JP4974609B2 - フィルム状電子機器用部材 - Google Patents
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Description
従来、電子部品は表面実装によりモジュール基板化されていたが、小型化が進行するにつれ基板の多層化が考案され、部品が基板に内蔵される事となった。
このため、各層表面の導電体を覆い層間の絶縁層形成、あるいは配線の高密度化による配線間容量の増大による信号速度の遅延を防止するための低誘電層形成が行われている。
又、電子部品の高集積と電気容量の増大により発熱対策が重要となり、より高効率な熱伝導性あるいは放熱性の部材が要求される。
これら電子機器部品の高密度部品集積化又は部品内蔵多層回路基板化は今後も急速に進む事が予想され、それに対応したより高性能なフィルム状電子機器用部材が求められる事となる。
また、無機粉体の特性効果を発揮させるために、該ドープ状のものを目的に応じて電子機器や部品類上に塗布や浸漬等によって皮膜形成させ無機粉体高含有フィルムを得る方法も知られている。
更に、絶縁膜や封止材或いは熱伝導材として機能を発揮するために、熱硬化性エポキシ樹脂と硬化開始剤を混合した液に無機粉体を高濃度に混合させて混合溶液を作成し、該電子機器部品に直接塗布後、高温雰囲気中で硬化させ該電子機器部品を覆う方法も知られている。
しかしながら、これらの方法では、該電子機器部品の凹凸により該混合溶液は硬化するまでの流下により均一な皮膜を形成せず、部分的に厚さが不均一となり無機粉体量がバラツク結果、期待する特性が発揮できない事由が発生している。また、極端な場合には該混合溶液や塗布作業中に発生した気泡による皮膜のピンホール、或いは該電子機器部品等の鋭角な部分での該混合溶液塗布の不良個所が発生する事もある。
ングしても塗膜形成が困難でヒビ割れを生じ、従って止む得ず該無機粉体混合量を減らす必要がある。
一方、部品内蔵多層回路基板は、各層毎に回路基板はコンデンサーや電池或いはインダクターやIC等の電子部品を配置しあるいは又、配線による回路設置してなり、それら個別に作成した各層の回路基板を重ねて多層化する際に隣接する層の電子部品や配線との接触短絡を防止する絶縁性封止材が必要である。
又、電子機器類は信号のデジタル化や高密度化或いは高エネルギー容量化に伴い、発生する熱の処理が大きな課題となっており、この様な発熱に対する熱の外部放出には、一般に金属、非金属、セラミック等の無機物或いは有機物の熱伝導体、熱放射体が種々の形に加工されて使用される事も有るが、寧ろこれら熱伝導体、熱放射体の粉末を樹脂に高充填させて柔軟なシート状等に成形し発熱体に密着させ、或いは電子部品の複雑な形状に沿って接着して使用する方法が効率向上から有効な手段である。
これらはフェライト磁性体粉末の様な電磁波吸収物質の粉末を樹脂に高充填させ柔軟なシート状として障害を受ける個所、或いは発生させる個所に貼り付ける方法が取られている。
しかし、この様にバインダーに無機粉体を高含有させシート状に形成させる事は一般に可能であるが、シート状に形成させたものを電子機器部材に適応する際に、加工性と性能の関係に問題が生じる。
薄膜や表面状態を均一にさせる必要あるいは製膜時の気泡混入を防ぐため、ドープ状の粘度を下げ流動性をよくする必要があるが、その手法の一つとして無機粉体のバインダーである樹脂量の削減、低分子量樹脂の使用等が行われるが何れも樹脂の分子配向性や絡みあいが小さくなる方向にあり、無機粉体が多量に配合される該無機粉体高含有シートの引張り強度は顕著に小さなものとなる。
更に、多孔構成物に樹脂類を含浸させて複合化させて両素材の持つ特性を飛躍的に向上させる方法が利用され、例えばガラス繊維や炭素繊維の織物あるいは不織布である構造体にエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等を含浸させて熱硬化した素材も電子回路用樹脂基板等として多く使用されている。
また、この現象による欠点を克服させるために前記特許文献4では、PTFE等から形成した多孔質に接着性樹脂と粒状充填材よりなるペーストを充填させて薄い接着シートを作成し、エレクトロニクス装置製作用の素材を提案している。
本発明は、無機粉体を高濃度含有すると共に高強度で加工性に優れたフィルム状電子機器用部材を提供することを目的とする。更には、無機粉体を高濃度含有すると共に、高強度で加工性に優れ、使用条件下で安定した性能を有する薄いフィルム状電子機器用部材を提供することを目的とする。
(1)ポリオレフィン樹脂2重量部以上20重量部以下と無機粉体80重量部以上98重量部以下からなるフィルム状多孔体に、該多孔体を構成するポリオレフィンとは異なる樹脂類を含浸させてなるフィルム状電子機器用部材。
(2)前記樹脂類が無機粉体を含有している上記(1)記載のフィルム状電子機器用部材。
(3)前記樹脂類がエポキシ樹脂である上記(1)又は(2)記載のフィルム状電子機器用部材。
(4)前記樹脂類が熱可塑性樹脂である上記(1)又は(2)記載のフィルム状電子機器用部材。
(6)ポリオレフィン樹脂2重量部以上20重量部以下と、無機粉体80重量部以上98重量部以下と、該ポリオレフィン樹脂の溶剤とを含む混合物を溶融押出しした後、該溶剤を除去して無機粉体高含有フィルム状多孔体を得る工程、該多孔体の多孔部に、該ポリオレフィン樹脂以外の樹脂類の硬化前のプレポリマー又は溶剤溶液を含浸させる工程とを含むことを特徴とするフィルム状電子機器用部材の製造方法。
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン・プロピレン、エチレン・酢酸ビニル等の共重合体、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン・コポリマー等を包含する。これらは単独で用いても、ブレンドして用いてもよい。
用いるポリオレフィン樹脂の種類は用途に応じて適宜選択できるが、加工性及び強度の点から、ポリエチレン樹脂が好ましい。特に、得られる多孔体が高強度、薄膜である点から、粘度平均分子量Mvが300万以上1000万以下である超高分子量ポリエチレンが好ましく、500万以上800万以下である超高分子量ポリエチレンがより好ましい。
本発明は、電気化学的に不活性であり低誘電性・高絶縁性を有し、且つ低融点であるポリオレフィン樹脂を使用するため、加工性にも優れた安価な素材と言える。
熱伝導性を有する無機粉体、例えば金属酸化物であるAl2O3、ZnO、金属窒化物であるSi3N4、AlN、BN、金属であるAl、Cu、非金属であるグラファイト、等を選択して単独あるいは混合させて本発明の手法により多量に混入させる事によりフィ
ルム状熱伝導性材が得られ、金属軟磁性体や酸化物系磁性材料であるソフトフェライト等の電磁波吸収材を無機粉体として使用した場合、優れたフィルム状電磁波吸収材が得られる。又、SiO2やAl2O3等に代表される電気絶縁性の無機粉体を使用して本発明のフィルム状電子機器用部材を得た場合、チップ内蔵型のモジュールや多層型モジュールの埋め込み基板用として、あるいはチップ積層封止材として使用出来る。或いは無機粉体としてBaTiO3等の高誘電率絶縁材を使用し、フィルム状高誘電率絶縁体を得て両面を金属箔等の導電性フィルムを形成した場合キャパシタ機能を発現し、多層基板として用いると受動素子内蔵基板が得られる。
この様に、混合する無機粉体を選択する事により無機粉体の持つ特性を発揮させる事が出来、使用目的に応じた各種のフィルム状電子機器用部材が得られるため特に無機粉体の種類、形状、粒径等の性状を制限するものではない。
上記の無機粉体高含有多孔体フィルムは、無機粉体を多量に含有し、且つ強固に維持させて取扱い易く高強度で柔軟性あるフィルム状であるため、本発明の部材に不可欠で重要な素材の一つである。
フィルム状多孔体の厚みは特に制限はないが10μm以上1000μm以下であることが好ましく、20μm以上500μm以下であることがより好ましい。
多孔体に含浸させる樹脂類は、多孔体を構成する樹脂とは異なる樹脂であり、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、液晶樹脂、メチルペンテン樹脂や熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらのうち、取り扱い性、耐熱性、多品種等の点からエポキシ樹脂が好ましい。
このような熱可塑性樹脂を用いる場合は、熱可塑性樹脂の軟化温度以上で比較的自由な形状に成形できることができ、透明性や高電気抵抗など、期待される目的に応じた熱可塑性樹脂を選定できる。
上記樹脂類には、必要に応じ、多孔体に含まれる無機粉体と同一又は異なる無機粉体を含有せしめてもよい。
即ち、本発明の方法により作成したフィルム状電子機器用部材は無機粉体の持つ特性と加工性である電子機器用部材として取り扱う際の強度や柔軟性等を十分に発揮させるには該フィルム状多孔体部を構成するポリオレフィン樹脂に強靭な特性を持つものを使用すると共に可能な限り該無機粉体を多量に且つ強固に保持させる製造方法が重要である。
又、次に示す様に本発明に使用される無機粉体高含有フィルム状多孔体は、ポリオレフィン樹脂と該ポリオレフィン樹脂の溶剤及び無機粉体より相分離法により比較的容易に得られ、特に本発明に有効に使用できるものである。
この様な該ポリオレフィン樹脂と該溶剤の関係により、高温溶解状態から低温状態に移行させる際に、溶解温度を過ぎた時点で二相に相分離し、より低温状態にさせた場合は、該ポリオレフィン樹脂の固相と該溶剤の液相とに完全分離して多孔構造の前駆体となり、これら前駆体から該溶剤を取除いた場合に該ポリオレフィン樹脂よりなる三次元網目構造多孔体が得られる(いわゆる2成分多孔体製法)。
この3成分多孔体製法は2成分多孔体製法に比べ、使用する樹脂素材を複数種混合したり或いは同一樹脂種であっても分子量の広範囲のものを比較的容易に均一に混合・分散させる事が出来、無機粉体が何らかの均一混合機能を有するものと考えられている。本発明でもこの3成分多孔体製法を用いることにより、無機粉体を高濃度で且つ均一に分散させ無機粉体高含有フィルム状多孔体を得ることが可能になっている。
この様な本発明の手法により得られた三次元網目構造多孔体を形成するポリオレフィン樹脂は可尭性が高いため、成形された該無機粉体高含有フィルム状多孔体は曲率半径の小さな曲げにも耐えうる極めて柔軟な薄膜構造体となった。
この様にしてポリオレフィン樹脂の種類と無機粉体の種類、粒径、形状等を選択する事により高引張強度で曲げ応力にも著しく柔軟で且つ電子部材として有益な性能を発現する為の基本的構造体である無機粉体高含有フィルム状多孔体を得る事が出来る。
該溶剤としては、例えば、デカリン、流動パラフィン、フタル酸エステル等が挙げられるが、これに限定するものではなく、一般にポリオレフィン樹脂の多孔フィルム製成形に用いられる溶剤を用いることが出来る。
フィルム状の部材を電子機器類に使用する場合には、往々にして電子機器類の組立て加工中の加熱処理、或いは使用中の発熱等により使用している樹脂の軟化点温度以上となり熱変形の可能性もある。この様な熱によるフィルム状電子機器用部材の変形は使用目的に応じて有益な特性となる場合も有るが、加熱雰囲気での変形が特性上問題となる場合も考えられる。
特に含浸させる該熱可塑性樹脂は、該無機粉体高含有多孔体フィルムとして使用したポリオレフィン樹脂より高融点である事が重要であり、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、液晶樹脂、メチルペンテン樹脂や熱可塑性エラストマー等少なくとも融点が50℃以上の差を有する樹脂である事が望ましい。
例えば、超高分子量のポリエチレン樹脂を使用した無機粉体高含有多孔体フィルムを作成して熱硬化性樹脂プレポリマーの支持体とし、熱硬化樹脂としてエポキシ樹脂プレポリマーまたはエポキシ樹脂プレポリマーの溶媒にて希釈した該エポキシ樹脂プレポリマーと熱硬化触媒の混合溶液を該支持体の多孔部に含浸させる事により高強度で柔軟な取扱い性良好なフィルム状電子機器用部材の一つが得られる。
そのため、該無機粉体高含有多孔体フィルムの空孔率が多いほど該プレポリマーの含浸される量を多くする事が可能となり含浸する樹脂の効果が多く期待できるが、該無機粉体高含有多孔体フィルムの体積に換算した無機粉体の占める割合が小さくなり、期待する無機粉体特性が得られにくくなる事もある。
該含浸させる樹脂または樹脂と無機粉体混合物を該支持体に付着させる量は多孔部への含浸量だけでなく該支持体表面に付着させて調節する事も可能であり、空孔率は比較的小さくてもアンカー効果等により該支持体に強固に保持され、期待する効果に問題ない。
あるいは、該支持体に使用した無機粉体と異なる無機粉体Bをプレポリマーに分散させて該支持体の多孔部に含浸或いは表面に付着させる場合も、両導電性無機粉体の相乗効果により著しい効果を発現できる場合がある。
本発明のフィルム状電子機器用部材の用途は、使用する樹脂類即ち熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の性能も無視できないが、寧ろ混入させる無機物即ち各種無機物の持つ特性を有効に効率よく利用する事が目的であり、その為には如何に大量に無機物を粉体として混入させ、且つフィルム状電子機器用部材としての高精度或いは形状の自由性や加工時の取扱性及び無機粉体を強固に維持継続させられるかがポイントである。
一般に電子機器用の絶縁性熱硬化性樹脂としてエポキシ系樹脂が多く使用され、本発明においても取扱性やその特性においてエポキシ樹脂の使用を勧めるものである。
エポキシ樹脂の硬化条件は、硬化開始剤の種類や量または混入状態等により調整が可能であり、フィルム状電子機器用部材として使用する際の条件によって硬化状態を調整する事が出来る。
そればかりでなく、当然にして該支持体は硬化前のエポキシ樹脂プレポリマー溶液より強度が高く電子機器部品類の突部に接しても突き破れることはなく、また従来技術の塗布加工の様に該エポキシ樹脂プレポリマーに気泡が混入する恐れのある工程が無いためピンホール発生も無く、欠点の極めて少ない耐熱性皮膜形成が可能となった。
この様に、該プレポリマーを電子機器部品類の凹凸に沿って熱硬化させ、均一な皮膜を形成するには該支持体を構成する樹脂としてポリオレフィン樹脂が重要であり、該ポリオレフィン樹脂の使用により熱硬化性樹脂のプレポリマーを加熱硬化させる際に、先に加熱により軟化させ電子機器部品の形状に沿って密着させ、その後該熱硬化性樹脂を熱硬化させ形状を維持させる。
本発明のフィルム状電子機器用部材にするための手法として、該無機粉体高含有フィルム状多孔体の多孔部にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂のプレポリマーを含浸させるタイミングはフィルム状電子機器用部材として使用する直前でも、或いは前もって含浸させておいても良く、樹脂の選択と相まって硬化方式、或いは使用目的により決められるものである。
多孔体厚さ;測定 : 微小側厚計にて3点測定した平均値
側定圧 : 63.7±7.5kPa
測定端子径:5±0.05mm
雰囲気 : 23±3℃
多孔体空孔率;試料 : 10cm角を3点
測定法 : 重量測定 電子天秤にて
膜厚測定 膜厚測定にて
計算方法 :
多孔体の重量a(g)
多孔体の体積A(cm3)=厚さ(イ)cm×面積(ロ)cm
多孔体中の無機粉体体積B(cm3)=無機粉体重量b(g)*/無機粉体密度(g/cm3)
無機粉体重量b*は灰分測定による
多孔体中の樹脂体積 C(cm3)=樹脂重量(a−b)(g)/樹脂密度(g/cm3)
空孔率D(%) = 100×[A−(B+C)]/A
灰分 ;試料の秤量
試料を電子天秤で約5g秤量(W1)する
るつぼの秤量
(1) 900℃×1Hr電気炉で焼成してデシケータにて1Hr冷却後重量測定する
(2) (1) の操作を繰り返し、るつぼの秤量差が0.001g以下の恒量(W2)になるまで繰り返す
試料の灰分測定
(1) 恒量となったるつぼにサンプル(無機含有多孔膜)を入れ800℃に保つた電気炉に入れる
(2) 電気炉で1Hr焼成後取り出しデシケータに入れ1Hr冷却する
(3) 冷却後電子天秤で秤量(W3)する
灰分算出方法
灰分X(%) = 100×[(W3−W2)/W1]
熱伝導率 ; 測定方式:細線加熱法(ホットワイヤ法)、薄膜用オープションソフト使用
測定器 :迅速熱伝導率計 QTM−500(京都電子工業社製)
測定試料:縦100mm×横50mm
無機粉体として窒化ホウ素(BN)比重1.3を90重量部、Mv600万「ハイゼックスミリオン630M」(品名 三井化学製)の粉末状ポリエチレン10重量部、流動パラフィン(松村石油研究所社製 モレスコホワイトP−350P)30重量部をミキサーにて均一混合させた混合原料を熱溶融押出し機に送り出し、200℃で加熱溶融混合し、熱溶融押出し機の出口に設けたTダイより厚さ約1000μmのシート状に押出して縦方向に2.5倍延伸し、25℃の流動パラフィンの溶剤で抽出して乾燥し空孔率73%、厚さ430μmの均一なフィルムを得た。その後180℃に加熱したロールにて該フィルムを圧延して厚さ148μmのBN粉体高含有フィルム状多孔体を得た。
得られた該BN粉体高含有フィルム状多孔体の空孔率は23%であり、灰分測定によってBN粉体90重量部、ポリエチレン10重量部を有する無機粉体高含有フィルム状多孔体薄膜である事を確認した。
113Kgf/cm2で容易に破断せず支持フィルムも不要で高強度な取扱性良好な部材であった。
得られた該熱伝導性フィルム状電子機器用部材を平板に配置し、180℃雰囲気中で4時間放置して冷却後、直ちに熱伝導性を測定したところ4.52W/m・Kの高い熱伝導性を確認した。
その後、硬化した該熱伝導性フィルム状電子機器用部材を再度150℃雰囲気中に30分間放置したが溶融等による形状の変形は確認されず高性能な該熱伝導性フィルム状電子機器用部材が得られる事を確認した。
無機粉体としてAl2O3(比重3.8)90重量部、Mv600万の粉末状ポリエチレン(同実施例1)10重量部、流動パラフィン(同実施例1)30重量部をミキサーにて均一混合させた混合原料を熱溶融押出し機に送り出し200℃で加熱溶融混合し、熱溶融押出し機の出口に設けたTダイよりシート状に押出してロール圧延して厚さ950μmの均一なシートを得、その後、ポリエチレン樹脂溶融温度近辺での雰囲気中で縦横方向に各々2倍延伸してAl2O3粉体高含有フィルム状多孔体薄膜を得た。
次に該薄膜を25℃の流動パラフィンの溶剤で抽出して乾燥し灰分測定でAl2O3粉体90重量部、ポリエチレン10重量部を有する無機粉体高含有フィルム状多孔体、空孔率35%厚さ220μmの薄膜を作成した。
得られた該絶縁性フィルム状電子機器用部材を凹凸を付型した金属板に挟み180℃雰囲気中で4時間加圧熱処理後冷却して金属板より取り出した該絶縁性フィルム状電子機器用部材は硬化し、フィルム状凹凸付型硬化物が得られた。
該フィルム状凹凸付型硬化物を新たに150℃雰囲気中で30分間放置したが、変形は生じず良好な絶縁性フィルム状電子機器用部材が得られる事を確認した。
熱可塑性樹脂である三酢酸セルロース(mp.305℃)をジクロロメタンで溶解させてドープ状としたコーティング剤を、実施例2で得られた厚さ220μm、空孔率35%のAl2O3粉体高含有フィルム状多孔体にコーティングして該Al2O3粉体高含有フィルム状多孔体の空孔部及び表面に含浸、直ちにジクロロメタンを蒸発させた。
この手法により三酢酸セルロースを含浸させた該Al2O3粉体高含有フィルム状多孔体は、使用した素材が総て高絶縁体であり、且つ三酢酸セルロースが熱可塑性樹脂で高耐熱性である事から融点近くの300℃近辺で加熱成型加工可能な絶縁性フィルム状電子機器用部材を得る事が出来た。
実施例1で得られた空孔率73%、厚さ430μmのフィルムを180℃に加熱したロールで加圧して空孔率38%、膜厚190μmのBN粉体高含有フィルム状多孔体を得た。
別途プレポリマー状態であるエポキシ樹脂(同実施例1)40重量部と熱伝導性に優れた炭素繊維VGCF60重量部及び熱硬化剤触媒(同実施例1)を混合してメチルエチルケトンで希釈する事により得られた低粘度溶液を、該BN粉体高含有フィルム状多孔体にコーティングして付設させた後乾燥し、その後ロールにて加圧して本発明の一つである熱伝導性フィルム状電子機器用部材を得る事が出来た。
その後、実施例1と同様に該熱伝導性フィルム状電子機器用部材を平板に配置し、180℃雰囲気中で4時間放置して冷却後、直ちに熱伝導性を測定したところ6.22W/m・Kの高い熱伝導性を確認した。
熱硬化剤触媒を含んだプレポリマー状態のエポキシ樹脂(同実施例1)25重量部とメチルエチルケトン20重量部、およびAl2O3粉体75重量部を混合して絶縁性封止材溶液とした。
該絶縁性封止材溶液を平板上に配置した高さ5mmx縦10mmx横10mmのブロック上に塗布して覆い、40℃で風乾後直ちに180℃雰囲気中で4時間放置して冷却後、該絶縁性封止材溶液を観察したところ、該ブロックの角及び側面の硬化した皮膜が平面に形成された皮膜より薄く、特にブロック角の頂点が著しく薄い事が観察され、当然にして該絶縁性封止材溶液が硬化するまでの間に流下したものによると考えられ、該ブロックに対するAl2O3の絶縁効果は場所によりバラツキがあるものと考えられる。
Claims (6)
- ポリオレフィン樹脂2重量部以上20重量部以下と無機粉体80重量部以上98重量部以下からなるフィルム状多孔体に、該多孔体を構成するポリオレフィンとは異なる樹脂類を含浸させてなるフィルム状電子機器用部材。
- 前記樹脂類が無機粉体を含有している請求項1記載のフィルム状電子機器用部材。
- 前記樹脂類がエポキシ樹脂である請求項1又は2記載のフィルム状電子機器用部材。
- 前記樹脂類が熱可塑性樹脂である請求項1又は2記載のフィルム状電子機器用部材。
- 前記無機粉体が絶縁性無機粉体、導電性無機粉体、熱伝導性無機粉体、熱放射性無機粉体、高誘電性無機粉体、電磁波吸収無機粉体、及び電極活物質無機粉体からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム状電子機器用部材。
- ポリオレフィン樹脂2重量部以上20重量部以下と、無機粉体80重量部以上98重量部以下と、該ポリオレフィン樹脂の溶剤とを含む混合物を溶融押出しした後、該溶剤を除去して無機粉体高含有フィルム状多孔体を得る工程、該多孔体の多孔部に、該ポリオレフィン樹脂以外の樹脂類の硬化前のプレポリマー又は溶剤溶液を含浸させる工程とを含むことを特徴とするフィルム状電子機器用部材の製造方法。
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