JP4099364B2 - 放熱シート及びpdpパネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、高分子物質を含む放熱フィルム又は放熱シートに関し、特にパワートランジスタ、高密度集積回路、プラズマディスプレイパネル(以下PDPガラスパネルとする場合がある)等の電子機器類の発熱体と、アルミシャーシ(アルミパネルとする場合がある)等のヒートシンクとの間に挟み込み間隙を埋めて効率的に熱を逃がす放熱シートに関するものである。又本発明は、放熱シートをガラスパネルとアルミパネルとの間に挟入して形成したPDPパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高性能化、小型化が進み、それに伴い半導体をはじめとする電子部品の高密度化、高機能化が進んでいる。電子部品の高密度化、高機能化によって、電子部品自体が大量の熱を発生するようになっている。この熱をそのままに放置しておくと、当該電子部品の品質を劣化させ、又は当該電子部品を損傷させてしまうので、電子部品が発生させる熱を効率よく取り除くための装置又は機構が必要不可欠となっている。たとえば、発熱体がPDPガラスパネルの場合には、PDPガラスパネルを発光させると、発熱して部分的に温度ムラが発生し、ガラスの割れの原因となる。
【0003】
現在、電子機器中の発熱体が発生する熱を取り除く方法として、電子機器の発熱源(発熱体とする場合がある)とアルミ冷却フィンとの間に放熱材を挟みこむものがある。ここで使用される放熱材は、シリコーン放熱グリース、シリコーン放熱シート、アクリル系放熱感圧接着剤シート、ウレタン系放熱感圧接着剤シート等である。そして、これらの放熱材は、柔軟な高分子材料に熱伝導率の大きい充填材をブレンドしたものである。このような放熱材は、放熱効果に加えて衝撃吸収の効果も有ることが知られていた。
【0004】
ところで上述した従来のシリコーン放熱グリースやシリコーン放熱シートを使用する放熱材においては、熱伝導度が大きい放熱性充填材を多量に充填できるので放熱性能が優れているけれども、感圧接着剤としての機能が無く、アルミシャーシと発熱源との間で別途ねじ止め等の手段を用いて固定しなければならならならず、又、電子機器類の製造行程において、CPU等の発熱源やアルミシャーシ等にシリコン放熱シートを固定したい場合に、固定しにくかった。
【0005】
一方で、アクリル系放熱感圧シートやウレタン系放熱感圧接着シートは、シリコーン放熱グリースやシリコーン放熱シートと比較して、固定性能には優れているけれども、熱伝導率がシリコーン系放熱材と比較して著しく低く、アルミシャーシに充分に熱を伝えることがでなかった。
【0006】
又、PDPガラスパネルとアルミヒートシンクとの固定の為に、端部に両面アクリル粘着テープを張り固定して中央部にシリコーン放熱シートを使用している場合においては、密着効果及び放熱効果が低いという問題があった。
【0007】
上述したような放熱シートの問題点を鑑みて、感圧接着剤の性能を有し、発熱源とアルミシャーシ等のヒートシンクとの間に固定ができ、かつ放熱性に優れた放熱シートも提案されていた。この放熱シートはシリコーン放熱シートの表面又は表面の一部に感圧接着剤層を接着させた放熱シートであって、当該感圧接着剤層にはアクリル系粘着剤又はウレタン系粘着剤が用いられる場合があった。(例えば、特許文献1参照)
【0008】
【特許文献1】
特開2001−348542号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、たとえば、PDP用の放熱シートの場合には、放熱シートはPDPガラスパネルとアルミシャーシの間に挟入されるが、このとき使用されるアルミシャーシは単なる板ではなくICパーツを取りつける為の凹凸形状や、配線を通す為の穴部等を有する構造物であり、ダイキャストやアルミ版のプレス成形等で作成される。
【0010】
この成形時にアルミには歪みが生じるので、アルミシャーシとPDPガラスパネルとの間に放熱シートを圧縮して密着させたとしても上述した従来の放熱材では、PDPガラスパネルと放熱シートとの間、又はアルミシャーシと放熱シートとの間に空気層が生じ、PDPガラスパネルに部分的な温度ムラが発生してガラスの割れの原因となるという問題があった。PDPガラス割れはこのような熱分布の不均一が主な原因である。
【0011】
この問題は発熱体がPDPガラスパネルの場合に限らず、放熱シートと、発熱体及びヒートシンクとの接触率を低下させる要因であった。
【0012】
この為、放熱シートが、PDPガラスパネル等の発熱体とアルミシャーシ等のヒートシンクとに密着し、熱分布が均一であり、アルミ等のヒートシンクに熱を伝えやすい放熱シートが待望された。
【0013】
本発明は上述した事情により成されたものであり、本発明の目的は、アルミパネルの精度不良による密着不良を防止し、PDPガラスパネル等の発熱体から効率的にムラなく放熱する放熱シートを提供することにある。加えて発熱体と、ガラスパネルとに密着する放熱シートを提供することにもある。さらには本発明の目的は、当該放熱シートをガラスパネルとアルミパネルとの間に挟入して形成したPDPパネルを提供することにもある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、PDPガラスパネル等の発熱体とアルミシャーシ等のヒートシンクとに密着して熱分布を均一にする放熱シートに関するものであり、本発明の上記目的は、物の発明においては、放熱ゲル及び放熱グリースから成るグループから選択されるいずれか1の放熱材を、不織布状の放熱基材に含浸させて海綿状放熱体を形成することを特徴とする放熱シートによって達成される。
【0015】
前記不織布状の放熱基材は綿、ポリエステル系繊維、ガラスウール、ロックウールから選択されるいずれか1の繊維である場合がある。
【0016】
又、本発明は、放熱ゲル及び放熱グリースから成るグループから選択されるいずれか1の放熱材を、ダブルラッセル編みの繊維構造体である放熱基材に含浸させて海綿状放熱体を形成することを特徴とする放熱シートによっても達成される。
【0017】
前記ダブルラッセル編みの繊維構造体は、天然繊維、化学繊維、合成繊維から選択されるいずれか1の繊維である場合がある。
【0018】
前記放熱ゲルは、シリコーンゲルと充填材とによって構成される場合がある。又、前記放熱グリースがシリコーン放熱グリースである場合がある。
【0019】
さらに、海綿状放熱体表面の全体又は一部にはシリコーン放熱シートがコーティングされ海綿状放熱体−放熱材層が形成される場合があり、海綿状放熱体にアルミ箔層が貼着されて海綿状放熱体−アルミ箔層が形成される場合がある。
【0020】
又、上記のようにして得られた海綿状放熱体の放熱シート又は、海綿状放熱体−放熱材層又は海綿状放熱体−アルミ箔層が形成された層構造の放熱シートの表面にアクリル感圧接着剤が塗布される場合がある。
【0021】
又、上記の海綿状放熱シート、層構造の放熱シート、及びこれらの放熱シートにアクリル感圧接着剤が塗布された放熱シートには、切込みが入れられる場合がある。
【0022】
上述の放熱シートをガラスパネルと、アルミパネルとの間に形成することによって本発明の目的を達成するPDPパネル(本発明においてPDPパネルとは、PDPガラスパネルとアルミパネル等のヒートシンクとの間に放熱シートが挟み込まれたものを指す)が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は不織布状の放熱基材1の断面概略図である。不織布状の放熱基材1に用いることができる物質としては、好ましくは綿、ポリエステル系繊維、ロックウール、ガラスウールを用いることができるが、その他種々の天然繊維、化学繊維、合成繊維、無機繊維を用いることができる。
【0025】
天然繊維としては、麻、竹、パルプ等の植物繊維、羊毛、絹等の動物繊維を用いることができる。化学繊維としては、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維を用いることができる。合成繊維としては、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニールアルコール系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリウレタン系繊維等を用いることができる。これらの繊維を従来技術によって不織布とすることで放熱基材1を形成することができる。
【0026】
ロックウール、ガラスウール等の無機繊維を用いる場合には、シート状の繊維構造体とすることで不織布状の放熱基材1を形成する(本発明ではこの場合も不織布とする場合がある)。尚、本発明において不織布状とは繊維が不規則に絡み合っているシート状の構造体のことであり従来の不織布を含む。
【0027】
このようにロックウールやグラスウールをシート状にしたり、天然繊維や化学繊維、合成繊維を不織布にすることで、放熱基材1を形成することができる。
【0028】
一方、天然繊維、化学繊維、合成繊維を規則的に織り込んで放熱基材を形成することも可能であり、その場合には、ダブルラッセル等の通気性柔軟性のよい種々の織り方を用いることができる。尚、この場合については図示されていない。
【0029】
このような不織布状の放熱基材や、ダブルラッセル編みの繊維構造体である放熱基材によって海綿状放熱体を形成することによって、連続気泡を有する発泡ウレタンフォーム(本明細書中では単にウレタンフォーム又はウレタン発泡体とする場合がある)を放熱基材として用いて形成した海綿状放熱体と同様の効果を得ることが可能である。
【0030】
天然繊維、化学繊維、合成繊維、無機繊維による不織布によって放熱基材を形成する場合には、放熱材の含浸前における厚さが1mm以上、好ましくは1.5mmから3mmである放熱基材とすることができる。尚、天然繊維、化学繊維、合成繊維をダブルラッセル編み等によって規則的に織り込む場合にも同様の厚さにするのがよい。
【0031】
以下、不織布状の放熱基材1を用いて説明するが、ダブルラッセル編みの繊維構造体である放熱基材についても同様である。
【0032】
図2は本発明による放熱シートであって海綿状放熱体3の構造を示す断面概略図である。本発明の海綿状放熱体3は、放熱基材1に放熱材2を含浸して構成され、放熱材2は、放熱ゲル又は放熱グリースであって、好ましくは、放熱ゲルは、シリコーンゲルと充填材とから構成され、充填材は、熱伝導率の高い物質であるアルミナ、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭化珪素、マグネシア、窒化硼素等の粉末であって、充填材の配合部数としては、シリコーン100重量部に対して200重量部以上の配合量が望ましい。放熱グリースは、好ましくはシリコーン放熱グリースである。
【0033】
放熱基材1に放熱材である放熱ゲル又は放熱グリースを含浸させて、空隙率を10%〜80%の範囲内、好ましくは30%〜60%、さらに好ましくは40%とする。
【0034】
放熱材2を放熱基材1に浸漬させた後、ロールを通すことによって空隙率は調整され、加熱することによって放熱材2は硬化される。
【0035】
このように放熱ゲル又は放熱グリース等の放熱材2が含浸された海綿状放熱体3は空隙を有しているので、アルミパネルに精度不良があった場合においても気泡が閉じ込められることに起因する密着不良を起こすことがない。
【0036】
さらに、この放熱シートは加圧されることによって、空隙が減少すると共に、密着性が向上する。又、含浸された放熱材がPDPガラスパネル及びアルミパネルに均一に密着しているので充分な放熱効果を得ることができる。
【0037】
図示されていないが、放熱シートの表面に切込みを入れることによって、気泡を逃がす効果を向上させることができる。
【0038】
上述の放熱シートに熱伝導性の優れたシリコーン放熱ゲルやアルミ箔等の層を形成することによって、層が形成される平面上において熱が均一化する。
【0039】
又、図中で上下中央付近が白帯状に表わされているのは、海綿状放熱体3の空隙を模式的に表わしたのであって、実際には、空隙は帯状に形成されず海綿状放熱体3の全体に実質的に均一に配置され、以下の図においても同様である。さらに図は断面を表わしたものなので、空隙は不連続であるが、実際には連続しており、以下の図においても同様である。
【0040】
図3は図2の放熱シート(海綿状放熱体3)の両面に放熱シリコーンゲル層4を形成した本発明における放熱シートの一実施例を示す断面概略図であり、これは図2の海綿状放熱体3の両面に放熱材2をコーティングしたものである。
【0041】
放熱材2を図2の放熱シート(海綿状放熱体3)の表面にコーティングした後、加熱することによって放熱材2を硬化させて海綿状放熱体−放熱材層を形成することによって製造される。
【0042】
放熱シリコーンゲル層4は海綿状放熱体3の両面に形成される場合もあり、片面に形成される場合もある。さらに、面全体に形成される場合があり、一部に形成される場合もある。
【0043】
精度不良のアルミパネル側の全面に放熱シリコーンゲル層4を形成した場合、気泡が閉じ込められる場合があるが、空隙を多く有している放熱シリコーン含浸放熱基材層(海綿状放熱体3)が加圧時に充分変形することと、放熱シリコーンゲル層4の通気とによって接触率の低下は抑えられる。
【0044】
表面に切込みを入れた場合には、界面に抱込んだ気泡を発泡層を通して効率良く逃がすことができる。
【0045】
図示されていないが、海綿状放熱体−放熱材層にフィルムを密着させる場合があり、その場合には、フィルムの上に放熱材をコーティングしてフィルム−未硬化放熱材層を形成し、一方で前記放熱材を放熱基材1に浸漬させロールを通して未硬化海綿状放熱体を形成し、前記フィルム−未硬化放熱材層と、前記未硬化海綿状放熱体とをフィルムが表面にくるように密着させて加熱硬化することによって、フィルムが密着した放熱シートが形成される。このようにしてフィルムを密着させることによってフィルムと放熱材とは接着していないので容易にフィルムをはがすことができる。尚、前記フィルム−未硬化放熱材層又は前記未硬化海綿状放熱体のいずれか一方は加熱硬化されていてもよい。
【0046】
フィルムが密着した放熱シートは、フィルムをはがして使用することができるが、その際、フィルムからはがされた放熱材層表面の平滑性が向上する。
【0047】
図4は図2の海綿状放熱体3にアルミ箔を片側に形成した本発明における放熱シートの別の実施例を示す断面概略図である。アルミ箔層5はPDPガラスパネル側に配置され、図3の場合と同様、層が形成される平面上において熱が均一化する。アルミ箔層5は面全体に形成される場合があり、一部に形成される場合もある。
【0048】
図4の放熱シートはアルミ箔上に放熱材を接着するプライマーを塗布し、その上から前記放熱材を塗布して加熱硬化させ、アルミ箔−放熱材層を形成するステップと、前記放熱材を放熱基材1に浸漬させロールを通して未硬化海綿状放熱体を形成するステップと、前記アルミ箔−放熱材層と前記未硬化海綿状放熱体とをアルミ箔層5が表面にくるように密着させて加熱硬化させるステップとによって製造することができる。
【0049】
例えば、放熱材2が放熱シリコーンゲルの場合においては、まずアルミ箔上に放熱シリコーンゲルを接着するプライマーを塗布し、その上から放熱シリコーンゲルを塗布した後、加熱硬化させてアルミ箔−放熱シリコーン層を形成する。一方で、放熱シリコーンゲルを放熱基材1に浸漬させロールを通す。この放熱シリコーンゲルを含浸している放熱基材1とアルミ箔−放熱シリコーン層とをアルミ箔層5が表面にくるように密着させて加熱硬化させることによって製造することができる。
【0050】
別の製造方法でも製造することが可能であり、アルミ箔上に放熱材を接着するプライマーを塗布し、その上から前記放熱材を塗布して、アルミ箔−未硬化放熱材層を形成するステップと、前記放熱材を放熱基材1に浸漬させロールを通して未硬化海綿状放熱体を形成するステップと、前記アルミ箔−未硬化放熱材層と前記未硬化海綿状放熱体とをアルミ箔層5が表面にくるように密着させて加熱硬化させるステップとによっても製造される。
【0051】
又、アルミ箔上に放熱材を接着するプライマーを塗布し、プライマー塗布アルミ箔を形成するステップと、前記放熱材を放熱基材1に浸漬させロールを通して未硬化海綿状放熱体を形成するステップと、前記プライマー塗布アルミ箔と前記未硬化海綿状放熱体とをアルミ箔層5が表面にくるように密着させて加熱硬化させるステップとによっても製造される。
【0052】
上述のように、アルミ箔に放熱材をコーティングする場合と、コーティングしない場合とがあるが放熱材をコーティングした場合の方が熱伝導率及び接着力が向上する。アルミ箔に放熱材をコーティングした場合には、少なくともアルミ箔側の放熱材(アルミ箔−放熱材側)か、海綿状放熱体に含浸された放熱材のいずれか一方が未硬化であって密着させた後硬化させればよく、両方が未硬化であって密着させた後に硬化させてもよい。
【0053】
図5は図2の海綿状放熱体3の両面にアクリル感圧粘着剤6を塗布した本発明における放熱シートのさらに別の実施例を示す断面概略図である。
【0054】
アクリル感圧粘着剤6は、PDPガラスパネル及びアルミヒートシンクと放熱シートとを接着固定する。アクリル感圧粘着剤6は放熱シートの全体又は一部に塗布される。海綿状放熱体3にアルミ箔層5又は放熱シリコーンゲル層4を形成した後、その表面にアクリル感圧粘着剤6を塗布することができる。
【0055】
図5の放熱シートはアクリル感圧接着剤を離型処理したフィルム上にコーティングした上から、放熱材と接着するプライマーを塗布してプライマー付着アクリル感圧接着剤を形成するステップと、放熱基材1に放熱材を浸漬させロールを通して未硬化海綿状放熱体を形成するステップと、前記未硬化海綿状放熱体と前記プライマー付着アクリル感圧接着剤とをアクリル感圧接着剤6が表面にくるように密着させ加熱硬化させるステップとによって製造される。
【0056】
例えば、放熱材2が放熱シリコーンゲルである場合には、まずアクリル感圧接着剤6を当該接着剤離型処理をしたフィルム上にコーティングし、その上から放熱シリコーン接着プライマーを塗布する。一方で、放熱基材1に放熱シリコーンゲルを浸漬させロールを通す。この放熱シリコーンゲルを含浸している放熱基材1とプライマーが塗布されたアクリル感圧接着剤6とをアクリル感圧接着剤6が表面にくるように密着させ、加熱硬化することによって製造される。
【0057】
別の製造方法によっても製造することができ、アクリル感圧接着剤を離型処理したフィルム上にコーティングした上から、放熱材と接着するプライマーとを塗布してプライマー付着アクリル感圧接着剤を形成するステップと、前記プライマー付着アクリル感圧接着剤に放熱材をコーティングしてアクリル感圧接着剤−未硬化放熱材層を形成するステップと、放熱基材1に放熱材を浸漬させロールを通して未硬化海綿状放熱体を形成するステップと、前記未硬化海綿状放熱体と前記アクリル感圧接着剤−未硬化放熱材層とをアクリル感圧接着剤6が表面にくるように密着させ加熱硬化させるステップとによって製造できる。
【0058】
又、前記アクリル感圧接着剤−未硬化放熱材層か、前記未硬化海綿状放熱体のいずれか一方が加熱硬化された後、アクリル感圧接着剤6が表面にくるように密着させて加熱硬化して形成してもよい。
【0059】
アクリル感圧接着剤は海綿状放熱体3に放熱シリコーンゲル層4を形成した後、その表面にアクリル感圧粘着剤6を塗布する場合においても、同様にして形成することが可能である。
【0060】
さらに、図示されていないが、張り合わせ界面に抱込んだ気泡を発泡層(海綿状放熱体3)を通して逃がす為に、放熱シート上にアクリル感圧粘着剤6を塗布した後、又は、海綿状放熱体3に放熱シリコーンゲル層4又はアルミ箔層5が形成された放熱シートの表面に切込みが入れられる場合がある。
【0061】
本発明において切込みを入れる場合、その間隔は20mm以下の間隔で設けることが好ましく、更に好ましくは5mm間隔である。
【0062】
尚、本発明の海綿状放熱体3及び海綿状放熱体3に放熱シリコーンゲル層4、アルミ箔層5、アクリル感圧接着剤6を単一又は複数で形成又は塗布した放熱シートは、PDPパネルに限らず、例えばパワートランジスタ、高密度集積回路等効率的な放熱を必要とする種々の用途に供されるものである。
【0063】
尚、本発明の放熱シートは発熱体又はヒートシンクが平面状でなくても柔軟に凹凸形状にもフィットすることが可能であり、複雑な面を有する場合にも有効である。
【0064】
【実施例】
以下、参考として放熱基材を連続気泡を有する発泡ウレタンフォームとした場合の実施例について記載する。放熱基材を不織布やダブルラッセル編みの繊維構造体とした場合でもこれと同様にして製造することができ、同様の効果を得ることができる。
【0065】
(実施例1)
シリコーンを発泡ウレタンフォームに含浸させた放熱シート(シリコーン含浸ウレタンフォーム)の製造方法と、その物性を以下に示す。
【0066】
(1)ウレタン 軟質ウレタンフォーム2mm厚み(アキレス社製)
(2)シリコーン配合剤の配合
SH1886(トレーシリコーン) 100部
アルミナ#500 300部
以上を攪拌機にて混合攪拌した。
【0067】
上記(2)で作成したシリコーン配合剤に上記(1)のウレタンを浸漬してニップロールを通した後、120℃で20分加熱してシリコーン配合剤を硬化させた。ニップロールのロール間隔は0.5mmとした。このときシリコーン配合剤がウレタンに付着した付着量は1.3Kg/m2であった。このようにして形成したシリコーン含浸ウレタンフォームの物性は以下の通りであった。
Figure 0004099364
(実施例2)
シリコーン放熱シートを両面に形成したシリコーン含浸ウレタンフォームの製造方法とその物性を以下に示す。
【0068】
実施例1で作成したシリコーン含浸ウレタンフォームの両面に実施例1の(2)に記載されたシリコーン配合剤を0.3mm両面にコーティングした。硬化条件は120℃で20分とした。このようにして形成した物性値は以下の通りであった。
Figure 0004099364
(実施例3)
両面にアクリル感圧接着剤が塗布されたシリコーン含浸ウレタンフォームの製造方法とその物性を以下に示す。
【0069】
アクリル粘着剤をシリコーン離型処理したフィルム上にコーティングしてシリコーン粘着用のプライマーME151(GE東芝シリコーン製)を塗布する。
【0070】
次に実施例1と同様の方法でウレタンに放熱シリコーンを含浸させ、両面にプライマー処理したアクリル粘着剤を貼り付けて120℃で20分間加熱し、シリコーンを硬化せしめ、アクリル粘着剤と接着させた。
【0071】
上記のような方法で両面がアクリル感圧接着剤であるシートを作成した。
【0072】
物性は以下の通りであった。
Figure 0004099364
(実施例4)
片面にアルミ箔を形成したシリコーン含浸ウレタンフォームの製造方法とその物性を以下に示す。
【0073】
50ミクロン厚みのアルミ箔にシリコーン接着用のプライマー(GE東芝シリコーン製:ME151)を塗布する。
【0074】
この上に実施例1の(2)に記載のシリコーン配合剤を0.3mm塗布して120℃で20分硬化させアルミ箔と接着させた。
【0075】
更に、実施例1と同様の方法でウレタンフォームに放熱シリコーンを含浸させ、アルミ箔に塗布したシリコーンシートを密着させて120℃で20分間硬化接着させた。
【0076】
上記のような手法で片面がアルミ箔であるシートを作成した。
【0077】
このシートの物性値は以下の通りであった。
Figure 0004099364
(実施例5)
実施例1で作成されたシリコーン含浸ウレタンフォームの密着性を試験した結果を以下に示す。
【0078】
大きさ100mm×50mm×5mmのアルミ版で約1mmの反りがあるアルミ版に上記実施例1で得られたシリコーン含浸ウレタンフォーム(厚み2mm)を全面に貼り付け同様サイズのガラス版を乗せて35g/cm2の圧力を加えたところガラスと放熱シートとの接触面積は90%以上であり良好であった。
【0079】
比較例としてアクリル感圧両面粘着剤(A社製:厚み1.6)で同様の試験をしたところ接着面積は5%以下であった。
【0080】
さらに比較例としてシリコーン放熱シート(持田商工製:TR−E厚み1.6mm)で同様の試験をしたところ接触面積は30%であった。
【0081】
本発明によって熱伝導率に優れて密着性の良い放熱シートが得られた。
【0082】
【発明の効果】
本発明の放熱シートは空隙を有しているので、気泡を逃がすことができる。さらに変形が容易なので、多少凹凸形状があったとしても密着の低下は抑えられ、発熱体と、PDPガラスパネルとに密着する放熱シートを提供することができる。
【0083】
本発明の放熱シートはアルミパネルに精度不良があった場合にも気泡が閉じ込められることがなく密着不良が起こることがない。さらに、気泡が閉じ込められないので、PDPガラスパネル等の発熱体から効率的にムラなく放熱することができる。
【0084】
又、放熱シートの表面にシリコーン放熱シートやアルミ箔を形成することによって、発熱体やPDPガラスパネルからよりムラ無く放熱することができる。
【0085】
さらに、放熱シートや、シリコーン放熱シート又はアルミ箔が表面に形成された放熱シート上にアクリル感圧粘着剤を提供することによって、放熱シートと、PDPガラスパネル又はアルミパネルとの密着性が向上する。
【0086】
又、海綿状放熱体−放熱材層にフィルムが貼着された場合においては、フィルムと放熱材層との界面における平滑性が向上する。
【0087】
さらには、単一の放熱シートや、シリコーン放熱シート、アルミ箔、アクリル感圧粘着剤が複合的に表面に形成又は塗布された放熱シートに切込みを入れることによって放熱シートから気泡が逃げやすくなる。
【0088】
このように本発明によって、アルミパネルの精度不良による密着不良を防止し、PDPガラスパネル等の発熱体から効率的にムラなく放熱する放熱シートとその製造方法を提供することができ。加えて発熱体と、ガラスパネルとに密着する放熱シートとその製造方法を提供することができる。さらに本発明によって効率的にムラなく放熱する放熱シートと当該放熱シートを用いたPDPパネルを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 不織布状の放熱基材の断面概略図である。
【図2】 不織布状の放熱基材に放熱材を含浸して構成される放熱シートの構造を示す断面概略図である。
【図3】 図2に示される放熱シートの両面に放熱シリコーンゲルをコーティングして放熱シリコーンゲル層を形成した本発明における一実施例を示す断面概略図である。
【図4】 図2に示される放熱シートの片面にアルミ箔を形成した本発明においえる別の実施例を示す断面概略図である。
【図5】 図2に示される放熱シートの両面にアクリル粘着剤を塗布した本発明におけるさらに別の実施例を示す断面概略図である。
【符号の説明】
1 不織布状の放熱基材
2 放熱材
3 海綿状放熱体
4 放熱シリコーンゲル層
5 アルミ箔層
6 アクリル感圧粘着剤

Claims (11)

  1. 放熱ゲル及び放熱グリースから成るグループから選択されるいずれか1の放熱材を、不織布状の放熱基材に含浸させて海綿状放熱体を形成することを特徴とする放熱シート。
  2. 前記不織布状の放熱基材は、綿、ポリエステル系繊維、ロックウール、ガラスウールから選択されるいずれか1の繊維によって形成される請求項1に記載の放熱シート。
  3. 放熱ゲル及び放熱グリースから成るグループから選択されるいずれか1の放熱材を、ダブルラッセル編みの繊維構造体である放熱基材に含浸させて海綿状放熱体を形成することを特徴とする放熱シート。
  4. 前記ダブルラッセル編みの繊維構造体は、天然繊維、化学繊維、合成繊維から選択されるいずれか1の繊維によって形成される請求項3に記載の放熱シート。
  5. 前記放熱ゲルがシリコーンゲルと充填材とによって構成される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放熱シート。
  6. 前記放熱グリースがシリコーン放熱グリースである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放熱シート。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の海綿状放熱体に前記放熱材からなる放熱材層をコーティングして海綿状放熱体−放熱材層を形成した放熱シート。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の海綿状放熱体にアルミ箔層を貼着して海綿状放熱体−アルミ箔層を形成した放熱シート。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放熱シートにアクリル感圧接着剤を塗布した放熱シート。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の放熱シートの表面に切込みを入れた放熱シート。
  11. 前記1乃至10のいずれか1項に記載の放熱シートをガラスパネルと、アルミパネルとの間に挟入して形成したPDPパネル。
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