JP4103260B2 - 透明樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明樹脂シートの製造方法に関し、更に詳しくは、優れた光学特性を有し、例えば液晶表示素子などに好適に用いることができる透明樹脂シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子においては、一般に、位相差補償板(以下、「位相差板」という。)が組み込まれており、このような位相差板としては、延伸光学シートが使用されている。
かかる延伸光学シートにおいては、通常、原反として高分子シート例えばポリカーボネート(PC)シート、ポリビニルアルコール(PVA)シート、ポリスルホン(PSf)シートなどの未延伸シートを延伸して、分子を配向させることにより、所要の位相差が得られる。
【0003】
延伸光学シートの原反として用いられる未延伸シートの製造方法としては、以下のような方法が提案されている。
(1)樹脂を溶剤に溶解することにより樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液を無端ベルトまたはベースフィルム上に流延した後、溶剤の除去処理を行うことにより、無端ベルトまたはベースフィルム上に樹脂層を形成し、その後、樹脂層を無端ベルトまたはベースフィルムから剥離する溶剤キャスト法(特開平4−301415号公報参照)。
(2)Tダイを取り付けた押出機を用い、このTダイから溶融状態の樹脂を押し出した後、一対のロールによって挟圧する方法(特開平2−61899号公報参照)。
【0004】
しかしながら、上記(1)の方法では、シートの製造設備費およびランニングコストが高く、しかも、作業環境が悪い、という問題がある。
また、上記(2)の方法では、得られるシートには、厚みむら、ダイライン、ギヤマークが発生し、また、当該シートの残留位相差が大きいため、光学的用途に供するシートとして十分な特性を有するものが得られない。
【0005】
また、最近においては、ポリプロピレン(PP)の鏡面成形方法として、Tダイから溶融状態で押出された膜状の樹脂を、キャストドラムと無端金属ベルトとの間で円弧状に挟圧する方法が提案されている(特開平6−170919号公報)。
しかしながら、このような方法では、厚みむら、ダイライン、ギヤマークのないシートを製造することは可能であるが、残留位相差の小さいシートを得ることは困難である。
【0006】
さらに、残留位相差の小さいシートを製造する方法として、金属製冷却ロールと無端金属ベルトとによって、シートの巻き取り速度が、金属製冷却ロールの回転周速度より遅い速度でかつ剥離後にシートが弛まない速度となるよう制御しながら、Tダイから押し出された溶融状態の樹脂を挟圧する方法が提案されている(特開平9−290427号公報参照)。
しかしながら、このような方法によって得られる樹脂シートにおいては、 シートを巻取る際に当該シートに張力が作用するため、位相差むらが生じる結果、安定した光学特性を有する樹脂シートを製造することが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、位相差むらが少なくて安定した光学特性を有する透明樹脂シートを製造することができる方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、残留位相差が小さい透明樹脂シートを製造することができる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の透明樹脂シートの製造方法は、環状オレフィン系樹脂を、押出機によって溶融して当該押出機に取り付けられたダイスからシート状に押し出し、この溶融状態の環状オレフィン系樹脂を、表面が鏡面加工されてなる冷却ロールに密着させて成形し、得られた樹脂シートを、引取ロールによって引き取る工程を有する透明樹脂シートの製造方法において、
前記引取ロールにおいて、前記冷却ロールと当該引取ロールとの間において前記樹脂シートに作用する張力が20kg/cm2 以下であり、かつ、±10%の範囲内で一定となるように、前記冷却ロールと引取ロールとの間における張力を、3つのロール素子からなり、シートが通過することによって当該シートに作用する張力を検出する張力検出ロール群によって検出し、制御することを特徴とする。
【0009】
上記の透明樹脂シートの製造方法においては、前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度をTg[℃]としたとき、前記冷却ロールの表面温度がTg−50[℃]以上であることが好ましい。
また、溶融状態の環状オレフィン系樹脂を、冷却ロールとこれに圧接するよう設けられた押圧ロールとによって挟圧することにより、当該環状オレフィン系樹脂を当該冷却ロールに密着させることが好ましい。
また、溶融状態の環状オレフィン系樹脂を帯電させることにより、当該環状オレフィン系樹脂を冷却ロールに密着させることが好ましい。
【0010】
また、本発明の透明樹脂シートの製造方法は、環状オレフィン系樹脂を、押出機によって溶融して当該押出機に取り付けられたダイスからシート状に押し出し、この溶融状態の環状オレフィン系樹脂を、キャストドラムと、このキャストドラムにその周方向に沿って圧接するよう設けられた、表面が鏡面加工されてなる冷却ベルトとの間に通過させて成形し、得られた樹脂シートを、引取ロールによって引き取る工程を有する透明樹脂シートの製造方法において、
前記引取ロールにおいて、前記冷却ベルトと当該引取ロールとの間において前記樹脂シートに作用する張力が20kg/cm2 以下であり、かつ、±10%の範囲内で一定となるように、前記冷却ベルトと引取ロールとの間における張力を、3つのロール素子からなり、シートが通過することによって当該シートに作用する張力を検出する張力検出ロール群によって検出し、制御することを特徴とする。
【0011】
上記の透明樹脂シートの製造方法においては、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度をTg[℃]としたとき、キャストドラムと冷却ベルトとの間を通過した直後における樹脂シートの温度がTg−20[℃]以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の透明樹脂シートの製造方法においては、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度をTg[℃]としたとき、当該環状オレフィン系樹脂を溶融するための加熱温度がTg+100[℃]以上であることが好ましい。
また、ベントを有する押出機を用い、当該押出機のベントから環状オレフィン系樹脂中に含まれる低沸点不純物を脱気することが好ましい。
【0013】
また、本発明の透明樹脂シートの製造方法においては、環状オレフィン系樹脂が、下記一般式(I)で表される構造単位を有する重合体または共重合体であることが好ましい。
【0014】
【化3】
Figure 0004103260
【0015】
更に、本発明の透明樹脂シートの製造方法においては、環状オレフィン系樹脂が、下記一般式(II)で表される構造単位を有する重合体または共重合体であることが好ましい。
【0016】
【化4】
Figure 0004103260
【0017】
【作用】
本発明の製造方法によれば、樹脂シートに作用する張力が一定となるよう、引取ロールを制御するため、位相差むらが少なくて安定した光学特性を有する透明樹脂シートが得られる。
また、樹脂シートに作用する張力が20kg/cm2 以下となるよう制御することにより、残留位相差が小さい透明樹脂シートが得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の透明樹脂シートの製造方法について詳細に説明する。
本発明の製造方法においては、透明樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂材料として、環状オレフィン系樹脂が用いられる。この環状オレフィン系樹脂は、他の透明樹脂例えばポリカーボネートやポリスチレンなどと比較して、分子を配向させたときに、分子の配向による複屈折が生じにくいため、光学分野における種々の用途などに有用である。
かかる環状オレフィン系樹脂としては、下記一般式(III )で表される単量体(以下、「特定単量体」ともいう。)から得られる重合体または共重合体(以下、「(共)重合体」と表現する。)を用いることが好ましく、より好ましくは上記一般式(I)で表される構造単位を有する(共)重合体、特に好ましくは、上記一般式(II)で表される構造単位を有する(共)重合体である。
【0019】
【化5】
Figure 0004103260
【0020】
具体的には、環状オレフィン系樹脂として下記(a)〜(e)に示す重合体または共重合体を好適に用いることができる。
(a)特定単量体の開環重合体(以下、「特定の開環重合体」ともいう。),
(b)特定単量体とこれと共重合可能な環状単量体(以下、「共重合性環状単量体」ともいう。)との開環共重合体(以下、「特定の開環共重合体」ともいう。),
(c)特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体(以下、「特定の飽和共重合体」ともいう。),
(d)特定の開環重合体または特定の開環共重合体(以下、これらを「特定の開環(共)重合体」ともいう。)の水素添加(共)重合体,
(e)特定の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化した後、水素添加して得られる水素添加(共)重合体
【0021】
〔特定単量体〕
好ましい特定単量体としては、上記一般式(III )中、R1 およびR3 が水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2 およびR4 が水素原子または一価の有機基であって、R2 およびR4 の少なくとも一つは水素原子および炭化水素基以外の極性基を示し、mが0〜3の整数、pが0〜3の整数であり、m+pの値が0〜4、更に好ましくは0〜2、特に好ましくは1であるものを挙げることができる。
【0022】
また、特定単量体のうち、R2 およびR4 が下記一般式(IV)で表される極性基を有する特定単量体は、ガラス転移温度が高く、吸湿性が低い環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
【0023】
【化6】
Figure 0004103260
【0024】
上記一般式(IV)において、R5 はアルキル基であることが好ましい。
また、nの値が小さいものほど、得られる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くなるので好ましく、特にnが0である特定単量体は、その合成が容易である点で好ましい。
【0025】
また、上記一般式(III )において、R1 またはR3 はアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数が1〜4のアルキル基、さらに好ましくは炭素数が1〜2のアルキル基、特に好ましくはメチル基である。更に、このアルキル基が上記一般式(IV)で表される極性基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に結合されていることが好ましい。
また、一般式(III )においてmが1である特定単量体は、ガラス転移温度がより高い環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
【0026】
上記一般式(III )で表わされる特定単量体の具体例としては、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .199,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
【0027】
ジメタノオクタヒドロナフタレン、
エチルテトラシクロドデセン、
6−エチリデン−2−テトラシクロドデセン、
トリメタノオクタヒドロナフタレン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
【0028】
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【0029】
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンなどを挙げることができる。
【0030】
これらの特定単量体のうち、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、ペンタシクロ〔7.4.0.12,5 .19,12.08,13〕−3−ペンタデセンは、優れた耐熱性を有する環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
【0031】
〔共重合性環状単量体〕
特定の開環共重合体を得るための共重合性環状単量体としては、炭素数が4〜20、特に5〜12のシクロオレフィンを用いることが好ましく、その具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−3−デセン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
【0032】
〔不飽和二重結合含有化合物〕
特定の飽和共重合体を得るための不飽和二重結合含有化合物としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を含む不飽和炭化水素系ポリマーを用いることができる。
【0033】
特定単量体と共重合性環状単量体または不飽和二重結合含有化合物との使用割合は、特定単量体:共重合性環状単量体または不飽和二重結合含有化合物が、重量比で100:0〜50:50であることが好ましく、更に好ましくは100:0〜60:40である。
共重合性環状単量体または不飽和二重結合含有化合物の使用割合が過大である場合には、得られる共重合体のガラス転移温度が低下し、その結果、樹脂の耐熱性が低下するため、目的とする耐熱性の高いシートを得ることが困難となる。
【0034】
〔開環重合触媒〕
特定単量体の開環重合反応はメタセシス触媒の存在下に行われる。
このメタセシス触媒は、タングステン化合物、モリブデン化合物およびレニウム化合物から選ばれた少なくとも1種の金属化合物(以下、「(a)成分」という。)と、デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、III B族元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)あるいはIVB族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種の化合物(以下、「(b)成分」という。)との組み合わせからなるものであり、触媒活性を高めるために添加剤(以下、「(c)成分」という。)が含有されていてもよい。
【0035】
上記(a)成分を構成する好適な金属化合物の具体例としては、WCl6 、MoCl5 、ReOCl3 などの特開平1−240517号公報に記載の金属化合物を挙げることができる。
上記(b)成分を構成する化合物の具体例としては、n−C4 9 Li、(C2 5 3 Al 、(C2 5 2 AlCl、(C2 5 1.5 AlCl1.5 、(C2 5 )AlCl2 、メチルアルモキサン、LiHなどの特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
上記(c)成分としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などを好適に用いることができるが、その他に特開平1−240517号公報に示される化合物を用いることができる。
【0036】
〔水素添加〕
本発明の製造方法において、透明樹脂シートを構成する環状レフィン系樹脂としては、上記の特定の(共)開環重合体および特定の飽和共重合体の他に、特定の(共)開環重合体に水素添加して得られる水素添加(共)重合体、および特定の(共)開環重合体をフリーデルクラフト反応により環化した後、これに水素添加して得られる水素添加(共)重合体を用いることができる。
このような水素添加(共)重合体は、優れた熱安定性を有するものであるため、成形加工を行う際や製品として使用する際に、加熱によってその特性が劣化することを防止することができる。
ここに、水素添加(共)重合体における水素添加率は、通常50%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。
【0037】
透明樹脂シートを構成する環状オレフィン系樹脂は、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )が0.2〜5.0dl/gであることが好ましい。
また、環状オレフィン系樹脂の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が8,000〜100,000、重量平均分子量(Mw)が20,000〜300,000の範囲のものが好適である。
更に、環状オレフィン系樹脂のビカット軟化点は、160℃以上であることが好ましい。
【0038】
図1は、本発明の透明樹脂シートの製造方法を実施するための製造装置の一例における概略を示す説明図である。
この図において、10はベント11を有する押出機であって、この押出機10のベント11には、真空ポンプなどの吸引手段(図示省略)が接続されている。15はダイスであって、押出機10の先端に取り付けられている。ダイス15としては、フラットダイが用いられ、その具体例としては、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイなどを挙げることができる。これらの中では、コートハンガーダイ、マニーホールドダイが好ましい。
ダイス15の材質としては、SCM系の鋼鉄、SUSなどのステンレス材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、ダイス15としては、その内面特にダイリップの先端部が高度に研磨されたものであって、当該内面にクロム、ニッケル、チタンなどのメッキが施されたもの、PVD(Phisical Vapor Deposition)法などにより、TiN、TiAlN、TiC、CrN、DLC(ダイアモンド状カーボン)などの被膜が形成されたもの、その他のセラミックスが溶射されたもの、表面が窒化処理されたものなどを用いることが好ましい。このようなダイスは、表面硬度が高く、樹脂との摩擦が小さいため、得られる透明樹脂シートに、焼けゴミなどが混入することを防止することができると共に、ダイラインが発生することを防止することができる点で、好ましい。
【0039】
ダイス15の前方(図において右方)には、金属製の冷却ロール20およびこれに圧接された金属製の押圧ロール25が上下に並ぶよう配置されており、冷却ロール20の上方には、剥離ロール30が当該冷却ロール20に接した状態で配置されている。冷却ロール20の前方(図において右方)には、3つのロール素子からなる張力検出ロール群35を介して、一対の引取ロール40が配置されている。
【0040】
冷却ロール20は、内部に加熱手段および冷却手段を有し、その表面が鏡面加工が施されてなるものである。具体的には、冷却ロール20の表面は、その表面粗さが1μm以下、特に0.2μm以下であることが好ましい。この表面粗さが1μmを超える場合には、表面粗さの小さい透明樹脂シートを得ることが困難となることがある。
押圧ロール25は、内部に加熱手段および冷却手段を有し、その表面が鏡面加工が施されてなるものであることが好ましい。具体的には、押圧ロール25の表面は、その表面粗さが1μm以下、特に0.2μm以下であることが好ましい。剥離ロール30は、冷却ロール20に密着した樹脂シートを当該冷却ロール20から剥離するためのものであって、内部に加熱手段および冷却手段を有するものである。
【0041】
以上において、冷却ロール20および押圧ロール25は、ダイス15に可能な限り近接して配置されていることが好ましく、例えばダイス15の吐出口16から、冷却ロール20と押圧ロール25との接触点Eまでを結ぶ直線の距離Dが300mm以下、特に250mm以下であることが好ましい。
この距離Dが300mmを超える場合には、ダイス15の吐出口16から吐出した溶融状態の環状オレフィン系樹脂が、冷却ロール20と押圧ロール25とによって挟圧されるまでに著しく冷却されるため、得られる樹脂シートには、残留歪みによる位相差が生じやすくなると共に、得られる樹脂シートの表面平滑性が低下することがある。
【0042】
本発明において、図1に示すような製造装置を用いる場合には、次のようにして透明樹脂シートが製造される。
図2に示すように、環状オレフィン系樹脂が押出機10によって溶融され、この溶融状態の環状オレフィン系樹脂Rが、ダイス15の吐出口16から水平方向(図において右方向)に向かってシート状に押し出される。その後、図3に示すように、押し出された環状オレフィン系樹脂Rを、冷却ロール20と押圧ロール25との間に通過させて当該冷却ロール20および当該押圧ロール25によって挟圧することにより、当該環状オレフィン系樹脂Rを冷却ロール20の表面に密着させて冷却し、これにより、樹脂シートSが成形される。そして、図4に示すように、冷却ロール20の表面に密着された樹脂シートSは、剥離ロール30によって冷却ロール20の表面から剥離され、次いで、図5に示すように、剥離ロール30から張力検出ロール群35を通過した後、引取ロール40によって引き取られる。
【0043】
そして、本発明の製造方法においては、冷却ロール20と引取ロール40との間において、樹脂シートSが張力検出ロール群35を通過することによって、当該樹脂シートSに作用する張力が検出され、この検出された張力の値が一定となるよう、引取ロール40による樹脂シートSの引取速度がフィードバック制御される。
具体的には、樹脂シートSに作用する張力は、目標値に対して±10%の範囲内で制御され、好ましくは±7%の範囲内で、特に好ましくは±5%の範囲内で制御される。この制御範囲が±10%を超える場合には、得られる樹脂シートSには位相差ムラが生じる。
引取ロール40による樹脂シートSの引取速度は、樹脂シートSに作用する張力(目標値)が20kg/cm2 以下となるよう制御されることが好ましく、より好ましくは15kg/cm2 以下である。樹脂シートSに作用する張力が20kg/cm2 を超える場合には、得られる樹脂シートSには、大きい残留位相差が生じて、所期の光学特性が得られないことが得られないことがある。
【0044】
押出機10による環状オレフィン系樹脂を溶融するための加熱温度は、用いられる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度をTg〔℃〕としたとき、Tg+100[℃]以上、好ましくはTg+130[℃]以上でTg+170[℃]以下、より好ましくはTg+145[℃]以上でTg+160[℃]以下の範囲に設定される。
この加熱温度がTg+100[℃]未満である場合には、環状オレフィン系樹脂が十分に溶融されず、その流動性が不均一となるため、ダイス15から安定した吐出量で環状オレフィン系樹脂を吐出させることが困難となり、その結果、所期の厚みおよび光学特性を有する透明樹脂シートを得ることが困難となる。
一方、この加熱温度が過大である場合には、環状オレフィン系樹脂の分子鎖が切断したり、ダイス15から吐出された際に酸化したりするため、得られる樹脂シートは劣化しやすいものとなることがある。
【0045】
また、押出機10によって環状オレフィン系樹脂を溶融する際には、当該押出機10のベント11から環状オレフィン系樹脂中に含まれる低沸点不純物を脱気することが好ましい。このような低沸点不純物の脱気を行うことにより、環状オレフィン系樹脂Rが、ダイス15の吐出口16から押し出されたときに発泡することを防止することができるので、気泡のない透明樹脂シートを確実に製造することができる。
【0046】
冷却ロール20の表面温度は、好ましくはTg−50[℃]以上、より好ましくはTg−30[℃]以上でTg+20[℃]以下、更に好ましくはTg−20[℃]以上でTg+10[℃]以下の範囲に設定される。
冷却ロール20の表面温度がTg−50[℃]未満である場合には、環状オレフィン系樹脂Rが、冷却ロール20および押圧ロール25によって挟圧されたときに急冷されるため、当該環状オレフィン系樹脂に大きい応力が作用する結果、得られる樹脂シートSの表面平滑性が低下すると共に、当該樹脂シートSには、大きい残留位相差が生じやすくなる。
一方、冷却ロール20の表面温度が過大である場合には、冷却ロール20に密着された樹脂シートSを十分に冷却した状態で剥離することができないため、得られる樹脂シートSには、その流れ方向に垂直な方向に伸びる線状のマークが生ずることがある。また、樹脂シートSが引取ロール40によって引き取られる際に、著しい分子の配向が発生する結果、大きい残留位相差が生じることがある。
【0047】
また、同様の理由から、押圧ロール25の表面温度は、冷却ロール20と同様の範囲で設定されることが好ましく、更に、冷却ロール20の表面温度との差が20[℃]以内、特に10[℃]以内であることが好ましい。
冷却ロール20の表面温度と押圧ロール25の表面温度との差が20[℃]を超える場合には、環状オレフィン系樹脂Rが、冷却ロール20および押圧ロール25によって挟圧されるときに、当該環状オレフィン系樹脂Rにおける冷却ロール20に接する面と押圧ロール25に接する面との温度差が過大となって、両者の収縮率に差が生じるため、得られる樹脂シートに反りが生じることがある。
【0048】
冷却ロール20によって成形される樹脂シートSの厚みは、0.2〜1.5mm、特に0.3〜1.2mmであることが好ましい。
樹脂シートSの厚みが0.2mm未満である場合には、ダイス15から押し出されるシート状の環状オレフィン系樹脂Rの厚みを小さくする必要があり、当該環状オレフィン系樹脂Rがダイス15から押し出された直後に著しく冷却されるため、得られる樹脂シートの表面平滑性が低下することがある。
一方、樹脂シートSの厚みが1.5mmを超える場合には、当該樹脂シートSに作用する張力が一定となるよう、引取速度を制御することが困難となることがある。
【0049】
剥離ロール30の表面温度は、Tg[℃]以下、特にTg−50[℃]以下の温度に設定することが好ましい。
剥離ロール30の表面温度がTg〔℃〕を超える場合には、冷却ロール20に密着された樹脂シートSが十分に低い温度例えばTg〔℃〕以下の温度に冷却された状態で冷却ロール20から剥離することが困難となるため、剥離した樹脂シートSが引き取られる際に延伸される結果、当該樹脂シートSに厚みむら、位相差むらが生じやすくなる。
【0050】
以上のような方法によれば、冷却ロール20と引取ロール40との間において、樹脂シートSに作用する張力が一定となるよう、引取ロール40が制御されるため、位相差むらが少なくて安定した光学特性を有する透明樹脂シートを確実に製造することができる。
そして、樹脂シートSに作用する張力を20kg/cm2 以下となるよう制御することにより、残留位相差が小さい透明樹脂シートを確実に製造することができる。
【0051】
また、冷却ロール20の表面温度が、用いられる環状オレフィン系樹脂Rのガラス転移温度を基準とする特定の温度以上に設定されているため、当該環状オレフィン系樹脂Rが急冷されることがなく、これにより、当該樹脂に大きい応力が作用することが回避され、その結果、残留位相差が小さく、所期の表面粗さを有する透明樹脂シートを確実に製造することができる。
【0052】
図6は、本発明の透明樹脂シートの製造方法を実施するための製造装置の他の例における概略を示す説明図である。
この製造装置において、ダイス15は、その吐出口16が下方を向くよう、ベント11を有する押出機10に取り付けられている。このダイス15の下方には、金属製の冷却ロール20が配置され、この冷却ロール20の前方(図において右方)には、剥離ロール30が配置されており、更に、この剥離ロール30の下流側には、3つのロール素子からなる張力検出ロール群35を介して、一対の引取ロール40が配置されている。
また、冷却ロール20における上流側の側方(図において左方)位置には、帯電器26が配置されており、冷却ロール20と剥離ロール30との間の下方位置には、除電器27が配置されている。
以上において、ダイス15、冷却ロール20および剥離ロール30の具体的構成は、図1に示す製造装置と同様である。
【0053】
本発明において、図6に示すような製造装置を用いる場合には、次のようにして透明樹脂シートが製造される。
図7に示すように、環状オレフィン系樹脂が押出機10によって溶融されると共に、当該押出機10のベント11から当該環状オレフィン系樹脂中に含まれる低沸点不純物が脱気され、更に、溶融状態の環状オレフィン系樹脂Rが、ダイス15の吐出口16から下方に向かってシート状に押し出される。その後、環状オレフィン系樹脂Rを帯電器26によって帯電させることにより、図8に示すように、当該環状オレフィン系樹脂Rを冷却ロール20の表面に密着させて冷却し、これにより、樹脂シートSが成形される。そして、図9に示すように、冷却ロール20の表面に密着された樹脂シートSは、除電器27によって除電された後、剥離ロール30によって冷却ロール20の表面から剥離され、次いで、図10に示すように、剥離ロール30から張力検出ロール群35を通過することにより、当該張力検出ロール群35によって当該樹脂シートSに作用する張力が検出され、この検出された張力の値が一定となるよう引取速度がフィードバック制御された状態で、引取ロール40によって引き取られる。
【0054】
以上において、環状オレフィン系樹脂Rを帯電させるために、帯電器26から当該環状オレフィン系樹脂Rに与えられる電流の値は、環状オレフィン系樹脂Rの表面の面積1m2 あたり、0.5〜2mAであることが好ましい。この値が0.5mA未満である場合には、環状オレフィン系樹脂Rを十分に帯電させることが困難となることがある。一方、この値が2mAを超える場合には、環状オレフィン系樹脂Rが冷却ロール20の表面に密着する際にしわなどが生じやすく、樹脂シートSに対する冷却ロール20の面転写を均一に行うことが困難となるため、好ましくない。
【0055】
また、押出機10による環状オレフィン系樹脂を溶融するための加熱温度、冷却ロール20の表面温度、剥離ロール30の表面温度および引取ロール40による樹脂シートSの引取速度は、図1に示す製造装置を用いる方法と同様の条件である。
【0056】
このような方法によれば、図1に示す製造装置を用いる方法と同様に、位相差むらが少なくて安定した光学特性を有する透明樹脂シートを確実に製造することができ、樹脂シートSに作用する張力を20kg/cm2 以下となるよう制御することにより、残留位相差が小さい透明樹脂シートを確実に製造することができる。
【0057】
溶融状態の環状オレフィン系樹脂を帯電させることにより、当該環状オレフィン系樹脂を冷却ロールに密着させるため、樹脂シートSに対する冷却ロール20の面転写が容易であり、表面粗さの小さい樹脂シートSが確実に得られる。
【0058】
図11は、本発明の透明樹脂シートの製造方法を実施するための製造装置の更に他の例における概略を示す説明図である。
この製造装置においては、ベント11を有する押出機10の先端にダイス15が取り付けられ、このダイス15の前方(図において右方)には、金属製のキャストドラム50およびこのキャストドラム50における周面の一部にその周方向に沿って圧接するよう設けられた金属製無端ベルトよりなる冷却ベルト60が配置されている。ダイス15の具体的構成は、図1に示す製造装置と同様である。
【0059】
キャストドラム50は、内部に加熱手段および冷却手段を有するものであり、その表面粗さは0.5μm以下、特に、0.3μm以下であることが好ましい。この表面粗さが0.5μmを超える場合には、表面粗さの小さい樹脂シートを得ることが困難となる。
また、キャストドラム50としては、金属ロールにメッキが施されたものを用いることが好ましく、クロムメッキ、無電解ニッケルメッキなどが施されたものが特に好ましい。
【0060】
冷却ベルト60としては、継ぎ目のないものを用いことが好ましい。継ぎ目を有する無端ベルトを用いる場合には、得られる樹脂シートに継ぎ目の跡が形成されることがある。
また、冷却ベルト60は、その表面が鏡面加工されてなるもの、具体的には、その表面粗さが0.2μm以下のものを用いることが好ましい。このような冷却ベルト60を用いることにより、表面粗さが小さい例えば0.01μm以下の樹脂シートが確実に得られる。
この表面粗さが0.2μmを超える場合には、表面粗さの小さい樹脂シートを得ることが困難となることがある。
また、冷却ベルト60の厚さは0.6〜1.2mmが好ましい。この厚みが0.6mm未満である場合には、当該ベルトが変形しやすくなる。一方、この厚みが1.2mmを超える場合には、当該ベルトは可撓性が小さいものとなる。
冷却ベルト60を構成する材料としては、ステンレスなどを用いることができる。
【0061】
この冷却ベルト60は、当該冷却ベルト60の内面に接するよう設けられた、駆動ロール62、接触距離調整ロール63および張力調整ロール64よりなる保持ロール群61によって、キャストドラム50における周面の一部をその周面に沿って圧接した状態で、かつ、張力が作用された状態で保持されている。
【0062】
保持ロール群61における駆動ロール62は、キャストドラム50の直上において、冷却ベルト60を介して当該キャストドラム50に平行に並ぶよう配置されている。
この駆動ロール62は、冷却ベルト60を回転駆動させるためのものであって、内部に加熱手段および冷却手段を有する。駆動ロール62は、その表面がシリコーンゴムまたその他の耐熱性を有するエラストマーなどによって被覆されていることが好ましく、その被覆層の厚みは5〜15mmであることがさらに好ましい。
【0063】
このような被覆層を駆動ロール62に設けることにより、キャストドラム50と冷却ベルト60とによって環状オレフィン系樹脂を挟圧したときに、当該樹脂に作用する圧縮応力が緩和されるため、得られる樹脂シートにおける残留歪みによる位相差の増加を防止することができる。
被覆層の厚みが5mm未満である場合には、キャストドラム50および冷却ベルト60によって環状オレフィン系樹脂を挟圧したときに、当該樹脂に大きい圧縮応力が作用するため、得られる樹脂シートに残留位相差が生じやすく、また、冷却ベルト60にも大きい圧縮応力が作用するため、当該冷却ベルト60の変形を招くことがある。一方、被覆層の厚みが15mmを超える場合には、環状オレフィン系樹脂に作用する圧縮応力が過小となるため、得られる樹脂シートの表面平滑性が低下することがある。
【0064】
保持ロール群61における接触距離調整ロール63は、駆動ロール62の下流側、具体的には駆動ロール62の斜め下方において当該駆動ロール62に平行に配置されている。
この接触距離調整ロール63は、内部に加熱手段および冷却手段を有するものであり、例えばキャストドラム50の中心軸を基準として円弧状に移動可能に設けられている。
【0065】
保持ロール群61における張力調整ロール64は、駆動ロール62の側方において当該駆動ロール62に平行に配置されている。
この張力調整ロール64は、内部に加熱手段および冷却手段を有するものであり、例えばキャストドラム50の中心軸を基準として円弧状に移動可能に設けられている。
【0066】
キャストドラム50と冷却ベルト60との接触距離は、好ましくは20cm以上であり、特に好ましくは25cm以上である。
この接触距離が20cm未満である場合には、得られる樹脂シートの表面平滑性が低下することがある。
【0067】
保持ロール群61における接触距離調整ロール63の下流側、具体的には、接触距離調整ロール63の斜め下方には、剥離ロール30が配置され、この剥離ロール30の下流側には、3つのロール素子からなる張力検出ロール群35を介して、一対の引取ロール40が配置されている。
【0068】
本発明において、図11に示すような製造装置を用いる場合には、次のようにして透明樹脂シートが製造される。
図12に示すように、環状オレフィン系樹脂が押出機10によって溶融されると共に、当該押出機10のベント11から当該環状オレフィン系樹脂中に含まれる低沸点不純物が脱気され、更に、溶融状態の環状オレフィン系樹脂Rが、ダイス15の吐出口16からシート状に押し出される。その後、図13に示すように、環状オレフィン系樹脂Rがキャストドラム50と冷却ベルト60との間を通過することによって、当該環状オレフィン系樹脂Rが冷却され、これにより、樹脂シートSが形成されて冷却ベルト60の表面にに密着される。そして、図14に示すように、冷却ベルト60の表面に密着された樹脂シートSが、接触距離調整ロール63を通過した後、剥離ロール30によって冷却ベルト60の表面から剥離される。次いで、図15に示すように、樹脂シートSが、剥離ロール30から張力検出ロール群35を通過することにより、当該張力検出ロール群35によって当該樹脂シートSに作用する張力が検出され、この検出された張力の値が一定となるよう引取速度がフィードバック制御された状態で、引取ロール40によって引き取られる。
【0069】
以上において、キャストドラム50の表面温度および保持ロール群61における駆動ロール62の表面温度は、好ましくはTg−50[℃]以上、より好ましくはTg−30[℃]以上でTg+20[℃]以下、更に好ましくはTg−20[℃]以上でTg+10[℃]以下の範囲に設定される。
キャストドラム50の表面温度または駆動ロール62の表面温度がTg−50[℃]未満である場合には、環状オレフィン系樹脂Rが、キャストドラム50および冷却ベルト60によって挟圧されたときに急冷されるため、当該環状オレフィン系樹脂に大きい応力が作用する結果、得られる樹脂シートSには、大きい残留位相差が生じやすくなる。
一方、キャストドラム50の表面温度または駆動ロール62の表面温度が過大である場合には、冷却ベルト60に密着された樹脂シートSを十分に冷却した状態で剥離することができないため、得られる樹脂シートには、その流れ方向に垂直な方向に伸びる線状のマークが生ずる。また、樹脂シートSが引取ロール40によって引き取られる際に、著しい分子の配向が発生する結果、大きい残留位相差が生じることがある。
【0070】
また、キャストドラム50の表面温度および駆動ロール62の表面温度は、同程度の温度、具体的には、両者の表面温度の差が20〔℃〕以内、特に10〔℃〕以内となるよう設定することが好ましい。
キャストドラム50および駆動ロール62の表面温度の差が20〔℃〕を超える場合には、環状オレフィン系樹脂Rがキャストドラム50および冷却ベルト60によって挟圧されるときに、当該樹脂におけるキャストドラム50に接する面と冷却ベルト60に接する面との温度差が過大となって、両者の収縮率に差が生じるため、得られる樹脂シートRに反りが生じることがある。
【0071】
保持ロール群61における接触距離調整ロール63の表面温度は、Tg−50〔℃〕以上でかつTg〔℃〕以下、特にTg−30〔℃〕以上でかつTg−10〔℃〕以下の範囲に設定されることが好ましい。
接触距離調整ロール63の表面温度が、Tg−50〔℃〕未満である場合には、当該接触距離調整ロール63によって、冷却ベルト60が過剰に冷却されるため、駆動ロール62によって冷却ベルト60が十分に加熱されず、これにより、環状オレフィン系樹脂Rが挟圧されたときに急冷される結果、得られる樹脂シートSには、大きい残留位相差が生じることがある。
一方、接触距離調整ロール63の表面温度が、Tg〔℃〕を超える場合には、冷却ベルト60に密着された樹脂シートSを十分に低い温度例えばTg〔℃〕以下の温度に冷却することが困難となるため、冷却ベルト60から剥離した樹脂シートSが引き取られる際に延伸される結果、当該樹脂シートSに厚みむら、位相差むらが生じやすくなる。また、接触距離調整ロール63の表面温度が過大であると、環状オレフィン系樹脂Rを冷却ベルト60から剥離させることが困難となることがある。
【0072】
保持ロール群61における張力調整ロール64の表面温度は、駆動ロール62と同程度の温度、具体的には、駆動ロール62の表面温度をT1 〔℃〕としたとき、T1 ±20〔℃〕、特にT1 ±10〔℃〕の範囲に設定することが好ましく、これにより、冷却ベルト60が過度に空冷されることを防止することができる。
張力調整ロール64の表面温度がT1 −20〔℃〕未満である場合には、冷却ベルト60が空冷されることによってその温度が著しく低下することがあり、そのため、駆動ロール62によって冷却ベルト60を十分に高い温度に加熱することが困難となることがある。
一方、張力調整ロール64の表面温度がT1 +20〔℃〕を超える場合には、冷却ベルト60の磨耗などが生ずることがある。
【0073】
キャストドラム50と冷却ベルト60との間を通過した直後における樹脂シートの温度は、Tg−20[℃]以上であることが好ましく、より好ましくはTg−20[℃]以上でTg+10[℃]以下である。
この温度がTg−20[℃]未満である場合には、環状オレフィン系樹脂Rがキャストドラム50およひ冷却ベルト60に挟圧されたときに生じた残留位相差が緩和されないため、得られる樹脂シートSには大きい残留位相差が生ずる。
【0074】
剥離ロール30の表面温度は、Tg〔℃〕以下、特にTg−50〔℃〕以下の温度に設定することが好ましい。
剥離ロール30の表面温度がTg〔℃〕を超える場合には、冷却ベルト60に密着された樹脂シートSが十分に低い温度例えばTg〔℃〕以下の温度に冷却された状態で冷却ベルト60から剥離することが困難となるため、剥離した樹脂シートSが引き取られる際に延伸される結果、当該樹脂シートSに厚みむら、位相差むらが生じやすくなる。
【0075】
このような方法によれば、図1に示す製造装置を用いる方法と同様に、位相差むらが少なくて安定した光学特性を有する透明樹脂シートを確実に製造することができ、樹脂シートSに作用する張力を20kg/cm2 以下となるよう制御することにより、残留位相差が小さい透明樹脂シートを確実に製造することができる。
【0076】
また、キャストドラム50の表面温度および保持ロール群61における駆動ロール62の表面温度の各々を、用いられる環状オレフィン系樹脂Rのガラス転移温度を基準とする特定の温度以上に設定することにより、当該環状オレフィン系樹脂Rが急冷されることがないため、当該樹脂に大きい応力が作用することが回避され、その結果、残留位相差が小さく、表面平滑性の高い透明樹脂シートを一層確実に製造することができる。
【0077】
また、接触距離調整ロール63の表面温度を環状オレフィン系樹脂Rのガラス転移温度(Tg)以下の特定の範囲に設定し、冷却ベルト60に密着された樹脂シートSを、当該接触距離調整ロール63を通過させることにより、当該樹脂シートSが十分に低い温度に冷却されるため、冷却ベルト60から剥離した樹脂シートSが引き取られる際に延伸されることがなく、これにより、得られる樹脂シートSに厚みむら、位相差むらなどが生じることを防止することができる。
【0078】
また、剥離ロール30の表面温度を環状オレフィン系樹脂Rのガラス転移温度以下の温度に設定することにより、環状オレフィン系樹脂Rが十分に低い温度に冷却された状態で冷却ベルト60から剥離されるので、剥離した樹脂シートSが引き取られる際に延伸されることがなく、これにより、得られる樹脂シートSに厚みむら、位相差むらなどが生じることを防止することができる。
【0079】
このようにして得られる透明樹脂シートは、厚みが例えば0.1〜1.5mm、好ましくは0.3〜1.2mmで、表面粗さが例えば0.008μm以下、好ましくは0.006μm以下で、残留位相差が例えば20nm以下、好ましくは10nm以下であって、優れた光学特性を有するものである。しかも、シートを構成する樹脂材料が環状オレフィン系樹脂であるため、他の熱可塑性樹脂例えば、ポリスチレンやポリメチルメタクリレートなどよりなるシートと比較して、複屈折か生じにくいものとなる。従って、このような透明樹脂シートは、光学分野における種々の用途などに有用であり、特に、液晶表示素子用の光学シートとして好適である。
【0080】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例において、環状オレフィン系樹脂として、「アートンF」(ジェイエスアール(株)製)を用いた。この環状オレフィン系樹脂は、下記式(i)で表される繰り返し単位を有する特定の開環重合体よりなるものであって、そのガラス転移温度(Tg)が171℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が30,000、重量平均分子量(Mw)が85,000、クロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )が0.68dl/g、280℃におけるメルトフローレートが5.0g/10minのものである。
【0081】
【化7】
Figure 0004103260
【0082】
〈実施例1〉
図1に示す構成の製造装置により、以下のようにして、厚みが0.4mmの透明樹脂シートを製造した。
環状オレフィン系樹脂を、除湿乾燥機により乾燥処理した後、押出機(10)により、そのベント(11)から環状オレフィン系樹脂中に含まれる低沸点不純物を脱気しながら溶融し、ダイス(15)の吐出口(16)から溶融状態の環状オレフィン系樹脂(R)を押し出した。その後、押し出された環状オレフィン系樹脂(R)を、冷却ロール(20)と押圧ロール(25)との間に通過させることにより、冷却ロール(20)の表面に密着させて冷却し、これにより、樹脂シート(S)を成形した。そして、冷却ロール(20)の表面に密着された樹脂シートSを、剥離ロール(30)によって剥離し、当該樹脂シート(S)に作用する張力が10±0.1kg/cm2 となるよう制御しながら、引取ロール40によって引き取った。
以下に、押出機(10)、ダイス(15)、冷却ロール(20)、押圧ロール(25)、剥離ロール(30)およびその他の具体的な条件を示す。
【0083】
押出機(10):ベント付単軸押出機(ジーエムエンジニアリング社製「GM90−32V」),シリンダー内径;90mm,スクリューのL/D;32,
ダイス(15):コートハンガーダイであって、内面にクロムメッキが施されたもの,吐出口の幅;650mm、吐出口のリップ間隔;1.0mm,
押出加工条件:設定温度;300℃,吐出量;120Kg/hr,
ダイスの吐出口から冷却ロールと押圧ロールとの接触点までの直線距離:250mm,
冷却ロール(20):表面粗さ;0.2μm,設定温度;158℃,周速度;15m/min,
押圧ロール(25):表面粗さ;0.2μm,設定温度;158℃,
剥離ロール(30):表面温度;100℃
【0084】
〈実施例2〉
冷却ロール(20)の周速度を10m/minとし、樹脂シート(S)に作用する張力が14±0.2kg/cm2 となるよう制御したこと以外は、実施例1と同様にして厚みが0.6mmの透明樹脂シートを製造した。
【0085】
〈実施例3〉
押出機(10)の吐出量を60Kg/hrとし、樹脂シート(S)に作用する張力が8±0.2kg/cm2 となるよう制御したこと以外は、実施例1と同様にして厚みが0.2mmの透明樹脂シートを製造した。
【0086】
〈対照例1〉
樹脂シート(S)に作用する張力が60±1kg/cm2 となるよう制御したこと以外は、実施例1と同様にして厚みが0.4mmの透明樹脂シートを製造した。
【0087】
〈実施例4〉
冷却ロール(20)の設定温度を100℃とし、樹脂シート(S)に作用する張力が10±0.3kg/cm2 となるよう制御したこと以外は、実施例1と同様にして厚みが0.4mmの透明樹脂シートを製造した。
【0088】
〈実施例5〉
押出機(10)の設定温度を260℃とし、樹脂シート(S)に作用する張力が10±0.3kg/cm2 となるよう制御したこと以外は、実施例1と同様にして厚みが0.4mmの透明樹脂シートを製造した。
【0089】
〈実施例6〉
押出機(10)のベント(11)を塞ぎ、環状オレフィン系樹脂中に含まれる低沸点不純物を脱気せず、樹脂シート(S)に作用する張力が10±0.2kg/cm2 となるよう制御したこと以外は実施例1と同様にして厚みが0.4mmの透明樹脂シートを製造した。
【0090】
〈比較例1〉
樹脂シート(S)に作用する張力を制御しなかったこと以外は、実施例1と同様にして厚みが0.4mmの透明樹脂シートを製造した。
【0091】
〈実施例7〉
図11に示す構成の製造装置により、以下のようにして、厚みが0.7mmの透明樹脂シートを製造した。
環状オレフィン系樹脂を、除湿乾燥機により乾燥処理した後、押出機(10)により、そのベント(11)から環状オレフィン系樹脂中に含まれる低沸点不純物を脱気しながら溶融し、ダイス(15)の吐出口(16)から溶融状態の環状オレフィン系樹脂(R)を押し出した。その後、押し出された環状オレフィン系樹脂(R)を、キャストドラム(50)と冷却ベルト(60)との間に通過させることにより、環状オレフィン系樹脂(R)を冷却して成形すると共に、得られた樹脂シート(S)を冷却ベルト(60)に密着させた。キャストドラム(50)と冷却ベルト(60)との間を通過した直後における樹脂シート(S)の温度は、161℃であった。そして、冷却ベルト(30)の表面に密着された樹脂シート(S)が接触距離調整ロール(63)を通過した後、当該樹脂シート(S)を、剥離ロール(50)によって冷却ベルト(60)の表面から剥離し、当該樹脂シート(S)に作用する張力が10±0.2kg/cm2 となるよう制御しながら、引取ロール40によって引き取った。
以下に、押出機(10)、ダイス(11)、キャストドラム(50)、冷却ベルト(60)、保持ロール群(61)、剥離ロール(30)およびその他の具体的な条件を示す。
【0092】
押出機(10):ベント付単軸押出機(ジーエムエンジニアリング社製「GM90−32V」),シリンダー内径;90mm,スクリューのL/D;32,
ダイス(15):コートハンガーダイであって、内面にクロムメッキが施されたもの,吐出口の幅;650mm、吐出口のリップ間隔;1.0mm,
押出加工条件:設定温度;300℃,吐出量;120Kg/hr,
ダイスの吐出口からキャストドラムと冷却ベルトとの上流側接触端までの直線距離:200mm,
キャストドラム(50):表面粗さ;0.2μm,設定温度;160℃,
冷却ベルト(60):厚み;1.0mm,表面粗さ;0.2μm,
駆動ロール(62):厚みが10mmのシリコーンゴムよりなる被覆層が形成されてなるもの,表面温度;160℃,
接触距離調整ロール(63):表面温度;155℃,
張力調整ロール(64):表面温度;50℃,
キャストドラム(50)と冷却ベルト(60)との接触距離:25mm,
剥離ロール(30):表面温度;40℃,
駆動ロール(62)の周速度:4m/min
【0093】
〈実施例8〉
駆動ロール(62)の周速度を10m/minとし、樹脂シート(S)に作用する張力が8±0.2kg/cm2 となるよう制御したこと以外は、実施例7と同様にして厚みが0.3mmの透明樹脂シートを製造した。以上において、キャストドラム(50)と冷却ベルト(60)との間を通過した直後における樹脂シート(S)の温度は、165℃であった。
【0094】
〈実施例9〉
押出機(10)の吐出量を60Kg/hr、キャストドラム(50)および駆動ロール(62)の表面温度を157℃、駆動ロール(62)の周速度を10m/minとし、樹脂シート(S)に作用する張力が8±0.1kg/cm2 となるよう制御したこと以外は、実施例7と同様にして厚みが0.15mmの透明樹脂シートを製造した。以上において、キャストドラム(50)と冷却ベルト(60)との間を通過した直後における樹脂シート(S)の温度は、159℃であった。
【0095】
〈実施例10〉
キャストドラム(50)および駆動ロール(62)の表面温度を125℃とし、樹脂シート(S)に作用する張力が10±0.5kg/cm2 となるよう制御したこと以外は、実施例7と同様にして厚みが0.7mmの透明樹脂シートを製造した。以上において、キャストドラム(50)と冷却ベルト(60)との間を通過した直後における樹脂シート(S)の温度は、127℃であった。
【0096】
〈対照例2〉
樹脂シート(S)に作用する張力が100±0.8kg/cm2 となるよう制御したこと以外は、実施例7と同様にして厚みが0.7mmの透明樹脂シートを製造した。
【0097】
〈比較例2〉
樹脂シート(S)に作用する張力を制御しなかったこと以外は、実施例7と同様にして厚みが0.7mmの透明樹脂シートを製造した。
【0098】
実施例1〜10、対照例1〜2および比較例1〜2で得られた透明樹脂シートの各々について、以下のような評価を行った。
(1)残留位相差および位相差むら:
複屈折測定装置(王子計測(株)製「KOBRA−21ADH」)を用い、透明樹脂シートについて、長さ方向に1.0m毎に測定個所を変更し、合計で5個所の残留位相差を測定し、その最大値と最小値との差および平均値を求めた。
(2)表面粗さ:
表面粗さ計(小坂研究所製「サーフコーダーET−30K」を用い、透明樹脂シートの表面粗さを測定した。
以上、結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
Figure 0004103260
【0100】
表1から明らかなように、実施例1〜実施例10によれば、樹脂シートに作用される張力が一定となるよう制御されているため、位相差むらが少なくて安定した光学特性を有する透明樹脂シートが得られた。
また、実施例1〜実施例3および実施例4〜実施例10によれば、樹脂シートに作用される張力が小さい値に制御されているため、残留位相差の小さい透明樹脂シートが得られた。
【0101】
【発明の効果】
本発明の透明樹脂シートの製造方法によれば、樹脂シートに作用する張力が一定となるよう、引取ロールを制御するため、位相差むらが少なくて安定した光学特性を有する透明樹脂シートを製造することができる。
また、樹脂シートに作用する張力を20kg/cm2 以下となるよう制御することにより、残留位相差が小さい透明樹脂シートを製造することかできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明樹脂シートの製造方法を実施するための製造装置の一例における概略を示す説明図である。
【図2】ダイスから溶融状態の環状オレフィン系樹脂が押し出された状態を示す説明図である。
【図3】ダイスから押し出された溶融状態の環状オレフィン系樹脂が、冷却ロールと押圧ロールとによって挟圧されて樹脂シートが成形された状態を示す説明図である。
【図4】冷却ロールに密着した樹脂シートが剥離ロールによって剥離された状態を示す説明図である。
【図5】冷却ロールから剥離された樹脂シートが引取ロールによって引き取られる状態を示す説明図ある。
【図6】本発明の透明樹脂シートの製造方法を実施するための製造装置の他の例における概略を示す説明図である。
【図7】ダイスから溶融状態の環状オレフィン系樹脂が押し出された状態を示す説明図である。
【図8】ダイスから押し出された溶融状態の環状オレフィン系樹脂が、帯電器によって冷却ロールに密着されて樹脂シートが成形された状態を示す説明図である。
【図9】冷却ロールに密着した樹脂シートが剥離ロールによって剥離された状態を示す説明図である。
【図10】冷却ロールから剥離された樹脂シートが引取ロールによって引き取られる状態を示す説明図ある。
【図11】本発明の透明樹脂シートの製造方法を実施するための製造装置の更に他の例における概略を示す説明図である。
【図12】ダイスから溶融状態の環状オレフィン系樹脂が押し出された状態を示す説明図である。
【図13】ダイスから押し出された溶融状態の環状オレフィン系樹脂が、キャストドラムと冷却ベルトとによって挟圧されて樹脂シートが成形された状態を示す説明図である。
【図14】冷却ベルトに密着した樹脂シートが剥離ロールによって剥離された状態を示す説明図である。
【図15】冷却ベルトから剥離された樹脂シートが引取ロールによって引き取られる状態を示す説明図ある。
【符号の説明】
10 押出機 11 ベント
15 ダイス 16 吐出口
20 冷却ロール 25 押圧ロール
26 帯電器 27 除電器
30 剥離ロール 35 張力検出ロール群
40 引取ロール 50 キャストドラム
60 冷却ベルト 61 保持ロール群
62 駆動ロール 63 接触距離調整ロール
64 張力調整ロール S 樹脂シート
R 環状オレフィン系樹脂

Claims (10)

  1. 環状オレフィン系樹脂を、押出機によって溶融して当該押出機に取り付けられたダイスからシート状に押し出し、この溶融状態の環状オレフィン系樹脂を、表面が鏡面加工されてなる冷却ロールに密着させて成形し、得られた樹脂シートを、引取ロールによって引き取る工程を有する透明樹脂シートの製造方法において、
    前記引取ロールにおいて、前記冷却ロールと当該引取ロールとの間において前記樹脂シートに作用する張力が20kg/cm2 以下であり、かつ、±10%の範囲内で一定となるように、前記冷却ロールと引取ロールとの間における張力を、3つのロール素子からなり、シートが通過することによって当該シートに作用する張力を検出する張力検出ロール群によって検出し、制御することを特徴とする透明樹脂シートの製造方法。
  2. 環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度をTg[℃]としたとき、冷却ロールの表面温度がTg−50[℃]以上であることを特徴とする請求項1に記載の透明樹脂シートの製造方法。
  3. 溶融状態の環状オレフィン系樹脂を、冷却ロールとこれに圧接するよう設けられた押圧ロールとによって挟圧することにより、当該環状オレフィン系樹脂を当該冷却ロールに密着させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透明樹脂シートの製造方法。
  4. 溶融状態の環状オレフィン系樹脂を帯電させることにより、当該環状オレフィン系樹脂を冷却ロールに密着させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透明樹脂シートの製造方法。
  5. 環状オレフィン系樹脂を、押出機によって溶融して当該押出機に取り付けられたダイスからシート状に押し出し、この溶融状態の環状オレフィン系樹脂を、キャストドラムと、このキャストドラムにその周方向に沿って圧接するよう設けられた、表面が鏡面加工されてなる冷却ベルトとの間に通過させて成形し、得られた樹脂シートを、引取ロールによって引き取る工程を有する透明樹脂シートの製造方法において、
    前記引取ロールにおいて、前記冷却ベルトと当該引取ロールとの間において前記樹脂シートに作用する張力が20kg/cm2 以下であり、かつ、±10%の範囲内で一定となるように、前記冷却ベルトと引取ロールとの間における張力を、3つのロール素子からなり、シートが通過することによって当該シートに作用する張力を検出する張力検出ロール群によって検出し、制御することを特徴とする透明樹脂シートの製造方法。
  6. 環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度をTg[℃]としたとき、キャストドラムと冷却ベルトとの間を通過した直後における樹脂シートの温度がTg−20[℃]以上であることを特徴とする請求項5に記載の透明樹脂シートの製造方法。
  7. 環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度をTg[℃]としたとき、当該環状オレフィン系樹脂を溶融するための加熱温度がTg+100[℃]以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の透明樹脂シートの製造方法。
  8. ベントを有する押出機を用い、当該押出機のベントから環状オレフィン系樹脂中に含まれる低沸点不純物を脱気することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の透明樹脂シートの製造方法。
  9. 環状オレフィン系樹脂が、下記一般式(I)で表される構造単位を有する重合体または共重合体であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の透明樹脂シートの製造方法。
    Figure 0004103260
  10. 環状オレフィン系樹脂が、下記一般式( II で表される構造単位を有する重合体または共重合体であることを特徴とする請求項9に記載の透明樹脂シートの製造方法。
    Figure 0004103260
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