JP4099967B2 - 燃料電池及びプロトン伝導体、並びにプロトン伝導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池及びプロトン伝導体、並びにプロトン伝導体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば自動車用動力源や携帯器具の電源に固体電解質を用いた燃料電池の研究が盛んに行われている。こうした固体電解質としては、ポリパーフルオロスルホン酸(デュポン社製のナフィオンなど)やポリモリブデン酸類などが知られている。
【0003】
これらの高分子固体電解質は、湿潤状態に置かれると、常温付近で高いプロトン伝導性を示す。即ち、ポリパーフルオロスルホン酸を例にとると、そのスルホン酸基より電離したプロトンは、高分子マトリックス中に大量に取込まれている水分と結合(水素結合)してプロトン化した水、つまりオキソニウムイオン(H3O+)を生成し、このオキソニウムイオンの形態をとってプロトンが高分子マトリックス内を移動することができるので、この種のマトリックス材料は常温下でプロトン伝導効果を示す。
【0004】
しかしながら、この高分子固体電解質は、プロトン伝導が加湿状態でのみ発現するため、使用中において継続的に充分な湿潤状態に置かれることが必要である。従って、燃料電池等のシステムの構成には、加湿装置や各種の付随装置が要求され、装置の規模が大型化したり、システム構築のコストアップが避けられない。しかも、低温においては水の凍結が生じ、また高温においては水の蒸発によりプロトン伝導度が低下するという問題点がある。
【0005】
【発明に至る経過】
そこで、本出願人は、フラレノール及び硫酸水素エステル化フラレノールがプロトン伝導性を示すことを見出し、特願平11−204038号及び特願2000−058116号において新規なプロトン伝導体を提起した。この先願発明によるプロトン伝導体は、常温を含む広い温度域で用いることができ、その下限温度も特に高くはなく、しかも移動媒体としての水分を必要としないという、雰囲気依存性の小さなプロトン伝導体である。
【0006】
図14(A)及び(B)には、フラーレン分子C60やC70を示すが、先願発明では、これらのフラーレン分子を構成する炭素原子に、図15(A)のように複数の水酸基を付加した構造を持った化合物であるポリ水酸化フラーレン(通称「フラレノール(Fullerenol)」や、図15(B)のようにフラレノールの水酸基がスルホン基と置き換わった化合物であるポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルによって、プロトン伝導部を形成している(なお、図15中、○はフラーレン分子を簡略に示したものである)。
【0007】
このようなフラレノール又はその硫酸水素エステルは、フラーレン1分子中にOH基又はOSO3H基からなるプロトン解離性の基が多数導入されているため、水分が存在しなくてもプロトン伝導性を呈し、しかもプロトン伝導体としてプロトン移送サイトの体積当たりの数密度が多くなる。この場合、プロトン伝導性は、フラレノールよりも、スルホン基をフラーレン分子の構成炭素原子に導入した図14(B)のポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルの方が顕著となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、フラレノール誘導体であるこうしたポリ水酸化フラーレン硫酸水素エステルは無加湿の条件下でも高いプロトン伝導性を示すが、水が存在する条件下では高温(特に85℃以上)で硫酸エステル部分が加水分解し易いことが分った。このため、水の存在下(これは、電池反応の結果として酸素極側に生成する水分も同様である。)、高温で使用すると、プロトン伝導度が低下し易いという問題点があることが判明した。
【0009】
本発明の目的は、水が存在していても、常温を含む広い温度範囲(少なくとも0℃〜130℃)で分解せず、また化学的にも安定であって長時間安定に高いプロトン伝導性を示すプロトン伝導体を用いた燃料電池と、これに用いるプロトン伝導体及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、有機残基Rを介してフラーレン分子C m に酸性基Yが結合してなるプロトン伝導体であって、
一般式(I):
C m −(R−Y) n
(但し、C m はフラーレン分子、Rはフッ素原子を含まない2価の有機残基、Yは プロトン解離性の1価の酸性基、mはフラーレン分子を形成しうる自然数、nはフ ラーレン分子に対する置換基数である。)
で表されるプロトン伝導体からなるプロトン伝導部が、水素極と酸素極との間に配されている燃料電池に係るものである。
【0011】
本発明はまた、前記有機残基Rを介して前記フラーレン分子C m に前記酸性基Yが結合してなる、前記一般式(I)で表されるプロトン伝導体を提供するものである。
更に本発明は、前記一般式(I)で表されるプロトン伝導体を製造するに際し、前記酸性基がスルホン酸基である場合には、還元剤の存在下でフラーレン分子C m にスルトンを反応させる工程を含む、プロトン伝導体の製造方法も提供するものである。
【0012】
本発明によれば、使用するプロトン伝導体が、有機残基Rを介してフラーレン分子C m にスルホン酸基等のプロトン解離性の酸性基Yが結合してなるので、常温常湿(又は無加湿)の条件下でも、この酸性基によって移送サイトが多くて高いプロトン伝導性を示すと共に、この酸性基をフラーレン分子C m に結合する有機残基Rは加水分解等の分解を受け難いために、水が存在していても酸性基Yが分解を生じずにフラーレン分子C m に保持され、高いプロトン伝導性を長時間保持することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の燃料電池及びプロトン伝導体においては、前記有機残基は、炭素数が1〜20のアルキレン基又は芳香族基であるのがよく、N、O、P、Sのようなヘテロ原子を含んでいてもよい。また、前記有機残基がフラーレン1分子に対して2〜14個結合している(n=2〜14)のがよい。
【0014】
また、前記酸性基としては特にスルホン酸基が挙げられるが、これ以外にもリン酸基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0015】
また、前記フラーレン分子は、具体的には、球状炭素分子Cm(m=36、60、70、76、78、80、82、84等の、球状分子を形成しうる自然数)からなっている。
【0016】
そして、前記カチオン伝導体からなるプロトン伝導部が水素極と酸素極との間に配された燃料電池として構成されるのがよい。
【0017】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に説明する。
【0018】
図1に例示するように、一般式(I)で表される本発明のカチオン伝導体(プロトン伝導体としてのフラーレン誘導体)は、有機残基(−R−)を介してプロトン解離性の酸性置換基、特にスルホン酸基(−SO3H)がフラーレン分子C60に化学的に結合した一般式(1)で表されるフラーレンポリアルキルスルホン酸である。このカチオン伝導体は、上記した理由から、常温を含む広い温度範囲(少なくとも0℃〜130℃)で高いイオン伝導度を示し、水が存在していても加水分解されない化学的にも安定なイオン伝導性化合物である。
【0019】
一般式(I)及び(1)において、n(置換基数)は、n≧1であって特に制限はないが、好ましくは2〜14であり、より好ましくは8〜14である。このnが少ないとイオン伝導率が低くなる傾向にあり、またnが15以上の場合には立体障害が生じるので、化合物の合成が困難である。
【0020】
また、一般式(I)及び(1)中のRは、炭素数1〜20の全ての2価の有機残基を表す。この炭素数が1〜2の化合物は溶媒に対する溶解が困難であり、例えばイオン交換時の溶媒溶解性が乏しくなり、また炭素数が5以上の化合物は合成が困難となる傾向があるため、炭素数が1〜4、特に3又は4が好ましい。そして、炭素数が20を超えると、有機残基がバルキーであってスルホン酸基によるイオン伝導性に悪影響が生じることがある。
【0021】
このRを例示すると、鎖状又は分岐状のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、プロピレン基)、芳香族基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基)が挙げられる。このRは、N、O、P、Sのようなヘテロ原子を含んでいてもよい(例えば、オキシ基、カルボニル基、チオ基、チオカルボキシル基、スルフィニル基、スルホン基、イミノ基、アゾ基、ホスホン基などを挙げることができる)。
【0022】
この化合物を合成する反応は、例えば図2に示すように、導入したいアルキルスルホン酸基の数に応じて、フラーレンに対し2〜30当量の還元剤(例えばアルカリ金属ナフタレニド)及びスルホン化剤(例えばアルキルスルトン)を用いる。この反応では、Rを介して導入された例えばSO3Naをイオン交換によりSO3Hに導く。良好なイオン伝導性を実現するために、好ましくは15〜30当量の還元剤及びスルホン化剤を必要とする。このうち、10当量未満の場合は、導入されるスルホン酸基の数(n)が少なくなり、またnが15を超えると、目的物は殆ど得られず、これ以上の過剰の反応剤は、製造コストの観点からも不必要である。
【0023】
還元剤としては、後述の実施例に示すようなアルカリ金属ナフタレニド(アルカリ金属は、Li、Na等、以下、同様)、アルカリ金属ジターシャルビフェニル等の還元試薬を用いてよく、これ以外にも、電極から供給する電子の還元作用を用いる電気化学的方法を採用してもよい。
【0024】
一般式(1)の化合物は、重量平均で15%程度の水分子を結晶水として強固に取り込んでいることがあり、この結晶水は100℃程度の高温かつ10-6Torrの高真空下においても脱離しない。即ち、この化合物は、これらの結晶水とスルホン酸基からなるプロトン伝導チャネルをバルク固体として形成するため、常温を含む広い温度範囲にわたって高いイオン伝導性を具現するものである。この化合物は、常温常湿(又は無加湿)下でも良好なイオン伝導性を示すが、加湿条件下では、水の存在によってさらに高いイオン伝導を実現することができる。
【0025】
図3(A)には、上記フラーレン誘導体(フラーレンポリアルキルスルホン酸)をプロトン伝導体として用いた燃料電池の一具体例を示す。この燃料電池は、触媒2a及び3aをそれぞれ密着若しくは分散させた互いに対向した端子8及び9付きの負極(燃料極又は水素極)2及び正極(酸素極)3を有し、これらの両極間にプロトン伝導部1が挟着されている。
【0026】
使用時には、負極2側では導入口12から水素が供給され、排出口13(これは設けないこともある。)から排出される。燃料(H2)14が流路15を通過する間にプロトンを発生し、図3(B)に示すように、このプロトンはプロトン伝導部1で発生したプロトンとともに正極3側へ移動し、そこで導入口16から流路17に供給されて排気口18へ向かう酸素(又は空気)19と反応し、これにより所望の起電力が取り出される。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0028】
実施例1
<フラーレンポリプロピルスルホン酸の合成>
【0029】
【化1】
【0030】
この合成は、文献(Y.Chi, J.B.Bhonsle, T.Canteenwala, J.-P.Hung, J.Shiea, B.-J.Chen and L.Y.Chiang, Chem.Lett.,1998,465.)を参考にして行った。フラーレンの粉末2gのジメトキシエタン溶液に、予め調製しておいたナトリウムナフタレニドのジメトキシエタン溶液を30当量加え、室温にて窒素雰囲気下で2時間撹拌した後、1,3−プロパンスルトンを30当量加え、さらに室温にて窒素雰囲気下で12時間撹拌した。
【0031】
メタノールを加えて反応を止め、濾過して沈澱物を集めた。更に、濾液を濃縮してメタノールを加え、再沈澱させ、濾過して沈澱物を集めた。得られた沈澱物をメタノールで充分洗浄した。
【0032】
こうして得られた粉末を純水に溶かし、イオン交換カラムに通してスルホン酸化し、エバポレーターで水を除去した後に、真空乾燥した。
【0033】
このようにして得られた黒色の粉末のFT−IR(図4)及びTOF−MS(図5)測定を行ったところ、フラーレンポリプロピルスルホン酸であることが確認された(図5中のnは、導入されたプロピルスルホン酸基の数を表している)。
【0034】
次に、このフラーレンポリプロピルスルホン酸の粉末80mgを測りとり、直径15mmの円形ペレット状になるように一方向に、約5トン/cm2でプレスした。
【0035】
こうして作成したペレットを用いて複素インピーダンスプロットを作成し、イオン伝導度を測定した。同試料を湿度60%の雰囲気にて測定すると、20℃にて1×10-3Scm-1、50℃にて7×10-3Scm-1、85℃にて1×10-2Scm-1であった。同試料を湿度100%の雰囲気にて測定すると、85℃にて1×10-2Scm-1であった。
【0036】
実施例2
<フラーレンポリブチルスルホン酸の合成>
【0037】
【化2】
【0038】
この合成も、文献(Y.Chi, J.B.Bhonsle, T.Canteenwala, J.-P.Hung, J.Shiea, B.-J.Chen and L.Y.Chiang, Chem.Lett.,1998,465.)を参考にして行った。フラーレンの粉末2gのジメトキシエタン溶液に、予め調製しておいたナトリウムナフタレニドのジメトキシエタン溶液を30当量加え、室温にて窒素雰囲気下で2時間撹拌した後、1,4−ブタンスルトンを30当量加え、さらに室温にて窒素雰囲気下で12時間撹拌した。
【0039】
メタノールを加えて反応を止め、濾過して沈澱物を集めた。更に、濾液を濃縮してメタノールを加え、再沈澱させ、濾過して沈澱物を集めた。得られた沈澱物をメタノールで充分洗浄した。
【0040】
こうして得られた粉末を純水に溶かし、イオン交換カラムに通し、エバポレーターで水を除去した後に、真空乾燥した。
【0041】
このようにして得られた黒色の粉末のFT−IR(図6)及びTOF−MS(図7)測定を行ったところ、フラーレンポリブチルスルホン酸であることが確認された(図7中のnは、導入されたブチルスルホン酸基の数を表している)。
【0042】
次に、このフラーレンポリブチルスルホン酸の粉末80mgを測りとり、直径15mmの円形ペレット状になるように一方向に、約5トン/cm2でプレスした。
【0043】
こうして作成したペレットを用いて複素インピーダンスプロットを作成し、イオン伝導度を測定した。同試料を湿度60%の雰囲気にて測定すると、20℃にて1×10-3Scm-1、50℃にて7×10-3Scm-1、85℃にて1×10-2Scm-1であった。同試料を湿度100%の雰囲気にて測定すると、85℃にて1×10-2Scm-1であった。
【0044】
実施例3
実施例2において、フラーレンポリブチルスルホン酸の合成条件を下記の表1に示すように種々に変えた以外は実施例2と同様にして、目的物を得た。
【0045】
【表1】
【0046】
これらの各種合成条件で得られた目的物のTOF=−MSスペクトルを図8〜図13に示すが、これらの結果を図5の結果と併せて考察すると、加えるナトリウムナフタレニド及び1,4−ブタンスルトンの当量を増やした方が置換基数は増えること、温度は室温より高いのがよいが、50℃が最も適していること、反応溶媒はジメトキシエタンより極性が高いテトラヒドロフランが適していることがそれぞれ分る。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、上述したように、フッ素原子を含まない2価の有機残基を介してフラーレン分子にスルホン酸基等の1価の酸性基が結合してなるプロトン伝導体を用いているので、常温常湿(又は無加湿)の条件下でも、高いプロトン伝導性を示すと共に、水が存在していても酸性基が分解せず、高いプロトン伝導性を長時間保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づくフラーレン誘導体、例えばフラーレンポリアルキルスルホン酸の化学構造を示す概略図である。
【図2】同、フラーレンポリアルキルスルホン酸の合成スキームを示す概略図である。
【図3】本発明に基づくフラーレンポリアルキルスルホン酸をプロトン伝導体として用いた一実施の形態による燃料電池の概略断面図(A)と動作原理図(B)である。
【図4】本発明の実施例で得られたフラーレンポリプロピルスルホン酸のFT−IRの測定結果を示すスペクトル図である。
【図5】同、フラーレンポリプロピルスルホン酸のTOF−MSの測定結果を示すスペクトル図である。
【図6】本発明の他の実施例で得られたフラーレンポリブチルスルホン酸のFT−IRの測定結果を示すスペクトル図である。
【図7】同、フラーレンポリブチルスルホン酸のTOF−MSの測定結果を示すスペクトル図である。
【図8】本発明の更に他の実施例で得られたフラーレンポリブチルスルホン酸のTOF−MSの測定結果を示すスペクトル図である。
【図9】同、他のフラーレンポリブチルスルホン酸のTOF−MSの測定結果を示すスペクトル図である。
【図10】同、他のフラーレンポリブチルスルホン酸のTOF−MSの測定結果を示すスペクトル図である。
【図11】同、他のフラーレンポリブチルスルホン酸のTOF−MSの測定結果を示すスペクトル図である。
【図12】同、他のフラーレンポリブチルスルホン酸のTOF−MSの測定結果を示すスペクトル図である。
【図13】同、更に他のフラーレンポリブチルスルホン酸のTOF−MSの測定結果を示すスペクトル図である。
【図14】フラーレン分子の構造図である。
【図15】フラーレン誘導体の一例であるポリ水酸化フラーレン(A)とその硫酸水素エステル(B)をプロトン伝導体に用いる例の概略図である。
【符号の説明】
1…プロトン伝導部、2…第1極(水素極)、2a…触媒、
3…第2極(酸素極)、3a…触媒、14…水素、19…酸素(又は空気)
Claims (10)
- 有機残基Rを介してフラーレン分子C m に酸性基Yが結合してなるプロトン伝導体であって、
一般式(I):
C m −(R−Y) n
(但し、C m はフラーレン分子、Rはフッ素原子を含まない2価の有機残基、Yは プロトン解離性の1価の酸性基、mはフラーレン分子を形成しうる自然数、nはフ ラーレン分子に対する置換基数である。)
で表されるプロトン伝導体からなるプロトン伝導部が、水素極と酸素極との間に配されている燃料電池。 - 前記有機残基が炭素数1〜20のアルキレン基又は芳香族基であり、前記置換基数nがフラーレン1分子に対して2〜14である、請求項1に記載した燃料電池。
- 前記酸性基がスルホン酸基である、請求項1に記載した燃料電池。
- 前記フラーレン分子が球状炭素分子Cm(m=36、60、70、76、78、80、82、84等の、球状分子を形成しうる自然数)からなる、請求項1に記載した燃料電池。
- 有機残基Rを介してフラーレン分子C m に酸性基Yが結合してなるプロトン伝導体であって、
一般式(I):
C m −(R−Y) n
(但し、C m はフラーレン分子、Rはフッ素原子を含まない2価の有機残基、Yは プロトン解離性の1価の酸性基、mはフラーレン分子を形成しうる自然数、nはフ ラーレン分子に対する置換基数である。)
で表されるプロトン伝導体。 - 前記有機残基が炭素数1〜20のアルキレン基又は芳香族基であり、前記置換基数nがフラーレン1分子に対して2〜14である、請求項5に記載したプロトン伝導体。
- 前記酸性基がスルホン酸基である、請求項5に記載したプロトン伝導体。
- 前記フラーレン分子が球状炭素分子Cm(m=36、60、70、76、78、80、82、84等の、球状分子を形成しうる自然数)からなる、請求項5に記載したプロトン伝導体。
- 有機残基Rを介してフラーレン分子C m に酸性基Yが結合してなるプロトン伝導体であって、
一般式(I):
C m −(R−Y) n
(但し、C m はフラーレン分子、Rはフッ素原子を含まない2価の有機残基、Yは プロトン解離性の1価の酸性基、mはフラーレン分子を形成しうる自然数、nはフ ラーレン分子に対する置換基数である。)
で表されるプロトン伝導体を製造するに際し、前記酸性基がスルホン酸基である場合には、還元剤の存在下でフラーレン分子C m にスルトンを反応させる工程を含む、プロトン伝導体の製造方法。 - 前記還元剤としてアルカリ金属塩を用い、前記反応によって得られた生成物をイオン交換処理する、請求項9に記載したプロトン伝導体の製造方法。
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