JP4104967B2 - ヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器 - Google Patents

ヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、第一部材と第二部材との基端部同士を枢着して、双方が重合した閉塞状態から第一部材,第二部材のいずれか一方が所定角度まで回動した開放状態に開閉できるヒンジ装置、並びにこのヒンジ装置を用いた例えば携帯電話やノート型パソコンなどの電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
最近の携帯電話は、折り畳みタイプが主流になりつつある。
【0003】
このような折り畳みタイプの携帯電話は、一般的に不使用時には閉じておき、着信などがあった際に開いて通話するものであるが、例えば、着信があった際すぐ開けるように開放動作をワンタッチ式で簡易に行えるものの方が良いとの要望もある。
【0004】
しかしながら、従来のヒンジ装置では、折り畳み式携帯電話の操作部とディスプレイ部との連結に使用した場合、回動ロック機構やロックを解除するためのボタンなどの駆動機構をこのヒンジ装置とは別途に必要としていたため、部品点数が多くなり、またそのためのスペースを設ける必要があるなどの問題が生じていた。
【0005】
そこで、本出願人は、国際公開されたWO 00/50780公報に示すように、ワンタッチで開閉できる構成でありながら、開閉ロックのための別途の機構を機器側に設けることを不要とし、携帯電話の構成の単純化,省スペース化に寄与し得るヒンジ装置を開発した。
【0006】
この装置では、例えば前述のように折り畳みタイプの携帯電話に適用した場合、このヒンジ装置に設けた解除操作部(押込ボタン)を指で押すだけで、閉塞付勢されている例えばディスプレイ部が自動的に一挙に開放回動する構成としている。
【0007】
この自動開放機能を果たすヒンジ装置は、閉塞付勢機構を果たしながらも、ワンタッチで自動開放する構造を実現する画期的なヒンジ装置であるが、開放時に常に開放限界位置に付勢されて停止しているディスプレイ部を自由に動かして手を放した位置で回動停止するようにしたほうが更に使い易いことを本出願人は見い出した。
【0008】
即ち、本発明は、このような事情を考慮し、更に改良を加えたものであり、ワンタッチ操作で自動的に開放回動するが、開放時に開放付勢されている部材(例えばディスプレイ部)を自由に角度調整でき、その際には手を放した位置で回動停止するフリーストップ状態となり、しかもワンタッチ操作を軽い力で行える非常に使い易い画期的なヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
第一部材1と第二部材2とを枢着するヒンジ装置であって、この第一部材1,第二部材2のいずれか一方に対して回り止め状態に係合凸部3を設け、この係合凸部3に係合する係合凹部4を第一部材1,第二部材2の他方に対して回り止め状態に設け、この係合凸部3と係合凹部4とが係合状態のとき第一部材1と第二部材2とが回動ロックされるように構成し、この係合凸部3,係合凹部4の少なくとも一方を係合離反方向にスライド移動自在に設けると共に、この係合凸部3,係合凹部4の少なくとも一方を離反方向に移動した際係合方向に付勢する係合付勢機構5と、係合凸部3,係合凹部4の少なくとも一方を回動方向に付勢する回動付勢機構6とを備え、前記係合凸部3,係合凹部4のいずれか一方を前記係合付勢機構5に抗して離反方向にスライド移動させて前記回動付勢機構6により係合凸部3,係合凹部4のいずれか一方を自動回動させるロック解除操作部7を備え、前記係合付勢機構5により前記係合凸部3と係合凹部4との係合は係脱せず前記回動ロック状態が保持され、前記ロック解除操作部7の操作によって前記係合凸部3,係合凹部4の少なくとも一方を係合付勢機構5に抗して所定距離離反させると、前記回動付勢機構6によって係合凸部3,係合凹部4のいずれか一方が自動回動するように構成し、この係合凸部3が係合凹部4から係脱した回動領域では、前記係合付勢機構5による押圧力で係合凸部3の頂部が係合凹部4の摺動用当接部14に当接するように構成し、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とのいずれか一方若しくは双方に係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗が高くなる摩擦抵抗増大手段8を設けて、この係合凸部3が摺動用当接部14に当接した際には係合付勢機構5による押圧力と摩擦抵抗増大手段8とによる回動抵抗の増大によって手を放した位置で回動停止するフリーストップ状態となるように構成し、前記摩擦抵抗増大手段8は、前記係合凸部3の頂部面若しくは前記摺動用当接部 14 に、この係合凸部3の前記係合凹部4に対する回動方向に若しくは摺動用当接部 14 の係合凸部3に対する回動方向に長さを有する摺動凸条 20 を設け、この摺動凸条 20 が嵌合当接する摺動凹溝 21 を前記摺動用当接部 14 若しくは前記係合凸部3に設けることで、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部 14 との当接面積を大きくし、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部 14 との摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する構成としたことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0011】
また、前記摺動用当接部14の略全範囲に、この摺動用当接部14の係合凸部3に対する回動方向に長さを有する前記摺動凸条20を設け、この摺動凸条20が嵌合して面接当接する摺動凹溝21を前記係合凸部3に設けて、この係合凸部3が前記係合凹部4から係脱して係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とが当接する略全ての回動領域でこの摺動凸条20が摺動凹溝21に嵌合当接し、摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成したことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置に係るものである。
【0012】
また、前記ロック解除操作部7は、押込みボタン7Aとして構成し、このロック解除操作部7を前記係合離反方向に押込み操作することで、前記係合付勢機構5に抗して前記係合凸部3若しくは前記係合凹部4を離反方向にスライド移動させるように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0013】
また、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置を前記第一部材1と前記第二部材2との枢着部に設けたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器に係るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0015】
係合凸部3と係合凹部4が係合することで第一部材1と第二部材2とは回動ロックされる。この係合凸部3と係合凹部4とは、係合付勢機構5により係合付勢されているため、回動付勢機構6により回動付勢されていても係合凸部3と係合凹部4とが係合した回動ロック状態は保持される。
【0016】
即ち、例えば、第一部材1と第二部材2とが重合した閉塞状態において、係合凸部3と係合凹部4とが係合した状態となるようにした場合、係合付勢機構5により係合付勢されている係合凸部3と係合凹部4との係合カム力によって例えば係合凸部3と係合凹部4とが係脱する位置まで回動しない限り閉塞付勢されることになる。
【0017】
この係合付勢されている回動ロック状態において、係合付勢機構5の付勢力に抗してロック解除操作部7を操作すると(例えば押込みボタン7Aとしたロック解除操作部7を押込み操作すると)、例えば第一部材1に対して回動固定されている係合凸部3に対して、第二部材2に対して回動固定されている係合凹部4が係合付勢機構5に抗して離反する。
【0018】
そして、この係合凸部3と係合凹部4とが離反することで回動ロック状態が解除され、回動可能となり、回動付勢機構6により例えば回動付勢されている係合凹部4が回動する。
【0019】
即ち、ロック解除操作部7のワンタッチ解除操作によって、第一部材1に対して第二部材2が所定角度だけ自動的に相対回動し、例えば第一部材1と第二部材2とが重合した閉塞状態から、第一部材1に対して第二部材2が自動的に一挙に開放回動する。
【0020】
また、この回動付勢機構6により係合凸部3に対し係合凹部4が係脱し回動した状態でロック解除操作部7の操作を止めると(例えば押込みボタン7Aとしたロック解除操作部7を離すと)、この係合凸部3が係合凹部4から係脱した回動領域では、前記係合付勢機構5による押圧力で係合凸部3の頂部が係合凹部4の摺動用当接部14に当接する。
【0021】
この際、この係合付勢機構5による押圧力と摩擦抵抗増大手段8とによる回動抵抗の増大によって手を放した位置で回動停止するフリーストップ状態となる。
【0022】
従って、ロック解除操作部7によりワンタッチで自動回動させることもできるし、ロック解除操作部7を操作することで係合凸部3が係合凹部4から係脱した回動領域では、ロック解除操作部7の操作を止めることで例えば第一部材1に対して第二部材2が手を放した位置で停止するフリーストップ状態を実現でき、第一部材1に対して第二部材2を使い易い所望の角度で停止させて使用することができることとなる。
【0023】
また、フリーストップを実現するためには、係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とに強い摩擦抵抗力が必要であり、手っ取り早くこの摩擦抵抗力を得るために係合付勢機構5の付勢力を強力なものにすると、ロック解除操作部7のワンタッチ解除操作に強い力を要することになってしまうが、この点、本発明では、係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とのいずれか一方若しくは双方に設けた摩擦抵抗増大手段8によって係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗が高くなるように構成されているために、係合付勢機構5の付勢力をロック解除操作部7の操作に強い力を要する程強力な付勢力に設定せずとも、フリーストップを実現するに十分な摩擦抵抗が得られることになり、これによりロック解除操作部7の解除操作も軽い力で簡単に行うことができる構造を実現可能となる。
【0024】
また、例えば、前記係合凸部3の頂部と前記摺動用当接部14との当接面積を大きく形成することで、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成すれば、前記作用効果を確実に発揮する摩擦抵抗増大手段8を簡易に設計実現可能となり、一層実用的となる。
【0025】
また、例えば、前記摺動用当接部14に,前記係合凸部3の頂部面が当接する頂部当接面14Aと係合凸部3の頂部側面が当接する側部当接面14Bとを設けるか若しくは、係合凸部3に,摺動用当接部14の頂部面が当接する頂部当接面と摺動用当接部14の側部面が当接する側部当接面とを設けることでこの係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との当接面積を大きくし、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成すれば、前記作用効果を確実に発揮する摩擦抵抗増大手段8を簡易構成にして極めて容易に設計実現可能となり、一層実用的となる。
【0026】
また、例えば、前記係合凸部3の頂部面若しくは前記摺動用当接部14に、この若しくは摺動用当接部14の回動方向に長さを有する摺動凸条20を設け、この摺動凸条20が嵌合当接する摺動凹溝21を前記摺動用当接部14若しくは前記係合凸部3に設けることで、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との当接面積を大きくし、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成すれば、前記作用効果を確実に発揮する摩擦抵抗増大手段8を簡易構成にして極めて容易に設計実現可能となり、一層実用的となる。
【0027】
また、例えば、前記摺動用当接部14の略全範囲に、この摺動用当接部14の回動方向に長さを有する前記摺動凸条20を設け、この摺動凸条20が嵌合して面接当接する摺動凹溝21を前記係合凸部3に設けて、この係合凸部3が前記係合凹部4から係脱して係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とが当接する略全ての回動領域でこの摺動凸条20が摺動凹溝21に嵌合当接し、摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成すれば、前記作用効果を確実に発揮する摩擦抵抗増大手段8を簡易構成にして極めて容易に設計実現可能となり、一層実用的となる。
【0028】
また、例えば、前記摺動用当接部14に前記係合凸部3の頂部面が当接する頂部当接面14Aを設け、この頂部当接面14Aの周縁部全周に前記係合凸部3の側部面が当接する前記側部当接面14Bを設けて、この係合凸部3が前記係合凹部4から係脱して係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とが当接する全ての回動領域でこの側部当接面14Bが係合凸部3の頂部側面に当接し、摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成すれば、係合凸部3が前記係合凹部4から係脱して係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とが当接する全ての回動領域で極めて良好な摩擦抵抗を発揮してフリーストップを実現できることになる上、この構成は簡易に設計実現可能で量産性に秀れ安価に構成提供可能となる。
【0029】
また、例えば、前記係合凸部3の頂部に係止部3Aを設け、この係止部3Aが任意の回動領域で係止可能な係合部14Cを摺動用当接部14に設けて、この係止部3Aと係合部14Cとの係合により任意の回動領域で位置決めされてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成すれば、無段階ではないものの、確実なフリーストップ状態を実現可能となり、一層実用的となる。
【0030】
また、例えば、前記係合凸部3の頂部面に前記係止部3Aとしての微細な凹凸部3Aを設け、この凹凸部3Aが噛み合い係合する前記係合部14Cとしての微細な凹凸部14Cを前記摺動用当接部14に設けて、この凹凸部3A・14C同士の係合により任意の回動領域で位置決めされてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成すれば、無段階ではないものの、確実なフリーストップ状態を実現できる摩擦抵抗増大手段8を簡易構成にして容易に設計実現可能となり、一層実用的となる。
【0031】
また、例えば、前記ロック解除操作部7は、押込みボタン7Aとして構成し、このロック解除操作部7を前記係合離反方向に押込み操作することで、前記係合付勢機構5に抗して前記係合凸部3若しくは前記係合凹部4を離反方向にスライド移動させるように構成すれば、ロック解除操作部7の解除操作を単に押込むだけの簡単な操作で行うことができるため、一層使い易くなる。
【0032】
【実施例】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0033】
本実施例は、図1に示すように折り畳みタイプの携帯電話に適用した場合を示したもので、操作部9を備えた本体部を第一部材1とし、表示画面10を備えたディスプレイ部を第二部材2とし、第一部材1と第二部材2とが重合した閉塞状態から第二部材2を例えば120度まで回動した開放状態(通話位置)とすることが枢着構造に本発明のヒンジ装置を適用している。
【0034】
そして、前述のように閉塞付勢されている回動ロック状態の閉塞状態において、ロック解除操作部7(リリースボタン)を押動操作すると、第二部材2が自動的に一挙に所定開放角度(例えば120度)まで回動して停止し、且つこのロック解除操作部7を操作しないで、手で第二部材2を回動することができ、手で第二部材2を回動操作する場合は、係合凸部3と係合凹部4とが係合した閉塞状態からこの係合が係脱するわずかな回動角度までは閉塞付勢されていて、この閉塞付勢に抗して所定回動角度以上手で回動させると、再び係合凸部と係合凹部とが係合して回動ロック状態となる前記所定開放角度までは手で第二部材2を回動することができ、しかもこの第二部材2から手を放すと、その放した位置で第二部材2は停止し、ふらつくことがないフリーストップ状態を実現した構成としている。
【0035】
本実施例では、第一部材1の基部に図示省略の取付孔を設け、第二部材2の基部にもこの取付孔と連通状態に隣接する図示省略の取付孔を設け、この夫々の取付孔に軸状パーツとして構成した本発明のヒンジ装置を装着する構成としている。
【0036】
具体的に説明すると、図2,図3に示すように、前記第二部材2には、前記取付孔に対して回り止め形状としたケーシング12を第二連結部12としてこの第二部材2の取付孔に回り止め状態に固定し、このケーシング12の一端部を閉塞する閉塞部11を第一連結部11として前記第一部材1の取付孔を介して第一部材1に固定している。
【0037】
また、この第一連結部11(閉塞部11)の内側先端部には、前記第二連結部12(ケーシング12)内に配される係合凸部3を固定している。
【0038】
また、ケーシング12の他端部には閉塞部13を設け、この閉塞部13の内側には前記係合凸部3と対向し、互いに係合する係合凹部4を設け、この係合凹部4は、ケーシング12内に回り止め状態に設けると共に、ケーシング12に設けた案内溝15に沿って係合離反方向にスライド移動自在に設けている。
【0039】
また、この係合凹部4と前記閉塞部13との間のケーシング12内には、係合方向に付勢するコイルバネ5を係合付勢機構5として設けている。
【0040】
一方、係合凸部3の基部には、トルクバネ6を回動付勢機構6として設けて、ケーシング12を回動付勢することで、係合凸部3に対して係合凹部4を回動付勢するように構成している。図中符号19はトルクバネ6を受けるバネ受である。
【0041】
また、この回動付勢機構6は、開放状態から閉塞状態にすることにより捩れが蓄えられて、回動トルクが生じるように構成している。
【0042】
また、係合凹部4の中央には、係合凸部3の中央係合軸16に係合するスライド案内軸17を設けて、係合凹部4のスライド移動をガイドすると共に、このスライド案内軸17を筒状としてロック解除操作部7の作動軸18を挿通固定し、この作動軸18により係合凹部4を押動して前記コイルバネ(係合付勢機構5)を縮むように押圧変形させる構成としている。
【0043】
即ち、ロック解除操作部7は、押動移動する作動軸18によって前記係合凹部4の中央部を押動し、係合付勢機構5として採用したコイルバネ5を縮み変形させることで、係合凹部4が係合凸部3に対して離反移動するように構成している。
【0044】
更に具体的に説明すると、ロック解除操作部7は、押込みボタン7Aと前記作動軸18とで構成し、この押込みボタン7Aを押動することで可動する作動軸18により係合凹部4がコイルバネ5を縮み変形させて係合凸部3から離反方向に移動して係脱し、係合凸部3と係合凹部4とが係合するロック状態が解除するように構成している。
【0045】
また、係合凹部4は、180度対称位置にV字状の凹部を形成し、この凹部を前記係合凸部3が係合する係合部分とし、係脱状態となる領域ではこの凹部間の頂部としての摺動用当接面14に係合凸部3の頂部(先端部)が小さい付勢力ではあるが係合付勢機構5による戻り押圧力により圧接する構成としている。
【0046】
本実施例では、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とのいずれか一方若しくは双方に係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗が高くなる摩擦抵抗増大手段8を設けて、この係合凸部3が摺動用当接部14に当接した際には係合付勢機構5による押圧力と摩擦抵抗増大手段8とによる回動抵抗の増大によって回動付勢機構6の回動付勢が生じていても手で押さない限り停止保持されるように構成している。
【0047】
摩擦抵抗増大手段8について説明すると、図3〜図7は第一構造例、図8〜図11は本発明の実施例である第二実施例、図12〜図14は第三構造例を示している。
【0048】
一構造例について説明する。
【0049】
本構造例は、前記係合凸部3の頂部と前記摺動用当接部14との当接面積を大きく形成することで、前記係合付勢機構5の戻り付勢力によって押圧当接するこの係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成した場合である。
【0050】
具体的に説明すると、前記摺動用当接部14に,前記係合凸部3の頂部面が当接する頂部当接面14Aと係合凸部3の頂部側面が当接する側部当接面14Bとを設けることでこの係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との当接面積を大きくし、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗を高めている。
【0051】
また、本構造例では、図5,図6に示すように、頂部当接面14Aの外周縁部全周に前記係合凸部3の側部面が当接する前記側部当接面14Bを設けて、この係合凸部3が前記係合凹部4から係脱して係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とが当接する全ての回動領域でこの頂部当接面14Aと側部当接面14Bとが係合凸部3の頂部面と頂部側面とに当接するように構成し、これにより係合凸部3が係合凹部4から係脱して係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とが当接する全ての回動領域で極めて良好な摩擦抵抗を発揮してフリーストップを実現できるようにしている。
【0052】
第二実施例について説明する。
【0053】
本実施例も、前記係合凸部3の頂部と前記摺動用当接部14との当接面積を大きく形成することで、前記係合付勢機構5の戻り付勢力によって押圧当接するこの係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成した場合である。
【0054】
具体的に説明すると、前記摺動用当接部14に、この摺動用当接部14の回動方向に長さを有する摺動凸条20を設け、この摺動凸条20が嵌合当接する摺動凹溝21を前記係合凸部3に設けることで、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との当接面積を大きくし、この係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗を高めている。
【0055】
また、本実施例では、前記摺動用当接部14の略全範囲に、この摺動用当接部14の回動方向に長さを有する前記摺動凸条20を設けて、前記係合凸部3が前記係合凹部4から係脱して係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とが当接する略全ての回動領域でこの摺動凸条20が摺動凹溝21に嵌合当接するように構成している。
【0056】
更に説明すると、図8〜図11に示すように摺動凸条20は、摺動用当接部14の内外方向の略中間部に、係合凹部4の中心(スライド案内軸17)を中心とした円の円弧状に形成することで、摺動用当接部14の回動方向に長さを有する凸条に構成している。
【0057】
また、摺動凸条20と摺動凹溝21とは、嵌合時に略全面部が当接する凹凸形状に形成し、これによる係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との当接面積の増大により摩擦抵抗を高めて極めて良好なフリーストップを実現できるようにしている。
【0058】
即ち、本実施例では、前記係合凸部3が前記係合凹部4から係脱して係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とが当接する略全ての回動領域で極めて良好なフリーストップ作動が発揮されるように構成している。
【0059】
また、本実施例では、前記スライド案内軸17を係合凹部4に一体的に設けた場合を示している。
【0060】
尚、本実施例では、各部品の形状が前記第一構造例とは若干異なっているが、機能にはかわりがないため、各部に前記第一構造例と同じ符号を付している。
【0061】
図中符号22は前記回動付勢機構6としてのトルクバネ6の端部を挿入係止する挿入孔である。
【0062】
三構造例について説明する。
【0063】
本構造例は、前記係合凸部3の頂部に係止部3Aを設け、この係止部3Aが任意の回動領域で係止可能な係合部14Cを摺動用当接部14に設けて、この係止部3Aと係合部14Cとが前記係合付勢機構5の戻り付勢力によって係合することにより任意の回動領域で位置決めされてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段8を構成した場合である。
【0064】
具体的に説明すると、図14に示すように前記係合凸部3の頂部面に前記係止部3Aとしての微細な凹凸部3Aを設け、図13に示すようにこの凹凸部3Aが噛み合い係合する前記係合部14Cとしての微細な凹凸部14Cを前記摺動用当接部14に設けて、この凹凸部3A・14C同士の係合により、無段階ではないが任意の回動領域で位置決めされて確実なフリーストップを実現するように構成している。
【0065】
また、詳しく図示していないが、この凹凸部3Aと凹凸部14Cとは、その凸部分の側面(凹部分に隣接する側面)を凸部分先端側程幅狭となるように若干傾斜するテーパ面に形成し、これにより第一部材1に対して第二部材2を手で動かした際には、前記係合付勢機構5の付勢力に抗して凹凸部3A・14A同士が乗り越え係脱し易くなるように構成している。
【0066】
即ち、第一構造例・第二実施例・第三構造例では、前記コイルバネ5を所定距離押圧変形させない限り係合凸部3と係合凹部4との係合が係脱せず、係脱後コイルバネ5の戻り押圧力により係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とが圧接し、更に摩擦抵抗増大手段8によって回動抵抗の増大することで回動付勢機構6による回動付勢力が生じても図11の(b)に示すように所望位置でフリーストップ状態となり、一方、前記ロック解除操作部7の押動解除操作によって前記コイルバネ5を係脱に必要なストローク分押圧変形させることで、前記回動付勢機構6により前記係合凸部3と前記係合凹部4との係合が係脱し、フリーストップ状態となることなく図11(a)に示すようにの所定開放角度まで第一部材1に対して第二部材2が自動的に一挙に相対回動するように構成している。
【0067】
また、フリーストップを実現するためには、係合凸部3の頂部と摺動用当接部14とに強い摩擦抵抗力が必要であり、手っ取り早くこの摩擦抵抗力を得るために係合付勢機構5の付勢力を強力なものにすると、ロック解除操作部7のワンタッチ解除操作に強い力を要することになってしまうが、この点、第一構造例,第二実施例,第三構造例では、前述したような摩擦抵抗増大手段8によって係合凸部3の頂部と摺動用当接部14との摩擦抵抗が高くなるように構成したために、係合付勢機構5の付勢力をロック解除操作部7の操作に強い力を要する程強力な付勢力に設定せずとも、フリーストップを実現するに十分な摩擦抵抗が得られることになる。
【0068】
そして、第一構造例,第二実施例,第三構造例では、係合付勢機構5(コイルバネ5)を比較的付勢力の弱いものを採用し、これによりロック解除操作部7の解除操作も軽い力で簡単に行うことができるし、十分なフリーストップ状態も得られる構造を実現している。
【0069】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0070】
例えば、前記摩擦抵抗増大手段8は、係合付勢機構5による戻り押圧力が仮にやや弱くても、十分な停止保持摩擦が生じるように、係合凸部3の頂部面と摺動用当接部14とに滑り摩擦が増大する荒らし面を設けたり、摩擦係数を大きくするため、樹脂成形した係合凸部3の先端(頂部)面若しくは係合凹部4の摺動用当接部14の表面に金属或いは異種材質を接合するなどして当接面状態を工夫するようにしたりしても良い。
【0071】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、ロック解除操作部によりワンタッチで自動回動させることもできるし、ロック解除操作部を操作することで係合凸部が係合凹部から係脱した回動領域では、ロック解除操作部の操作を止めることで第一部材に対して第二部材が手を放した位置で停止するフリーストップ状態を実現できることになり、また、フリーストップを実現するためには、係合凸部の頂部と摺動用当接部とに強い摩擦抵抗力が必要であり、手っ取り早くこの摩擦抵抗力を得るために係合付勢機構の付勢力を強力なものにすると、ロック解除操作部のワンタッチ解除操作に強い力を要することになってしまうが、この点、本発明では、係合凸部の頂部と摺動用当接部とのいずれか一方若しくは双方に設けた摩擦抵抗増大手段によって係合凸部の頂部と摺動用当接部との摩擦抵抗が高くなるように構成されているために、係合付勢機構の付勢力をロック解除操作部の操作に強い力を要する程強力な付勢力に設定せずとも、フリーストップを実現するに十分な摩擦抵抗が得られることになり、これによりロック解除操作部の解除操作も軽い力で簡単に行うことができる構造を実現可能となる極めて実用性に秀れた画期的なヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器となる。
【0072】
しかも、本発明においては、前記係合凸部の頂部面若しくは前記摺動用当接部に、この係合凸部の前記係合凹部に対する回動方向に若しくは摺動用当接部の係合凸部に対する回動方向に長さを有する摺動凸条を設け、この摺動凸条が嵌合当接する摺動凹溝を前記摺動用当接部若しくは前記係合凸部に設けることで、この係合凸部の頂部と摺動用当接部との当接面積を大きくし、この係合凸部の頂部と摺動用当接部との摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段を構成したから、前記作用効果を確実に発揮する摩擦抵抗増大手段を簡易構成にして極めて容易に設計実現可能となる一層実用性に秀れたヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器となる。
【0073】
また、請求項2記載の発明においては、係合凸部が係合凹部から係脱して係合凸部の頂部と摺動用当接部とが当接する全ての回動領域で極めて良好な摩擦抵抗を発揮してフリーストップを実現できることになる上、この構成は簡易に設計実現可能で量産性に秀れ安価に構成提供可能となるなど一層実用性に秀れたヒンジ装置となる。
【0074】
また、請求項3記載の発明においては、ロック解除操作部の解除操作を単に押込むだけの簡単な操作で行うことができる一層使い易い実用性に秀れたヒンジ装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の使用状態を示す説明斜視図である。
【図2】 本実施例を示す説明斜視図である。
【図3】 第一構造例の説明分解斜視図である。
【図4】 第一構造例の主要部を示すフリーストップ状態での説明斜視図である。
【図5】 第一構造例の主要部を示すフリーストップ状態での一部を切り欠いた説明側面図である。
【図6】 第一構造例の係合凹部を示す説明図である。
【図7】 第一構造例の係合凸部を示す説明図である。
【図8】 第二実施例の主要部を示す分解斜視図である。
【図9】 第二実施例の主要部を示すフリーストップ状態での一部を切り欠いた説明斜視図である。
【図10】 第二実施例の摺動凸条を設けた摺動用当接部を示す説明図である。
【図11】 第二実施例の摺動凹溝を設けた係合凸部を示す説明図である。
【図12】 第三構造例の主要部を示すフリーストップ状態での説明斜視図である。
【図13】 第三構造例の係合凹部を示す説明図である。
【図14】 第三構造例の係合凸部を示す説明図である。
【図15】 本実施例の作動説明図である。
【符号の説明】
1 第一部材
2 第二部材
3 係合凸部
4 係合凹部
5 係合付勢機構
6 回動付勢機構
7 ロック解除操作部
7A 押込みボタン
8 摩擦抵抗増大手段
14 摺動用当接部
20 摺動凸条
21 摺動凹溝

Claims (4)

  1. 第一部材と第二部材とを枢着するヒンジ装置であって、この第一部材,第二部材のいずれか一方に対して回り止め状態に係合凸部を設け、この係合凸部に係合する係合凹部を第一部材,第二部材の他方に対して回り止め状態に設け、この係合凸部と係合凹部とが係合状態のとき第一部材と第二部材とが回動ロックされるように構成し、この係合凸部,係合凹部の少なくとも一方を係合離反方向にスライド移動自在に設けると共に、この係合凸部,係合凹部の少なくとも一方を離反方向に移動した際係合方向に付勢する係合付勢機構と、係合凸部,係合凹部の少なくとも一方を回動方向に付勢する回動付勢機構とを備え、前記係合凸部,係合凹部のいずれか一方を前記係合付勢機構に抗して離反方向にスライド移動させて前記回動付勢機構により係合凸部,係合凹部のいずれか一方を自動回動させるロック解除操作部を備え、前記係合付勢機構により前記係合凸部と係合凹部との係合は係脱せず前記回動ロック状態が保持され、前記ロック解除操作部の操作によって前記係合凸部,係合凹部の少なくとも一方を係合付勢機構に抗して所定距離離反させると、前記回動付勢機構によって係合凸部,係合凹部のいずれか一方が自動回動するように構成し、この係合凸部が係合凹部から係脱した回動領域では、前記係合付勢機構による押圧力で係合凸部の頂部が係合凹部の摺動用当接部に当接するように構成し、この係合凸部の頂部と摺動用当接部とのいずれか一方若しくは双方に係合凸部の頂部と摺動用当接部との摩擦抵抗が高くなる摩擦抵抗増大手段を設けて、この係合凸部が摺動用当接部に当接した際には係合付勢機構による押圧力と摩擦抵抗増大手段とによる回動抵抗の増大によって手を放した位置で回動停止するフリーストップ状態となるように構成し、前記摩擦抵抗増大手段は、前記係合凸部の頂部面若しくは前記摺動用当接部に、この係合凸部の前記係合凹部に対する回動方向に若しくは摺動用当接部の係合凸部に対する回動方向に長さを有する摺動凸条を設け、この摺動凸条が嵌合当接する摺動凹溝を前記摺動用当接部若しくは前記係合凸部に設けることで、この係合凸部の頂部と摺動用当接部との当接面積を大きくし、この係合凸部の頂部と摺動用当接部との摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する構成としたことを特徴とするヒンジ装置。
  2. 前記摺動用当接部の略全範囲に、この摺動用当接部の係合凸部に対する回動方向に長さを有する前記摺動凸条を設け、この摺動凸条が嵌合して面接当接する摺動凹溝を前記係合凸部に設けて、この係合凸部が前記係合凹部から係脱して係合凸部の頂部と摺動用当接部とが当接する略全ての回動領域でこの摺動凸条が摺動凹溝に嵌合当接し、摩擦抵抗を高めてフリーストップを実現する前記摩擦抵抗増大手段を構成したことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
  3. 前記ロック解除操作部は、押込みボタンとして構成し、このロック解除操作部を前記係合離反方向に押込み操作することで、前記係合付勢機構に抗して前記係合凸部若しくは前記係合凹部を離反方向にスライド移動させるように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
  4. 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置を前記第一部材と前記第二部材との枢着部に設けたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器。
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