JP2004031153A - 高圧水銀ランプおよびランプユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】点灯動作圧が極めて高い高圧水銀ランプの黒化の発生を抑制すること
【解決手段】管内に少なくとも水銀6が封入された発光管1と、発光管1の気密性を保持する封止部2を一対備え、水銀6の封入量は、発光管1の容積を基準にして、230mg/cm3以上であり、さらに、発光管1を保温するため保温手段(10)を備えた、高圧水銀ランプである。
【選択図】 図6
【解決手段】管内に少なくとも水銀6が封入された発光管1と、発光管1の気密性を保持する封止部2を一対備え、水銀6の封入量は、発光管1の容積を基準にして、230mg/cm3以上であり、さらに、発光管1を保温するため保温手段(10)を備えた、高圧水銀ランプである。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧水銀ランプおよびランプユニットに関する。特に、プロジェクタなどの光源として使用される高圧水銀ランプのうち、水銀の封入量が比較的多いものに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大画面映像を実現するシステムとして、液晶プロジェクタやDMDプロジェクタなどの画像投射装置が広く使用されている。このような画像投射装置には、特開平2−148561号公報に開示されているような高圧水銀ランプが一般的に広く用いられている。
【0003】
図1は、特開平2−148561号公報に開示された高圧水銀ランプの構造を示している。図1に示したランプ1000は、石英を主成分とする発光管1と、その両側に延在する一対の側管部(封止部)2から構成されている。側管部2には、金属製の電極構造体が埋設されており、外部から発光管内に電力を供給できるようになっている。電極構造体は、タングステン(W)製の電極3、モリブデン(Mo)箔4、外部リード線5を順に電気的に接続した構成をとる。なお、電極3の先端には、コイル12が巻き付けられている。発光管1内には、発光種である水銀(Hg)、アルゴン(Ar)および少量のハロゲンガス(図示しない)が封入されている。
【0004】
ランプ1000の動作原理を簡単に説明する。一対の外部リード線5の両端に始動電圧を印可すると、Arの放電が起こり発光管1内の温度が上昇する。この温度上昇によって、Hg原子は蒸発して、発光管1内に気体として充満する。このHgは両電極3の間で、一方の電極3から放出される電子によって励起されて発光する。したがって、発光種であるHgの蒸気圧が大きいほど高輝度の光が放出されるということになる。また、Hgの蒸気が大きいほど両電極間の電位差(電圧)は大きくなるため、同じ定格電力で点灯する場合、電流を小さくすることできる。これは電極3への負担を小さくできるということであり、ランプの長寿命化につながる。このため、Hg蒸気圧を大きくするほど、輝度、寿命の特性が優れたランプにすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、物理的耐圧強度の観点から、従来の高圧水銀ランプは実用的には15〜20MPa(150〜200気圧)程度のHg蒸気圧で使用されている。特開平2−148561号公報には、Hg蒸気圧が200バールから350バール(約20MPa〜約35MPaに相当)の超高圧水銀ランプが開示されているが、信頼性や寿命等を考慮した現実的な使用においては、15〜20MPa(150〜200気圧)程度のHg蒸気圧で使用される。
【0006】
今日、耐圧強度を高める研究・開発が行われているものの、実用的な使用に耐えられるような、Hg蒸気圧が20MPaを超えた高耐圧の高圧水銀ランプはまだ報告されていないのが現状である。そのような中、本願発明者は、約30〜40MPaまたはそれ以上(約300〜400気圧またはそれ以上)の高耐圧の高圧水銀ランプを完成させることに成功し、特願2001−267487号、および、特願2001−371365号に開示した。
【0007】
この極めて高い耐圧を有する高圧水銀ランプは、従来技術では到達できていなかった水銀蒸気圧で動作させるものであるがゆえ、その特性および挙動がどのようになるか予測がつかない。本願発明者が当該高圧水銀ランプの点灯試験を行ったところ、動作圧が従来の20MPaを超えると、特におおむね30MPa以上になるとランプが黒化することがわかった。
【0008】
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、動作圧が20MPaを超える(例えば23MPa以上、特に25MPa又は30MPa以上)動作圧であっても黒化を抑制できる高圧水銀ランプを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の高圧水銀ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備え、前記封止部の少なくとも一方は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、当該一方の封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、さらに、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部には、断熱材または保温材からなる保温膜が形成されている。
【0010】
ある好適な実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上である。
【0011】
ある好適な実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、300mg/cm3以上であり、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記高圧水銀ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0012】
ある好適な実施形態において、前記保温膜は、前記発光管には形成されておらずに、前記一対の封止部のうちの少なくとも一方に形成されており、かつ、前記保温膜の前記発光管側の端面は、当該少なくとも一方の封止部と前記発光管との境界よりも1mm以上離れた位置に存在している。
【0013】
前記保温膜の前記発光管側の端面は、前記境界を基準にして10mm以内の位置に存在していることが好ましい。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記保温膜は、アルミナから構成されている。
【0015】
本発明の他の高圧放電ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備え、前記封止部の少なくとも一方は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、当該一方の封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、さらに、前記発光管の周囲には、透光性材料からなる外管が前記発光管と離間して設けられている。
【0016】
前記外管には、赤外反射膜が形成されていることが好ましい。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記発光管内には、一対の電極棒が互いに対向して配置されており、前記一対の電極棒のうちの少なくとも一方の電極棒は、金属箔に接続されており、前記金属箔は、前記封止部内に設けられており、かつ、当該金属箔の少なくとも一部は、前記第2のガラス部内に位置している。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記少なくとも一方の封止部内に埋め込まれた部分における前記電極棒の少なくとも一部には、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を少なくとも表面に有するコイルが巻かれている。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記封止部内には、前記第2のガラス部と接する金属部であって、電力を供給するための金属部が設けられており、前記圧縮応力は、前記封止部の少なくとも長手方向に印加されており、前記第1のガラス部は、SiO2を99重量%以上含み、前記第2のガラス部は、15重量%以下のAl2O3および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含む。
【0020】
本発明の別の高圧水銀ランプは、管内に少なくとも水銀が封入され、一対の電極棒が対向して配置された発光管と、前記発光管から延在する封止部を一対備え、少なくとも一方の前記封止部内に埋め込まれた部分における前記電極棒の少なくとも一部には、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を少なくとも表面に有するコイルが巻かれており、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部には、断熱材または保温材からなる保温膜が形成されている。
【0021】
本発明の更に他の高圧放電ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備え、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上であり、さらに、前記発光管を保温するため保温手段を備えている。
【0022】
ある好適な実施形態において、前記保温手段は、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部に形成され、断熱材または保温材からなる保温膜である。
【0023】
ある好適な実施形態において、前記保温手段は、前記発光管と離間して前記発光管の周囲に設けられ、透光性材料からなる外管である。
【0024】
ある好適な実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、300mg/cm3以上であり、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記高圧水銀ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0025】
ある実施形態における高圧水銀ランプは、管内に一対の電極が対向して配置された発光管と、前記発光管から延在し、前記電極の一部を内部に有する封止部とを備え、前記封止部内に位置する部分の前記電極の少なくとも一部の表面には、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成された金属膜が形成されている。
【0026】
ある実施形態において、前記電極は、前記封止部内に設けられた金属箔に溶接により接続されており、前記金属膜は、前記金属箔との接続箇所には形成されておらず、前記封止部内に埋め込まれている前記電極の表面に形成されている。前記金属膜を構成している前記金属の一部が、前記発光管内に存在してもよい。前記金属膜は、下層がAu層、上層がPt層からなる多層構造を有していることが好ましい。
【0027】
ある実施形態における高圧水銀ランプは、管内に一対の電極が対向して配置された発光管と、前記発光管から延在し、前記電極の一部を内部に有する封止部とを備え、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表面に有するコイルが、前記封止部内に位置する部分の前記電極に巻き付けられている。ある実施形態において、前記封止部内には、前記金属箔および前記電極の一部が埋め込まれており、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表面に有するコイルが、前記封止部内に埋め込まれている前記電極に巻き付けられている。前記コイルは、その表面に、下層がAu層、上層がPt層からなる多層構造の金属膜を有していることが好ましい。
【0028】
ある実施形態における高圧水銀ランプは、管内に発光物質が封入される発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部とを備え、前記封止部は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、前記封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、前記圧縮応力が印加されている部位は、前記第2のガラス部、前記第2のガラス部と前記第1ガラス部との境界部、前記第2ガラス部のうちの前記第1のガラス部側の部分、および、前記第1ガラス部のうちの前記第2のガラス部側の部分からなる群から選択される。ある実施形態において、前記第1のガラス部と前記第2のガラス部との境界周辺には、両者の圧縮応力の差によって生じた、歪み境界領域が存在している。前記封止部内には、前記第2のガラス部と接する金属部であって、電力を供給するための金属部が設けられていることが好ましい。前記圧縮応力は、前記封止部の少なくとも長手方向に印加されていればよい。
【0029】
ある実施形態において、前記第1のガラス部は、SiO2を99重量%以上含み、前記第2のガラス部は、15重量%以下のAl2O3および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含み、前記第2のガラス部の軟化点は、第1のガラス部の軟化点温度よりも低い。前記第2のガラス部は、ガラス管から形成されたガラス部であることが好ましい。また、前記第2のガラス部は、ガラス粉末を圧縮形成して焼結してなるガラス部ではないことが好ましい。ある実施形態において、前記圧縮応力が印加されている部位における前記圧縮応力は、約10kgf/cm2以上約50kgf/cm2以下である。あるいは、前記圧縮応力の差は、約10kgf/cm2以上約50kgf/cm2以下である。
【0030】
ある実施形態において、前記発光管内には、一対の電極棒が互いに対向して配置されており、前記一対の電極棒のうちの少なくとも一方の電極棒は、金属箔に接続されており、前記金属箔は、前記封止部内に設けられており、かつ、当該金属箔の少なくとも一部は、前記第2のガラス部内に位置しており、前記発光物質として、少なくとも水銀が前記発光管内に封入されており、前記水銀の封入量は、300mg/cc以上であり、前記高圧水銀ランプの平均演色評価数Raは、65を超える。前記高圧水銀ランプの色温度は、8000K以上であることが好ましい。
【0031】
本発明のランプユニットは、高圧水銀ランプと、前記高圧水銀ランプから発する光を反射する反射鏡とを備えたランプユニットであり、前記高圧水銀ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備え、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上であり、さらに、前記発光管を保温するため保温手段を備えている。
【0032】
ある好適な実施形態において、前記保温手段は、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部に形成され、断熱材または保温材からなる保温膜である。
【0033】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、出射方向に前面開口部を有する、楕円面または放物面形状の反射鏡であり、前記前面開口部には、前面ガラスが設けられており、前記反射鏡の内部は、実質的に密閉構造となっており、前記反射鏡が前記保温手段として機能する。
【0034】
ある好適な実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、300mg/cm3以上であり、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記高圧水銀ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0035】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、前記反射鏡側面に通風孔を持たない構成をしており、前記反射鏡の放射面の大きさが25cm2以下であり、前記高圧水銀ランプの定常点灯時のワット数が60W以上120W以下である。
【0036】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、前記反射鏡側面に通風孔を持たない構成をしており、前記反射鏡の放射面の大きさは40cm2以下であり、前記高圧水銀ランプの定常点灯時のワット数が121W以上200W以下である。
【0037】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、前記反射鏡側面に通風孔を持たない構成をしており、前記反射鏡の放射面の大きさが55cm2以下であり、前記高圧水銀ランプの定常点灯時のワット数が201W以上350W以下である。
【0038】
ある実施形態におけるランプユニットは、高圧水銀ランプと、前記高圧水銀ランプから発する光を反射する反射鏡とを備えたランプユニットであり、前記高圧水銀ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対有しており、前記封止部の少なくとも一方は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、当該一方の封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部には、断熱材または保温材からなる保温膜が形成されている。ある実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上である。
【0039】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態を説明する前に、点灯動作圧が約30〜40MPaまたはそれ以上(約300〜400気圧またはそれ以上)である極めて高耐圧を示す高圧水銀ランプについて説明する。なお、これらの高圧水銀ランプの詳細は、特願2001−267487号、および、特願2001−371365号に開示されている。ここでは、これらの特許出願を本願明細書に参考のため援用することとする。
【0040】
動作圧が約30MPa以上であるにもかかわらず、実用的に耐えることができる高圧水銀ランプの開発は困難を極めたが、例えば、図2に示すような構成にすることによって、極めて高耐圧のランプを完成することに成功した。なお、図2(b)は、図2(a)中のb−b線に沿った断面図である。
【0041】
図2に示した高圧水銀ランプ1100は、特願2001−371365号に開示したものであり、発光管1と、発光管1の気密性を保持する封止部2を一対備えており、封止部2の少なくとも一方は、発光管1から延在した第1のガラス部8と、第1のガラス部8の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部7とを有しており、かつ、当該一方の封止部8は、圧縮応力が印加されている部位(20)を有している。
【0042】
封止部2における第1のガラス部8は、SiO2を99重量%以上含むものであり、例えば、石英ガラスから構成されている。一方、第2のガラス部7は、15重量%以下のAl2O3および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含むものであり、例えば、バイコールガラスから構成されている。SiO2にAl2O3やBを添加すると、ガラスの軟化点は下げるため、第2のガラス部7の軟化点は、第1のガラス部8の軟化点温度よりも低い。なお、バイコールガラス(Vycor glass;商品名)とは、石英ガラスに添加物を混入させて軟化点を下げて、石英ガラスよりも加工性を向上させたガラスであり、その組成は、例えば、シリカ(SiO2)96.5重量%、アルミナ(Al2O3)0.5重量%、ホウ素(B)3重量%である。本実施形態では、バイコールガラス製のガラス管から、第2のガラス部7は形成されている。なお、バイコール製のガラス管の代わりに、SiO2:62重量%、Al2O3:13.8重量%、CuO:23.7重量%を成分とするガラス管を用いても良い。
【0043】
封止部2の一部に印加されている圧縮応力は、実質的にゼロ(すなわち、0kgf/cm2)を超えたものであればよい。この圧縮応力の存在により、従来の構造よりも耐圧強度を向上させることができる。この圧縮応力は、約10kgf/cm2以上(約9.8×105N/m2以上)であることが好ましく、そして、約50kgf/cm2以下(約4.9×106N/m2以下)であることが好ましい。10kgf/cm2未満であると、圧縮歪みが弱く、ランプの耐圧強度を十分に上げられない場合が生じ得るからである。そして、50kgf/cm2を超えるような構成にするには、それを実現させるのに、実用的なガラス材料が存在しないからである。ただし、10kgf/cm2未満であっても、実質的に0の値を超えれば、従来の構造よりも耐圧を上げることができ、また、50kgf/cm2を超えるような構成を実現できる実用的な材料が開発されたならば、50kgf/cm2を超える圧縮応力を第2のガラス部7が有していてもよい。
【0044】
放電空間内に一端が位置する電極棒3は、封止部2内に設けられた金属箔4に溶接により接続されており、金属箔4の少なくとも一部は、第2のガラス部7内に位置している。図2に示した構成では、電極棒3と金属箔4との接続部を含む箇所を、第2のガラス部7が覆うような構成にしている。図2に示した構成における第2のガラス部7の寸法を例示すると、封止部2の長手方向の長さで、約2〜20mm(例えば、3mm、5mm、7mm)であり、第1のガラス部8と金属箔4との間に挟まっている第2のガラス部7の厚さは、約0.01〜2mm(例えば、0.1mm)である。第2のガラス部7の発光管1側の端面から、発光管1の放電空間までの距離Hは、例えば、0mm〜約3mmであり、そして、金属箔4の発光管1側の端面から、発光管1の放電空間までの距離B(言い換えると、電極棒3だけで封止部3内に埋まっている長さ)は、例えば、約3mmである。
【0045】
図2に示したランプ1100は、図3に示すように、改変することも可能である。図3に示した高圧水銀ランプ1200は、封止部2内に位置する部分の電極3に、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表面に有するコイル40が巻き付けられた構造を有している。ここで、コイル40は、典型的には、その表面に、下層がAu層、上層がPt層からなる多層構造の金属膜を有している。なお、大量生産する場合に若干製造プロセス上のデメリットがあるが、図4に示した高圧水銀ランプ1300のように、封止部2内に位置する部分の電極3の少なくとも一部の表面に、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成された金属膜30を、コイル40に代えて形成してもよい。図2から図4に示した構成と比較すると、耐圧が低下するものの、図5(a)および(b)に示すように、第2のガラス部7を用いずに、コイル40や金属膜30を用いた構成を有する高圧水銀ランプ1400、1500でも、実用的に使用可能なレベルで、30MPa以上の動作圧を実現することができる。
【0046】
図2に示したような、点灯中のHg蒸気圧が30MPa(300気圧)を越えるランプを試作し、本願発明者が点灯試験を行ったところ、動作圧がおおむね30MPa以上になるとランプが黒化することがわかった。黒化は、点灯中にW電極3の温度が上昇し、W電極から蒸発したW(タングステン)が発光管の内壁に付着して起こる現象であり、このまま点灯を続けると破裂にいたる。
【0047】
ここで、従来の15〜20MPa(150〜200気圧)程度での点灯であれば、発光管内に封入したハロゲンガスが、発光管内壁に付着したタングステンと反応して、ハロゲン化タングステンとなる。ハロゲン化タングステンは発光管内を浮遊して、温度の高いW電極の先端7に達すると、もとのハロゲンとタングステンに解離するため、タングステンは電極の先端7に戻ることになる。これをハロゲンサイクルというが、従来ランプのHg蒸気圧では、このサイクルのためにランプは黒化することなく、点灯することが可能であった。しかしながら、30MPa(300気圧)以上にすると、このサイクルがうまく機能しないことが本願発明者の実験によりわかった。なお、30MPa以上の場合に黒化が顕著になるとしても、現実の使用としての信頼度を高めるためには、30MPa以上に限らず、20MPaを超えるレベル(例えば、23MPa以上のレベル、または25MPa以上のレベル)で、黒化の問題に対策を講じる必要がでてくる。
【0048】
本願発明者は、発光管1の温度を制御することにより、その黒化の問題を解決できることを突き止め、本発明を完成させるに至った。以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図6は、水銀6の封入量が230mg/cm3以上である本実施形態の高圧水銀ランプ100を示している。本実施形態のランプ100は、発光管1を保温するため保温手段10を備えており、図6に示した例では、発光管1および一対の封止部2のうちの少なくとも一部に、断熱材または保温材からなる保温膜が保温手段10として形成されている。高圧水銀ランプ100の基本的な構成は、典型的には、図2から図5(a)および(b)に示した高圧水銀ランプ1100〜1500と同様の構成である。つまり、それらのランプに、保温膜10が形成されたものである。
【0049】
図6に示した高圧水銀ランプ100は、管内に少なくとも水銀6が封入された発光管1と、発光管1の気密性を保持する封止部2を一対備えている。水銀6の封入量は、発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上(例えば、250mg/cm3以上、または300mg/cm3以上。場合によっては、350mg/cm3を超えるものや、350〜400mg/cm3またはそれ以上である。)である。
【0050】
発光管1内には、一対の電極(または電極棒)3が互いに対向して配置されており、電極3は、金属箔4に溶接にて接続されている。金属箔4は、典型的にはモリブデン箔であり、封止部2内に設けられている。高圧水銀ランプ100が図2に示したランプ1100の場合には、金属箔4の少なくとも一部は、第2のガラス部7内に位置することになる。
【0051】
発光管1の温度を制御する保温手段としての保温膜10は、例えば、アルミナから構成されている。保温膜10の厚さは、例えば、約0.001mm〜20mmである。本実施形態では、保温膜10は、発光管1には形成されておらずに、封止部2と発光管1との境界21よりも、外部リード5側に位置する部分の封止部2に形成されている。保温膜10の発光管1側の端面10aは、封止部2と発光管1との境界21よりも例えば1mm以上離れた位置に存在している。また、保温膜10の端面10aは、境界21を基準にして10mm以内の位置に存在している。言い換えると、保温膜10の端面10aと境界21との距離Lは、1mm以上10mm以内である(好ましくは、距離Lは、5mm±2mmである)。そのようにした理由は、保温膜10が発光管1を覆うように形成した場合や、距離Lを0mmにした場合には、保温膜10によって、発光管1を加熱しすぎてしまい、発光管1が膨張・破裂する可能性が高くなるからである。一方、距離Lを10mmを超えるようにすると、例えば距離Lを20mmにすると、保温膜10による発光管1の温度調整機能の能力が低下してしまうからである。
【0052】
ランプ100の構成をより詳細に説明すると次の通りである。ランプ100は、石英を主成分とする発光管1と、その両側に延在する一対の封止部(側管部)2から構成されており、封止部2を2つ備えたダブルエンド型のランプである。発光管1は略球形をしており、外径が例えば5mm〜20mm程度であり、内径は例えば2〜15mm程度であり、ガラス厚は例えば1mm〜5mm程度である。また、発光管1内の放電空間の容積は例えば0.01cc〜1cc(0.01cm3〜1cm3)程度である。本実施形態では、外径10mm程度、ガラス厚3mm程度、放電空間の容積0.06cc程度の発光管1を用いている。
【0053】
発光管1内には、一対の電極棒3が互いに対向して設置されている。電極棒3の先端は、0.2〜5mm程度の間隔(アーク長)で、発光管内に設置されている。本実施形態では、アーク長を0.5〜1.8mmとした。なお、本実施形態のランプは、交流点灯させるものである。そして、封止部2は、シュリンク手法によって作製されたシュリンク構造を有するものである。また、発光管1内には、発光種である水銀6が300mg/cc以上封入されている。本実施形態では、400mg/cc封入している。また、5〜40kPaの希ガス(例えばAr)と、必要に応じて、少量のハロゲンが封入されている。本実施形態では、20kPaのArを封入し、ハロゲンをCH2Br2の形態で発光管内に導入している。CH2Br2の封入量は、0.0017〜0.17mg/cc程度であり、これは、ランプ動作時のハロゲン原子密度に換算すると、0.01〜1μmol/cc程度に相当する。なお、本実施形態では、約0.1μmol/cc程度であった。また、点灯中に発光管内壁にかかる管壁負荷は、例えば80W/cm2以上である。本実施形態では、120Wで点灯し、その管壁負荷は150W/cm2程度であった。
【0054】
本願発明者が試作したランプ100の構成の一例を例示的に示すと、発光管1の外径10mm、内径4mm、ガラス厚3mm、内容積0.06ccである。そして、封入水銀量24mg(=400mg/cc=点灯動作時圧力40MPa)であり、電極間距離が0.5mm〜1.8mm、ハロゲンとしてCH2Br2で0.017mg/cc、ハロゲン原子密度0.1μmol/cc、希ガスとしてアルゴンを20kPa(室温)が封入されている。ここで、保温材10の厚みは1mmであり、距離Lは5mmである。なお、封止部2の長さは約25mmである。
【0055】
ランプ100と比較するために、比較例のランプとして、図6のランプと同様のランプで保温材10が形成されていないもので、かつ水銀量を変化させたランプを用意した。
具体的には、図3のランプ1200で、水銀量12mg(動作圧20MPa)、15mg(動作圧25MPa)、18mg(動作圧30MPa)、21mg(動作圧35MPa)、24mg(動作圧40MPa)のランプを比較例として用意した。
【0056】
これらのランプを水平点灯で定格120Wで1時間点灯、15分消灯を繰り返しながら、5時間点灯した。その結果、比較例のランプのうち、動作圧が30MPa以上のランプはすべて発光管上部に黒化が観測され、動作圧が高いものほど黒化が顕著に表れた。また、比較例のランプのうち動作圧が25MPa以下のランプにおいては、黒化は発生しなかった。この事実より、動作圧が30MPa以上の高圧水銀ランプには黒化が生じることがわかった。
【0057】
これに対し、比較例のランプと同様の点灯方法で、保温膜10を有する本実施形態のランプ100を点灯したところ、驚くべきことに、動作圧が40MPaであるにもかかわらず黒化は発生しなかった。そこで、本実施形態のランプ100の水銀量を、18mg(動作圧30MPa)、21mg(動作圧35MPa)、27mg(動作圧45MPa)、30mg(動作圧50MPa)と変化させてみたが、どのランプにも黒化が観測されなかった。
【0058】
つまり、保温膜10のない比較例のランプにおいては、水銀動作圧が30MPa以上になると、発光管上部の黒化が発生していたのに対し、本実施形態のランプ100の構成のように、保温膜10を設けると、黒化を抑制することができた。
【0059】
30MPa以上の点灯動作圧で、ランプが黒化してしまうことは、本願発明者が初めて見出したことである。これは、実用的なレベルで使用可能な、点灯動作圧が30MPa以上のランプが従来存在しなかったことに専ら起因している。
【0060】
点灯動作圧が30MPa以上のランプが黒化してしまう明確な理由は現時点では明らかでない。その明確な理由が分からなかったため、実際、本願発明者は黒化を防止するために様々な対策および工夫を試してみた。例えば、点灯動作圧が30MPa以上のランプは、15MPa〜20MPaのランプと比較すると、ランプ(特に、発光管)の温度が一層高くなることが確認されたので、この発光管の温度の上昇が黒化の原因ではないかと思い、ランプ点灯時に発光管を冷却させて発光管の温度を下げるようにしてみたものの、それによっては、黒化を防止することはできなかった。他にも色々試みてみたが、うまく黒化を防止することはできなかった。実験の中で、発光管を逆に保温してみたらどうかというアイデアに基づいて、発光管の温度が下がらないように保温膜により保温してみたら、なんと黒化を防止することに成功した。この成功例から推論すると、次のような理由により黒化が防止されているのではないかと思われる。
【0061】
いわゆる超高圧水銀ランプの場合、アークの熱放射および電極自身の発熱によって、電極材料のタングステンは蒸発する。蒸発したタングステンは管内で起こっている対流によって管壁まで運ばれ、管壁で急激に冷やされ、そこに付着する。次に、この付着したタングステンは発光管1内に封入されているハロゲンと反応し、ハロゲン化タングステンの形で管壁から蒸発し、最終的に電極に戻される。これをハロゲンサイクルという。
【0062】
動作圧が比較的低いランプの場合は、タングステンの蒸発量が比較的少ないため、蒸発量とハロゲンと反応し蒸発する量とのバランスがうまくとれていた。これに対し、動作圧が高くなる(封入水銀量を増加させる)と、アーク中の水銀原子が増加し、電極から放出された電子は、水銀原子の増加に伴い電子の移動度が減少し、アークが細くなる、その結果、同じ電力を与えた場合、アーク単位体積あたりのエネルギーが上昇し、アーク温度の上昇が起こる。このアーク温度上昇のため、電極の温度が上昇し、その結果、電極材料であるタングステンの蒸発が活発となる。ここで、ハロゲン化タングステンの蒸発量は変わらないので、管壁にタングステンが付着しつづけ、その結果、黒化となる。そこで、何とかして、ハロゲン化タングステンの蒸発量を増加させれば、黒化を防止できるであろうという推論が働く。
【0063】
蒸発量を増加させるためには、管壁の温度を上昇させることが適切である。ここで、ポイントとなるのは、発光管1の温度ムラを少なくすることであろう。温度ムラが大きいとハロゲンサイクルはうまく働かなくなり、発光管1内のどこかの箇所で黒化が生じてしてしまうと思われるからである。この内容について以下にさらに詳述する。
【0064】
発光管1の温度は、アークから発せられる熱が発光管内のガスおよび電極を伝わるものと、アークからの赤外放射を発光管材料である石英が吸収し発熱するものと2種類がある。図7に示すように、発光管1内の水銀量を増加させることによって、発光スペクトルが変化し、赤外域の発光が増加する。
【0065】
この赤外域放射の増加によって、発光管1の温度が上昇するのであるが、このとき、図8に示すように、アークからの放射は、発光管1のTOP部とBOTTOM部には、発光(赤外域)が直接到達し、発光管温度を上昇させる一方で、SIDE部は電極の影になって発光が直接届かない。そのため、SIDE部温度とTOPまたはBOTTOM部温度の温度差が拡大する。実際、発光管1の各部の温度を測定した結果を、下記の表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1から分かるように、比較例1のランプ(動作圧40MPa)の温度を、比較例2のランプ(動作圧20MPa)の温度と比べると、赤外域が到達するTOP部とBOTTOM部は温度が60〜70℃上昇しているが、赤外域が到達しないSIDE部は温度上昇していない。そのため、発光管の最高温度と最低温度の差は、比較例2のランプ(動作圧20MPa)では、860−700=160℃であるのに対し、比較例1のランプ(動作圧40MPa)では、920−700=220℃と温度差が拡大している。このため、発光管内に封入されたハロゲンが引き起こすハロゲンサイクルがうまく働かなくなり、黒化が発生したものと思われる。
【0068】
これに対し、本実施形態のランプ100は、保温膜10を形成しているので、SIDE部の温度が、比較例1のランプ(動作圧40MPa)比較して、上昇している。このため、発光管の温度差は、930−820=110℃となり、ランプ100の温度差は、比較例1のランプ(動作圧40MPa)の温度差よりも小さくなっている。
【0069】
このように、本実施形態のランプ100によれば、発光管1および封止部2のうちの少なくとも一部に(距離Lが10mm以内の封止部2の部位に、特に、距離Lが0mmを超える部位に)、保温膜10が形成されているので、発光管1の温度ムラを小さくすることができ、その結果、黒化を抑制することができる。なお、従来の超高圧水銀ランプにおける水銀量の領域(動作圧20MPa)では、赤外域の放射が少なく、このような、黒化を引き起こす原因となる発光管の温度ムラにまで達しないので、従来の超高圧水銀ランプの知見に基づいて、本発明の実施形態のランプ100に想到することはたとえ当業者であっても困難である。つまり、動作圧30MPa以上といった非常に高い圧力にしたときに初めて観測される黒化の課題に対し、黒化の原因が非常に大きな発光管の温度ムラによるものであることを発見し、その解決方法を見出したからこそ、ランプ100を完成させるに至ったものであるからである。
【0070】
なお、このような温度ムラが大きくなるのは動作圧30MPa以上であることを本願発明者は実験的に確認しているが、30MPa以下のランプであっても20MPaを超えるもの(すなわち、従来の15MPa〜20MPaのランプを超える点灯動作圧を有するランプ。例えば、23MPa以上または25MPa以上のランプ)について、黒化が発生しないことを、より長い時間にわたって保証するには、保温膜10を形成して、発光管1の温度ムラを無くして、それにより、黒化の発生を未然に抑制するようにすることが現実には望ましい。つまり、ランプを大量生産する場合には、ランプの特性にどうしてもばらつきが生じ得るため、点灯動作圧が23MPa程度のランプであっても、黒化が生じるランプが1本や数本発生しないとも限らず、それゆえ、確実に黒化発生防止を担保するためには、従来の15MPa〜20MPaを超えるランプについて、保温膜(保温手段)10を設けておくことが好ましい。もちろん、点灯動作圧がより高くなるにつれ、言い換えると、30MPaよりも40MPaの方が、赤外放射は大きくなるため発光管1の温度ムラは大きくなり、黒化の影響は大きくなるので、保温膜(保温手段)10による黒化抑制の技術的意義が大きくなることは言うまでもない。
【0071】
なお、本実施形態では、高圧水銀ランプに保温膜10を形成したが、保温膜10を構成する材料は、保温する機能を果たす材料であればその種類は問わない。保温膜10の材料としては、例えば、アルミナの他、ジルコニアを挙げることができる。また、膜状に限らず、保温効果を発揮できる形態であれば良い。また、上述したように、保温膜10の発光管側端部と境界部21との最短距離Lは、10mm以下の位置に配置することが好ましい。10mmを超えると保温の効果が低くなるためである。さらに、保温膜10の厚みは、例えば、約0.001〜20mmにすることができるが、厚いほうが保温効果が高くなるので好適である。図8に示した放射が到達しない部分に、保温膜10の取り付け位置や、大きさを適宜選択しながら選択的に形成すれば、保温膜10が放射光を遮らないようにすることができるので好適である。発光管1内から反射して放射される光も遮らないように配慮して、封止部2のみに保温膜10を形成するのがさらに好ましい。ただし、これらは、ランプの設計寸法、保温膜10の材料、保温膜10の大きさなどによって、保温効果が異なるために、発光管1の温度ムラが小さくなるように設計されるべきである。
【0072】
さらに加えて、発光管1を垂直点灯した場合は、発光管1のTOP部はそれほど温度上昇せず、SIDE部も赤外放射によって適度な温度に保たれる。そこで、図9に示すように少なくともランプの下部を保温するように下側だけ保温すれば良い。図9に示した例では、下方に位置する封止部2のみに、保温膜10を形成すればよい。なお、上記実施形態1の構成でも、保温膜10の無い構成と比較して黒化抑制の効果を得ることができるのであれば、場合によっては、一方の封止部2のみに保温膜10を形成してよい。また、一方の封止部2に保温膜10を形成して、他方の封止部2に、電熱線等の加熱手段を配置して、発光管1の温度ムラを解消するようにしてもよい。
(実施の形態2)
次に、図10を参照しながら、本発明の実施形態2を説明する。本実施形態の構成は、上記実施形態1の保温膜10に代えて、保温手段として、透光性材料からなる外管が発光管1の周囲に配置されたものである。他の構成は、上記実施形態1の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
図10に示した本実施形態の高圧水銀ランプ200は、水銀封入量が230mg/cm3以上のランプ(例えば図2〜図5に示したランプ)のに発光管1の周囲に、透光性材料からなる外管10が発光管1と離間するように設けられた構成を有している。
【0074】
本実施形態の外管11は、透光性のガラスを主成分としている。外管10の外径は、発光管1の外径の約1.1〜2倍程度であり、肉厚は約0.3〜10mm程度であり、そして、外管10と発光管1とは接触しないように設置してある。外管11には、赤外反射膜が形成されていることが好ましい。図10に示した例では、発光管1の外径が10mmの場合に、外管10の外径が15mmでり、肉厚が1mmであり、そして、外管10には赤外反射膜が形成されている。
【0075】
本実施形態のランプ200によると、発光管1の周囲に外管10が設けられているので、黒化を引き起こす原因となる発光管1の温度ムラを解消することができ、その結果、黒化の発生を防止することができる。つまり、外管1および外管1に形成されている赤外反射膜の保温効果により、発光管1の温度ムラが少なくなり、ハロゲンサイクルがうまく作用させて、黒化の発生を防止することができる。このとき、外管1の構成材料として光透過率が高いものを選択すれば、放射ロスを少なくすることができる。
【0076】
なお、本実施形態のランプ200では、外管10に赤外反射膜が形成された例を示したが、赤外反射膜がなくとも保温の効果は十分である。また、上記実施形態1のランプ100のように、封止部2に保温膜10を形成したものと、外管10と組み合わせても良い。
(実施の形態3)
次に、図6を参照しながら、本発明の実施形態3を説明する。図6は、本発明の実施形態にかかる反射鏡付きランプ(または、ランプユニット)300の構成を模式的に示している。反射鏡付きランプ300は、水銀封入量が230mg/cm3以上のランプ100’(例えば図2〜図5に示したランプ1100〜1500)を反射鏡500に組み込んだものである。つまり、ランプ100’は、保温膜10が形成されていない点が上記実施形態1のランプ100と異なる。反射鏡500は、発光管1の保温手段として機能し、これにより、発光管1の温度ムラをなくして、ハロゲンサイクルがうまく作用させて、黒化の発生を防止することができる。本実施形態の反射鏡50は、楕円面または放物面形状を有しており、そして、出射方向には前面開口部が存在している。この前面開口部には、前面ガラス510が設けられており、反射鏡500の内部は、実質的に密閉構造となっている。
【0077】
図11に示した例では、反射鏡500は、放物面鏡であり、その放射面(図中の斜線部)の面積は25cm2である。なお、反射鏡500は、楕円面鏡であってもよい。ここで、放射面の面積とは、矢印550の方向から見た反射面の面積である。本実施形態の反射鏡500を矢印550から見た外形は、正方形であり、その大きさは、5cm×5cmである。なお、正方形に限らず、円形であってもよい。
【0078】
反射鏡500の前面には、前面ガラス603が貼られており、そして、反射鏡500は、ランプ点灯中に反射鏡外から風が入ってこないように、通風孔が設けられていない密閉型である。また、高圧水銀ランプ100’は、反射鏡50の根元にセメントで固定されており、引き出し線511を通して、ランプに通電できるようになっている。
【0079】
図11に示したランプ(水銀封入量400mg/cm3)を、定格120Wで点灯したところ、黒化は観測されなかった。これは、密閉型の反射鏡500に組み込むことによって、ランプ100’が保温され、発光管1の温度ムラが少なくなるためと考えられる。本実施形態では、反射鏡外からの風によって実質的にランプが冷却されないように、前面ガラスを具備している構造、反射鏡に通風孔を設けない構造にしていることによって、保温効果を高めている。
【0080】
なお、密閉型といっても、実際には、リード線取出しなどの諸事情で反射鏡500に微細な穴をあける必要がある。ここでは、穴の面積が合計1cm2以下であれば、実質的に冷却効果はなく、そのような穴の存在は許容され、反射鏡500の内部は、実質的に密閉であるとみなせる。
【0081】
また、保温効果は、発熱体であるランプの定格電力(W)と保温体である反射鏡の大きさ(放射面積)の相関関係で決定される。つまり、発熱が小さいランプには、ランプと反射鏡の距離が近くなり、保温効果の大きくなる小さな反射鏡との組み合わせが好ましい。反射鏡の大きさを放射面の面積で表すと、次のような関係がある。安定点灯時のランプ定格電力が、60〜120W程度である場合、反射鏡の放射面積が25cm2以下であることが好ましいし、121〜200W程度のランプの場合、反射鏡の放射面積が40cm2以下であることが好ましいし、201〜350W程度のランプの場合、反射鏡の放射面積が55cm2以下であることが好ましい。
【0082】
なお、本実施形態の構成と、上記実施形態1および/または実施形態2の構成とを組み合わせることも可能である。すなわち、ランプ100’の封止部2に保温膜10を形成してもよいし、外管50を配置してもよい。また、高圧水銀ランプの黒化は、点灯動作圧が15MPa〜20MPaの従来のランプを超える点灯動作圧を有するランプであれば回避しなければならない問題であるので、ランプ200は、図2〜図5に示したランプ1100〜1500に限らず、他の優れた高耐圧特性を有する、20MPaを超えるランプ(例えば、23MPa以上、特に30MPa以上のランプ)であってもよい。本発明の実施形態によれば、ランプの温度ムラをコントロールすることにより黒化を抑制することができる。ただし、保温は、過度に行うと発光管のふくれ、もしくは失透の原因となることも有るので、適切な範囲内に設定されることが好ましい。
【0083】
上記実施形態1から3における黒化は、ハロゲン密度と発光管温度との関係も影響するので、例えば封入するハロゲンとしてCH2Br2を選択した場合、発光管内容積あたり0.0017〜0.17mg/cc程度封入することが好ましい。ハロゲン原子密度に換算して示すと、0.01〜1μmol/cc程度にすることが好ましい。なぜならば、0.01μmol/cc未満であれば、大部分のハロゲンがランプ中の不純物と反応してしまう結果、ハロゲンサイクルを実質作用させないためである。また、1μmol/ccを超えると、始動時に必要なパルス電圧が高くなり実用的ではなくなるからである。ただし、高圧を印加できる点灯回路を用いる場合は、この制限は適用されない。0.1〜0.2μmol/ccであれば、製造時の諸事情による封入量バラツキが多少発生した場合でも、ハロゲンサイクルがうまく機能する範囲に収めることができるので、さらに好ましい。
【0084】
なお、上記実施形態1から3のランプにおいて、管壁負荷が80W/cm2以上となると、発光管の管壁温度が十分に上昇し、封入している水銀がすべて蒸発するため、発光管内容積あたりの水銀量:400mg/cc=点灯時動作圧:40MPaとなる近似式が成り立つ。ここで、水銀量が300mg/ccであれば、点灯時動作圧は30MPaとなる。逆に、管壁負荷が80W/cm2未満になると、発光管温度が水銀を蒸発させる温度まで上昇させることができないことが生じるため、近似式が成り立たないことが起こる。80W/cm2未満の場合には、所望の動作圧力が得られないことが多く、また、特に赤領域の発光が少なくなりプロジェクタ用の光源としては適さないことが多い。
【0085】
上述した実施形態の高圧水銀ランプないしランプユニット(反射鏡付きランプ)と、画像素子(DMD(Digital Micromirro Device)パネルや液晶パネルなど)を含む光学系とを組み合わせて、画像投影装置を構成することができる。例えば、DMDを用いたプロジェクタ(デジタルライトプロセッシング(DLP)プロジェクタ)や、液晶プロジェクタ(LCOS(Liquid Crystal on Silicon)構造を採用した反射型のプロジェクタも含む。)を提供することができる。さらに、本実施形態のランプは、画像投影装置用の光源として好適に使用することができるだけでなく、他の用途にも使用可能である。例えば、紫外線ステッパ用光源、または、競技スタジアム用光源や、自動車のヘッドライト用光源、道路標識を照らす投光器などとしても使用することが可能である。
【0086】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0087】
なお、本発明の実施形態のランプとはその構成は異なるものの、保温膜が塗布されたメタルハライドランプが、特開平7−230791号公報に開示されている。同公報に開示されたランプでは、メタルハライドランプの発光管の端部に、保温膜を塗布することにより、発光管の最冷部の温度を調節し、メタルハライドが十分に蒸発して、発光が改善されるという効果を得るものである。同公報に開示されたランプと、本発明の実施形態にかかるランプとでは、ランプの種類が異なるとともに、その目的および効果も相違する。本実施形態の高圧水銀ランプは、発光管の温度ムラをコントロールすることにより黒化を抑制するものであり、そのような内容は特開平7−230791号公報に記載も示唆もされていない。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、点灯動作圧が20MPaを超える高圧水銀ランプ(例えば23MPa以上、特に25MPa又は30MPa以上)であっても、黒化の発生を抑制して点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の高圧水銀ランプ1000の構成を示す模式図である。
【図2】(a)および(b)は、高圧水銀ランプ1100の構成を示す模式図である。
【図3】高圧水銀ランプ1200の構成を示す模式図である。
【図4】高圧水銀ランプ1300の構成を示す模式図である。
【図5】(a)は、高圧水銀ランプ1400の構成を示す模式図であり、(b)は、高圧水銀ランプ1500の構成を示す模式図である。
【図6】(a)は、本発明の実施形態にかかる高圧水銀ランプ100の構成を示す模式図である。
【図7】点灯動作圧が20MPaおよび40MPaのランプの分光スペクトルを示すグラフである。
【図8】点灯中の発光管の温度分布を説明するためのランプの模式図である。
【図9】垂直点灯させる場合における高圧水銀ランプ100の改変例である。
【図10】本発明の実施形態2にかかる高圧水銀ランプ200の構成を示す模式図である。
【図11】本発明の実施形態3にかかる反射鏡付きランプ300の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 発光管
2 封止部(側管部)
3 電極(電極棒)
4 金属箔
5 外部リード線
6 発光種(水銀)
7 第2のガラス部
8 第1のガラス部
10 保温膜(保温手段)
11 外管
12 コイル(電極先端)
20 圧縮応力が印加されている部位(残存歪み部ないし歪み境界部)
22 電源ユニット
30 金属層(金属メッキ)
40 コイル
100、200 高圧水銀ランプ
300 反射鏡付きランプ(ランプユニット)
500 ミラー
510 前面ガラス
1000 高圧水銀ランプ
1100、1200、1300、1400、1500 高圧水銀ランプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧水銀ランプおよびランプユニットに関する。特に、プロジェクタなどの光源として使用される高圧水銀ランプのうち、水銀の封入量が比較的多いものに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大画面映像を実現するシステムとして、液晶プロジェクタやDMDプロジェクタなどの画像投射装置が広く使用されている。このような画像投射装置には、特開平2−148561号公報に開示されているような高圧水銀ランプが一般的に広く用いられている。
【0003】
図1は、特開平2−148561号公報に開示された高圧水銀ランプの構造を示している。図1に示したランプ1000は、石英を主成分とする発光管1と、その両側に延在する一対の側管部(封止部)2から構成されている。側管部2には、金属製の電極構造体が埋設されており、外部から発光管内に電力を供給できるようになっている。電極構造体は、タングステン(W)製の電極3、モリブデン(Mo)箔4、外部リード線5を順に電気的に接続した構成をとる。なお、電極3の先端には、コイル12が巻き付けられている。発光管1内には、発光種である水銀(Hg)、アルゴン(Ar)および少量のハロゲンガス(図示しない)が封入されている。
【0004】
ランプ1000の動作原理を簡単に説明する。一対の外部リード線5の両端に始動電圧を印可すると、Arの放電が起こり発光管1内の温度が上昇する。この温度上昇によって、Hg原子は蒸発して、発光管1内に気体として充満する。このHgは両電極3の間で、一方の電極3から放出される電子によって励起されて発光する。したがって、発光種であるHgの蒸気圧が大きいほど高輝度の光が放出されるということになる。また、Hgの蒸気が大きいほど両電極間の電位差(電圧)は大きくなるため、同じ定格電力で点灯する場合、電流を小さくすることできる。これは電極3への負担を小さくできるということであり、ランプの長寿命化につながる。このため、Hg蒸気圧を大きくするほど、輝度、寿命の特性が優れたランプにすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、物理的耐圧強度の観点から、従来の高圧水銀ランプは実用的には15〜20MPa(150〜200気圧)程度のHg蒸気圧で使用されている。特開平2−148561号公報には、Hg蒸気圧が200バールから350バール(約20MPa〜約35MPaに相当)の超高圧水銀ランプが開示されているが、信頼性や寿命等を考慮した現実的な使用においては、15〜20MPa(150〜200気圧)程度のHg蒸気圧で使用される。
【0006】
今日、耐圧強度を高める研究・開発が行われているものの、実用的な使用に耐えられるような、Hg蒸気圧が20MPaを超えた高耐圧の高圧水銀ランプはまだ報告されていないのが現状である。そのような中、本願発明者は、約30〜40MPaまたはそれ以上(約300〜400気圧またはそれ以上)の高耐圧の高圧水銀ランプを完成させることに成功し、特願2001−267487号、および、特願2001−371365号に開示した。
【0007】
この極めて高い耐圧を有する高圧水銀ランプは、従来技術では到達できていなかった水銀蒸気圧で動作させるものであるがゆえ、その特性および挙動がどのようになるか予測がつかない。本願発明者が当該高圧水銀ランプの点灯試験を行ったところ、動作圧が従来の20MPaを超えると、特におおむね30MPa以上になるとランプが黒化することがわかった。
【0008】
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、動作圧が20MPaを超える(例えば23MPa以上、特に25MPa又は30MPa以上)動作圧であっても黒化を抑制できる高圧水銀ランプを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の高圧水銀ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備え、前記封止部の少なくとも一方は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、当該一方の封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、さらに、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部には、断熱材または保温材からなる保温膜が形成されている。
【0010】
ある好適な実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上である。
【0011】
ある好適な実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、300mg/cm3以上であり、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記高圧水銀ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0012】
ある好適な実施形態において、前記保温膜は、前記発光管には形成されておらずに、前記一対の封止部のうちの少なくとも一方に形成されており、かつ、前記保温膜の前記発光管側の端面は、当該少なくとも一方の封止部と前記発光管との境界よりも1mm以上離れた位置に存在している。
【0013】
前記保温膜の前記発光管側の端面は、前記境界を基準にして10mm以内の位置に存在していることが好ましい。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記保温膜は、アルミナから構成されている。
【0015】
本発明の他の高圧放電ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備え、前記封止部の少なくとも一方は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、当該一方の封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、さらに、前記発光管の周囲には、透光性材料からなる外管が前記発光管と離間して設けられている。
【0016】
前記外管には、赤外反射膜が形成されていることが好ましい。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記発光管内には、一対の電極棒が互いに対向して配置されており、前記一対の電極棒のうちの少なくとも一方の電極棒は、金属箔に接続されており、前記金属箔は、前記封止部内に設けられており、かつ、当該金属箔の少なくとも一部は、前記第2のガラス部内に位置している。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記少なくとも一方の封止部内に埋め込まれた部分における前記電極棒の少なくとも一部には、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を少なくとも表面に有するコイルが巻かれている。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記封止部内には、前記第2のガラス部と接する金属部であって、電力を供給するための金属部が設けられており、前記圧縮応力は、前記封止部の少なくとも長手方向に印加されており、前記第1のガラス部は、SiO2を99重量%以上含み、前記第2のガラス部は、15重量%以下のAl2O3および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含む。
【0020】
本発明の別の高圧水銀ランプは、管内に少なくとも水銀が封入され、一対の電極棒が対向して配置された発光管と、前記発光管から延在する封止部を一対備え、少なくとも一方の前記封止部内に埋め込まれた部分における前記電極棒の少なくとも一部には、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を少なくとも表面に有するコイルが巻かれており、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部には、断熱材または保温材からなる保温膜が形成されている。
【0021】
本発明の更に他の高圧放電ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備え、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上であり、さらに、前記発光管を保温するため保温手段を備えている。
【0022】
ある好適な実施形態において、前記保温手段は、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部に形成され、断熱材または保温材からなる保温膜である。
【0023】
ある好適な実施形態において、前記保温手段は、前記発光管と離間して前記発光管の周囲に設けられ、透光性材料からなる外管である。
【0024】
ある好適な実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、300mg/cm3以上であり、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記高圧水銀ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0025】
ある実施形態における高圧水銀ランプは、管内に一対の電極が対向して配置された発光管と、前記発光管から延在し、前記電極の一部を内部に有する封止部とを備え、前記封止部内に位置する部分の前記電極の少なくとも一部の表面には、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成された金属膜が形成されている。
【0026】
ある実施形態において、前記電極は、前記封止部内に設けられた金属箔に溶接により接続されており、前記金属膜は、前記金属箔との接続箇所には形成されておらず、前記封止部内に埋め込まれている前記電極の表面に形成されている。前記金属膜を構成している前記金属の一部が、前記発光管内に存在してもよい。前記金属膜は、下層がAu層、上層がPt層からなる多層構造を有していることが好ましい。
【0027】
ある実施形態における高圧水銀ランプは、管内に一対の電極が対向して配置された発光管と、前記発光管から延在し、前記電極の一部を内部に有する封止部とを備え、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表面に有するコイルが、前記封止部内に位置する部分の前記電極に巻き付けられている。ある実施形態において、前記封止部内には、前記金属箔および前記電極の一部が埋め込まれており、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表面に有するコイルが、前記封止部内に埋め込まれている前記電極に巻き付けられている。前記コイルは、その表面に、下層がAu層、上層がPt層からなる多層構造の金属膜を有していることが好ましい。
【0028】
ある実施形態における高圧水銀ランプは、管内に発光物質が封入される発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部とを備え、前記封止部は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、前記封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、前記圧縮応力が印加されている部位は、前記第2のガラス部、前記第2のガラス部と前記第1ガラス部との境界部、前記第2ガラス部のうちの前記第1のガラス部側の部分、および、前記第1ガラス部のうちの前記第2のガラス部側の部分からなる群から選択される。ある実施形態において、前記第1のガラス部と前記第2のガラス部との境界周辺には、両者の圧縮応力の差によって生じた、歪み境界領域が存在している。前記封止部内には、前記第2のガラス部と接する金属部であって、電力を供給するための金属部が設けられていることが好ましい。前記圧縮応力は、前記封止部の少なくとも長手方向に印加されていればよい。
【0029】
ある実施形態において、前記第1のガラス部は、SiO2を99重量%以上含み、前記第2のガラス部は、15重量%以下のAl2O3および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含み、前記第2のガラス部の軟化点は、第1のガラス部の軟化点温度よりも低い。前記第2のガラス部は、ガラス管から形成されたガラス部であることが好ましい。また、前記第2のガラス部は、ガラス粉末を圧縮形成して焼結してなるガラス部ではないことが好ましい。ある実施形態において、前記圧縮応力が印加されている部位における前記圧縮応力は、約10kgf/cm2以上約50kgf/cm2以下である。あるいは、前記圧縮応力の差は、約10kgf/cm2以上約50kgf/cm2以下である。
【0030】
ある実施形態において、前記発光管内には、一対の電極棒が互いに対向して配置されており、前記一対の電極棒のうちの少なくとも一方の電極棒は、金属箔に接続されており、前記金属箔は、前記封止部内に設けられており、かつ、当該金属箔の少なくとも一部は、前記第2のガラス部内に位置しており、前記発光物質として、少なくとも水銀が前記発光管内に封入されており、前記水銀の封入量は、300mg/cc以上であり、前記高圧水銀ランプの平均演色評価数Raは、65を超える。前記高圧水銀ランプの色温度は、8000K以上であることが好ましい。
【0031】
本発明のランプユニットは、高圧水銀ランプと、前記高圧水銀ランプから発する光を反射する反射鏡とを備えたランプユニットであり、前記高圧水銀ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備え、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上であり、さらに、前記発光管を保温するため保温手段を備えている。
【0032】
ある好適な実施形態において、前記保温手段は、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部に形成され、断熱材または保温材からなる保温膜である。
【0033】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、出射方向に前面開口部を有する、楕円面または放物面形状の反射鏡であり、前記前面開口部には、前面ガラスが設けられており、前記反射鏡の内部は、実質的に密閉構造となっており、前記反射鏡が前記保温手段として機能する。
【0034】
ある好適な実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、300mg/cm3以上であり、前記発光管には、ハロゲンが封入されており、前記高圧水銀ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である。
【0035】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、前記反射鏡側面に通風孔を持たない構成をしており、前記反射鏡の放射面の大きさが25cm2以下であり、前記高圧水銀ランプの定常点灯時のワット数が60W以上120W以下である。
【0036】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、前記反射鏡側面に通風孔を持たない構成をしており、前記反射鏡の放射面の大きさは40cm2以下であり、前記高圧水銀ランプの定常点灯時のワット数が121W以上200W以下である。
【0037】
ある好適な実施形態において、前記反射鏡は、前記反射鏡側面に通風孔を持たない構成をしており、前記反射鏡の放射面の大きさが55cm2以下であり、前記高圧水銀ランプの定常点灯時のワット数が201W以上350W以下である。
【0038】
ある実施形態におけるランプユニットは、高圧水銀ランプと、前記高圧水銀ランプから発する光を反射する反射鏡とを備えたランプユニットであり、前記高圧水銀ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対有しており、前記封止部の少なくとも一方は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、当該一方の封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部には、断熱材または保温材からなる保温膜が形成されている。ある実施形態において、前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上である。
【0039】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態を説明する前に、点灯動作圧が約30〜40MPaまたはそれ以上(約300〜400気圧またはそれ以上)である極めて高耐圧を示す高圧水銀ランプについて説明する。なお、これらの高圧水銀ランプの詳細は、特願2001−267487号、および、特願2001−371365号に開示されている。ここでは、これらの特許出願を本願明細書に参考のため援用することとする。
【0040】
動作圧が約30MPa以上であるにもかかわらず、実用的に耐えることができる高圧水銀ランプの開発は困難を極めたが、例えば、図2に示すような構成にすることによって、極めて高耐圧のランプを完成することに成功した。なお、図2(b)は、図2(a)中のb−b線に沿った断面図である。
【0041】
図2に示した高圧水銀ランプ1100は、特願2001−371365号に開示したものであり、発光管1と、発光管1の気密性を保持する封止部2を一対備えており、封止部2の少なくとも一方は、発光管1から延在した第1のガラス部8と、第1のガラス部8の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部7とを有しており、かつ、当該一方の封止部8は、圧縮応力が印加されている部位(20)を有している。
【0042】
封止部2における第1のガラス部8は、SiO2を99重量%以上含むものであり、例えば、石英ガラスから構成されている。一方、第2のガラス部7は、15重量%以下のAl2O3および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含むものであり、例えば、バイコールガラスから構成されている。SiO2にAl2O3やBを添加すると、ガラスの軟化点は下げるため、第2のガラス部7の軟化点は、第1のガラス部8の軟化点温度よりも低い。なお、バイコールガラス(Vycor glass;商品名)とは、石英ガラスに添加物を混入させて軟化点を下げて、石英ガラスよりも加工性を向上させたガラスであり、その組成は、例えば、シリカ(SiO2)96.5重量%、アルミナ(Al2O3)0.5重量%、ホウ素(B)3重量%である。本実施形態では、バイコールガラス製のガラス管から、第2のガラス部7は形成されている。なお、バイコール製のガラス管の代わりに、SiO2:62重量%、Al2O3:13.8重量%、CuO:23.7重量%を成分とするガラス管を用いても良い。
【0043】
封止部2の一部に印加されている圧縮応力は、実質的にゼロ(すなわち、0kgf/cm2)を超えたものであればよい。この圧縮応力の存在により、従来の構造よりも耐圧強度を向上させることができる。この圧縮応力は、約10kgf/cm2以上(約9.8×105N/m2以上)であることが好ましく、そして、約50kgf/cm2以下(約4.9×106N/m2以下)であることが好ましい。10kgf/cm2未満であると、圧縮歪みが弱く、ランプの耐圧強度を十分に上げられない場合が生じ得るからである。そして、50kgf/cm2を超えるような構成にするには、それを実現させるのに、実用的なガラス材料が存在しないからである。ただし、10kgf/cm2未満であっても、実質的に0の値を超えれば、従来の構造よりも耐圧を上げることができ、また、50kgf/cm2を超えるような構成を実現できる実用的な材料が開発されたならば、50kgf/cm2を超える圧縮応力を第2のガラス部7が有していてもよい。
【0044】
放電空間内に一端が位置する電極棒3は、封止部2内に設けられた金属箔4に溶接により接続されており、金属箔4の少なくとも一部は、第2のガラス部7内に位置している。図2に示した構成では、電極棒3と金属箔4との接続部を含む箇所を、第2のガラス部7が覆うような構成にしている。図2に示した構成における第2のガラス部7の寸法を例示すると、封止部2の長手方向の長さで、約2〜20mm(例えば、3mm、5mm、7mm)であり、第1のガラス部8と金属箔4との間に挟まっている第2のガラス部7の厚さは、約0.01〜2mm(例えば、0.1mm)である。第2のガラス部7の発光管1側の端面から、発光管1の放電空間までの距離Hは、例えば、0mm〜約3mmであり、そして、金属箔4の発光管1側の端面から、発光管1の放電空間までの距離B(言い換えると、電極棒3だけで封止部3内に埋まっている長さ)は、例えば、約3mmである。
【0045】
図2に示したランプ1100は、図3に示すように、改変することも可能である。図3に示した高圧水銀ランプ1200は、封止部2内に位置する部分の電極3に、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を表面に有するコイル40が巻き付けられた構造を有している。ここで、コイル40は、典型的には、その表面に、下層がAu層、上層がPt層からなる多層構造の金属膜を有している。なお、大量生産する場合に若干製造プロセス上のデメリットがあるが、図4に示した高圧水銀ランプ1300のように、封止部2内に位置する部分の電極3の少なくとも一部の表面に、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成された金属膜30を、コイル40に代えて形成してもよい。図2から図4に示した構成と比較すると、耐圧が低下するものの、図5(a)および(b)に示すように、第2のガラス部7を用いずに、コイル40や金属膜30を用いた構成を有する高圧水銀ランプ1400、1500でも、実用的に使用可能なレベルで、30MPa以上の動作圧を実現することができる。
【0046】
図2に示したような、点灯中のHg蒸気圧が30MPa(300気圧)を越えるランプを試作し、本願発明者が点灯試験を行ったところ、動作圧がおおむね30MPa以上になるとランプが黒化することがわかった。黒化は、点灯中にW電極3の温度が上昇し、W電極から蒸発したW(タングステン)が発光管の内壁に付着して起こる現象であり、このまま点灯を続けると破裂にいたる。
【0047】
ここで、従来の15〜20MPa(150〜200気圧)程度での点灯であれば、発光管内に封入したハロゲンガスが、発光管内壁に付着したタングステンと反応して、ハロゲン化タングステンとなる。ハロゲン化タングステンは発光管内を浮遊して、温度の高いW電極の先端7に達すると、もとのハロゲンとタングステンに解離するため、タングステンは電極の先端7に戻ることになる。これをハロゲンサイクルというが、従来ランプのHg蒸気圧では、このサイクルのためにランプは黒化することなく、点灯することが可能であった。しかしながら、30MPa(300気圧)以上にすると、このサイクルがうまく機能しないことが本願発明者の実験によりわかった。なお、30MPa以上の場合に黒化が顕著になるとしても、現実の使用としての信頼度を高めるためには、30MPa以上に限らず、20MPaを超えるレベル(例えば、23MPa以上のレベル、または25MPa以上のレベル)で、黒化の問題に対策を講じる必要がでてくる。
【0048】
本願発明者は、発光管1の温度を制御することにより、その黒化の問題を解決できることを突き止め、本発明を完成させるに至った。以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図6は、水銀6の封入量が230mg/cm3以上である本実施形態の高圧水銀ランプ100を示している。本実施形態のランプ100は、発光管1を保温するため保温手段10を備えており、図6に示した例では、発光管1および一対の封止部2のうちの少なくとも一部に、断熱材または保温材からなる保温膜が保温手段10として形成されている。高圧水銀ランプ100の基本的な構成は、典型的には、図2から図5(a)および(b)に示した高圧水銀ランプ1100〜1500と同様の構成である。つまり、それらのランプに、保温膜10が形成されたものである。
【0049】
図6に示した高圧水銀ランプ100は、管内に少なくとも水銀6が封入された発光管1と、発光管1の気密性を保持する封止部2を一対備えている。水銀6の封入量は、発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上(例えば、250mg/cm3以上、または300mg/cm3以上。場合によっては、350mg/cm3を超えるものや、350〜400mg/cm3またはそれ以上である。)である。
【0050】
発光管1内には、一対の電極(または電極棒)3が互いに対向して配置されており、電極3は、金属箔4に溶接にて接続されている。金属箔4は、典型的にはモリブデン箔であり、封止部2内に設けられている。高圧水銀ランプ100が図2に示したランプ1100の場合には、金属箔4の少なくとも一部は、第2のガラス部7内に位置することになる。
【0051】
発光管1の温度を制御する保温手段としての保温膜10は、例えば、アルミナから構成されている。保温膜10の厚さは、例えば、約0.001mm〜20mmである。本実施形態では、保温膜10は、発光管1には形成されておらずに、封止部2と発光管1との境界21よりも、外部リード5側に位置する部分の封止部2に形成されている。保温膜10の発光管1側の端面10aは、封止部2と発光管1との境界21よりも例えば1mm以上離れた位置に存在している。また、保温膜10の端面10aは、境界21を基準にして10mm以内の位置に存在している。言い換えると、保温膜10の端面10aと境界21との距離Lは、1mm以上10mm以内である(好ましくは、距離Lは、5mm±2mmである)。そのようにした理由は、保温膜10が発光管1を覆うように形成した場合や、距離Lを0mmにした場合には、保温膜10によって、発光管1を加熱しすぎてしまい、発光管1が膨張・破裂する可能性が高くなるからである。一方、距離Lを10mmを超えるようにすると、例えば距離Lを20mmにすると、保温膜10による発光管1の温度調整機能の能力が低下してしまうからである。
【0052】
ランプ100の構成をより詳細に説明すると次の通りである。ランプ100は、石英を主成分とする発光管1と、その両側に延在する一対の封止部(側管部)2から構成されており、封止部2を2つ備えたダブルエンド型のランプである。発光管1は略球形をしており、外径が例えば5mm〜20mm程度であり、内径は例えば2〜15mm程度であり、ガラス厚は例えば1mm〜5mm程度である。また、発光管1内の放電空間の容積は例えば0.01cc〜1cc(0.01cm3〜1cm3)程度である。本実施形態では、外径10mm程度、ガラス厚3mm程度、放電空間の容積0.06cc程度の発光管1を用いている。
【0053】
発光管1内には、一対の電極棒3が互いに対向して設置されている。電極棒3の先端は、0.2〜5mm程度の間隔(アーク長)で、発光管内に設置されている。本実施形態では、アーク長を0.5〜1.8mmとした。なお、本実施形態のランプは、交流点灯させるものである。そして、封止部2は、シュリンク手法によって作製されたシュリンク構造を有するものである。また、発光管1内には、発光種である水銀6が300mg/cc以上封入されている。本実施形態では、400mg/cc封入している。また、5〜40kPaの希ガス(例えばAr)と、必要に応じて、少量のハロゲンが封入されている。本実施形態では、20kPaのArを封入し、ハロゲンをCH2Br2の形態で発光管内に導入している。CH2Br2の封入量は、0.0017〜0.17mg/cc程度であり、これは、ランプ動作時のハロゲン原子密度に換算すると、0.01〜1μmol/cc程度に相当する。なお、本実施形態では、約0.1μmol/cc程度であった。また、点灯中に発光管内壁にかかる管壁負荷は、例えば80W/cm2以上である。本実施形態では、120Wで点灯し、その管壁負荷は150W/cm2程度であった。
【0054】
本願発明者が試作したランプ100の構成の一例を例示的に示すと、発光管1の外径10mm、内径4mm、ガラス厚3mm、内容積0.06ccである。そして、封入水銀量24mg(=400mg/cc=点灯動作時圧力40MPa)であり、電極間距離が0.5mm〜1.8mm、ハロゲンとしてCH2Br2で0.017mg/cc、ハロゲン原子密度0.1μmol/cc、希ガスとしてアルゴンを20kPa(室温)が封入されている。ここで、保温材10の厚みは1mmであり、距離Lは5mmである。なお、封止部2の長さは約25mmである。
【0055】
ランプ100と比較するために、比較例のランプとして、図6のランプと同様のランプで保温材10が形成されていないもので、かつ水銀量を変化させたランプを用意した。
具体的には、図3のランプ1200で、水銀量12mg(動作圧20MPa)、15mg(動作圧25MPa)、18mg(動作圧30MPa)、21mg(動作圧35MPa)、24mg(動作圧40MPa)のランプを比較例として用意した。
【0056】
これらのランプを水平点灯で定格120Wで1時間点灯、15分消灯を繰り返しながら、5時間点灯した。その結果、比較例のランプのうち、動作圧が30MPa以上のランプはすべて発光管上部に黒化が観測され、動作圧が高いものほど黒化が顕著に表れた。また、比較例のランプのうち動作圧が25MPa以下のランプにおいては、黒化は発生しなかった。この事実より、動作圧が30MPa以上の高圧水銀ランプには黒化が生じることがわかった。
【0057】
これに対し、比較例のランプと同様の点灯方法で、保温膜10を有する本実施形態のランプ100を点灯したところ、驚くべきことに、動作圧が40MPaであるにもかかわらず黒化は発生しなかった。そこで、本実施形態のランプ100の水銀量を、18mg(動作圧30MPa)、21mg(動作圧35MPa)、27mg(動作圧45MPa)、30mg(動作圧50MPa)と変化させてみたが、どのランプにも黒化が観測されなかった。
【0058】
つまり、保温膜10のない比較例のランプにおいては、水銀動作圧が30MPa以上になると、発光管上部の黒化が発生していたのに対し、本実施形態のランプ100の構成のように、保温膜10を設けると、黒化を抑制することができた。
【0059】
30MPa以上の点灯動作圧で、ランプが黒化してしまうことは、本願発明者が初めて見出したことである。これは、実用的なレベルで使用可能な、点灯動作圧が30MPa以上のランプが従来存在しなかったことに専ら起因している。
【0060】
点灯動作圧が30MPa以上のランプが黒化してしまう明確な理由は現時点では明らかでない。その明確な理由が分からなかったため、実際、本願発明者は黒化を防止するために様々な対策および工夫を試してみた。例えば、点灯動作圧が30MPa以上のランプは、15MPa〜20MPaのランプと比較すると、ランプ(特に、発光管)の温度が一層高くなることが確認されたので、この発光管の温度の上昇が黒化の原因ではないかと思い、ランプ点灯時に発光管を冷却させて発光管の温度を下げるようにしてみたものの、それによっては、黒化を防止することはできなかった。他にも色々試みてみたが、うまく黒化を防止することはできなかった。実験の中で、発光管を逆に保温してみたらどうかというアイデアに基づいて、発光管の温度が下がらないように保温膜により保温してみたら、なんと黒化を防止することに成功した。この成功例から推論すると、次のような理由により黒化が防止されているのではないかと思われる。
【0061】
いわゆる超高圧水銀ランプの場合、アークの熱放射および電極自身の発熱によって、電極材料のタングステンは蒸発する。蒸発したタングステンは管内で起こっている対流によって管壁まで運ばれ、管壁で急激に冷やされ、そこに付着する。次に、この付着したタングステンは発光管1内に封入されているハロゲンと反応し、ハロゲン化タングステンの形で管壁から蒸発し、最終的に電極に戻される。これをハロゲンサイクルという。
【0062】
動作圧が比較的低いランプの場合は、タングステンの蒸発量が比較的少ないため、蒸発量とハロゲンと反応し蒸発する量とのバランスがうまくとれていた。これに対し、動作圧が高くなる(封入水銀量を増加させる)と、アーク中の水銀原子が増加し、電極から放出された電子は、水銀原子の増加に伴い電子の移動度が減少し、アークが細くなる、その結果、同じ電力を与えた場合、アーク単位体積あたりのエネルギーが上昇し、アーク温度の上昇が起こる。このアーク温度上昇のため、電極の温度が上昇し、その結果、電極材料であるタングステンの蒸発が活発となる。ここで、ハロゲン化タングステンの蒸発量は変わらないので、管壁にタングステンが付着しつづけ、その結果、黒化となる。そこで、何とかして、ハロゲン化タングステンの蒸発量を増加させれば、黒化を防止できるであろうという推論が働く。
【0063】
蒸発量を増加させるためには、管壁の温度を上昇させることが適切である。ここで、ポイントとなるのは、発光管1の温度ムラを少なくすることであろう。温度ムラが大きいとハロゲンサイクルはうまく働かなくなり、発光管1内のどこかの箇所で黒化が生じてしてしまうと思われるからである。この内容について以下にさらに詳述する。
【0064】
発光管1の温度は、アークから発せられる熱が発光管内のガスおよび電極を伝わるものと、アークからの赤外放射を発光管材料である石英が吸収し発熱するものと2種類がある。図7に示すように、発光管1内の水銀量を増加させることによって、発光スペクトルが変化し、赤外域の発光が増加する。
【0065】
この赤外域放射の増加によって、発光管1の温度が上昇するのであるが、このとき、図8に示すように、アークからの放射は、発光管1のTOP部とBOTTOM部には、発光(赤外域)が直接到達し、発光管温度を上昇させる一方で、SIDE部は電極の影になって発光が直接届かない。そのため、SIDE部温度とTOPまたはBOTTOM部温度の温度差が拡大する。実際、発光管1の各部の温度を測定した結果を、下記の表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1から分かるように、比較例1のランプ(動作圧40MPa)の温度を、比較例2のランプ(動作圧20MPa)の温度と比べると、赤外域が到達するTOP部とBOTTOM部は温度が60〜70℃上昇しているが、赤外域が到達しないSIDE部は温度上昇していない。そのため、発光管の最高温度と最低温度の差は、比較例2のランプ(動作圧20MPa)では、860−700=160℃であるのに対し、比較例1のランプ(動作圧40MPa)では、920−700=220℃と温度差が拡大している。このため、発光管内に封入されたハロゲンが引き起こすハロゲンサイクルがうまく働かなくなり、黒化が発生したものと思われる。
【0068】
これに対し、本実施形態のランプ100は、保温膜10を形成しているので、SIDE部の温度が、比較例1のランプ(動作圧40MPa)比較して、上昇している。このため、発光管の温度差は、930−820=110℃となり、ランプ100の温度差は、比較例1のランプ(動作圧40MPa)の温度差よりも小さくなっている。
【0069】
このように、本実施形態のランプ100によれば、発光管1および封止部2のうちの少なくとも一部に(距離Lが10mm以内の封止部2の部位に、特に、距離Lが0mmを超える部位に)、保温膜10が形成されているので、発光管1の温度ムラを小さくすることができ、その結果、黒化を抑制することができる。なお、従来の超高圧水銀ランプにおける水銀量の領域(動作圧20MPa)では、赤外域の放射が少なく、このような、黒化を引き起こす原因となる発光管の温度ムラにまで達しないので、従来の超高圧水銀ランプの知見に基づいて、本発明の実施形態のランプ100に想到することはたとえ当業者であっても困難である。つまり、動作圧30MPa以上といった非常に高い圧力にしたときに初めて観測される黒化の課題に対し、黒化の原因が非常に大きな発光管の温度ムラによるものであることを発見し、その解決方法を見出したからこそ、ランプ100を完成させるに至ったものであるからである。
【0070】
なお、このような温度ムラが大きくなるのは動作圧30MPa以上であることを本願発明者は実験的に確認しているが、30MPa以下のランプであっても20MPaを超えるもの(すなわち、従来の15MPa〜20MPaのランプを超える点灯動作圧を有するランプ。例えば、23MPa以上または25MPa以上のランプ)について、黒化が発生しないことを、より長い時間にわたって保証するには、保温膜10を形成して、発光管1の温度ムラを無くして、それにより、黒化の発生を未然に抑制するようにすることが現実には望ましい。つまり、ランプを大量生産する場合には、ランプの特性にどうしてもばらつきが生じ得るため、点灯動作圧が23MPa程度のランプであっても、黒化が生じるランプが1本や数本発生しないとも限らず、それゆえ、確実に黒化発生防止を担保するためには、従来の15MPa〜20MPaを超えるランプについて、保温膜(保温手段)10を設けておくことが好ましい。もちろん、点灯動作圧がより高くなるにつれ、言い換えると、30MPaよりも40MPaの方が、赤外放射は大きくなるため発光管1の温度ムラは大きくなり、黒化の影響は大きくなるので、保温膜(保温手段)10による黒化抑制の技術的意義が大きくなることは言うまでもない。
【0071】
なお、本実施形態では、高圧水銀ランプに保温膜10を形成したが、保温膜10を構成する材料は、保温する機能を果たす材料であればその種類は問わない。保温膜10の材料としては、例えば、アルミナの他、ジルコニアを挙げることができる。また、膜状に限らず、保温効果を発揮できる形態であれば良い。また、上述したように、保温膜10の発光管側端部と境界部21との最短距離Lは、10mm以下の位置に配置することが好ましい。10mmを超えると保温の効果が低くなるためである。さらに、保温膜10の厚みは、例えば、約0.001〜20mmにすることができるが、厚いほうが保温効果が高くなるので好適である。図8に示した放射が到達しない部分に、保温膜10の取り付け位置や、大きさを適宜選択しながら選択的に形成すれば、保温膜10が放射光を遮らないようにすることができるので好適である。発光管1内から反射して放射される光も遮らないように配慮して、封止部2のみに保温膜10を形成するのがさらに好ましい。ただし、これらは、ランプの設計寸法、保温膜10の材料、保温膜10の大きさなどによって、保温効果が異なるために、発光管1の温度ムラが小さくなるように設計されるべきである。
【0072】
さらに加えて、発光管1を垂直点灯した場合は、発光管1のTOP部はそれほど温度上昇せず、SIDE部も赤外放射によって適度な温度に保たれる。そこで、図9に示すように少なくともランプの下部を保温するように下側だけ保温すれば良い。図9に示した例では、下方に位置する封止部2のみに、保温膜10を形成すればよい。なお、上記実施形態1の構成でも、保温膜10の無い構成と比較して黒化抑制の効果を得ることができるのであれば、場合によっては、一方の封止部2のみに保温膜10を形成してよい。また、一方の封止部2に保温膜10を形成して、他方の封止部2に、電熱線等の加熱手段を配置して、発光管1の温度ムラを解消するようにしてもよい。
(実施の形態2)
次に、図10を参照しながら、本発明の実施形態2を説明する。本実施形態の構成は、上記実施形態1の保温膜10に代えて、保温手段として、透光性材料からなる外管が発光管1の周囲に配置されたものである。他の構成は、上記実施形態1の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
図10に示した本実施形態の高圧水銀ランプ200は、水銀封入量が230mg/cm3以上のランプ(例えば図2〜図5に示したランプ)のに発光管1の周囲に、透光性材料からなる外管10が発光管1と離間するように設けられた構成を有している。
【0074】
本実施形態の外管11は、透光性のガラスを主成分としている。外管10の外径は、発光管1の外径の約1.1〜2倍程度であり、肉厚は約0.3〜10mm程度であり、そして、外管10と発光管1とは接触しないように設置してある。外管11には、赤外反射膜が形成されていることが好ましい。図10に示した例では、発光管1の外径が10mmの場合に、外管10の外径が15mmでり、肉厚が1mmであり、そして、外管10には赤外反射膜が形成されている。
【0075】
本実施形態のランプ200によると、発光管1の周囲に外管10が設けられているので、黒化を引き起こす原因となる発光管1の温度ムラを解消することができ、その結果、黒化の発生を防止することができる。つまり、外管1および外管1に形成されている赤外反射膜の保温効果により、発光管1の温度ムラが少なくなり、ハロゲンサイクルがうまく作用させて、黒化の発生を防止することができる。このとき、外管1の構成材料として光透過率が高いものを選択すれば、放射ロスを少なくすることができる。
【0076】
なお、本実施形態のランプ200では、外管10に赤外反射膜が形成された例を示したが、赤外反射膜がなくとも保温の効果は十分である。また、上記実施形態1のランプ100のように、封止部2に保温膜10を形成したものと、外管10と組み合わせても良い。
(実施の形態3)
次に、図6を参照しながら、本発明の実施形態3を説明する。図6は、本発明の実施形態にかかる反射鏡付きランプ(または、ランプユニット)300の構成を模式的に示している。反射鏡付きランプ300は、水銀封入量が230mg/cm3以上のランプ100’(例えば図2〜図5に示したランプ1100〜1500)を反射鏡500に組み込んだものである。つまり、ランプ100’は、保温膜10が形成されていない点が上記実施形態1のランプ100と異なる。反射鏡500は、発光管1の保温手段として機能し、これにより、発光管1の温度ムラをなくして、ハロゲンサイクルがうまく作用させて、黒化の発生を防止することができる。本実施形態の反射鏡50は、楕円面または放物面形状を有しており、そして、出射方向には前面開口部が存在している。この前面開口部には、前面ガラス510が設けられており、反射鏡500の内部は、実質的に密閉構造となっている。
【0077】
図11に示した例では、反射鏡500は、放物面鏡であり、その放射面(図中の斜線部)の面積は25cm2である。なお、反射鏡500は、楕円面鏡であってもよい。ここで、放射面の面積とは、矢印550の方向から見た反射面の面積である。本実施形態の反射鏡500を矢印550から見た外形は、正方形であり、その大きさは、5cm×5cmである。なお、正方形に限らず、円形であってもよい。
【0078】
反射鏡500の前面には、前面ガラス603が貼られており、そして、反射鏡500は、ランプ点灯中に反射鏡外から風が入ってこないように、通風孔が設けられていない密閉型である。また、高圧水銀ランプ100’は、反射鏡50の根元にセメントで固定されており、引き出し線511を通して、ランプに通電できるようになっている。
【0079】
図11に示したランプ(水銀封入量400mg/cm3)を、定格120Wで点灯したところ、黒化は観測されなかった。これは、密閉型の反射鏡500に組み込むことによって、ランプ100’が保温され、発光管1の温度ムラが少なくなるためと考えられる。本実施形態では、反射鏡外からの風によって実質的にランプが冷却されないように、前面ガラスを具備している構造、反射鏡に通風孔を設けない構造にしていることによって、保温効果を高めている。
【0080】
なお、密閉型といっても、実際には、リード線取出しなどの諸事情で反射鏡500に微細な穴をあける必要がある。ここでは、穴の面積が合計1cm2以下であれば、実質的に冷却効果はなく、そのような穴の存在は許容され、反射鏡500の内部は、実質的に密閉であるとみなせる。
【0081】
また、保温効果は、発熱体であるランプの定格電力(W)と保温体である反射鏡の大きさ(放射面積)の相関関係で決定される。つまり、発熱が小さいランプには、ランプと反射鏡の距離が近くなり、保温効果の大きくなる小さな反射鏡との組み合わせが好ましい。反射鏡の大きさを放射面の面積で表すと、次のような関係がある。安定点灯時のランプ定格電力が、60〜120W程度である場合、反射鏡の放射面積が25cm2以下であることが好ましいし、121〜200W程度のランプの場合、反射鏡の放射面積が40cm2以下であることが好ましいし、201〜350W程度のランプの場合、反射鏡の放射面積が55cm2以下であることが好ましい。
【0082】
なお、本実施形態の構成と、上記実施形態1および/または実施形態2の構成とを組み合わせることも可能である。すなわち、ランプ100’の封止部2に保温膜10を形成してもよいし、外管50を配置してもよい。また、高圧水銀ランプの黒化は、点灯動作圧が15MPa〜20MPaの従来のランプを超える点灯動作圧を有するランプであれば回避しなければならない問題であるので、ランプ200は、図2〜図5に示したランプ1100〜1500に限らず、他の優れた高耐圧特性を有する、20MPaを超えるランプ(例えば、23MPa以上、特に30MPa以上のランプ)であってもよい。本発明の実施形態によれば、ランプの温度ムラをコントロールすることにより黒化を抑制することができる。ただし、保温は、過度に行うと発光管のふくれ、もしくは失透の原因となることも有るので、適切な範囲内に設定されることが好ましい。
【0083】
上記実施形態1から3における黒化は、ハロゲン密度と発光管温度との関係も影響するので、例えば封入するハロゲンとしてCH2Br2を選択した場合、発光管内容積あたり0.0017〜0.17mg/cc程度封入することが好ましい。ハロゲン原子密度に換算して示すと、0.01〜1μmol/cc程度にすることが好ましい。なぜならば、0.01μmol/cc未満であれば、大部分のハロゲンがランプ中の不純物と反応してしまう結果、ハロゲンサイクルを実質作用させないためである。また、1μmol/ccを超えると、始動時に必要なパルス電圧が高くなり実用的ではなくなるからである。ただし、高圧を印加できる点灯回路を用いる場合は、この制限は適用されない。0.1〜0.2μmol/ccであれば、製造時の諸事情による封入量バラツキが多少発生した場合でも、ハロゲンサイクルがうまく機能する範囲に収めることができるので、さらに好ましい。
【0084】
なお、上記実施形態1から3のランプにおいて、管壁負荷が80W/cm2以上となると、発光管の管壁温度が十分に上昇し、封入している水銀がすべて蒸発するため、発光管内容積あたりの水銀量:400mg/cc=点灯時動作圧:40MPaとなる近似式が成り立つ。ここで、水銀量が300mg/ccであれば、点灯時動作圧は30MPaとなる。逆に、管壁負荷が80W/cm2未満になると、発光管温度が水銀を蒸発させる温度まで上昇させることができないことが生じるため、近似式が成り立たないことが起こる。80W/cm2未満の場合には、所望の動作圧力が得られないことが多く、また、特に赤領域の発光が少なくなりプロジェクタ用の光源としては適さないことが多い。
【0085】
上述した実施形態の高圧水銀ランプないしランプユニット(反射鏡付きランプ)と、画像素子(DMD(Digital Micromirro Device)パネルや液晶パネルなど)を含む光学系とを組み合わせて、画像投影装置を構成することができる。例えば、DMDを用いたプロジェクタ(デジタルライトプロセッシング(DLP)プロジェクタ)や、液晶プロジェクタ(LCOS(Liquid Crystal on Silicon)構造を採用した反射型のプロジェクタも含む。)を提供することができる。さらに、本実施形態のランプは、画像投影装置用の光源として好適に使用することができるだけでなく、他の用途にも使用可能である。例えば、紫外線ステッパ用光源、または、競技スタジアム用光源や、自動車のヘッドライト用光源、道路標識を照らす投光器などとしても使用することが可能である。
【0086】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0087】
なお、本発明の実施形態のランプとはその構成は異なるものの、保温膜が塗布されたメタルハライドランプが、特開平7−230791号公報に開示されている。同公報に開示されたランプでは、メタルハライドランプの発光管の端部に、保温膜を塗布することにより、発光管の最冷部の温度を調節し、メタルハライドが十分に蒸発して、発光が改善されるという効果を得るものである。同公報に開示されたランプと、本発明の実施形態にかかるランプとでは、ランプの種類が異なるとともに、その目的および効果も相違する。本実施形態の高圧水銀ランプは、発光管の温度ムラをコントロールすることにより黒化を抑制するものであり、そのような内容は特開平7−230791号公報に記載も示唆もされていない。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、点灯動作圧が20MPaを超える高圧水銀ランプ(例えば23MPa以上、特に25MPa又は30MPa以上)であっても、黒化の発生を抑制して点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の高圧水銀ランプ1000の構成を示す模式図である。
【図2】(a)および(b)は、高圧水銀ランプ1100の構成を示す模式図である。
【図3】高圧水銀ランプ1200の構成を示す模式図である。
【図4】高圧水銀ランプ1300の構成を示す模式図である。
【図5】(a)は、高圧水銀ランプ1400の構成を示す模式図であり、(b)は、高圧水銀ランプ1500の構成を示す模式図である。
【図6】(a)は、本発明の実施形態にかかる高圧水銀ランプ100の構成を示す模式図である。
【図7】点灯動作圧が20MPaおよび40MPaのランプの分光スペクトルを示すグラフである。
【図8】点灯中の発光管の温度分布を説明するためのランプの模式図である。
【図9】垂直点灯させる場合における高圧水銀ランプ100の改変例である。
【図10】本発明の実施形態2にかかる高圧水銀ランプ200の構成を示す模式図である。
【図11】本発明の実施形態3にかかる反射鏡付きランプ300の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 発光管
2 封止部(側管部)
3 電極(電極棒)
4 金属箔
5 外部リード線
6 発光種(水銀)
7 第2のガラス部
8 第1のガラス部
10 保温膜(保温手段)
11 外管
12 コイル(電極先端)
20 圧縮応力が印加されている部位(残存歪み部ないし歪み境界部)
22 電源ユニット
30 金属層(金属メッキ)
40 コイル
100、200 高圧水銀ランプ
300 反射鏡付きランプ(ランプユニット)
500 ミラー
510 前面ガラス
1000 高圧水銀ランプ
1100、1200、1300、1400、1500 高圧水銀ランプ
Claims (23)
- 管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備えた、高圧水銀ランプであって、
前記封止部の少なくとも一方は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、当該一方の封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、さらに、
前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部には、断熱材または保温材からなる保温膜が形成されている、高圧水銀ランプ。 - 前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上である、請求項1に記載の高圧放電ランプ。
- 前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、300mg/cm3以上であり、
前記発光管には、ハロゲンが封入されており、
前記高圧水銀ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である、請求項1に記載の高圧放電ランプ。 - 前記保温膜は、前記発光管には形成されておらずに、前記一対の封止部のうちの少なくとも一方に形成されており、かつ、
前記保温膜の前記発光管側の端面は、当該少なくとも一方の封止部と前記発光管との境界よりも1mm以上離れた位置に存在している、請求項1から3の何れか一つに記載の高圧放電ランプ。 - 前記保温膜の前記発光管側の端面は、前記境界を基準にして10mm以内の位置に存在している、請求項4に記載の高圧放電ランプ。
- 前記保温膜は、アルミナから構成されている、請求項1から5の何れか一つに記載の高圧放電ランプ。
- 管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備えた、高圧水銀ランプであって、
前記封止部の少なくとも一方は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、当該一方の封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、さらに、
前記発光管の周囲には、透光性材料からなる外管が前記発光管と離間して設けられている、高圧水銀ランプ。 - 前記外管には、赤外反射膜が形成されている、請求項7に記載の高圧放電ランプ。
- 前記発光管内には、一対の電極棒が互いに対向して配置されており、
前記一対の電極棒のうちの少なくとも一方の電極棒は、金属箔に接続されており、
前記金属箔は、前記封止部内に設けられており、かつ、当該金属箔の少なくとも一部は、前記第2のガラス部内に位置している、請求項1から8の何れか一つに記載の高圧水銀ランプ。 - 前記少なくとも一方の封止部内に埋め込まれた部分における前記電極棒の少なくとも一部には、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を少なくとも表面に有するコイルが巻かれている、請求項9に記載の高圧放電ランプ。
- 前記封止部内には、前記第2のガラス部と接する金属部であって、電力を供給するための金属部が設けられており、
前記圧縮応力は、前記封止部の少なくとも長手方向に印加されており、
前記第1のガラス部は、SiO2を99重量%以上含み、
前記第2のガラス部は、15重量%以下のAl2O3および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含む、請求項1から10の何れか一つに記載の高圧水銀ランプ。 - 管内に少なくとも水銀が封入され、一対の電極棒が対向して配置された発光管と、前記発光管から延在する封止部を一対備えた、高圧水銀ランプであって、
少なくとも一方の前記封止部内に埋め込まれた部分における前記電極棒の少なくとも一部には、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を少なくとも表面に有するコイルが巻かれており、
前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部には、断熱材または保温材からなる保温膜が形成されている、高圧水銀ランプ。 - 管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備えた、高圧水銀ランプであって、
前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上であり、
さらに、前記発光管を保温するため保温手段を備えた、高圧水銀ランプ。 - 前記保温手段は、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部に形成され、断熱材または保温材からなる保温膜である、請求項13に記載の高圧水銀ランプ。
- 前記保温手段は、前記発光管と離間して前記発光管の周囲に設けられ、透光性材料からなる外管である、請求項13に記載の高圧水銀ランプ。
- 前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、300mg/cm3以上であり、
前記発光管には、ハロゲンが封入されており、
前記高圧水銀ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である、請求項10または12に記載の高圧放電ランプ。 - 高圧水銀ランプと、前記高圧水銀ランプから発する光を反射する反射鏡とを備えたランプユニットであって、
前記高圧水銀ランプは、管内に少なくとも水銀が封入された発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部を一対備え、
前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、230mg/cm3以上であり、
さらに、前記発光管を保温するため保温手段を備えている、ランプユニット。 - 前記保温手段は、前記発光管および前記一対の封止部のうちの少なくとも一部に形成され、断熱材または保温材からなる保温膜である、請求項17に記載のランプユニット。
- 前記反射鏡は、出射方向に前面開口部を有する、楕円面または放物面形状の反射鏡であり、
前記前面開口部には、前面ガラスが設けられており、
前記反射鏡の内部は、実質的に密閉構造となっており、
前記反射鏡が前記保温手段として機能する、請求項17に記載のランプユニット。 - 前記水銀の封入量は、前記発光管の容積を基準にして、300mg/cm3以上であり、
前記発光管には、ハロゲンが封入されており、
前記高圧水銀ランプの管壁負荷は、80W/cm2以上である、請求項19に記載のランプユニット。 - 前記反射鏡は、前記反射鏡側面に通風孔を持たない構成をしており、
前記反射鏡の放射面の大きさが25cm2以下であり、
前記高圧水銀ランプの定常点灯時のワット数が60W以上120W以下である、請求項20に記載のランプユニット。 - 前記反射鏡は、前記反射鏡側面に通風孔を持たない構成をしており、
前記反射鏡の放射面の大きさは40cm2以下であり、
前記高圧水銀ランプの定常点灯時のワット数が121W以上200W以下である、請求項20に記載のランプユニット。 - 前記反射鏡は、前記反射鏡側面に通風孔を持たない構成をしており、
前記反射鏡の放射面の大きさが55cm2以下であり、
前記高圧水銀ランプの定常点灯時のワット数が201W以上350W以下である、請求項20に記載のランプユニット。
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