JP4101539B2 - 排水処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
窒素およびカルシウム、またはフッ素および窒素を含む排水を処理する排水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ICなどの半導体の製造工程などでは、フッ酸、アンモニア、硝酸などが使用される。このため、その廃液として、フッ素(フッ酸)、窒素(アンモニア、硝酸)を含む排水が排出される。また、LCD(液晶ディスプレイ)製造工程なども基本的に半導体製造工程と同様の工程を有しており、同様の排水が生じる。さらに、石炭火力発電所、ガラス表面加工工場などにおいても、フッ素、窒素を含む排水が生じる。
【0003】
このようなフッ素および窒素を含有する排水については、まずフッ素を物理化学的に処理し、その後生物処理によって窒素を除去するのが一般的である。
【0004】
すなわち、まず排水に水酸化カルシウムなどを添加してフッ化カルシウムを析出させる。これは、2F+Ca2+→CaFという反応である。そして、析出したフッ化カルシウムを分離除去するが、フッ化カルシウムは非常に細かい微粒子になりやすいため、無機凝集剤やアクリルアミド系高分子凝集剤を添加してフロックを粗大化してフッ化カルシウムを沈殿除去している。
【0005】
ここで、このフッ素除去処理水中の目標フッ素濃度は、通常10mg/L以下であり、この場合には処理水中の残留カルシウム濃度を100〜1000mg/L程度にする必要があることが知られている。従って、フッ素除去処理水中のカルシウム濃度がかなり高濃度になる。
【0006】
また、上述のような排水中には、リン酸などが存在する場合もある。しかし、フッ素除去の際に、カルシウムを添加するため、3Ca2++2PO 3−→Ca(POという反応でリン酸は除去される。
【0007】
従って、フッ素除去後のリン酸濃度は、0.1〜0.5mg−P/L程度であり、非常に低濃度になる。
【0008】
また、このようにしてフッ素を除去した後、窒素を除去するが、この窒素除去としては、通常生物学的窒素除去が採用される。
【0009】
すなわち、フッ素除去後の窒素を含む排水をまず硝化槽に導入し、ここで好気的状態において硝酸化細菌(ニトロソモナスやニトロバクター)によってアンモニア態窒素を亜硝酸態窒素や硝酸態窒素に酸化する。次に、硝化処理水を脱窒槽に導入し、メタノールなどの水素供与体を添加して、無酸素状態にする。これによって、BOD酸化細菌などの通性嫌気性細菌が硝酸呼吸を行い、亜硝酸態窒素や硝酸態窒素を窒素ガスとして除去する脱窒処理が行われる。そして、脱窒処理水を槽内が好気的状態に維持される酸化槽に導入し、ここにおいて残存するメタノールを生物的に酸化分解する酸化処理を行う。なお、本明細書では、亜硝酸態窒素および/または硝酸態窒素を簡単に硝酸態窒素または単に硝酸と適宜呼ぶ。
【0010】
なお、硝化処理においては、アンモニア態窒素1gを硝化するに際し、7.14gのアルカリ度が消費され、脱窒処理においては、硝酸1gを脱窒する際に3.75gのアルカリ度が生成される。そこで、硝化槽にアルカリを、脱窒槽に酸を適宜添加してpHが6.5〜8.5の範囲内になるようにpH調整し、微生物の活性が維持されるようになっている。
【0011】
ここで、生物処理において、微生物の栄養源として必要なリン酸濃度は、全窒素100mg/Lに対して、1.0mg−P/L程度であるとされている。一方、前述したように、フッ素除去後のリン酸塩濃度は非常に低濃度であり、そのままではリン酸が不足する。そこで、通常は、フッ素除去後の排水にリン酸(またはリン酸塩)を適宜添加し、これによって生物処理における生物活性を維持している。このような場合、原水水質変動などの要因により、微生物によるリン消費量も変動する。そこで、リン酸を不足しないように添加することから、通常の処理においては、処理水中に全リン濃度として数mg/Lのリン酸が流出している。
【0012】
ここで、上述した硝化、脱窒、酸化の生物処理には、微生物を浮遊させた状態で処理を行う浮遊式の活性汚泥処理装置が広く用いられており、この活性汚泥処理においては、活性汚泥混合液(微生物汚泥混合液)の固液分離手段として沈殿槽を用いるのが一般的である。しかし、沈殿槽はその固液分離能力が低く、生物反応槽内の微生物濃度をあまり高く維持できないという問題がある。一方、各生物処理の効率化のためには、槽内の微生物濃度をなるべく高くしたいという要求がある。
【0013】
そこで、沈殿槽の代わりに、分離膜を処理槽内に浸漬配置し、この分離膜によってろ過処理された処理水を取り出す浸漬膜装置が開発されている。この浸漬膜によれば、沈殿槽が不要であるというほかに、固液分離能力が高いため、極めて清澄な処理水が得られるというメリットがあり、さらに生物反応槽内の微生物濃度を高くできるため、処理槽の容積負荷を高くでき、生物反応槽を小さくできるというメリットも得られる。このため、処理の効率化のために、生物反応槽内に、分離膜を設置するいわゆる浸漬膜装置を利用したいという要求がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のように、生物反応槽(硝化槽)に流入してくる排水は、窒素の他に多量のカルシウムを含んでいる。カルシウムは、pHなど各種の条件によるが、固形物として析出しやすい。実際に上述のような浸漬膜装置を利用して処理を行ってみると、分離膜上にカルシウムが析出し、分離膜が目詰まりを起こしやすいという問題点があった。
【0015】
ここで、分離膜にカルシウムの析出に由来する目詰まりが発生した場合には、塩酸やクエン酸などを用いた薬品洗浄により、カルシウムを溶出させて目詰まりを解消する。しかし、このような薬品洗浄を行うには、浸漬膜装置の運転を中断する必要があり、また目詰まりが著しい場合には分離膜を装置内から取り外して洗浄を行うなど煩雑な作業が必要となる。
【0016】
従って、上述のような処理に浸漬膜装置を採用することは困難であり、固液分離装置として沈殿槽が採用されるのが一般的であった。
【0017】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、カルシウムの析出に起因する分離膜の目詰まりを効果的に防止して生物学的窒素除去を行うことができる排水処理装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、窒素およびカルシウムを含む排水を処理する排水処理装置であって、前記排水に対し、微生物を利用して窒素を分解する生物反応槽と、前記排水または前記生物反応槽にリン酸を注入するリン酸注入装置と、この生物反応槽内に浸漬され分離膜を介して固形物を除去した処理水を取り出す浸漬膜装置と、この浸漬膜装置により取り出された処理水中のリン濃度を検出するリン検出装置と、を備え、このリン検出装置により検出した処理水中のリン濃度に基づいて、前記リン酸注入装置によるリン酸注入量を制御することを特徴とする。
【0019】
このように、本発明によれば、リン酸注入量を制御することで生物反応槽内でのリン酸カルシウムの析出を抑制することができる。これによって、浸漬膜装置の分離膜のカルシウムスケールによる目詰まりを大幅に低減することができる。そこで、分離膜の薬品洗浄の頻度も大幅に低減でき、効果的な生物学的窒素除去を行うことができる。
【0020】
そして、微生物汚泥の固液分離手段として、浸漬膜装置を採用することができ、従来の沈殿槽により固液分離を行う装置に比べて、非常に効率的な処理を行うことができる。
【0021】
また、フッ素および窒素を含む排水に対する排水処理装置であって、フッ素および窒素を含む排水に対し、カルシウムを添加し、フッ化カルシウムを析出させてフッ素を除去するフッ素処理装置と、このフッ素処理装置によって得られた窒素およびカルシウムを含む排水に対し、微生物を利用して窒素を分解する生物反応槽と、前記窒素およびカルシウムを含む排水または前記生物反応槽にリン酸を注入するリン酸注入装置と、この生物反応槽内に浸漬され分離膜を介して固形物を除去した処理水を取り出す浸漬膜装置と、この浸漬膜装置により取り出された処理水中のリン濃度を検出するリン検出装置と、を備え、このリン検出装置により検出した処理水中のリン濃度に基づいて、前記リン酸注入装置によるリン酸注入量を制御することを特徴とする。
【0022】
フッ素をカルシウムで処理すると、カルシウムを多量に含み、リン酸を含まない排水が得られる。本発明はこのような排水を効果的に処理することができる。
【0023】
また、前記生物反応槽は、窒素を硝化処理する硝化槽と、硝化処理された窒素を脱窒処理する脱窒槽と、有機物を酸化する酸化槽と、を含むことが好適である。このような構成によって、生物学的脱窒が効果的に行える。
【0024】
また、前記リン検出装置は、全リン濃度を検出することが好適である。全リン濃度の検出により、処理水中のリン濃度を正確に把握でき、リン酸添加の過不足を適切に検出できる。
【0025】
また、処理水中の全リン濃度が0mg/Lを超え0.5mg/L以下になるように前記リン酸注入量を制御することが好適である。
【0026】
このように、処理水中の全リン濃度を0.5mg−P/L以下になるように制御することによって、リン酸カルシウムの析出を抑制し、浸漬膜装置における目詰まりを効果的に解消することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1には、実施形態に係る装置の全体構成が示されている。この装置では、カルシウムおよび窒素を含む排水から窒素を除去する。
【0028】
半導体製造工場、LCD製造工場、石炭火力発電所、ガラス(表面加工)工場などにおいて生じるフッ素および窒素を含有する排水は、まずカルシウムを添加してフッ化カルシウムを析出除去することによってフッ素が除去される。このフッ素除去の際にリン酸もリン酸カルシウムとして時に除去される。そこで、フッ素除去を行った処理水として、カルシウムと窒素を含み、リン酸をほとんど含まない排水が得られる。
【0029】
このようなカルシウムおよび窒素を含む排水は、貯槽などを介し、硝化槽10に供給される。この硝化槽10には、ブロア12からの空気がその底部に設けられた散気管などの散気部材から噴出されるようになっており、これによって槽内が曝気される。そこで、槽内は好気的状態に維持されている。一方、流入水中には窒素(アンモニア態窒素)が含まれており、好気的条件下で硝化細菌が増殖し、窒素の硝化反応が生起される。
【0030】
この硝化反応により、硝化槽10内の混合液pHは低下する。このため、アルカリ貯槽14からアルカリ注入ポンプ16によって硝化槽10にアルカリ(例えば水酸化ナトリウム)を注入する。特に、pHセンサ18によって、硝化槽10内pHを検出し、検出したpHが6.5以上(7.0以下)となるように、アルカリ注入ポンプ16によるアルカリの注入量を制御する。
【0031】
このように、硝化槽10からの硝化処理水(微生物汚泥混合液)は、脱窒槽20に流入される。この脱窒槽20には、メタノール貯槽22からのメタノールがメタノール注入ポンプ24により、水素供与体として脱窒槽20に注入される。これによって、脱窒槽20内で、メタノールを水素供与体として硝酸、亜硝酸を窒素ガスに還元する脱窒反応が生起される。また、脱窒槽20内には撹拌機26が設けられており、槽内を撹拌混合している。
【0032】
また、この脱窒反応により、脱窒槽20内の混合液pHは上昇する。このため、酸貯槽28から酸注入ポンプ30によって脱窒槽20に酸(例えば塩酸)を注入する。ここで、pHセンサ32によって、脱窒槽20内pHを検出し、検出したpHが7.0以下(6.5以上)となるように、酸注入ポンプ30による酸注入量を制御する。
【0033】
脱窒槽20からの脱窒処理水(微生物汚泥混合液)は、酸化槽36に流入する。この酸化槽36には、ブロア38からの空気が供給され、槽内が曝気され好気的状態に維持されている。この酸化槽36において、残留メタノールが酸化分解される。
【0034】
ここで、この酸化槽36内には、浸漬膜装置40が設けられている。この浸漬膜装置40は、微生物フロックを十分分離除去できる孔径を有する分離膜40aを有しており、この分離膜で原水側と透過水(ろ過水)側に分離している。なお、分離膜には、精密ろ過などで利用される有機高分子膜、セラミック膜など各種のものが適宜採用可能である。そして、この浸漬膜装置40の透過水側には、吸引ポンプ42が接続されており、この吸引ポンプ42がろ過処理水を取り出し、これを処理水として系外に放流する。
【0035】
ここで、ブロア38からの空気は、少なくとも一部が浸漬膜装置40の直下から噴出され、曝気されるようになっている。この曝気により、浸漬膜装置40の分離膜40a上には、せん断力が発生し、常時膜面が洗浄されている状態になり、分離膜の目詰まりの発生が防止される。
【0036】
また、酸化槽36内の微生物汚泥は浸漬膜装置40によって分離され、処理水に流出することはなく、高濃度の微生物汚泥が槽内に保持される。さらに、酸化槽36内の微生物汚泥混合液は、循環ポンプ44によって硝化槽10に返送される。これによって、硝化槽10、脱窒槽20、酸化槽36内を微生物汚泥が循環される。循環流量は、原水流量の2倍量〜5倍量が好適である。このような構成により、系内の微生物濃度を高濃度に保持して効率的な処理が行える。すなわち、各槽の処理対象(窒素、メタノール)に対する容積負荷を高くして、処理槽の容積を小さくすることができる。
【0037】
さらに、このような硝化槽10、脱窒槽20、および酸化槽36により構成される窒素除去のための生物反応装置においては、微生物の栄養源としてのリンが必要である。そこで、リン酸貯槽46が設けられ、ここからのリン酸がリン酸注入ポンプ48によって硝化槽10に供給されるようになっている。ここで、窒素処理において、微生物の活性を維持するために、窒素に対し必要なリン酸濃度は、全窒素100mg/Lに対し、1.0mg/L程度である。
【0038】
そこで、この程度の量のリン酸を、リン酸注入ポンプ48を介し、硝化槽10に供給する。この場合に、残存したリンは分離膜40aを透過して処理水側に流出する。そこで、処理水流出配管には全リン自動分析装置50が設けられており、随時処理水中の全リン濃度を検出する。そして、この全リン自動分析装置50における検出値が所定値になるようにリン酸注入ポンプ48の運転が制御される。なお、全リン自動分析装置は、市販されている装置を適宜採用することができる。
【0039】
なお、リン酸貯槽46に貯留するのは、リン酸(HPO)の他、リン酸ナトリウム(NaPO)などのリン酸塩であってもよい。
【0040】
ここで、本発明者らは、浸漬膜装置40の分離膜40a上へのカルシウムの析出について、種々検討を行い、膜上に析出するカルシウムスケールとして、リン酸カルシウムが支配的であることを知得した。このリン酸カルシウムは、3Ca2++2PO 3−→Ca(POという反応で生成される。そこで、リン酸濃度を低濃度にすることで、リン酸カルシウムの析出を抑制することが可能と考えられる。
【0041】
また、リン酸カルシウムの析出は、リン酸濃度の他に、共存するカルシウム濃度や、pHによって変化する。本発明者らは、全リン酸濃度、カルシウム濃度およびpHの関係について、下記の式における飽和指数2.0以下にすれば、リン酸カルシウムが析出しがたいことを確認した。
【0042】
飽和指数=−(カルシウムファクター)−(リン酸塩ファクター)+(pH・濃度ファクター)
ここで、
(pH・温度ファクター)=2log(K1K2K3/(K1K2K3+[H+]3+K1[H+]2+K1K2[H+]))-logKsp
(カルシウムファクター)=-3log[Ca2+]
(リン酸塩ファクター)=-2log[PO4]total
Ksp:リン酸カルシウムの溶解度積
K1,K2,K3:リン酸の第1、第2、第3解離定数
である。
【0043】
一方、フッ素処理水中の残留カルシウム濃度は、100〜1000mg/Lの範囲で変動し、平均的には500mg/L程度であり、pH6.5以下では微生物の活性が低下する。このことから、硝化槽10、脱窒槽20、酸化槽36などの生物反応槽のpHは、6.5〜7.0程度に制御される。
【0044】
従って、上述の式により、カルシウム濃度が500mg−Ca/L、pH7.0では、リン酸濃度が0.5mg/Lで飽和指数2.0になる。そこで、処理水中の全リン濃度を0.5mg−P/L以下になるように制御することによって、浸漬膜装置40における目詰まりを効果的に解消して処理が行える。
【0045】
そこで、本実施形態では、全リン自動分析装置50における検出値が(0を超える値であって)0.5mg−P/L以下になるようにリン酸注入ポンプ48の運転が制御される。
【0046】
具体的には、リン酸注入ポンプ48の制御は例えば全リン自動分析装置50の検出値に対する比例制御とし、検出値が0.1mg−P/Lとなった場合には、リン酸注入量が原水中の全窒素100mg/Lに対して1.0mg/Lとなるように設定し、検出値が0.5mg−P/L以上となった場合には、リン酸注入量が0になるように設定する。これによって、処理水中の全リン濃度が0を超える0.5以下の値に維持できる。
【0047】
これによって、微生物の活性に十分なリン酸を供給しつつ、浸漬膜装置40の分離膜40aにおけるリン酸カルシウムスケールの発生を抑制することができる。
【0048】
図2には、フッ素除去工程も含めた排水処理装置の概略構成が示されている。このように、フッ素および窒素を含む排水は、カルシウム凝集槽60で凝集された後、沈殿槽62に導入され、ここでフッ化カルシウムが沈殿分離される。
【0049】
なお、凝集槽には、カルシウム(水酸化カルシウムや塩化カルシウムなど)の他に、ポリ塩化アルミニウムなどの無機凝集剤および/またはアクリルアミド系の高分子凝集剤なども添加される。
【0050】
そして、沈殿槽62で得られたカルシウムおよび窒素を含み、リン酸を含まない排水が、生物反応槽64に導入され、ここで窒素が生物分解される。この生物反応槽64は、上述の硝化槽10、脱窒槽20、酸化槽36に対応する。なお、この生物反応槽64の硝化槽10、脱窒槽20、酸化槽36には、浸漬ろ床型のものを利用することもできる。また、脱窒槽としては上向流スラッジブランケットタイプのものを利用することができる。さらに、脱窒槽20を硝化槽10の前段に配置し硝化処理水を脱窒槽20に循環するタイプのものなど各種のものが採用可能である。
【0051】
そして、生物反応槽64内に、浸漬膜装置40が配置され、ここから処理水が得られる。また、この処理水中の全リン濃度が全リン自動分析装置50で検出され、この検出値に基づいてリン酸注入ポンプ48によるリン酸の注入量が制御される。
【0052】
【実施例】
次に、本発明の実施例および比較例について説明する。
【0053】
(実施例)
半導体装置の製造工程排水をフッ素除去した後、中和した排水の性状は、表1に示すとおりであった。アンモニア態窒素と、硝酸態窒素ともに変動が激しく、また全リンは未検出であった。
【表1】
Figure 0004101539
【0054】
この排水を図1に示す装置で処理した。水温20℃程度、硝化槽10における最大アンモニア態窒素容積負荷0.3kg−N/m/d、脱窒槽20における最大全窒素容積負荷0.6kg−N/m/dとした。処理水より流出する全リン濃度が0.5mg−P/L以下になるようにリン酸注入ポンプ48を制御した。また、硝化槽10のpHを6.5、脱窒槽のpHを7.0に制御した。浸漬膜装置40の分離膜40aにおけるフラックス(膜面積負荷)は、0.4m/dである。
【0055】
この結果、30日間に渡って通水を行ったが、浸漬膜装置40における膜差圧の上昇はみられなかった。試験終了後、分離膜表面を蛍光X線分析に供し、成分分析を行った結果、カルシウムおよびリンは、検出されなかった。また、全窒素除去率は試験を通じて95%以上であった。
【0056】
(比較例)
実施例と同じ表1に示す排水を図1に示す装置で処理した。ただし、リン酸の注入は従来法に従い、全窒素100mg−N/Lに対して、1.0mg−P/Lとなるように制御した。
【0057】
その結果、処理水中の全リン濃度は、1.0〜3.0mg−P/Lとなった。通水開始5日目には、浸漬膜装置40の分離膜40aにおける膜差圧が上昇し、通水を停止した。この際、分離膜表面を蛍光X線分析に供し、成分分析を行った結果、カルシウムおよびリンが多量に検出された。なお、通水中における全窒素除去率は95%以上であった。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リン酸注入量を制御することで生物反応槽内でのリン酸カルシウムの析出を抑制することができる。これによって、浸漬膜装置の分離膜のカルシウムスケールによる目詰まりを大幅に低減することができる。そこで、分離膜の薬品洗浄の頻度も大幅に低減でき、効果的な生物学的窒素除去を行うことができる。また、微生物汚泥の固液分離手段として、浸漬膜装置を採用することができ、従来の沈殿槽により固液分離を行う装置に比べて、非常に効率的な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係る排水処理装置の構成を示す図である。
【図2】 他の実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 硝化槽、12,38 ブロア、14 アルカリ貯槽、16 アルカリ注入ポンプ、18,32 pHセンサ、20 脱窒槽、22 メタノール貯槽、24 メタノール注入ポンプ、26 撹拌機、28 酸貯槽、30 酸注入ポンプ、36 酸化槽、40 浸漬膜装置、42 吸引ポンプ、44 循環ポンプ、46 リン酸貯槽、48 リン酸注入ポンプ、50 全リン自動分析装置、60 カルシウム凝集槽、62 沈殿槽、64 生物反応槽。

Claims (5)

  1. 窒素およびカルシウムを含む排水を処理する排水処理装置であって、
    前記排水に対し、微生物を利用して窒素を分解する生物反応槽と、
    前記排水または前記生物反応槽にリン酸を注入するリン酸注入装置と、
    この生物反応槽内に浸漬され分離膜を介して固形物を除去した処理水を取り出す浸漬膜装置と、
    この浸漬膜装置により取り出された処理水中のリン濃度を検出するリン検出装置と、
    を備え、
    このリン検出装置により検出した処理水中のリン濃度に基づいて、前記リン酸注入装置によるリン酸注入量を制御することを特徴とする排水処理装置。
  2. フッ素および窒素を含む排水に対する排水処理装置であって、
    フッ素および窒素を含む排水に対し、カルシウムを添加し、フッ化カルシウムを析出させてフッ素を除去するフッ素処理装置と、
    このフッ素処理装置によって得られた窒素およびカルシウムを含む排水に対し、微生物を利用して窒素を分解する生物反応槽と、
    前記窒素およびカルシウムを含む排水または前記生物反応槽にリン酸を注入するリン酸注入装置と、
    この生物反応槽内に浸漬され分離膜を介して固形物を除去した処理水を取り出す浸漬膜装置と、
    この浸漬膜装置により取り出された処理水中のリン濃度を検出するリン検出装置と、
    を備え、
    このリン検出装置により検出した処理水中のリン濃度に基づいて、前記リン酸注入装置によるリン酸注入量を制御することを特徴とする排水処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の装置において、
    前記生物反応槽は、窒素を硝化処理する硝化槽と、硝化処理された窒素を脱窒処理する脱窒槽と、有機物を酸化する酸化槽と、を含むことを特徴とする排水処理装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置において、
    前記リン検出装置は、全リン濃度を検出することを特徴とする排水処理装置。
  5. 請求項4に記載の装置において、
    処理水中の全リン濃度が0mg/Lを超え0.5mg/L以下になるように前記リン酸注入量を制御することを特徴とする排水処理装置。
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