JP4102664B2 - バルサルタン塩 - Google Patents
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Description
本発明は、式
【化1】
で示されるAT1受容体アンタゴニスト (S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロパ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル−メチル]−アミン(バルサルタン)の新規塩に関する。
【0002】
活性成分バルサルタンはEP 0443983、とりわけ実施例16に明確に記載された遊離の酸である;それは2つの酸性水素原子:(i)カルボキシル基の水素原子(H原子)、および(ii)テトラゾール環の水素原子を有する。したがって、1つの酸性H原子(主にカルボキシルのH原子)または両方の酸性H原子は、1価またはそれ以上の価数の、例えば2価の、カチオンにより置換されてもよい。混合塩もまた形成され得る。
【0003】
EP 443983には、バルサルタンのいかなる特定の塩も開示されていない。また、塩のいかなる特定の性質も記載されていない。一方、活性成分バルサルタンは、数々の国においてDIOVANの商標名で抗高血圧薬として導入されている。
【0004】
遊離酸のバルサルタンは、密閉型のるつぼで80〜95℃の融点を有し、開放型のるつぼでは105〜110℃であり、そして融解エンタルピーは12kJ/molである。旋光度はメタノール中c=1%の濃度で[α]20 D=(−70±2)°である。
【0005】
バルサルタンの結晶およびその塩水和物の密度を、ヘリウム・ピクノメーター(Micromeritics、Norcross、GA、USAのAccupyc 1330)により測定した。遊離酸のバルサルタンの結晶の密度は1.20±0.02であった。
【0006】
X線回折図は、本質的に非常に幅広い、散乱したX線反射で構成される;したがって、当該遊離酸は、X線下ではほとんどアモルファスとして特徴付けられる。12kJ/molという融解エンタルピーの測定値と関連した融点により、明らかに、遊離酸のバルサルタンの粒子または構造ドメインにおいて、考慮すべき処置構造(residual arrangement)の存在が確かめられる。
【0007】
化学的製造の最終段階のに続く乾燥または破砕における、そしてまた医薬製剤を製造するためのステップにおける、管理がより容易で、より安定な、例えば結晶の形態のバルサルタンの必要性が存在する。塩の形成を通して改善された形態を発見しようとする多くの無駄な試みが行われてきた。該形態は、できるだけ結晶であり、そして物理的および化学的に安定であることが理想的である。本発明の塩、それらの溶媒和物およびそれらの多形相(polymorphous form)のみが、所望の改善された性質を示す。
【0008】
所望の有利な性質を有するバルサルタンの塩の形成は、困難であることが判明している。大部分の場合において、例えば、安定性がほとんどないアモルファスの塩(例えば泡状固体、ワックスまたはオイル)が得られる。広範な研究により、本発明のバルサルタンの塩が遊離酸のバルサルタンと比較して特に有利であることが示された。
【0009】
本発明は、1ナトリウム塩、1カリウム塩、2カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ビス−ジエチルアンモニウム塩、ビス−ジプロピルアンモニウム塩、ビス−ジブチルアンモニウム塩、モノ−L−アルギニン塩、ビス−L−アルギニン塩、モノ−L−リジン塩およびビス−L−リジン塩、ならびにそれらの塩の混合物、またはそれぞれ、それらのアモルファスの形態、溶媒和物、とりわけ水和物、ならびに多形相からなる群から選択されるバルサルタンの塩、それぞれの製造および使用、およびこのような塩を含む医薬製剤を目的とする。
【0010】
本発明は、1ナトリウム塩、1カリウム塩、2カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ビス−ジエチルアンモニウム塩、ビス−ジプロピルアンモニウム塩、ビス−ジブチルアンモニウム塩、モノ−L−アルギニン塩、ビス−L−アルギニン塩、モノ−L−リジン塩およびビス−L−リジン塩、またはそれぞれ、それらのアモルファスの形態、溶媒和物、とりわけ水和物、ならびに多形相からなる群から選択されるバルサルタンの塩を目的とする。
【0011】
塩混合物は、(i)上の群から選択される異なるカチオンからの1価塩(single salt)の形態または(ii)例えばコングロメレート(conglomerate)の形態で存在する、それらの1価塩の混合物である。
【0012】
好適な塩は、例えば
アモルファスの形態の1ナトリウム塩;
アモルファスまたは結晶の形態、とりわけ水和物の形態のバルサルタンの2ナトリウム塩;
アモルファスの形態のバルサルタンの1カリウム塩;
アモルファスまたは結晶の形態、とりわけ水和物の形態のバルサルタンの2カリウム塩;
【0013】
結晶の形態、とりわけ水和物、主に4水和物の形態のバルサルタンのカルシウム塩;
結晶の形態、とりわけ水和物、主に6水和物の形態のバルサルタンのマグネシウム塩;
結晶の形態、とりわけ水和物の形態のバルサルタンのカルシウム/マグネシウム混合塩;
結晶の形態、とりわけ水和物の形態のバルサルタンのビス−ジエチルアンモニウム塩;
結晶の形態、とりわけ水和物の形態のバルサルタンのビス−ジプロピルアンモニウム塩;
結晶の形態、とりわけ水和物、主にヘミ水和物の形態のバルサルタンのビス−ジブチルアンモニウム塩;
アモルファスの形態のバルサルタンのモノ−L−アルギニン塩;
アモルファスの形態のバルサルタンのビス−L−アルギニン塩;
アモルファスの形態のバルサルタンのモノ−L−リジン塩;
アモルファスの形態のバルサルタンのビス−L−リジン塩、
から選択される。
【0014】
本発明の塩は、好ましくは、単離されそして本質的に純粋な形態、例えば>95%、好ましくは>98%、主に>99%の純度で存在する。本発明の塩の光学純度は、>98%、好ましくは>99%である。
【0015】
遊離酸と比較して、本発明の塩、またはそれらのアモルファスの形態、塩水和物のような溶媒和物、およびまた対応する多形相の形態は、予測不可能な有利な性質を有する。所定の条件下で、該結晶性塩および結晶性塩水和物は、顕著な吸熱性融解エンタルピーと関連した明確な融点を有する。本発明の結晶性塩は安定であり、そして貯蔵および流通中においてもまた、バルサルタンよりも優れた特定を有する。アモルファスまたは部分的にアモルファスの塩は、限られた安定性、すなわち、それらは固体として限定された範囲の安定性を有する。安定化するために、それらは例えばガレヌス製剤により達成され得る一定の手段を必要とする。
【0016】
さらに、本発明の結晶性およびアモルファス性の両方の塩は、水中で高度の解離性を有し、したがって、実質的に改善された水溶性を有する。一方では溶解工程がより迅速になり、他方ではこのような溶液に要する水の量がより少量になるので、これらの性質は有利である。さらに、水溶性が高くなると、所定の条件下で、固体投与形態の場合における塩または塩水和物の生物学的有用性も増大し得る。改善された性質は、とりわけ患者にとって有益である。さらに、本発明のいくつかの塩、特にアルカリ土類金属塩は、格別に物理的に安定である。室温およびやや高い温度での異なる相対湿度に関して、本発明の塩水和物は広範な湿度および数時間、例えば4時間にわたって、事実上、水の吸着(absorption)および水の減少を全く示さない。また、例えば、本発明の塩の融点は、さまざまな相対湿度下での貯蔵によって変化しない。
【0017】
一定の塩または一定の塩水和物の改善された物理化学的性質は、それらが薬学的活性物質として製造される場合、ならびにガレヌス製剤を製造、貯蔵および適用する場合の両方の場合に、非常に重要である。この方法において、改善された定常性の物理的パラメーターで開始すると、いっそう優れた特性の製剤が保証され得る。塩または塩水和物の高い安定性は、また、後処理中に行われるべき製造工程をより簡素にできることにより、経済的利点を与える。一定の塩水和物の高い結晶性により、分析方法、とりわけさまざまなX線方法の使用の選択が可能となり、それらの使用によりそれらの解離の明確かつ単純な分析が可能となる。この要因は、また、製造、貯蔵および患者への投与における活性物質およびそのガレヌス製剤の特性にとって極めて重要である。さらに、ガレヌス製剤における活性成分を安定化するための複雑な条件が回避され得る。
【0018】
したがって、本発明はバルサルタンの結晶、また、部分結晶およびアモルファス塩に関する。
【0019】
水和物のような溶媒和物と同様、本発明は、また、本発明の塩の多形相に関する。
【0020】
本発明の塩の溶媒和物および水和物は、例えば、それぞれヘミ−、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−溶媒和物または水和物として存在し得る。結晶化に使用された溶媒、例えばアルコール、とりわけメタノール、エタノール、アルデヒド、ケトン、とりわけアセトン、エステル、例えば酢酸エチルは、結晶格子中に埋め込まれ得る。選択された溶媒または水が結晶化において、およびその後の製造ステップにおいて、溶媒和物もしくは水和物となるかまたは直接、遊離酸となるかの限度は、一般に予測不可能であり、そして製造条件ならびにバルサルタンと選択された溶媒、とりわけ水との間のさまざまな相互作用の組み合わせに依存する。塩、溶媒和物および水和物の形態の得られた結晶性またはアモルファス性の固体、ならびに対応する塩溶媒和物または塩水和物のそれぞれの安定性は、実験により測定されなければならない。したがって、これらの条件下では異なる結晶性固体および異なるアモルファス性物質の両方が生成し得るので、得られた固体中の分子の化学組成および化学量論比のみに焦点を合わせることは不可能である。
【0021】
結晶構造中の水分子は強力な分子間力により結合しており、そしてそれにより、部分的に並外れて安定なこれらの結晶の構造情報の必須の要素を示すので、対応する水和物の塩水和物を記載することは好適であり得る。しかしながら、水分子は、また、やや弱い分子間力により結合している一定の結晶格子中にも存在している。このような分子は多かれ少なかれ結晶構造形成において会合するが、よりエネルギーの低いほうへ会合する。アモルファス性の固体の含水量は、一般に、結晶性水和物におけるように明確に測定され得るが、乾燥および環境条件に大きく依存する。対照的に、安定な水和物の場合には、医薬活性物質と水との間に明確な化学量論比が存在する。多くの場合において、これらの比は化学量論値を完全には満たさず、一定の結晶の欠損のために理論値と比較して通常は低い値になる。水に比較的弱く結合した有機分子の、水分子に対する比は、かなりの程度、例えば、ジ−、トリ−、テトラ−水和物のように変動し得る。他方、アモルファス性固体において、水の分子構造分類は化学量論的ではない;しかしながら、該分類は、また、偶然に化学量論的にもなり得る。
【0022】
ある場合において、例えばアルカリ金属塩において、とりわけカリウム塩において層構造が形成され、その結果、埋め込まれた水が規定された形態で測定できないので、水分子の正確な化学量論を分類することは不可能である。
【0023】
同一の化学組成を有する結晶性固体に関して、異なる得られた結晶格子は、多形なる用語により要約される。
【0024】
任意の前記または後記の本発明の塩の意義は、適当および好都合な対応する溶媒和物、例えば水和物、および多形変形物(polymorphous modification)、およびまたアモルファスの形態を意味すると理解されるべきである。
【0025】
バルサルタンのカルシウム塩の4水和物およびバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物が、とりわけ好適である。
【0026】
これらの2つの塩水和物の粉末のX線回折図は、多くの不連続のX線反射を有し、事実上、非結晶性またはアモルファス性の部分の徴候は全くない。したがって、これらの規定された塩水和物の結晶化の程度は驚くほど高い。同じく、比較的大きい結晶が一定の塩水和物から得られ得、そして結晶学的な意味でこれらは単結晶である。このような単結晶により該固体の構造の測定が可能となる。それは、X線回折測定器により測定された反射強度のコンピューター使用評価(computer-aided evaluation)により行われる。
【0027】
規格化された結晶の物理的、化学的および光学的高純度のような通常の条件下で、結晶の構造を測定するための本方法により、分子または原子レベル、すなわち単位格子(elementary cell)の対称性およびサイズ、原子の位置および温度要因での該構造の明確な測定が可能となり、そして、確かめられた単位容積(cell volume)から、X線写真密度が分子量に基づいて示される。同時に、X線写真構造測定により、その詳細な特性が提供される。
【0028】
これらの2つの塩水和物の顕著な特性はその結晶に基づくものであり、バルサルタン1分子あたり4または6つの水分子を組み込むことによりこれらの塩を形成する。したがって、事実上完全な3次元結晶格子が生成する。これら2つの塩は遊離酸のバルサルタンよりも数倍優れた水溶性を有し、これはとりわけ驚くほど高い融点、および遊離酸の8ないし5倍高い融解エンタルピーを有する。これら2つの塩水和物の異例の結晶格子は、これら2つの化合物の化学的および物理的安定性の基礎となる。
【0029】
特に注目に値する塩水和物は、バルサルタンのカルシウム塩の4水和物である。それは、密閉試料容器内で、Tr=10K・min−1の加熱速度で、205±1.5℃の融点および98±4kJ・Mol−1の融解エンタルピーを有する。バルサルタンのカルシウム塩の4水和物は、上昇した温度で、水和物の水および分子の構造の点の両方から安定ではない。示した融点は、密閉試料容器内でのみ測定され得る水和物の融点である。0.2mmの壁厚を有する金の容器を使用した;2〜4mgの塩水和物を秤量後、それらを常温圧接(cold welding)により密封した。これらの金の容器は、約22マイクロリットルの内部自由容積を有する。融点の測定中に塩水和物の強力な脱水が起こり得ないように、サンプルの量と加圧された容器の体積は適切に適合されなければならない。
【0030】
205セルシウス氏温度での水の分圧は約18バールであり、その結果、無水物への変換が融点測定中にDSC(示差走査熱量計)内の開放容器で起こる。いくつかの加熱速度(Tr=10、20、40K・min−1)からのデータを連続的で急速な加熱速度に外挿すると、融点は213±2℃であり融解エンタルピーは124±5kJ・Mol−1である。水和物の融点が高くかつ融解エンタルピーが大きいことは、ともに、バルサルタンのカルシウム塩の4水和物の結晶格子の例外的な安定性を表している。これらの2つの熱力学的特性により、2つの対応するデータ、すなわち密閉系で90℃の融点および12kJ・Mol−1の融解エンタルピーを有する遊離酸と比較して、有利な物理的特性が例示される。X線データとともに、これらの熱力学的データは、この結晶格子の高い安定性を証明している。それらは、バルサルタンのカルシウム塩の4水和物の特別の物理的および化学的抵抗性の基礎である。
【0031】
臭化カリウム圧縮錠中でのバルサルタンのカルシウム塩の4水和物の赤外吸収スペクトルの測定により、波数(cm−1)で表された下記の重要なバンドが示される:
3750−3000(st);3400−2500(st);1800−1520(st);1500−1380(st);1380−1310(m);1290−1220(w);1220−1190(w);1190−1160(w);1160−1120(w);1120−1050(w);1030−990(m);989−960(w)、950920(w);780−715(m);710−470(m)。吸収バンドの強度は次のように示される:(w)=弱;(m)=中;および(st)=強。同様の赤外スペクトルの測定が、Perkin−Elmer Corp.、Beaconsfield、Bucks、EnglandのSpektrum BX装置を用いるATR−IR (Attenuated Total Reflection−Infrared Spectroscopy)により行われた。
【0032】
バルサルタンのカルシウム塩の4水和物は、波数(cm−1)で表される下記の吸収バンドを有する:
3594(w);3306(w);3054(w);2953(w);2870(w);1621(st);1578(m);1458(m);1441(m);1417(m);1364(m);1336(w);1319(w);1274(w);1241(w);1211(w);1180(w);1149(w);1137(w);1106(w);1099(w);1012(m);1002(w);974(w);966(w);955(w);941(w);863(w);855(w);844(w);824(w);791(w);784(w);758(m);738(m);696(m);666(m)。
【0033】
吸収バンドの強度は次のように示される:(w)=弱;(m)=中;および(st)=強。
【0034】
ATR−IRスペクトル測定の最も強い吸収バンドは、波数(cm−1)で表される下記の値により示される:3306(w);1621(st);1578(m);1458(m);1441(m);1417(m);1364(m);1319(w);1274(w);1211(w);1180(w);1137(w);1012(m);1002(w);758(m);738(m);696(m);666(m)。
ATR−IRのすべての吸収バンドの誤差幅(error margin)は±2cm−1である。
【0035】
バルサルタンのカルシウム塩の4水和物の水含有量は、理論的には13.2%である。
サーモスケールTGS−2(Perkin−Elmer Corp.、Norwalk、CT USA)を用いて含水量を測定すると、12.9%であった。このことから、総合的な式は(C24H27N5O3)2−Ca2+・(3.9±0.1)H2Oと計算された。
【0036】
熱重量分析計を用いて、水を含まないN2雰囲気中で、温度の関数としての重量の減少、すなわち4水和物の水の減少を10K・min−1の加熱速度にて測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
水−エタノール混合液中のバルサルタンのカルシウム塩の4水和物の溶解度を、22℃の温度に関して表2に示す。
【表2】
【0039】
蒸留水中での本発明の極めて重要な2つの塩および遊離酸の溶解度の比較を表3に示す。
【表3】
【0040】
さらに、バルサルタンのカルシウム塩の4水和物を、X線粉末パターンにより測定される格子面間隔(interlattice plane interval)を用いて、特徴付ける。X線粉末パターンの測定は、室温でのCu−Kα1照射を用いた透過結晶構造(transmission geometry)中のX線フィルムが入ったGuinierカメラ(Enraf Nonius、Delft、NLのFR 552)で行った。格子面間隔の計算のためのフィルムの評価は、視覚およびLine−Scanner(Johansson Taeby、S)の両方により行い、そして反射強度を同時に測定する。
【0041】
バルサルタンのカルシウム塩の4水和物の好ましい特徴は、確かめられたX線回折図の格子面間隔dから得られ、それにより、以下において、適切な誤差限界(error limit)を有する平均値が示される。
d[Å]:16.1±0.3、9.90±0.2、9.4±0.2、8.03±0.1、7.71±0.1、7.03±0.1、6.50±0.1、6.33±0.1、6.20±0.05、5.87±0.05、5.74±0.05、5.67±0.05、5.20±0.05、5.05±0.05、4.95±0.05、4.73±0.05、4.55±0.05、4.33±0.05、4.15±0.05、4.12±0.05、3.95±0.05、3.91±0.05、3.87±0.05、3.35±0.05。
【0042】
X線回折図における極めて強い反射により、次の格子面間隔が示される:
d[Å]:16.1±0.3、9.9±0.2、9.4±0.2、7.03±0.1、6.50±0.1、5.87±0.05、5.74±0.05、4.95±0.05、4.73±0.05、4.33±0.05、4.15±0.05、4.12±0.05、3.95±0.05。
【0043】
所定の物質に関するGuinierカメラでのX線回折図からの実験により測定された格子面間隔および強度の、上に示された平均値を調べる好適な方法は、総合的な単結晶の構造測定からこれらの間隔およびそれらの強度を計算することからなる。この構造測定により単位格子定数および原子の位置が分かり、これにより固体に相当するX線回折図がコンピューター使用計算方法(プログラムCaRine Crystallography、Universite de Compiegne、France)により計算され得る。これらのデータの比較、すなわちGuinierカメラでの測定および単結晶データを計算することより得られたバルサルタンのカルシウム塩の4水和物の最も重要なライン(line)の格子面間隔および強度の比較は、表4に示される。
【0044】
【表4】
【0045】
本発明は、(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチルプロパ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−アミンのカルシウム塩の結晶性4水和物に関し、該結晶性固体は、単結晶X線分析およびX線粉末パターンから得られるデータおよびパラメーターにより明確に特徴付けられる。単結晶X線回折ならびに評価された結晶データおよびパラメーターの定義の方法の理論の綿密な議論は、Stout & Jensen、X-Ray Structure Determination; A Practical Guide、Mac Millian Co.、New York、N.Y. (1968) chapter 3 中に見出され得る。
【0046】
バルサルタンのカルシウム塩の4水和物の単結晶X線構造測定のデータおよびパラメーターは表5に含まれる。
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
単位格子を6つのパラメーター、すなわち格子定数a、bおよびc、ならびにアキシャル角、すなわちα、β、およびγにより規定する。この方法で、単位格子の容積Vcを測定する。これらの結晶パラメーターの区別立てされた記載は、Stout & Jensen (上を参照)の第3章に示されている。単結晶測定、とりわけ原子の座標、等方性熱パラメーター、水素原子の座標ならびに対応する等方性熱パラメーターからのバルサルタンのカルシウム塩の4水和物の詳細は、単斜晶系の単位格子が存在することを示し、4つの分子式単位(Ca2+バルサルタン2−・4H2O)は、2倍の位置で、2つの結晶学的に独立な単位の結果として得られる。
【0050】
単結晶X線構造解析から測定された非中心性の空間群P21を与えると、ラセミ体は除外される。したがって、(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチルプロパ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−アミンのカルシウム塩の結晶性4水和物のS体の光学純度が確かめられる。
【0051】
乾燥、分粒、粉砕のような物理化学的手順および混合、造粒、スプレー乾燥、打錠のような薬学的賦形剤とともに行われるガレヌス工程の両方のための純粋な活性物質の品質に関する必須の特徴は、当該環境の温度および相対湿度に依存するこの活性物質の水の吸着または減少である。ある製剤では、遊離および結合した水が確実に賦形剤に導入され、そして/または、水はそれぞれの製剤工程に関連する理由でプロセス・マス(process mass)に加えられる。このように、薬学的活性物質は、異なる活動度(水蒸気の分圧)の温度に依存して、やや長い時間にわたって遊離の水に曝される。
【0052】
この特性の明確な特徴づけは、動的水蒸気吸着量測定装置(Surface Measurement Systems LTD、Marlow、Buckinghamshire、UKのDVS−1)を用いる予め決められた時間間隔および予め決められた相対湿度での等温測定により達成される。表6は、バルサルタンのカルシウム塩の4水和物の9.5mgのサンプルの、4時間での、25℃における相対湿度の関数としての質量の変化、すなわち水の吸着または減少を示す。相対湿度の下記の変化のサイクルは、40−90;90−0;0−90;90−0%の相対湿度で示される:
【表8】
【0053】
熱重量分析に基づくこの収着方法の測定誤差は、約0.1%である。したがって、使用された条件(この条件は医薬ガレヌス的観点から実際的なものである。)下で、バルサルタンのカルシウム塩の4水和物は、測定可能な水の吸着または減少を全く示さない。結晶構造中の約13%の結合水を包含する4水和物が、極端な値の相対湿度中でさえ水と全く無関係であることは、極めて驚くべきことである。この特性は、化学的製造の最終段階において、および異なる投与形態のすべてのガレヌス的製造段階における実際問題としても非常に重要である。この例外的な安定性は、同様に、活性成分の一定の有効性という利益を患者に与える。
【0054】
pH1、pH4.5およびpH6.8におけるバルサルタンのカルシウム塩の固有の溶解度は、バルサルタンのそれよりも改善された値を示す。
【0055】
バルサルタンのカルシウム塩、とりわけその4水和物の水に対する例外的な安定性は、また、安定性試験においても示される。これらにおいて、バルサルタンのカルシウム塩の4水和物の含水量は、開放型容器および密閉型アンプルの両方において、40℃で75%の相対湿度にて4週間にわたって不変である。
【0056】
カルシウム塩、とりわけその4水和物の有利な結晶性のために、この塩は直接圧縮して対応する錠剤を作成するのに適している。
【0057】
さらに、錠剤における改善された溶解プロフィールが保証され得る。溶解プロフィールの研究において、カルシウム塩、とりわけその4水和物は15分以内にフィルム被覆された錠剤から100%放出されることが確認された。
【0058】
新しい種類の結晶性固体の群のうち、バルサルタンのマグネシウム塩水和物、特に6水和物が好ましい。融点の領域におけるこの塩水和物の熱的挙動は、ある化学的および物理的不安定性を示す。したがって、熱的データは測定条件に依存する。内部自由容積が22マイクロリットルであり、サンプルが2〜4mgであり、そして加熱速度がTr=10K・min− 1である密閉金製試料容器において、バルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の融点は132±1.5℃であり、融解エンタルピーは56±3kJ・Mol− 1である。バルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の融点が有意に高く、融解エンタルピーが遊離酸のバルサルタンよりも約5倍高いことは、室温付近での新しい種類の結晶格子の一定の安定性によるものである。
【0059】
20℃での1%溶液としてのメタノール中のバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の旋光度は、[α]20 D=−14°である。
【0060】
臭化カリウム圧縮錠中のバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の赤外吸収スペクトルの測定により、波数(cm−1)で表される次の主要なバンドが示される:
3800−3000(st);3000−2500(st);1800−1500(st);1500−1440(m);1440−1300(m);1280−1240(w);1240−1190(w);1190−1150(w);1120−1070(w);1050−990(w);990−960(w);960−920(w);920−700(m);700−590(w);590−550(w)。
吸収バンドの強度は次のように示される:(w)=弱;(m)=中;および(st)=強。
【0061】
赤外スペクトルは、また、Perkin−Elmer Corp.、Beaconsfield、Bucks、EnglandのSpektrum BX 装置を用いてATR−IR(減衰全反射赤外分光法(Attenuated Total Reflection−Infrared Spectroscopy))により測定された。
【0062】
バルサルタンのマグネシウム塩の6水和物は、波数(cm−1)で表される次の吸収バンドを有する:
3378(m);3274(m);2956(m);2871(w);2357(w);1684(w);1619(st);1557(m);1464(m);1419(m);1394(st);1374(m);1339(w);1319(w);1300(w);1288(w);1271(w)1255(w);1223(w);1210(w);1175(m);1140(w);1106(w);1047(w);1024(w);1015(w);1005(w);989(w);975(w);955(w);941(w);888(w);856(w);836(m);820(w);766(st);751(m);741(st);732(st)。
吸収バンドの強度は次のように示される:(w)=弱;(m)=中;および(st)=強。
【0063】
ATR−IR分光法の最も強い吸収バンドは、波数(cm−1)で表される次の数値により示される:
3378(m);3274(m);2956(m);1619(st);1557(m);1464(m);1419(m);1394(st);1271(w);1175(m);1015(w);975(w);836(m);766(st);751(m);741(st);732(st)。
ATR−IRのすべての吸収バンドの誤差幅は、±2cm−1である。
【0064】
バルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の理論的含水量は、19.1%である。熱重量分析−フーリエ変換赤外分光装置(Netzsch Geraetebau GmbH、Selb、Bayern and Bruker Optik GmbH、KarlsruheのTG-FTIR、IFS 28)に基づく組み合わせ装置を用い、同時に赤外スペクトル(水の放出)を用いて重量の減少を測定しそして失われた成分の同定をすると、含水量は18.5%と測定され、このことは理論値と十分適合する。6水和物に関して、これはマグネシウム塩1molあたり5.8±0.2molのH2Oに相当する。
【0065】
表7は、N2雰囲気中、熱重量分析熱分析装置で10K・min−1の加熱速度にて測定された水の減少を用いて、温度に依存するバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の水の減少を示したものである。TG−FTIR測定から、重量の減少の相関関係が、水の放出のみに起因することが確かめられる。
【0066】
【表9】
【0067】
蒸留水中のバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の溶解度は、22℃で、1リットルの溶液(pH9.3)あたり59gである。
【0068】
バルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の結晶形は、X線粉末パターンにおけるラインから計算された格子面間隔により明確に特徴付けられる。使用される測定および分析方法は、バルサルタンのカルシウム塩の4水和物に関して使用したものと同一である。
【0069】
この好適なバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の特徴付けは、格子面間隔dから得られ、これにより、下記において、平均値を適当な誤差限界で示す:
d[Å]:19.7±0.3、10.1±0.2、9.8±0.2、7.28±0.1、6.48±0.1、6.00±0.1、5.81±0.1、5.68±0.1、5.40±0.05、5.22±0.05、5.12±0.05、5.03±0.05、4.88±0.05、4.33±0.05、4.22±0.05、4.18±0.05、4.08±0.05、3.95±0.05、3.46±0.05、3.42±0.05。
【0070】
X線回折図における最も強力な反射により、次の格子面間隔が示される:
d[Å]:19.7±0.3、10.11±0.2、9.8±0.2、7.28±0.1、5.81±0.05、5.68±0.05、5.03±0.05、4.88±0.05、4.18±0.05、4.08±0.05、3.46±0.05。
【0071】
所定の物質に関して、上に示された格子面間隔の平均値およびGuinierカメラでのX線回折図からの実験により測定された強度を調べる好適な方法は、全体的な単結晶構造の測定からこれらの間隔およびそれらの強度を計算することからなる。この構造測定により格子定数および原子の位置が得られ、これらにより該固体に対応するX線回折図をコンピューター使用計算方法(programme CaRine Crystallography、Universite de Compiegne、France)により計算することができる。これらのデータの比較、すなわちGuinierカメラでの測定および単結晶のデータから得られたバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の最も重要なラインの格子面間隔および強度を表8に示す。
【0072】
【表10】
【0073】
本発明は、特に(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチルプロパ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−アミンのマグネシウム塩の結晶性6水和物に関するものであり、その結晶性固体は、単結晶X線分析から得られたデータおよびパラメーターにより明確に特徴付けられる。単結晶X線回折ならびに評価された結晶データおよびパラメーターの定義の方法の理論の綿密な議論は、Stout & Jensen、X−Ray Structure Determination; A Practical Guide、Mac Millian Co.、New York、N.Y. (1968) chapter 3 中に見出され得る。
【0074】
マグネシウム−バルサルタン−6水和物に関する単結晶X線分析のデータおよびパラメーターを、表9に記載する。
【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
使用されたコンピュータープログラム
SHELXS 86 (Sheldrick、Goettingen、1990)
SHELXL 96 (Sheldrick、Goettingen、1996)
SCHAKAL 86 (Keller、Freiburg 1986)
PLATON (Spek、Acta Cryst.、1990)
【0079】
単位格子を6つのパラメーター、すなわち格子定数a、bおよびc、ならびにアキシャル角、すなわちα、β、およびγにより規定する。この方法で、単位格子の容積Vcを測定する。これらの結晶パラメーターの区別立てされた記載は、Stout & Jensen (上を参照)の第3章に示されている。
【0080】
単結晶測定、とりわけ原子の座標、等方性熱パラメーター、水素原子の座標ならびに対応する等方性熱パラメーターからのバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の詳細は、単斜晶系の単位格子が存在することを示し、その単位格子の内容物は4つの式単位(Mg2+バルサルタン・6H2O)である。
【0081】
単結晶X線構造測定から決定された非中心性の空間群C2を与えると、ラセミ体は除外される。このようにしてバルサルタンのマグネシウム塩の結晶性6水和物のS体の光学純度が確かめられる。
【0082】
表10は、重量の変化、すなわち、9.5mgのマグネシウム−バルサルタン−6水和物のサンプルの25℃、4時間での相対湿度の関数としての水の吸着または減少を示す。相対湿度の変化のサイクルは次の通りである:40−90;90−0;0−90;90−0%相対湿度:
【表14】
【0083】
熱重量分析に基づくこの収着方法の測定誤差は、約0.1%である。したがって、使用された条件(この条件は医薬ガレヌス的観点から実際的なものである。)下でのバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物は、20〜80%の範囲の相対湿度において、弱い、再現性のある水の吸着または水の減少を示す。結晶構造中に約19%の結合水を包含する6水和物が、極端な値の相対湿度においてさえ水を可逆的に吸着または放出し、そして平均的な相対湿度で比較的影響を受けないことは、極めて驚くべきことである。この特性は、簡単な物理化学的製造の製造工程の開発を可能にし、そして患者が最良の投与形態を選択することを可能にする。
【0084】
水に対するバルサルタンのマグネシウム塩、とりわけその6水和物の例外的な安定性は、また、安定性試験において示され得る。これらにおいて、バルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の含水量は、開放型容器および密閉型アンプルの両方において、40℃で75%の相対湿度にて4週間にわたって不変である。
【0085】
マグネシウム塩、とりわけその6水和物の有利な結晶性のために、この塩は直接圧縮して対応する錠剤を作成するのに適している。
【0086】
さらに、錠剤における改善された溶解プロフィールが保証され得る。溶解プロフィールの研究において、マグネシウム塩、とりわけその6水和物は15分以内にフィルム被覆された錠剤から100%放出されることが確認された。
【0087】
さらに、バルサルタンのマグネシウム塩、とりわけその6水和物は、有利な圧縮かたさ(compression hardness)プロフィールを示す。
【0088】
バルサルタンのカルシウム/マグネシウム混合塩も、また、有利な特性を有し、例えば均一な結晶性コングロメレートが製造され得る。これらはガレヌス製剤において有利に使用され得る。
【0089】
pH1、pH4.5およびpH6.8でのバルサルタンの2カリウム塩の固有の溶解度は、バルサルタンのそれよりも改善された値を示す。
本発明のさらなる目的は、本発明にしたがう塩の製造である。
本発明にしたがう塩(そのアモルファス性または結晶性の形態を含む)は、次のように製造され得る:
【0090】
塩を形成するために、2つの反応物質、すなわち酸であるバルサルタンおよびそれぞれの塩基が十分に溶解する溶媒系内で該工程は行われる。結晶化または沈澱を達成するために、得られた塩がわずかしか溶けないか全く溶けない溶媒または溶媒混合物を使用することは好都合である。本発明にしたがう塩の1つの変法は、塩がよく溶ける溶媒を使用し、そしてその後この溶液に、得られた塩がわずかしか溶けないアンチソルベントを加えることである。塩の結晶化のさらなる変法は、必要であれば減圧下で、例えば加熱により、または、例えば室温で、溶媒をゆっくりと蒸発させるか、または種晶を添加するか、または水和物の形成に必要な水の活動度を設定することにより、塩溶液を濃縮することからなる。
【0091】
使用され得る溶媒は、例えばC1〜C5−アルカノール、好ましくはエタノールおよびイソプロパノール、ならびにC1〜C5−ジアルキルケトン、好ましくはアセトン、および水とそれらとの混合物である。
【0092】
塩の結晶化のためのアンチソルベントは、例えばC3〜C7−アルキルニトリル、とりわけアセトニトリル、エステル、とりわけC2〜C7−アルカンカルボン酸−C1〜C5−アルキルエステル、例えば酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル、ジ−(C1〜C5−アルキル)−エーテル、例えばtert−ブチルメチルエーテル、さらにテトラヒドロフラン、およびC5〜C8−アルカン、とりわけペンタン、ヘキサンまたはヘプタンである。
【0093】
水和物を製造するために、溶解および結晶化工程、特にまたは、水平衡化結晶化工程が使用される。
【0094】
溶解および結晶化工程は、
(i) バルサルタンおよび適当な塩基を、好ましくは水を含む有機溶媒中で反応させ、
(ii) 必要であれば減圧下で、例えば加熱しそして種晶を入れるか、または、例えば室温で、ゆっくりと蒸発させることにより、溶媒系を濃縮し、次いで、結晶化または沈澱を開始させ、そして
(iii) 得られた塩を単離する
ことを特徴とする。
【0095】
溶解および結晶化工程において、使用される含水有機溶媒系は、有利には、エタノールのようなアルコールと水の混合物、またはアルキルニトリル(とりわけアセトニトリル)と水との混合物である。
【0096】
水和物を製造するための平衡結晶化工程は、
(i) バルサルタンおよび適当な塩基を、含水有機溶媒に加え、
(ii) 必要であれば減圧下で、例えば加熱により、または室温で、ゆっくりと蒸発させることにより、溶媒を濃縮し、
(iii) 蒸発の残渣を、
(a) 適当な溶媒中で、有利にはまだ温かい、そしてまだ水を含む、蒸発の残渣を懸濁させること、もしくは
(b) 溶媒中で過剰の水を平衡化させること;
〔ここで、(a)および(b)において、存在するかまたは加えられた水は、有機溶媒中に溶解し、かつ、さらなる相を形成しない量で存在する。〕
により必要とされる水の量で平衡化させ、そして
(iv) 得られた塩を単離すること、
を特徴とする。
【0097】
含水有機溶媒として使用される溶媒系には、有利には、適当なアルコール、例えばC1〜C7−アルカノール、とりわけエタノールと水との混合物が含まれる。
【0098】
平衡化に適した溶媒は、例えば、C1〜C7−アルカンカルボン酸−C1〜C7−アルキルエステルのようなエステル、とりわけ酢酸エチル、またはジ−C1〜C5−アルキルケトン、とりわけアセトンのようなケトンである。
【0099】
平衡化工程は、例えば、収率が高くそして再利用性に優れている点で注目に値する。
【0100】
本発明のモノアルカリ金属塩を製造する場合、主にアモルファス形態が得られる。他方、本発明のジアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩は、また、結晶の形態で得られ得、製造工程において従来から使用されている適当な溶媒、例えばエステル、例えばC1〜C7−アルカンカルボン酸−C1〜C7−アルキルエステル、とりわけ酢酸エチル、ケトン、例えばジ−C1〜C5−アルキルケトン、とりわけアセトン、C3〜C7−アルキルニトリル、とりわけアセトニトリル、またはエーテル、例えばジ−(C1〜C5−アルキル)−エーテル、例えばtert−ブチルメチルエーテル、またはテトラヒドロフラン、あるいは溶媒の混合物から、全体的に溶媒和物の形態である。溶解および結晶化工程または水平衡結晶化工程を使用することにより、結晶および多形の形態で存在する定義された水和物は、再生産的に得られ得る。
【0101】
水和物でない本発明のビス−ジアルキルアンモニウム塩は、有利には、所望によりアンチソルベントと混合した適当な溶媒を用いて1段階で行われる。本方法において、結晶性塩が得られる。
【0102】
概して、本発明のアミノ酸塩はアモルファスの形態で得られる。
【0103】
塩の製造方法も、同様に、本発明の目的である。
【0104】
本発明のこれらの塩または塩水和物は、例えば酸であるバルサルタンをそれぞれのカチオンに対応する塩基で中和することにより得られる。この中和は、水性媒体中、例えば水中、または水とバルサルタンが水よりもよく溶ける溶媒との混合液中で、適当に行われる。比較的弱塩基との塩は、比較的弱塩基で処理するかまたは酸で処理しそして他の塩基で中和するかのどちらかにより、他の塩基に変換され得る。
【0105】
結晶化、とりわけアルカリ土類金属塩水和物の結晶化は、水中、または水および水と混和可能かまたは一部混和可能な(すなわち極性が高すぎない)少なくとも1つの溶媒(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルカノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、DMF、DMSO)からなる水性媒体中で行われる。アルカノールの比率は、約10〜90、または20〜70、有利には30〜50容積%である。高級アルカノールに関して、比較的低い濃度で比較的極性の低い溶媒も存在し得る。バルサルタンの水への溶解度が制限されているため、該工程は頻繁に懸濁液を生じるか、または、バルサルタンが他の溶媒成分中に溶解している場合には、溶液となる。
【0106】
1つの実施態様において、例えば、バルサルタンのカルシウム塩を製造するために、バルサルタンの水性溶液を室温にて水酸化カルシウムで中和し、溶液を放置して結晶化させる。好ましい手順において、エタノールの比率が30〜50容積%の水/エタノールの混合溶媒で結晶化を行う。とりわけ好ましい形態において、30容積%のエタノール中で低温グラジエント(とりわけ40度で1〜2度)を介して移動する密閉系で結晶化を行う。
【0107】
好ましい変法において、少なくとも1つの種晶を添加することにより結晶化が最適化、例えば促進され得る。
【0108】
本発明の塩は、例えば医薬製剤の形態で使用され得、それには、所望により薬学的に許容される担体とともに、例えば無機または有機性の固体または所望により液体の薬学的に許容される担体(該担体は経腸投与、例えば経口投与に適しているかあるいは非経腸投与に適している。)とともに、活性成分、例えば治療上有効量の活性物質が含まれる。
【0109】
本発明は、特に、所望により薬学的に許容される担体と一緒になった、好ましくは経口投与用の、とりわけ固体投与ユニットの、医薬組成物に関する。
【0110】
この種の医薬製剤は、例えば、AT1受容体をブロックすることにより阻害され得る疾患または病状の予防および処置に使用され得、該疾患または病状は、
(a) 高血圧、うっ血性心不全、腎不全、とりわけ慢性腎不全、経皮的血管拡張術後の再狭窄、および冠動脈バイパス手術後の再狭窄;
(b) アテローム性動脈硬化症、インスリン抵抗性およびシンドロームX、2型糖尿病、肥満、ネフロパシー、腎不全、例えば慢性腎不全、甲状腺機能低下症、心筋梗塞(MI)後の生存、冠動脈性心疾患、高齢者における高血圧、家族性脂肪異常性高血圧、コラーゲン形成の増加、フィブローシス、高血圧後のリモデリング(組み合わせの抗増殖性効果)、高血圧と関連したまたは関連しないこれらのすべての疾患または病状;
(c) 高血圧を伴うまたは伴わない内皮機能不全、
(d) 高脂血症、高リポタンパク血症、アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症、ならびに
(e) 緑内障
からなる群から選択される。
【0111】
主な使用は、高血圧およびうっ血性心不全、ならびに心筋梗塞後の処置である。
【0112】
当業者は、前記および後記の治療的適用および有益な効果を証明するための適切かつ標準的な動物試験モデルを選択することが十分に可能である。
【0113】
本発明の塩または本発明にしたがって使用される活性剤の組み合わせの投与によりもたらされる薬学的活性は、例えば、当分野において既知の対応する薬理学的モデルを用いることにより示され得る。当業者は、前記および後記の治療的適用および有益な効果を証明するための適切な動物試験モデルを選択することが十分に可能である。
【0114】
これらの有益な効果は、例えば、G. Jeremic et al. in J. Cardovasc. Pharmacol. 27:347−354, 1996.により開示されたような試験モデルにおいて示され得る。
【0115】
例えば、心筋梗塞を予防および処置するための、価値が高く可能性のある本発明の塩または組み合わせは、下記の試験モデルを使用して見出され得る。
【0116】
研究計画
行われるべき研究において、ラットにおける永久冠動脈閉塞部(CAO)を急性心筋梗塞のモデルとして使用する。実験を、下記の特徴により特徴付けられる5つの処置群で実施する:
・擬処置(sham-operated)動物
・CAO+担体
・CAO+本発明の塩、
所望により
・CAO+本発明の塩+組み合わせ相手(combination partner)。
【0117】
実験中に下記の変数が測定される:
・梗塞部の大きさ
・LVチャンバー容積
・処置LV心筋(spared LV myocardium)における間質性および血管周囲性コラーゲン密度
・ウエスタンブロットによる処置LV心筋中のCOL−IおよびCOL−IIIタンパク質含有量
・LV心筋部の心筋細胞断面積および長さ
・レニンおよびアルドステロンの血漿濃度
・ナトリウム、カリウムおよびアルドステロンの尿中濃度
・非麻酔動物の血圧
・麻酔された動物のLVおよび頚動脈の血圧。
【0118】
方法
梗塞部の大きさ:
左心室の6μm厚の組織構造切片をニトロブルー・テトラゾリウムで染色し、B/W XC−77CE CCD ビデオカメラ(Sony)で捕捉する。得られるイメージを、特異化して開発されたソフトウエア(Porzio et al.、1995)を用いるKS 300 イメージ解析システム(Carl Zeiss Vision)で加工する。相互に処置することを知らされていない単独の術者が心室中隔の境界を確定し、それぞれの切片の梗塞領域は、染色されなかった心室組織の領域として半自動的に同定される。チャンバー、中隔、梗塞領域、梗塞LV壁および生存LV壁、一連の幾何学的パラメーターとして定義される心室切片のそれぞれの構成要素に関して、該ソフトウエアは自動的に計算する(Porzio et al.、1995)。
【0119】
組織構造:
0.5M KClの静脈内注射で心弛緩させて心停止させた後に、4%ホルムアルデヒドでの逆行性灌流により、in situで心臓を固定する。固定後、左心室(LV)および右心室の自由壁をそれぞれ秤量する;LVの長径をカリパスを用いて測定する。LV組織の切片をヘマトキシリンおよびエオシンで、定性試験のためにおよび半自動イメージ解析による機械的操作で心筋の断面積を定量するために、染色する。LVにおける間質性コラーゲンの沈着を、半自動イメージ解析による機械的操作を用いて、シリウス・レッド染色された切片を評価する(Masson et al.、1998)。
【0120】
LV処置心筋におけるコラーゲン含有量:
処置心筋におけるLV組織をホモジナイズし、PAGE−SDS電気泳動にかけ、ニトロセルロース膜上に電気泳動的転写をする。転写物を一次抗体、すなわちウサギ抗−ラットI型またはIII型コラーゲン抗血清(Chemicon)に曝す。一次抗体は、アルカリホスファターゼ(I型コラーゲンに関する)またはペルオキシダーゼ(III型コラーゲン)に結合した二次抗体により認識される。
【0121】
左心室チャンバー容積:
LVチャンバー容積を、心弛緩(KCl)させて停止させた心臓において測定し、測定されたLV拡張終末期圧に等しい静水圧下で、ホルマリン中にて固定する。測定棒を、LV内部の長さを測定するためにLV中に挿入する。LVチャンバーの断面径(transverse diameter)を、心室の底部および尖部に近い1mm厚断面の2つの切片において測定する(Jeremic et al.、1996)。チャンバー容積を、断面径と内部の長さとを積分する式から計算する。
【0122】
全身および左心室の血行動態:
レコーダー(Windograf、Gould Electronics)に接続したマイクロチップ圧トランスデューサー(Millar SPC−320)を、収縮期および拡張期圧を記録するために、右頸動脈に挿入する。当該圧トランスデューサーを、LV収縮期圧(LVSP)および拡張終末期圧(LVEDP)、経時的LV圧の一次微分係数(+dP/dt)および心拍数を測定するために、LVへと前進させる。
【0123】
非侵襲血圧:
収縮期圧および心拍数を、非麻酔ラットにおいてtail−cuff法(Letica LE 5002)により測定する。
【0124】
尿電解質、ホルモン:
ラットを代謝ケージ中で個別に飼育し、24時間尿を、1mlの6N HCl上に回収する。水の吸収量を測定する。尿カテコールアミンをBondelut C18 カラム(Varian)上に抽出し、HPLC(Apex−II C18、3 μm、50x4.5 mm 分析カラム、Jones Chromatography)により分離し、電気化学的検出器(Coulochem II、ESA)で定量する(Goldstein et al.、1981)。血漿および尿アルドステロン、ならびに尿アンギオテンシンIIを、特異的ラジオイムノアッセイ(Aldoctk-2、DiaSorin and Angiotensin II、Nichols Diagnostics)で測定する。尿中ナトリウムおよびカリウムを、炎光光度測定により測定する。
【0125】
サンプル・サイズ
各処置群中の分析可能な10の動物は、生物学的有意差を検出するのに十分な量である。LV切片面積の少なくとも10%が梗塞部であるラットのみを、最終的な分析に包含させる。
【0126】
内皮の機能異常が、血管の疾患における重大な要因として認められている。内皮細胞は、さまざまなホルモンまたは反対の効果:血管拡張および血管収縮、成長、フィブリン溶解または血栓形成の阻害または促進、抗酸化物質または酸化物質の生成、を有する副産物の供給源としての2方式の役割を有する。内皮の機能異常を有する遺伝的に高血圧にかかりやすくした動物は、心血管治療の効力を評価するのに有効なモデルを構成する。
【0127】
内皮の機能異常は、例えば、酸化的ストレスの増加(これは一酸化窒素の減少の原因となる)、プラスミノーゲン活性化インヒビター−1(PAI−1)、組織因子(TF)、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)のような凝固またはフィブリン溶解に関与する因子の増加、ICAMおよびVCAMのような接着分子の増加、bFGF、TGFb、PDGF、VEGFのような成長因子の増加(これらのすべての因子は、細胞増殖性炎症および繊維症の原因となる)により特徴付けられる。
【0128】
例えば、内皮の機能異常の処置は、下記の薬理学的試験において示され得る:
【0129】
材料および方法
RCC Ldt(Fuellingsdorf、Switzerland)から購入した、雄の20〜24週齢のSHRを、ラット用の餌(Nafag 9331、Gossau、Switzerland)および水に自由に接近させて、温度および光を制御した部屋で維持する。実験を、NIHガイドラインおよびCanton Veterinary office (Bew 161、Kantonales Veterinaeramt、Liestal、Switzerland)により承認された方法に従って行う。すべてのラットを、飲料水中に入れられたNO合成阻害剤L−NAME(Sigma Chemicals)(50mg/l)で、12週間処置する。消費された水から計算された、L−NAMEの平均的な1日投与量は、2.5mg/kg/d(範囲2.1〜2.7)であった。
【0130】
ラットを2または3つのグループに分けることができる:グループ1、コントロール(n=例えば40);グループ2、本発明の塩;(n=例えば40);試験的組み合わせのためにグループ3、組み合わせ相手;(n=例えば30)。薬物を、飲用液体中に入れる。コントロールの正常血圧のラットにおいて得られる1 mg/kgでのAngIIの圧力の効果を、本発明の塩での処置後に換算し得る(Gervais et al. 1999)。
【0131】
体重を毎週測定する。心収縮期圧および心拍数を、tail cuffプレチスモグラフにより実験開始の3〜2週間前で、薬物投与の2週間後に記録する。実験開始の前の週に、個別の(代謝)ケージ中に維持されたラットから24時間尿を回収し、そして4および12週に、標準的な実験室的方法を用いて、容積ならびにタンパク質、クレアチニン、ナトリウムおよびカリウムを測定する。同一の時点で、クレアチニン、Na+およびK+アッセイのために、血液サンプルを球後叢(retro−orbital plexus)(最大1ml)から採取する。
【0132】
形態学的分析用の腎臓および心臓の回収のために、4週で、各グループから10匹のラットを屠殺する。残りのラットは12週で屠殺する。心臓および腎臓の重量を記録する。4週(形態学的実験)および12週(実験の終点)に、DPC coat-a-count アルデステロン−RIAキット(Buehlmann、Switzerland)を用いるラジオイムノアッセイにより測定するアルドステロンのために、5%EDTA中で最後の血液採取を行う。
【0133】
統計学的分析:
すべてのデータを平均値±SEMで表す。異なるグループ間を比較するために統計学的分析を1元配置分散分析(one−way ANOVA)、続いてDuncanの多重範囲検定およびNewman−Keuls検定, 7を用いて行われる。
【0134】
血漿脂質レベルに影響しないアテローム性動脈硬化症の緩解の改善は、例えば、H. Kano らにより Biochemical and Biophysical Research Communications 259, 414−419 (1999)において開示された動物モデルを用いて示され得る。
【0135】
本発明にしたがう塩または組み合わせがコレステロール食餌誘導アテローム性動脈硬化症の緩解のために使用され得ることは、例えば、C. Jiang らにより Br. J. Pharmacol. (1991), 104, 1033−1037において記載された試験モデルを用いて示され得る。
【0136】
本発明にしたがう塩または組み合わせが腎不全、とりわけ慢性腎不全の処置に使用され得ることは、例えば、D. Cohen らにより Journal of Cardiovascular Pharmacology, 32: 87−95 (1998).において記載された試験モデルを用いて示され得る。
【0137】
所望によりさらなる薬理学的に活性な物質を含む本発明の医薬製剤は、それ自体公知の方法を用いて、例えば通常の混合、造粒、コーティング、溶解または凍結乾燥工程により製造され、そして0.1%〜100%、とりわけ1%〜約50%の、100%までの活性物質の凍結乾燥物を含み得る。
【0138】
本発明は、同様に、本発明にしたがう塩を含む組成物に関する。
【0139】
本発明は、同様に、医薬組成物の製造のための、とりわけAT1受容体をブロックすることにより阻害され得る疾患または病状の予防および処置のための、好ましくは本発明にしたがう塩の使用に関する。第1の使用は、高血圧およびうっ血性心不全、ならびに心筋梗塞後症候群の処置に関するものである。
【0140】
本発明は、同様に、処置を必要とする患者(ヒト患者を含む)に治療上有効量の本発明にしたがう塩を、所望により、前記または後記の心血管疾患および関連病状および疾患を処置するための少なくとも1つの組成物と組み合わせて投与することを特徴とする、AT1受容体をブロックすることにより阻害され得る疾患または病状の予防および処置のための使用に関する。
【0141】
本発明は、同様に、心血管疾患ならびに前記または後記の関連病状および疾患の処置のための少なくとも1つの組成物とともに、本発明の塩またはそれぞれの場合において薬学的に許容されるその塩を含む組み合わせ、例えば薬学的な組み合わせ、またはそれぞれの場合において薬学的に許容されるその塩に関する。心血管疾患ならびに前記または後記の関連病状および疾患の処置のための他の組成物との組み合わせ、またはそれぞれの場合において薬学的に許容されるその塩もまた本発明の目的である。
【0142】
組み合わせは、例えば下記:
(i) HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤または薬学的に許容されるその塩、
(ii) アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤または薬学的に許容されるその塩、
(iii) カルシウムチャネル・ブロッカーまたは薬学的に許容されるその塩、
(iv) アルドステロン・シンターゼ阻害剤または薬学的に許容されるその塩、
(v) アルドステロン・アンタゴニストまたは薬学的に許容されるその塩、
(vi) 二相性アンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤または薬学的に許容されるその塩、
(vii) エンドセリン・アンタゴニストまたは薬学的に許容されるその塩、
(viii) レニン阻害剤または薬学的に許容されるその塩、および
(ix) 利尿剤または薬学的に許容されるその塩、
からなる群から選択される組成物により作られる。
【0143】
HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤 (β−ヒドロキシ−β−メチルグルタリル−補酵素−Aレダクターゼ阻害剤とも呼ばれる)は、血液中のコレステロールを含む脂質レベルを低下させるために使用され得る活性剤であると理解される。
【0144】
HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤のクラスは、種々の構造的特徴を有する化合物を含む。例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、コンパクチン、ダルバスタチン(dalvastatin)、ジヒドロコンパクチン、フルインドスタチン(fluindostatin)、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、リバスタチン、シンバスタチン、およびベロスタチン(velostatin)またはそれぞれの場合において薬学的に許容されるその塩からなる群から選選択された化合物が挙げられ得る。
【0145】
好適なHMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤は市販されているものであり、極めて好ましいものはフルバスタチンおよびピタバスタチンまたは、それぞれの場合において、薬学的に許容されるその塩である。
【0146】
いわゆるACE阻害剤(アンギオテンシン変換酵素阻害剤とも呼ばれる。)を用いたアンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの酵素的分解を阻害することは、血圧の制御の優れた手法であり、したがって、うっ血性心不全の処置のための治療法も利用可能となる。
【0147】
ACE阻害剤のクラスは、種々の構造特性を有する化合物を含む。例えば、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラート、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モベルチプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル、およびトランドラプリル、またはそれぞれの場合においてその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物が挙げられ得る。
【0148】
好ましいACE阻害剤は、市販されている当該薬剤であり、最も好ましいのは、ベナゼプリルおよびエナラプリルである。
【0149】
CCBのクラスは、本質的に、ジヒドロピリジン類(DHP)ならびにジルチアゼム型およびベラパミル型CCBのような非DHPを含む。
【0150】
該組み合わせにおいて有用なCCBは、好ましくはアムロジピン、フェロジピン、リヨシジン(ryosidine)、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルジピン(niguldipine)、ニルジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、およびニルバジピンからなる群から選択されたDHP類であり、そして好ましくはフルナリジン、プレニラミン、ジルチアゼム、フェンジリン(fendiline)、ガロパミル(gallopamil)、ミベフラジル、アニパミル(anipamil)、チアパミル(tiapamil)およびベラパミル、ならびにそれぞれの場合において、薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される非DHPである。これらすべてのCCBは、例えば抗−高血圧薬、抗−狭心症薬、または抗−不整脈薬として治療上使用される。好適なCCBはアムロジピン、ジルチアゼム、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、およびベラパミルを含むか、または例えば特異的なCCBに依存して、薬学的に許容されるその塩を含む。DHPとしてとりわけ好適なものは、アムロジピンまたは薬学的に許容されるその塩、とりわけそのベシル酸塩である。非DHPのとりわけ好ましい代表例は、ベラパミルまたは薬学的に許容されるその塩、とりわけその塩酸塩である。
【0151】
アルドステロン・シンターゼ阻害剤は、コルチコステロンをヒドロキシル化することによりコルチコステロンをアルドステロンに変換して18−OH−コルチコンステロンを生成し、そして18−OH−コルチコンステロンをアルドステロンに変換する酵素である。アルドステロン・シンターゼ阻害剤のクラスは、高血圧の処置に適用されることが知られており、そしてステロイド性および非ステロイド性アルドステロン・シンターゼ阻害剤の両方を含み、後者が極めて好ましい。
【0152】
好適物は、商業的に入手可能なアルドステロン・シンターゼ阻害剤または厚生当局により承認されたアルドステロン・シンターゼ阻害剤である。
【0153】
アルドステロン・シンターゼ阻害剤のクラスには種々の構造的特徴を有する化合物が含まれる。例えば、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤アナストロゾール、ファドロゾール(その(+)−エナンチオマーを含む)、ならびにステロイド性アロマターゼ阻害剤エキセメスタン、または応用が可能なそれぞれの場合において、薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される化合物が挙げられる。
【0154】
最も好ましい非ステロイド性アルドステロン・シンターゼ阻害剤は、式
【化2】
で示される、ファドロゾール塩酸塩の(+)−エナンチオマー(米国特許第4617307号および第4889861号)である。
【0155】
好ましいステロイド性アルドステロン・アンタゴニストは、式
【化3】
で示されるエプレレノンまたはスピロノラクトンである。
好ましい二相性アンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤は、例えば、オマパトリラート(EP 629627参照)、ファシドトリルまたはファシドトリラート、あるいは適当な場合には、薬学的に許容されるその塩である。
【0156】
好適なエンドセリン・アンタゴニストは、例えばボセンタン(EP 526708 A参照)、さらに、テゾセンタン(WO 96/19459参照)、または、それぞれの場合において、薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0157】
レニン阻害剤は、例えば、式
【化4】
で表され、2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミドとして化学的に定義される非ペプチド性レニン阻害剤である。この代表例は、特に、EP 678503 Aにおいて開示されている。そのヘミ−フマル酸塩がとりわけ好ましい。
【0158】
利尿剤は、例えばクロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチクロチアジド、およびクロルタリドンからなる群から選択されるチアジド誘導体である。最も好ましいものはヒドロクロロチアジドである。
【0159】
好ましくは、共同で治療上有効量の本発明の組み合わせにしたがう活性剤は、同時にまたは任意の順序で連続的に、個別にまたは固定された組み合わせで投与され得る。
【0160】
一般名または商品名で特定される活性剤の構造は、現版の標準的な概論「The Merck index」から、またはデータベース、例えばPatents International(例えば、IMS World Publications)から引用されてもよい。これに対応する内容は、出典明示により本明細書に包含させる。当業者なら誰でも、当該活性剤を十分特定可能であり、これらの引例に基づいて製造し、標準的なテストモデルでインビトロおよびインビボの両方にて医薬品適応症および特性をテストすることも同様に可能である。
【0161】
対応する活性成分または薬学的に許容されるその塩は、また、水和物のような溶媒和物、または結晶化に使用される他の溶媒を含む形態で使用され得る。
【0162】
組み合わせられる化合物は、薬学的に許容される塩として存在し得る。これらの化合物が、例えば、少なくとも1つの塩基中心を有する場合には、それらは酸付加塩を形成し得る。対応する酸付加塩は、また、所望によりさらに塩基中心を有するように形成されてもよい。酸性基(例えばCOOH)を有する化合物は、また、塩基と塩を形成し得る。
【0163】
変法として、本発明は同様に、本発明にしたがって組み合わせられる成分を独立して投与できる、あるいは同時または種々の時点で個別量の成分を含む種々の所定の組み合わせを用いて投与できるという意味で「パーツキット」に関する。そしてこの「パーツキット」のパーツは例えば同時投与、または逐次交互投与、つまり種々の時点で、または「パーツキット」のどのパーツも同じ時間間隔でも異なる時間間隔でもよい投与が可能である。好ましくは、この時間間隔は、各パーツの組み合わせ使用において処置される疾患または病状に対する作用が、これらのいずれかの成分単独で用いる場合に得られる作用よりも大きくなるように選択する。
【0164】
本発明はさらに、本発明の組合せを同時、個別または逐次使用に関する使用説明書とともに含む市販パッケージに関する。
【0165】
投与量は種々の要因、例えば投与様式、種、年齢および/または個体の状態に依存し得る。経口投与に関して、1日投与量は約0.25〜10mg/kgであり、そして体重約70kgの温血動物では、好ましくは約20〜500mg、とりわけ40mg、80mg、160mg、および320mg(遊離酸に基づく)である。
【0166】
本発明は実施例により特に例示され、また、実施例において命名された新規化合物およびそれらの使用およびそれらの製造方法に関する。
【0167】
下記の実施例は本発明を例示するために提供されるものであり、いかなる方法においても本発明を限定するものではない。
【0168】
例えば、バルサルタンの2カリウム塩、とりわけその水和物が形成される。該2カリウム塩は、特にその著しい水溶性に関して注目される。135.0℃の融点を有するバルサルタンの2カリウム塩の結晶性4水和物はが特に挙げられる。元素分析にしたがって、この水和物のあるサンプルは、1カリウム塩1モルあたり3.72モルの水を有する。室温で高い相対湿度では4水和物が形成され、低い相対湿度では2カリウム塩の無水物が形成される。
【0169】
バルサルタンのマグネシウム塩が同様に製造され、この場合、3.4%H2Oを有するアモルファス性の固体である。ガラス遷移温度は167℃であり、この段階の特異的な熱量の平均値は0.85J・[g・℃]−1である。融点は観察されない。これらの事実、すなわちガラス遷移の存在と融点の不存在(特異的な熱における変化の測定値を伴う)により、このバルサルタンのマグネシウム塩は事実上100%アモルファスであることが確認される。立体特異的なクロマトグラフ法にしたがって、このアモルファス性マグネシウム塩の光学純度は83%と測定された。
【0170】
実施例1:
(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンの4水和物としてのカルシウム塩のin situでの製造
【0171】
21.775gの(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンを室温で、300mlのエタノール中に溶解させる。300mlの水を注意深く加え、エタノールの濃度を50容積%に減少させる。マグネチック・スターラーを使用して、pH値が一時的にでも約8を超えないように、3.89gのCa(OH)2をこの透明でやや酸性(pH4)の溶液に少しずつゆっくりと加える。空気からCO2を吸収するので、使用されたCa(OH)2は痕跡量のCaCO3を含む;したがって、加えられた量には5%の超過量が含まれている。化学量論量のCa(OH)2を加えた後は、pHは約6であり、超過して加えた後では7に上昇する。細かく砕いた少量のCaCO3を加えるとこの溶液は濁り、これをひだつきろ紙で取り除く。この溶液中に含まれる生成物を、連続的にアルコールを除去して室温で静置することにより結晶化させる。この手順は、40℃の再循環エアー・ドライアー中の平皿を用いることにより早められる。約半分まで濃縮すると、溶液中のアルコール濃度は10容積%であり、ほとんどの生成物は結晶化している。これをろ過し、10容積%のエタノールですすぎ、そして一定の重量になるまで40℃で乾燥する。(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミン カルシウム塩 4水和物を得る。
【0172】
10K・min−1の加熱速度で小さい内部容積の密閉試料容器中の、実施例1で製造したバルサルタンのカルシウム塩の4水和物の融点は205℃と測定され、融解エンタルピーは92kJMol−1と測定される。
ヘリウム・ピクノメーターで測定された、実施例1で製造されたカルシウム−バルサルタン−4水和物の結晶の密度は、1.297gcm−3である。この値は、単結晶構造から計算された1.298gcm−3という理論的数値と矛盾しない。
【0173】
実施例1のバルサルタンのカルシウム塩の4水和物の旋光度は、メタノール中1%溶液で[α]20 D=+1°と測定される。
実施例1で製造され塩水和物の光学純度は立体選択的HPCL法により測定される。立体選択的分離はキラルカラム(Chiral AGP)により達成される。光学純度は、ee=100%として測定される。
【0174】
Guinierカメラにより得たX線粉末パターンからの格子面間隔の計算は、このバッチのバルサルタンのカルシウム塩の4水和物に関する最も重要なラインに関して下記の通りである:
d[Å]:16.27、9.90、9.39、8.04、7.71、7.05、6.49、6.34、6.2、5.87、5.75、5.66、5.20、5.05、4.95、4.73、4.55、4.33、4.15、4.12、3.95、3.91、3.87、3.35。
【0175】
元素分析により、カルシウム−バルサルタン−4水和物中に存在する元素および水の下記の測定値が得られる。水の評価は、130℃での除去後に行った。誤差限界内での元素分析の知見は、総分子式(C24H27N5O3)2−Ca2+・4H2Oに一致する。
【表15】
【0176】
実施例2:
(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンの6水和物としてのマグネシウム塩のin situでの製造
【0177】
43.55gのバルサルタン [(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミン]を室温にて600mlの50容積%エタノール(無水エタノールから−Merck およびクオーツ−2回蒸留水参照)中に溶解させる。やや濁った溶液が、さらに50mlの50%エタノールの添加後に透明になる。マグネチック・スターラーを使用して、4.03gまたは0.1M MgO(Merck p.a.)をpH値4のこのやや酸性の溶液に少しずつゆっくりと加える。ここでpH値は約6に上昇する。この工程は10%過剰で行われる、すなわち0.40gのMgOが追加される。この過剰量は十分には溶解せず、pH値は約7.5に上昇する。ひだつきろ紙を通してこの少量の残渣を溶液からろ取示、50mlの50%エタノールで洗浄する。
【0178】
合わせた透明な溶液を、マグネチック・スターラーで撹拌しながら大きな結晶化皿中で40℃にて注意深く濃縮する。この手順の終わり頃に、溶液は固くなってガラス状のゲルになる傾向を有する。ガラス棒でこするとこの相においてin situ結晶化が起こり、このことは形成された結晶性固体が白色であることにより認められる。一定の重量になるまで、生成物を再循環エアードライヤー中で50℃にて乾燥する。マグネシウム−バルサルタン−6水和物の収量は53.7gであり、遊離酸として使用されたバルサルタンに基づいて95%である。
【0179】
小さい内部容積の密閉サンプル容器中で10Kmin−1の加熱速度での2.24mgの実施例2にしたがって製造された塩水和物、すなわちマグネシウム−バルサルタン−6水和物の融点は、132℃と測定され、融解エンタルピーは64kJMol−1と測定された。
ヘリウム・ピクノメーターで測定された、実施例2にしたがって製造されたバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物の結晶の密度は、1.273gcm−3である。この値は、単結晶構造から計算された理論的計算値1.256gcm−3と矛盾しない。
【0180】
実施例2にしたがって製造されたマグネシウム−バルサルタン−6水和物の旋光度は、メタノール中1%溶液として[α]20 D=−14°と測定される。
実施例2にしたがって製造された塩水和物の光学純度は、立体選択的HPCL法により測定される。立体選択的分離は、キラルカラム(Chiral AGP)により達成される。光学純度は、ee=99.6%と測定される。
【0181】
Guinierカメラにより得たX線粉末パターンからの格子面間隔の計算は、このバッチのバルサルタンのマグネシウム塩の6水和物に関する最も重要なラインに関して下記の通りである:
d[Å]:19.78、10.13、9.84、7.28、6.00、5.81、5.67、5.21、5.04、4.88、4.21、4.18、4.08、3.95、3.46、3.42。
【0182】
元素分析により、バルサルタンのマグネシウム塩の6水和物中に存在する元素および水の下記の測定値が得られる。水の評価は、130℃での除去後に行った。誤差限界内での元素分析の知見は、総分子式(C24H27N5O3)2−Mg2+・6H2Oに一致する。
【表16】
【0183】
実施例3:
(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミン(3.5±1.0モルH2O)の2カリウム塩の水和物の製造
【0184】
5gの(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンを11.5mlの2規定の水酸化カリウム溶液中で緩やかに加熱しながら溶解させ、320mlのアセトニトリルと混合する。混合液を5分間加熱還流し(濁った液)、撹拌することなく室温にて3日間放置し(種晶)、次いで0℃で24時間放置する。母液をデカントする。結晶をアセトニトリルで2回洗浄し、一定の重量になるまで(36時間)風乾する。(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンの2カリウム塩水和物を得る(2カリウム塩1モルあたり3.7モルの水)。密閉試料容器中での融点は、135℃である。
【0185】
元素分析:C24H27N5O3K2、3.72H2O、分子量578.72
【表17】
【0186】
X線回折図を、CuKα照射を用いて、Scintag Inc.、Cupertino、CA 95014、USで測定した。
バルサルタンの2カリウム塩の水和物の最も重要なラインの反射ラインおよび強度の値(2θ)を°で示す:
【表18】
【0187】
中および強の強度ピークを含む水和物が好ましい。
【0188】
【表19】
【0189】
【表20】
【0190】
【表21】
【0191】
【表22】
【0192】
実施例4:
(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンの2カリウム塩の製造
【0193】
25gの(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンを200mlのエタノール中に溶解させる。50mlの水を加え、溶液を0℃に冷却し、次いで57.4mlの2規定の水酸化カリウム溶液とともに混合する。混合液をロータリー・エバポレーターでの蒸発により濃縮し、トルエンおよびアセトニトリルの各々とともに再び蒸発させ、50℃の高度の真空中で15分間乾燥する。生成物をアセトニトリル/水(95:5)の熱い混合液290ml中に溶解させ、さらに110mlのアセトニトリルとともに混合し、冷却し、30℃で結晶化させる。混合液を室温で4日間静置し、吸引ろ過する。ゼンさをアセトニトリル/水(95:5)で洗浄し、80℃にて高度の真空中で乾燥させる。(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミン 2カリウム塩を、白色粉末として得る。融点>300℃。
【0194】
元素分析:得られた物質は吸湿性であり、空気中で平衡化され得る(C24H27N5O3K2、3.96モルH2O)。
【表23】
【0195】
実施例5:
(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンの2カリウム塩の製造
【0196】
1gの(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンを50mlのエタノール中に溶解させ、2.3mlの2規定の水酸化ナトリウム溶液とともに混合し、残渣をエタノールおよび酢酸エチルの各々ととのに蒸発させる。白色の残渣を熱いアセトニトリル中で撹拌し、室温で吸引ろ過する。80℃の高度の真空中で一夜乾燥すると、(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミン 2カリウム塩を白色の粉末として得る。融点260℃以上、295℃で褐色に着色する。
【0197】
元素分析:得られた物質(吸湿性)は空気中で平衡化され得る(C24H27N5O3Na2、5.36モルH2O、分子量576.05)。
【表24】
【0198】
実施例6:
(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンのマグネシウム塩の製造
【0199】
5gの(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンを20mlの水中の0.666gの水酸化マグネシウム懸濁液中に加える。40mlのメタノールを加え、次いで、混合液を室温で2時間撹拌し、濃縮する。残渣をメタノール中に溶解させ、ハード・フィルター(hard filter)でろ過し、濃縮し、アセトニトリルとともに蒸発させる。生成物を熱いアセトニトリルとともに撹拌し、室温で吸引ろ過し、90℃にて高度の真空中で一夜乾燥させる。(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミン マグネシウム塩を白色の粉末として得る。融点:該サンプルは加熱すると褐色になり、300℃でガラス状になる。
【0200】
元素分析:C24H27N5O3Mg、0.89モルH2O、分子量:473.85
【表25】
【0201】
実施例7:
(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンのカルシウム塩の製造
【0202】
5gの(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンを、20mlの水中の0.851gの水酸化カルシウム懸濁液中に加え、次いで、200mlのエタノールとともに混合する。混合液を室温にて1時間撹拌し、蒸発乾固(アセトニトリルとともに再蒸発)させ、熱いアセトニトリル中で撹拌し(エタノールおよび水の各々の痕跡量を有する)、室温で吸引ろ過する。
【0203】
0.95gの塩を20mlのアセトニトリル/水(1:1)中で加熱還流し、その結果、ほとんどの混合物が溶解する。混合液を室温まで冷却し、20mlのアセトニトリルとともに混合し、吸引ろ過し、アセトニトリル/水(1:1)で2回洗浄し、80℃の高度の真空中で一夜乾燥させる。融点:300℃以上(分解)。
【0204】
元素分析:C24H27N5O3Ca、1.71モルH2O、分子量504.39(150℃での除去後に水の評価を行った)
【表26】
【0205】
実施例8:
(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンの1カリウム塩の製造
【0206】
2gの(S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イルメチル]−アミンを、20mlの水中に懸濁させ、2.296mlの2規定の水酸化カリウム溶液とともに混合する。混合液を30分間撹拌し、50mlのエタノールとともに混合すると、無色の溶液が得られる。混合液を蒸発により濃縮し、さらに、アセトニトリルとともに蒸発させ、tert−ブタノールとともに凍結乾燥させる(痕跡量の水を有する)。
【0207】
元素分析(空気中での平衡化後). C24H27N5O3Ca、1.69モルH2O、分子量504.06 (水の評価は150℃での除去後に行う).
【表27】
【0208】
実施例9:
水−平衡化工程によるバルサルタンの6水和物としてのマグネシウム塩の製造
【0209】
1600gのバルサルタンおよび6820gのイソプロパノールを室温にて混合溶液中で撹拌して懸濁液を形成させ、スターラーを備えた80リットルのガラス容器に加える。混合容器を分割して3919gのイソプロパノールで洗浄し、洗浄液を主要な混合液に加える。3800gの脱塩水を加えると、混合液は撹拌により均一な溶液となる。次いで、1520gの脱塩水中に懸濁させた156.3gの酸化マグネシウムを加え、懸濁液に1000gの脱塩水を加える。室温でゆっくりと撹拌すると、酸化マグネシウムが溶液中に溶ける。得られた溶液のpH値は約7.2である。さらに2.5gの酸化マグネシウムを少しずつ加えると、pH値は約8.3に上昇する。酸化マグネシウム中の未知のタイプの不溶性粒子によって、得られた混合液は濁る。
【0210】
この混合液をキャンドル・フィルター(candle filter)を通して35リットルのエナメル・ボイラー(enamel boiler)に移し、ガラス溶液およびチューブを885gのイソプロパノールおよび1122gの脱塩水ですすぐ。緩やかに濃縮するため、ボイラー中の真空度を最初の理論値89〜100mbarにする。45〜50℃の温度の加熱および37〜40℃の混合物の沸点で、合計13.66kgの水性イソプロパノールを蒸留する。蒸留の圧力を最終的に10mbarに低下させ、同時に加熱温度を65℃に上昇させると、蒸留物の量が17.12kgに増加する。9300gの酢酸エチル、続いて種晶として14.9gのバルサルタンMg塩6水和物を撹拌しながらボイラーの内容物に加える。最後に、6680gの酢酸エチル中に分散させ、撹拌しながら室温まで冷却する。撹拌工程を少なくとも24時間継続する。次いで、懸濁液をBuechnerフィルターでろ過する。湿ったろ過ケーキが得られる。ボイラーを1171gの酢酸エチルで洗浄し、洗浄液をろ過ケーキの洗浄に使用する。一定の重量になるまで(6.5時間)、一部を金属シート上にて真空乾燥チャンバー中で50mbarの圧力および40℃のオーブン温度で乾燥すると、乾燥した物質を得る。
【0211】
物理的データ、とりわけX線粉末パターンは実施例2のマグネシウム 6水和物塩と一致する。
【0212】
実施例10:
4水和物としてのバルサルタンのカルシウム塩の製造
【0213】
1600gのバルサルタンおよび7000gのエタノールを室温にて混合容器中で撹拌して懸濁液を形成させ、スターラーを備えた35リットルのエナメル・ボイラーに加える。混合容器を2000gのエタノールで分割して洗浄し、洗浄液を主要な混合液に加える。9000gの脱塩水を加えると、混合液は撹拌により均一な溶液になる。次いで、1500gの脱塩水中に懸濁した272gの水酸化カルシウムを加え、懸濁液に1300gの脱塩水を加える。室温でゆっくりと撹拌すると、水酸化カルシウムは溶液中に溶ける。得られた溶液のpH値は約6.9である。さらに9.6gの水酸化カルシウムを加えると、pH値は約10.6に上昇する。水酸化カルシウム中の不溶性粒子(炭酸カルシウム)のために、得られた混合液は濁る。この混合液をキャンドル・フィルターを通して35リットルのエナメル・ボイラーに移し、ガラス容器およびチューブを1048gのエタノールおよび1000gの脱塩水ですすぐ。
【0214】
穏やかに濃縮するため、ボイラー中の真空度を理論値100〜120mbarにする。約50℃の温度で加熱すると、最高44℃の混合物の沸点を有する合計11.32kgの水性エタノールが蒸留される。溶解した塩は、蒸留中に自然発生的に結晶化する。蒸留の終わり頃に現れる懸濁液を撹拌しながら約5℃に冷却し、5℃で約16時間撹拌する。次いで、懸濁液をBuechnerフィルターを通してろ過する。ボイラーを 3600mlの脱塩水および400mlのエタノールの混合液(該混合液は5℃に冷却されている。)で洗浄し、洗浄混合液を用いてろ過ケーキを洗浄する。湿ったろ過ケーキが得られる。一定の重量になるまで(24時間)、50mbarの圧力および40℃のオーブン温度で真空乾燥チャンバー中で一部を金属シート上で乾燥すると、乾燥した物質を得る。
【0215】
物理的データ、とりわけX線粉末パターンは実施例1のカルシウム塩4水和物と一致する。
【0216】
実施例11:
バルサルタン 2ナトリウム塩の水和物(2.4±1.0モルH2O):
50mlの2N 水酸化ナトリウム溶液を、約25℃で21.5gのバルサルタンの200mlのイソプロパノール溶液中に滴下する。約40℃の真空下で透明な溶液(pH約7.2)を濃縮する。2ナトリウム塩のアモルファス性の残渣を100mlのイソプロパノール中に懸濁させ、水を約40℃にてもう一度真空下で濃縮し脱気することにより除去する。アモルファス性の残渣を75mlのアセトンおよび2mlの水中に約40℃にて懸濁させる。約25〜30℃で、200mlのtert−ブチルメチルエーテルを加えると、最初は汚れているが徐々に結晶性の懸濁液になる。約25℃で一夜撹拌後、懸濁液を10℃に冷却し、約1時間後、湿ったアモルファスを除きながら吸引ろ過する。次いで、20mlのtert−ブチルメチルエーテルで洗浄する。湿ったろ過ケーキを、約30mbarおよび30℃にて一夜乾燥する。無色でやや吸湿性の結晶性粉末が得られる。
【0217】
元素分析:C24H27N5O3Na2、2.44モルH2O
【表28】
【0218】
CuKα照射を用いて、Scintag Inc. Cupertino、CA 95014、USの回折計で測定されたバルサルタンの2ナトリウム塩の結晶性水和物のX線回折図(最も重要な反射ラインおよび強度):
【表29】
【0219】
実施例12:
バルサルタン 2カリウム塩の水和物(3.4±1.0モルH2O):
6.9gの炭酸カリウムを、約25℃にて150mlのアセトンおよび20mlの水中の21.7gのバルサルタンの溶液に加える。約25℃で2時間撹拌後、ほぼ透明の溶液が得られ、これを約50℃の温浴の温度にて真空中で濃縮する。55mlのアセトンを残渣(29.3g)に加え、これは残存した水を含み、約35℃にて約2時間かけて計250mlのtert−ブチルメチルエーテル中に分散させる。約25℃で撹拌後、撹拌が容易な結晶性懸濁液を10℃に冷却し、少なくとも1時間撹拌し、吸引ろ過し、20mlのtert−ブチルメチルエーテルで洗浄する。湿ったろ過ケーキを約30mbarおよび30℃にて一夜乾燥する。無色でやや吸湿性の結晶性粉末を得る。
【0220】
元素分析:C24H27N5O3K2、3.42モルH2O
【表30】
【0221】
CuKα照射を用いて、Scintag Inc. Cupertino、CA 95014、USの回折計で測定されたバルサルタンの2ナトリウム塩の結晶性水和物のX線回折図。
バルサルタンの2カリウム塩の水和物の最も重要なラインの反射ラインおよび強度の値(2θ)を°で示す:
【表31】
中および強の強度のピークを有する水和物が好ましい。
【0222】
実施例13:
バルサルタン カルシウム/マグネシウム混合塩:
200mlのイソプロパノールおよび100mlの水中の21.5gのバルサルタンを、約25℃にて1.5gの水酸化マグネシウムおよび1.9gの水酸化カルシウムとともに約3時間撹拌する。実質的に透明な溶液を真空中で約50℃にて濃縮する。合計240mlの酢酸エチルを、残存性の水を含むまだ温かい半固体の残渣に撹拌しながら加える。約25℃にて一夜撹拌すると、最初はべとべとしている成分が均一な懸濁液になる。懸濁液を吸引ろ過し、20mlの酢酸エチルで洗浄する。湿ったろ過ケーキを真空中で30〜40℃にて乾燥する。無色の結晶性粉末を得る。
X線回折図は、実施例1および2からのカルシウム 4水和物およびマグネシウム 6水和物のコングロメートと一致する。
【0223】
実施例14:
バルサルタン ビス−ジエチルアンモニウム塩:
1.5gのジエチルアミンを、60mlのアセトン中の4.35gのバルサルタンの溶液に約25℃で滴下する。しばらくすると、結晶化がゆっくりと始まる。一夜撹拌した後、約20℃で結晶を吸引ろ過し、冷却したアセトンで洗浄し、約50℃にて真空中で乾燥する。無色の結晶性粉末が得られる。
【0224】
元素分析:C32H51N7O3、0.1 mols H2O
【表32】
【0225】
結晶性ビス−ジエチルアンモニウム塩のX線回折図(最も重要なラインの反射ラインおよび強度)
【表33】
【0226】
実施例15:
バルサルタン ビス−ジプロピルアンモニウム塩:
2.1gのジプロピルアミンを、25℃にて60mlのアセトン中の4.35gのバルサルタンの溶液に滴下する。結晶化が始まると、短時間で温度が40℃まで上昇し、約2時間かけて温度を室温まで低下させる。一夜撹拌した後、結晶を吸引ろ過し、15mlのアセトンで2回洗浄し、約40℃にて真空中で乾燥する。顆粒状の結晶が得られる。
【0227】
元素分析:C36H69N7O3、0.05モルH2O
【表34】
【0228】
結晶性ビス−ジプロピルアンモニウム塩のX線回折図(最も重要なラインの反射ラインおよび強度)
【表35】
【0229】
実施例16:
バルサルタンのビス−ジブチルアンモニウム塩:
30mlのアセトン中の2.15gのバルサルタンの溶液を1.4gのジブチルアミンとともに約25℃で混合する。しばらくすると結晶化が始まり、濃厚な懸濁液を徐々に、約1時間かけて20mlの酢酸イソプロピルで希釈する。約25℃で4時間撹拌した後、結晶を吸引ろ過し、10mlの酢酸イソプロピルで2回洗浄し、真空中で50℃にて乾燥する。無色でやや吸湿性の結晶性粉末を得る。
【0230】
元素分析:C40H67N7O3、0.5モルH2O
【表36】
【0231】
結晶性ビス−ジブチルアンモニウム塩のX線回折図(最も重要なラインの反射ラインおよび強度)
【表37】
【0232】
製剤実施例1:
直接圧縮錠:
【表38】
【0233】
成分番号1を0.5mmのふるいにかけ、成分番号1〜6とともにTurbula中で混合する。錠剤を、直径8mmのパンチ穴を有するシングル・パンチ・タブレット・プレス(single punch tablet press)を用いて圧縮する。
【0234】
製剤実施例2:
ローラー型圧縮機により製造された錠剤:
【表39】
【0235】
成分番号1〜5を50分間混合し、Freund ローラー圧縮機で圧縮する。バンドを粉砕し、成分番号6を混合した後に、直径8mmのパンチ穴を有するシングル・パンチ・タブレット・プレスを用いて錠剤に圧縮する。
Claims (3)
- バルサルタンのカルシウム塩。
- (i)下記の格子面間隔:
d[Å]:16.1±0.3、9.9±0.2、9.4±0.2、7.03±0.1、6.50±0.1、5.87±0.05、5.74±0.05、4.95±0.05、4.73±0.05、4.33±0.05、4.15±0.05、4.12±0.05、3.95±0.05;
を含むGuinierカメラより得られるX線粉末パターン、または
(ii)波数(cm−1)で表される下記の吸収バンド:
1621(st);1578(m);1458(m);1441(m);1417(m);1364(m);1012(m);758(m);738(m);696(m);666(m)
を有するATR−IRスペクトル
により特徴付けられる、バルサルタンのカルシウム塩の4水和物。 - バルサルタンと水酸化カルシウムを含水有機溶媒中に溶解させ、濃縮後、種晶を添加するかまたは添加することなく放置し、形成された塩を単離することを特徴とする、請求項1に記載のカルシウム塩の製造法。
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