JP5851255B2 - 放熱シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導フィラーをシート状に成形してなる放熱シートの製造方法に関する。
コンピューターのCPU等の電子部品やLED、液晶、PDP、EL、携帯電話等の発光素子等の電子部品の小型化、高集積化により、各部品からの発熱による装置の寿命低下、誤作動が問題となってきており、電子部品の放熱対策への要求は、年々高まってきている。電子部品の放熱対策として、ファン等を用いた強制冷却の他、金属性の放熱フィンからなる放熱用部品が使用されている。中でも、薄くて軽い放熱シートとして黒鉛シートが開発されている。
黒鉛シートは、グラファイト構造をもつ黒鉛の粉末をシート状に成形して製造できる。ただ、この黒鉛シートは、黒鉛の粉末が脱落しやすい欠点がある。この欠点を解消するために、黒鉛シートの両面に金属層を積層する積層シートが開発されている。(特許文献1〜4参照)
特許文献1と2の積層シートは、黒鉛シートの表面に接着剤シートを介してアルミニウム箔の金属層を加温・加圧状態で接合している。この積層シートは、高い放熱性をもちながら安価に製造できる特徴がある。この放熱シートは、用途に最適な形状に切断すると、切断縁で黒鉛シートが露出して、黒鉛粉末が脱落する欠点がある。この点を解消するために、特許文献2の積層シートは、端部で両面の金属薄の金属層を接合して、黒鉛シートを露出させない構造としている。さらに、特許文献3と4の積層シートは、黒鉛シートの表面にメッキして金属層を設けている。
ところで、放熱シートは、ジグザグ状やハニカム構造に加工することで、軽くて表面積の大きい放熱フィンを実現できる。しかしながら、黒鉛シートの表面に金属層を積層しているシートは、曲げに対する強度が弱く、加工が難しい欠点がある。また、使用状態によって損傷しやすい欠点もある。この欠点を改良する放熱シートとして、金属繊維を湿式抄紙して製造される金属繊維シートに、熱伝導フィラーをバインダーと一緒に含浸してなるシートが開発されている。(特許文献5参照)
特許文献5に記載される放熱シートは、金属繊維を含む抄紙用スラリーを湿式抄紙しているシートを焼結して金属繊維シートとし、この金属繊維シートの繊維の間にできる微細な隙間に、マトリクス樹脂に熱伝導フィラーを混合している導電性接着剤を含浸して製造される。この放熱シートは、マトリクス樹脂に熱伝導フィラーを混合して導電性接着剤とし、これを金属繊維シートの隙間に含浸して製造されることから、金属繊維の隙間に多量の熱伝導フィラーを充填するのが難しい。それは、熱伝導フィラーを限られた微細な隙間に充填し、さらに、熱伝導フィラーに混合しているマトリクス樹脂が充填量をさらに制限するからである。また、放熱シートとして、金属繊維の隙間に充填される熱伝導フィラーは、充填された状態で金属繊維で互いに分離される状態となって、充填される無数の熱伝導フィラーを好ましい熱結合状態で充填できない欠点がある。以上のことは、放熱シートにとって最も大切な熱伝導特性を低下させる原因となる。このため、この方法で製造される放熱シートは、繊維に金属繊維を使用するにもかかわらず、シートとして熱伝導率を好ましい状態にできない欠点がある。また、金属繊維をシート状とし、さらにこれに、マトリクス樹脂に熱伝導フィラーを混合してなる導電性接着剤を充填してシート状に加工されることから、用途に最適な形状に折曲加工するのに手間がかかる欠点もある。
本発明者は、以上の欠点を解決することを目的として、繊維と熱伝導粉末とを水に懸濁して抄紙用スラリーとし、この抄紙用スラリーを湿式抄紙してシート状として放熱シートとすると共に、抄紙用スラリーに、叩解して表面に無数の微細繊維を設けてなる叩解パルプと、叩解されない非叩解繊維とを懸濁し、この叩解パルプと非叩解繊維とでもって、抄紙用スラリーに懸濁している黒鉛などの熱伝導フィラーを繊維に結合してシート状に抄紙する方法を開発した。(特許文献6参照)
以上の方法で製造される放熱シートは、耐折曲強度を向上できると共に、簡単に種々の形状に加工でき、しかも熱伝導率を向上できて、放熱シートとして好ましい特性を実現する。
特開2011−5775号公報 特開平10−247708号公報 特開2006−165482号公報 特開平3−197129号公報 特開2000−101004号公報 特開2010−34422号公報
しかしながら、以上の製造方法は、表面に無数の微細繊維を設けている叩解パルプと、叩解されない非叩解繊維とを懸濁し、この叩解パルプと非叩解繊維とで、抄紙用スラリーに懸濁している熱伝導フィラーを繊維に結合してシート状に湿式抄紙するので、製造に手間がかかって製造コストが高くなる欠点がある。また、製造された放熱シートの厚さ方向の熱伝導率が低くなる欠点がある。
本発明は、さらに以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、優れた熱伝導率の放熱シートを安価に多量生産できると共に、製造される放熱シートの耐折曲強度を向上して種々の形状に加工でき、しかも厚さ方向の熱伝導率を著しく向上できる放熱シートの製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の放熱シートの製造方法は、バインダー樹脂と熱伝導フィラーとを混合してコーティング用スラリー5とし、このコーティング用スラリー5をシート状に成形すると共に、コーティング用スラリー5の未乾燥状態において、繊維を立体的に方向性なく集合して繊維の間に隙間を設けてなる不織布シート2を表面に積層して、不織布シート2の繊維の隙間に未乾燥状態のコーティング用スラリー5を浸透し、不織布繊維の隙間にコーティング用スラリー5を含浸させる状態で、コーティング用スラリー5を乾燥して、熱伝導フィラーとバインダー樹脂からなる熱伝導シート3の表面を不織布で被覆して放熱シート1を製造する。
以上の製造方法は、優れた熱伝導率の放熱シートを安価に多量生産できると共に、製造される放熱シートの耐折曲強度を向上して種々の形状に加工でき、しかも厚さ方向の熱伝導率を著しく向上できる特徴がある。とくに、本発明者が先に開発した特許文献6に記載する耐折曲強度に優れた放熱シートに比較して、面方向の熱伝導率を向上させながら、厚さ方向の熱伝導率を約4倍と飛躍的に向上できる特徴がある。以上の製造方法で製造される放熱シートの厚さ方向の熱伝導率が飛躍的に向上できるのは、熱伝導フィラーとバインダー樹脂とで形成される熱伝導シートの表面を不織布で被覆すると共に、この不織布繊維の隙間に熱伝導シートを構成するコーティング用スラリーを含浸させて、熱伝導フィラーを不織布繊維の隙間に充填しているからである。この方法で製造された放熱シートは、表面を不織布で被覆することで、熱伝導シートの熱伝導フィラーが表面から脱落するのを防止しながら、不織布繊維の隙間に熱伝導フィラーを充填することで、表面に熱伝導フィラーを表出して、厚さ方向の熱伝導率を著しく改善できる特徴を実現する。
また、以上の製造方法は、本発明者が先に開発した放熱シートのように湿式抄紙して製造する必要がなく、コーティング用スラリーの表面に不織布を積層してコーティング用スラリーを乾燥して製造できるので、湿式抄紙機を使用することなく、簡単な製造装置で安価に多量生産できる特徴も実現する。
さらに、以上の製造方法は、熱伝導フィラーとバインダー樹脂とで熱伝導シートを成形し、さらに、その表面を不織布で被覆するので、極めて優れた耐折強度を実現し、放熱に最適な種々の最適な形状に折曲加工することで、種々の用途に最適な形状として優れた放熱特性を実現する。
本発明の放熱シートの製造方法は、バインダー樹脂と熱伝導フィラーとを水に懸濁してコーティング用スラリー5とすることができる。
以上の製造方法は、バインダー樹脂と熱伝導フィラーとを水に懸濁してペースト状とするので、水の添加量でコーティング用スラリーの粘度を最適な状態にコントロールできる。このため、コーティング用スラリーを不織布繊維の微細な隙間にスムーズに浸透させて、厚さ方向の熱伝導率を高くできる。
本発明の放熱シートの製造方法は、コーティング用スラリー5の粘度を500CPS〜100000CPSとすることができる。
本発明の放熱シートの製造方法は、熱伝導フィラーが、黒鉛と金属粉末と無機粉末の何れかを含むことができる。
以上の製造方法は、熱伝導フィラーに黒鉛を使用して熱伝導率を優れた値にでき、また黒鉛や金属粉末や無機粉末とすることで優れた耐熱特性を実現できる。
本発明の放熱シートの製造方法は、熱伝導フィラーを黒鉛の粉末とすることができる。 以上の方法は、熱伝導フィラーに安価な天然黒鉛を使用して、原料コストを低減しながら、優れた熱伝導率を実現する。
本発明の放熱シートの製造方法は、熱伝導フィラーが、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、マグネシア、アルミナシリケート、シリコン、鉄、炭化珪素、炭素、窒化硼素、アルミナ、シリカ、アルミニウム、銅、銀、金の粉末のいずれかを含むことができる。
本発明の放熱シートの製造方法は、不織布シート2の坪量を、10g/mないし100g/mとすることができる。
本発明の放熱シートの製造方法は、不織布シート2の繊維の太さを0.5μmないし50μmとすることができる。
本発明の放熱シートの製造方法は、コーティング用スラリー5の両面に不織布シート2を積層してなる積層体4の両面を、一対のローラで挟んで移送して、コーティング用スラリー5を不織布シート2の繊維隙間に浸透させる。
以上の製造方法は、不織布繊維の微細な隙間に、コーティング用スラリー5を速やかに、しかも高い充填率で充填して、表面の熱伝導率、すなわち厚さ方向の熱伝導率を向上できる。また、コーティング用スラリー5を不織布繊維の隙間に浸透させながら、全体を均一な厚さに調整できる。
本発明の放熱シートの製造方法は、バインダー樹脂の両面に不織布シート2を積層している積層体4を、バインダー樹脂の硬化温度より低い温度で乾燥してバインダー樹脂の硬化しない未硬化放熱シートとし、この未硬化放熱シートを所定の形状に成形した後、バインダー樹脂を硬化させる温度に加熱して、バインダー樹脂の硬化した硬化放熱シートとすることができる。
以上の製造方法は、バインダー樹脂を乾燥させるが硬化させない未硬化放熱シートを所定の形状に成形し、その後に未硬化放熱シートを加熱してバインダー樹脂を硬化することで、最適な形状の放熱シートを安価に多量生産できる。
本発明の放熱シートの製造方法は、複数枚の未硬化放熱シートを積層し、これを加圧状態でバインダー樹脂の硬化温度に加熱して、バインダー樹脂を硬化して複数の未硬化放熱シートを積層状態に接着して所定の形状に成形してなる硬化放熱シートとすることができる。
以上の製造方法は、バインダー樹脂の硬化しない未硬化放熱シートを複数枚積層し、積層状態でバインダー樹脂を硬化させることで、所定の厚さの放熱シートを安価に多量生産できる。
本発明の放熱シートの製造方法は、2枚ないし10枚の未硬化放熱シートを積層して硬化放熱シートとすることができる。
本発明の放熱シートの製造方法は、未硬化放熱シートの厚さを、0.1mm以上であって1mm以下とすることができる。
本発明の放熱シートの製造方法は、バインダー樹脂に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂のいずれかを使用することができる。
本発明の放熱シートの製造方法は、熱伝導フィラーを粉末として、その平均粒径を不織布シート2の繊維の隙間よりも小さくすることができる。
以上の製造方法は、熱伝導フィラーを不織布繊維の隙間に高い充填率で充填して、不織布を積層している不織布の熱伝導率、すなわち厚さ方向の熱伝導率を高くできる。
本発明の一実施例にかかる放熱シートの製造方法に使用する装置の概略断面図である。 熱伝導率の測定装置の概略断面図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための放熱シートの製造方法を例示するものであって、本発明は放熱シートの製造方法を以下の方法や条件に特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図1に示す放熱シートの製造工程は、バインダー樹脂と熱伝導フィラーとを混合してペースト状のコーティング用スラリー5とし、このコーティング用スラリー5をシート状に成形し、コーティング用スラリー5の未乾燥状態において、その表面に不織布シート2を積層して、不織布シート2の繊維の隙間に未乾燥状態のコーティング用スラリー5を浸透させる。不織布繊維の隙間にコーティング用スラリー5を含浸させる状態で、コーティング用スラリー5を乾燥して、熱伝導フィラーとバインダー樹脂からなる熱伝導シート3の表面を不織布で被覆している放熱シート1を製造する。
図1の装置は、熱伝導シート3の両面に不織布シート2を積層している積層体4を上下で挟んで移送する一対の移送ローラ10と、この移送ローラ10で移送される積層体4の熱伝導シート3であるコーティング用スラリー5を乾燥する乾燥炉11とを備えている。図1の装置は、供給ローラ12で水平方向に移送する下側の不織布シート2Aの上に、コーティング用スラリー5を供給して、下側の不織布シート2Aの上面にコーティング用スラリー5を載せて、未乾燥状態のコーティング用スラリー5からなる熱伝導シート3を積層する。さらに、この熱伝導シート3の上面に上側の不織布シート2Bを積層して、下側の不織布シート2Aと熱伝導シート3と上側の不織布シート2Bとの積層体4を移送ローラ10で挟んで移送する。移送ローラ10は、積層体4を挟んで移送して、未乾燥状態のコーティング用スラリー5を上下の不織布シート2の繊維隙間に含浸させる。移送ローラ10は、送り出す積層体4の厚さを、たとえば0.1mm〜3mm、好ましくは0.2mm〜1.5mmとして、コーティング用スラリー5を両面の不織布シート2の繊維隙間に含浸させる。
さらに、図1の装置は、移送ローラ10から送り出される積層体4を乾燥炉11に移送して、コーティング用スラリー5を乾燥して放熱シート1とする。乾燥炉11の温度は、コーティング用スラリー5のバインダー樹脂を乾燥させるが硬化させない温度とする。たとえば、硬化温度を180℃とするエポキシ樹脂をバインダー樹脂とする積層体4を乾燥する場合には、乾燥炉11の温度を100℃〜120℃として、エポキシ樹脂を硬化させることなくコーティング用スラリー5の乾燥された未硬化放熱シートとする。
以上の工程で得られた未硬化放熱シートは、たとえば、ジグザグ状などの用途に適した形状に折曲加工された後、さらにバインダー樹脂の硬化温度に加熱して、バインダー樹脂を硬化させる。未硬化放熱シートは、複数枚を積層してプレスし、これを所定の形状に成形した後、加熱してバインダー樹脂を硬化して、積層状態に接着しながら所定の厚さの放熱シート1に加工できる。
コーティング用スラリー5は、バインダー樹脂と熱伝導フィラーを水に懸濁してペースト状としている。水を添加しているコーティング用スラリー5は、水の添加量でペースト状の粘度を調整できる。水の添加量を多くして粘度を低く、反対に水の添加量を少なくして粘度を高くできる。コーティング用スラリー5の粘度は、未硬化放熱シートの成形性を考慮して、500CPS〜100000CPS、好ましくは2000CPS〜30000CPSとする。ただし、コーティング用スラリーは、必ずしも水を添加する必要はなく、バインダー樹脂に熱伝導フィラーを混合してペースト状とすることもできる。とくに、バインダー樹脂に未硬化でペースト状の樹脂を使用して、これに熱伝導フィラーを混合してペースト状のコーティング用スラリーとすることができる。
バインダー樹脂はエポキシ樹脂である。ただし、バインダー樹脂には、エポキシ樹脂に代わって、あるいはエポキシ樹脂に加えて、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂のいずれかを使用することもできる。
熱伝導フィラーは、黒鉛、とくに安価な天然黒鉛が適している。ただし、熱伝導フィラーには、人工黒鉛や金属粉末や無機粉末も使用できる。また、これ等の複数種を混合して使用することもできる。金属粉末の熱伝導フィラーは、アルミニウム、鉄、銅、銀、金などの粉末が使用できる。また、無機粉末には、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、マグネシア、アルミナシリケート、シリコン、炭化珪素、炭素、窒化硼素、アルミナ、シリカ等の粉末が使用できる。
熱伝導フィラーは、平均粒径を、たとえば0.1μm〜500μm、好ましくは1μm〜100μm、さらに好ましくは1μm〜50μmとする。熱伝導フィラーは、平均粒径を小さくして、不織布繊維の微細な隙間にスムーズに含浸できる。したがって、熱伝導フィラーは、好ましくはその平均粒径を不織布繊維の隙間よりも小さくする。熱伝導フィラーの平均粒径は、放熱シート1に要求される熱伝導率や製造コストを考慮して前述の範囲で最適値に設定される。
熱伝導フィラーに対するバインダー樹脂の混合比は、放熱シート1が優れた熱伝導率を実現し、かつバインダー樹脂で熱伝導フィラーをシート状に成形できる最適値に設定される。バインダー樹脂の混合比を低く、すなわち熱伝導フィラーの混合量を多くして熱伝導率を高くできる。ただ、バインダー樹脂の混合比を低くして熱伝導フィラーの混合量が多くなると、熱伝導フィラーをシート状に成形するのが難しくなる。したがって、熱伝導フィラーに対するバインダー樹脂の混合比は、熱伝導フィラー100重量部に対して、たとえば、5重量部ないし100重量部とする。
熱伝導フィラーとバインダー樹脂とを水に懸濁しているコーティング用スラリー5は、熱伝導フィラーとバインダー樹脂に対する水の添加量を多くして粘度を低く、反対に水の添加量を少なくして粘度を高くできる。コーティング用スラリー5は、不織布繊維の隙間にスムーズに侵入できるように、たとえば、水の添加量を、熱伝導フィラーとバインダー樹脂のトータル重量100重量部に対して、5重量部ないし100重量部とする。
不織布シート2には、繊維の太さを、例えば、1μm〜50μm、好ましくは1μm〜10μmとし、坪量を例えば10g/m〜100g/m、好ましくは、10g/m〜50g/mとする。不織布シート2は、繊維の隙間、すなわち空隙率を高くして、厚さ方向の熱伝導率を高くできる。ただ、空隙率が高くて、隙間が広すぎると不織布シートで熱伝導フィラーの脱落を効果的に阻止するのが難しくなる。したがって、不織布シートの空隙率や隙間は、ここに熱伝導フィラーを充分に充填しながら、不織布シートで熱伝導フィラーの脱落を有効に阻止できるように設定される。
図1の装置は、熱伝導シート3の両面に不織布シート2を積層する放熱シート1としている。この放熱シート1は、熱伝導シート3の両面を不織布シート2で被覆するので、両面から熱伝導フィラーの脱落を有効に防止できる。ただ、本発明の方法で製造される放熱シートは、片面にのみ不織布シートを積層することもできる。片面に不織布シートを積層する放熱シートは、不織布シートを積層しない面を、直接に発熱素子に熱結合状態に接合して使用できる。
以下の方法で放熱シート1を製造する。
[コーティング用スラリー5の調製工程]
熱伝導フィラーに天然黒鉛(平均粒子径10μm)を使用し、バインダー樹脂にエポキシ樹脂を使用して、熱伝導フィラーとバインダー樹脂とを水に懸濁してコーティング用スラリー5とする。熱伝導フィラーに対するバインダー樹脂の混合比は、熱伝導フィラー100重量部に対して20重量部とする。また、水の添加量は、熱伝導フィラーとバインダー樹脂のトータル重量100重量部に対して400重量部とする。
[不織布シート2の積層工程]
以上のコーティング用スラリー5を、下側の不織布シート2Aの上面に載せてコーティング用スラリー5を未乾燥状態とする熱伝導シート3を下側の不織布シート2Aの上に積層する。不織布シート2には、繊維の太さを10μmとし、坪量を15g/mとするものを使用する。コーティング用スラリー5の積層量は、下側の不織布シート2Aへの供給量でコントロールし、一対の移送ローラ10から排出される積層体4の厚さが0.9mmとなって、不織布シート2の繊維隙間にコーティング用スラリー5が充填される量に調製する。未乾燥状態の熱伝導シート3の上面に上側の不織布シート2Bを積層して、下側の不織布シート2Aと未乾燥状態の熱伝導シート3と上側の不織布シート2Bの積層体4とする。上側の不織布シート2Bには下側の不織布シート2Aと同じものを使用する。
[乾燥工程]
以上の工程で得られた積層体4を乾燥炉11のコンベアベルト13で移送して、コーティング用スラリー5を乾燥する。乾燥炉11の温度は120℃、乾燥時間は7分とする。
以上の工程で得られた放熱シート1は、さらに5MPaの圧力で、温度130℃で20分間熱プレスして、熱伝導シート3のバインダー樹脂であるエポキシ樹脂を硬化させる。
以上の工程で製造された放熱シート1は、厚さが0.15mm、密度が1.6g/cm、厚さ方向の熱伝導率が4W/m・K、面方向の熱伝導率が50W/m・Kとなり、本発明者が先に開発した放熱シートに比較して、面方向の熱伝導率を改善しながら、さらに厚さ方向の熱伝導率は4倍と飛躍的に改善される。さらに、耐折強度も本発明者が先に開発した放熱シートに勝るとも劣らない優れた特性を示す。
ここで、熱伝導率は、以下の方法で測定する。
7cm×9cmに裁断した測定試料をグリセリンに浸漬し、真空状態にして試料を脱気処理したものを25℃で一定にして、ある恒温室で温度が一定になるまで静置する。温度が一定になったら、恒温室内で温度を一定にした測定装置に試料の短片を上にして縦方向に挿入する。
測定装置の概略図を図2に示す。この測定装置は、試料Aを両側からヒートシンク20で挟着している。ヒートシンク20は、中心部を空洞23として、試料Aを加熱するヒーター24を断熱できるようになっている。上部に試料Aを挿入する差込口25があり、ヒートシンク20で両側を固定して、上蓋(図示せず)を閉じて密閉するようになっている。試料Aの中心部からヒーター24で加熱を行うと、中心部付近ではヒートシンク20の断熱効果により試料Aにのみ熱が行き渡り、端まで熱が到達すると両側にあるヒートシンク20により熱が吸収されるため、時間が経つと温度勾配は一定となる。この時の中心部から外側の温度勾配を測定する。
熱流φ(ヒーターから派生した)を測定することにより、サンプル温度の時間変化に対する微分値をΔT、サンプルの厚さをHとすると、相対熱伝導率λは、下記の計算式となる。
λ〜φ/H・ΔT
耐折強度の測定は、JIS P8115 紙及び板紙−耐折強さ試験方法−MIT試験機法に基づく方法で行う。この方法は、幅を15mm、長さを110mm以上とする短冊状に切断した試験片を準備し、長辺方向の両端を試験装置に挟む。この試験片を破断するまで表裏に折り曲げて、破断するまでに折り曲げた回数を求める。
[比較例1]
炭化珪素(平均粒子径20μm)100重量部、叩解パルプとしてのアクリルパルプ(カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)50ml、平均繊維長1.45mm)21重量部、非叩解繊維としてのポリエステル繊維(0.1dtex×3mm)7重量部、バインダー繊維としてのポリエステル繊維からなるバインダー繊維(1.2dtex×5mm)14重量部からなる組成物を水中に混合分散し、固形分1%〜5%からなるスラリーを調製する。この後、凝集剤としてカチオン系ポリアクリル酸ソーダを0.001重量部、アニオン系ポリアクリル酸ソーダを0.00002重量部を添加後、25cm角角型シートマシンを用いてスラリーをシート化して抄紙シートとし、この抄紙シートをプレスし、乾燥させた後、このシートを5MPaの圧力で温度180℃、2分間プレスを行う。
以上の工程で製造された放熱シートは、厚さが0.322mm、密度が0.97g/cm、熱伝導率が38.15W/m・Kとなる。
本発明の方法で製造される放熱シートは、従来使用されているLED等の照明器具、コンピューターのCPU等の電子部品、液晶、PDP、EL等のパネル等の放熱に加えて、携帯電話の液晶の放熱や携帯型パソコンの電子基板や液晶の放熱、自動車内の電子部品、照明の放熱等の振動に対する強度がより重要となる箇所への使用も可能となり、様々な分野への使用に対して有用である。この放熱シートはフレキシブル性があり、加工に適しているため、現在、金属が使用されている放熱フィン等へ利用することで、電子部品全体の軽量化に貫献できる。
1…放熱シート
2…不織布シート 2A…下側の不織布シート
2B…上側の不織布シート
3…熱伝導シート
4…積層体
5…コーティング用スラリー
10…移送ローラ
11…乾燥炉
12…供給ローラ
13…ベルトコンベア
20…ヒートシンク
23…空洞
24…ヒーター
25…差込口
A…試料

Claims (14)

  1. バインダー樹脂と熱伝導フィラーとを混合してコーティング用スラリーとし、このコーティング用スラリーをシート状に成形すると共に、コーティング用スラリーの未乾燥状態において、繊維を立体的に方向性なく集合して繊維の間に隙間を設けてなる不織布シートを表面に積層して、不織布シートの繊維の隙間に未乾燥状態のコーティング用スラリーを浸透し、不織布繊維の隙間にコーティング用スラリーを含浸させる状態で、コーティング用スラリーを乾燥して、
    熱伝導フィラーとバインダー樹脂からなる熱伝導シートの表面を不織布で被覆してなる放熱シートの製造方法であって、
    前記コーティング用スラリーの両面に不織布シートを積層してなる積層体の両面を、一対のローラで挟んで移送して、コーティング用スラリーを不織布シートの繊維隙間に浸透させることを特長とする放熱シートの製造方法。
  2. 前記バインダー樹脂と熱伝導フィラーとを水に懸濁してコーティング用スラリーとする請求項1に記載される放熱シートの製造方法。
  3. 前記コーティング用スラリーの粘度が、500CPS〜100000CPSである請求項2に記載される放熱シートの製造方法。
  4. 前記熱伝導フィラーが、黒鉛と金属粉末と無機粉末の何れかを含む請求項1ないし3のいずれかに記載される放熱シートの製造方法。
  5. 前記熱伝導フィラーが黒鉛の粉末である請求項4に記載される放熱シートの製造方法。
  6. 前記熱伝導フィラーが、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、マグネシア、アルミナシリケート、シリコン、鉄、炭化珪素、炭素、窒化硼素、アルミナ、シリカ、アルミニウム、銅、銀、金の粉末のいずれかを含む請求項4に記載される放熱シートの製造方法。
  7. 前記不織布シートの坪量が10g/mないし100g/mである請求項1ないし6のいずれかに記載される放熱シートの製造方法。
  8. 前記不織布シートの繊維の太さが0.5μmないし50μmである請求項1ないし7のいずれかに記載される放熱シートの製造方法。
  9. 前記バインダー樹脂の両面に不織布シートを積層している積層体を、バインダー樹脂の硬化温度より低い温度で乾燥してバインダー樹脂の硬化しない未硬化放熱シートとし、
    この未硬化放熱シートを所定の形状に成形した後、バインダー樹脂を硬化させる温度に加熱して、バインダー樹脂の硬化した硬化放熱シートとする請求項1ないしのいずれかに記載される放熱シートの製造方法。
  10. 複数枚の前記未硬化放熱シートを積層し、これを加圧状態でバインダー樹脂の硬化温度に加熱して、バインダー樹脂を硬化して複数の未硬化放熱シートを積層状態に接着して所定の形状に成形してなる硬化放熱シートとする請求項に記載される放熱シートの製造方法。
  11. 2枚ないし10枚の未硬化放熱シートを積層して硬化放熱シートとする請求項10に記載される放熱シートの製造方法。
  12. 前記未硬化放熱シートの厚さが0.1mm以上であって1mm以下である請求項9ないし11のいずれかに記載される放熱シートの製造方法。
  13. 前記バインダー樹脂に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂のいずれかを使用する請求項1ないし12のいずれかに記載される放熱シートの製造方法。
  14. 前記熱伝導フィラーが粉末で、その平均粒径が不織布シートの繊維の隙間よりも小さい請求項1ないし13のいずれかに記載される放熱シートの製造方法。
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