JP2005050576A - ショートアーク型放電ランプ点灯装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石英ガラスからなる発光管11に一対の電極1を2mm以下の間隔で対向配置し、この発光管11に0.16mg/mm3以上の水銀と、希ガスと、1×10−6〜1×10−2μmol/mm3の範囲でハロゲンを封入したショートアーク型放電ランプと、この放電ランプに少なくとも点灯始動時は直流電流を供給する給電装置から構成される。そして、この放電ランプは、一対の電極のうち少なくとも一方の電極は、コイルより構成される。そして、給電装置が放電ランプに対して供給する直流電流は、初めが定格電流の0.3〜0.9倍であり、その後、定格電流の1.0〜2.0倍であり、その後電力が、定格電力の1.05〜1.5倍となった後に所定の電力になることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明はショートアーク型放電ランプ点灯装置に関する。特に、発光管内に0.16mg/mm3以上の水銀が封入され点灯時の水銀蒸気圧が110気圧以上となる超高圧水銀ランプを光源とした液晶ディスプレイ装置やDMD(デジタルミラーデバイス)を使ったDLP(デジタルライトプロセッサ)などのプロジェクター装置に使われる光源用放電ランプの点灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
投射型プロジェクター装置は、矩形状のスクリーンに対して、均一にしかも十分な演色性をもって画像を照明させることが要求され、このため、光源としては、水銀や金属ハロゲン化物を封入させたメタルハライドランプが使われている。また、このようなメタルハライドランプも、最近では、より一層の小型化、点光源化が進められ、また電極間距離の極めて小さいものが実用化されている。
【0003】
このような背景のもと、最近では、メタルハライドランプに代わって、今までにない高い水銀蒸気圧、例えば150気圧、を持つランプが提案されている。これは、水銀蒸気圧をより高くすることで、アークの広がりを抑える(絞り込む)とともに、より一層の光出力の向上を図るというものである。
このような超高圧放電ランプは、例えば、特開平2−148561号、特開平6−52830号、特許第2980882号に開示されている。
【0004】
上記ランプは、例えば、石英ガラスからなる発光管に一対の電極を2mm以下の間隔で対向配置し、この発光管に0.16mg/mm3以上の水銀と1×10−6〜1×10−2mol/mm3の範囲でハロゲンを封入した超高圧水銀ランプが使われる。ハロゲンを封入する主目的は発光管の失透防止であるが、これにより、いわゆるハロゲンサイクルも生じる。
【0005】
ところで、上記超高圧水銀ランプ(以下、単に放電ランプともいう)は、点灯時間の経過とともに、陰極の構成材料であるタングステンが放電容器内面へ輸送され、そこに付着する、いわゆる管壁黒化が生じることがある。この管壁黒化は、光出力の低下や、管壁黒化の甚だしい場合は管壁への熱的な負荷の増大による放電容器の破損といったランプの短寿命の原因となる。
【0006】
また、ハロゲンガスを封入する放電ランプの場合、いわゆるハロゲンサイクル現象によって長寿命化を図っている。しかし、放電ランプの温度が何らかの原因で変化すると、ハロゲンサイクルにとっても最適温度範囲を外れることがあり、結果として、上記管壁黒化および短寿命の問題を顕著に生じさせることがある。
例えば、プロジェクター装置の場合、使用環境に変化をもたらすため調光機能が注目されているが、その手段として、ランプへの投入電力を変更することがある。この場合、放電ランプの温度が変化してしまう。
【0007】
また、プロジェクター装置などにおいて放電ランプの点滅動作が激しい場合がある。放電ランプの点滅動作が高頻度で繰り返されると、ハロゲンサイクルに適さない温度範囲にさらされる割合が高くなる。特に、ホームユースでのプロジェクター装置の使用が増えることから、放電ランプを高頻度で点滅させる使用が大きな問題となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、陰極の構成材料であるタングステンの放電容器内面への輸送に起因する管壁黒化を抑制し、寿命の長いショートアーク型超高圧水銀ランプを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係るショートアーク型放電ランプ点灯装置は、石英ガラスからなる発光管に陽極と陰極が2mm以下の間隔で対向配置し、この発光管に0.16mg/mm3以上の水銀と、希ガスと、1×10−6〜1×10−2μmol/mm3の範囲でハロゲンを封入したショートアーク型放電ランプと、この放電ランプに直流電流を供給する給電装置からなる。
そして、前記放電ランプは、陰極に少なくとも1ターン以上のコイルを有し、前記給電装置は、前記放電ランプに対して、点灯始動時において定電流制御するとともに、その後、定電力制御するものであって、当該定電流制御は、定格電流の0.3〜0.9倍の電流値を供給する第一の電流供給期間と、その後に定格電流の1.0〜2.0倍の電流値を供給する第ニの電流供給期間を有し、前記第二の電流供給期間は、当該放電ランプの点灯電力が、定格点灯電力の少なくとも1.05〜1.5倍となった後において、定格点灯電力値を基準とする定電力制御に切替えることを特徴とする。
さらに、前記コイルと前記発光間内表面の最短距離は2.0mm以内であることを特徴とする。
【0010】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、電極構成材料であるタングステンの放電容器内面への輸送に起因する管壁黒化の問題は、ランプの始動初期において、少なくとも陰極となる電極に具備されたコイルの後端部を起点として放電アークが形成されるとき、この放電アークが放電容器内面に接触することが原因であると突き止めた。
この現象によって、コイル後端部からの放電アークが放電容器内表面に接触することで、放電容器の構成材料である石英ガラスを蒸発させることが上記タングステンの輸送に大きく影響を与えることを見出した。
【0011】
本発明者らは、ショートアーク型放電ランプに関する上記新たな課題を解決するためには、ランプの始動初期において、給電装置から放電ランプに対する電流供給を調整することが有効であることを見出したわけである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明のショートアーク型高圧放電ランプ(以下、単に「放電ランプ」ともいう)の全体構成を示す。
放電ランプ1は、石英ガラスからなる放電容器によって形成された大略球形の発光部10を有し、この発光部10内には、陽極2と陰極3が互いに対向するよう配置している。また、発光部10の両端部から伸びるよう各々封止部11が形成され、これらの封止部11には、通常モリブデンよりなる導電用金属箔4が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設されている。金属箔4の一端は陽極2あるいは陰極3が接合しており、金属箔4の他端は外部リード5が接合している。
陰極3の先端にはコイル31が巻きつけられる。このコイル31はタングステンからなり、強固に巻き付けるかあるいは溶着させて構成する。コイル31点灯始動時は表面の凹凸効果により始動の種(始動開始位置)として機能するとともに、点灯後は表面の凹凸効果と熱容量によって放熱機能を担っている。
【0013】
発光部10には、水銀と、希ガスと、ハロゲンガスが封入されている。
水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長360〜780nmという放射光を得るためのもので、0.16mg/mm3以上封入されている。この封入量は、温度条件によっても異なるが、点灯時150気圧以上で極めて高い蒸気圧となる。また、水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧200気圧以上、300気圧以上という高い水銀蒸気圧の放電ランプを作ることができ、水銀蒸気圧が高くなるほどプロジェクター装置に適した光源を実現することができる。
希ガスは、例えば、アルゴンガスが約13kPa封入され、点灯始動性を改善する。
ハロゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との化合物の形態で封入する。ハロゲンの封入量は、例えば、10−6〜10−2μmol/mm3の範囲から選択できるものであって、その機能はハロゲンサイクルを利用した長寿命化であるが、本発明の放電ランプのように極めて小型で高い内圧を有するものは、このようなハロゲンを封入することは放電容器の破損、失透の防止という作用があると考えられる。
【0014】
このような放電ランプの数値例を示すと、例えば、発光部の外径はφ6.0〜15.0mmの範囲から選ばれて例えば9.5mm、電極間距離は0.5〜2.0mmの範囲から選ばれて例えば1.5mm、発光管内容積は40〜300mm3の範囲から選ばれて例えば75mm3である。点灯条件は、例えば、管壁負荷0.8〜2.0W/mm2範囲から選ばれて例えば1.5W/mm2というものであり、定格電圧80V、定格電力200Wである。
また、この放電ランプは、小型化するプロジェクター装置などに内蔵されるものであり、全体構造が極めて小型化される一方で高い光量が要求される。したがって、発光部内の熱的条件は極めて厳しいものとなる。
そして、放電ランプは、プロジェクター装置やオーバーヘッドプロジェクターのようなプレゼンテーション用機器に搭載され、演色性の良い放射光を提供する。
また、この種の放電ランプは、小型化するプロジェクター装置に内蔵されるものであり、
【0015】
図2は陰極の根元付近の拡大構造を示す。(a)(b)は同一の構造を示しているが、(a)が構成部材を説明するという趣旨で符号を付しているのに対し、(b)は発光部内の物理現象を説明するという趣旨で符号を付している。
ここで、本発明の放電ランプのように、プロジェクター装置の光源として装置内に搭載されるランプは、プロジェクター装置の小型化の強い要請により、放電ランプ自身も小型化が強く求められている。その一方で、放電ランプは高い温度条件で点灯されることから、電極には熱容量を持たせた放熱対策が必要となり、電極はある程度の大きさ(体積)が必要とならざるを得ない状況にある。
つまり、放電ランプの小型化に対して、電極の体積が大型化するという状況を生じることになる。
従って、図に示すように、陰極3のコイル31と放電容器(発光部11)の壁(内表面)との距離Lは極めて短くなってしまう。数値例をあげると、2.0mm以下であり、具体的には1.5mm以下や1.0mm以下というランプも存在している。なお、ここで定義される距離とは、コイル31と放電容器の壁との最短距離をいう。
このように電極と放電容器内面の距離が短くなることが、始動初期において、コイル後端部を起点として放電アークが形成されるとき、当該放電アークが放電容器内面に接触することを招いているといえる。
このような数値は、理屈上、放電ランプの設計仕様により異なるものであり絶対値として定義することが本来的には好ましくないが、プロジェクター装置の大きさや光源に求められる性能が業界としてある程度定められているため、このような背景を考慮すると概ね上記数値になるということである。
【0016】
図2における物理現象は以下のようであると考えられる。
すなわち、コイル31の後端部からアークeが生じると、図示のように放電容器の内面に接触、あるいは衝突することになり、これが原因となって、放電容器内面が局部的に凹むとともに、放電容器の構成材料である石英ガラス(SiO2)が蒸発する。蒸発したSiO2は、放電プラズマによりSiとOに分離して、電極先端からタングステンの酸化物WOの蒸発を招くことになる。このタングステンの酸化物が、対流によって比較的低温部である放電容器内面付近に移動すると、一部はWO2Br2などのハロゲン化合物として気体中にとどまるが、一部はタングステンやWO2などのタングステン酸化として放電容器内面に析出して、管壁黒化となるものと考えられる。
【0017】
上記現象は、コイルと放電容器内面が極めて近い放電ランプにおいて生ずるものではあるが、本発明者らは、始動初期において放電ランプに供給される電流を小さくすれば、コイル後端部から生じる放電アークが放電容器内面に接触したとしても、その影響は小さいため、このような問題には発展しないことを見出したわけである。
【0018】
具体的には、点灯始動時において、給電装置が放電ランプに供給する直流電流は、定格電流に至るまでに第一の電流供給期間と第ニの電流供給期間を有し、第一の電流供給期間は定格電流の0.3〜0.9倍であり、第二の電流供給期間は定格電流の1.0〜2.0倍となる。
さらに、第ニの電流供給期間は電力値が定格電力を超えるまで少なくとも継続されて、その後、定格電流に設定されて放電ランプも定電力制御が行なわれる。
【0019】
図3は給電装置から放電ランプに供給する直流電流波形、電力波形を示している。(a)が電流波形であり、(b)が電力波形を表し、それぞれ縦軸は電流値、電力値、横軸は時間を表している。
【0020】
(a)の電流波形を説明する。
時間t1において、放電ランプが点灯始動すると直流電流I1が放電ランプに流れる。この電流値I1は定格電流値の0.3〜0.9倍であって、この期間T1が第一の電流供給期間となる。この第一の電流供給期間T1は、放電ランプに供給される電流値を一定とする、いわゆる定電流制御がされるが、電流値を小さく設定することで、コイル後端部から不所望な放電アークが放電容器内面に接触するように発生したとしても、その影響を小さくできる。
第一の電流供給期間は、例えば1.0〜15.0秒の範囲から選ばれ、例えば10秒である。この期間は、陰極が温まることでコイル後端部から発生した放電アークが陰極先端に良好に移動できるための最適な時間であって、放電ランプやその他の点灯環境条件に応じて適宜設定される。
電流値I1は、定格電流値の0.3〜0.9倍であり、この範囲より小さいと放電を維持することができず、また、この範囲より大きいと放電容器内面への放電アークの接触が無視できなくなる。なお、電流値I1のより好ましい範囲は定格電流値の0.4〜0.8倍である。具体的には、定格電流ILが2.7Aの場合、例えば2.0Aに設定される。
【0021】
時間t2において、電流値がI1からI2に増加する。この電流値I2は定格電流ILの1.0〜2.0倍となり、この期間T2が第二の電流供給期間となる。この第ニの電流供給期間T2もまた定電流制御がされる。第一の電流供給期間T1よりも電流値を上げる理由は、電流値が低いままだと放電空間内の温度上昇速度が遅くなり、光束の立ち上りが遅くなるからである。また、ハロゲンサイクルを良好に機能させるためには、放電ランプ内の温度を最適温度にする必要があり、この点からも電流値を上げる必要がある。
特に、第一の電流供給期間で少量の電流を供給していたため、その小さい量を補償する意味において定格電流値より大きい電流値を流すことが重要となる。つまり、第一の電流供給期間はコイル後端部から発生する不所望なアーク放電の影響を抑えるために電流量を小さく設定するとともに、アーク放電が電極先端に移行した後は、放電ランプからの放射光の立ち上がりやハロゲンサイクルの最適化という観点から電流量を増加させるという内容である。
第ニの電流供給期間は、例えば2〜40秒の範囲から選ばれ、例えば20秒である。電流値I2は定格電流値ILの1.0〜2.0倍であり、この範囲より小さいと電極および電極近傍空間を十分に暖めることができず、また、この範囲より大きいと暖めすぎて電極などは変形する可能性がある。電流値I2のより好ましい範囲は定格電流値の1.3〜1.8倍である。具体的には、定格電流ILが2.7Aの場合、例えば4.0Aに設定される。
【0022】
時間t3において、定電流制御から定電力制御へと放電ランプの点灯制御を変更する。この変更により、ランプ電流は電流値I2から、より低い定格電流値ILに変化する。
ここで、「定格電流」とは、放電ランプの定常点灯時における設計の中心値を言い、放電ランプ、その包装容器や説明書などに示される数値をいう。例えば、定格電力が200Wの放電ランプでは、2.7Aとなる。
時間t4において、ランプ電流は電力制御の基準電力値と安定した放電ランプの点灯電圧で決まる値ILになる。
【0023】
なお、電流値I1からI2への変化は、図示のようにステップ的に変化する場合に限られず、多数回ステップで段階的に変化するものでもよく、また、漸次変化するものでもよい。
また、電流値I2から定格電流値ILへの変化は、図示のように漸次変化する場合に限られず、ステップ的に変化する場合や多数回ステップで段階的に変化するものでもよい。これらの制御は、定電力制御のための基準電力値を多段階に設定することで、ランプ電流を急激に変化させることなく速やかに変化できる。
【0024】
(b)は、(a)に対応してランプ点灯電力の時間変化を示すものであり、期間T1、T2では、電流値を一定とするいわゆる定電流制御をしているため、点灯電圧の上昇に伴い、点灯電力も上昇している。
水銀などを発光物質として封入する放電ランプは、通常、このような点灯初期に定電流制御を行い、その後、定電力制御に移行するという形態を採用している。その理由は、点灯初期は水銀が蒸発しておらず、点灯電圧が低いため、定電力制御をすると過大な電流が流れてしまうからである。水銀が十分に蒸発して点灯電圧が一定値に落ち着いたら定電力制御に切替えるというわけである。
【0025】
図をもとに説明を続けると、従来ならば、時間t3’において、ランプ電力が所定の定格電力値に到達するため、この時点で定電力制御に切換ることになるが、本発明は、その後も継続して定電流制御を行っている。このため電力値は時間t3’を超えて時間t3まで上昇を続けている。この制御こそが本願発明の特徴であり、第一の電流供給期間T1で電流値が低かった分を補うために、本来ならば定電力制御に切替えてもよいタイミングを延長させて、定電流制御を続けているわけである。
そして、時間t3において、定電流制御から定電力制御に切替えている。切替え直前の点灯電力W2は、切替え後の点灯電力WL(定格電力)の1.05〜1.5倍となる。
【0026】
以上の動作をまとめると、放電ランプの点灯始動時に電流値を小さくし、その後、電流値を大きくした定電流制御を行う。この定電流制御は放電ランプの点灯電圧が十分に上昇したのちも継続させて、電力値で見た場合に定格電力値を超えるまで定電流制御を継続する。その後、所定の定電流制御から定電力制御に切替えて所定の電力で点灯をする。
このような点灯始動動作により、前記課題である放電容器の黒化を抑制することが可能となる。
【0027】
ここで、放電ランプについて数値例をあげると以下のようになる。
発光部外径は、Φ8〜Φ13mmの範囲であって、例えば、10.0mm、発光部内容積は、50〜120mm3の範囲であって、例えば、65mm3、電極間距離は0.7〜2mmの範囲であって、例えば、1.0mmである。
また、放電ランプは定格200Wで点灯する。
【0028】
また、電極構造について数値例をあげると、コイル31の外径はφ1.0〜2.0mmであって、例えば1.3mmであり、長さは0.6〜2.0mmの範囲であって、例えば1.5mmである。軸部5の外径はΦ0.2〜0.6mmの範囲であって、例えば0.4mmであり、軸部5の長さは5.0〜10.0mmの範囲であって、例えば7.0mmである。
また、コイルの線径はΦ0.1〜0.3の範囲であって、例えば、0.25mmである。
【0029】
ここで、本発明の放電ランプ点灯装置は、いくつかの前提条件があり、この前提条件を満たしてこそ、発明の作用効果を発揮することができる。
第一に、本発明の放電ランプは電極間距離が2mm以下であって、発光部に0.16mg/mm3以上の水銀と、希ガスと、1×10−6〜1×10−2μmol/mm3の範囲でハロゲンを封入したショートアーク型放電ランプが前提となる。
この構成の放電ランプであるからこそ、放電容器内面から放出されたSiOが放電プラズマでSiとOに分離して、この放電空間内の酸素(O)と電極のタングステンが反応して酸化タングステンが生成されるため、電極から放電容器内面へのタングステンの輸送が過剰になるからである。ここで、酸素(O)が適量であるならばハロゲンサイクルとして機能して、放電容器内壁へのタングステン(W)の輸送を抑制する働きがあるが、本発明の放電ランプのように酸素量が多い場合には放電空間内に酸化タングステン(WOx)が多くなり、過剰な酸化タングステンが放電容器内壁まで輸送されることになるからである。
【0030】
第ニに、電極の軸部にコイルを具備した電極構造(図2に示す構造)を有する放電ランプが前提となる。この放電ランプであるからこそ、点灯始動時にコイル後端で放電起点が生じて、放電容器内面にアークが衝突、接触という問題が発生するからである。そして、この課題はコイルと放電容器内面の最短距離(図2における距離L)が小さい場合に顕著に発生する。最短距離Lが小さいからこそ、コイル後端部で生じた放電起点により放電容器内面にアークが衝突、接触するからである。具体的には、最短距離Lは2.0mm以下であって、1.5mm以下、1.0mm以下において顕著に発生する。
従って、この距離Lが大きい放電ランプにあっては、コイル後端部を起点とした放電アークが放電容器内面に衝突、接触するという現象が起こりにくいことから、本発明が対象とする技術課題が本来存在しないこととなる。
【0031】
従って、このような構成を具備していない放電ランプであって、使用用途が全く異なる放電ランプにおいては、電極にコイルを巻き付ける構造は従来から知られているかもしれない。しかし、そのような放電ランプは、もともとアークが放電容器内面に衝突、接触するという現象は生じないため、すなわち技術的課題が存在しないものであるから、このような先行技術は本発明と全く次元を異にするものといえる。
【0032】
本発明の放電ランプは、少なくとも一方の電極の先端に突起部を有することを特徴とすることが望ましい。陽極もしくは陰極の先端の突起部により、アークを絞り、始動初期の点灯からお互いの電極先端を速やかに昇温することができるので、アーク放電を速く安定させるとともに、発光部に0.16mg/mm3以上の水銀と、希ガスと、1×10−6〜1×10−2μmol/mm3の範囲でハロゲンを封入したショートアーク型の放電ランプの場合は、当該突起が自己制御的に伸縮することで電極間距離を最適値に調整することが可能となる。
そして、突起部は軸部を利用して予め形成されることで自己制御的に伸縮する方向を予め規制することができる。しかし、突起部を放電ランプの製作時においては形成することなく、いわゆるゼロの状態からランプ点灯に伴い形成することも可能である。
【0033】
電極は純度99.9999%以上のタングステンから構成することが望ましい。これは電極に含まれる不純物が放電空間に放出された場合、放電容器の失透,黒化の原因になるからである。
【0034】
以上、説明したように本発明の放電ランプ点灯装置は、石英ガラスからなる発光管に一対の電極を2mm以下の間隔で対向配置し、この発光管に0.16mg/mm3以上の水銀と、希ガスと、1×10−6〜1×10−2μmol/mm3の範囲でハロゲンを封入したショートアーク型放電ランプと、この放電ランプに点灯始動時は直流電流を供給する給電装置から構成される。そして、この放電ランプは、一対の電極のうち少なくとも一方の電極(陰極)は、1ターン以上のコイルを具備して構成される。そして、給電装置が放電ランプに対して供給する直流電流は、初めが定格電流の0.3〜1.0倍であり、その後、定格電流の1.0〜2.0倍であることを特徴とし、その後電力が、定格電力の1.05〜1.5倍となった後に所定の電力になることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放電ランプを示す。
【図2】本発明に係る放電ランプの電極の構造を示す。
【図3】本発明に係る放電ランプの電流波形、電力波形を示す。
【符号の説明】
1 放電ランプ
2 陽極
3 陰極
4 金属箔
5 外部リード
10 発光部
11 封止部
Claims (2)
- 石英ガラスからなる発光管に陽極と陰極が2mm以下の間隔で対向配置し、この発光管に0.16mg/mm3以上の水銀と、希ガスと、1×10−6〜1×10−2μmol/mm3の範囲でハロゲンを封入したショートアーク型放電ランプと、この放電ランプに直流電流を供給する給電装置からなるショートアーク型放電ランプ点灯装置において、
前記放電ランプは、陰極に少なくとも1ターン以上のコイルを有し、
前記給電装置は、前記放電ランプに対して、点灯始動時において定電流制御するとともに、その後、定電力制御するものであって、
当該定電流制御は、定格電流の0.3〜0.9倍の電流値を供給する第一の電流供給期間と、その後に定格電流の1.0〜2.0倍の電流値を供給する第ニの電流供給期間を有するものであって、
前記第二の電流供給期間は、当該放電ランプの点灯電力が、定格点灯電力の少なくとも1.05〜1.5倍となった後において、定格点灯電力値を基準とする定電力制御に切替ることを特徴とする請求項1のショートアーク型放電ランプ点灯装置。 - 前記コイルと前記発光間内表面の最短距離は2.0mm以内であることを特徴とする請求項1のショートアーク型放電ランプ点灯装置。
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