JP4099831B2 - 高重合性n−ビニルカルボン酸アミドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高重合性N−ビニルカルボン酸アミド、その製造方法およびそれを使用するN−ビニルカルボン酸アミドの高分子量ポリマーの製造方法に関する。さらに詳しくは、凝集剤、液体吸収剤、増粘剤などに利用されるN−ビニルカルボン酸アミド系ポリマーの製造に用いられる産業上、有用なモノマーである、重合性の改善されたN−ビニルカルボン酸アミド、その製造方法を提供する。また工業薬品、医薬品などの原料として多方面の用途に向けられる高品質N−ビニルカルボン酸アミドを提供する。
【0002】
【従来の技術】
N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法についてこれまで多くの方法が提案されている。例えば、カルボン酸アミド、アセトアルデヒド及びアルコールから中間体であるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドを製造し、これを熱分解または接触分解により合成する方法が知られている。また、N−ビニルカルボン酸アミドのもう一つの有力な合成法としてアセトアルデヒドとカルボン酸アミドからエチリデンビスカルボン酸アミドを合成し、これをカルボン酸アミドとN−ビニルカルボン酸アミドに分解する方法が用いられている。
【0003】
これらの方法では蒸留、抽出、再結晶などのN−ビニルカルボン酸アミドの精製工程が行われている。例えば、特開昭61−286069号明細書によれば、蒸留ではN−ビニルホルムアミドへの未反応原料であるホルムアミドの混入は避けられないため、水と芳香族炭化水素による抽出分離が開示されている。また、特開昭63−132868号では混合有機溶媒からの冷却晶析による方法、特開平2−188560号では無機塩水溶液と芳香族炭化水素を用いた抽出による方法、米国特許4401516号には多価アルコールを用いた抽出蒸留による方法などが開示されている。
【0004】
一方、N−ビニルカルボン酸アミドは単独であるいは他のモノマーと共重合することによりN−ビニルカルボン酸アミド系ポリマーが得られる。これらは凝集剤、液体吸収剤、増粘剤などに利用されるが、いずれも高分子量のものが望まれている。しかし、上記のいずれの場合も安定的に良好な重合性を示すN−ビニルカルボン酸アミドを得ることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、重合性の改善された、重合性の良好な、すなわち高重合性のN−ビニルカルボン酸アミドを製造することにあり、また高分子量のN−ビニルカルボン酸アミド系ポリマーを製造することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは重合性の良好なN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法について鋭意検討したところ、驚くべきことに高分子量のポリマーを合成するためには、使用されるN−ビニルカルボン酸アミド中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量が30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下であることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、N−ビニルカルボン酸アミド中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量が30ppm以下であることを特徴とする高重合性N−ビニルカルボン酸アミド、その製造方法およびそれを使用するN−ビニルカルボン酸アミドの高分子量ポリマーの製造方法が提供される。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0007】
本発明で用いるN−ビニルカルボン酸アミドは次の一般式(I)、
CH2 =CH−NR1 −COR2 (I)
(式中、R1 、R2 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で示され、例えばN−ビニルホルムアミド、N−メチルーN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−メチルーN−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルブチルアミド、N−ビニルイソブチルアミドが挙げられ、好ましくはN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、さらに好ましくはN−ビニルアセトアミドが挙げられる。
【0008】
本発明で、N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドとは前記一般式(I)に対応する次の一般式(II)、
CH2 =CH−CH=CH−NR1 −COR2 (II)
(式中、R1 、R2 は前記の通り。)で示され、幾何異性体であるシス体およびトランス体が存在するが、その両者を併せて意味する。
本発明において、粗N−ビニルカルボン酸アミド中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量を30ppm以下にすることにより、高重合性のN−ビニルカルボン酸アミドとすることができるが、好ましくはその含有量を10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下にすることにより所望の高重合性を得ることができる。含有量がそれらの値を超えると高重合性を得ることは困難になる傾向にある。
例えば、このことは粗N−ビニルアセトアミド中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドの含有量と重合性評価値との相関(図1)に示される。
【0009】
本発明の高重合性N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法に適用されるN−ビニルカルボン酸アミドの製造法は得られる粗N−ビニルカルボン酸アミドの中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量が30ppmを超えるものであれば、場合によっては10ppmまたは1ppmを超えるものであれば、特に制限はない。しかし、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドの脱アルコール反応により、またはカルボン酸アミド、アセトアルデヒドとアルコールとから、もしくはカルボン酸アミドとアセトアルデヒドジアルキルアセタールとから中間体として得られるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドの脱アルコール反応により、N−ビニルカルボン酸アミドを製造する方法が好適な例として挙げられる。この場合、脱アルコール反応は好ましくは熱分解または接触分解でおこなう。さらに、エチリデンビスカルボン酸アミドの分解反応により、またはアセトアルデヒドとカルボン酸アミドとから中間体として得られるエチリデンビスカルボン酸アミドの分解反応により、N−ビニルカルボン酸アミドを製造する方法が好適な例として挙げられる。この場合、エチリデンビスカルボン酸アミドはカルボン酸アミドとN−ビニルカルボン酸アミドへ分解される。
本発明において、粗N−ビニルカルボン酸アミド中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量を30ppm以下にした高重合性N−ビニルカルボン酸アミドを製造するには粗N−ビニルカルボン酸アミドからN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドを軽減除去する精製処理方法と、N−ビニルカルボン酸アミドの製造原料または中間体からN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドまたはその前駆体を軽減除去する精製処理方法がある。
【0010】
先ず、粗N−ビニルカルボン酸アミドからN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドを軽減除去する方法について説明する。
N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドを粗N−ビニルカルボン酸アミドから軽減除去する精製処理の実施態様としては、例えば、粗N−ビニルカルボン酸アミドまたはその溶液の精密蒸留法、再結晶法、圧力晶析法、活性炭など吸着剤で処理する物理的な精製処理方法、またp−ベンゾキノンなどとディールズ・アルダー反応で処理する方法、1,3−ブタジエニル基を選択水素化反応で処理する方法などN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドを化学的に変換する精製処理方法があり、それぞれの方法を単独であるいは組み合わせて用いることができる。なお、以上で例示した方法の他、N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドとN−ビニルカルボン酸アミドが容易に分離される方法あるいは、化学的に変換する方法であれば特に制限はない。
【0011】
以下、N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドを粗N−ビニルカルボン酸アミドから軽減削除する実施態様についてさらに詳細に説明する。
本発明の方法において、精密蒸留法で分離する場合の蒸留装置としては特に制限はなく、1〜50段の理論段数を有する棚段塔や充填塔が用いられるが、圧力損失が少なく、精留性能の優れた精留塔を用いることが好ましく、このような例として規則充填物を用いた充填塔が挙げられる。N−ビニルカルボン酸アミドは熱に対して変質し易いので可能な限り低温で蒸留することが好ましい。従って、0.01から100mmHgの減圧下で蒸留が行われる。
この精密蒸留法は連続的にも非連続的にも実施できるが、連続的操作の方が生産性、運転安定性などの点で好ましい。還流比は特に制限はなく、N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量、N−ビニルカルボン酸アミドの種類、蒸留塔の性能などに応じて設定されるが、0.1〜20程度で充分であり、好ましくは0.5〜10である。
【0012】
本発明の方法において、N−ビニルカルボン酸アミド溶液の冷却による再結晶法で分離する場合は、N−ビニルカルボン酸アミド溶液を直接冷却しても良いが、N−ビニルカルボン酸アミドとの反応性がなく、適度な溶解性を有する再結晶溶媒を用いても良い。このような再結晶溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど芳香族炭化水素、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなど脂肪族炭素水素、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノールなどアルコール類、塩化メチレン、クロロフォルム、クロルベンゼンなどハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどエステル類、ジエチルエーテルなどエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどアミド類、ジメチルスルフォキシドなどが挙げられ、特に、トルエン、シクロヘキサン、メタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。また、これらを組み合わせて用いることができる。冷却温度はN−ビニルカルボン酸アミドと再結晶溶媒の種類や量によって適切な温度が異なるが、−20〜50℃、好ましくは−10〜40℃である。
【0013】
本発明で用いられる晶析装置としては連続式、回分式のどちらでも、また、晶析方法も冷媒との熱交換による方法でも溶媒の蒸発による濃縮と冷却による方法でもよく、構造様式に厳密な条件はない。
本発明で用いられる結晶の分離装置についても真空圧や加圧を利用するもの、重力や遠心力を利用するものなど特に制限はない。
本発明においては、晶析操作と分離操作を同一装置内で行う固液分離器も用いることができる。このような例として、再結晶溶媒を用いない場合などには圧力晶析機、流下液膜式晶析機(MWB分別晶析装置など)や塔型連続晶析精製装置(BMC装置など)が好ましい。また、高濃度のスラリーを濾過する場合にはローゼンムンドフィルターのような自動ヌッチェフィルターが好ましい。
本発明の方法において、N−ビニルカルボン酸アミド溶液を活性炭など吸着剤で処理する方法で分離する場合は、本発明で用いる吸着剤としてはN−ビニルカルボン酸アミドに対してN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドが選択的に吸着されるものであれば特に制限はない。このようなものとして、活性炭、白土類、アルミナ、シリカ、ゼオライト、吸着樹脂などが挙げられるが、活性炭が好ましい。
【0014】
本発明の吸着操作を行う場合は、粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液を直接吸着剤と接触してもよいが、N−ビニルカルボン酸アミドとの反応性がなく、適度な溶解性を有する溶媒に溶解した後、吸着剤と接触してもよい。このような溶媒としては本発明の再結晶による方法で例示した溶媒の他に水が挙げられ、活性炭を吸着剤に用いる場合は特に好ましいものとして水やメタノールが挙げられる。溶媒と粗N−ビニルカルボン酸アミドとの比率に特に制限はないが、水やメタノールを溶媒に用いる場合は重量で0〜10:1、好ましくは0.1〜3:1が好ましい。
本発明の吸着操作を行うのに適した吸着温度は吸着剤の種類によって異なるが、−20℃から100℃が好ましく、特に0℃から80℃が好ましい。−20℃以下では吸着剤の細孔内への拡散が著しく遅くなり、吸着時間が長くなり、好ましくない。100℃以上ではN−ビニルカルボン酸アミドの安定性が低下すると共に、平衡吸着量が著しく減少し、好ましくない。
【0015】
本発明の吸着方法は連続方式、回分方式のいずれでもよく、構造様式に厳密な条件はない。
本発明においては粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液を化学的に処理を行うことによりN−ビニルカルボン酸アミド中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量を5ppm以下にしてもよい。利用する化学反応はN−ビニルカルボン酸アミドとN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの反応性の差を利用するもの、即ち、ジエンとの反応では高活性であり、モノエンとの反応では不活性なものであれば特に制限はない。
【0016】
以下、粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液をディールス・アルダー反応により処理する方法と同溶液を選択水素化処理する方法を例示する。
本発明において粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液をディールス・アルダー反応により処理する場合、粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液にディールス・アルダー反応における親ジエン化合物(ジエノフィル)を共存させることによって行われる。本発明における親ジエン化合物としては、一般にディールス・アルダー反応における親ジエン化合物として知られているもの、即ち、電子吸引基で置換されたα,β−不飽和化合物などのうちで、N−ビニルカルボン酸アミドと反応を起こさないものであれば特に制限はなく、アクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステルなど不飽和カルボン酸エステル類、メチルビニルケトンやp−ベンゾキノンなど不飽和ケトン類、アクリロニトリルなど不飽和ニトリル類、マレイン酸イミドなど不飽和イミド類などが挙げられ、特にp−ベンゾキノンが好ましい。親ジエン化合物の量は粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液に含まれるN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドと当量以上であれば特に制限はないが、粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液に含まれるN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドに対してモル比で1〜100倍当量、好ましくは1.2〜10倍当量用いられる。
【0017】
本発明において粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液をディールス・アルダー反応により処理する場合、粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液を直接親ジエン化合物と接触してもよいが、N−ビニルカルボン酸アミドとの反応性がなく、適度な溶解性を有する溶媒に溶解した後、ディールス・アルダー反応に供してもよい。このような溶媒としては本発明の吸着による方法で例示した溶媒が挙げられる。また、本発明において粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液をディールス・アルダー反応により処理する場合、触媒の必要はないが、一般にディールス・アルダー反応における触媒作用があるといわれているもののうちで、N−ビニルカルボン酸アミドと反応を起こさないものであれば用いてもよい。これらの触媒として三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、ランタニド錯体などルイス酸類が挙げられる。
本発明のディールス・アルダー反応を行うのに適した反応温度は用いる親ジエン化合物の種類によって異なるが、−20℃から100℃が好ましく、特に0℃から80℃が好ましい。−20℃以下では反応が著しく遅くなり好ましくない。100℃以上ではN−ビニルカルボン酸アミドの安定性が低下するために、好ましくない。
【0018】
また、本発明のディールス・アルダー反応により処理したN−ビニルカルボン酸アミド溶液にはディールス・アルダー反応により生成したディールス・アルダー付加物が含まれているが、この化合物はN−ビニルカルボン酸アミドの重合に対して阻害作用をほとんど及ぼさない。さらに、本発明で生成したディールス・アルダー付加物はN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドに比して低い蒸気圧を持つ。従って、このN−ビニルカルボン酸アミド溶液を本発明のディールス・アルダー反応により処理した後、蒸留にて精製すれば、N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドを蒸留のみで除去する場合と比べてより容易に、即ち、簡便な蒸留設備でディールス・アルダー付加物を分離することができる。
本発明において、粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液を水素化反応による処理方法は、粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液、水素および触媒を共存させることによって行われる。触媒としては、一般にオレフィンの選択水素添加反応において活性があるものであれば特に制限はないが、モノオレフィンとジエンの共存下においてジエン水素化の選択性の高いことが望ましい。例えば、Pd系、Co−Mo系、Ni−Co−Cr系などの金属、あるいはこれらの金属を修飾したものをアルミナ、活性炭、シリカ、などに担持した触媒が挙げられ、特に、Pd−アルミナ、Pd−Ag−アルミナ、Pd−Pb−アルミナ、Pd−Cr−アルミナなどPd−アルミナ系触媒が好ましい。また、金属成分としてPdを用いる場合は担持量が0.001〜5重量%が好ましく、特に0.01〜1重量%が好ましい。担持量が0.001重量%以下では反応が著しく遅くなり好ましくない。5重量%以上ではN−ビニルカルボン酸アミドの水素添加されたN−エチルアセトアミドが多くなり好ましくない。
【0019】
本発明においてN−ビニルカルボン酸アミド溶液を水素化反応により処理する場合、N−ビニルカルボン酸アミド溶液を直接水素と触媒に接触してもよいが、N−ビニルカルボン酸アミドとの反応性がなく、適度な溶解性を有する溶媒に溶解した後、水素化反応に供してもよい。このような溶媒としては本発明の吸着による方法で例示した溶媒が挙げられるが、その中でもアルコールが好ましく、特にメタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。また、これらを組み合わせて用いることができる。また、本発明の水素化反応を行うのに適した反応温度は用いる触媒の種類によって異なるが、−20℃から100℃が好ましく、特に0℃から80℃が好ましい。−20℃以下では反応が著しく遅くなり好ましくない。100℃以上ではN−ビニルカルボン酸アミドの安定性が低下するために、好ましくない。
本発明の選択水素添加反応を行うのに適した水素分圧は、0.01〜100kg/cm2 、好ましくは0.5〜50kg/cm2 である。水素分圧が0.01kg/cm2 以下では反応が著しく遅くなり好ましくない。100kg/cm2 以上では、N−ビニルカルボン酸アミドが水素添加されN−エチルアセトアミドの生成量が多くなるとともに、設備費用が高くなり、好ましくない。
触媒を充填し流通させる場合、液空間速度は水素分圧、反応温度、N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量によって適当な条件は異なるが、0.05〜1000[Hr−1]が好ましい。1000以上ではN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの充分な転化率が得られず、好ましくない。0.05以下では反応の効率が悪くなり好ましくない。
本発明で用いられる反応方法は連続式、回分式のどちらでもよく、反応器は構造様式に厳密な条件はない。気固接触、気液固接触、固液接触のいずれも用いられるが、比較的温和な条件で均一に原料と触媒が接触しうる固液反応器が好ましい。固液反応を行う場合はあらかじめ水素を粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液に溶解しておくことで反応に必要な水素が供給される。
水素添加反応後の反応液には製造に伴う副生成物および水素添加反応による生成物が含まれる。反応液の精製する実施態様としては、例えば、同溶液の精密蒸留、冷却による再結晶法、同溶液の圧力晶析法などがあり、それぞれの方法を単独であるいは組み合わせて用いられる。また、以上で例示した方法の他、副生成物とN−ビニルカルボン酸アミドが容易に分離される方法であれば、特に制限されない。
前述のように本発明においてN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドにはシス体およびトランス体があるが、その物性や反応性が異なるために分離の程度が異なる場合がある。このような場合は適当な反応条件下でのN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドのシス−トランスの異性化反応と前述の分離などの操作を組み合わせてもよい。
【0020】
いずれの場合もN−ビニルカルボン酸アミドは酸が存在すると加溶媒分解、または加水分解を起こす。従って、本発明で使用する製造装置、分離装置、原料槽、製品容器、濾液槽などの付帯設備は窒素や乾燥空気などの雰囲気下にすることが望ましい。また、N−ビニルカルボン酸アミドの加水分解反応を防ぐために、原料に少量の硫酸マグネシウムなどの乾燥剤を添加してもよい。
塩基が存在すると2量化反応を起こす。従って、蒸留、吸着操作を行う前にN−ビニルカルボン酸アミド溶液のpHを3〜11、好ましくは4〜10、さらに好ましくは5〜9に調整しておくことが望ましい。調整に当たって、酸性の粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液を調整する場合は塩基性化合物を添加することにより行う。この塩基性化合物としては炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、燐酸(水素)ナトリウム、酢酸ナトリウムなどのナトリウム塩、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、燐酸(水素)カリウム、酢酸カリウムなどのカリウム塩、N−フェニル−α−ナフチルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N、N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1、4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(p−トルエンスルホニル)−p−フェニレンジアミンなどの芳香族アミン類が挙げられ、炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。
【0021】
添加量は10000ppmから1ppmが好ましく、1000ppmから10ppmが特に好ましい。10000ppm以上添加しても無機塩類では溶解しきれず、実際上添加に応じた効果は期待できない。また、芳香族アミン類では精製工程で完全に除去するのが困難となり、N−ビニルカルボン酸アミドの重合性がかえって低下してしまう。1ppm以下では安定剤としての効果がほとんど見られない。
塩基性の粗N−ビニルカルボン酸アミド溶液を調整する場合は酸性化合物を添加することにより行う。この酸性化合物としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及びこれらの塩類など酸性無機化合物、酢酸、フタル酸、クエン酸などカルボン酸類、フェノール、ハイドロキノン、カテコールなど石炭酸類及びこれらの塩類など酸性有機化合物などが挙げられる。
【0022】
次に本発明の方法のうち、N−ビニルカルボン酸アミドの製造原料または中間体中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドあるいはその前駆体の軽減削除にする方法について説明する。なお、本発明において、前駆体の含有量は前駆体からN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドに全量変化した場合のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量を表すものとする。
本発明の方法においてN−ビニルカルボン酸アミドの製造原料または中間体とはN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミド、ジアルキルアセタ−ル、エチリデンビスカルボン酸アミドが挙げられる。N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドおよびジアルキルアセタ−ルのアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシル基が挙げられる。また、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドおよびエチリデンビスカルボン酸アミドのカルボン酸アミド基としてはホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド、イソブチルアミドなどが挙げられる。これに対応する化合物として、例えばN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドとしてはN−(1−メトキシエチル)アセトアミド、N−(1−メトキシエチル)ホルムアミド、N−(1−エトキシエチル)アセトアミド、N−(1−エトキシエチル)ホルムアミド、N−(1−イソプロポキシエチル)アセトアミド、N−(1−イソプロポキシエチル)ホルムアミドなどが挙げられ、ジアルキルアセタ−ルとしてはジメチルアセタール、ジエチルアセタール、ジイソプロポキシアセタールなどが挙げられ、エチリデンビスカルボン酸アミドとしてはエチリデンビスアセトアミド、エチリデンビスホルムアミド、エチリデンビス(N−メチルホルムアミド)、エチリデンビスプロピオンアミドなどが挙げられる。
【0023】
これらN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドおよびエチリデンビスカルボン酸アミドのN−ビニルカルボン酸アミドへの変換は熱分解や接触分解など公知の方法による。それらの反応条件としては、例えば気相または液相で、反応温度60〜600℃、反応時間0.3秒〜2時間、反応圧力0.1mmHg〜大気圧が挙げられる。接触分解を行う場合に用いる触媒としては、カルボン酸のアルカリ金属塩、例えば酢酸カリウムなど、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、例えば酸化マグネシウムなどが挙げられる。
【0024】
N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドはN−(1,3−ジアルコキシブチル)カルボン酸アミドの熱分解あるいは接触分解により2当量のアルコールの脱離反応によって、あるいは3−アルコキシブチリデンビスカルボン酸アミドの熱分解あるいは接触分解によりアルコールとカルボン酸アミドの脱離反応などによって生成する。また、N−(1,3−ジアルコキシブチル)カルボン酸アミドと3−アルコキシブチリデンビスカルボン酸アミドは1,1,3−トリアルコキシブタンとカルボン酸アミドとの反応などにより生成する。
従って、本発明において、N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの前駆体としては1,1,3−トリアルコキシブタン、N−(1,3−ジアルコキシブチル)カルボン酸アミド、3−アルコキシブチリデンビスカルボン酸アミドなどが挙げられ、これらの前駆体のアルコキシル基およびカルボン酸アミド基としては前述のN−ビニルカルボン酸アミドの前駆体で例示したものが挙げられる。従って、1,1,3−トリアルコキシブタンとしては1,1,3−トリメトキシブタン、1,1,3−トリエトキシブタン、1,1,3−トリイソプロポキシブタンなどが挙げられ、N−(1,3−ジアルコキシブチル)カルボン酸アミドとしてはN−(1,3−ジメトキシブチル)アセトアミド、N−(1,3−ジメトキシブチル)ホルムアミド、N−(1,3−ジエトキシブチル)アセトアミド、N−(1,3−ジエトキシブチル)ホルムアミド、N−(1,3−ジイソプロポキシブチル)アセトアミド、N−(1,3−ジイソプロポキシブチル)ホルムアミドなどが挙げられ、3−アルコキシブチリデンビスカルボン酸アミドとしては3−メトキシブチリデンビスアセトアミド、3−メトキシブチリデンビスホルムアミド、3−エトキシブチリデンビスアセトアミド、3−エトキシブチリデンビスホルムアミド、3−イソプロポキシブチリデンビスアセトアミド、3−イソプロポキシブチリデンビスホルムアミドなどが挙げられる。
【0025】
N−ビニルカルボン酸アミドの製造原料または中間体中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドあるいはその前駆体の含有量を30ppm以下にする実施態様としては、例えば、精密蒸留法、N−ビニルカルボン酸アミドの前駆体溶液の冷却による再結晶法、同溶液の圧力晶析法、同溶液を活性炭など吸着剤で処理する物理的吸着法、また、同溶液を化学的に処理する方法などがあり、それぞれの方法を単独であるいは組み合わせて用いられる。また、以上で例示した方法の他、N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドあるいはその前駆体とN−ビニルカルボン酸アミドの製造原料または中間体が容易に分離される方法であれば、特に制限されない。
【0026】
粗N−ビニルカルボン酸アミド中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量が30ppm以下である高重合性N−ビニルカルボン酸アミドをモノマーとして使用することによって、高分子量のN−ビニルカルボン酸アミドのホモポリマーまたは他の共重合可能なモノマーとのコポリマーを製造することができる。
【0027】
本発明でN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能なモノマーとして代表的なものを具体的に例示すれば、以下のごときものが挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸(以下、総称して(メタ)アクリル酸という。)またはそれらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;そのメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、パルミチルエステル等のアルキルエステル;そのヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステル等のヒドロキシ低級アルキルエステル;そのジメチルアミノメチルエステル、ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノプロピルエステル、ジメチルアミノブチルエステル、ジエチルアミノメチルエステル、ジエチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノプロピルエステル、ジエチルアミノブチルエステル等の低級アルキルアミノ基で置換された低級アルキルエステル;そのトリメチルアンモニオエチルエステルハライド、トリメチルアンモニオプロピルエステルハライド、トリエチルアンモニオエチルエステルハライド、トリエチルアンモニオプロピルエステルハライド等の第4級アンモニウム基で置換された低級アルキルエステルハライド(ハライドはクロライドまたはブロマイドが好ましい。);そのアミド;そのジメチルアミノメチルアミド、ジメチルアミノエチルアミド、ジメチルアミノプロピルアミド、ジメチルアミノブチルアミド、ジエチルアミノメチルアミド、ジエチルアミノエチルアミド、ジエチルアミノプロピルアミド、ジエチルアミノブチルアミド等の低級アルキルアミノ基で置換されたアミド;そのトリメチルアンモニオエチルアミドハライド、トリメチルアンモニオプロピルアミドハライド、トリエチルアンモニオエチルアミドハライド、トリエチルアンモニオプロピルアミドハライド、等の第4級アンモニウム基で置換された低級アルキルアミド;そのスルフォメチルアミド、スルフォエチルアミド、スルフォプロピルアミド、スルフォブチルアミド、ソジウムスルフォメチルアミド、ソジウムスルフォエチルアミド、カリウムスルフォプロピルアミド、カリウムスルフォブチルアミド、カリウムスルフォメチルアミド、カリウムスルフォエチルアミド、カリウムスルフォプロピルアミド、カリウムスルフォブチルアミド等のスルホン酸またはアルカリ金属スルホン酸で置換された低級アルキルアミド;
【0028】
アクリロニトリル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のビニルケトン; 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の低級カルボン酸ビニル;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中で特に(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、塩化トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、スルフォプロピルアクリルアミド、スルフォブチルアクリルアミド、ソジウムスルフォプロピルアクリルアミド、ソジウムスルフォブチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、酢酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、無水マレイン酸などが好ましいものとして挙げられる。
【0029】
また本発明でN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能なモノマーとして1分子中に不飽和基を2個以上有する化合物である架橋性モノマーまたは架橋剤を使用することができる。
重合プロセスについては必ずしも制限はないが、従来公知の方法を用いることができる。通常は溶液重合法、逆相懸濁重合法、逆相乳化重合法等の方法によることが好ましい。
例えば、溶液重合法としては、水又は有機溶媒或いはこれらの混合溶媒等の溶媒中にモノマー成分、架橋剤を均一に溶解し、真空脱気或いは窒素、炭酸ガス等の不活性ガスによる置換等により系内の溶存酸素を除去した後、重合開始剤を添加して反応させる。重合開始温度は通常−10〜60℃程度であり、反応時間は1〜10時間程度である。
【0030】
本発明でN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドは、マススペクトル(電子衝撃法)、同(化学イオン化法)、赤外光吸収スペクトル、紫外光吸収スペクトルにより、確認・同定された。例えば、N−1,3−ブタジエニルアセトアミドにおいては、次の通りである。
N−1,3−ブタジエニルアセトアミドの物性
マススペクトル(電子衝撃法) 111、69、54、43
マススペクトル(化学イオン化法) 112
赤外光吸収スペクトル(cm-1) 3099、1732、1654、1471
紫外光吸収スペクトル(nm) 237、276
【0031】
本発明においてN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの定量は高速液体カラムクロマトグラフィーにより行うことが良いが、特にこの方法に限定されるものではない。例えば、次の高速液体カラムクロマトグラフィーの測定条件が好ましい。本発明では特に断らない限り、この条件で定量した。
カラム:SHODEX SIL5B
溶離液:n-ヘキサン/イソプロピルアルコール=9/1、1mL/min
検出器:紫外光検出器、254nm
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明は下記の例によって特に限定されるものではない。
実施例1
温度計およびドライアイス−エタノールトラップを具備した三つ口フラスコ(200ml)にアセトアミド5.9g(0.1mol)、イソプロピルアルコール40g(0.67mol)、エチリデンビスアセトアミド2.16g(15mmol)、アセトアルデヒドジイソプロピルアセタール14.6g(0.1mol)を加え、45〜48℃で均一になるまで撹拌、溶解した。濃硫酸0.43g(仕込み量に対して0.1wt%)をイソプロピルアルコール2g(33mmol)に溶解(以下の実施例も同様)した液を加え撹拌後、アセトアルデヒド17.6g(0.4mol)を滴下ロ−トで3分かけて加えた、滴下終了後50℃で3時間反応を行ない触媒を中和した後、ガスクロマトグラフィ−で定量したところ、アセトアミド転化率88%、N−(1−プロポキシエチル)アセトアミドの選択率94%であり、副生物のエチリデンビスアセトアミドの選択率5.3%であった。得られた反応液から減圧蒸留でN−(1−プロポキシエチル)アセトアミドを得、450℃、滞留時間1秒でN−ビニルアセトアミドとイソプロピルアルコールに熱分解した。分解液を20℃に冷却し、高圧容器内で1800kg/cm2 、20℃で母液を分離した。純度99.9%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド1ppm以下のN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、蒸留水を加えて17重量%にし、窒素置換後V−50(N,N’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を500ppm加え、45℃恒温水槽に浸した。10分後、ハイドロキノン1%水溶液で9重量%に希釈しBL型粘度計を用いて、30℃、回転数30RPM で粘度を測定したところ130cpsであった。
【0033】
比較例1
実施例1で得られた熱分解液をO.5mmHgで単蒸留を行い、純度97.5%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド200ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、粘度は10cps以下であった。
【0034】
実施例2
〔アセタール合成工程〕
25段のガラス製オルダーショウ型精留塔に上から5段目に0.5重量%の硫酸を含むメタノールを毎時180gで導入し、上から15段目にアセトアルデヒドを毎時72gで導入した。精留塔の下部には水100gを入れた500mlフラスコを設けて100℃に加熱し、フラスコ内容物を毎時29gで抜きだした。フラスコ抜き出し液は実際上有機物が含まれていなかった。塔頂からは還流比2で221g/hのジメチルアセタール−メタノール混合物を抜きだした。留出液には実際上水、アセトアルデヒドが含まれていなかった。アセトアルデヒド転化率100%、ジメチルアセタール収率100%であった。
〔アセタール分離工程〕
25段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から1段目にノルマルヘキサンを毎時56gで導入し、上から10段目に28重量%のメタノールを含むジメチルアセタールを毎時71gで導入した。還流比6で塔頂の温度が50℃を維持するように加熱を行った。精留塔の下部にはジメチルアセタールを100gを入れた500mlフラスコを設けて110℃の油浴に浸して加熱し、フラスコ内容物を毎時47gで抜きだした。フラスコ抜き出し液は実際上ノルマルヘキサンを含まず、メタノールを0.3%含むジメチルアセタールであった。塔頂からは80g/hのジメチルアセタール−メタノール−ノルマルヘキサン混合物を抜きだした。留出液、缶出液共に実際上水、アセトアルデヒドが含まれていなかった。
【0035】
〔N−(1−メトキシエチル)アセトアミド合成工程〕
アセタール分離工程で得られた高純度ジメチルアセタールとメタノール回収工程で得られたメタノールを含むジメチルアセタールを混合し、これに乾燥したアセトアミドを溶解してアセトアミド/ジメチルアセタール/メタノールのモル比1/20/3の反応原料液を調整した。強酸性イオン交換樹脂アンバーリスト15を60ml充填した内径40mmの反応管下部からこの液を毎時5mlで導入した。反応管のジャケットには55℃の温水を流し、反応温度を55℃に制御した。反応器上部の出口から得られた反応液を定量分析すると反応液のモル組成はおよそアセトアミド/ジメチルアセタール/メタノール/MEAで0/19/4/0.9であり、アセトアミド転化率98%、N−(1−メトキシエチル)アセトアミド(MEA)収率90%であった。
【0036】
〔アセタール回収工程〕
N−(1−メトキシエチル)アセトアミド合成工程で得られら反応液を100mmHgに減圧した伝熱面積0.04m2 のジャケット付き薄膜式連続フラッシュエバポレーターに毎時600gで供給した。ジャケットには90℃の熱媒を循環させた。実際上N−(1−メトキシエチル)アセトアミドからなる蒸発残分が毎時17gで得られた。メタノール7重量%を含むジメチルアセタールからなる揮発成分を凝縮した液は毎時583g得られた。
【0037】
〔メタノール回収工程〕
25段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から10段目にアセタール回収工程で得られる7重量%のメタノールを含むジメチルアセタール留分を毎時200gで導入した。還流比6で塔頂の温度が58℃を維持するように加熱を行った。精留塔の下部に500mlフラスコを設けて110℃の油浴に浸して加熱し、フラスコ内容物を毎時185gで抜きだした。フラスコ抜き出し液はメタノールを5.6重量%含むジメチルアセタールであった。塔頂からは毎時15gのジメチルアセタール−メタノール共沸混合物(メタノール24重量%)を抜きだした。
〔N−ビニルアセトアミド合成工程〕
アセタール回収工程で得られた実際上N−(1−メトキシエチル)アセトアミドからなる液を毎分20mlで450℃に加熱し、100mmHgに減圧した内径20mm、全長6mのステンレス反応管に供給した。反応管出口に設けられた冷却器で熱分解反応で生成したN−ビニルアセトアミドとメタノールの混合物を凝縮し、回収した。N−(1−メトキシエチル)アセトアミドの転化率は92%であった。
【0038】
〔N−ビニルアセトアミド濃縮工程〕
10段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から10段目にN−ビニルアセトアミド合成工程で得られた反応液を毎時200gで導入した。減圧度は200mmHg、還流比2で塔頂の温度が40℃を維持するように加熱を行った。精留塔の下部に500mlフラスコを設けて80℃の油浴に浸して加熱し、フラスコ内容物を毎時155gで抜きだした。フラスコ抜き出し液はN−ビニルアセトアミドを94重量%含む粗N−ビニルアセトアミド溶液であった。塔頂からは毎時45gのメタノールを抜きだした。粗N−ビニルアセトアミド中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは70ppmであった。
【0039】
〔N−ビニルアセトアミド精製工程〕
N−ビニルアセトアミド濃縮工程で得られた粗N−ビニルアセトアミド溶液を10段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から5段目に導入し、0.15mmHg、還流比3で減圧下で精密蒸留を行った。純度98%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド4ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、100cpsであった。
【0040】
実施例3
実施例2のN−ビニルアセトアミド濃縮工程で得られたN−1,3−ブタジエニルアセトアミドを70ppm含む粗N−ビニルアセトアミドを50℃に調整し、高圧容器内で1800kg/cm2 、50℃で母液を分離した。純度99.9%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド1ppm以下のN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、150cpsであった。
【0041】
実施例4
実施例2のN−ビニルアセトアミド合成工程で得られたN−1,3−ブタジエニルアセトアミドを70ppm含むN−ビニルアセトアミドのメタノール溶液を活性炭を充填した塔にSV2、室温で通液した。得られた溶液にはN−1,3−ブタジエニルアセトアミドが9ppm含まれていた。この溶液の減圧単蒸留を行い、留出したN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、70cpsであった。
【0042】
実施例5
比較例1で得られたN−1,3−ブタジエニルアセトアミドを200ppm含むN−ビニルアセトアミド50重量部にトルエン50重量部を加え、窒素雰囲気下40℃で溶解し、4℃まで冷却後晶析した結晶を濾別し、減圧乾燥した。得られたN−ビニルアセトアミドにはN−1,3−ブタジエニルアセトアミドが8ppm含まれ、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、80cpsであった。
【0043】
実施例6
実施例2のN−ビニルアセトアミド合成工程で得られたN−1,3−ブタジエニルアセトアミドを70ppm含むN−ビニルアセトアミドのメタノール溶液にp−ベンゾキノンを97ppm(N−1,3−ブタジエニルアセトアミドに対して1.5当量)となるよう添加し、室温で1時間撹拌した。反応液中に含まれるN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは9ppmであった。この溶液の減圧単蒸留を行い、留出したN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、70cpsであった。
【0044】
実施例7
アルミナ担体にパラジウムを0.5重量%担持させた固体触媒5gとN−1,3−ブタジエニルアセトアミドを70ppm、N−ビニルアセトアミド55重量%、N−(1−メトキシエチル)アセトアミド15重量%、アセトアミド7重量%、メタノール20重量%含む粗N−ビニルアセトアミド50gを200mlフラスコに入れ、水素雰囲気下、常温で30分間撹拌して反応をおこなった。反応終了後、反応液から触媒をろ別し、ろ液を分析した。N−1,3−ブタジエニルアセトアミドはHPLCで、その他の成分はガスクロで分析した。反応液中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは1ppm以下であり、N−エチルアセトアミドは0.4wt%であった。
メタノールを減圧留去後、高圧容器内で2000kg/cm2 に加圧してN−ビニルアセトアミドを晶析し、40℃で母液を分離した。得られたN−ビニルアセトアミドの純度は99.3重量%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミドの含有量は1ppm以下であった。実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、160cpsであった。
【0045】
実施例8
アルミナ担体にパラジウムを0.5重量%担持させた固体触媒2.5kgを窒素雰囲気下にある水素添加反応器に充填した。水素雰囲気下、20℃でN−1,3−ブタジエニルアセトアミドを400ppm、N−ビニルアセトアミド55重量%、N−(1−メトキシエチル)アセトアミド15重量%、アセトアミド7重量%、メタノール20重量%含む粗N−ビニルアセトアミド95kgを液空間速度(LHSV)60Hr-1で反応器を6時間循環流通した。反応液中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは1ppm以下であり、N−エチルアセトアミドは0.3wt%であった。
得られた反応液中のメタノールを減圧留去したのち、高圧容器内で1800kg/cm2 、30℃で母液を分離した。純度99.5重量%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミドの含有量は1ppm以下のN−ビニルアセトアミドが得られた。
このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、170cpsであった。
【0046】
実施例9
アルミナ担体にパラジウムを0.5重量%担持させた固体触媒25gを窒素雰囲気下にある水素添加反応器に充填し、水素圧6kg/cm2 、液空間速度3(1/時間)、温度20℃でN−1,3−ブタジエニルアセトアミドを400ppm含有し、N−ビニルアセトアミド55重量%、N−(1−メトキシエチル)アセトアミド15重量%、アセトアミド7重量%、メタノール20重量%含む粗N−ビニルアセトアミドを流通させた。反応液中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは1ppm以下であり、N−エチルアセトアミドは0.5wt%であった。
得られた反応液中のメタノールを減圧留去したのち、高圧容器内で1800kg/cm2 、30℃で母液を分離した。純度99.5重量%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミドの含有量は1ppm以下のN−ビニルアセトアミドが得られた。
このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、170cpsであった。
【0047】
実施例10
触媒をアルミナ担体にパラジウムを0.5重量%担持させたものの代わりに、アルミナ担体にパラジウムを0.05重量%、銀を0.3重量%担持させたものを用い、反応時間を1時間にした以外は実施例7と同様に行った。反応液中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは1ppm以下であり、N−エチルアセトアミドは0.4wt%であった。この実施例で得られるN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、170cpsであった。
【0048】
実施例11
実施例2のアセタール回収工程で得られたメタノールを7重量%含むジメチルアセタールを実施例2のアセタール分離工程に戻し、アセタールからメタノールを分離した。得られたアセタールには1,1,3−トリメトキシブタンが250ppm含まれていた。このアセタールを理論段数20段の充填塔を用いて還流比5で蒸留し、1,1,3−トリメトキシブタンを12ppm含むアセタールを得た。得られたアセタールを用いて実施例3の1−メトキシエチルアセトアミド合成工程以降の工程を行った。ただし、N−ビニルアセトアミド精製工程では精密蒸留の代わりに単蒸留を行った。得られたN−ビニルアセトアミドにはN−1,3−ブタジエニルアセトアミドが10ppm含まれ、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、70cpsであった。
【0049】
比較例2
アセタールの精留を行わない以外は実施例11と同様にN−ビニルアセトアミドを製造した。得られたN−ビニルアセトアミドにはN−1,3−ブタジエニルアセトアミドが230ppm含まれ、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、10cps以下であった。
【0050】
実施例12
実施例2のアセタール回収工程で得られた実際上N−(1−メトキシエチル)アセトアミドからなる蒸発残分を理論段数20段の充填塔を用いて還流比6で蒸留し、N−(1,3−ジメトキシブチル)アセトアミドを11ppm含むN−(1−メトキシエチル)アセトアミドを得た。得られたN−(1−メトキシエチル)アセトアミドを用いて実施例3のN−ビニルアセトアミド合成工程を行ない、N−ビニルアセトアミド精製工程では精密蒸留の代わりに単蒸留を行った。得られたN−ビニルアセトアミドにはN−1,3−ブタジエニルアセトアミドが9ppm含まれ、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、80cpsであった。
【0051】
比較例3
N−(1−メトキシエチル)アセトアミドの精留を行わない以外は実施例9と同様にN−ビニルアセトアミドを製造した。得られたN−ビニルアセトアミドにはN−1,3−ブタジエニルアセトアミドが230ppm含まれ、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、10cps以下であった。
【0052】
実施例13
ガラス製反応器に水745g、実施例2で得られたN−ビニルアセトアミドを250g、架橋剤としてN,N’−(ジアセチル)−N,N’−(ジビニル)−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン0.409gを加えて溶解し、窒素ガスにて溶存酸素を除去した後、重合開始剤として、脱気水5mlに溶解した2,2’−アゾビス 2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン 二塩酸塩0.075gを加え、断熱して静置した。7時間後、重合熱により反応器の内部温度は71℃に達し、その後、徐々に放熱により内部温度は低下した。重合開始剤添加後、反応器の内部温度が極大値を指すまでの時間を「ピーク到達時間」と呼ぶ。この例でのピーク到達時間は7時間である。
【0053】
比較例4
実施例2で得られたN−ビニルアセトアミドの代わりに比較例1で得られたN−ビニルアセトアミドを用いた以外は実施例13と同様に重合を行った。重合開始剤添加後、48時間経っても重合に伴う内部温度の上昇は見られなかった。
【0054】
実施例14
ガラス製反応器に水745g、実施例2で得られたN−ビニルアセトアミドを225g、アクリル酸ソーダを27.6gを加えて溶解し、窒素ガスにて溶存酸素を除去した後、重合開始剤として、脱気水5mlに溶解した2,2’−アゾビス2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン二塩酸塩0.075gを加え、断熱して静置した。ピーク到達時間は6時間であった。
【0055】
比較例5
実施例2で得られたN−ビニルアセトアミドの代わりに比較例1で得られたN−ビニルアセトアミドを用いた以外は実施例13と同様に重合を行った。重合開始剤添加後、48時間経っても重合に伴う内部温度の上昇は見られなかった。
【0056】
【発明の効果】
N−ビニルカルボン酸アミドの既知の製造法である、例えば、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドの脱アルコール反応により、またはカルボン酸アミド、アセトアルデヒドとアルコールとから、もしくはカルボン酸アミドとアセトアルデヒドジアルキルアセタールとから中間体として得られるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドの脱アルコール反応により、エチリデンビスカルボン酸アミドの分解反応により、またはアセトアルデヒドとカルボン酸アミドとから中間体として得られるエチリデンビスカルボン酸アミドの分解反応により、得られる粗N−ビニルアセトアミドの重合性が良好でなかった。しかし、その粗N−ビニルカルボン酸アミド中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量を30ppm以下に、好ましくは10ppm以下に、さらに好ましくは1ppm以下に軽減除去し精製処理することにより重合性が改善された高重合性N−ビニルカルボン酸アミドを製造することができる。
【0057】
また、粗N−ビニルカルボン酸アミドまたはその溶液の精密蒸留法、再結晶法、圧力晶析法、活性炭吸着剤での物理的吸着法、ディールズ・アルダー反応法または1,3−ブタジエニル基の選択水素化反応法などによる精製処理により、N−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドを前記含有量以下に軽減除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に粗N−ビニルアセトアミド(NVA)中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミド含有量を、縦軸に実施例1と同様に測定された粘度(重合性評価値)を示す。
Claims (5)
- 粗N−ビニルカルボン酸アミドを、ディールズ・アルダー反応法または1,3−ブタジエニル基の選択水素化反応法による精製処理を行うことにより、1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量を30ppm以下とすることを特徴とする高重合性N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
- 粗N−ビニルカルボン酸アミドが、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドの脱アルコール反応により、またはカルボン酸アミド、アセトアルデヒドとアルコールとから、もしくはカルボン酸アミドとアセトアルデヒドジアルキルアセタールとから中間体として得られるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドの脱アルコール反応により得られたものである請求項1に記載の高重合性N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
- 粗N−ビニルカルボン酸アミドが、エチリデンビスカルボン酸アミドの分解反応により、またはアセトアルデヒドとカルボン酸アミドとから中間体として得られるエチリデンビスカルボン酸アミドの分解反応により得られたものである請求項1に記載の高重合性N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
- 精製処理が、N−1,3−ブガジエニルカルボン酸アミドの接触水素添加反応による精製処理である請求項1に記載の高重合性N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法。
- N−ビニルカルボン酸アミドのホモポリマーまたは他の共重合可能なモノマーとのコポリマーの製造法において、請求項1に記載の製造方法により得られたN−ビニルカルボン酸アミド中のN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの含有量が30ppm以下である高重合性N−ビニルカルボン酸アミドをモノマーとして使用することを特徴とするN−ビニルカルボン酸アミドのホモポリマーまたはコポリマーの製造方法。
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