される。このようにして、四段階の変速を可能とした主変速装置を構成し、主軸25からの変速後の回転が主変速軸24に伝達される。
【0020】
そして、主変速軸24は前方に延長されて、該延長部分には正逆転機構が構成されて正転側歯車26及び逆転側歯車27がそれぞれ同一軸心上に遊嵌されている。そして、リバーサレバー71(図2)の操作によりリバーサクラッチ57が前進側又は後進側いずれかが選択されて接続され、主変速軸24の回転は正転側歯車26又は逆転側歯車27のいずれかに伝達される。但し、リバーサレバー71がニュートラル位置の場合は、回転は両歯車26・27のいずれにも伝達されない。
【0021】
正転側歯車26は伝達軸48に嵌合又は固設された歯車45に噛合しており、また、逆転側歯車27は、カウンタ軸38に嵌合又は固設されたカウンタ歯車39に噛合しており、該カウンタ歯車39は伝達軸48に嵌合又は固設された歯車47と噛合している。従って、リバーサクラッチ57が前進側に接続されたときには、主変速軸24の回転動力が正転側歯車26を介して伝達軸48に伝達され、リバーサクラッチ57が後進側に接続されたときには、主変速軸24の回転動力が、逆転側歯車27から、カウンタ軸38を介して伝達軸48を逆転方向に回転するよう伝達される。
【0022】
伝達軸48に嵌合又は固設された歯車45は、前記正転側歯車26と噛合するとともに、副変速軸35に遊嵌した歯車59に噛合している。副変速軸35には副変速シフタ92がスプライン嵌合しており、該副変速シフタ92は副変速レバー73によって操作され、副変速シフタ92の前部に形成された副変速二速歯92aと、前記歯車59の後部に形成された歯59aが噛合する状態と、副変速シフタ92に設けられた副変速一速歯92bと、伝達軸48に形成された歯車46が噛合する状態と、副変速シフタ92に回転動力が伝達されない状態に、切換可能とした副変速装置が構成されている。そして、副変速シフタ92の摺動に基づく選択により、伝達軸48の回転が二段の変速を経て出力され、副変速軸35に入力される。
【0023】
ところで、副変速レバー73を高速操作位置から低速操作位置に(又は、逆方向に)切り換える際には、まず、副変速シフタ92に形成された嵌合溝92dに副変速レバー73を嵌入させ、副変速レバー73を回動させて副変速シフタ92を移動させる。しかし、副変速シフタ92が可動であるために、副変速レバー73が嵌合溝92dの縁92fに当接して嵌合溝92dに嵌入し難く、変速操作フィーリングを損ねるという不具合があった。そこで、副変速レバー73にガイド機構55を設けて、副変速レバー73が嵌合溝92dに良好に嵌入できるようにして、変速操作フィーリングを向上させている。なお、このガイド機構55は副変速レバー73のみに限定されるものではなく、他の操作レバーにも適応させることができる。
【0024】
図8及び図9に示す如く、副変速レバー73をガイドするガイド体130は、略円柱状体であって、嵌合溝92dに挿入側の端部にフランジ130aが形成されている。但し、ガイド体130の形状は柱状体に限定されるものではなく、多角形柱状体とすることもできる。前記ガイド体130は、副変速レバー73に形成された嵌入孔73cに貫通され、止め輪131にてガイド体130から副変速レバー73の抜け止めが為されている。そして、ガイド体130にはバネ132が外嵌され、該バネ132の一側はガイド体130のフランジ130aに、他側は副変速レバー73に当接している。該バネ132によって副変速レバー73は止め輪131側に押圧されている。また、前記ガイド体130の軸部には、嵌合溝92dに向けて開口する円柱状の溝130bが形成されて、該溝130bに球体134が嵌入され、該溝130bの奥部と球体134の間にバネ133が介装されている。球体134はバネ133によって嵌合溝92d側へ押圧されている。
【0025】
上述の構成において、副変速レバー73非操作時(図8)には、副変速シフタ92の嵌合溝92dから副変速レバー73が出た状態にある。そして、副変速レバー73を操作時(図9)には、副変速レバー73を副変速シフタ92の嵌合溝92d側に移動操作すると、副変速レバー73に押圧されてバネ132が縮み、バネ132の弾性力によって、ガイド体130が嵌合溝92d側へ押圧される。嵌合溝92dの略中心奥部には、落溝92eが形成されており、ガイド体130が嵌合溝92d側へ押圧されると、バネ133が縮んでその弾性力により球体134が嵌合溝92d側にさらに強く押圧されることにより、球体134が落溝92eに嵌入するよう移動する。球体134が落溝92eに嵌入すれば、ガイド体130は嵌合溝92dの略中心にあることになり、従って、副変速レバー73を嵌合溝92d側へさらに移動することにより副変速レバー73は嵌合溝92dの縁92fに当接することなく嵌合溝92dに嵌入される。
【0026】
上述の如く副変速装置によって変速されて伝達軸48より副変速軸35に伝達された回転動力は、該副変速軸35上の三つの歯車49・19・20によって、後輪駆動系と前輪駆動系の二方向に出力される。前記ミッションケース9後部には後輪デフ装置66bが配置され、前記副変速軸35の回転が、その後端に形設した傘歯車20を介して該後輪デフ装置66bに入力され、リアアクスルケース内の車軸、伝達歯車等を経由して後輪2が駆動される。96はブレーキ装置である。また、本発明の四輪駆動・前輪増速駆動切換機構79によって、副変速軸35上に固設した歯車19より前輪駆動出力軸30上に遊嵌した標準駆動入力歯車50を介して、又は、副変速軸35上に固設した歯車49より前輪駆動出力軸30上に遊嵌した増速駆動入力歯車60を介して、前輪駆動出力軸30に入力された動力が、前輪駆動出力軸30の前端に連結する前輪伝達軸14に伝えられて、ユニバーサルジョイント等を介して前輪側のデフ装置66aに入力され、フロントアクスルケース内の車軸、伝達歯車等を介して前輪1が駆動される。
【0027】
次に、本発明の四輪駆動・前輪増速駆動切換機構79について説明する。四輪駆動・前輪増速駆動切換機構79により、四輪駆動状態での走行時に、自動切換モードとしたときには、前輪1の切れ角より車体の旋回操作が検出され、設定角度以上前輪1がきられると、後輪2の周速度よりも前輪1の周速度を増速する前輪増速駆動状態に自動的に切り換えられて、車体が速やかに旋回できるように制御される。
【0028】
前記前輪駆動出力軸30は前記ミッションケース9の前下部に、出力軸23や主変速軸24やPTO軸15等と平行に前後方向にベアリングを介して回転自在に支持され、前輪駆動出力軸30の前端はミッションケース9より前方に突出されている。
【0029】
図10に示す如く、前輪駆動出力軸30上には標準駆動入力歯車50及び増速駆動入力歯車60がそれぞれベアリングを介して遊嵌され、これらの歯車50・60の間にシリンダ80が前輪駆動出力軸30に固設されている。該シリンダ80には、標準駆動入力歯車50側及び増速駆動入力歯車60側に四駆クラッチピストン81及び増速クラッチピストン82の二個のシリンダピストンが摺動可能に内挿されている。
【0030】
前記四駆クラッチピストン81及び増速クラッチピストン82とシリンダ80に設けられたバネ受けの間には、弾性係数の異なる弾性体して、バネ荷重特性の異なるバネ83・84が介装されている。本実施例では径の異なるバネ83・84を採用して、四駆クラッチピストン81及び増速クラッチピストン82はいずれも、シリンダ80の前後略中央に形成された仕切壁80e側へ押圧されるよう付勢されるが、四駆クラッチピストン81より、増速クラッチピストン82がより強く仕切壁80eへ押圧されるようにしている。
【0031】
標準駆動入力歯車50と、四駆クラッチピストン81の内周部であって標準駆動入力歯車50が対向する面にはそれぞれ咬合体となるクラッチ爪50b・81aが形成されて爪式クラッチが設けられ、前記バネ83の付勢力によりクラッチ爪50b・81aが咬合するように構成している。さらに、四駆クラッチピストン81の外周部に形成されたクラッチ爪81bと、シリンダ80に形成されたクラッチ爪80aが咬合している。従って、四駆駆動状態では、副変速軸35上の歯車19から標準駆動入力歯車50に入力された動力は、標準駆動入力歯車50→四駆クラッチピストン81→シリンダ80→前輪駆動出力軸30という経路によって前輪駆動系へ伝達され、前輪1は後輪2の周速と略同速となるよう回転駆動される。
【0032】
また、増速駆動入力歯車60と、シリンダ80の内周部であって増速駆動入力歯車60が対向する側にはそれぞれ摩擦板60b・80bが設けられ、増速クラッチピストン82の増速駆動入力歯車60と対向する面には、摩擦板60b・80bを押圧して摩擦力を発生させる押圧体98が設けられて、油圧式摩擦クラッチが形成されている。そして、前記バネ84の付勢力によって、摩擦板60b・80b間に摩擦が生じない状態に、増速クラッチピストン82が付勢されている。
【0033】
そして、前輪増速駆動状態では、押圧体98が増速駆動入力歯車60へ移動して、摩擦板60b・80bが押圧されれば、増速駆動入力歯車60とシリンダ80が連結されて、一体となって回転する。従って、副変速軸35上の歯車49から増速駆動入力歯車60に入力された動力は、増速駆動入力歯車60→シリンダ80→前輪駆動出力軸30という経路によって前輪駆動系へ伝達され、前輪1は後輪2の周よりも増速して回転駆動される。
【0034】
次に、上述の如く構成した四輪駆動・前輪増速駆動切換機構79の四駆クラッチピストン81と増速クラッチピストン82の制御について説明する。図10及び図11に示す如く、前記前輪駆動出力軸30内には、油圧ポンプ86からの圧油が送られる油路30a・30cが形成され、さらに、前記シリンダ80に形成された仕切壁80eには油路80dが形成され、これらの油路30a・30c・80dを介して、油圧ポンプ86からの作動油を四駆クラッチピストン81の配設された四駆側シリンダ室Haに圧送できるようにしている。さらに、仕切壁80eと、増速クラッチピストン82には、四駆側シリンダ室Haと、増速側シリンダ室Hbとを連通する油路80c・82aが形成されている。
【0035】
また、前輪駆動出力軸30に穿設した油路30aはミッションケース9上またはその前部に連設したクラッチハウジング7に付設した切換バルブ85と接続され、該切換バルブ85は油圧ポンプ86と接続されている。前記切換バルブ85は電磁バルブより構成され、該切換バルブ85を構成するソレノイド85cは制御装置101と接続されている。制御装置101よりソレノイド85cに送信された信号により、切換バルブ85は、OFF信号のとき四輪駆動側弁85bに、また、ON信号のとき増速駆動側弁85aに、切り換えられる。なお、上述の如く構成した切換バルブ85では、該切換バルブ85を切換制御するソレノイド85cと制御装置101の間に構成される回路は、ONとOFFとを切り換える一回路のみでよく、また、回路を構成する加工コストが削減されて、コストの削減に寄与している。
【0036】
また、前記制御装置101には、前輪1のステアリング切れ角を検出するための切れ角センサ89が電気的に接続されている。該切れ角センサ89は、前輪1に設けられたキングピン88に設けられている。なお、切れ角センサ89はステアリングハンドル10や、ステアリング軸等に設けることもできる。
【0037】
そして、制御装置101には、自動切換モードのON/OFFを切り換える切換スイッチ102が接続されている。切換スイッチ102は前記ステアリングハンドル10または座席11近傍に配置されて、走行時や作業時等において操縦者が容易に操作できるようにしている。前記自動切換モードがONのときには、前輪1の切れ角に基づいて、四輪駆動状態から自動的に前輪増速駆動状態に、すなわち、切換バルブ85を四輪駆動側弁85bから増速駆動側弁85aに切換制御される。また、前輪1の切れ角に基づいて、前輪増速駆動状態から自動的に四輪駆動状態に、すなわち、切換バルブ85を増速駆動側弁85aから四輪駆動側弁85bに自動的に切換制御される。そして、自動切換モードがOFFのときには、四輪駆動状態が保持され、切換バルブ85は四輪駆動側弁85bに固定される。
【0038】
次に、自動切換モード時の制御を図12に示すフローチャートを用いて説明する。制御装置101は、切換スイッチ102からのON/OFF信号により、自動切換モードがONとされる(150)と、切れ角センサ89からの情報による、前輪1の切れ角θと、予め設定した切換角度βとを比較する(152)。自動切換モードがONのときには、常に切れ角θと切換角度βの比較が行われるが、切換スイッチ102がOFFとなれば、その時点で自動切換制御は終了する(151)。そして、切れ角θが切換角度β以上であれば、制御装置101から、切換バルブ85を増速駆動側弁85aに切り換えるようソレノイド85cにON信号が送信される(154)。
【0039】
切換バルブ85が、増速駆動側弁85aに切り換われば、油圧ポンプ86から、油圧ポンプ86→油路30a→油路30c→油路80d→四駆側シリンダ室Ha、という経路により作動油が四駆側シリンダ室Haに圧送される。これにより、四駆クラッチピストン81は、標準駆動入力歯車50側へ摺動して、クラッチ爪50b・81aの咬合が解除され、一旦、副変速軸35から前輪駆動出力軸30への動力伝達が断絶される。さらに、油圧ポンプ86からの作動油が、四駆側シリンダ室Haから、油路80c・82aを通じて、増速側シリンダ室Hbに送油されて、この圧力によりクラッチピストン82が押圧体98を介して摩擦板80b・60bを押圧して、摩擦板80b・60b間での摩擦力が発生し、増速駆動入力歯車60とシリンダ80が一体的に回動するようになる。従って、歯車49→増速駆動入力歯車60→摩擦板60b・80b→シリンダ80→前輪駆動出力軸30→前輪伝達軸14等を介して前輪1に動力が伝達されて、前輪増速駆動状態となる(155)。
【0040】
また、車両が旋回を終え、切れ角センサ89からの情報による、前輪1の切れ角θと、予め設定した切換角度βとを比較して(156)、切れ角θが切換角度βより小さい値となれば、制御装置101から、切換バルブ85を四輪駆動側弁85bに切り換えるようソレノイド85cにOFF信号が送信される(157)。
【0041】
切換バルブ85が、四輪駆動側弁85bに切り換われば、ドレンタンク87に繋がる油路が開かれて油路全体の圧が低くなることによって、四駆側シリンダ室Ha及び増速側シリンダ室Hbの圧が低くなり、クラッチピストン82による摩擦板80b・60bの押圧が解除されるとともに、バネ83による付勢により四駆クラッチピストン81が摺動して、四輪クラッチピストン81と標準駆動入力歯車50のクラッチ爪81a・50bが咬合し、四輪駆動状態となる(158)。
【0042】
上述の如く構成された、四輪駆動・前輪増速駆動切換機構79では、エンジン5が停止して、油圧ポンプ86から作動油が送られない状態となっても、四駆クラッチピストン81のクラッチ爪81aと、標準駆動入力歯車50のクラッチ爪50bが咬合を保持するため、後輪デフ装置66bから副変速軸35に作用する制動力により、前輪駆動出力軸30にも制動力が働き、前輪1が自由に回転するような状態が発生しないため、制動力を保持できる。
【0043】
また、四輪駆動状態においては、作動油がドレンタンク87に戻されて圧が発生せず、また、爪式クラッチにより、四輪駆動状態を保持するため、油圧式のクラッチを採用するときと比較して馬力のロスが低減される。油温の上昇に繋がる馬力のロスが低減されるため、油量を増やしたり、オイルクーラーを装備したりすることによって、油温の上昇を抑制する必要がない。
【0044】
なお、前記制御装置101には、左右のブレーキペダル17L・17Rの連結状態を検出する連結検出センサ103が電気的に接続されており、左右のブレーキペダル17L・17Rが連結されている状態では、切換スイッチ102がONとなって、自動切換モードであっても、四輪駆動状態を保持し、前輪増速駆動状態とはならないように制御されている(153)。
【0045】
従来、左右の車輪を個々に制動させることが可能とされた二ペダル式のブレーキペダル17を採用した車両では、作業時には左右のブレーキペダル17L・17Rの連結を解除し、路上走行時やトラックへの積み卸し作業の際には左右のブレーキペダル17L・17Rを連結させるが、これらの連結又は連結解除作業は手動により行われていた。高速での路上走行時に、左右のブレーキペダル17L・17Rの連結忘れにより連結解除された状態であれば、急ブレーキを作動させると転倒する恐れがある。そこで、左右のブレーキペダル17L・17Rを自動的に連結又は連結解除するようにして、連結忘れの生じることのないようにしている。
【0046】
図13及び図14に示す如く、左右のブレーキペダル17L・17Rの裏面には連結板110を挿脱可能な連結板受け111L・111Rが一体的に形成されている。そして、左右のブレーキペダル17L・17Rを連結するための連結板110は、その上部がアクチュエータ112に連結されている。本実施例では、アクチュエータ112を電動シリンダ113とし、該電動シリンダ113により伸縮駆動される伸縮アーム114の下端に連結板110が固定されている。該電動シリンダ113は先端にブレーキペダル17Lを設けたペダルアーム115に固定されている。そして、伸縮アーム114が伸縮駆動されることにより、連結板110がブレーキペダル17L・17Rの連結板受け111L・111Rに挿脱されるよう構成されている。
【0047】
なお、前記伸縮アーム114の先端には、連動板110を連結するための継手114aが固設されている。該継手114aは側面視U字状に形成されて、該U字で連結板110を挟持してピン116を挿入することにより継手114aと連結板110を固定している。但し、連結板110と継手114aの固定はボルト等によって行うこともできる。このように、連結板110を伸縮アーム114より簡易に脱着できるようにして、電動シリンダ113が故障した際には手動で左右のブレーキペダル17L・17Rの連結又は連結解除を行うことができるようにしている。
【0048】
そして、連結板受け111L・111Rをブレーキペダル17L・17Rの裏面に形成し、ブレーキペダル17L・17Rの裏側において連結又は連結解除動作が行われることにより、操縦者はブレーキペダル17L・17Rの状態を目視にて確認することができ、ブレーキペダル17L・17Rの操作ミスの発生を抑制することができる。
【0049】
また、前記連結板110を回動式として、連結板110を駆動するアクチュエータ112を電動モータ121とすることもできる。図15に示す如く、連結板110が左右一側のブレーキペダル17L(17R)の裏面に枢結され、該枢結部分に連結板110の回動位置を検出するセンサ122と、連結板110の回動操作を行う電動モータ121が設けられている。また、他側のブレーキペダル17R(17L)の裏面には、連結板受け123が形成されている。そして、電動モータ121の動力により連結板110を回転駆動されて連結板受け123に挿脱され、ブレーキペダル17L・17Rの連結又は連結解除動作が行われる。
【0050】
なお、前記ブレーキペダル17L・17Rの連結又は連結解除作業は、車速に対応して行われる。すなわち、車速に応じて自動的に左右のブレーキペダル17L・17Rの連結又は連結解除動作が行われるのである。以下に、図16及び図17を用いて、ブレーキペダル17L・17Rの連結又は連結解除の自動切換モードにおいて、左右のブレーキペダル17L・17Rの連結が解除された状態から始まる制御を説明する。
【0051】
まず、車両の変速操作を行う主変速レバー77や副変速レバー73等の操作レバーに設けられた回動位置検出センサ77a・73aからこれらの操作レバーの操作位置を検出し、また、エンジン5の出力軸22に設けられた回転数検出センサ118からエンジン5の回転数を検出し(160)、これらの情報が制御装置101に伝達される。制御装置101では、操作レバーの操作位置とエンジン5の回転数から車速Vを算出する(161)。なお、車速Vは後輪2の駆動軸の回転数を検出することにより算出するよう構成することもできる。
【0052】
上述の如く算出された車速Vと、予め設定された、ブレーキペダル17L・17Rの連結と連結解除動作を行う切換速度αとを比較して(162)、車速Vが切換速度α以下であれば、ブレーキペダル17L・17Rの連結が解除された状態が保持される。そして、車速Vが切換速度より大きければ、制御装置101はブレーキペダル17L・17Rの連結動作を行うようアクチュエータ112に信号を送信する(163)。本実施例では制御装置101より送信された電気的信号により電磁バルブの開閉操作が行われ、電動シリンダ113の伸縮アーム114の伸長駆動が行われ、左右のブレーキペダル17L・17Rが連結される(164)。
【0053】
このようにして、ブレーキペダル17L・17Rの連結動作が行われれば、連結板受け111L・111Rに設けられた連結検出センサ103により左右のブレーキペダル17L・17Rの連結状態を検出する(165)。なお、連結板受け111L・111Rに設けられた連結検出センサ103によるブレーキペダル17L・17Rの連結状態の検出は常時行われており、制御装置101では常にブレーキペダル17L・17Rの連結状態を検知することができるようにしている。例えば、ステアリングハンドル10近傍に設けられたランプと制御装置101を電気的に連結して、ランプの点灯状態によって操縦者が常にブレーキペダル17L・17Rの連結状態を確認できるように構成することもできる。そして、ブレーキペダル17L・17Rの連結動作が行われたにもかかわらず、ブレーキペダル17L・17Rが連結されていなければ、警告灯124を点灯して、操縦者に注意を促すことができるようにしている(166)。
【0054】
上述の如く、ブレーキペダル17L・17Rが連結された状態において、車両の変速操作を行う主変速レバー77や副変速レバー73等の変速操作レバーに設けられた回動位置検出センサ77a・73aから操作レバーの操作位置を検出し、また、エンジン5の出力軸22に設けられた回転数検出センサ118からエンジン5の回転数を検出し(167)、これらの情報が制御装置101に伝達される。制御装置101では、操作レバーの操作位置とエンジン5の回転数から車速Vを算出される(168)。車速Vと、予め設定された、ブレーキペダル17L・17Rの連結と連結解除動作を行う切換速度αとを比較して、車速Vが切換速度αより大きければ、ブレーキペダル17L・17Rの連結が保持される。そして、車速Vが切換速度α以下であれば、制御装置101はブレーキペダル17L・17Rの連結解除動作を行うようアクチュエータ112に信号を送信し(170)、アクチュエータ112が作動して左右のブレーキペダルの連結が解除される(171)。
【0055】
ブレーキペダル17L・17Rの連結動作の、手動切換モードと自動切換モードの切換はステアリングハンドル10近傍に配置された切換スイッチ119により切換可能である。そして、手動切換モードのときには、ステアリングハンドル10近傍に配置された連結スイッチ120を操作することにより、ブレーキペダル17L・17Rの連結又は連結解除を操作することができる。連結スイッチ120は、制御装置101に電気的に接続されており、連結スイッチ120のON・OFFが制御装置101に伝達され、連結スイッチ120がOFFからONに切り替われば、制御装置101はアクチュエータ112にブレーキペダル17L・17Rの連結動作を行うよう信号を送信し、連結スイッチ120がONからOFFに切り替われば、制御装置101はアクチュエータ112にブレーキペダル17L・17Rの連結解除動作を行うよう信号を送信する。
【0056】
なお、手動切換モードにおいても、車両の変速操作を行う主変速レバー77等の操作レバーの操作位置とエンジン5の回転数から算出された車速が切換速度より大きくなれば、制御装置101はアクチュエータ112にブレーキペダル17L・17Rの連結動作を行うよう信号を送信する。このようにして、手動切換モード・自動切換モードに関わらず、車速が切換速度αより大きくなれば常にブレーキペダル17L・17Rが連結された状態となるように制御される。
【0057】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0058】
前輪(1)への駆動出力軸である前輪駆動出力軸(30)への動力伝達状態を、前輪(1)を後輪(2)の周速と略同速に駆動する四輪駆動状態と、該前輪(1)を後輪(2)の周速よりも増速して駆動する前輪増速駆動状態に切換可能とした走行車両において、該前輪駆動出力軸(30)上に四輪駆動・前輪増速駆動切換機構(79)を設け、該四輪駆動・前輪増速駆動切換機構(79)は、該前輪駆動出力軸(30)と一体的に回動するシリンダ(80)と、該シリンダ(80)内で摺動する四駆クラッチピストン(81)と増速クラッチピストン(82)と、両クラッチピストン(81・82)を付勢する弾性体(83・84)で構成し、該四駆クラッチピストン(81)と標準駆動入力歯車(50)との間に爪式クラッチを設け、増速クラッチピストン(82)と増速駆動入力歯車(60)との間に摩擦式クラッチを設け、前記爪式クラッチは弾性体(83)にて咬合するよう付勢し、前記摩擦式クラッチは弾性体(84)にて摩擦が生じない状態に付勢し、前記シリンダ(80)内に、該四駆クラッチピストン(81)の配設された四駆側シリンダ室(Ha)と、増速クラッチピストン(82)の配設された増速側シリンダ室(Hb)の二つのシリンダ室を形成し、該二つのシリンダ室(Ha・Hb)を、シリンダ(80)の中央の仕切壁(80e)に穿設した油路(80c)により互いに連通し、油圧ポンプ(86)からの圧油を、まず標準駆動入力歯車側の四駆側シリンダ室(Ha)に供給し、続いて、該四駆側シリンダ室(Ha)から、該油路(80c)を通じて増速側シリンダ室(Hb)に送油し、該四駆クラッチピストン(81)と増速クラッチピストン(82)を順次摺動させ、一方の四駆クラッチピストン(81)の摺動により四輪駆動側の爪クラッチの係合状態を解除し、続いて他方の増速クラッチピストン(82)の摺動により摩擦式クラッチを接合し、前輪増速駆動状態に切り換えるように構成したので、エンジンが停止しても、前輪駆動出力軸への伝動系が途切れることなく前輪への制動力を保持することができる。
【0059】
また、前記切換クラッチを、前記前輪駆動出力軸と一体的に回動するシリンダと、該シリンダに収納される摺動体となる二個のクラッチピストンと、該クラッチピストンを付勢する弾性体等で構成し、一方のクラッチピストンと標準駆動入力歯車との間に爪式クラッチを設け、他方のクラッチピストンと増速駆動入力歯車との間に摩擦式クラッチを設けたので、エンジンが停止しても、前輪駆動出力軸への伝動系が途切れることなく前輪への制動力を保持することができる。また、爪式クラッチを用いることで馬力のロスを低減させることができる。
【0060】
また、前記爪式クラッチは弾性体にて咬合するよう常時付勢されているので、エンジンが停止しても、前輪駆動出力軸への伝動系が途切れることなく前輪への制動力を保持することができる。
【0061】
また、前記切換クラッチを油圧作動式とし、シリンダ内に二つのシリンダ室を形成して互いに連通し、標準駆動入力歯車側のシリンダ室に圧油を供給するので、クラッチの咬合状態を切り換えるバルブの制御回路がON/OFFの一回路で構成でき、コストの削減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るトラクタの全体的な構成を示した側面図。
【図2】 同じく平面図。
【図3】 動力伝達構成を示したスケルトン図。
【図4】 動力伝達構成を示すミッションケースの断面展開図。
【図5】 クラッチハウジングを示す前斜視図。
【図6】 クラッチハウジングの構造を示す断面図。
【図7】 クラッチハウジングを示す後斜視図。
【図8】 副変速レバー非操作時のガイド機構を示す説明図。
【図9】 副変速レバー操作時のガイド機構を示す説明図。
【図10】 本発明の四輪駆動・前輪増速駆動切換機構を示すミッションケース下部の側面断面図。
【図11】 四輪駆動・前輪増速駆動切換機構の拡大図。
【図12】 四輪駆動・前輪増速駆動切換機構の制御を示すフローチャート図。
【図13】 ブレーキペダルの連結機構を示すブレーキペダルの正面図。
【図14】 同じく側面図。
【図15】 ブレーキペダルの連結機構の別形態を示すブレーキペダルの背面図。
【図16】 ブレーキペダルの連結制御を示すブロック図。
【図17】 ブレーキペダルの連結制御を示すフローチャート図。
【符号の説明】
1 前輪
5 エンジン
30 前輪駆動出力軸
50 標準駆動入力歯車
50b クラッチ爪
60 増速駆動入力歯車
60b 摩擦板
79 四輪駆動・前輪増速駆動切換機構
80 シリンダ
80a クラッチ爪
80b 摩擦板
81 四駆クラッチピストン
81a クラッチ爪
81b クラッチ爪
82 増速クラッチピストン
83 バネ(弾性体)
84 バネ(弾性体)
98 押圧体

Claims (1)

  1. 前輪(1)への駆動出力軸である前輪駆動出力軸(30)への動力伝達状態を、前輪(1)を後輪(2)の周速と略同速に駆動する四輪駆動状態と、該前輪(1)を後輪(2)の周速よりも増速して駆動する前輪増速駆動状態に切換可能とした走行車両において、該前輪駆動出力軸(30)上に四輪駆動・前輪増速駆動切換機構(79)を設け、該四輪駆動・前輪増速駆動切換機構(79)は、該前輪駆動出力軸(30)と一体的に回動するシリンダ(80)と、該シリンダ(80)内で摺動する四駆クラッチピストン(81)と増速クラッチピストン(82)と、両クラッチピストン(81・82)を付勢する弾性体(83・84)で構成し、該四駆クラッチピストン(81)と標準駆動入力歯車(50)との間に爪式クラッチを設け、増速クラッチピストン(82)と増速駆動入力歯車(60)との間に摩擦式クラッチを設け、前記爪式クラッチは弾性体(83)にて咬合するよう付勢し、前記摩擦式クラッチは弾性体(84)にて摩擦が生じない状態に付勢し、前記シリンダ(80)内に、該四駆クラッチピストン(81)の配設された四駆側シリンダ室(Ha)と、増速クラッチピストン(82)の配設された増速側シリンダ室(Hb)の二つのシリンダ室を形成し、該二つのシリンダ室(Ha・Hb)を、シリンダ(80)の中央の仕切壁(80e)に穿設した油路(80c)により互いに連通し、油圧ポンプ(86)からの圧油を、まず標準駆動入力歯車側の四駆側シリンダ室(Ha)に供給し、続いて、該四駆側シリンダ室(Ha)から、該油路(80c)を通じて増速側シリンダ室(Hb)に送油し、該四駆クラッチピストン(81)と増速クラッチピストン(82)を順次摺動させ、一方の四駆クラッチピストン(81)の摺動により四輪駆動側の爪クラッチの係合状態を解除し、続いて他方の増速クラッチピストン(82)の摺動により摩擦式クラッチを接合し、前輪増速駆動状態に切り換えるように構成したことを特徴とする四輪駆動・前輪増速駆動切換機構。
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