JP4332418B2 - 高圧放電ランプの製造方法、高圧放電ランプおよびランプユニット - Google Patents

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本発明は、高圧放電ランプの製造方法、高圧放電ランプおよびランプユニットに関する。特に、一般照明や、反射鏡と組み合わせてプロジェクター、自動車の前照灯などの用途に使用される高圧放電ランプを製造する方法に関する。
近年、大画面映像を実現するシステムとして液晶プロジェクタやDMDプロジェクタなどの画像投影装置が広く用いられており、このような画像投影装置には、高い輝度を示す高圧放電ランプが一般的に広く使用されている。従来の高圧放電ランプ1000の構成を図11に模式的に示す。図11に示したランプ1000は、いわゆる超高圧水銀ランプであり、例えば、特許文献1に開示されている。
ランプ1000は、石英ガラスから構成された発光管(バルブ)101と、発光管101の両端から延在する一対の封止部(シール部)102とを有している。発光管101の内部(放電空間)には、発光物質(水銀)106が封入されており、そして、タングステンを材料とする一対のタングステン電極(W電極)103が一定の間隔をおいて互いに対向して配置されている。W電極103の一端は、封止部102内のモリブデン箔(Mo箔)104と溶接されており、W電極103とMo箔104とは電気的に接続されている。Mo箔104の一端には、モリブデンから構成された外部リード(Mo棒)105が電気的に接続されている。なお、発光管101内には、水銀106の他に、アルゴン(Ar)および少量のハロゲンも封入されている。
ランプ1000の動作原理を簡単に説明すると、外部リード105およびMo箔104を介してW電極103、103間に始動電圧が印加されると、アルゴン(Ar)の放電が起こり、この放電によって発光管101の放電空間内の温度が上昇し、それによって水銀106が加熱・気化される。その後、W電極103、103間のアーク中心部で水銀原子が励起されて発光する。ランプ1000の水銀蒸気圧が高いほど放射光も多くなるため、水銀蒸気圧が高いほど画像投影装置の光源として適しているが、発光管110の物理的耐圧強度の観点から、15〜20MPa(150〜200気圧)の範囲の水銀蒸気圧でランプ1000は使用されている。
なお、関連する文献として後述する特許文献2がある。
特開平2−148561号公報 特開2001−23570号公報
上記従来のランプ1000は、20MPa程度の耐圧強度を有するものであるが、ランプ特性をさらに向上させるべく、耐圧強度をより高める研究・開発が行われている(例えば、特許文献2など参照)。これは、今日、より高性能の画像投影装置を実現する上で、より高出力・高電力のランプが求められており、この要求を満たすべく、より耐圧強度の高いランプが必要となっているからである。
さらに説明すると、高出力・高電力のランプの場合、電流の増大に伴って電極の蒸発が早くなることを抑制するために、通常よりもさらに多くの水銀を封入して、ランプ電圧を高くする必要がある。ランプ電力に対して封入水銀量が足りなければ、必要なレベルまでランプ電圧を高くできないため、ランプ電流が増大してしまい、その結果、電極が早く蒸発してしまうので、実用的なランプは実現できない。言い換えると、高出力のランプを実現する観点から見れば、ランプ電力を高くし、そして、電極間距離が従来のものよりもさらに短いショートアーク型のランプを作製すればよいのであるが、実際に、高出力・高電力のランプを作製する上では、耐圧強度を向上させて、封入水銀量を増やすことが必要となるのである。そして、今日の技術において、極めて高い耐圧強度(例えば、30MPa程度以上)で、実用化可能な高圧放電ランプは、まだ実現されていない。
本願発明者らは、極めて高い耐圧強度(例えば、30MPa程度以上)を示す高圧放電ランプの開発に成功し、それを特願2002−351524号明細書に開示した。しかし、そのような優れた高圧放電ランプであっても、製造方法を改良することにより、さらなる改善を図ることができることがわかった。
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、高い耐圧強度を有する高圧放電ランプをより効果的に製造できる方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、極めて高い耐圧強度を示すとともに、始動性の良好な高圧放電ランプを提供することにある。
本発明の高圧放電ランプの製造方法は、管内に発光物質が封入される発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部とを有する高圧放電ランプの製造方法であり、前記高圧放電ランプの製造方法は、高圧放電ランプの発光管となる発光管部と、前記発光管部から延在した側管部とを有する放電ランプ用ガラスパイプを用意する工程と、前記側管部から前記封止部を形成する工程とを包含し、前記封止部を形成する工程は、前記側管部を構成する第1のガラスよりも軟化点の低い第2のガラスから構成されたガラス部材を前記側管部内に挿入する工程と、前記発光管部側を前方とし、前記ガラス部材を、前方部位、後方部位、および、前記前方部位と前記後方部位との間に位置する中央部位に区分けした場合に、前記側管部を加熱して、前記ガラス部材の前記前方部位および前記後方部位を前記側管部に密着させ、それによって、前記中央部位の少なくとも一部と前記側管部との間にキャビティを形成する工程と、前記密着工程の後、前記第2のガラスの歪点温度よりも高い温度で、前記ガラス部材および前記側管部を少なくとも含む部分を加熱する加熱工程とを包含する。
ある好適な実施形態において、前記加熱工程は、前記第1のガラスの歪点温度よりも低い温度で実行される。
本発明の他の高圧放電ランプの製造方法は、管内に発光物質が封入される発光管と、前記発光管の両端から延びた封止部を一対有する高圧放電ランプの製造方法であり、高圧放電ランプの発光管となる発光管部と、前記発光管部の両端から延在した一対の側管部とを有する放電ランプ用ガラスパイプを用意する工程と、前記一対の側管部のうちの一方の側管部に、当該側管部を構成する第1のガラスよりも軟化点の低い第2のガラスから構成されたガラス管と、少なくとも電極棒を含む電極構造体とを挿入する工程と、前記電極棒の先端を前方とし、前記ガラス管を、前方部位、後方部位、および、前記前方部位と前記後方部位との間に位置する中央部位に区分けした場合に、前記一方の側管部を加熱・収縮させることによって、前記ガラス管の前記前方部位および前記後方部位を前記側管部に密着させ、それによって、前記中央部位の少なくとも一部と前記一方の側管部との間にキャビティが設けられた一方の封止部を形成する工程とを包含する。
ある好適な実施形態においては、前記一方の封止部を形成する工程の後、前記発光管部内に発光物質を導入する工程と、前記一方の封止部を形成する工程の後、前記一方に対する他方の側管部に、当該側管部を構成する第1のガラスよりも軟化点の低い第2のガラスから構成されたガラス管と、少なくとも電極棒を含む電極構造体とを挿入する工程と、前記電極棒の先端を前方とし、前記ガラス管を、前方部位、後方部位、および、前記前方部位と前記後方部位との間に位置する中央部位に区分けした場合に、前記他方の側管部を加熱・収縮させることによって、前記ガラス管の前記前方部位および前記後方部位を前記側管部に密着させ、それによって、前記中央部位の少なくとも一部と前記他方の側管部との間にキャビティが設けられた他方の封止部を形成する工程と、両方の封止部および発光管が形成されたランプ完成体に対して、前記第2のガラスの歪点温度よりも高い温度で、且つ、前記第1のガラスの歪点温度よりも低い温度で、前記ガラス管および前記側管部を少なくとも含む部分を加熱する加熱工程とをさらに包含する。
前記加熱工程は、2時間以上行えばよい。
ある好適な実施形態では、前記加熱工程は、100時間以上行われる。
ある好適な実施形態において、光弾性効果を利用した鋭敏色板法を用いて前記封止部を測定した場合、前記第2のガラスにより構成された領域に、10kgf/cm2以上50kgf/cm2以下の前記側管部の長手方向の圧縮応力が存在するように前記加熱工程が実施される。
ある好適な実施形態では、前記一対の封止部のそれぞれについて、前記圧縮応力が生じる。
ある好適な実施形態において、前記電極構造体は、前記電極棒と、当該電極棒に接続された金属箔と、当該金属箔に接続された外部リードとを含んでおり、前記ガラス管の長手方向の長さは、前記金属箔の長手方向の長さよりも長い。
ある好適な実施形態において、前記第1のガラスは、SiO2を99重量%以上含み、前記第2のガラスは、15重量%以下のAl23および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含む。
ある好適な実施形態において、前記高圧放電ランプは、高圧水銀ランプであり、前記発光物質として水銀を、前記発光管の内容積を基準に、150mg/cm3以上封入する。
本発明の高圧放電ランプは、管内に発光物質が封入される発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部とを備え、前記封止部は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、前記封止部は、圧縮応力が印加されている部位を有しており、前記封止部のうちの前記第1のガラス部と前記第2のガラス部との境界の一部に、キャビティが形成されている。
本発明の他の高圧放電ランプは、管内に発光物質が封入される発光管と、前記発光管の気密性を保持する一対の封止部とを備え、前記一対の封止部のそれぞれは、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、前記一対の封止部のそれぞれは、圧縮応力が印加されている部位を有しており、前記発光管内には、一対の電極棒が互いに対向して配置されており、前記一対の電極棒のそれぞれの電極棒は、金属箔に接続されており、前記金属箔は、前記封止部内に設けられ、且つ、少なくとも当該金属箔と前記電極棒との接続部は、前記第2のガラス部内に位置しており、前記電極棒の先端を前方とし、前記第2のガラス部を、前方部位、後方部位、および、前記前方部位と前記後方部位との間に位置する中央部位に区分けしたときに、前記第2のガラス部の前記中央部位の少なくとも一部と、前記第1のガラス部との間の境界部には、少なくとも希ガスを含むキャビティが形成されている。
ある好適な実施形態において、光弾性効果を利用した鋭敏色板法を用いて前記封止部を測定した場合、前記圧縮応力が印加されている部位は、少なくとも前記第2のガラスにより構成された領域に存しており、前記圧縮応力は、前記側管部の長手方向において10kgf/cm2以上50kgf/cm2以下である。
ある好適な実施形態において、前記第2のガラス部は、前記金属箔の全体を覆っている。
ある好適な実施形態において、前記第1のガラスは、SiO2を99重量%以上含み、前記第2のガラスは、15重量%以下のAl23および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含む。
ある好適な実施形態において、前記高圧放電ランプは、高圧水銀ランプであり、前記発光物質として水銀が、前記発光管の内容積を基準に、150mg/cm3以上封入されている。
前記封止部のうち前記キャビティを含む部位の周囲には、導電性材料からなるアンテナが配置されていることが好ましい。
本発明のランプユニットは、上記高圧放電ランプと、前記高圧放電ランプから発する光を反射する反射鏡とを備えている。
ある実施形態では、前記発光物質として水銀は、前記発光管の内容積を基準に、220mg/cm3以上封入されている。
ある実施形態では、前記発光物質として水銀は、前記発光管の内容積を基準に、300mg/cm3以上封入されている。
ある実施形態において、前記発光管は、チップレスの発光管である。
ある実施形態では、前記発光管内に、分解してハロゲンを生成するハロゲン前駆体として、臭化水銀(HgBr2)が封入されている。
ある実施形態において、前記電極構造体は、前記電極棒と、前記電極棒に接続された金属箔と、前記金属箔に接続された外部リードとから構成されている。
前記電極棒の少なくとも一部に、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成された金属膜が形成されていることが好ましい。
ある実施形態において、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を少なくとも表面に有するコイルが、前記電極棒の少なくとも一部に巻き付けられている。
ある実施形態において、前記放電ランプ用ガラスパイプにおける前記側管部と前記発光管部と境界周辺には、前記側管部の内径が他の部分よりも小さくされた径小部が設けられている。
ある実施形態における高圧放電ランプは、管内に発光物質が封入される発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部とを備え、前記封止部は、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、光弾性効果を利用した鋭敏色板法による歪み測定を実行すると、前記封止部のうち、前記第2のガラス部に相当する領域の少なくとも一部に、圧縮応力が観察される。
前記歪み測定は、東芝製のSVP−200の歪検査器を用いて行えばよい。
本発明によると、ガラス部材の中央部位の少なくとも一部と側管部との間にキャビティを形成するので、金属箔の箔切れを防止することができる。また、キャビティに少なくとも希ガスが含まれている場合、封止部のうちキャビティを含む部位の周囲にアンテナを配置すれば、高圧放電ランプの始動電圧を低下させることができる。
まず、本発明の実施の形態を説明する前に、点灯動作圧が約30〜40MPaまたはそれ以上(約300〜400気圧またはそれ以上)である極めて高耐圧を示す高圧水銀ランプについて説明する。なお、これらの高圧水銀ランプの詳細は、特願2001−371365号に開示されている。また、特願2001−371365号で開示した高圧放電ランプの封止部に歪みが生じる機構について、特願2002−351524号明細書に開示した。ここでは、これらの特許出願を本願明細書に参考のため援用することとする。
動作圧が約30MPa以上であるにもかかわらず、実用的に耐えることができる高圧水銀ランプの開発は困難を極めたが、例えば、図1に示すような構成にすることによって、極めて高耐圧のランプを完成することに成功した。なお、図1(b)は、図1(a)中のb−b線に沿った断面図である。
図1に示した高圧放電ランプ(例えば、高圧水銀ランプまたは超高圧水銀ランプ)100は、特願2001−371365号に開示したものであり、発光管1と、発光管1の気密性を保持する封止部2を一対備えており、封止部2の少なくとも一方は、発光管1から延在した第1のガラス部8と、第1のガラス部8の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部7とを有しており、かつ、当該一方の封止部8は、圧縮応力が印加されている部位(20)を有している。
封止部2の一部に印加されている圧縮応力は、実質的にゼロ(すなわち、0kgf/cm2)を超えたものであればよい。この圧縮応力の存在により、従来の構造よりも耐圧強度を向上させることができる。この圧縮応力は、約10kgf/cm2以上(約9.8×105N/m2以上)であることが好ましく、そして、約50kgf/cm2以下(約4.9×106N/m2以下)であることが好ましい。10kgf/cm2未満であると、圧縮歪みが弱く、ランプの耐圧強度を十分に上げられない場合が生じ得るからである。そして、50kgf/cm2を超えるような構成にするには、それを実現させるのに、実用的なガラス材料が存在しないからである。ただし、10kgf/cm2未満であっても、実質的に0の値を超えれば、従来の構造よりも耐圧を上げることができ、また、50kgf/cm2を超えるような構成を実現できる実用的な材料が開発されたならば、50kgf/cm2を超える圧縮応力を第2のガラス部7が有していてもよい。
封止部2における第1のガラス部8は、SiO2を99重量%以上含むものであり、例えば、石英ガラスから構成されている。一方、第2のガラス部7は、15重量%以下のAl23および4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiO2とを含むものであり、例えば、バイコールガラスから構成されている。SiO2にAl23やBを添加すると、ガラスの軟化点は下げるため、第2のガラス部7の軟化点は、第1のガラス部8の軟化点温度よりも低い。このように第2のガラス部7の軟化点を下げるために、第2のガラス部7に含有されるAl23とBの合計量は1重量%よりも多いことが好ましい。なお、バイコールガラス(Vycor glass;商品名)とは、石英ガラスに添加物を混入させて軟化点を下げて、石英ガラスよりも加工性を向上させたガラスであり、例えば、ホウケイ酸ガラスを熱・化学処理して、石英の特性に近づけることによって作製することができる。バイコールガラスの組成は、例えば、シリカ(SiO2)96.5重量%、アルミナ(Al23)0.5重量%、ホウ素(B)3重量%である。本実施形態では、バイコールガラス製のガラス管から、第2のガラス部7は形成されている。なお、バイコール製のガラス管の代わりに、SiO2:62重量%、Al23:13.8重量%、CuO:23.7重量%を成分とするガラス管を用いても良い。
放電空間内に一端が位置する電極棒3は、封止部2内に設けられた金属箔4に溶接により接続されており、金属箔4の少なくとも一部は、第2のガラス部7内に位置している。図1に示した構成では、電極棒3と金属箔4との接続部を含む箇所を、第2のガラス部7が覆うような構成にしている。図1(b)に示すように、封止部2の横断面(封止部2の長手方向に直交する断面)において、金属箔4の周囲全てが第2のガラス部7により覆われている。このように少なくとも金属箔4の一部は、その幅方向の周囲全てを第2のガラス部7により覆われており、この部分では金属箔4のエッジ部が第2のガラス部7に囲まれている。図1に示した構成における第2のガラス部7の寸法を例示すると、封止部2の長手方向の長さで、約2〜20mm(例えば、3mm、5mm、7mm)であり、第1のガラス部8と金属箔4との間に挟まっている第2のガラス部7の厚さは、約0.01〜2mm(例えば、0.1mm)である。第2のガラス部7の発光管1側の端面から、発光管1の放電空間10までの距離Hは、約0mm〜約6mm(例えば、0mm〜約3mm、または、1mm〜6mm)である。第2のガラス部7を放電空間10内に露出させたくない場合には、距離Hは0mmよりも大きくなり、例えば、1mm以上となる。そして、金属箔4の発光管1側の端面から、発光管1の放電空間10までの距離B(言い換えると、電極棒3だけで封止部2内に埋まっている長さ)は、例えば、約3mmである。
次に、封止部2における圧縮歪みについて説明する。図2(a)および(b)は、封止部2の長手方向(電極軸方向)に沿った圧縮歪みの分布を模式的に示しており、図2(a)は、第2のガラス部7が設けられたランプ100の構成の場合、一方、図2(b)は、第2のガラス部7の無いランプ100’の構成(比較例)の場合を示している。
図2(a)に示した封止部2のうち、第2のガラス部7に相当する領域(網掛け領域)に圧縮応力(圧縮歪み)が存在し、第1のガラス部8の箇所(斜線領域)における圧縮応力の大きさは、実質的にゼロである。一方、図2(b)に示すように、第2のガラス部7の無い封止部2の場合、局所的に圧縮歪みが存在している箇所はなく、第1のガラス部8の圧縮応力の大きさは、実質的にゼロである。
本願発明者は、実際にランプ100の歪みを定量的に測定し、封止部2のうち第2のガラス部7に圧縮応力が存在することを観測した。この歪みの定量化は、光弾性効果を利用した鋭敏色板法を用いて行った。歪みの定量化のために使用した測定器は、歪検査器(東芝製:SVP−200)であり、この歪検査器を用いると、封止部2の圧縮歪みの大きさを、封止部2に印加されている応力の平均値として求めることができる。
図12を参照しながら、光弾性効果を利用した鋭敏色板法による歪み測定の原理を簡単に説明する。図12(a)および(b)は、偏光板を透過させてなる直線偏光をガラスに入射させた状態を模式的に示している。ここで、直線偏光の振動方向をuとすると、uは、u1とu2とが合成してできたものとみなすことができる。
図12(a)に示すように、ガラスに歪みがないときは、その中をu1とu2とは同じ速さで通過するので、透過光のu1とu2との間にずれは生じない。一方、図12(b)に示すように、ガラスに歪みがあり、応力Fが働いているときは、その中をu1とu2とは同じ速さで通過しないので、透過光のu1とu2との間にずれが生じる。つまり、u1とu2のうち一方が他方より遅れることになる。この遅れた距離を光路差という。光路差Rは、応力Fと、ガラスの通過距離Lとに比例するため、比例定数をCとすると、
R = C・F・L
で表すことができる。ここで、各記号の単位は、それぞれ、R(nm)、F(kgf/cm2)、L(cm)、C({nm/cm}/{kgf/cm2})である。Cは、ガラス等の材質によるもので、光弾性常数と呼ばれる。上記式からわかるように、Cが知られていれば、LおよびRを測定すると、Fを求めることができる。
本願発明者は、封止部2における光の透過距離L、すなわち、封止部2の外径Lを測定し、そして、歪み標準器を用いて、測定時の封止部2の色から光路差Rを読みとった。また、光弾性常数Cは、石英ガラスの光弾性常数3.5を使用した。これらを上記式に代入し、算出された応力値の結果から金属箔4の長手方向の圧縮歪みを定量化した。
なお、本測定では、封止部2の長手方向(電極軸3が延びる方向)についての応力を観察したが、このことは、他の方向において圧縮応力が存在していないことを意味するものではない。封止部2の径方向(中心軸から外周へ向かう方向、またはその逆方向)、または、封止部2の周方向(例えば、時計周り方向)について圧縮応力が存在しているかどうかを測定するには、発光管1や封止部2を切断する必要があるのであるが、そのような切断を行ったとたん、第2のガラス部7の圧縮応力が緩和されてしまう。したがって、ランプ100に対して切断を行わない状態で測定できるのは、封止部2の長手方向についての圧縮応力であるため、本願発明者は、少なくとも、その方向での圧縮応力を定量化したのである。
本実施形態のランプ100では、第1のガラス部8の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部7に圧縮歪み(少なくとも長手方向への圧縮歪み)が存在しているので、高圧放電ランプの耐圧強度を向上させることができる。言い換えると、図1および図2(a)に示した本実施形態のランプ100の方が、図2(b)に示した比較例のランプ100’よりも、耐圧強度を高くすることができる。図1に示した本実施形態のランプ100は、従来の最高レベルの動作圧である20MPa程度を超える、30MPa以上の動作圧で動作させることが可能である。
次に、図13を参照しながら、第2のガラス部7に圧縮歪みが入っていることにより、ランプ100の耐圧強度が上がる理由を説明する。図13(a)は、ランプ100の封止部2の要部拡大図であり、一方、図13(b)は、比較例のランプ100’の封止部2の要部拡大図である。
ランプ100の耐圧強度が上がる機構については、実際のところ明確にわからない部分もあるが、本願発明者は、それについて次のように推論した。
まず前提として、封止部2内の金属箔4は、ランプ動作中に加熱・膨張するため、封止部2のガラス部には、金属箔4からの応力が加わる。より具体的に説明すると、ガラスよりも金属の方が熱膨張率が大きいことに加えて、電極棒3に熱的に接続されており、かつ、電流が通過する金属箔4の方が、封止部2のガラス部よりも加熱されやすいため、金属箔4から(特に、面積の小さい箔側面から)ガラス部へと応力が加わり易い。
ここで、図13(a)に示すように、第2のガラス部7の長手方向に圧縮応力が加わっていると、金属箔4からの応力16の発生を抑制することができると考えられる。言い換えると、第2のガラス部7の圧縮応力15によって、大きな応力16が生じるのを抑制することができると考えられる。その結果、例えば、封止部2のガラス部にクラックが生じたり、封止部2のガラス部と金属箔4との間でのリークの発生が低減して、封止部2の強度が向上することになる。
一方、図13(b)に示すように、第2のガラス部7の無い構造の場合には、金属箔4からの応力17は、図13(a)に示した構成の場合よりも、大きくなると考えらる。すなわち、金属箔4の周囲に、圧縮応力の加わっている領域が存在しないので、金属箔4からの応力17は、図13(a)に示した応力16よりも大きくなると思われる。それゆえ、図13(a)に示した構成の方が、図13(b)に示した構成よりも、耐圧強度を向上させることができると推論される。この考えは、ガラスに引っ張り歪み(引っ張り応力)が入っていると割れやすく、圧縮歪み(圧縮応力)が入っていると割れにくくなるというガラスの一般的な性質と相容れるものと思われる。
ただし、ガラスに圧縮応力が入っていると割れにくくなるというガラスの一般的な性質から、ランプ100の封止部2が高い耐圧強度を持つということまで推論することはできない。なぜならば、仮に、圧縮歪みが入っている領域のガラスの強度が増したとしても、封止部2全体として見たら、歪みがない場合と比較して、負荷が生じていることになるため、封止部2全体としての強度はかえって低下するという考えも成り立ち得るからである。ランプ100の耐圧強度が向上したという結果は、本願発明者がランプ100を試作し実験して初めてわかったことであり、まさに理論だけからは導き出せなかったものである。必要以上の大きな圧縮応力が第2のガラス部7(またはその外周周辺領域)に存在したままになれば、実際には、ランプ点灯時に封止部2の破損をもたらし、かえって、ランプの寿命を短くしてしまうことになるかもしれない。そのようなことを考えると、第2のガラス部7を有するランプ100の構造は、絶妙なバランスの下で、その高い耐圧強度を示しているものと考えられる。発光管1の部分を切断すると、第2のガラス部7の応力歪みが緩和されることから推測すると、第2のガラス部7の応力歪みによる負荷は、発光管1全体で上手く受け止めているのかもしれない。
なお、その高い耐圧強度を示す構造は、第1のガラス部8と第2のガラス部7との圧縮応力の差によって生じた圧縮応力が印加されている部位20によってもたらされているとも考えられる。つまり、第1のガラス部8には、実質的に圧縮応力が加わってなく、圧縮応力が印加されている部位20よりも中心側に位置する第2のガラス部7(または、その外周周辺)だけの領域に上手く圧縮歪みが閉じ込めることができたことにより、優れた耐圧特性を発揮させることに成功しているという推論も成立し得る。鋭敏色板法による歪み測定の原理に起因して、応力値が離散的に示されてしまう結果、図13等においては、圧縮応力が印加されている部位20が明確に示されているのであるが、仮に、現実の応力値を連続的に示せるとしても、歪み境界領域20においては応力値が急峻に変化していると考えられ、その急峻に変化する領域にて、逆に圧縮応力が印加されている部位20を規定することができると思われる。
ランプ100の第2のガラス部7は、図3に示すように、金属箔4全体を覆うように配置することもできるが、このような長い第2のガラス部7の場合に、新たに問題が生じることを本願発明者は見出した。以下、これを説明する。
金属箔4全体を覆うような第2のガラス部7の場合、その長さが例えば20mm程度になる。上述の特願2002−351524号明細書で述べられているように、第2のガラス部7の圧縮歪みは、発光管1内の水銀の蒸気圧(矢印25)によって加えられる。したがって、第2のガラス部7の前方部位7aには比較的圧縮歪みが入りやすいものの、それよりも後方の部位には、前方部位7aと比べると圧縮歪みは入りにくい。そうすると、発光管1側の端部から、所定の位置で圧縮歪みから引っ張り歪みへと遷移する箇所(例えば、図中7c)が現れることがある。この引っ張り歪みが現れると、それが原因で金属箔4延ばされて、金属箔4が切れてしまう。この現象は本願発明者の実験によって観測された。切れない場合でも金属箔4にシワが生じたりして、封止部の中央部付近にクラックが生じる原因となる。
また、金属箔4が切れたり等しない場合であっても、その部分(7c)の金属箔4が延ばされて薄くなると、断面積が小さくなるので、その箇所の抵抗が増大して、給電時に異常加熱して、異常動作が発生するおそれもある。
本願発明者は、比較的長い第2のガラス部7の場合に、金属箔4の箔切れ等を防止するために、鋭意研究した結果、第2のガラス部7の封止を連続でなく、不連続にすることによって、言い換えると、第2のガラス部7と第1のガラス部8との境界の一部(中央部)にキャビティ(空隙)を設けることによって、圧縮歪みと引っ張り歪みとによる応力を緩和して、金属箔4の箔切れ等を抑制できることを見出し、本発明に至った。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
(実施形態1)
図4を参照しながら、本発明の実施形態1に係る高圧放電ランプについて説明する。本実施形態の高圧放電ランプでは、封止部2のうちの第1のガラス部8と第2のガラス部7との境界の一部に、キャビティ(空隙)30が形成されており、この点、第1のガラス部8と第2のガラス部7との境界が連続的に接合された図3に示した高圧放電ランプ100と異なる。他の点は、基本的に図3に示した構成と同様である。したがって、説明の簡潔化のため、本実施形態の高圧放電ランプの符号も「100」とし、図3(または図1)に示した構成と重複する点は省略または簡略化するものとする。
本実施形態のランプ100は、封止部2を2つ備えたダブルエンド型のランプである。第2のガラス部7は、金属箔4全体を覆うように配置されているが、電極棒3と金属箔4との溶接部を少なくとも覆うように配置すればよい。溶接部を少なくとも覆うように配置すれば、例えば35MPaのような超高耐圧の条件下でも破損確率を低下させることができる。第2のガラス部7の長手方向の長さは、例えば、金属箔4の長手方向の長さの半分以上ある。
本実施形態における第2のガラス部7は、封止部2内に埋め込まれている部分の金属箔4の全部と、電極棒3の一部を覆っている。本実施形態の第2のガラス部7の寸法を例示すると、封止部2の長手方向の長さで、約10〜30mm(例えば、約20mm)である。
封止部2のうち、第1のガラス部8と第2のガラス部7との境界の一部には、キャビティ30が形成されている。より詳細には、電極棒3の先端(12)を前方として、第2のガラス部7を、前方部位17a、後方部位17c、および、前方部位17aと後方部位17cとの間に位置する中央部位17bに区分けしたときに、第2のガラス部7の中央部位17bと、第1のガラス部8との間の境界部に、キャビティ30が形成されている。キャビティ30が形成されていることによって、このキャビティ30が緩衝部となり、その結果、圧縮・引っ張りの歪みの遷移を抑制して、金属箔4の箔切れやシワの発生などを防止することができる。
前方部位17aの長手方向の長さは、例えば、約2〜10mm(例えば、3mm、5mm、7mm)である。後方部位17cも封止しているのは、外部リード5側からの空気の侵入を防止して、金属箔4の酸化を抑制するためである。後方部位17cの長手方向の長さは、金属箔4の酸化を防止できれば、特にその長さは限定されない。
また、キャビティ30内に少なくとも希ガスが封入されている場合、言い換えると、キャビティ30内に放電ガス(例えば、希ガスおよび/または水銀蒸気)が封入されている場合には、図5に示すように、封止部2のうちキャビティ30を含む部位の周囲に、アンテナ32を配置すると、ランプの始動電圧を低下させることが可能となる。アンテナ32は、導電性材料からなる線であり、そして、配線33に接続されている。本実施形態では、配線33は、アンテナ32が位置する方の封止部2とは、反対側の封止部2から延びた外部リードに接続されている。
このような構成にすると、始動電圧を低下できる理由を次に述べる。このような構成の場合、キャビティ30が存在する箇所に位置する金属箔4と、封止部2の外部に設けたアンテナ32とによってコンデンサが形成される。アンテナ32と金属箔4との間に高圧が印加されると、金属箔4とアンテナ32との間で(つまり、キャビティ30内で)微放電が発生する。この放電の光が、いわゆる光ファイバー効果によって封止部2を伝わり、発光管1内(つまり、放電空間10)へと導かれ、その結果、電極棒3表面から電子が放出され、始動電圧が低下するのである。
さらに詳細に説明する。キャビティ30内で放電が起きると、その放電により紫外線が発生する。この紫外線は、いわゆる光ファイバ的効果によって発光管1内へと流れ込み、発光管1内の物質(例えば希ガス)を光励起させ、それにより種電子が生まれる。その結果、始動時における電極3間の絶縁破壊をより低い電圧で行わせることが可能となる。つまり、低電圧始動の放電ランプを実現することができる。図5に示した本実施形態の高圧放電ランプ150の場合、ランプが冷えた状態からの始動(cold始動)において、点灯回路(バラスト)を用いて開放電圧940V(0−ピーク)、50kHzの正弦波をランプ端子(外部リード5)間に5.8kV印加したときに、2kV以下(例えば、1〜2kV)の電圧でランプを始動させることができる。これは、キャビティ30が存在しない場合の始動電圧(例えば10〜15kV)と比較して、非常に低い電圧でランプを始動させることができることを意味している。2kV以下(例えば、1〜2kV)の電圧でランプを始動できるのであれば、トランスを用いなくても点灯回路(バラスト)を構成することができるという別な効果も得られる。また、低電圧で始動できるので、始動時に生じるノイズも低減させることができる。
図5に示した本実施形態の構成の場合、金属箔4は第2のガラス部7に覆われているので、金属箔4およびそのエッジはキャビティ30に露出していない。したがって、金属箔4がキャビティ30に露出している場合には、キャビティ30内で生じる放電によって金属箔4(特に、そのエッジ)が劣化してしまうおそれがあるが、本実施形態の構成ではそのようなおそれはない。この点でも、本実施形態の構成の利点(例えば、長寿命)がある。また、第2のガラス部7がバイコールガラスから構成されている場合、バイコールガラス中のNaなどの元素が、キャビティ30の放電の開始を容易にし得る可能性もある。
なお、アンテナ32は図5に示したループ状だけに限らず、図6に示すようならせん状のアンテナ32でもよい。図6に示したアンテナ32は、キャビティ30を有する封止部2に配線33を巻き付けることによって形成されている。らせん状のアンテナ32の場合、キャビティ30全体を覆うので、キャビティ30内での放電をより確実に行うことができるという利点も得られる。また、図6に示すように、必ずしも、キャビティ30は両方の封止部2に設けなくても良く、一方の封止部2だけに形成してもよい。少なくとも一方の封止部2にキャビティ30を形成すれば、いずれの封止部2にキャビティ30が形成されていない構成と比べて、ランプの信頼を向上させることができるからである。
本実施形態のランプ100の耐圧強度(動作圧力)は、20MPa以上(例えば、30〜50MPa程度、またはそれ以上)にすることができる。また、管壁負荷は、例えば、60W/cm2程度以上であり、特に上限は設定されない。例示的に示すと、管壁負荷は、例えば、60W/cm2程度以上から、300W/cm2程度の範囲(好ましくは、80〜200W/cm2程度)のランプを実現することができる。冷却手段を設ければ、300W/cm2程度以上の管壁負荷を達成することも可能である。なお、定格電力は、例えば、150W(その場合の管壁負荷は、約130W/cm2に相当)である。
本実施形態の構成をさらに詳述すると、次の通りである。
ランプ100の発光管1は、略球形をしており、第1のガラス部8と同様に、石英ガラスから構成されている。なお、図4に示すように、発光管1はチップレスとなっている。したがって、発光物質6は、発光管1に開口部を設けて導入するのではなく、側管部から導入する必要がある。
長寿命等の優れた特性を発揮する高圧水銀ランプ(特に、超高圧水銀ランプ)を実現する上では、発光管1を構成する石英ガラスとして、アルカリ金属不純物レベルの低い(例えば、Na、K、Liのそれぞれの量が1ppm以下)高純度の石英ガラスを用いることが好ましい。なお、勿論、通常のアルカリ金属不純物レベルの石英ガラスを用いることも可能である。発光管1の外径は例えば5mm〜20mm程度であり、発光管1のガラス厚は例えば1mm〜5mm程度である。発光管1内の放電空間(10)の容積は、例えば0.01〜1cc程度(0.01〜1cm3)である。本実施形態では、外径9mm程度、内径4mm程度、放電空間の容量0.06cc程度の発光管1が用いられる。
発光管1内には、一対の電極棒(電極)3が互いに対向して配置されている。電極棒3の先端は、0.2〜5mm程度(例えば、0.6〜1.0mm)の間隔(アーク長)で、発光管1内に配置されており、電極棒3のそれぞれは、タングステン(W)から構成されている。タングステン製の電極棒3も、アルカリ金属不純物レベルの低い(例えば、Na、K、Liのそれぞれの量が1ppm以下)ものを使用することが好ましいが、通常のアルカリ金属不純物レベルの電極棒3を用いることも可能である。電極棒3の先端には、ランプ動作時における電極先端温度を低下させることを目的として、コイル12が巻かれている。本実施形態では、コイル12として、タングステン製のコイルを用いているが、トリウム−タングステン製のコイルを用いてもよい。また、電極棒3も、タングステン棒だけでなく、トリウム−タングステンから構成された棒を使用してもよい。
発光管1内には、発光物質として、水銀6が封入されている。超高圧水銀ランプとしてランプ100を動作させる場合、発光管1の内容積を基準にして、例えば、200mg/cc程度またはそれ以上(220mg/cc以上または230mg/cc以上、あるいは250mg/cc以上)、好ましくは、300mg/cc程度またはそれ以上(例えば、300mg/cc〜500mg/cc)の水銀と、5〜30kPaの希ガス(例えば、アルゴン)が発光管1内に封入されている。
また、発光管1内には、分解してハロゲンを生じるハロゲン前駆体が封入されている。ハロゲン前駆体は、例えば、CH2Br2、HBr、HgBr2などである。本実施形態では、ハロゲン前駆体として、臭化水銀(HgBr2)が封入されている。ハロゲン前駆体から分解して生じるハロゲン(すなわち、Br)は、ランプ動作中に電極棒3から蒸発したW(タングステン)を再び電極棒3に戻すハロゲンサイクルの役割を担っている。HgBr2の封入量は、例えば、0.002〜0.2mg/cc程度であり、これは、ランプ動作時のハロゲン原子密度に換算すると、例えば、0.01〜1μmol/cc程度に相当する。
HgBr2を用いた場合の利点の一つを述べると、HgBr2が分解した後に生じるものが、BrとHgである点である。つまり、ハロゲン以外の成分が既に封入されている元素と同じ水銀という点である。この点、水素(H)が生じ得るCH2Br2やHBrと異なる。水素は、再びハロゲンと結びつく可能性があるので、遊離ハロゲンの量が遊離水素の量に依存して、定まらないおそれがある。国際出願番号PCT/JP00/04561号明細書で開示されているように、発光管1内にハロゲンサイクルに寄与するハロゲンを常に確保して、ハロゲンサイクルを確実に実行させることにより、発光管1に生じる黒化を積極的に防止することができる。しかしながら、分解して生じる水素(遊離水素)が生じる場合を想定すると、その遊離水素と結びついたハロゲンは、必ずしも、ハロゲンサイクルに寄与するハロゲンであるとは言えないので、ハロゲンサイクルに確実に寄与できる遊離ハロゲンの量が定まらず、積極的に黒化を防止できない可能性が出てくる。すると、そのような可能性を排除できるHgBr2の方がハロゲン導入量を算定しやすく、利点が大きいことがわかる。
なお、本実施形態において、発光管1内に封入されるハロゲン前駆体から生じるハロゲンのモル数は、ハロゲンと結合する性質を有する金属元素(ただし、タングステン元素および水銀元素を除く)であって発光管1内に存在する金属元素の合計モル数と、ランプ動作中において電極3から蒸発して発光管1内に存在するタングステンのモル数との和よりも多いようにすることが好ましい。このようにすれば、発光管1内にハロゲンサイクルに寄与するハロゲンを常に確保して、ハロゲンサイクルを確実に実行させることができるからである。ハロゲンと結合する性質を有する金属元素の代表例は、タングステン元素および水銀元素を除くと、アルカリ金属元素(Na、K、Liなど)である。
上述したように、封止部2の断面形状は、略円形であり、そのほぼ中央部に金属箔4が設けられている。金属箔4は、例えば、矩形のモリブデン箔(Mo箔)であり、金属箔4の幅(短辺側の長さ)は、例えば、1.0mm〜2.5mm程度(好ましくは、1.0mm〜1.5mm程度)である。金属箔4の厚さは、例えば、15μm〜30μm程度(好ましくは、15μm〜20μm程度)である。厚さと幅との比は、だいたい1:100程度になっている。また、金属箔4の長さ(長辺側の長さ)は、例えば、5mm〜50mm程度である。
電極棒3が位置する側と反対側には、外部リード5が溶接により設けられている。金属箔4のうち、電極棒3が接続された側と反対側には、外部リード5が接続されており、外部リード5の一端は、封止部2の外まで延びている。外部リード5を点灯回路(不図示)に電気的に接続することにより、点灯回路と、一対の電極棒3とが電気的に接続されることになる。封止部2は、封止部のガラス部(7、8)と金属箔4とを圧着させて、発光管1内の放電空間10の気密を保持する役割を果たしている。封止部2によるシール機構を以下に簡単に説明する。
封止部2のガラス部を構成する材料と、金属箔4を構成するモリブデンとは互いに熱膨張係数が異なるので、熱膨張係数の観点からみると、両者は、一体化された状態にはならない。ただし、本構成(箔封止)の場合、封止部のガラス部からの圧力により、金属箔4が塑性変形を起こして、両者の間に生じる隙間を埋めることができる。それによって、封止部2のガラス部と金属箔4とを互いに圧着させた状態にすることができ、封止部2で発光管1内のシールを行うことができる。すなわち、封止部2のガラス部と金属箔4との圧着による箔封止によって、封止部2のシールは行われている。本実施形態では、圧縮歪みのある第2のガラス部7が設けられているので、このシール構造の信頼性が向上されている。
本実施形態のランプ100では、第1のガラス部8の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部7に圧縮歪み(少なくとも長手方向への圧縮歪み)が存在しているので、高圧放電ランプの耐圧強度を向上させることができる。そして、第2のガラス部7の中央部17bと第1のガラス部8との間にキャビティ30が形成されているので、金属箔4の箔切れ等を防止することができる。
さらに、キャビティ30の周囲にアンテナ32を設けることによって、高圧放電ランプの始動電圧を低下させることもできる。この際、金属箔4はキャビティ30に露出していないので、金属箔4の箔劣化も防ぐことができる。
なお、図4に示した構成では、一対の封止部2のいずれにも、第2のガラス部7を設けたが、これに限らず、一方の封止部2だけに、第2のガラス部7を設けても、図2(b)に示した比較例のランプ100’よりも耐圧強度を向上させることができる。ただし、両方の封止部2に第2のガラス部7を設けた構成で、かつ、両方の封止部2が圧縮応力が印加されている部位を有する構成にした方が好ましい。これは、一方の封止部よりも、両方の封止部2が圧縮応力が印加されている部位を有している方がより高い耐圧を達成することができるからであり、単純に考えて、圧縮応力が印加されている部位を有する封止部を一つ備えているときよりも、2つ備えているときの方が、封止部でリークが生じる確率(すなわち、あるレベルの高耐圧を保持できない確率)を1/2にすることが可能となるからである。
また、本実施形態では、水銀6の封入量の多い高圧水銀ランプ(例えば、水銀封入量150mg/cm3以上の超高圧水銀ランプ)について説明したが、水銀蒸気圧がそれほど高くない1MPa程度の高圧水銀ランプにも好適に適用することができる。なぜならば、動作圧力が極めて高くても安定して動作できるということは、ランプの信頼性が高いことを意味するからである。すなわち、本実施形態の構成を、動作圧力のそれほど高くないランプ(ランプの動作圧力が30MPa程度未満、例えば、20MPa程度〜1MPa程度)に適用した場合、当該動作圧力で動作するランプの信頼性を向上させ得ることになるからである。本実施形態の構成は、封止部2に、新たな部材として第2のガラス部7の部材を導入するだけでよいので、少ない改良で耐圧向上の効果を得ることができる。したがって、非常に工業的な用途に適しているものである。また、第2のガラス部7の組成変形を防止する手法として、その組成変形の機構を考慮した上でハロゲン前駆体としてHgBr2を用いたことも、少ない改良で耐圧向上の効果を確実に維持することができるので、工業的な用途に適しているものである。
次に、図7を参照しながら、本実施形態に係るランプ100の製造方法を説明する。
まず、ランプ100の発光管(1)となる発光管部1’と、発光管部1’から延在した側管部2’とを有する放電ランプ用ガラスパイプ80を用意する。本実施形態のガラスパイプ80は、外径6mm、内径2mmの筒状石英ガラスの所定位置を加熱し膨張させて、略球形の発光管部1’を形成したものである。また、別途、第2のガラス部7となるガラス管70を用意する。本実施形態のガラス管70は、外径1.9mm、内径1.7mm、長さ(長手方向長さ)20mmのバイコール製ガラス管である。ガラス管70の外径は、ガラスパイプ80の側管部2’に挿入できるように、側管部2’の内径よりも小さくしてある。
図7に示した長いガラス管(ロングバイコール管)70は、一端(すなわち、発光管部1’と反対側の端部)の径が小さくされており、これによりガラス管70は固定されている。固定方法としては、径が小さくなった箇所で外部リード5を押さえるようにしてもよいし、パイプ80を実質的に鉛直にした上で、ガラス管70の径が小さくなった箇所を金属箔(モリブデン箔)4の角に引っかけるようにしてもよい。
次に、ガラスパイプ80の側管部2’にガラス管70を固定した後、別途作製した電極構造体50を、ガラス管70が固定された側管部2’に挿入し、次いで、電極構造体50挿入後のガラスパイプ80の両端を、気密性を保ちながら、回転可能なチャック(不図示)に取り付ける。チャックは、真空系(不図示)に接続されており、ガラスパイプ80内を減圧することができる。ガラスパイプ80内を真空排気した後、200torr程度(約20kPa)の希ガス(Ar)を導入する。その後、電極棒3を回転中心軸として、矢印81の方向に、ガラスパイプ80を回転させる。
なお、電極構造体50は、電極棒3と、電極棒3に接続された金属箔4と、金属箔4に接続された外部リード5とから構成されている。電極棒3は、タングステン製電極棒であり、その先端にはタングステン製コイル12が巻きつけられている。外部リード5の一端には、側管部2’の内面に電極構造体50を固定するための支持部材(金属製の留め金)11が設けられている。図4に示した支持部材11は、モリブデンからなるモリブデンテープ(Moテープ)であるが、これに代えて、モリブデン製のリング状のバネを用いてもよい。
次に、側管部2’およびガラス管70を加熱・収縮させて、電極構造体50を封止する。この時、図7中の部位Aおよび部位Cは、加熱・収縮させるが、部位Bについては、加熱・収縮させない。つまり、不連続に封止する。これによって、部位Bにキャビティ30を形成することができる。また、この際、側管部2’内に希ガスが充填されているので、希ガスが封入されたキャビティ30を形成することができる。
この封止部2の形成工程では、発光管部1’と側管部2’との間の境目部分から、外部リード5の方へ、例えばバーナー(または、CO2レーザ)を用いて加熱していく。なお、外部リード5の方から、発光管部1’の方へ、加熱・収縮を行ってもよい。
一方の封止部2が形成された後は、開放している側管部2’側の端部から、所定量の水銀6(例えば、200mg/cc程度、または、300mg/cc程度、あるいはそれ以上)を導入する。そして、このとき、ハロゲン前駆体(例えば、固体のHgBr2)も導入する。水銀6とハロゲン前駆体との導入の順番は特に問わない。両者を同時でもよいし、いずれかを先に導入してもよい。
水銀6およびハロゲン前駆体の導入後、他方の側管部2’についても上記と同様の工程を実行する。すなわち、まだ封止されていない側管部2’に電極構造体50を挿入した後、ガラスパイプ80内を真空引きして(好ましくは、10-4Pa程度まで減圧して)、希ガスを封入し、次いで、加熱封止する。この時の加熱封止の際は、水銀が蒸発するのを防ぐため、発光管部1’を冷却しながら行うことが好ましい。このようにして、両方の側管部2’を封止すると、第2のガラス部7を封止部2内に有し、且つ、封止部2内にキャビティ30を有するランプが完成する。
次に、図14(a)および(b)を参照しながら、封止部形成工程により、第2のガラス部7(または、その外周周辺部)に圧縮応力が加わる機構を説明する。なお、この機構は、本願発明者が推考したものであり、必ずこの通りになっているとは言い切れない。しかし、例えば図3(a)に示したとおり、第2のガラス部7(またはその外周周辺部分)に圧縮応力(圧縮歪み)が存在するのは事実であるし、そして、その圧縮応力が加わった部位を含む封止部2によって耐圧が向上することも事実である。
図14(a)は、側管部2’状態の第1のガラス部8内に、ガラス管70状態の第2のガラス部7aを挿入した時点の断面構成を模式的に示し、一方、図14(b)は、図14(a)の構成において第2のガラス部7aが軟化して溶融状態7bになった時点の断面構成を模式的に示している。本実施形態において、第1のガラス部8は、SiO2を99wt%以上含む石英ガラスから構成され、そして、第2のガラス部7aは、バイコールガラスから構成されている。
まず前提として、圧縮応力(圧縮歪み)が存在するということは、互いに接触する材料同士の熱膨張係数に差があることが多い。すなわち、封止部2内に設けられた状態の第2のガラス部7に圧縮応力が加わっている理由としては、両者の熱膨張係数に差があると考えるのが一般的である。しかし、この場合、実際には、両者の熱膨張係数に大きな差はなく、ほぼ等しいと言える。より具体的に説明すると、金属であるタングステンおよびモリブデンの熱膨張係数が、それぞれ、約46×10-7 /℃および約37〜53×10-7 /℃であるところ、第1のガラス部8を構成する石英ガラスの熱膨張係数は、約5.5×10-7 /℃であり、そして、バイコールガラスの熱膨張係数は、石英ガラスの熱膨張係数と同レベルとみなせる約7×10-7 /℃である。僅かこれくらいの熱膨張係数の差で、両者の間に、約10kgf/cm2以上の圧縮応力が発生するとは思えない。両者の性質の違いは、熱膨張係数よりも、むしろ軟化点または歪点にあり、この点に着目すると、次のような機構により、圧縮応力が加わることが説明できると思われる。なお、石英ガラスの軟化点および歪点は、それぞれ、1650℃および1070℃(徐冷点は、1150℃)であり、一方、バイコールガラスの軟化点および歪点は、それぞれ、1530℃および890℃(徐冷点は、1020℃)である。
図14(a)に示した状態から、第1のガラス部8(側管部2’)を外側から加熱してシュリンクさせると、最初、両者の間にあった隙間7cが埋まり、両者は接する。シュリンク後においては、図14(b)に示すように、軟化点が高く、外気に触れる面積の多い第1のガラス部8の方が先に軟化状態から解放された時点(つまり、固まった時点)でも、それよりも内側に位置し、かつ、軟化点の低い第2のガラス部7bは、依然として、軟化したまま(溶融状態のまま)の時点が存在する。このときの第2のガラス部7bは、第1のガラス部8と比較して、流動性を持っており、仮に通常時(軟化状態でない時点)の両者の熱膨張係数がほぼ同じであったとしても、この時点の両者の性質(例えば、弾性率、粘度、密度など)は大きく異なっていると考えられる。そして、さらに時間が経過し、流動性を持っていた第2のガラス部7bが冷えて、第2のガラス部7bの温度が軟化点も下回ると、第2のガラス部7も、第1のガラス部8と同様に固まることになる。ここで、第1のガラス部8と第2のガラス部7との軟化点が同じであれば、外側から徐々に冷えて圧縮歪みが残らないように、両方のガラス部が固まるのであろうが、本実施形態の構成の場合、外側のガラス部(8)が早めに固まって、しばらくしてから、内側のガラス部(7)が固まるため、当該内側の第2のガラス部7に圧縮歪みが残ることになると思われる。このようなことを考えると、第2のガラス部7は、一種のピンチングが間接的に行われた状態になったと言えるかもしれない。
なお、このような圧縮歪みが残っていると、通常、両者の熱膨張率の差によって、ある温度で両者(7、8)の密着状態が終わってしまうことになるのであろうが、本実施形態の構成の場合、両者の熱膨張率がほぼ等しいので、圧縮歪みが存在していても、両者(7、8)の密着状態が保持できると推測される。
さらに、第2のガラス部7に約10kgf/cm2以上の圧縮応力を与えるためには、上述した作製方法で完成させたランプ(ランプ完成体)に対して、第2のガラス部の歪点温度よりも高い温度で加熱することが必要なことがわかった。そして、1030℃で2時間以上、加熱することが好ましいこともわかった。具体的には、完成したランプ100を1030℃の炉に入れて、アニール(例えば、真空ベークまたは減圧ベーク)すればよい。なお、1030℃の温度は例示であり、第2のガラス部(バイコールガラス)7の歪点温度よりも高い温度であればよい。すなわち、バイコールの歪点温度890℃よりも大きければよい。好適な範囲は、バイコールの歪点温度890℃より大きく、第1のガラス部(石英ガラス)の歪点温度(SiO2の歪点温度1070℃)よりも低い温度であるが、1080℃や1200℃程度の温度で本願発明者が実験した場合において効果がある場合もあった。
なお、比較参考のために、アニールを行っていない高圧放電ランプについて、鋭敏色板法による測定を行ったところ、高圧放電ランプの封止部に第2のガラス部7を設けた構成であるにもかかわらず、封止部に約10kgf/cm2以上の圧縮応力は観測されなかった。
アニール(または真空ベーク)の時間については、2時間以上であれば、経済的な観点からみた上限を除けば、特に上限はない。2時間以上の範囲で、好適な時間を適宜設定すればよい。また、2時間未満でも、効果がみられる場合には、2時間未満での熱処理(アニール)を行ってもよい。このアニール工程により、ランプの高純度化、言い換えると、不純物の低減が達成されているかもしれない。なぜならば、ランプ完成体をアニールすることにより、ランプに悪影響を及ぼすと考えられる水分(例えば、バイコール中の水分)をランプから飛ばすことができると思われるからである。アニールを100時間以上すれば、ほぼ完全にバイコール中の水分をランプ内から除去することが可能である。
上述の説明では、第2のガラス部7をバイコールガラスから構成した例で説明したが、SiO2:62重量%、Al23:13.8重量%、CuO:23.7重量%を成分とするガラス(商品名;SCY2、SEMCOM社製。歪点;520℃)から第2のガラス部7を構成した場合でも、少なくとも長手方向に圧縮応力が印加された状態になることもわかった。
次に、本願発明者が推論した、ランプ完成体に対して所定の温度で所定時間以上のアニールを施すと、ランプの第2のガラス部7に圧縮応力が加わる機構について図15を参照しながら説明する。
まず、図15(a)に示すように、ランプ完成体を用意する。なお、ランプ完成体の作製方法は上述した通りである。
次に、そのランプ完成体を加熱すると、図15(b)に示すように、水銀(Hg)6が蒸発を始め、その結果、発光管1内および第2のガラス部7にも圧力が加わる。図中の矢印は、水銀6の蒸気による圧力(例えば、100気圧以上)を表している。発光管1内だけでなく、第2のガラス部7にも水銀6の蒸気圧が加わる理由は、目には見えない程度の隙間13が電極棒3の封止部分にあるからである。
さらに加熱の温度を上げて、第2のガラス部7の歪点を越える温度(例えば、1030℃)で加熱を続けると、第2のガラス部7が軟らかい状態で、水銀の蒸気圧が第2のガラス部7に加わるため、第2のガラス部7において圧縮応力が発生する。圧縮応力が発生する時間は、例えば歪点で加熱したときに約4時間、徐冷点で加熱したときに約15分であると推測される。この時間は、歪点および徐冷点の定義から導き出したものである。すなわち、歪点とは、この温度で4時間保つと内部歪が実質的に除去できる温度を意味し、徐冷点とは、この温度で15分保つと内部応力が実質的に除去できる温度を意味するところから、上記時間は推測されている。
次に、加熱をやめて、ランプ完成体を冷却させる。加熱をやめた後も、図15(c)に示すように、水銀は蒸発したままであるので、水銀蒸気による圧力を受け続けながら第2のガラス部7は歪点より温度が低くなり、その結果、図18に示すように、第2のガラス部7に圧縮応力が、金属箔4の長手方向だけではなく径方向などにも残留することになる(但し、歪検査器では長手方向の圧縮応力しか確認できない)。
最後に、室温程度まで冷却が進むと、図15(d)に示すように、第2のガラス部7に圧縮応力が約10kgf/cm2以上存在するランプ100が得られる。図15(b)および(c)に示したように、水銀の蒸気圧は、両方の第2のガラス部7に圧力を加えるため、この手法によれば、両方の封止部2に約10kgf/cm2以上の圧縮応力を確実に加えることができる。
この加熱プロファイルを模式的に図16に示す。まず、加熱を始めると(時間O)、その後、第2のガラス部7の歪点(T2)の温度に達する(時間A)。次に、第2のガラス部7の歪点(T2)と第1のガラス部8の歪点(T1)との間の温度で、ランプを所定時間保持する。この温度領域は、基本的に、第2のガラス部7だけが変形可能な範囲とみなすことができる。この保持の間に、図17の概略図に示すように、水銀蒸気圧(例えば、100気圧以上)によって第2のガラス部7に圧縮応力が入る。
なお、水銀蒸気圧によって第2のガラス部7へ圧力を加えることが、アニール処理を最も効果的に利用する手法と思えるが、図16におけるT2以上T1以下の温度範囲でランプを保持している時であれば、第2のガラス部7へ何らかの力を加えることができれば、水銀蒸気圧だけでなく、その力によって(例えば外部リード5を押すことによって)、第2のガラス部7に圧縮応力を加えることも可能であると推測する。
次に、加熱をやめると、ランプが冷却していき、時間B以降、第2のガラス部7の温度は歪点(T2)を下回る。歪点(T2)を下回ると、第2のガラス部7の圧縮応力は残留することになる。本実施形態では、1030℃で150時間保持した後、冷却(自然冷却)することによって、第2のガラス部7の圧縮応力を印加して残留させる。
上記のようなメカニズムで、水銀蒸気圧によって圧縮応力が発生するので、圧縮応力の大きさは、水銀蒸気圧(言い換えると、封入水銀量)に依存することになる。
一般的に、水銀量が多くなるほどランプは破裂しやすくなるところ、本実施形態の封止構造を用いると、水銀量を多くするほど圧縮応力が大きくなり、耐圧が向上する。つまり、本実施形態の構成によれば、水銀量を多くするほど高い耐圧構造を実現することができるため、現在の技術では実現できなかったような、極めて高耐圧での安定点灯を可能にする。
本実施形態では、封止部2にキャビティ30が形成されているので、アニールの際に、圧縮歪みから引っ張り歪みへと遷移する箇所(例えば、図3中の7c)が生じないようにすることができる。したがって、アニール時またはその直後や初期動作時に、金属箔4が切れてしまうことや、金属箔4にシワが生じたりすることを防止できる。加えて、金属箔4の所定箇所(例えば、中央部)が薄くなってその箇所の抵抗が増大してしまうようなことも、抑制することができる。
つまり、本実施形態の高圧放電ランプの製造方法では、ガラス管70の前方部位(図4中17a、図7中の部位A)および後方部位(図4中17c、図7中の部位C)を側管部2’に密着させるので、中央部位(図4中17b、図7中の部位B)と側管部2’との間にキャビティ30を容易に形成することができ、このキャビティ30によって金属箔4の箔切れ等を防止することができる。また、本実施形態の製造方法によれば、キャビティ30内に希ガスを容易に導入することができるので、高耐圧を示すとともに、始動電圧の低い高圧放電ランプを作製することができる。
(実施形態2)
図8を参照しながら、本発明の実施形態2に係る高圧放電ランプについて説明する。図8は、本実施形態の高圧放電ランプ200の構成を模式的に示している。ランプ200の封止部2にキャビティ30が封入されている点は、上記実施形態1の高圧放電ランプ100と同様である。
上記実施形態1のランプ100の耐圧強度を更に向上させるには、図8に示したランプ200のように、封止部2内に埋め込まれた部分における電極棒3の少なくとも一部の表面に、金属膜(例えば、Pt膜)35を形成することが好ましい。金属膜35は、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属から構成されていればよい。金属膜35は、例えば、Pt層からなる単層でもよいし、密着性の観点から、下層がAu層で、上層が例えばPt層のようにしてもよい。
ランプ200では、封止部2に埋め込まれている部分の電極棒3の表面に金属膜35が形成されているため、電極棒3の周囲に位置するガラスに、微小なクラックが発生することを防止することができる。すなわち、ランプ200では、ランプ100で得られる効果に加えて、クラック発生防止という効果も得られ、それにより、さらに耐圧強度を向上させることができる。以下、クラック発生防止効果について説明を続ける。
封止部2内に位置する電極棒3に金属膜35の無いランプの場合、ランプ製造工程における封止部形成の際に、封止部2のガラスと電極棒3とが一度密着した後、冷却時において、両者の熱膨張係数の差違により、両者は離されることになる。この時に、電極棒3の周囲の石英ガラスにクラックが生じる。このクラックの存在により、クラックの無い理想的なランプよりも、耐圧強度が低下することになる。
図8に示したランプ200の場合、表面にPt層を有する金属膜35が電極棒3の表面に形成されているので、封止部2の石英ガラスと、電極棒3の表面(Pt層)との間の濡れ性が悪くなっている。つまり、タングステンと石英ガラスとの組み合わせの場合よりも、白金と石英ガラスとの組み合わせの場合の方が、金属と石英ガラスとの濡れ性が悪くなるため、両者は引っ付かずに、離れやすくなるのである。その結果、電極棒3と石英ガラスとの濡れ性の悪さにより、加熱後の冷却時における両者の離れがよくなり、微細なクラックの発生を防止することが可能となる。このような濡れ性の悪さを利用してクラックの発生を防止するという技術的思想に基づいて作製されたランプ200は、ランプ100よりも更に高い耐圧強度を示す。
なお、図8に示したランプ200の構成に代えて、図9に示すランプ300の構成にしても良い。ランプ300は、図4に示したランプ100の構成において、表面を金属膜35で被覆したコイル40を、封止部2に埋め込まれている部分の電極棒3の表面に巻き付けたものである。言い換えると、ランプ300は、Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも1種の金属を少なくとも表面に有するコイル40が電極棒3の根本に巻き付けられた構成を有している。なお、図9に示した構成では、コイル40は、発光管1の放電空間10内に位置する電極棒3の部分にまで巻かれている。図9に示したランプ300の構成でも、コイル40表面の金属膜35によって、電極棒3と石英ガラスとの濡れ性を悪くすることができ、その結果、微細なクラックの発生を防止することができる。
コイル40の表面の金属は、例えば、メッキにより形成すればよい。図8に示した構成と同じように、ここでも、金属膜35は、例えば、Pt層からなる単層でもよいし、密着性の観点から、下層がAu層で、上層が例えばPt層のようにしてもよい。なお、密着性の観点からは、コイル40上に、まず下層となるAu層を形成し、次いで、上層となる例えばPt層を形成することが好ましいが、Pt(上層)/Au(下層)メッキの2層構造にせずに、Ptメッキだけを施したコイル40でも、実用上の十分な密着性を確保することができる。
Pt、Ir、Rh、Ru、Reからなる群から選択される少なくとも一種の金属(「Pt等」とも称する。)を、電極棒3の表面またはコイル40の表面に設けた構成の場合において、本発明の実施形態の構成のように、金属箔4の周囲に第2のガラス部7が存在する意義は非常に大きい。これについて、さらに説明を続ける。Pt等の金属は、ランプ製造工程(封止工程)において、加工中の加熱によっていくらか蒸発する可能性があるため、それが金属箔4のところに拡散すると、金属箔とガラスとの密着を弱める結果を招き、耐圧を低下させてしまうことがある。しかし、本実施形態の構成のように、金属箔4の周囲に第2のガラス部7を設け、そこに圧縮歪みを存在させると、もはや、Pt等とガラスとの間の濡れ性の悪さは無関係となり、その結果、Pt等の拡散が招く耐圧低下を防止することができる
なお、図8および図9に示した構成においては、ハロゲン(より詳細にはハロゲン前駆体)の封入形態として、CH2Br2のようなガスを用いるよりも、HgBr2のような(室温で)固体をなしている形態のものを採用することが好ましいことを付言しておく。その理由は、バイコールガラスが、封止された時にガス状ハロゲンと反応して変質するのと同様に、Pt等の金属がガス状ハロゲンによってエッチングされるおそれがあるからである。
さらに、本発明の実施形態のランプ100、200、300は、反射鏡と組み合わせて、ミラー付きランプないしランプユニットにすることができる。
図10は、本実施形態のランプ100を備えたミラー付きランプ900の断面を模式的に示している。
ミラー付ランプ900は、略球形の発光管1と一対の封止部2とを有するランプ100と、ランプ100から発せられた光を反射する反射鏡60とを備えている。なお、ランプ100は例示であり、勿論、ランプ200または300であってもよい。また、ミラー付ランプ900は、反射鏡60を保持するランプハウスをさらに備えていてもよい。ここで、ランプハウスを備えた構成のものは、ランプユニットに包含されるものである。
反射鏡60は、例えば、平行光束、所定の微小領域に収束する集光光束、または、所定の微小領域から発散したのと同等の発散光束になるようにランプ100からの放射光を反射するように構成されている。反射鏡60としては、例えば、放物面鏡や楕円面鏡を用いることができる。
本実施形態では、ランプ100の一方の封止部2に口金56が取り付けられており、当該封止部2から延びた外部リード(5)と口金56とは電気的に接続されている。封止部2と反射鏡60とは、例えば無機系接着剤(例えばセメントなど)で固着されて一体化されている。反射鏡60の前面開口部側に位置する封止部2の外部リード5には、引き出しリード線65が電気的に接続されており、引き出しリード線65は、リード線5から、反射鏡60のリード線用開口部62を通して反射鏡60の外にまで延ばされている。反射鏡60の前面開口部には、例えば前面ガラスを取り付けることができる。
このようなミラー付ランプないしランプユニットは、例えば、液晶やDMDを用いたプロジェクタ等のような画像投影装置に取り付けることができ、画像投影装置用光源として使用される。また、このようなミラー付ランプないしランプユニットと、画像素子(DMD(Digital Micromirror Device)パネルや液晶パネルなど)を含む光学系とを組み合わせることにより、画像投影装置を構成することができる。例えば、DMDを用いたプロジェクタ(デジタルライトプロセッシング(DLP)プロジェクタ)や、液晶プロジェクタ(LCOS(Liquid Crystal on Silicon)構造を採用した反射型のプロジェクタも含む。)を提供することができる。さらに、本実施形態のランプ、およびミラー付ランプないしランプユニットは、画像投影装置用光源の他に、紫外線ステッパ用光源、または競技スタジアム用光源や自動車のヘッドライト用光源、道路標識を照らす投光器用光源などとしても使用することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、発光物質として水銀を使用する水銀ランプを高圧放電ランプの一例として説明したが、本発明は、封止部(シール部)によって発光管の気密を保持する構成を有するいずれの高圧放電ランプにも適用可能である。例えば、金属ハロゲン化物を封入したメタルハライドランプやキセノンなどの高圧放電ランプにも適用することができる。メタルハライドランプ等においても、耐圧が向上すればするほど好ましいからである。つまり、リーク防止やクラック防止を図ることにより、高信頼性で長寿命のランプを実現することができるからである。 また、水銀だけでなく金属ハロゲン化物も封入されているメタルハライドランプに、上記実施形態の構成を適用する場合には、次のような効果も得られる。すなわち、第2のガラス部7を設けることにより、封止部2内における金属箔4の密着性を向上させることができ、金属箔4と金属ハロゲン化物(または、ハロゲンおよびアルカリ金属)との反応を抑制することが可能となり、その結果、封止部の構造の信頼性を向上させることができる。特に、図4、図7や図8に示した構成のように、金属棒3の部分に第2のガラス部7が位置している場合には、金属棒3と封止部2のガラスの間にある僅かな隙間から侵入して金属箔4に反応して箔の脆化をもたらす金属ハロゲン化物のその侵入を第2のガラス部7により効果的に軽減させることが可能となる。このように、上記実施形態の構成は、メタルハライドランプに好適に適用可能である。
近年、水銀を封入しない無水銀メタルハライドランプの開発も進んでいるが、そのような無水銀メタルハライドランプに、上記実施形態の技術を適用することも可能である。以下、さらに詳述する。
上記実施形態の技術が適用された無水銀メタルハライドランプとしては、図4図8または図9に示した構成において、発光管1内に、水銀が実質的に封入されてなく、かつ、少なくとも、第1のハロゲン化物と、第2のハロゲン化物と、希ガスとが封入されているものが挙げられる。このとき、第1のハロゲン化物の金属は、発光物質であり、第2のハロゲン化物は、第1のハロゲン化物と比較して、蒸気圧が大きく、かつ、前記第1のハロゲン化物の金属と比較して、可視域において発光しにくい金属の1種または複数種のハロゲン化物である。例えば、第1のハロゲン化物は、ナトリウム、スカンジウム、および希土類金属からなる群から選択された1種または複数種のハロゲン化物である。そして、第2のハロゲン化物は、相対的に蒸気圧が大きく、かつ、第1のハロゲン化物の金属と比較して、可視域に発光しにくい金属の1種または複数種のハロゲン化物である。具体的な第2のハロゲン化物としては、Mg、Fe、Co、Cr、Zn、Ni、Mn、Al、Sb、Be、Re、Ga、Ti、ZrおよびHfからなる群から選択された少なくとも一種の金属のハロゲン化物である。そして、少なくともZnのハロゲン化物を含むような第2のハロゲン化物がより好適である。
また、他の組み合わせ例を挙げると、透光性の発光管(気密容器)1と、発光管1内に設けられた一対の電極3と、発光管1に連結された一対の封止部2とを備えた無水銀メタルハライドランプにおける発光管1内に、発光物質であるScI3(ヨウ化スカンジウム)およびNaI(ヨウ化ナトリウム)と、水銀代替物質であるInI3(ヨウ化インジウム)およびTlI(ヨウ化タリウム)と、始動補助ガスとしての希ガス(例えば1.4MPaのXeガス)が封入されているものである。この場合、第1のハロゲン化物は、ScI3(ヨウ化スカンジウム)、NaI(ヨウ化ナトリウム)となり、第2のハロゲン化物は、InI3(ヨウ化インジウム)、TlI(ヨウ化タリウム)となる。なお、第2のハロゲン化物は、比較的蒸気圧が高く、水銀の役割の代わりを担うものであればよいので、InI3(ヨウ化インジウム)等に代えて、例えば、Znのヨウ化物を用いても良い。
このような無水銀メタルハライドランプにおいて、上記実施形態1の技術が好適に適用可能な理由を次に説明する。
まず、Hgの代替物質(Znのハロゲン化物など)を用いた無水銀メタルハライドランプの場合、有水銀のランプと比べて、効率が低下する。効率を上げるためには、点灯動作圧を上げることが非常に有利に働く。上記実施形態のランプの場合、耐圧を向上させた構造であるので、希ガスを高圧封入できるので、簡便に効率を向上させることができるので、実用化可能な無水銀メタルハライドランプを容易に実現することができる。この場合、希ガスとしては、熱伝導率の低いXeが好ましい。
そして、無水銀メタルハライドランプの場合、水銀を封入しない関係上、有水銀のメタルハライドランプよりも、ハロゲンを多く封入する必要がある。したがって、電極棒3付近の隙間を通って金属箔4まで達するハロゲンの量も多くなり、ハロゲンが金属箔4(場合によっては、電極棒3の根本部分)と反応する結果、封止部構造が弱くなり、リークが生じやすくなる。図8および図9に示した構成では、電極棒3の表面を金属膜35(またはコイル40)で被覆しているので、電極棒3とハロゲンとの反応を効果的に防止することができる。また、図4のように、電極棒3の周辺に第2のガラス部7が位置している構成の場合、その第2のガラス部7によって、ハロゲン化物(例えば、Scのハロゲン化物)の侵入を防ぐことができ、それによって、リークの発生を防止することが可能となる。それゆえ、上記実施形態の構造を備えた無水銀メタルハライドランプの場合、従来の無水銀メタルハライドランプよりも、高効率化および長寿命化を図ることができる。このことは、一般照明用のランプに広く言えることである。車の前照灯用のランプについていえば、さらに次のような利点がある。
車の前照灯に使用する場合、スイッチをONした次の瞬間に、100%の光を得たいという要求がある。この要求に応えるには、希ガス(具体的には、Xe)を高圧で封入することが効果的である。しかしながら、通常のメタルハライドランプでXeを高圧で封入すれば、破裂の可能性が高まる。これは、より高度の安全性が求められる前照灯用のランプとしては好ましくない。つまり、夜間における前照灯の故障は、車の事故につながるからである。上記実施形態の構造を備えた無水銀メタルハライドランプの場合には、耐圧を向上させた構造となっているので、そのような高圧のXeの封入でも、安全性を確保しながら、点灯の始動性を向上させることができる。また、長寿命化も図られているので、前照灯用としてより好適に適用可能となっている。
さらに、上記実施形態では、水銀蒸気圧が20MPa程度または30MPa程度以上の場合(いわゆる超高圧水銀ランプの場合)について説明したが、上述したように、水銀蒸気圧が1MPa程度の高圧水銀ランプに適用することを排除するものではない。つまり、超高圧水銀ランプおよび高圧水銀ランプを含む高圧放電ランプ全般に適用できるものである。なお、今日の超高圧水銀ランプと呼ばれるものの水銀蒸気圧は、15MPaまたはそれ以上(封入水銀量150mg/ccまたはそれ以上)である。
動作圧力が極めて高くても安定して動作できるということは、ランプの信頼性が高いことを意味するので、本実施形態の構成を、動作圧力のそれほど高くないランプ(ランプの動作圧力が30MPa程度未満、例えば、20MPa程度〜1MPa程度)に適用した場合、当該動作圧力で動作するランプの信頼性を向上させることができる。
高い耐圧強度を実現できるランプの技術的意義をさらに説明すると、次の通りである。近年、より高出力・高電力の高圧水銀ランプを得るために、アーク長(電極間距離)が短いショートアーク型の水銀ランプ(例えば、電極間距離が2mm以下)の開発が進んでいるところ、ショートアーク型の場合、電流の増大に伴って電極の蒸発が早くなることを抑制するために、通常よりも多くの水銀量を封入する必要がある。上述したように、従来の構成においては、耐圧強度に上限があったため、封入水銀量にも上限(例えば、200mg/cc程度以下)があり、さらなる優れた特性を示すようなランプの実現化に制限が加えられていた。本実施形態のランプは、そのような従来における制限を取り除け得るものであり、従来では実現できなかった優れた特性を示すランプの開発を促進させることができるものである。本実施形態のランプにおいては、封入水銀量が200mg/cc程度を超える、300mg/cc程度またはそれ以上のランプを実現することが可能となる。
なお、上述したように、封入水銀量が300〜400mg/cc程度またはそれ以上(点灯動作圧30〜40MPa)を実現できる技術というのは、特に点灯動作圧20MPaを超えるレベルのランプ(すなわち、今日の15MPa〜20MPaのランプを超える点灯動作圧を有するランプ。例えば、23MPa以上または25MPa以上のランプ)について、その安全性および信頼性を確保できる意義も有している。つまり、ランプを大量生産する場合には、ランプの特性にどうしてもばらつきが生じ得るため、点灯動作圧が23MPa程度のランプであっても、マージンを考えた上で耐圧を確保する必要があるので、30MPa以上の耐圧を達成できる技術は、30MPa未満のランプについても、実際に製品を供給できるという観点からの利点は大きい。もちろん、30MPa以上の耐圧を達成できる技術を用いて、23MPaあるいはそれ以下の耐圧でもよいランプを作製すれば、安全性および信頼性の向上を図ることができる。
したがって、本実施形態の構成は、信頼性等の面からも、ランプ特性を向上させることができるものである。また、上記実施形態のランプでは、封止部2をシュリンク手法によって作製したが、ピンチング手法で作製してもよい。また、ダブルエンド型の高圧放電ランプについて説明したが、シングルエンド型の放電ランプに上記実施形態の技術を適用することも可能である。なお、上記実施形態では、例えばバイコール製のガラス管(70)から、第2のガラス部7を形成したが、必ずしもガラス管から形成しなくてもよい。金属箔4の全周囲を覆うような構成に限らず、金属箔4に接触して、封止部2の一部に圧縮応力が存在させ得るガラス構造体であれば、ガラス管に限定されない。例えば、ガラス管70の一部にスリットが入って「C字」状となったガラス構造体も用いられるし、金属箔4の片側または両側に接触するように例えばバイコール製のカラット(ガラス片またはガラス板)を配置させてもよいし、金属箔4の周囲を覆うように、例えばバイコール製のガラスファイバーを配置させてもよい。ただし、ガラス構造体ではなく、ガラス粉体、例えば、ガラス粉末を圧縮形成して焼結してなる焼結ガラス体を用いても、封止部2の一部に圧縮応力を存在させることができないので、ガラス粉体は使用しない方がよい。
加えて、一対の電極3間の間隔(アーク長)は、ショートアーク型であってもよいし、それより長い間隔であってもよい。上記実施形態のランプは、交流点灯型および直流点灯型のいずれの点灯方式でも使用可能である。また、上記実施形態で示した構成および改変例は相互に採用することが可能である。なお、金属箔4を含む封止部構造について説明したが、箔無し封止部構造について上記実施形態の構成を適用することも可能である。箔無しの封止部構造の場合においても、耐圧を高めること、および、信頼性を高めることは重要なことだからである。より具体的に述べると、電極構造体50として、モリブデン箔4を用いずに、一本の電極棒(タングステン棒)3を電極構造体とする。その電極棒3の少なくとも一部に第2のガラス部7を配置し、その第2のガラス部7および電極棒3を覆うように第1のガラス部8を形成して、封止部構造を構築することも可能である。この構成の場合、外部リード5も電極棒3によって構成することが可能となる。
上述した実施形態では、放電ランプについて説明したが、上記実施形態1の技術は、放電ランプに限らず、封止部(シール部)によって発光管の気密を保持する構成のランプであれば、放電ランプ以外のランプ(例えば、電球)にも適用可能である。
そのような電球の例を挙げると、図4に示した構成において、発光管1内の電極棒3をインナーリード(内部導入線)として、その先端間にフィラメントを設けたダブルエンド型の電球(例えば、ハロゲン電球)である。なお、発光管1内にアンカーを設けても良い。また、シングルエンド型の電球に適用してもよい。このようなハロゲン電球でも破裂の問題は重要な課題であり、上述の本発明の実施形態の技術により、破裂を防止できるようになることの技術的意義は大きい。
以上、本発明の好ましい例について説明したが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の変形が可能である。
以上説明したように、本発明に係る高圧放電ランプの製造方法、高圧放電ランプおよびランプユニットでは、ガラス部材の中央部位の少なくとも一部と側管部との間にキャビティを形成するので、金属箔の箔切れを防止することができ、また、キャビティに少なくとも希ガスが含まれている場合、封止部のうちキャビティを含む部位の周囲にアンテナを配置すれば、高圧放電ランプの始動電圧を低下させることができ、一般照明や反射鏡と組み合わせてプロジェクター、自動車の前照灯などの用途に使用される高圧放電ランプ等として有用である。
(a)および(b)は、高圧放電ランプ100の構成を模式的に示す断面図である。 (a)および(b)は、封止部2の長手方向(電極軸方向)に沿った圧縮歪みの分布を模式的に示す要部拡大図である。 高圧放電ランプ100の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る高圧放電ランプ100の構成を模式的に示す断面図である。 アンテナ付きの高圧放電ランプ150の構成を模式的に示す断面図である。 アンテナ付きの高圧放電ランプ150の他の構成を模式的に示す断面図である。 本実施形態のランプ100の製造方法を説明するための工程断面図である。 本発明の実施形態にかかる高圧放電ランプ200の構成を模式的に示す断面図で ある。 本発明の実施形態にかかる高圧放電ランプ300の構成を模式的に示す断面図である。 ミラー付きランプ900の構成を模式的に示す断面図である。 従来の高圧水銀ランプの構成を模式的に示す断面図である。 (a)および(b)は、光弾性効果を利用した鋭敏色板法による歪み測定の原理を説明するための図である。 (a)および(b)は、第2のガラス部に圧縮歪みが入っていることによって、ランプ100の耐圧強度が上がる理由を説明するための要部拡大図である。 (a)および(b)は、第2のガラス部に圧縮歪みが入機構を説明するための断面図である。 (a)から(d)は、アニールによって圧縮応力が加わる機構を説明するための断面図である。 加熱工程(アニール工程)のプロファイルを模式的に示すグラフである。 水銀蒸気によって第2のガラス部に圧縮応力が入る機構を説明するための概略図である。 (a)は第2のガラス部に存在する長手方向の圧縮応力を模式的に示す図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
符号の説明
1 発光管
1’ 発光管部
2 封止部
2’ 側管部
3 電極棒
4 金属箔
5 外部リード
6 発光物質(水銀)
7 第2のガラス部
8 第1のガラス部
10 放電空間(管内)
11 支持部材
12 コイル
17a 前方部位
17b 中央部位
17c 後方部位
30 キャビティ(空隙)
32 アンテナ
33 配線
35 金属膜
40 コイル
50 電極構造体
60 反射鏡
62 リード線用開口部
65 リード線
70 ガラス管
80 放電ランプ用ガラスパイプ
100、150、200、300 高圧放電ランプ
900 ミラー付ランプ(ランプユニット)
1000 超高圧水銀ランプ

Claims (18)

  1. 管内に発光物質が封入される発光管と、前記発光管の気密性を保持する封止部とを有する高圧放電ランプの製造方法であって、
    前記高圧放電ランプの製造方法は、
    高圧放電ランプの発光管となる発光管部と、前記発光管部から延在した側管部とを有する放電ランプ用ガラスパイプを用意する工程と、
    前記側管部から前記封止部を形成する工程と、
    を包含し、
    前記封止部を形成する工程は、
    前記側管部を構成する第1のガラスよりも軟化点の低い第2のガラスから構成されたガラス部材を前記側管部内に挿入する工程と、
    前記発光管部側を前方とし、前記ガラス部材を、前方部位、後方部位、および、前記前方部位と前記後方部位との間に位置する中央部位に区分けした場合に、前記側管部を加熱して、前記ガラス部材の前記前方部位および前記後方部位を前記側管部に密着させ、それによって、前記中央部位の少なくとも一部と前記側管部との間にキャビティを形成する工程と、
    前記密着工程の後、前記第2のガラスの歪点温度よりも高い温度で、前記ガラス部材および前記側管部を少なくとも含む部分を加熱する加熱工程と
    を包含する、高圧放電ランプの製造方法。
  2. 前記加熱工程は、前記第1のガラスの歪点温度よりも低い温度で実行される、請求項1に記載の高圧放電ランプの製造方法。
  3. 管内に発光物質が封入される発光管と、前記発光管の両端から延びた封止部を一対有する高圧放電ランプの製造方法であって、
    高圧放電ランプの発光管となる発光管部と、前記発光管部の両端から延在した一対の側管部とを有する放電ランプ用ガラスパイプを用意する工程と、
    前記一対の側管部のうちの一方の側管部に、当該側管部を構成する第1のガラスよりも軟化点の低い第2のガラスから構成されたガラス管と、少なくとも電極棒を含む電極構造体とを挿入する工程と、
    前記電極棒の先端を前方とし、前記ガラス管を、前方部位、後方部位、および、前記前方部位と前記後方部位との間に位置する中央部位に区分けした場合に、前記一方の側管部を加熱・収縮させることによって、前記ガラス管の前記前方部位および前記後方部位を前記側管部に密着させ、それによって、前記中央部位の少なくとも一部と前記一方の側管部との間にキャビティが設けられた一方の封止部を形成する工程と
    を包含する、高圧放電ランプの製造方法。
  4. 前記一方の封止部を形成する工程の後、前記発光管部内に発光物質を導入する工程と、
    前記一方の封止部を形成する工程の後、前記一方に対する他方の側管部に、当該側管部を構成する第1のガラスよりも軟化点の低い第2のガラスから構成されたガラス管と、少なくとも電極棒を含む電極構造体とを挿入する工程と、
    前記電極棒の先端を前方とし、前記ガラス管を、前方部位、後方部位、および、前記前方部位と前記後方部位との間に位置する中央部位に区分けした場合に、前記他方の側管部を加熱・収縮させることによって、前記ガラス管の前記前方部位および前記後方部位を前記側管部に密着させ、それによって、前記中央部位の少なくとも一部と前記他方の側管部との間にキャビティが設けられた他方の封止部を形成する工程と、
    両方の封止部および発光管が形成されたランプ完成体に対して、前記第2のガラスの歪点温度よりも高い温度で、且つ、前記第1のガラスの歪点温度よりも低い温度で、前記ガラス管および前記側管部を少なくとも含む部分を加熱する加熱工程と
    をさらに包含する、請求項3に記載の高圧放電ランプの製造方法。
  5. 前記加熱工程は、2時間以上行われる、請求項1または4に記載の高圧放電ランプの製造方法。
  6. 前記加熱工程は、100時間以上行われる、請求項5に記載の高圧放電ランプの製造方法。
  7. 光弾性効果を利用した鋭敏色板法を用いて前記封止部を測定した場合、前記第2のガラスにより構成された領域に、10kgf/cm以上50kgf/cm以下の前記側管部の長手方向の圧縮応力が存在するように前記加熱工程が実施される、請求項1または4に記載の高圧放電ランプの製造方法。
  8. 前記一対の封止部のそれぞれについて、前記圧縮応力が生じる、請求項7に記載の高圧放電ランプの製造方法。
  9. 前記電極構造体は、前記電極棒と、当該電極棒に接続された金属箔と、当該金属箔に接続された外部リードとを含んでおり、
    前記ガラス管の長手方向の長さは、前記金属箔の長手方向の長さよりも長い、請求項3から8の何れか一つに記載の高圧放電ランプの製造方法。
  10. 前記第1のガラスは、SiOを99重量%以上含み、
    前記第2のガラスは、15重量%以下のAlおよび4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiOとを含む、請求項1から9の何れか一つに記載の高圧放電ランプの製造方法。
  11. 前記高圧放電ランプは、高圧水銀ランプであり、
    前記発光物質として水銀を、前記発光管の内容積を基準に、150mg/cm以上封入する、請求項1から10の何れか一つに記載の高圧放電ランプの製造方法。
  12. 管内に発光物質が封入される発光管と、
    前記発光管の気密性を保持する一対の封止部と
    を備え、
    前記一対の封止部のそれぞれは、前記発光管から延在した第1のガラス部と、前記第1のガラス部の内側の少なくとも一部に設けられた第2のガラス部とを有しており、かつ、
    前記一対の封止部のそれぞれは、圧縮応力が印加されている部位を有しており、
    前記発光管内には、一対の電極棒が互いに対向して配置されており、
    前記一対の電極棒のそれぞれの電極棒は、金属箔に接続されており、
    前記金属箔は、前記封止部内に設けられ、且つ、少なくとも当該金属箔と前記電極棒との接続部は、前記第2のガラス部内に位置しており、
    前記電極棒の先端を前方とし、前記第2のガラス部を、前方部位、後方部位、および、前記前方部位と前記後方部位との間に位置する中央部位に区分けしたときに、前記第2のガラス部の前記中央部位の少なくとも一部と、前記第1のガラス部との間の境界部には、少なくとも希ガスを含むキャビティが形成されている、高圧放電ランプ。
  13. 光弾性効果を利用した鋭敏色板法を用いて前記封止部を測定した場合、前記圧縮応力が印加されている部位は、少なくとも前記第2のガラスにより構成された領域に存しており、
    前記圧縮応力は、前記側管部の長手方向において10kgf/cm以上50kgf/cm以下である、請求項12に記載の高圧放電ランプ。
  14. 前記第2のガラス部は、前記金属箔の全体を覆っている、請求項12または13に記載の高圧放電ランプ。
  15. 前記第1のガラスは、SiOを99重量%以上含み、
    前記第2のガラスは、15重量%以下のAlおよび4重量%以下のBのうちの少なくとも一方と、SiOとを含む、請求項12から14の何れか一つに記載の高圧放電ランプ。
  16. 前記高圧放電ランプは、高圧水銀ランプであり、
    前記発光物質として水銀が、前記発光管の内容積を基準に、150mg/cm以上封入されている、請求項12から15の何れか一つに記載の高圧放電ランプ。
  17. 前記封止部のうち前記キャビティを含む部位の周囲には、導電性材料からなるアンテナが配置されている、請求項12から16の何れか一つに記載の高圧放電ランプ。
  18. 請求項12から17の何れか一つに記載の高圧放電ランプと、前記高圧放電ランプから発する光を反射する反射鏡とを備えた、ランプユニット。
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