JP4100599B2 - 超高圧水銀ランプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超高圧水銀ランプに関し、更に詳しくは液晶プロジェクターなどの投射型投影装置用光源として用いられる超高圧水銀ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクターなどに使用される光源は放射される光を反射鏡によって一方向に投射し、レンズなどの光学系を通してスクリーンに照射している。該光源は理想的には点光源であることが望ましい。しかし、実際には光源であるランプの電極間によって決まるある一定の大きさがある。この光源の大きさを近似的に点光源とみなすと、該ランプのバルブ部は肉厚が均一な球状体であり、該バルブ内で放電により形成されるアークの中心をバルブ部の中心に配置したランプが理想的であると考えられる。
【0003】
しかし、例えば直流駆動の超高圧水銀ランプの場合では、該ランプのバルブ部内に配置された陽極と陰極のサイズは大きく異なっている。これは直流駆動される場合、各々の電極で発生する熱量が大きく異なるためであり、該熱量を考慮して該陰極より該陽極の方が大きく設計されている。また、該電極を放電容器の内部に配置するためには、前記した理想的なランプの場合とは異なり例えば特開平11−111226にあるように該バルブ部を略楕円状にする等により対応していた。
【0004】
図9に該バルブ部を略楕円状にした従来の超高圧水銀ランプを示す。石英ガラス等の透光性材料からなるバルブ部51に連接する側管部52からなる放電容器50の内部に対向配置された陽極53と陰極54とが有る。該陽極53、該陰極54は各々Mo等からなる金属箔55に溶接され該金属箔55の他端には外部リード56が溶接されている。該放電容器50の内部の形状も前記したように略楕円状になっており、該陽極53と該陰極54とが該放電容器50の内部におさめられている。また、該放電容器50の内部には希ガスと共に水銀が0.15mg/mm3程度封入されている。更に、対向配置された陽極53と陰極54との間で発生するアークの中心が該バルブ部51の最大径部である該バルブ部中心と一致するように配置し、電極間距離としては例えば1.5mmとしていた。
【0005】
該ランプへの市場からの要求としては更なる高輝度化が求められており、該ランプの電極間距離を短くすることにより単位電極間距離当たりの入力を大きくして高輝度化する、或いは該放電容器内に封入される水銀量を更に高くすることによってアークを縮径させて高輝度化するといった改善がされていた。
【0006】
ところが、該放電容器内に封入させる水銀の量を更に多くした場合、例えば0.17mg/mm3程度封入すると、該放電空間内の陰極側根元近傍に水銀の未蒸発が発生した。そこで、該バルブ部の中心である該バルブ部の最大径部よりもアーク中心位置を陰極側に偏らせることによって未蒸発水銀の発生を抑制することも行なわれていた。これは、熱源であるアークを該陰極根元近傍に近づけることにより該未蒸発水銀を加熱し蒸発させるものである。
【0007】
ところで、市場から求められる放射強度としては更に明るく高い演色性のランプが求められている。また、ランプ自身の更なる小型化の要求もある。しかし、従来の該ランプに封入される水銀の量を更に増加させて0.2mg/mm3以上とすると該放電容器内のアークの位置を陰極側に偏らせても、その他の部分、例えば陽極根元部に未蒸発水銀が発生するといった問題が生じた。更に、この未蒸発水銀が凝集し、該水銀による粒の大きさが一定以上、およそ0.2mm程度になると、重力により最大内径部に水銀が移動、蒸発し先の陽極根元部に再度水銀が凝縮するといったサイクルが発生しランプ内の対流が変動する結果、アーク不安定になり、ちらつきが生じるといった問題も発生した。また、該電極間距離を短くすることで高い放射強度を得ようとすれば該電極へ流入する熱量が大きく、特に陽極の損耗が激しくなり該ランプ自身が短寿命になってしまうといった問題があった。一方、該陽極への熱の影響を抑制する為に該陽極自身の体積を大きくすることが考えられるが、該陽極部の径を大きくすればバルブ部の径も大きくなり、該ランプの小型化への要求に答えられないといった問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
小型で光の放射強度が高く、且つ演色性も高い超高圧水銀ランプを提供することを目的とする。また、封入した水銀量が高くてもバルブ部に未蒸発が発生しない高効率の超高圧水銀ランプであって、且つ電極間を短くして電極負荷が大きくなっても該電極の損耗によるバルブ部の黒化などが少ない超高圧水銀ランプを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の超高圧水銀ランプは、光透過性材料から成る略楕円球状のバルブ部と該バルブ部に連接する側管部とから成る放電容器内に陽極と陰極とが対向配置され、該放電容器内には水銀を0.2mg/mm3以上封入し、入力電力400W以下で直流点灯される超高圧水銀ランプにおいて、
前記側管部内でガラスに覆われた前記陽極の後端部に比べて外径が太く成っている部分から前記陰極に対向配置した該陽極の最先端までの距離で表される該陽極の先端部の長さD(mm)が、該バルブ部のランプ管軸方向の長さL(mm)に対してD≧L/2であって、
ランプ管軸方向に直交する方向の該バルブの最大内径をA(mm)とした場合に、L≦2.5×Aであることと、π×L×Aで表される該バルブ部の内表面面積S(mm2)と入力電力Pとの比で表される管壁負荷P/S(W/mm2)がP/S≧1.2であることの両方を満たすことを特徴とする。
【0010】
該構成によれば、該陽極の先端部が該バルブ部の管軸方向の半分以上あるので該陽極の熱容量が大きくなり該陽極自身が変形したり、該陽極からの電極物質の蒸発量が少なく、該超高圧水銀ランプが短寿命を起こすことがない。
更には、ランプ管軸方向に直交する方向の該バルブの最大内径をA(mm)とした場合に、L≦2.5×Aであることと、π×L×Aで表される該バルブ部の内表面面積S(mm2)と入力電力Pとの比で表される管壁負荷 P / S ( W /mm 2 )が P / S ≧1.2であることの両方を満たすので、水銀を0.2mg/mm3以上封入しても該陽極自身が熱源となり陽極側に未蒸発水銀が発生しにくくなるといった利点がある。これにより、良好な光学特性が得られる。
【0015】
また、本発明の超高圧水銀ランプは、前記側管部の外表面に保温手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
これにより、該放電容器内に封入された水銀が温度の低い側管部に凝集しても該側管部を保温する手段によって水銀溜りになることがない。そのため該ランプ内の水銀蒸気圧が一定に保たれ、高い放射強度と高い演色性を保持できる。また、未蒸発水銀によるランプ内圧力の変動が原因となり放射される光がチラツクといった不具合が発生しない。
【0017】
このようにして0.2mg/mm3以上の高い密度で水銀を封入した場合において、バルブ部の形状を最適化し、かつ側管部を保温することで水銀の未蒸発を生じない高輝度光源を提供することが出来る。また、万が一加工上のばらつきや冷却のばらつきにより未蒸発が発生する場合であっても、発生個所はバルブ部の最大内径部になることが望ましく、該未蒸発水銀の発生部が該最大内径部になれば大きな圧力変動が起こらない。
該未蒸発水銀の発生個所を確認する手段としては、強制空冷手段を用いずに水平点灯で定格入力の70%に絞ることが挙げられる。該手段によって本発明の超高圧水銀ランプの未蒸発水銀発生個所を確認したところ、該未蒸発水銀がほぼバルブ部の最大内径部に確認された。つまり、本発明の超高圧水銀ランプにおいて、未蒸発水銀が発生したとしてもアーク不安定を生じることはない。
【0018】
更に本発明の超高圧水銀ランプは、陽極部の一部が側管部のガラス内壁と保持部材を介して間接的に保持されることを特徴とする。
【0019】
これにより、該側管部の一部に掛かるような長手方向に長い陽極であっても芯棒部が折れるなどの不具合が発生しない。また、該ランプの輸送時等に振動が加わる場合でも該側管部に陽極がぶつかるなどによりガラス管に傷が生じることがないため高い点灯圧力であってもランプが破壊されることがない。
【0020】
前記のように本発明によれば、該陽極部の長さDを長くすることにより該陽極部の径を必要以上に大きくすることなく、該陽極先端部の磨耗を大幅に抑制することができる。その結果、初期光束量を確保しつつ、磨耗が原因で電極間距離が長くなることによる捕捉立体角内の光束量の低下を抑制できる。更に、陽極先端部から飛散する陽極材料、例えばタングステンの飛散を大幅に減少することによってバルブ部内壁に付着する該タングステンが減少し、該バルブ部の黒化・失透を抑制することができる。また、各入力電力において該バルブ部を必要以上に大きくすることなく良好な寿命特性を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明における超高圧水銀放電ランプの第1の実施例である。該超高圧水銀放電ランプ1は、バルブ部2が石英製の略楕円球状体からなり、該バルブ部2の内部にはタングステンからなる陽極3と陰極4が極間距離1.0mmで配置されており、該電極3,4の後端部にはモリブデン等の金属箔5が溶接されて、該金属箔5の他端には外部リード線6が接続されている。
【0022】
該バルブ部のバルブ最大内径Aは電極間を結ぶランプ管軸に対して直交する方向の該バルブ部の最大内径を表しており、該バルブ最大内径Aは4.8mmである。また、該略楕円球状部である該バルブ部2のランプ管軸方向のバルブ長さLは10.2mmである。該バルブ部2の両端には該ランプ管軸上に突出した側管部7があり、該側管部7の内側で該バルブ内部空間8と連接した側管内空間部9が設けられている。該側管内空間部9の内径である側管内径IDは2mm、陽極3の先端部である陽極先端部10の長さDは10mmであり、側管部7に位置する陽極先端部10の径d及び最大陽極部径dmaxはともに1.8mmとなっている。また、バルブ内部空間8と側管内空間部9とを合わせた空間である放電空間部11には始動用の希ガスとしてArが133×102Pa封入されている。更に、該放電空間部11の電極部を含めた内容積は98mm3であって、水銀が0.25mg/mm3、ハロゲンとして臭素が2.5×10−4μmol/mm3封入されている。
【0023】
ここで、図2にバルブ部2のランプ管軸方向の長さであるバルブ長さLについて示す。該バルブ長さLは前記した略楕円球状の該バルブ部と該バルブ部から突出する側管部との境で規定された長さである。図2−1には該側管部と該バルブ部の境ははっきり区別できる場合を示す。図中の点a、a’で挟まれた距離を該バルブ長さLとする。しかし、該バルブ部と該側管部との連結部が不明瞭な場合もある。この場合、図2−2に示すように該側管部の任意の2点を結ぶ直線と該バルブ部のバルブ最大内径を通り該バルブ部の曲面に近似される円との交点で規定される点b、b’で挟まれた距離を該バルブ長さLとする。
【0024】
次に図3には該陽極3の先端部にあたる陽極先端部の長さDの規定と該陽極の形状についてのバリエーションを示す。陽極先端部の長さDは前記側管部内でガラスに覆われた該陽極3の後端部に比べて外径が太く成っている部分から該陰極4に対向配置した該陽極3の最先端までの距離のことを言うこととする。図3の1)から4)までは該陽極の形状についてのバリエーションであり、各々の陽極先端部Dに当る部分を図中の矢印で示した。
【0025】
本発明の超高圧水銀ランプ1の第1の実施例によれば、陽極先端部の長さDが10mmでバルブ長さLが10.2mmであってDがL/2より長くなっている。これにより、放電空間部11に封入した水銀量を0.2mg/mm3以上としても水銀の未蒸発がなく、また該陽極からの電極材料の蒸発が低減される。
【0026】
図4に該陽極先端部の長さDと該超高圧水銀ランプの照度維持率との関係を示す。図4の縦軸は該超高圧水銀ランプの初期照度を100%とした場合の照度維持率(%)を示しており、横軸は該超高圧水銀ランプの点灯時間(時間:H)を示している。本発明の第1の実施例に示した該超高圧水銀ランプにおいて、陽極先端部Dの長さを変え200Wの入力電力で点灯し、照度維持率を比較した。該陽極先端部Dの長さとしては5mm、8mm、10mm、12mmの各長さで比較した。その結果、該陽極先端部の長さDが10mm以上であれば点灯時間2500時間で初期照度の50%以上の放射照度を維持することが出来た。
【0027】
図5には、前記した陽極先端部の長さD(mm)に相当する部分の陽極先端部体積V(mm3)と該超高圧水銀ランプ1の入力電力との関係から該陽極先端部の損耗を抑制する条件を示す。一般的に陽極先端部の磨耗は該陽極先端部の温度が高いほど大きく、該陽極先端部の温度は該陽極に入力される電流値が大きいほど高くなる。また、該電流値は電極間距離が短い程高くなる傾向にある。一方、本発明の超高圧水銀ランプによれば該電極間距離が0.6mmより短い場合、発光長が短いことによる発光効率の低下が起こり充分な光束量を取り出すことができない。そこで、該電極間距離を0.6mmで陽極先端部の磨耗を抑える条件を検討した。試料としては封入水銀量を0.3mg/mm3とし、陽極先端部体積Vを振ったランプを製作し、入力電力を100Wから400Wまで変化させて寿命試験を行った。
【0028】
図中の○印は陽極先端部の磨耗を抑制できた結果、要求される寿命特性を満足できたことを示している。また、×印は陽極先端部が磨耗し、結果として寿命特性を満足できなかったことを示している。陽極先端部の磨耗はX線撮影装置等による形状の確認と、点灯時の電圧上昇値から確認した。結果として、400W以下の入力電力に対して、該陽極先端部の体積Vと該入力電力Wとの関係V/Pが0.12以上であれば陽極先端部の磨耗が抑制できる。これにより、電極材料の蒸発によるランプ短寿命が起こることがない。また、点灯中の電極損耗による電圧上昇を極めて小さくすることができるといった利点がある。
【0029】
図6には、前記図5に示した陽極が損耗しない条件において、該放電空間部内に封入された水銀が点灯時に未蒸発を起こさない条件を求めたものである。本発明の超高圧水銀ランプにおいては、放射光の強度を高くするために該放電空間内に封入されている水銀量を0.2mg/mm3以上としている。しかしながら、水銀量を多くすると封入された水銀の未蒸発が発生する。水銀の未蒸発は、バルブ内表面温度に依存し、バルブ内表面温度はバルブ内表面面積に依存する。そこで放電空間部全体の内、バルブ内部空間の大きさを該バルブ部の内部表面積を近似的にπ×L×Aから求めた内部表面積S(mm2)で表し、該内表面積Sと入力電力との関係から未蒸発水銀が発生しない条件を求めた。該内表面積Sは略楕円球状体としてバルブ長さLとバルブ最大内径Aと円周率πとの積により規定した。図6には水銀量を0.3mg/mm3とした場合の該超高圧水銀ランプについてL≦2.5×Aの範囲で該内表面積Sを変えたランプを製作し、入力電力400W以下の未蒸発水銀の発生有無を記載した。図中の○印はバルブ部内に未蒸発水銀がないことを表し、×印はバルブ部に未蒸発水銀が発生したことを表している。この図から未蒸発水銀を発生させないためには該内表面面積Sと入力電力Wとの関係が、P/S≧1.2であれば良いことが判った。また、
L>2.5×Aの場合について試験を行った結果、P/S≧1.2であっても未蒸発水銀を生じるランプが発生した。これはバルブ長さLが必要以上に大きくなると熱源であるアークから離れる為に電極根元付近に低温部が形成され、該低温部に未蒸発水銀が発生したと考えられる。
【0030】
図7は本発明に係る超高圧水銀ランプ1の第2の実施例を示す断面図である。該超高圧水銀ランプ1の陽極3側の側管部7に保温手段として金属製ワイヤー71を巻きつけたものである。この場合、金属製ワイヤー71がバルブ部2から放射される熱を吸収し、該金属製ワイヤー71自身の放射熱により側管部7が保温される。
【0031】
その他の保温手段としては、前記の金属製ワイヤー71を巻きつけた部分にアルミナ等の無機系材料からなる保温膜を形成したり、該側管部7に擦りガラス状部分を形成しても良い。該保温膜を施せば該保温膜が放射される光を拡散反射させることにより該側管部7を保温できる。また、該側管部7を擦りガラス状にすれば該側管部7の外表面で光が拡散反射されるので該側管部7が保温される。
【0032】
このような保温手段によって陽極3側の側管部7を保温することにより、バルブ部2に比較して低温になる該側管部7に未蒸発水銀が発生しなくなる。また、ばらつきにより万が一未蒸発水銀が発生した場合でも、該未蒸発水銀の発生個所は該バルブ部の最大内径部に発生する為、水銀の凝縮・蒸発に伴う対流の変化が引き起こすアーク不安定を生じることなく、安定した高い放射強度を得ることが出来る。
【0033】
次に、図8に該陽極保持手段について示す。該陽極はシール部側のガラスとの境界部近傍で折れることが多い。これは、該陽極の先端部重量が重く該シール部近傍に働くモーメントが大きくなるためと考えられる。そこで、保持部材は折れの発生率が高い該陽極根元付近やモーメント発生原因となる該陽極先端部に設けることが有益である。図8は該陽極保持部材を該陽極先端部、又は該陽極根元部に設けた1実施例であり、側管内空間部9の縦断面図と横断面図とを表したものである。図8−1には該陽極3の陽極先端部であって該側管部に位置する部分(A−A’断面)に保持部材81を配置している。該保持部材81は大小からなる二つの輪と該輪部分をつなぐ線状部からなり、例えばタングステン線からできている。小さな輪の内側に該陽極3を嵌め込み、大きな輪の外側が該側管部の内側と接することにより該陽極3が固定されるといったものである。図8−2に示したのは、陽極根元付近(B−B’断面)に保持部材を配置した場合で例えばタングステン線からなるコイル状部材をゼンマイバネのように該陽極の外径から該側管部の内面に向けて配置することにより該陽極部を固定するものである。該保持部材の取り付け位置は該陽極の先端部や該陽極のシール部側根元付近、またその双方に設けることができる。
【0034】
図8のような保持部材を具備することにより、該超高圧水銀ランプの内部に配置した該陽極が大きなものになっても振動等の外力によって該陽極が折れる等の不具合が起こることがない。
【0035】
【発明の効果】
本発明の超高圧水銀ランプは、該陽極が該バルブ部の管軸方向の半分以上あるので該陽極の熱容量が大きくすることができ、該陽極自身が変形したり、該陽極からの電極物質の蒸発がなく、該超高圧水銀ランプが短寿命を起こすことがない。
更には、バルブ部のランプ管軸方向の長さL(mm)、ランプ管軸方向に直交する方向の該バルブの最大内径をA(mm)とした場合に、L≦2.5×Aであることと、π×L×Aで表される該バルブ部の内表面面積S(mm2)と入力電力Pとの比で表される管壁負荷 P / S ( W /mm 2 )が P / S ≧1.2であることの両方を満たすので、水銀を0.2mg/mm3以上封入しても該陽極自身が熱源となり未蒸発水銀が発生しにくくなるといった利点がある。これにより、封入した水銀量が0.2mg/mm3以上と高くてもバルブ部に未蒸発水銀が発生することがなく良好な光学特性が得られる。
また、電極間を短くして電極負荷が大きくなっても該電極の損耗によるバルブ部の黒化などが少なく、且つバルブ部を小型化出来るという効果がある。
更に、側管部に保温膜を施すことにより側管部に凝集する水銀があっても未蒸発とならず点灯時の圧力が一定範囲に保たれ放射される光がチラツクことがないといった利点がある。
また、陽極を保持する保持部材を具備することによりこのような構造においても該陽極が振動等により折れることがない。また、該保持部材が該側管部の内面を用いて固定しており該陽極自身が該側管部内面にぶつかることが無く、内表面の傷等による破裂などが発生しないといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における超高圧水銀ランプの第1の実施例。
【図2】本発明におけるバルブ長Lを示す説明図。
【図3】本発明における陽極の形状と該陽極の陽極先端部の長さDを示す説明図。
【図4】本発明の超高圧水銀ランプにおける陽極先端部の長さDと該超高圧水銀ランプの照度維持率との関係を示す図。
【図5】陽極先端部の磨耗を抑えるために必要な陽極部寸法と入力電力との関係を示す図。
【図6】未蒸発水銀を抑えるために必要なバルブ部内表面面積と入力電力との関係を示す図。
【図7】本発明における保温手段を具備した実施例を示す断面図。
【図8】本発明における保持部材を具備した実施例を示す断面図。
【図9】従来の超高圧水銀ランプを示す断面図。
【符号の説明】
1 超高圧水銀放電ランプ
2 バルブ部
3 陽極
4 陰極
5 金属箔
6 外部リード線
7 側管部
8 バルブ内部空間
9 側管内空間部
10 陽極先端部
11 放電空間部
71 金属製ワイヤー
81 保持部材
A バルブ最大内径
L バルブ長さ
ID 側管内径
D 陽極先端部の長さ
d 陽極先端部の径
dmax 陽極先端部の最大径部
V 陽極先端部の体積
Claims (3)
- 光透過性材料から成る略楕円球状のバルブ部と該バルブ部に連接する側管部とから成る放電容器内に陽極と陰極とが対向配置され、該放電容器内には水銀を0.2mg/mm3以上封入し、入力電力400W以下で直流点灯される超高圧水銀ランプにおいて、
前記側管部内でガラスに覆われた前記陽極の後端部に比べて外径が太く成っている部分から前記陰極に対向配置した該陽極の最先端までの距離で表される該陽極の先端部の長さD(mm)が、該バルブ部のランプ管軸方向の長さL(mm)に対してD≧L/2であって、
ランプ管軸方向に直交する方向の該バルブの最大内径をA(mm)とした場合に、L≦2.5×Aであることと、π×L×Aで表される該バルブ部の内表面面積S(mm2)と入力電力Pとの比で表される管壁負荷P/S(W/mm2)がP/S≧1.2であることの両方を満たすことを特徴とする超高圧水銀ランプ。 - 前記陽極側に配置した前記側管部の外表面に保温手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の超高圧水銀ランプ。
- 陽極部の一部が側管部のガラス内壁と保持部材を介して間接的に保持されることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の超高圧水銀ランプ。
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