JP4720393B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置等に用いられる均一なレタデーションを有し、ダイラインなどの光学的な欠点がなく平面性に優れた光学フィルムの製造方法を提供することに関し、特に溶融流延製膜法で製膜された光学フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置は、従来のCRT表示装置に比べて、省スペース、省エネルギーであることからモニターとして広く使用されている。さらにTV用としても普及が進んできている。このような液晶表示装置には、偏光フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルムや輝度向上フィルムなどの種々な光学フィルムが使用されている。
偏光フィルムは、延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の片面または両面に、セルロースエステルフィルムを保護膜として積層されている。また、位相差フィルムは、視野角の拡大やコントラストの向上などの目的で用いられており、ポリカーボネ−ト、脂環式構造を有する重合体、セルロースエステルなどのフィルムを延伸してレタデーションが付与されたものや透明基材上に液晶層を塗設されたものなどである。光学補償フィルムとも呼ばれている。VAモードの液晶パネルなどでは、位相差フィルムの遅相軸が巾方向であると、偏光板とロール・ツー・ロール貼合することができるので、従来のバッチ貼合から生産効率が著しく改善できる。
これらの光学フィルムでは、光学的な欠陥がなく、レタデーションが均一であることが要求される。特に、モニターやTVの大型化や高精細化が進み、これらの要求品質はますます厳しくなってきている。
光学フィルムの製造方法には、大別して溶液流延製膜法と溶融流延製膜法とがある。前者は、ポリマーを溶媒に溶かして、その溶液を支持体上に流延し、溶媒を蒸発し、更に必要により延伸してフィルムにする方法である。膜厚の均一性に優れるなどの点から広く採用されてきたが、溶媒の乾燥のため、設備が大型化するなどの問題点を抱えていた。後者は、ポリマーを加熱溶融して支持体上に流延し、冷却固化し、更に必要により延伸してフィルムにする方法であり、溶媒を乾燥する必要がないので設備が比較的コンパクトにできるとの利点があるが、溶液に比べ溶融ポリマーの粘度はかなり高いためレベリングしにくく、ダイラインと呼ばれるすじ状の欠陥が目立つという問題点があった。
特開平9−290427号では、溶融樹脂を、金属製冷却ロールと圧力制御された無端ベルトとの間で狭圧する方法が提案されている。ところがこの方法では、溶融樹脂に圧力をかけるので不均一なレタデーションが発生するとの問題があった。
特開2003−131036号では、シート状に押し出された樹脂フィルムの温度をTg+50℃以上で冷却ロールに密着させる方法が提案されている。この発明はダイラインの改良を意図したものではないが、ドラムに密着した面のダイラインは改善されるが反対面のダイラインは改善されないとの問題があった。
特開2005−128360号、同2005−148568号、同2005−173072号では、凹形状、表面粗さ、剥離強度が特定のダイを用いる方法が提案されている。ところがこれらの方法では生産初期のダイラインの発生は少なくなったが、生産を続けていくと徐々にダイラインが発生してしまい、発生したダイラインを解消することはできないとの問題があった。
特開2005−178194号では、溶融温度、含水率を低くして樹脂の劣化を防止し、ダイラインの発生を少なくする方法が開示されている。ところがこの方法でも生産初期のダイラインの発生は少なくなるが、生産を続けていくと徐々にダイラインが発生してしまい、やはり発生したダイラインを解消することはできないとの問題があった。
特開平9−290427号 特開2003−131036号 特開2005−128360号 特開2005−148568号 特開2005−173072号 特開2005−178194号
従って、本発明の目的は、かかる問題を解決し、フィルムのスジ状の欠陥の改良された光学フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、ダイラインの発生を抑制するのではなく、ダイラインが発生しても積極的に面矯正することで光学的に良好な光学フィルムを得る方法に着目し鋭意検討した結果、本発明に達した。すなわち、本発明の骨子は下記の構成よりなる。
1.溶融押出成形による光学フィルムの製造方法において、Tg+50℃以上の温度でダイから押し出された熱可塑性樹脂フィルムを、該フィルムのTg−20℃以下の表面温度を有する第1ロールに巻きまわしつつ搬送し、次いで該第1ロールに接触する側の反対側のフィルム表面温度がフィルムのTg+20℃以上の状態で第1ロールから剥離し、更にフィルムのTg−20℃以下の表面温度を有する第2ロールに、前記フィルムのロールに接触する側の反対側が接触するように巻きまわして搬送することを特長とする光学フィルムの製造方法。
2.フィルムの片面側をフィルムのTg−20℃以下の表面温度を有する第1ロールに巻きまわして搬送しつつ、該フィルムの該第1ロールに接触する側の反対側のフィルム表面温度をフィルムのTg+20℃以上に加熱することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記フィルムを更に少なくとも1方向に1.01〜3.00倍延伸することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
4.熱可塑性樹脂がセルロースエステルであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
以下に、本発明を詳述する。
本発明は、溶融押出成形による光学フィルムの製造方法において、Tg+50℃以上の温度でダイから押し出された熱可塑性樹脂フィルムを、該フィルムのTg−20℃以下の表面温度を有する第1ロールに巻きまわしつつ搬送し、次いで該第1ロールに接触する側の反対側のフィルム表面温度がフィルムのTg+20℃以上の状態でロールから剥離し、更にフィルムのTg−20℃以下の表面温度を有する第2ロールに、前記フィルムのロール接触側の反対側が接触するように巻きまわして搬送することに特長がある。
本発明では、フィルムの片面をTg−20℃以下の低温にしつつ反対面をTg+20℃以上にして、ロールから剥離するので、剥離力によってフィルムが変形するのが防止でき、レタデーションの均一性が保持される。更に片面がTg+20℃以上の状態でTg−20℃以下のロールに巻きまわすことで、ロール汚れ転写などの問題が発生することなくスジが矯正できるのである。
ダイから熱可塑性樹脂を押し出してフィルム状とする場合、樹脂温度は樹脂のTg+50℃から300℃に加熱される。
フィルムを巻きまわす第1ロールの表面温度は、Tg−20℃以下でありこれ以上高温だとレタデーションむらが大きくなる。低い方の温度は、特に制限はないが、あまり低温過ぎると、ロール表面にコンデンスしたり、フィルムが滑ったりする場合があるので、通常は10℃以上であり、好ましくはTg−50℃以上である。
ロールから剥離する際のフィルム表面温度(ロールと反対側)は、Tg未満だとスジの矯正効果が不十分である。好ましくはTg+20℃以上である。温度があまり高過ぎると、樹脂が劣化したり、樹脂中の添加物が揮散しロール汚れの原因となることがあるので、特にTg+20℃からTg+100℃の範囲が好ましい。スジが強い場合は、高めの温度にすることが好ましい。フィルムとロールとの接触時間は、0.05秒程度で効果が認められる。長いほど好ましいが1秒程度で効果が飽和するので、通常0.05秒から1秒接触させればよい。フィルム表面温度およびロール表面温度は接触式の温度計や非接触式の赤外温度計で一般に測定できる。
フィルム片面をTg+20℃以上にするため、フィルムの片面から非接触の加熱手段を用いて加熱することが好ましい。加熱手段としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線や遠赤外線ヒーターによる方法、マイクロ波による加熱方法などが好ましく用いられる。特にフィルム表面近傍だけを加熱できる熱風や赤外線ヒーター方式が好ましい。
また、溶融押出成形によりダイから溶融樹脂をTg−20℃以下の第1ロール上にフィルム状に押し出し、第1ロールに接触しない側のフィルム表面温度がTg+20℃以上の状態のうちに第1ロールから剥離する方法も好ましい。溶融温度は非晶性樹脂の場合樹脂のTgからTg+150℃程度が使用されるが、光学フィルムの場合、Tg+50℃からTg+100℃の範囲が好ましい。溶融温度が低すぎると、未溶融物が残り異物欠陥となる場合があり、高すぎると樹脂が劣化し、着色する場合がある。結晶性樹脂の場合は結晶融点Tm以上Tm+100℃以下の範囲が好ましい。
上記の面矯正操作は3つ以上のロールを用いて複数回繰り返してもよい。
フィルムのTgやTmは、DSC測定のTgやTmに基づくベースラインが偏奇し始める温度である。
溶融押出しの条件は他のポリエチレンやポリエステルなどの熱可塑性樹脂に用いられる条件と同様にして行うことができる。例えば、除湿熱風や真空または減圧下で乾燥した熱可塑性樹脂を1軸や2軸タイプの押し出し機を用いて、押し出し温度200〜300℃程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィルターなどでろ過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ドラム上で固化させる。供給ホッパーから押し出し機へ導入する際は真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、ろ過精度を調整できる。ろ過精度を粗、密と連続的に複数回繰り返した多層体としたものが好ましい。また、ろ過精度を順次上げていく構成としたり、ろ過精度の粗、密を繰り返す方法をとることで、フィルターのろ過寿命が延び、異物やゲルなどの補足精度も向上できるので好ましい。
ダイに傷や異物が付着するとスジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥のことをダイラインと呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押し出し機からダイまでの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。ダイ周辺に樹脂から揮発成分が析出しダイラインの原因となる場合があるので、揮発成分を含んだ雰囲気は吸引することが好ましい。また、静電印加等の装置にも析出する場合があるので交流を印加したり、他の加熱手段で析出を防止することが好ましい。
押し出し機やダイなどの溶融樹脂と接触する内面は、表面粗さを小さくしたり、表面エネルギーの低い材質を用いるなどして、溶融樹脂が付着し難い表面加工が施されていることが好ましい。
可塑剤などの添加剤は、あらかじめ樹脂と混合しておいてもよいし、押し出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
溶融したフィルムと冷却ドラムとの密着が不十分だと、溶融樹脂中の揮発成分がロール上へ析出しロール汚れが問題になる場合があるので、静電印加により密着させる方法、風圧により密着させる方法、全巾あるいは端部をニップして密着させる方法、減圧で密着させる方法などを用いることが好ましい。特に、弾性体ロールを用いてニップすることは、適度な圧力で幅手に均一にニップできるので好ましい。弾性体ロールはロール表面にゴムや樹脂層を有するものや、弾性体の表面に薄膜金属層を有するもの(例えば住友重機械モダン(株)製フレックスロールなど)などが好ましい。これらの方法は併用してもよい。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
本発明では、上記のようにして得られたフィルムを更に少なくとも1方向に1.01〜3.00倍延伸することが好ましい。延伸によりスジの鋭さが緩やかになり高度に矯正することができるのである。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。特に延伸方向を巾方向とすることで偏光フィルムとの積層がロール形態でできるので好ましい。巾方向に延伸することで熱可塑性樹脂フィルムからなる光学フィルムの遅相軸は巾方向になる。一方、偏光フィルムの透過軸も通常巾方向である。偏光フィルムの透過軸と光学フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した偏光板を液晶表示装置に組み込むことで、良好な視野角が得られるのである。
また、本発明の光学フィルムを位相差フィルムとして用いる場合は、所望のレタデーション特性が得られるように温度、倍率を選ぶことができる。通常、延伸倍率は1.1〜3.0倍、好ましくは1.2〜1.5倍であり、延伸温度は、通常、フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+50℃、好ましくはTg〜Tg+40℃の温度範囲で行なわれる。延伸倍率が小さすぎると所望のレタデーションが得られない場合があり、大きすぎると破断してしまう場合がある。延伸温度が低すぎると破断してしまう場合があり、高すぎると所望のレタデーションが得られない場合がある。
延伸は、制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
上記の方法で作製した熱可塑性樹脂フィルムのレタデーション調整や寸法変化率を小さくする目的で、フィルムを長さ方向や巾方向に延伸または収縮させてもよい。長さ方向に収縮するには、例えば、巾延伸を一時クリップアウトさせて長さ方向に弛緩させる、または横延伸機の隣り合うクリップの間隔を徐々に狭くすることによりフィルムを収縮させるという方法がある。後者の方法は一般の同時二軸延伸機を用いて、縦方向の隣り合うクリップの間隔を、例えばパンタグラフ方式やリニアドライブ方式でクリップ部分を駆動して滑らかに徐々に狭くする方法によって行うことが出来る。必要により任意の方向(斜め方向)の延伸と組み合わせてもよい。長手方向、巾手方向とも0.5%から10%収縮させることで光学フィルムの寸法変化率を小さくすることができる。
光学フィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、仕上がりのフィルムとして、本発明において使用される膜厚範囲は30〜200μmで、最近の薄手傾向にとっては40〜120μmの範囲が好ましく、特に40〜100μmの範囲が好ましい。フィルムの平均膜厚は、所望の厚さになるように、押し出し流量、ダイの流延口の間隙、冷却ドラムの速度等をコントロールすることで調整できる。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、原料として再利用される。
本発明では、フィルムの自由体積を小さくすることにより、レタデーション(Ro、Rt)の湿度変化率、寸法変化率を小さくすることができるので好ましい。
自由体積を小さくするには、フィルムのTg近傍で熱処理をすることが有効である。熱処理時間は1秒以上から効果が認められ、長時間ほど効果が高くなるが1000時間程度で飽和するので、Tg-20℃〜Tgで1秒〜1000時間が好ましい。更にTg-15℃〜Tgで1分〜1時間が好ましい。また、Tg以上からTg-20℃の範囲をゆっくりと冷却しながら熱処理すると一定温度で熱処理するよりも短時間で効果が得られるので好ましい。冷却速度は、-0.1℃/秒〜-20℃/秒が好ましく、更に-1℃/秒〜-10℃/秒が好ましい。熱処理する方法は特に限定はなく、温調されたオーブンやロール群、熱風、赤外ヒーター、マイクロ波加熱装置などにより処理できる。フィルムは搬送しながらでも枚葉やロール状で熱処理してもよい。搬送しながらの場合は、ロール群やテンターを用いて熱処理しながら搬送できる。ロール状で熱処理する場合は、フィルムをTg近傍の温度でロール状に巻き取って、そのまま冷却することで徐冷してもよい。
本発明の光学フィルムがVAモードの液晶パネルに使用される場合、フィルムの面内レタデーション(Ro)は20〜200nm、厚み方向レタデーション(Rt)は90〜400nmであり、フィルムの面内レタデーション(Ro)が20〜100nm、厚み方向レタデーション(Rt)が90〜200nmであることが好ましい。また、RtとRoの比Rt/Roは、0.5〜2.5が好ましく、特に1.0〜2.0が好ましい。
なお、フィルムの遅相軸方向の屈折率Nx、進相軸方向の屈折率Ny、厚み方向の屈折率Nz、フィルムの膜厚をd(nm)とすると、
Ro=(Nx−Ny)×d
Rt={(Nx+Ny)/2−Nz}×d
として表される。
レタデーションのバラツキは小さいほど好ましく、通常±10nm以内、好ましくは±5nm以下、より好ましくは±2nm以下である。
遅相軸方向 の均一性も重要であり、フィルム巾方向に対して、角度が−5〜+5°であることが好ましく、更に−1〜+1°の範囲にあることが好ましく、特に−0.5〜+0.5°の範囲にあることが好ましい。これらのばらつきは延伸条件を最適化することで達成できる。
本発明の光学フィルムの製造方法に用いる熱可塑性樹脂は、溶融流延製膜法により製膜可能であれば特に限定されない。例えば、ポリカーボネート、脂環式構造含有ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、セルロースエステルなどが挙げられる。中でも光弾性係数が小さいことから、セルロースエステルや脂環式構造含有ポリマーが好ましい。セルロースエステルは偏光子である延伸ポリビニルアルコールとの接着性に優れるとの特徴を有する。脂環式構造含有ポリマーは耐吸湿性があり、寸法変化が小さいとの特徴を有する。
セルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネートブチレートが好ましい。上記セルロースエステルのアセチル基の置換度は、少なくとも1.5以上であることが、得られるフィルムの寸法安定性に優れるので好ましい。セルロースエステルのアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。セルロースエステルの分子量は、数平均分子量として50,000〜300,000、とくに60,000〜200,000であることが、得られるフィルムの機械的強度が強くできるので好ましい。
脂環式構造含有ポリマーとは、繰り返し単位中に、脂環式構造を有するポリマーであり、脂環式構造は主鎖、側鎖のいずれにあってもよい。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、熱安定性に優れることからシクロアルカン構造が好ましい。
脂環式構造含有ポリマーは、ノルボルネン環構造を有するモノマー、モノ環状オレフィン、環状共役ジエン、ビニル芳香族化合物及びビニル脂環式炭化水素化合物等を含むモノマーを、メタセシス開環重合や付加重合などの公知の重合方法で重合し、必要に応じて炭素−炭素不飽和結合を水素添加することにより得ることができる。
本発明に用いる脂環式構造含有ポリマーは、シクロヘキサン溶液(ポリマーが溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、25,000〜50,000であることが好ましく、30,000〜45,000であることが更に好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、1.2〜3.5であることが好ましく、更に1.5〜3.0であることが好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)は、80〜170℃であることが好ましい。脂環式構造含有ポリマーの特性を上記の範囲にすることで、良好な耐熱性と成形加工性とを得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂中には、種々の目的で可塑剤、安定化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤、帯電防止剤、難燃剤、染料及び油剤などの添加剤を含有させることができる。
可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルホスフェート、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)エステル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル系可塑剤、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート及びジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート及びブチルフタリルブチルグリコレート等のグリコール酸エステル系可塑剤、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸系可塑剤、ジプロピレングリコールベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、1,3−ジブチレングリコールジベンゾエート、テトラエチレングリコールジベンゾエート、トリメチロールプロパントリアセテート、トリメチロールプロパントリベンゾエート等の多価アルコールエステル系可塑剤、N−ブチルベンゼンスルホンアミドなどのアミド系可塑剤、その他にトリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)やカプロラクトンオリゴマーなどを挙げることができる。必要に応じて上記のうち2種類以上の可塑剤を併用して用いてもよい。これらの添加量は、可塑剤の効果とブリードアウトの兼ね合いから、熱可塑性樹脂に対して1%〜30%が好ましい。
また、ポリエステルエーテル、ポリエステル−ウレタン、ポリエステルなどもブレンドすることで可塑性を改良できるので好ましく用いることができる。
ポリエステルエーテルとしては、炭素原子8〜12個の芳香族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸(例えばテレフタール酸、イソフタール酸、ナフタレンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)、炭素原子2〜10個の脂肪族グリコールまたは脂環式グリコール類(例えば、エチレンジオール、プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1,5−ペンタンジオール)、エーテル単位の間に炭素原子2〜4個を有するポリエーテルグリコール類(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールを構成要素とするコポリエステルエーテル)が好ましい。ポリエステルエーテルの配合量は、主たる樹脂に対して5〜30質量%が好ましい。配合量をこの範囲とすることで良好な可塑性を呈するフィルムが得られる。
ポリエステル−ウレタンとしては、ポリエステルとジイソシアナートとの反応により得られるポリエステル−ウレタンが挙げられる。下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 0004720393
式中、lは2、3又は4を表し、mは2、3又は4を表し、nは1〜100を表す。Rは下記に示す構造単位を表す。
Figure 0004720393
ポリエステル−ウレタンを構成するポリエステルとしては、グリコール成分が、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、又は1,4−ブタンジオールであり、二塩基性酸成分が、コハク酸、グルタル酸、又はアジピン酸からなる両末端ヒドロキシル基を有するポリエステルであり、その重合度nは1〜100である。ポリエステルの分子量として、1,000〜4,500に当るものが特に望ましい。
ポリエステル−ウレタンを構成するジイソシアナート成分としてはエチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等のポリメチレンイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、p,p′−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート等が挙げられる。中でも、トリレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナートがポリウレタン化した場合、セルロースエステルとの相溶性が秀れているので好ましい。
ポリエステル−ウレタンの重量平均分子量は、2,000〜50,000が好ましく、更に5,000〜15,000が好ましい。ポリエステル−ウレタンの合成は、上記のポリエステルとジイソシアナートとを混じ攪拌下加熱させる常法の合成法により、容易に得る事が出来る。また、原料のポリエステルも常法により、相当する二塩基性酸、又はこれらのアルキルエステル類とグリコール類とのポリエステル化反応又はエステル交換反応による熱溶融縮合法が、或いはこれらの酸の酸クロリドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法により、末端基がヒドロキシル基となるよう適宜調整すれば容易に合成することができる。
ポリエステル−ウレタンの配合量は、主たる樹脂に対して5〜30質量%が好ましい。配合量をこの範囲とすることで良好な可塑性を呈するフィルムが得られる。
ポリエステルとしては、ポリエチレングリコールと脂肪族二塩基性酸とからなるポリエステルで、その重量平均分子量は700から10,000が好ましい。ポリエチレングリコールは一般式がHO−(CH2CH2−O)n−H(nは整数)で表される。nは4以下が好ましい。脂肪族二塩基性酸とは一般式がHOOC−R−COOH(Rは脂肪族二価炭化水素基)で表されるしゅう酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などであり、炭素数9以下が好ましい。ポリエステルの合成は常法により、上記二塩基性酸またはこれらのアルキルエステル類とグリコール類とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成することができる。
ポリエステルの配合量は、主たる樹脂に対して5〜30質量%が好ましい。配合量をこの範囲とすることで良好な可塑性を呈するフィルムが得られる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が適当であり、その具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。とくに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕及びトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用することも熱安定性が向上できるので好ましい。これらの化合物の添加量は、その効果を得るために、熱可塑性樹脂に対し、質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがとくに好ましい。
安定化剤としては、エポキシ化合物、有機酸、チオエーテル化合物、亜リン酸エステル化合物が挙げられる。
エポキシ化合物は、溶融工程によって、有機酸などの揮発成分を抑制する効果がある。エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物、グリシジルアミン化合物、長鎖脂肪族エポキシ化合物などが挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、3,4−エポキシ−1−[8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3−イル]−シクロヘキサンなどのエポキシ−[エポキシ−オキサスピロC8-15アルキル]−シクロC5-12アルカン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートや4,5−エポキシシクロオクチルメチル−4′,5′−エポキシシクロオクタンカルボキシレートなどのエポキシC5-12シクロアルキルC1-3アルキル−エポキシC5-12シクロアルカンカルボキシレート、ビス(2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどのビス(C1-3アルキルエポキシC5-12シクロアルキルC1-3アルキル)ジカルボキシレートなどである。
グリシジルエステル化合物の具体例としては、酢酸グリシジルエステル、酪酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステルなどの飽和脂肪族カルボン酸グリシジルエステルや、アジピン酸ジグリシジルエステル、ドデカン二酸ジグリシジルエステルなどの脂肪族ジカルボン酸ジグリシジルエステル、メタアクリル酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステルなどの不飽和脂肪族カルボン酸グリシジルエステルなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、安息香酸グリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステルなどの芳香族カルボン酸グリシジルエステルなどが挙げられる。これらのグリシジルエステル化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
グリシジルエーテル化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)などが挙げられる。
グリシジルアミン化合物の具体例としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジンなどが挙げられる。
長鎖脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ化油脂、エポキシ化ステアリン酸メチル、エポキシ化ステアリン酸ブチル、エポキシ化ステアリン酸オクチルなどのエポキシ化脂肪酸アルキル、エポキシ化ポリブタジエン、長鎖α−オレフィンオキシドなどが挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、脂環式エポキシ化合物や長鎖脂肪族エポキシ化合物、特に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4,5−エポキシシクロオクチルメチル−4′,5′−エポキシシクロオクタンカルボキシレートなどのエポキシC5-12シクロアルキルC1-3アルキル−エポキシC5-12シクロアルカンカルボキシレートや、エポキシ化大豆油などのエポキシ化油などが好ましい。
エポキシ化合物の配合量は、有機酸の抑制効果の点から、熱可塑性樹脂に対して0.05から5重量%が好ましく、更に0.5から3重量%が好ましい。
有機酸、チオエーテル化合物及び亜リン酸エステル化合物は、耐酸化効果や熱安定性向上効果があり樹脂の着色や分解による有機酸の発生を抑制する効果がある。これらの安定化剤は、単独でまたは二種以上併用して使用できる。
有機酸としては、pKa値1以上、好ましくは2以上の有機酸が好ましく使用でき、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸などなどの脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環族カルボン酸、安息香酸、ナフトエ酸、フタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などの脂肪族オキシカルボン酸、サリチル酸、オキシ安息香酸、没食子酸などの芳香族オキシカルボン酸、ピリジンカルボン酸などの複素環式カルボン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸などが挙げられる。これらの有機酸は、無水物又は水和物であってもよい。
これらの有機酸の中でも、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸などのなどの脂肪族飽和カルボン酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族不飽和カルボン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸などなどの脂肪族オキシカルボン酸などが好ましく、特に、クエン酸またはその水和物などの炭素数2個から6個の脂肪族オキシカルボン酸が好ましい。
有機酸の添加量は、その耐酸化効果を十分に得るためには、熱可塑性樹脂に対して、0.005〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%であることが好ましい。
チオエーテル化合物としては、例えば、ジラウリル−3,3′−チオジブロピオネート、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジパルミチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジブロピオネート、ラウリルステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、パルミチルステアリル−3,3′−チオジプロピオネートなどのジアルキルチオジカルボキシレートなどが挙げられる。
これらのチオエーテル化合物のうち、ジラウリル−3,3′−チオジブロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジブロピオネートなどが好ましい。
チオエーテル化合物の添加量は、耐酸化効果を十分に得るためには、熱可塑性樹脂に対して、0.01〜5重量%であることが好ましく、更に0.1〜1重量%であることが好ましい。
亜リン酸エステル化合物は熱安定性を向上させる効果が高く、高温で熱可塑性樹脂を溶融する場合に得に有効である。例えば、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスファイト、トリナフチルホスファイトなどのトリアリールホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイトなどのジアリールアルキルホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイトなどのアリールジアルキルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリイソデシルホスファイトなどのトリアルキルホスファイト、ジラウリルホスファイトなどのジアルキルホスファイト、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジノニルフェニル−o−ビフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどアルキルアリール単位を含むホスファイト、トリステアリルホスファイトなどの脂肪族カルボン酸亜リン酸エステル、ポリジプロピレングリコールノニルフェニルホスフェート、テトラフェニルジプロピレングリコールホスファイトなどのアルキレンオキシド単位含むホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどのサイクリックネオペンタン単位を含むホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジドデシルペンタエリスリトールジイソシアネート、4,4′−イソプロピリデンジフェニルジドデシルジホスファイトなどのジホスファイト類、ヘプタシスジプロピレングリコールトリホスファイト、ヘキサ・トリデシル−1,1,3−トリ(3−t−ブチル−6−メチル−4−オキシフェニル)−3−メチルプロパントリホスファイトなどのトリホスファイト類などが挙げられる。
これらの亜リン酸エステル化合物の中でも、分岐アルキル基を含むホスファイトが熱安定性向上効果に特に優れるので好ましく、トリイソデシルホスファイト、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが好ましい。
亜リン酸エステル化合物の添加量は、熱可塑性樹脂に対して、0.01〜5重量%であることが好ましく、さらに0.1〜1重量%であることが好ましい。
本発明において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、特開平8−337574号記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。本発明に有用な紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を好ましく使用出来る。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
これらの紫外線吸収剤の配合量は、熱可塑性樹脂に対して、0.01〜10質量%の範囲が好ましく、更に0.1〜5質量%が好ましい。使用量が少なすぎると紫外線吸収効果が不十分の場合があり、多すぎるとフィルムの透明性が劣化する場合がある。紫外線吸収剤は熱安定性の高いものが好ましい。
本発明では、フィルムの滑り性を付与するために微粒子を添加することが好ましい。本発明で用いられる微粒子としては、得られるフィルムの透明性を損なうことがなく、溶融時の耐熱性があれば無機化合物または有機化合物どちらでもよく、例えば、タルク、マイカ、ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレー、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ワラストナイト、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ化チタン、炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭化ケイ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、ホワイトカーボンなどが挙げられる。これらの微粒子は、単独でも二種以上併用しても使用できる。粒径や形状(例えば針状と球状など)の異なる粒子を併用することで高度に透明性と滑り性を両立させることもできる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂と屈折率が近いので透明性(ヘイズ)に優れる二酸化珪素が特に好ましく用いられる。二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP-10、シーホスターKEP-30、シーホスターKEP-50(以上株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いると得られるフィルムの透明性が良好にできるので好ましい。粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、更に可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。粒子の大きさが小さすぎると滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが特に好ましい。なお、粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
本発明により得られる光学フィルムは、偏光フィルムの少なくとも片面に貼り合わせることにより楕円偏光板とすることが出来る。
偏光フィルムは、従来から使用されている、例えば、ポリビニルアルコールフィルムの如きの延伸配向可能なフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して縦延伸したものである。偏光フィルム自身では、十分な強度、耐久性がないので、一般的にはその両面に保護フィルムとしての異方性のないセルローストリアセテートフィルムを接着して偏光板としている。本発明により得られる光学フィルムは、上記保護フィルムとして有用である。また、位相差を付与した場合は、偏光板に貼り合わせて作製してもよいし、また保護フィルムも兼ねて、直接偏光フィルムと貼り合わせて作製してもよい。
偏光板はその片面または両面に感圧性接着剤層(例えば、アクリル系感圧性接着剤層など)を介して剥離性シートを積層した貼着型のもの(剥離性シートを剥すことにより、液晶セルなどに容易に貼着することができる)としてもよい。
このようにして得られた本発明の偏光板は、種々の表示装置に使用出来る。特に電圧無印加時に液晶性分子が実質的に垂直配向しているVAモードの液晶セルを用いた液晶表示装置が好ましい。
以下、実施例により更に詳細に説明する。
(実施例1)
80℃で12時間真空乾燥済のアセチル基の置換度1.95、プロピオニル基の置換度0.7、数平均分子量75,000のセルロースアセテートプロピオネート100質量部、トリフェニルフォスフェイト10質量部、エチルフタリルエチルグリコレート2質量部、チヌビン326を1.0質量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.01質量部、3,4-エポキシシクロヘキシル−3‘,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート0.8質量部、トリイソデシルホスファイト0.1質量部、シーホスターKEP-10(株式会社日本触媒製)0.1質量部の混合物を2軸式押し出し機を用いて235℃で溶融混合しペレット化した。この樹脂組成物のガラス転移温度Tgは135℃であった。
このペレットを用いてTダイからフィルム状に表面温度100℃の第1ロール上に溶融温度245℃でフィルム状に溶融押し出し、第1ロールに接触しない面の表面温度が160℃の時に剥離し、次いで表面温度100℃の第2ロールに巻きまわして未延伸フィルムを得た。
なお、ロール表面温度およびフィルム表面温度は、非接触ハンディ温度計(IT2−80;(株)キーエンス製)を用いて測定した。フィルムは、ロールに接触する直前および剥離する直前のフィルム表面温度を測定した。具体的には、稼動しているロール及び搬送されているフィルムの幅手に対し5点を、被測定物から1m離れて定点測定し、ロール表面温度はその最高値、フィルム表面温度はその最低値を用いた。
得られたフィルムをテンターに導入し、巾方向に160℃で1.3倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落として、膜厚80μmの光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムについて、下記のようにして、ダイライン、レタデーションの均一性、ロール汚れ転写、Ro、Rtの評価を行った。結果を表1に示した。
(ダイライン)
得られたフィルムをクロスニコル下で観察し、下記基準でランク付けした。
ダイラインがあるとスジ状に明暗が認められる。
ランク 基準
A スジは認められない
B 部分的に僅かにスジが認められる
C 全体に僅かにスジが認められる
D 一部はっきりとスジが認められる
E 全体にはっきりとスジが認められる

(レタデーションの均一性)
得られたフィルムをクロスニコル下で観察し、下記基準でランク付けした。
ランク 基準
A 光の透過はなく全体に均一な暗視野
B 部分的に僅かに明暗が認められる
C 全体に僅かに明暗が認められる
D 一部明暗が認められる
E 全体に明暗が認められる

(ロール汚れ転写)
得られたフィルムを目視で観察し、下記基準でランク付けした。
ランク 基準
A ロール汚れ転写は認められない
B 部分的に僅かにロール汚れ転写が認められる
C 全体に僅かにロール汚れ転写が認められる
D 一部はっきりとロール汚れ転写が認められる
E 全体にはっきりとロール汚れ転写が認められる

(Ro、Rt)
得られたフィルムについて、巾方向に10か所、下記のようにして、Ro、Rtを測定し、それぞれ平均値で表した。
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて23℃、55%RHの雰囲気下で590nmの波長において3次元屈折率測定を行い、遅相軸方向の屈折率Nx、進相軸方向の屈折率Ny、厚み方向の屈折率Nzを求める。厚み方向のレターデーション(Rt)及び面内方向のレターデーション(Ro)を下記の式から算出する。
Ro=(Nx−Ny)×d
Rt={(Nx+Ny)/2−Nz}
但し、フィルムの遅相軸方向の屈折率Nx、進相軸方向の屈折率Ny、厚み方向の屈折率Nz、フィルムの膜厚をd(nm)である。

(実施例2)
実施例1と同様にしてペレットを作製した。
このペレットを用いてTダイからフィルム状に80℃の第1ロール上に溶融温度245℃でフィルム状に溶融押し出し、第1ロールに接触しない面のフィルム表面温度が180℃の時に剥離し、次いで80℃の第2ロールに巻きまわして未延伸フィルムを得た。
この際、フィルムの第1ロール接触面の反対側から熱風発生装置を用いて200℃の熱風を吹き付けることでフィルム表面温度が180℃になるように加熱した。
得られたフィルムをテンターに導入し、巾方向に160℃で1.3倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落として、膜厚80μmの光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムについて、下記のようにして、ダイライン、レタデーションの均一性、ロール汚れ転写、Ro、Rtの評価を行った。結果を表1に示した。

(比較例1)
実施例1と同様にしてペレットを作製した。
このペレットを用いてTダイからフィルム状に表面温度125℃の第1ロール上に溶融温度245℃でフィルム状に溶融押し出し、第1ロールに接触しない面のフィルム表面温度が145℃の時に剥離し、次いで表面温度125℃の第2ロールに巻きまわして未延伸フィルムを得た。この際、フィルムの第1ロール接触面の反対側からは加熱手段を用いなかった。
得られたフィルムをテンターに導入し、巾方向に160℃で1.3倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落として、膜厚80μmの光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムについて、下記のようにして、ダイライン、レタデーションの均一性、ロール汚れ転写、Ro、Rtの評価を行った。結果を表1に示した。

(比較例2)
実施例1と同様にしてペレットを作製した。
このペレットを用いてTダイからフィルム状に表面温度125℃の第1ロール上に溶融温度245℃でフィルム状に溶融押し出し、第1ロールに接触しない面のフィルム表面温度が160℃の時に剥離し、次いで表面温度125℃の第2ロールに巻きまわして未延伸フィルムを得た。この際、フィルムの第1ロール接触面の反対側から熱風発生装置を用いて180℃の熱風を吹き付けることでフィルム表面温度が160℃になるように加熱した。
得られたフィルムをテンターに導入し、巾方向に160℃で1.3倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落として、膜厚80μmの光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムについて、下記のようにして、ダイライン、レタデーションの均一性、ロール汚れ転写、Ro、Rtの評価を行った。結果を表1に示した。

(比較例3)
実施例1と同様にしてペレットを作製した。
このペレットを用いてTダイからフィルム状に表面温度100℃の第1ロール上に溶融温度245℃でフィルム状に溶融押し出し、第1ロールに接触しない面のフィルム表面温度が145℃の時に剥離し、次いで表面温度100℃の第2ロールに巻きまわして未延伸フィルムを得た。この際、フィルムの第1ロール接触面の反対側から熱風発生装置を用いて160℃の熱風を吹き付けることでフィルム表面温度が145℃になるように加熱した。
得られたフィルムをテンターに導入し、巾方向に160℃で1.3倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落として、膜厚80μmの光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムについて、下記のようにして、ダイライン、レタデーションの均一性、ロール汚れ転写、Ro、Rtの評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例3)
乾燥したノルボルネン系開環ポリマーの水素添加物(日本ゼオン(株)、ゼオノア1420R、ガラス転移温度140℃)を1軸押し出し機を用いて、表面温度80℃の第1ロール上に溶融温度275℃でフィルム状に溶融押し出し、第1ロールに接触しない面のフィルム表面温度が190℃の時に剥離し、次いで表面温度80℃の第2ロールに巻きまわして未延伸フィルムを得た。この際、フィルムの第1ロール接触面の反対側から熱風発生装置を用いて220℃の熱風を吹き付けることでフィルム表面温度が190℃になるように加熱した。
得られたフィルムをテンターに導入し、巾方向に155℃で1.5倍延伸した後、巾方向に2%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落として、膜厚100μmの光学フィルムを得た。
得られた光学フィルムについて、下記のようにして、ダイライン、レタデーションの均一性、ロール汚れ転写、Ro、Rtの評価を行った。結果を表1に示した。
Figure 0004720393
(実施例4)
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に縦延伸して偏光フィルムを作った。一方、保護フィルムとして80μmのコニカタック(コニカ製、セルローストリアセテートフィルム)を60℃、2mol/lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬し水洗した後、100℃で10分間乾燥し、アルカリ鹸化処理したセルローストリアセテートフィルムを作った。得られた偏光フィルムとセルローストリアセテートフィルムを完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液からなる接着剤を用いて貼り合わせ片面に保護フィルムを有する偏光フィルムを作製した。一方、本発明の実施例2で得られた光学フィルムを50dyn/cmの処理量でコロナ処理を行い、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として用いて上記保護フィルム付偏光フィルムの保護フィルムのない側に貼り合わせ偏光板を作製した。なお、光学フィルムの巾方向と偏光フィルムの透過軸(巾方向)とのなす角度は、平行になるように貼り合わせた。
得られた偏光板を用いて下記のようにして視野角特性の評価を行ったところ鮮明な画像が観察され、良好な視野角特性であった。
(視野角特性)
垂直配向型液晶セルについて下記により目視により評価した。
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)の偏光板を剥がし、その代わりに実施例で作製した偏光板を観察者側の偏光板の透過軸が上下方向、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように粘着剤で貼り合わせた液晶表示装置を用いて、画面の法線方向に対して80度傾けた方向から画像を観察した。
本発明によれば、溶融押出成形法を用いてもダイラインがなく、均一なレタデーション特性を有し、ロール汚れ転写のない光学フィルムを提供できる。本発明の製造方法により得られる光学フィルムを液晶表示装置に用いることで良好な視野角特性を有する液晶表示装置が提供できる。
図1は本発明の光学フィルムを製造する装置の説明図である。 図2は本発明の光学フィルムを製造する実施態様の説明図である。
符号の説明
1 押し出し機
2 フィルター
3 スタチックミキサー
4 ダイ(厚み調整手段含む)
5 フィルム密着手段
6 第1ロール
6´第2ロール
7 剥離ロール
8 ダンサーロール
9 延伸機
10 スリッター
11 厚み測定手段
12 エンボスリング及びバックロール
13 巻き取り機
14 巻き取られた光学フィルム

21 ダイ
22 溶融状態の熱可塑性樹脂
23 第1ロール
23´第2ロール
24 加熱手段

Claims (4)

  1. 溶融押出成形による光学フィルムの製造方法において、Tg+50℃以上の温度でダイから押し出された熱可塑性樹脂フィルムを、該フィルムのTg−20℃以下の表面温度を有する第1ロールに巻きまわしつつ搬送し、次いで該第1ロールに接触する側の反対側のフィルム表面温度がフィルムのTg+20℃以上の状態で第1ロールから剥離し、更にフィルムのTg−20℃以下の表面温度を有する第2ロールに、前記フィルムのロールに接触する側の反対側が接触するように巻きまわして搬送することを特長とする光学フィルムの製造方法。
  2. フィルムの片面側をフィルムのTg−20℃以下の表面温度を有する第1ロールに巻きまわして搬送しつつ、該フィルムの該第1ロールに接触する側の反対側のフィルム表面温度をフィルムのTg+20℃以上に加熱することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記フィルムを更に少なくとも1方向に1.01〜3.00倍延伸することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 熱可塑性樹脂がセルロースエステルであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
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