JP3674966B2 - 高重合性単量体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法に関し、さらに詳しくは粗N−(1−アルコキシエチルカルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミドを熱分解あるいは接触分解によってN−ビニルカルボン酸アミドを製造する方法において、N−ビニルカルボン酸アミド精製工程で分離された、N−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応のN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応のエチリデンビスカルボン酸アミドをN−ビニルカルボン酸アミドの原料として回収、再利用する方法およびそれを使用するN−ビニルカルボン酸アミドのホモポリマーまたはコポリマーの製造方法に関する。N−ビニルカルボン酸アミドは凝集剤、液体吸収剤、増粘剤などに利用されるN−ビニルカルボン酸アミド系ポリマーの製造に用いられる他、多方面の用途に向けられる産業上、有用なモノマーである。
【0002】
【従来の技術】
N−ビニルカルボン酸アミドの製造方法についてこれまで多くの方法が提案されている。例えば、カルボン酸アミド、アセトアルデヒド及びアルコールから中間体であるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドを製造し、これを熱分解または接触分解により合成する方法が知られている。また、N−ビニルカルボン酸アミドのもう一つの有力な合成法としてアセトアルデヒドとカルボン酸アミドからエチリデンビスカルボン酸アミドを合成し、これをカルボン酸アミドとN−ビニルカルボン酸アミドに分解する方法が用いられている。
これらの方法では蒸留、抽出、再結晶などのN−ビニルカルボン酸アミドの精製工程が行われている。例えば、特開昭61−286069号明細書によれば、蒸留ではN−ビニルホルムアミドへの未反応原料であるホルムアミドの混入は避けられないため、水と芳香族炭化水素による抽出分離が開示されている。また、特開昭63−132868号では混合有機溶媒からの冷却晶析による方法、特開平2−188560号では無機塩水溶液と芳香族炭化水素を用いた抽出による方法、米国特許4401516号には多価アルコールを用いた抽出蒸留による方法などが開示されている。
【0003】
一方、N−ビニルカルボン酸アミドは単独であるいは他のモノマーと共重合することによりN−ビニルカルボン酸アミド系ポリマーが得られる。これらは凝集剤、液体吸収剤、増粘剤などに利用されるが、いずれも高分子量のものが望まれている。しかし、上記のいずれの場合も安定的に良好な重合性を示すN−ビニルカルボン酸アミドを得ることは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題はN−ビニルカルボン酸アミド精製工程で未反応原料として分離された、N−ビニルカルボン酸アミドを含有するN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドを含有するエチリデンビスカルボン酸アミドを回収、再使用して重合性の良好なN−ビニルカルボン酸アミドを製造することにあり、また、高分子量のN−ビニルカルボン酸アミド系ポリマーを製造することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは重合性の良好なN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法について鋭意検討したところ、驚くべき事に、N−ビニルカルボン酸アミド精製工程で製品となる高純度のN−ビニルカルボン酸アミドから分離された、N−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応原料であるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応原料であるエチリデンビスカルボン酸アミドを回収し、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミドと混合して、N−ビニルカルボン酸アミドの原料として再利用するにあたり、当該混合液中のN−ビニルカルボン酸アミド含有量を10重量%以下にし、さらに上記混合液の33%水溶液のpH(以下、単にpHと呼ぶ。)が5〜10になるようにpH調整をすることにより、高分子量のポリマーを合成するのに適したN−ビニルカルボン酸アミドを製造できることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明によれば、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンカルボン酸アミドを熱分解あるいは接触分解によってN−ビニルカルボン酸アミドを製造する際に、最終のN−ビニルカルボン酸アミド精製工程で製品となる高純度のN−ビニルカルボン酸アミドから分離された、N−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応原料であるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応原料であるエチリデンビスカルボン酸アミドを回収し、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミドと混合して、N−ビニルカルボン酸アミドの原料として再利用するにあたり、当該混合液中のN−ビニルカルボン酸アミド含有量を10重量%以下、好ましくは、5重量%以下、特に好ましくは、3重量%以下にし、さらに好適には上記混合液のpHが5〜10、好ましくは6〜8、特に好ましくは6.3〜7.5、さらに好ましくは、N−ビニルカルボン酸アミドの含有量を3重量%以下にし、かつ、pHが6.3〜7.5になるようにpH調整をすることにより、重合性の良好なN−ビニルカルボン酸アミドの製造方法が提供され、また、それを使用することによりN−ビニルカルボン酸アミドのホモポリマーまたはコポリマーの製造方法が提供される。
【0007】
以下さらに詳しく本発明を説明する。
本発明で用いるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドは次の一般式(I)、
【化1】
Figure 0003674966
(式中、R1 、R2 、R3 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で示され、例えば、N−(1−メトキシエチル)ホルムアミド、N−(1−エトキシエチル)ホルムアミド、N−(1−プロポキシエチル)ホルムアミド、N−(1−イソプロポキシエチル)ホルムアミド、N−(1−ブトキシエチル)ホルムアミド、N−(1−イソブトキシエチル)ホルムアミド、N−(1−メトキシエチル)アセトアミド、N−(1−エトキシエチル)アセトアミド、N−(1−プロポキシエチル)アセトアミド、N−(1−イソプロポキシエチル)アセトアミド、N−(1−ブトキシエチル)アセトアミド、N−(1−イソブトキシエチル)アセトアミド、N−(1−メトキシエチル)プロピオンアミド、N−(1−エトキシエチル)プロピオンアミド、N−(1−プロポキシエチル)プロピオンアミド、N−(1−イソプロポキシエチル)プロピオンアミド、N−(1−ブトキシエチル)プロピオンアミド、N−(1−イソブトキシエチル)プロピオンアミド、N−(1−メトキシエチル)イソブチルアミド、N−(1−エトキシエチル)イソブチルアミド、N−(1−プロポキシエチル)イソブチルアミド、N−(1−イソプロポキシエチル)イソブチルアミド、N−(1−ブトキシエチル)イソブチルアミド、N−(1−イソブトキシエチル)イソブチルアミドなどが挙げられ、好ましくは、N−(1−メトキシエチル)ホルムアミド、N−(1−メトキシエチル)アセトアミド、N−(1−イソプロポキシエチル)アセトアミド、N−(1−メトキシエチル)イソブチルアミド、さらに好ましくはN−(1−メトキシエチル)アセトアミド、N−(1−イソプロポキシエチル)アセトアミドが挙げられる。
【0008】
また、本発明で用いるエチリデンビスカルボン酸アミドは次の一般式(II)、
【化2】
Figure 0003674966
(式中、R1 、R2 、R3 は前記の通り。)で示され、例えば、エチリデンビスホルムアミド、エチリデンビスアセトアミド、エチリデンビスプロピオンアミド、エチリデンビスイソブチルアミドなどが挙げられ、好ましくはエチリデンビスホルムアミド、エチリデンビスアセトアミド、さらに好ましくはエチリデンビスアセトアミドが挙げられる。
【0009】
本発明で、N−ビニルカルボン酸アミドとは次の一般式(III)、
CH2 =CH−NR2 −COR3 (III)
(式中、R1 、R2 、R3 は前記の通り。)で示され、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−メチル−N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルイソブチルアミド、N−メチル−N−ビニルイソブチルアミドなどが挙げられ、好ましくはN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、さらに好ましくはN−ビニルアセトアミドが挙げられる。
【0010】
本発明に用いる粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドの合成方法について、特に制限はないが、次のような方法が例示される。酸触媒の存在下、アセトアルデヒド、カルボン酸アミドとアルコールの縮合反応による方法、酸触媒の存在下、アセトアルデヒドアセタールのカルボン酸アミドによる置換反応による方法、エチリデンビスカルボン酸アミドのアルコールによる置換反応による方法、ビニルアルキルエーテルへのカルボン酸アミドの付加反応による方法などが挙げられる。
【0011】
また、本発明に用いる粗エチリデンビスカルボン酸アミドの合成方法について、特に制限はないが、次のような方法が例示される。酸触媒の存在下、アセトアルデヒドとカルボン酸アミドの縮合反応による方法、酸触媒の存在下、アセトアルデヒドアセタールのカルボン酸アミドによる置換反応による方法、カルボン酸ビニルとカルボン酸アミドによる反応による方法、ビニルアルキルエーテルへのカルボン酸アミドの付加および置換反応による方法などが挙げられる。
【0012】
本発明で用いる粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミド中にN−ビニルカルボン酸アミドが10重量%以上含有される理由として種々挙げられるが、例えば、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミドを熱分解あるいは接触分解によってN−ビニルカルボン酸アミドを合成し、N−ビニルカルボン酸アミドの分離後に得られる未反応のN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドとN−ビニルカルボン酸アミドを含む混合物などが挙げられる。また、上記の合成法などで得られたN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドを含む反応液を蒸留操作等で精製分離する際に、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドの一部がN−ビニルカルボン酸アミドに分解した場合などが挙げられる。
【0013】
N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミド中のN−ビニルカルボン酸アミドを10重量%以下にする方法について説明する。
N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミド中のN−ビニルカルボン酸アミドが10重量%以下にする方法であれば特に方法に制限はないが、その実施態様としては例えば、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドまたはそれらの溶液の精密蒸留法、共沸蒸留法、再結晶法、圧力晶析法などの方法があり、それぞれの方法を単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。なお、以上で例示した方法の他、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドとN−ビニルカルボン酸アミドが容易に分離できる方法であれば、特に制限はない。
【0014】
以下、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミド中のN−ビニルカルボン酸アミドが10重量%以下にする実施態様についてさらに詳細に説明する。
本発明の方法において、精密蒸留法で分離する場合の蒸留装置としては特に制限はなく、1〜50段の理論段数を有する棚段塔や充填塔が用いられるが、圧力損失が少なく、精留性能の優れた精留塔を用いることが好ましく、このような例として規則充填物を用いた充填塔が挙げられる。N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミド、エチリデンビスカルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドはいずれも熱に対して変質し易いので可能な限り低温で蒸留することが好ましい。従って、0.01から100mmHgの減圧下で蒸留が行われる。
【0015】
本発明は連続的にも非連続的にも実施できるが、連続的操作の方が生産性、運転安定性などの点で好ましい。還流比は特に制限はなく、N−ビニルカルボン酸アミドの含有量、種類、蒸留塔の性能などに応じて設定されるが、0.1〜20程度で充分であり、好ましくは0.5〜10程度である。
【0016】
本発明の方法において、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミド溶液の冷却による再結晶法で分離する場合は、これらの溶液を直接冷却しても良いが、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミド、エチリデンビスカルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドとの反応性がなく、適度な溶解性を有する再結晶溶媒を用いても良い。このような再結晶溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど芳香族炭化水素、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなど脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノールなどアルコール類、塩化メチレン、クロロフォルム、クロルベンゼンなどハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどエステル類、ジエチルエーテルなどエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどアミド類、ジメチルスルフォキシドなどが挙げられ、特に、トルエン、シクロヘキサン、メタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。また、これらを組み合わせも用いられる。冷却温度はN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミド、エチリデンビスカルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドと再結晶溶媒の種類や量によって適切な温度が異なるが、−20〜50℃、好ましくは−10〜40℃である。
【0017】
本発明で用いられる晶析装置としては連続式、回分式のどちらでも、また、晶析方法も冷媒との熱交換による方法でも溶媒の蒸発による濃縮と冷却による方法でもよく、構造様式に厳密な条件はない。
本発明で用いられる結晶の分離装置についても真空圧や加圧を利用するもの、重力や遠心力を利用するものなど特に制限はない。
本発明においては、晶析操作と分離操作を同一装置内で行う固液分離器も用いることができる。このような例として、再結晶溶媒を用いない場合などには圧力晶析機、流下液膜式晶析機(MWB分別晶析装置など)や塔型連続晶析精製装置(BMC装置など)が好ましい。また、高濃度のスラリーを濾過する場合にはローゼンムンドフィルターのような自動ヌッチェフィルターが好ましい。
N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドのpHを5〜10に調整する方法について説明する。
【0018】
N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドのpHが5より小さくなる原因として、これらに酢酸などカルボン酸類が含まれていることによることが挙げられる。これらのカルボン酸の混入の原因は明らかでないが、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドの合成に用いたアセトアルデヒドの酸化やカルボン酸アミドの加溶媒分解反応による生成などが考えられる。
【0019】
N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドのpHを5〜10に調整する方法であれば特に方法に制限はないが、その実施態様としては例えば、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドまたはそれらの溶液の精密蒸留法、共沸蒸留法、再結晶法、圧力晶析法、吸着剤などで処理する物理的方法、また化学的な方法として酸または塩基による中和による方法などがあり、それぞれの方法を単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。
【0020】
これらの方法のうち、精密蒸留法、共沸蒸留法、再結晶法、圧力晶析法などで処理する物理的方法については、上述のN−ビニルカルボン酸アミドの除去の場合と同様に行うことが出来る。吸着剤を用いる方法としてアニオン交換樹脂を吸着剤として用いる方法が挙げられる。
また、化学的な方法として酸または塩基による中和に用いる塩基性化合物としては炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、燐酸(水素)ナトリウム、酢酸ナトリウムなどのナトリウム塩、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、燐酸(水素)カリウム、酢酸カリウムなどのカリウム塩などが挙げられる。
塩基性のN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミド溶液のpHを調整する場合は酸性化合物を添加することにより行う。この酸性化合物としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及びこれらの塩類など酸性無機化合物、酢酸、フタル酸、クエン酸などカルボン酸類、フェノール、ハイドロキノン、カテコールなど石炭酸類及びこれらの塩類など酸性有機化合物などが挙げられる。
【0021】
なお、以上で例示した方法の他、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドのpHを容易に5〜10に調整する方法であれば、特に制限はない。
N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドおよびエチリデンビスカルボン酸アミドのN−ビニルカルボン酸アミドへの変換は熱分解や接触分解など公知の方法による。それらの反応条件としては、たとえば、気相または液相で、反応温度、60〜600℃、反応時間、0.3秒〜2時間、反応圧力、0.1mmHg〜大気圧が挙げられる。接触分解を行う場合に用いる触媒としては、カルボン酸のアルカリ金属塩、例えば、酢酸カリウムなど、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、例えば、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
【0022】
本発明において、いずれの場合もN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドおよびエチリデンビスカルボン酸アミドは酸が存在すると加溶媒分解、または加水分解を起こす。従って、本発明で使用する製造装置、分離装置、原料槽、製品容器、濾液槽などの付帯設備は窒素や乾燥空気などの雰囲気下にすることが望ましい。また、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドおよびエチリデンビスカルボン酸アミドの加水分解反応を防ぐために、原料に少量の硫酸マグネシウムなどの乾燥剤を添加してもよい。
【0023】
本発明において、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンカルボン酸アミドを熱分解あるいは接触分解によってN−ビニルカルボン酸アミドを製造する際に、最終のN−ビニルカルボン酸アミド精製工程で製品となる高純度のN−ビニルカルボン酸アミドから分離された、N−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応原料であるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応原料であるエチリデンビスカルボン酸アミドを回収し、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミドと混合して、N−ビニルカルボン酸アミドの原料として再利用するにあたり、当該混合液中のN−ビニルカルボン酸アミド含有量を10重量%以下、好ましくは、5重量%以下、特に好ましくは、3重量%以下にし、さらに好適には上記混合液のpHが5〜10、好ましくは6〜8、特に好ましくは6.3〜7.5、さらに好ましくは、N−ビニルカルボン酸アミドの含有量を3重量%以下にし、かつ、pHが6.3〜7.5になるようにpH調整をすることにより所望の高重合性のN−ビニルカルボン酸アミドを得ることができる。N−ビニルカルボン酸アミドの含有量がそれらの値を超えた混合液を熱分解あるいは接触分解すると高重合性のN−ビニルカルボン酸アミドを得ることは困難になる傾向にある。また、pHの値がそれらの範囲を超えた混合液を熱分解あるいは接触分解すると高重合性のN−ビニルカルボン酸アミドを得ることは困難になる傾向にある。
【0024】
本発明により、重合性の良好なN−ビニルカルボン酸アミドが得られる理由は明らかでないが、本発明の方法により、N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはエチリデンビスカルボン酸アミドから熱分解反応あるいは接触分解反応で、N−ビニルカルボン酸アミドを合成する際にN−ビニルカルボン酸アミドの重合に強い阻害作用を持つN−1,3−ブタジエニルカルボン酸アミドの生成が抑制されるためと考えられる。本発明によれば、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンカルボン酸アミドを熱分解あるいは接触分解によってN−ビニルカルボン酸アミドを製造する際に、前記、N−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応原料であるN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドを含有する未反応原料であるエチリデンビスカルボン酸アミドと、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミドとの混合液中のN−ビニルカルボン酸アミド含有量を10重量%以下にし、さらに上記混合液の33重量%水溶液のpHが5〜10になるようにpH調整をすることにより得られた高重合性のN−ビニルカルボン酸アミドをモノマーとして使用することによって、高分子量のN−ビニルカルボン酸アミドのホモポリマーまたは他の共重合可能なモノマーとのコポリマーを製造できる。
【0025】
本発明でN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能なモノマーとして代表的なものを具体的に例示すれば、以下のごときものが挙げられる。
【0026】
アクリル酸、メタクリル酸(以下、総称して(メタ)アクリル酸という。)またはそれらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;そのメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ヘキシルデシルエステル、オクタデシルエステル等のアルキルエステル;そのヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステル等のヒドロキシ低級アルキルエステル;そのジメチルアミノメチルエステル、ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノプロピルエステル、ジメチルアミノブチルエステル、ジエチルアミノメチルエステル、ジエチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノプロピルエステル、ジエチルアミノブチルエステル等の低級アルキルアミノ基で置換された低級アルキルエステル;そのトリメチルアンモニオエチルエステルハライド、トリメチルアンモニオプロピルエステルハライド、トリエチルアンモニオエチルエステルハライド、トリエチルアンモニオプロピルエステルハライド等の第4級アンモニウム基で置換された低級アルキルエステルハライド(ハライドはクロライドまたはブロマイドが好ましい。);そのアミド;そのジメチルアミノメチルアミド、ジメチルアミノエチルアミド、ジメチルアミノプロピルアミド、ジメチルアミノブチルアミド、ジエチルアミノメチルアミド、ジエチルアミノエチルアミド、ジエチルアミノプロピルアミド、ジエチルアミノブチルアミド等の低級アルキルアミノ基で置換された低級アルキルアミド;そのトリメチルアンモニオエチルアミドハライド、トリメチルアンモニオプロピルアミドハライド、トリエチルアンモニオエチルアミドハライド、トリエチルアンモニオプロピルアミドハライド等の第4級アンモニウム基で置換された低級アルキルアミドハライド;そのスルフォメチルアミド、スルフォエチルアミド、スルフォプロピルアミド、スルフォブチルアミド、ソジウムスルフォメチルアミド、ソジウムスルフォエチルアミド、ソジウムスルフォプロピルアミド、ソジウムスルフォブチルアミド、カリウムスルフォメチルアミド、カリウムスルフォエチルアミド、カリウムスルフォプロピルアミド、カリウムスルフォブチルアミド等のスルホン酸またはアルカリ金属スルホン酸で置換された低級アルキルアミド;アクリロニトリル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のビニルケトン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の低級カルボン酸ビニル;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウムなどが挙げられる。
【0027】
これらの中で特に(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピチル、(メタ)アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステル、塩化トリメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、スルフォプロピルアクリルアミド、スルフォブチルアクリルアミド、ソジウムスルフォプロピルアクリルアミド、ソジウムスルフォブチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、酢酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、無水マレイン酸などが好ましいものとして挙げられる。
【0028】
また、本発明でN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能なモノマーとして1分子中に不飽和基を2個以上有する化合物である架橋性モノマーまたは架橋剤を使用することができる。
重合プロセスについては必ずしも制限はないが、従来公知の方法を用いることができる。通常は溶液重合法、逆相懸濁重合法、逆相乳化重合法等の方法によることが好ましい。
例えば、溶液重合法としては、水又は有機溶媒或いはこれらの混合溶媒等の溶媒中にモノマー成分、架橋剤を均一に溶解し、真空脱気あるいは窒素、炭酸ガス等の不活性ガスによる置換等により系内の溶存酸素を除去した後、重合開始剤を添加して反応させる。重合開始温度は通常−10〜60℃程度であり、反応時間は1〜10時間程度である。
以下本発明の実施例を示すが、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明は下記の例によって何ら限定されるものではない。
【0030】
実施例1
温度計およびドライアイス−エタノ−ルトラップを具備した三つ口フラスコ(200ml)にアセトアミド5.9g(0.1mol)、イソプロピルアルコ−ル40g(0.67mol)、エチリデンビスアセトアミド2.16g(15mmol)、アセトアルデヒドジイソプロピルアセタール14.6g(0.1mol)を加え、45〜48℃で均一になるまで撹拌、溶解した。濃硫酸0.43g(仕込み量に対して0.1wt%)をイソプロピルアルコ−ル2g(33mmol)に溶解(以下の実施例も同様)した液を加え撹拌後、アセトアルデヒド17.6g(0.4mol)を滴下ロ−トで3分かけて加えた、滴下終了後50℃で3時間反応を行なった後、ガスクロマトグラフィ−で定量したところ、アセトアミド転化率88%、N−(1−プロポキシエチル)アセトアミドの選択率94%であり、副生物のエチリデンビスアセトアミドの選択率5.3%であった。得られた反応液のpHは1であった。この反応液に30%水酸化ナトリウムを加え、pHを6.5に調整した後、100mmHgの減圧下、未反応のアセトアルデヒド、イソプロピルアルコール、アセタールと反応で生成した水を留去した。残液を理論段数20段の蒸留塔を用いて環流比3、10mmHgで減圧蒸留したところ、33重量%で測定したpHが6.2で、1%のN−ビニルアセトアミドを含むN−(1−プロポキシエチル)アセトアミドが得られた。この液を450℃、滞留時間1秒でN−ビニルアセトアミドをイソプロピルアルコールに熱分解した。
【0031】
得られた分解液から150mmHgの減圧下でイソプロピルアルコールを留去して濃縮したところ、N−ビニルアセトアミド中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは15ppmであった。この液を25℃に調整し、高圧容器内で1800kg/cm2 、40℃で母液を分離した。純度99.9%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド3ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、蒸留水を加えて17重量%にし、窒素置換後V−50(N,N’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を500ppmくわえ、45℃恒温水槽に浸した。10分後、ハイドロキノン1%水溶液で9重量%に希釈しBL型粘度計を用いて、30℃、回転数30RPM で粘度を測定したところ70cpsであった。
【0032】
比較例1
実施例1で得られたpH1の反応液をそのまま減圧蒸留し、33重量%で測定したpHが3で、22%のN−ビニルアセトアミドを含むN−(1−プロポキシエチル)アセトアミドが得られた。この液を実施例1と同様に熱分解し、濃縮したところ、N−ビニルアセトアミド中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは1200ppmであった。この液を実施例1と同様に精製したところ、純度99.8%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド240ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、粘度は5cpsであった。
【0033】
実施例2
〔アセタール合成工程〕
25段のガラス製オルダーショウ型精留塔に上から5段目に0.5重量%の硫酸を含むメタノールを毎時180gで導入し、上から15段目にアセトアルデヒドを毎時72gで導入した。精留塔の下部には水100gを入れた500mlフラスコを設けて100℃に加熱し、フラスコ内容物を毎時29gで抜きだした。フラスコ抜き出し液は実際上有機物が含まれていなかった。塔頂からは還流比2で221g/hのジメチルアセタール−メタノール混合物を抜きだした。留出液には実際上水、アセトアルデヒドが含まれていなかった。アセトアルデヒド転化率100%、ジメチルアセタール収率100%であった。
【0034】
〔アセタール分離工程〕
25段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から1段目にノルマルヘキサンを毎時56gで導入し、上から10段目に28重量%のメタノールを含むジメチルアセタールを毎時71gで導入した。還流比6で塔頂の温度が50℃を維持するように加熱を行った。精留塔の下部にはジメチルアセタールを100gを入れた500mlフラスコを設けて110℃の油浴に浸して加熱し、フラスコ内容物を毎時47gで抜きだした。フラスコ抜き出し液は実際上ノルマルヘキサンを含まず、メタノールを0.3%含むジメチルアセタールであった。塔頂からは80g/hのジメチルアセタール−メタノール−ノルマルヘキサン混合物を抜きだした。留出液、缶出液共に実際上水、アセトアルデヒドが含まれていなかった。
【0035】
〔N−(1−メトキシエチル)アセトアミド合成工程〕
アセタール分離工程で得られた高純度ジメチルアセタールとメタノール回収工程で得られたメタノールを含むジメチルアセタールを混合し、これに乾燥したアセトアミドを溶解してアセトアミド/ジメチルアセタール/メタノールのモル比1/20/3の反応原料液を調整した。強酸性イオン交換樹脂アンバーリスト15を60ml充填した内径40mmの反応管下部からこの液を毎時5mlで導入した。反応管のジャケットには55℃の温水を流し、反応温度を55℃に制御した。反応器上部の出口から得られた反応液を定量分析すると反応液のモル組成はおよそアセトアミド/ジメチルアセタール/メタノール/MEAで0/19/4/0.9であり、アセトアミド転化率98%、N−(1−メトキシエチル)アセトアミド(MEA)収率90%であった。
【0036】
〔アセタール回収工程〕
N−(1−メトキシエチル)アセトアミド合成工程で得られら反応液を100mmHgに減圧した伝熱面積0.04m2 のジャケット付き薄膜式連続フラッシュエバポレーターに毎時600gで供給した。ジャケットには90℃の熱媒を循環させた。エチリデンビスアセトアミドを5重量%含むN−(1−メトキシエチル)アセトアミドからなる蒸発残分が毎時17gで得られた。メタノール7重量%を含むジメチルアセタールからなる揮発成分を凝縮した液は毎時583g得られた。
【0037】
〔N−(1−メトキシエチル)アセトアミド精製工程〕
アセタール回収工程で得られた蒸発残分のpHを測定したところ4.2であり、酢酸は450ppm含まれていた。これに酢酸に対して1.1当量の炭酸ナトリウムを添加し、11mmHgでN−(1−メトキシエチル)アセトアミドを単蒸留した。得られた留分のN−(1−メトキシエチル)アセトアミド中のN−ビニルアセトアミドは1.2%、pHは6.6であった。
【0038】
〔メタノール回収工程〕
25段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から10段目にアセタール回収工程で得られる7重量%のメタノールを含むジメチルアセタール留分を毎時200gで導入した。還流比6で塔頂の温度が58℃を維持するように加熱を行った。精留塔の下部に500mlフラスコを設けて110℃の油浴に浸して加熱し、フラスコ内容物を毎時185gで抜きだした。フラスコ抜き出し液はメタノールを5.6重量%含むジメチルアセタールであった。塔頂からは毎時15gのジメチルアセタール−メタノール共沸混合物(メタノール24重量%)を抜きだした。
【0039】
〔N−ビニルアセトアミド合成工程〕
N−(1−メトキシエチル)アセトアミド精製工程で得られたN−(1−メトキシエチル)アセトアミドからなる液を毎分20mlで450℃に加熱し、40mmHgに減圧した内径20mm、全長2mのステンレス反応管に供給した。反応管出口に設けられた冷却器で熱分解反応で生成したN−ビニルアセトアミドとメタノールの混合物を凝縮し、回収した。N−ビニルアセトアミド中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは33ppmであり、N−(1−メトキシエチル)アセトアミドの転化率は95%であった。
【0040】
〔N−ビニルアセトアミド濃縮工程〕
10段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から10段目にN−ビニルアセトアミド合成工程で得られた反応液を毎時200gで導入した。減圧度は200mmHg、還流比2で塔頂の温度が40℃を維持するように加熱を行った。精留塔の下部に500mlフラスコを設けて80℃の油浴に浸して加熱し、フラスコ内容物を毎時155gで抜きだした。フラスコ抜き出し液はN−ビニルアセトアミドを94重量%含む粗N−ビニルアセトアミド溶液であった。塔頂からは毎時45gのメタノールを抜きだした。
【0041】
〔N−ビニルアセトアミド精製工程〕
N−ビニルアセトアミド合成工程で得られた粗N−ビニルアセトアミド溶液を10段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から5段目に導入し、0.15mmHg、還流比3で減圧下で精密蒸留を行った。純度98%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド0.9ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、100cpsであった。
【0042】
実施例3
実施例2の[N−(1−メトキシエチル)アセトアミド精製工程]で炭酸ナトリウムに代えて炭酸カリウムを用いたところ、得られた留分のN−(1−メトキシエチル)アセトアミド中のN−ビニルアセトアミドは1.5%、pHは6.5であった。さらに、[N−ビニルアセトアミド精製工程]では実施例2の [ N−ビニルアセトアミド濃縮工程 ] で得られた濃縮液を50℃に調整し、高圧容器内で1800kg/cm、50℃でN−ビニルアセトアミドを分離した。純度99.9%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド6ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、50cpsであった。
【0043】
比較例2
実施例2の〔N−(1−メトキシエチル)アセトアミド精製工程〕で炭酸ナトリウムを添加しない以外は実施例2と同様にN−ビニルアセトアミドを製造した。〔N−(1−メトキシエチル)アセトアミド精製工程〕で得られた留分のN−(1−メトキシエチル)アセトアミド中のN−ビニルアセトアミドは1.0%、pHは4.0であった。〔N−ビニルアセトアミド精製工程〕で得られたN−ビニルアセトアミドにはN−1,3−ブタジエニルアセトアミドが55ppm含まれ、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、5cpsであった。
【0044】
比較例3
実施例2の〔N−(1−メトキシエチル)アセトアミド精製工程〕で炭酸ナトリウムを酢酸に対して10当量加えた以外は実施例2と同様にN−ビニルアセトアミドを製造した。〔N−(1−メトキシエチル)アセトアミド精製工程〕で得られた留分のN−(1−メトキシエチル)アセトアミド中のN−ビニルアセトアミドは11%、pHは7.5であった。〔N−ビニルアセトアミド精製工程〕で得られたN−ビニルアセトアミドにはN−1,3−ブタジエニルアセトアミドが40ppm含まれ、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、5cpsであった。
【0045】
実施例4
実施例3の〔N−ビニルアセトアミド精製工程〕で得られた母液の組成はN−(1−メトキシエチル)アセトアミドが47重量%、N−ビニルアセトアミド46重量%、アセトアミド4重量%であった。この母液15重量部と〔N−(1−メトキシエチル)アセトアミド精製工程〕で得られた留分85重量部を混合した。混合液の組成はN−(1−メトキシエチル)アセトアミドが91重量%、N−ビニルアセトアミド8重量%、アセトアミド1重量%、pHは6であった。この混合液を実施例2の〔N−ビニルアセトアミド合成工程〕と同様に反応を行い、N−1,3−ブタジエニルアセトアミドを67ppm含むN−ビニルアセトアミドを得た。さらに、実施例2と同様に〔N−ビニルアセトアミド濃縮工程〕を行い、得られた濃縮液を50℃に調整し、高圧容器内で1800kg/cm2 、50℃で母液を分離した。純度99.9%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド13ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、30cpsであった。
【0046】
比較例4
実施例4において、母液25重量部と〔N−(1−メトキシエチル)アセトアミド精製工程〕で得られた留分75重量部を混合した。混合液の組成はN−(1−メトキシエチル)アセトアミドが86重量%、N−ビニルアセトアミド13重量%、アセトアミド1重量%、pHは6であった。この混合液を実施例2の〔N−ビニルアセトアミド合成工程〕と同様に反応を行い、N−1,3−ブタジエニルアセトアミドを170ppm含むN−ビニルアセトアミドを得た。さらに、実施例2と同様に〔N−ビニルアセトアミド濃縮工程〕を行い、得られた濃縮液を50℃に調整し、高圧容器内で1800kg/cm2 、50℃で母液を分離した。純度99.9%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド42ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、5cpsであった。
【0047】
実施例5
33重量%水溶液で測定した時のpHが6.5でN−(1−メトキシエチル)アセトアミドが98wt%、アセトアミドが2wt%からなる液を毎分35gで420℃に加熱し、100mmHgに減圧した内径21mm、全長6mのステンレス反応管に供給した。反応管出口に設けられた冷却器で熱分解反応で生成したN−ビニルアセトアミドとメタノールの混合物を凝縮し、回収した。N−ビニルアセトアミド中のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドは33ppmであり、N−(1−メトキシエチル)アセトアミドの転化率は85%であった。
【0048】
10段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から10段目に得られた反応液を毎時200gで導入した。減圧度は200mmHg、還流比2で塔頂の温度が40℃を維持するように加熱を行った。精留塔の下部に500mlフラスコを設けて80℃の油浴に浸して加熱し、フラスコ内容物を毎時155gで抜きだした。フラスコ抜き出し液はN−ビニルアセトアミドを94重量%含む粗N−ビニルアセトアミド溶液であった。塔頂からは毎時45gのメタノールを抜きだした。得られた粗N−ビニルアセトアミド溶液を10段のガラス製オルダーショー型精留塔に上から5段目に導入し、0.15mmHg、還流比3で減圧下で精密蒸留を行った。純度98%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド0.9ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、100cpsであった。
【0049】
参考例1
実施例5で得られたN−1,3−ブタジエニルアセトアミドを33ppm含むN−ビニルアセトアミドのメタノール溶液からメタノールを留去し、N−ビニルアセトアミドを濃縮後50℃に調整し、高圧容器内で1800kg/cm2 、50℃で母液を分離した。純度99.9%、N−1,3−ブタジエニルアセトアミド2ppmのN−ビニルアセトアミドが得られた。このN−ビニルアセトアミドの重合性を評価するため、実施例1と同様に重合性評価試験を行ったところ、80cpsであった。
【0050】
実施例6〜10、比較例5〜8
実施例5において反応原料に種々の濃度のN−ビニルアセトアミドを含むN−(1−メトキシエチル)アセトアミドを用いた反応結果と精製後のN−1,3−ブタジエニルアセトアミドの含量とN−ビニルアセトアミドの重合性評価試験結果を表1にまとめた。
【0051】
【表1】
Figure 0003674966
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミドを熱分解または接触分解によってN−ビニルカルボン酸アミドを製造する方法において、N−ビニルカルボン酸アミド精製工程で分離された、N−ビニルカルボン酸アミドを含有するN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドを含有するエチリデンビスカルボン酸アミドを回収し、N−ビニルカルボン酸アミドの原料として再利用する際に、高重合性のN−ビニルカルボン酸アミド単量体を得ることができ、その高重合性単量体を使用して高分子量のN−ビニルカルボン酸アミド系のポリマーを製造することができる。

Claims (4)

  1. 粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミドを熱分解あるいは接触分解によってN−ビニルカルボン酸アミドを製造する方法において、N−ビニルカルボン酸アミド精製工程で分離された、N−ビニルカルボン酸アミドを含有するN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドを含有するエチリデンビスカルボン酸アミドを回収し、N−ビニルカルボン酸アミドの原料として再利用するにあたり、粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたは粗エチリデンビスカルボン酸アミドと、N−ビニルカルボン酸アミドを含有する回収されたN−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドまたはN−ビニルカルボン酸アミドを含有する回収されたエチリデンビスカルボン酸アミドからなる混合液中のN−ビニルカルボン酸アミド含有量を10重量%以下とし、かつ、当該混合液の33重量%水溶液のpHが5〜10になるようにpH調整をした後、熱分解または接触分解することを特徴とする高重合性N−ビニルカルボン酸アミド単量体の製造方法。
  2. 粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドが粗N−(1−低級アルコキシエチル)アセトアミドである請求項1に記載の高重合性N−ビニルカルボン酸アミド単量体の製造方法。
  3. 粗N−(1−アルコキシエチル)カルボン酸アミドが粗N−(1−アルコキシエチル)アセトアミドである請求項1に記載の高重合性N−ビニルカルボン酸アミド単量体の製造方法。
  4. N−ビニルカルボン酸アミドのホモポリマーまたは共重合可能なモノマーとのコポリマーの製造法において、請求項1に記載された方法により高重合性N−ビニルカルボン酸アミドを製造したのち、得られた高重合性N−ビニルカルボン酸アミドを使用してN−ビニルカルボン酸アミドのホモポリマーまたはコポリマーを製造することを特徴とする方法。
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