JP3668450B2 - ヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第一部材と第二部材を枢着するヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、携帯式電子機器の典型例としての携帯式の電話機においては、電話機本体にフリップが開閉自在に取り付けられたフリップタイプと、フリップなしのタイプとが知られている。フリップなしのタイプは、軽量化と利便性の点で秀れているが、スイッチの誤作動防止,コンパクト化,デザインの多様性などの点においてフリップタイプは秀れている。
【0003】
ところで、このフリップを電話機本体に枢着するためのヒンジ装置は、例えば不使用時には電話機本体に対してフリップの閉塞状態が維持され、使用時には電話機本体に対してフリップの開放状態が維持される構造が要求される。
【0004】
そこで、従来においても、例えばフリップを電話機本体に対して常に開放する方向へ付勢させておき、閉塞状態にした際に係止することで閉塞状態を維持するように構成したタイプのものや、フリップを閉塞状態から所定量開放方向に回動させた回動域において閉塞方向に付勢するようにし、一方、フリップを最大限開放した状態から所定量閉塞方向に回動させた回動域において開放方向に付勢するように構成したタイプのものも提案されているが、前者は物品の性質上大きな付勢体を使用することができない故に、開放方向へ回動する程徐々に付勢力が弱くなるため最大開放状態の時に強い付勢力を維持することが困難であり(実際に、最大開放状態の時にフリップがフラフラする場合がある。)、後者の場合、特に開放付勢力が働かない回動域(所謂デッド角)においてはフリップを手で開放回動させる必要があり煩わしいなど、未だユーザーが満足できるものが提案されていないのが現状である。
【0005】
本出願人は、このような事情をも考慮し、極めて商品価値の高い画期的なヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器を開発した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
第一部材1と第二部材2とを開閉回動自在に枢着するヒンジ装置であって、第一部材1と第二部材2とを閉塞状態から開放方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P1までの相対回動域R1において第一部材1と第二部材2を閉塞方向に付勢するとともに、第一部材1と第二部材2とを最大開放状態から閉塞方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P2から最大開放位置P3までの相対回動域R2において第一部材1と第二部材2を開放方向に付勢する第一付勢手段と、前記第一部材1,第二部材2における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3において第一部材1と第二部材2とを開放方向に付勢する第二付勢手段とを具備し、第一部材1と第二部材2とを閉塞状態から所定開放位置P1を過ぎるまで開放方向に相対回動させた際、第一部材1と第二部材2とは相対回動域R3及び相対回動域R2を開放付勢されることで自動回動して最大開放状態となるように構成したことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0008】
また、前記第一部材1,第二部材2のいずれか一方に対して回り止め状態に係合凸部3を設け、他方に対して回り止め状態にこの係合凸部3に係合する係合凹部4を設けて、この係合凸部3,係合凹部4を相対回動自在に設けると共に、この係合凸部3,係合凹部4の少なくとも一方を付勢体5の付勢に抗して係合離反方向にスライド移動自在に設け、第一部材1と第二部材2とを開放方向に相対回動させた際、閉塞状態から所定開放位置P1までの相対回動域R1においては、係合凸部3が係合凹部4に落ち込もうとする際に生じる相対回動付勢力が前記第一部材1と第二部材2とを閉塞方向へ付勢する閉塞付勢力となり、且つ、所定開放位置P1を過ぎた後の所定開放位置P2から最大開放状態までの相対回動域R2においては、係合凸部3が係合凹部4に落ち込もうとする際に生じる相対回動付勢力が前記第一部材1と第二部材2とを開放方向に付勢する開放付勢力となるように前記第一付勢手段を構成したことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置に係るものである。
【0009】
また、前記第一部材1,第二部材2のいずれか一方に固定状態に設けられ、この第一部材1,第二部材2のいずれか一方の回動に伴って回動する回動部6に、挟持付勢し抗拡弾性を有する挟持バネ体7を被嵌配設し、前記回動部6の外形状を回動位置によって径寸法が異なる所定のカム形状に設定して、前記挟持バネ体7による挟持押圧により前記回動部6を前記挟持バネ体7に対して相対回動させるカム回動付勢力が生じるように前記第二付勢手段を構成し、この第二付勢手段に係るカム回動付勢力を、前記第一部材1,第二部材2における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3においては、この第一部材1と第二部材2とを開放方向に付勢する開放付勢力として構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0010】
また、第一部材1と第二部材2とを開閉回動自在に枢着するヒンジ装置であって、この第一部材1,第二部材2のいずれか一方に係合凸部3を設け、他方にこの係合凸部3に係合する係合凹部4を設けて、第一部材1と第二部材2とを開放方向に相対回動させた際、第一部材1と第二部材2とを閉塞状態から開放方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P1までの相対回動域R1においては、係合凸部3と係合凹部4との間に前記第一部材1と第二部材2とを閉塞方向へ付勢する閉塞付勢力が生じ、且つ、第一部材1と第二部材2とを最大開放状態から閉塞方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P2から最大開放位置P3までの相対回動域R2においては、係合凸部3と係合凹部4との間に前記第一部材1と第二部材2とを開放方向に付勢する開放付勢力が生じるように構成し、更に、前記第一部材1,第二部材2のいずれか一方に設けられる回動部6に、挟持付勢し抗拡弾性を有する挟持バネ体7を被嵌配設して、この挟持バネ体7による挟持押圧により前記回動部6を前記挟持バネ体7に対して相対回動させるカム回動付勢力が生じるように構成し、このカム回動付勢力を、前記第一部材1,第二部材2における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3においては、この第一部材1と第二部材2とを開放方向に付勢する開放付勢力として構成し、第一部材1と第二部材2とを閉塞状態から所定開放位置P1を過ぎるまで開放方向に相対回動させた際、第一部材1と第二部材2とは相対回動域R3及び相対回動域R2を開放付勢されることで自動回動して最大開放状態となるように構成したことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0011】
また、第一部材1と第二部材2とを開閉回動自在に枢着するヒンジ装置であって、この第一部材1,第二部材2のいずれか一方に対して回り止め状態に係合凸部3を設け、他方に対して回り止め状態にこの係合凸部3に係合する係合凹部4を設けて、この係合凸部3,係合凹部4を相対回動自在に設けると共に、この係合凸部3,係合凹部4の少なくとも一方を付勢体5の付勢に抗して係合離反方向にスライド移動自在に設け、第一部材1と第二部材2とを開放方向に相対回動させた際、第一部材1と第二部材2とを閉塞状態から開放方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P1までの相対回動域R1においては、係合凸部3が係合凹部4に落ち込もうとする際に生じる相対回動付勢力が前記第一部材1と第二部材2とを閉塞方向へ付勢する閉塞付勢力となり、且つ、第一部材1と第二部材2とを最大開放状態から閉塞方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P2から最大開放位置P3までの相対回動域R2においては、係合凸部3が係合凹部4に落ち込もうとする際に生じる相対回動付勢力が前記第一部材1と第二部材2とを開放方向に付勢する開放付勢力となるように構成し、更に、前記第一部材1,第二部材2のいずれか一方に固定状態に設けられ、この第一部材1,第二部材2のいずれか一方の回動に伴って回動する回動部6に、挟持付勢し抗拡弾性を有する挟持バネ体7を被嵌配設し、前記回動部6の外形状を回動位置によって径寸法が異なる所定のカム形状に設定して、前記挟持バネ体7による挟持押圧により前記回動部6を前記挟持バネ体7に対して相対回動させるカム回動付勢力が生じるように構成し、このカム回動付勢力を、前記第一部材1,第二部材2における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3においては、この第一部材1と第二部材2とを開放方向に付勢する開放付勢力として構成し、第一部材1と第二部材2とを閉塞状態から所定開放位置P1を過ぎるまで開放方向に相対回動させた際、第一部材1と第二部材2とは相対回動域R3及び相対回動域R2を開放付勢されることで自動回動して最大開放状態となるように構成したことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0012】
また、前記第一部材1と第二部材2とを閉塞状態から開放方向に相対回動させた所定開放位置P1を、第一部材1,第二部材2を持つ片手操作により相対回動できる距離に設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0013】
また、前記第一部材1,第二部材2の少なくとも一方に設けた取付孔に嵌挿連結する為の嵌挿連結部12の表面に凸条15を突出形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0014】
また、前記請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒンジ装置を枢着部8に設けたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器に係るものである。
【0015】
また、前記第一部材1若しくは前記第二部材2としての本体部と、これに重合する前記第二部材2若しくは前記第一部材1としての蓋部若しくはフリップとを重合状態から所定開放角度まで開閉できるように枢着する枢着部8に、前記請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒンジ装置を用いたことを特徴とする請求項8記載のヒンジ装置を用いた電子機器に係るものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明は、使用に際し、第一部材1と第二部材2とを閉塞状態から所定開放位置P1を過ぎるまで開放方向に相対回動させた際、第一部材1と第二部材2とは相対回動域R3及び相対回動域R2を開放付勢されることで自動回動して最大開放状態となる。
【0018】
具体的には、第一部材1と第二部材2とを閉塞状態から開放方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P1までの相対回動域R1においては、第一付勢手段により第一部材1と第二部材2は閉塞方向に付勢され、この所定開放位置P1から第一部材1と第二部材2とを最大開放状態から閉塞方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P2までの相対回動域R3においては、第二付勢手段により第一部材1と第二部材2は開放方向に付勢され、この所定開放位置P2から最大開放位置P3までの相対回動域R2においては、第一付勢手段により第一部材1と第二部材2は開放方向に付勢されて最大開放状態となる。
【0019】
従って、例えば本発明を電話機本体にフリップを設けた携帯式電話機に適用した場合、使用に際し、電話機本体に対してフリップを所定角度まで開放方向に回動させると、フリップは自動回動して完全に開放状態となる。その後、フリップを手で戻して所定角度まで閉塞方向に回動させるとフリップは自動回動して完全に閉塞状態となる。
【0020】
つまり、電話機本体を持つ手(指)でフリップを持ち上げるようにして無理のない範囲で所定回動させるだけで、フリップが完全に開いて簡易且つ迅速に使用状態が得られることになるから非常に便利であり、しかも、一つのヒンジ装置に複数の付勢手段を具備せしめることでフリップの閉塞状態及び開放状態において常に強い力で閉塞付勢力及び開放付勢力が作用する構造であるから、フリップが不意に開いたり、或いは、閉じたりすることが可及的に防止され、そして更に、コンパクトでありながら強い付勢力が得られることになり、ひいては、本発明に係るヒンジ装置を組み込む機器自体をもコンパクトにすることができる。
【0021】
【実施例】
図面は本発明の一実施例を図示したものであり、以下に説明する。
【0022】
本実施例は、図1に示すように携帯式電話機Xに適用した場合のもので、本体部を第一部材1とし、フリップを第二部材2とし、本体部1とフリップ2とが重合した閉塞状態からフリップ2を例えば120度まで回動した開放状態(通話位置)とすることができる枢着構造に本発明のヒンジ装置Yを適用している。
【0023】
本実施例では、本体部1の基部に角筒状の取付孔9を設け、フリップ2の基部にもこれと連通状態に隣接する角筒状の取付孔10を設け、この取付孔10夫々に軸状パーツとして構成した本発明のヒンジ装置Yを挿着する構成としている。
【0024】
本体部1(第一部材1)には、前記取付孔9を介して回り止め形状としたケーシング11を固定し、このケーシング11の一端から突出する断面方形状の突出部(嵌挿連結部)12を没入動させた後、前記取付孔9を介してフリップ2(第二部材2)に嵌挿連結固定している。
【0025】
また、本実施例は、嵌挿連結部12の周面に凸条(リブ)15を設けており、嵌挿連結部12をフリップ2の取付孔10に嵌挿させた際、この凸条15が取付孔10内で潰れながら圧着係止することになりガタつきのない堅固な連結を可能にしている(図5〜8参照)。
【0026】
また、この嵌挿連結部12の内側には、前記ケーシング11内に配され、後述する係合凹部4に係合する係合凸部3が設けられている。
【0027】
この係合凸部3は、嵌挿連結部12の内側に位置する軸状部13に形成され、この軸状部13を挟んだ対向位置に一対の突起部3aを設けて構成されている。
【0028】
また、ケーシング11の他端側には閉塞舌片11aが折曲形成され、この閉塞舌片11aの内側には、前記係合凸部3と対向して、互いに係合する係合凹部4が設けられている。
【0029】
この係合凹部4は、前記軸状部13に被嵌状態にしてケーシング11内に回り止め状態に配設され、ケーシング11に設けた案内溝11bに沿ってスライド移動自在となる駒部材14に一対の凹溝4aを形成して構成されており、この凹溝4aは係合凸部3の突起部3aと係合可能となり、且つ、係合凸部3に対して係合離反方向にスライド移動自在に設けられている。
【0030】
また、この係合凹部4と閉塞舌片11aとの間のケーシング11内には、係合凹部4を係合方向に付勢する付勢体5としてのコイルバネが設けられている。
【0031】
従って、係合凸部3と係合凹部4とを相対回動させた際、係合凸部3が係合凹部4を乗り越えるまでの相対回動域においては、この係合凸部3が係合凹部4に対して戻り方向に落ち込むようにして係合凸部3と係合凹部4との間に相対回動付勢力が生じるように構成され、且つ、係合凸部3が係合凹部4を完全に乗り越えた後、係合凸部3の先端面3bと係合凹部4の先端面4bとが暫くずり動し(この係合凸部3の先端面3bと係合凹部4の先端面4bとがずり動する間は付勢力の効かない所謂デッド角である。)、再び係合凸部3が係合凹部4に近づいた際(係合凸部3と係合凹部4とを約180度相対回動させた際)、この係合凸部3が係合凹部4に進み方向に落ち込むようにして係合凸部3と係合凹部4との間に相対回動付勢力が生じるように構成されている。
【0032】
つまり、図15に図示したように本体部1に対しフリップ2を開放方向に回動させた際、閉塞状態から所定開放位置P1までの相対回動域R1においては、係合凸部3が係合凹部4に落ち込もうとする際に生じる回動付勢力が、フリップ2を閉塞状態となるまで閉塞方向に付勢する閉塞付勢力となり、且つ、この所定開放位置P1を過ぎた後の所定開放位置P2から最大開放状態(最大開放位置P3)までの相対回動域R2においては、係合凸部3が係合凹部4に落ち込もうとする際に生じる回動付勢力が、フリップ2を最大開放状態となるまで開放方向に付勢する開放付勢力となるように構成されている。
【0033】
これが請求項で言う第一付勢手段であり、この第一付勢手段に係る本体部1に対するフリップ2の閉塞方向への閉塞付勢力が働いている所定開放位置P1を、本体部1,フリップ2を持つ片手操作により楽に回動できる距離に設定されている。
【0034】
また、本実施例は、第一付勢手段を構成する係合凹部4に係る凹溝4aと先端面4bとの間にテーパー面4cが形成されており、この傾斜面4cにより係合凸部3に係る突起部3aの落ち込み動作が円滑に行われるように構成されている(図9参照)。
【0035】
また、本実施例は、本体部1,フリップ2における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3において、この本体部1に対してフリップ2を開放方向に付勢する開放付勢力としての第二付勢手段を設けている。
【0036】
具体的には、嵌挿連結部12の内側にして係合凸部3との間に回動部6を設け、この回動部6に、挟持付勢し抗拡弾性を有する挟持バネ体7を被嵌した状態でケーシング11内に配設している。
【0037】
この回動部6の外形状は、回動位置によって径寸法が異なる所定のカム形状に設定され(図12の断面形状参照)、コ字状の挟持バネ体7による挟持押圧によりこの回動部6を挟持バネ体7に対して相対回動させるカム回動付勢力が生じるように構成しており、このカム回動付勢力を、本体部1,フリップ2における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3において、この本体部1に対してフリップ2を開放方向に付勢する開放付勢力として構成している(図16参照)。
【0038】
従って、本実施例は、第一付勢手段及び第二付勢手段により、所定開放位置P1を境界に、閉塞状態となるまでの閉塞付勢力と、最大開放状態となるまでの開放付勢力とを具備している(図17参照)。
【0039】
この点について更に詳述すると、本体部1に対するフリップ2の閉塞状態から所定開放位置P1までの回動域R1においては、第一付勢手段に係る係合凸部3は係合凹部4に戻り方向に落ち込もうとすると共に、回動部6は挟持バネ体7の挟持により戻り回動しようとすることで、フリップ2には閉塞方向に閉塞付勢力が作用する(図14中(a),(b)参照)。
【0040】
続いて、フリップ2を所定開放位置P1を過ぎて所定開放位置P2までの回動域R3においては、係合凸部3は係合凹部4に完全に乗り上げて互いの先端面3a,4a同志がずり動する状態となり、一方、回動部6の径大部6aが越えることで挟持バネ体7の押圧挟持作用が働き回動することでカム回動付勢力が生じ、このカム回動付勢力はフリップ2を開放方向への開放付勢力となる(図14中(c)参照)。
【0041】
続いて、カム回動付勢力により付勢されて開放したフリップ2は、所定開放位置P2の位置から最大開放位置P3までにおいては、当該カム回動付勢力に連続して係合凸部3が係合凹部4に進み方向に落ち込もうとする回動付勢力が働くことで、フリップ2を開放方向に付勢されて最大開放状態となる(図14中(d)参照)。
【0042】
本実施例は上述のように構成したから、使用に際し、携帯式電話の本体部1に対してフリップ2を所定角度まで開放方向に回動させると、フリップ2は自動回動して完全に開放状態となる。その後、フリップ2を手で戻して所定角度まで閉塞方向に回動させるとフリップ2は自動回動して完全に閉塞状態となる。
【0043】
即ち、本体部1を持つ手(指)でフリップ2を持ち上げるようにして無理のない範囲で所定回動させるだけで、フリップ2が片手操作で完全に開いて簡易且つ迅速に使用状態(通話可能状態)が得られることになり非常に便利であり、しかも、フリップ2の閉塞状態及び開放状態において常に強い力で閉塞付勢力及び開放付勢力が作用する構造であるから、フリップ2が不意に開いたり、或いは、閉じたりすることが可及的に防止されることになる。
【0044】
また、本実施例は、一つのヒンジ装置Yに2つの付勢構造を具備せしめることでヒンジ装置Yを飛躍的にコンパクトにすることができ、しかも、コンパクトでありながら強力な付勢力が得られることになり(一つの付勢構造で強い付勢力を得ようとする場合、ヒンジ装置Y自体が大きくなってしまう。)、ひいては、本実施例に係るヒンジ装置Yを組み込む機器自体(携帯式電話)をもコンパクト(例えば図1に図示したように従来にない所謂化粧品のコンパクトのようなスリムタイプ)にすることができる。
【0045】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0046】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、第一部材と第二部材とが簡易且つ迅速に開放状態となり、しかも、一つのヒンジ装置に複数の付勢手段を具備せしめることで閉塞状態及び開放状態において常に強い力で閉塞付勢力及び開放付勢力が作用する構造であるから、第一部材と第二部材とが不意に開放回動したり、或いは、閉塞回動したりすることが可及的に防止され、そして更に、コンパクトでありながら強い付勢力が得られることになるなど極めて商品価値の高い画期的なヒンジ装置となる。
【0047】
また、請求項2記載の発明においては、前記請求項1記載の発明の作用効果に加え、具体的に第一付勢手段としての機能を確実に発揮することになるなど極めて商品価値の高い画期的なヒンジ装置となる。
【0048】
また、請求項3記載の発明においては、前記請求項1,2記載の発明の作用効果に加え、具体的に第二付勢手段としての機能を確実に発揮することになるなど極めて商品価値の高い画期的なヒンジ装置となる。
【0049】
また、請求項4,5記載の発明においては、所定の位置を境界とした閉塞付勢力と開放付勢力を発揮するヒンジ構造が簡易且つ確実に得られるなど極めて商品価値の高い画期的なヒンジ装置となる。
【0050】
また、請求項6記載の発明においては、前記請求項1〜5記載の発明の作用効果に加え、片手操作により簡易且つ確実に第一部材と第二部材の開放状態が得られることになるなど極めて商品価値の高い画期的なヒンジ装置となる。
【0051】
また、請求項7記載の発明においては、前記請求項1〜6記載の発明の作用効果に加え、第一部材,第二部材の少なくとも一方への連結がガタつきのない堅固に行われることになるなど極めて商品価値の高い画期的なヒンジ装置となる。
【0052】
また、請求項8,9記載の発明においては、極めて商品価値の高い画期的なヒンジ装置を用いた電子機器となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るヒンジ装置を電子機器に組み込んだ状態の説明図である。
【図2】本実施例に係るヒンジ装置の分解斜視図である。
【図3】本実施例に係るヒンジ装置を示す斜視図である。
【図4】本実施例に係るヒンジ装置の説明斜視図である。
【図5】本実施例に係るヒンジ装置の概略動作説明図である。
【図6】本実施例に係る要部の説明断面図である。
【図7】本実施例に係るヒンジ装置の概略動作説明図である。
【図8】本実施例に係る要部の説明断面図である。
【図9】本実施例に係る要部の説明斜視図である。
【図10】本実施例に係る要部を示す斜視図である。
【図11】本実施例に係る要部を示す側面図である。
【図12】図11に示すA−A断面図である。
【図13】本実施例に係る要部を示す端面図である。
【図14】本実施例に係る要部の概略動作説明図である。
【図15】本実施例の概略動作説明図である。
【図16】本実施例の概略動作説明図である。
【図17】本実施例の概略動作説明図である。
【符号の説明】
P1 所定開放位置
P2 所定開放位置
P3 最大開放位置
R1 相対回動域
R2 相対回動域
R3 相対回動域
1 第一部材
2 第二部材
3 係合凸部
4 係合凹部
5 付勢体
6 回動部
7 挟持バネ体
8 枢着部
12 嵌挿連結部
15 凸条
Claims (9)
- 第一部材と第二部材とを開閉回動自在に枢着するヒンジ装置であって、第一部材と第二部材とを閉塞状態から開放方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P1までの相対回動域R1において第一部材と第二部材を閉塞方向に付勢するとともに、第一部材と第二部材とを最大開放状態から閉塞方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P2から最大開放位置P3までの相対回動域R2において第一部材と第二部材を開放方向に付勢する第一付勢手段と、前記第一部材,第二部材における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3において第一部材と第二部材とを開放方向に付勢する第二付勢手段とを具備し、第一部材と第二部材とを閉塞状態から所定開放位置P1を過ぎるまで開放方向に相対回動させた際、第一部材と第二部材とは相対回動域R3及び相対回動域R2を開放付勢されることで自動回動して最大開放状態となるように構成したことを特徴とするヒンジ装置。
- 前記第一部材,第二部材のいずれか一方に対して回り止め状態に係合凸部を設け、他方に対して回り止め状態にこの係合凸部に係合する係合凹部を設けて、この係合凸部,係合凹部を相対回動自在に設けると共に、この係合凸部,係合凹部の少なくとも一方を付勢体の付勢に抗して係合離反方向にスライド移動自在に設け、第一部材と第二部材とを開放方向に相対回動させた際、閉塞状態から所定開放位置P1までの相対回動域R1においては、係合凸部が係合凹部に落ち込もうとする際に生じる相対回動付勢力が前記第一部材と第二部材とを閉塞方向へ付勢する閉塞付勢力となり、且つ、所定開放位置P1を過ぎた後の所定開放位置P2から最大開放状態までの相対回動域R2においては、係合凸部が係合凹部に落ち込もうとする際に生じる相対回動付勢力が前記第一部材と第二部材とを開放方向に付勢する開放付勢力となるように前記第一付勢手段を構成したことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
- 前記第一部材,第二部材のいずれか一方に固定状態に設けられ、この第一部材,第二部材のいずれか一方の回動に伴って回動する回動部に、挟持付勢し抗拡弾性を有する挟持バネ体を被嵌配設し、前記回動部の外形状を回動位置によって径寸法が異なる所定のカム形状に設定して、前記挟持バネ体による挟持押圧により前記回動部を前記挟持バネ体に対して相対回動させるカム回動付勢力が生じるように前記第二付勢手段を構成し、この第二付勢手段に係るカム回動付勢力を、前記第一部材,第二部材における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3においては、この第一部材と第二部材とを開放方向に付勢する開放付勢力として構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
- 第一部材と第二部材とを開閉回動自在に枢着するヒンジ装置であって、この第一部材,第二部材のいずれか一方に係合凸部を設け、他方にこの係合凸部に係合する係合凹部を設けて、第一部材と第二部材とを開放方向に相対回動させた際、第一部材と第二部材とを閉塞状態から開放方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P1までの相対回動域R1においては、係合凸部と係合凹部との間に前記第一部材と第二部材とを閉塞方向へ付勢する閉塞付勢力が生じ、且つ、第一部材と第二部材とを最大開放状態から閉塞方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P2から最大開放位置P3までの相対回動域R2においては、係合凸部と係合凹部との間に前記第一部材と第二部材とを開放方向に付勢する開放付勢力が生じるように構成し、更に、前記第一部材,第二部材のいずれか一方に設けられる回動部に、挟持付勢し抗拡弾性を有する挟持バネ体を被嵌配設して、この挟持バネ体による挟持押圧により前記回動部を前記挟持バネ体に対して相対回動させるカム回動付勢力が生じるように構成し、このカム回動付勢力を、前記第一部材,第二部材における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3においては、この第一部材と第二部材とを開放方向に付勢する開放付勢力として構成し、第一部材と第二部材とを閉塞状態から所定開放位置P1を過ぎるまで開放方向に相対回動させた際、第一部材と第二部材とは相対回動域R3及び相対回動域R2を開放付勢されることで自動回動して最大開放状態となるように構成したことを特徴とするヒンジ装置。
- 第一部材と第二部材とを開閉回動自在に枢着するヒンジ装置であって、この第一部材,第二部材のいずれか一方に対して回り止め状態に係合凸部を設け、他方に対して回り止め状態にこの係合凸部に係合する係合凹部を設けて、この係合凸部,係合凹部を相対回動自在に設けると共に、この係合凸部,係合凹部の少なくとも一方を付勢体の付勢に抗して係合離反方向にスライド移動自在に設け、第一部材と第二部材とを開放方向に相対回動させた際、第一部材と第二部材とを閉塞状態から開放方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P1までの相対回動域R1においては、係合凸部が係合凹部に落ち込もうとする際に生じる相対回動付勢力が前記第一部材と第二部材とを閉塞方向へ付勢する閉塞付勢力となり、且つ、第一部材と第二部材とを最大開放状態から閉塞方向に所定角度だけ相対回動させた所定開放位置P2から最大開放位置P3までの相対回動域R2においては、係合凸部が係合凹部に落ち込もうとする際に生じる相対回動付勢力が前記第一部材と第二部材とを開放方向に付勢する開放付勢力となるように構成し、更に、前記第一部材,第二部材のいずれか一方に固定状態に設けられ、この第一部材,第二部材のいずれか一方の回動に伴って回動する回動部に、挟持付勢し抗拡弾性を有する挟持バネ体を被嵌配設し、前記回動部の外形状を回動位置によって径寸法が異なる所定のカム形状に設定して、前記挟持バネ体による挟持押圧により前記回動部を前記挟持バネ体に対して相対回動させるカム回動付勢力が生じるように構成し、このカム回動付勢力を、前記第一部材,第二部材における所定開放位置P1から所定開放位置P2までの相対回動域R3においては、この第一部材と第二部材とを開放方向に付勢する開放付勢力として構成し、第一部材と第二部材とを閉塞状態から所定開放位置P1を過ぎるまで開放方向に相対回動させた際、第一部材と第二部材とは相対回動域R3及び相対回動域R2を開放付勢されることで自動回動して最大開放状態となるように構成したことを特徴とするヒンジ装置。
- 前記第一部材と第二部材とを閉塞状態から開放方向に相対回動させた所定開放位置P1を、第一部材,第二部材を持つ片手操作により相対回動できる距離に設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
- 前記第一部材,第二部材の少なくとも一方に設けた取付孔に嵌挿連結する為の嵌挿連結部の表面に凸条を突出形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
- 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒンジ装置を枢着部に設けたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器。
- 前記第一部材若しくは前記第二部材としての本体部と、これに重合する前記第二部材若しくは前記第一部材としての蓋部若しくはフリップとを重合状態から所定開放角度まで開閉できるように枢着する枢着部に、前記請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒンジ装置を用いたことを特徴とする請求項8記載のヒンジ装置を用いた電子機器。
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