JP3372487B2 - シリコーンゴム成形体 - Google Patents

シリコーンゴム成形体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トランジスタやコ
ンピューターのCPU(中央演算処理装置)などの電子
部品から発生する熱を効率よく放熱するための放熱シー
トとして用いられるシリコーンゴム成形体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、パソコンやワークステーションな
どの動作クロック数の増加、及び半導体などの電子部品
の集積度の増加に伴って、これら電子部品からの発熱量
の増加が深刻な問題となっている。またパワーICも同
様に発熱が大きいことが問題となっている。つまり電子
部品からの放熱をいかに効率よく行うかが課題となって
いる。
【0003】これら電子部品の放熱を効率よく行うため
に、従来から放熱器を電子部品に取り付けることが行わ
れており、電子部品の発熱を放熱性に優れる放熱器に伝
導させて放熱するようにしている。そして通常、電子部
品と放熱器の間には放熱シートを介在させている。この
放熱シートは電子部品と放熱器の間に空隙が生じないよ
うにするためのものである。もし電子部品と放熱器の間
に空隙が生じていると、この空隙が熱伝導の大きな抵抗
となって電子部品から放熱器に効率よく熱を伝導させる
ことができない。そこで柔軟性のある放熱シートを電子
部品と放熱器に間に介在させることによって、電子部品
及び放熱器の接合面の微小な反りやうねりや凹凸に応じ
て放熱シートを変形させて吸収し、電子部品及び放熱器
の接合面に放熱シートを密着させて電子部品及び放熱器
の間に微小な空隙が生じないようにしている。
【0004】このような放熱シートは、高い熱伝導性を
有する無機フィラーである熱伝導性フィラーをエラスト
マーなどのマトリックス材料中に分散させた材料を用い
て形成されており、マトリックス材料のエラストマーと
しては耐熱性や耐寒性に優れるシリコーンゴムが特に好
適に用いられている。
【0005】ところで最近では、電子部品を搭載する電
子機器の小型化や放熱器の小型化、さらには電子部品の
発熱量の増加の傾向に伴い、電子部品で発生した熱をで
きる限り効率よく放熱器に伝導して放熱することが望ま
れており、このために、電子部品と放熱器の間に介在さ
れる放熱シートの熱抵抗を低減して熱伝導の効率を高め
ようとする試みがなされている。そこで放熱シートの熱
伝導率をできるだけ高くするために、アルミナや酸化マ
グネシウムや窒化ホウ素などの熱伝導性フィラーをマト
リックス材料に高充填量で分散混合したシリコーンゴム
組成物を用いて放熱シートを形成することが行われてい
る。
【0006】しかしながら熱伝導性フィラーを高充填す
ると、放熱シートの硬度が高くなり、このために、電子
部品及び放熱器の接合面の微小なうねりや反りや凹凸に
対する放熱シートの追随性が低下し、電子部品及び放熱
器の間に空隙が発生してしまうことがあった。また電子
部品及び放熱器の接合面の微小なうねりや反りや凹凸に
対して放熱シートを十分に追随させようとして電子部品
や放熱器や放熱シートに大きな荷重をかけると、電子部
品や放熱器あるいは放熱シートに大きなダメージを与え
ることになって好ましくない。従って、マトリックス材
料のシリコーンゴムの架橋密度を極力低く抑えて柔軟性
を高めるために、例えば、架橋密度の低い高針入度ゲル
を用いることが行われているが、この場合、放熱シート
の機械的強度が低下して引張強度や引裂き強度が低くな
るという問題があった。
【0007】そこで放熱シートの引張強度及び引裂き強
度を改善する目的で、ガラスクロスやアルミニウムクロ
スや樹脂製クロスを補強材としてシリコーンゴム中に設
けることが行われている。しかしガラスクロスやアルミ
ニウムクロスとシリコーンゴム組成物の密着性は低く、
放熱シートを所望の大きさに切断する際などに、剥離が
生じるという問題があった。また樹脂製クロスを用いた
場合は、ガラスクロスやアルミニウムクロスよりもシリ
コーンゴムとの密着性は向上するものの、樹脂製クロス
自体の熱伝導率が低いので、放熱シートの熱伝導性が低
くなるという問題があった。
【0008】さらに上記クロスの代わりに、補強材とし
て金属箔を用いることが提案されている。金属箔を用い
れば上記のクロスと比べて、コストを低減することがで
きる、熱伝導性が向上する、補強効果が高くなって機械
的強度が向上するなどの効果が期待でき、しかもクロス
に比べて熱伝導性フィラーが充填された高価なシリコー
ンゴムの使用量を低下させることができて低コスト化が
図れるものである。しかしながらクロスに比べて金属箔
とシリコーンゴム組成物の密着性は著しく低く、実際に
はクロスの代わりに金属箔を用いることは行われていな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、熱伝
導性フィラーが高充填されて高い熱伝導性を有するシリ
コーンゴム組成物を用いても、高密着性、高強度、低コ
ストに形成することができるシリコーンゴム成形体を提
供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
シリコーンゴム成形体は、無機材料の基材1に熱伝導性
フィラーを充填したシリコーンゴム層2を形成したシリ
コーンゴム成形体において、下記(a)のカップリング
剤で表面処理がなされた基材1を用いて成ることを特徴
とするものである。 (a)一般式がYSiXであるシランカップリング
剤。ただし、Xは加水分解基であって、メトキシ基、エ
トキシ基のいずれかである。またYは炭素数6個以上
8個以下の脂肪族長鎖アルキル基である。
【0011】また本発明の請求項2に係るシリコーンゴ
ム成形体は、請求項1の構成に加えて、基材1としてア
ルミニウムクロスまたはガラスクロスを用いて成ること
を特徴とするものである。
【0012】また本発明の請求項に係るシリコーンゴ
ム成形体は、請求項1の構成に加えて、基材1として金
属箔を用いて成ることを特徴とするものである。
【0013】また本発明の請求項に係るシリコーンゴ
ム成形体は、請求項の構成に加えて、金属箔としてア
ルミニウム箔を用いて成ることを特徴とするものであ
る。
【0014】また本発明の請求項に係るシリコーンゴ
ム成形体は、請求項の構成に加えて、金属箔として銅
箔を用いて成ることを特徴とするものである。
【0015】また本発明の請求項に係るシリコーンゴ
ム成形体は、請求項の構成に加えて、金属箔としてニ
ッケル箔を用いて成ることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0017】基材1としては、金属やセラミックなどの
無機材料で形成されるものを用いることができる。金属
としてはアルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルなど
を、セラミックとしてはガラスなどをそれぞれ用いるこ
とができる。また基材1はクロス状、箔状、平板状など
の形態のものを用いることができる。基材1としてガラ
スクロスや金属繊維クロスを用いると、クロスの網目に
シリコーンゴム層2が入り込むことになって、金属箔な
どと比較してシリコーンゴム層2との接触面積が大きく
なるために密着性を高くすることができ、基材1とシリ
コーンゴム層2の剥離を起こりにくくすることができ
る。また基材1としてアルミニウム箔、ステンレス箔、
銅箔、ニッケル箔などの金属箔を用いると上記クロスと
比較して、安価な上に、成形体に占める金属の割合を高
くすることができて成形体の熱伝導率を高めることがで
き、しかも強度も高くすることができる。尚、金属箔は
クロスに比べてシリコーンゴム層2との密着性がやや低
いが、後述のカップリング剤で処理することにより、剥
離等が起こらない程度の密着性は確保することができ、
実用上問題はない。また後述のカップリング剤は酸化物
のほうが疎水性付与処理の効率や効果が高いので、基材
1として金属を用いる場合は、その表面を酸化させてお
くほうが好ましく、このことでカップリング剤で効率よ
く基材1の表面処理を行うことができる。
【0018】シリコーンゴム層2はシリコーンゴムに熱
伝導性の高い熱伝導性フィラーを充填したシリコーンゴ
ム組成物で形成されるものであって、シリコーンゴムと
しては二液型や一液型の液状タイプのシリコーンゲルや
シリコーンゴム、並びに熱加硫型のシリコーンゴムを用
いることができる。また熱伝導性フィラーとしては、ア
ルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、
酸化チタンなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化
ホウ素などの窒化物、あるいはアルミニウム粉末や銅粉
末を用いることができる。シリコーンゴム層2における
熱伝導性フィラーの充填割合(含有割合)は、シリコー
ンゴム層2の全量に対して40〜80vol%とするも
のが好ましい。熱伝導性フィラーの充填割合が40vo
l%に満たないと、シリコーンゴム層2の熱伝導率を高
くすることが困難であり、また熱伝導性フィラーの充填
割合が80vol%を超えると、シリコーンゴム層2が
硬く脆くなる恐れがあって好ましくない。シリコーンゴ
ム層2への熱伝導性フィラーの充填は、硬化前のシリコ
ーンゴムに熱伝導性フィラーを混合することによって行
うことができるが、例えば、二液型タイプのものでは、
予め、所定量の熱伝導性フィラーを主剤と硬化剤のそれ
ぞれに分けて混合し、スラリー状となった主剤と硬化剤
を混合混練するようにしたり、主剤と硬化剤を混合した
後、これに熱伝導性フィラーを配合するようにしてもよ
い。
【0019】カップリング剤としては、次の(a)のも
のを用い、このカップリング剤を用いることによって、
他のカップリング剤を用いるよりも、シリコーンゴム成
形体の強度が非常に向上し、また耐熱水信頼性の向上も
図ることができる。(a)一般式がYSiXであるシ
ランカップリング剤。ただし、Xは加水分解基であっ
て、メトキシ基、エトキシ基のいずれかである。またY
は炭素数6個以上の脂肪族長鎖アルキル基である。
【0020】(a)のカップリング剤の具体例として
は、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルト
リエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n
−オクチルトリエトキシシランなどを用いることができ
る。尚、Yで表されているアルキル基の炭素数は、大き
ければ大きいほど基材1とシリコーンゴム層2の相溶性
が向上するものであるが、現時点ではこのアルキル基の
炭素数が18のものまでが、安定に存在することが確
認されており、Yで表されているアルキル基の炭素数の
実質上の上限は18となっている。
【0021】そしてシリコーンゴム成形体を製造するに
あたっては、まず基材1の表面にカップリング剤を供給
して表面処理を行う。基材1へのカップリング剤の供給
は塗布により行うことができる。この時の塗布量は基材
1の表面積をカップリング剤の最小被膜面積(基材1の
表面にカップリング剤の単分子層を形成するのに必要な
量)で割った値にすることが好ましいが、この値の0.
1〜10倍程度に設定することができる。また基材1へ
のカップリング剤の供給方法としては、カップリング剤
と相溶性のある溶剤にカップリング剤を希釈し、この溶
液に基材1を浸漬するような方法も採用することができ
る。この後、常温または加熱処理を施して乾燥させると
共に基材1とカップリング剤を反応させることにより図
1(a)に示すように、基材1の表面にカップリング剤
からなる疎水化層(親油化層)3を形成する。上記の乾
燥の際に加熱処理を施すと、基材1とカップリング剤の
反応を促進させることができ、基材1と疎水化層3を強
固に結合させることができる。次に基材1の表面に熱伝
導性フィラーが充填されたシリコーンゴム組成物を0.
2〜5.0mm厚で塗布し、加熱して硬化させることに
よって疎水化層3の表面にシリコーンゴム層2を形成す
る。このようにしてシリコーンゴム成形体を形成するこ
とができる。
【0022】本発明のシリコーンゴム成形体では、基材
1の表面に予め疎水性を付与するためにカップリング剤
で表面処理を施して疎水化層3を形成し、この後、基材
1の表面にシリコーンゴム層2を形成するので、非極性
の強いカップリング剤を用いて表面処理を行うことによ
って、基材1の表面の極性をシリコーンゴム層2の極性
に近づけて基材1とシリコーンゴム層2の相溶性を高め
ることができ、基材1とシリコーンゴム層2の密着性を
向上させることができるものである。つまり図1(b)
に示すように、上記(a)のシランカップリング剤で形
成される疎水化層3では、シリコン元素が基材1と強固
に結合していると共にシリコン元素に結合している疎水
基(脂肪族長鎖アルキル基)4が基材1の表面に存在す
ることになり、この疎水基4が基材1の表面の極性をシ
リコーンゴム層2の極性に近づくように溶解度パラメー
ター(SP値)を下げる。この結果、基材1とSP値の
低いシリコーンゴム層2の相溶性を高めることができ、
基材1とシリコーンゴム層2の密着性を向上させること
ができるのである。従って、本発明のシリコーンゴム成
形体は、熱伝導性フィラーが高充填されて高い熱伝導性
を有するシリコーンゴム組成物を用いても高強度及び低
コストの放熱シートを形成することができるのである。
【0023】また本発明では、基材1とシリコーンゴム
層2の間にカップリング剤で形成される疎水化層3を介
在させたので、疎水化層3で基材1とシリコーンゴム層
2の相溶性を高めて熱応力緩和を発現させることがで
き、熱的作用によって基材1とシリコーンゴム層2の剥
離等が少なくなってヒートショック試験などの耐熱的試
験に対する基材1とシリコーンゴム層2の密着信頼性を
高めることができるものである。熱硬化性樹脂等を基材
に密着させる方法として、金属やセラミックと熱硬化性
樹脂層の間にカップリング剤を介在させて直接化学結合
させることが行われているが、本発明ではSP値を調整
することにより、基材1とシリコーンゴム層2の密着性
を向上させるものであり、熱応力緩和という点では直接
化学結合させて密着させるよりも優れている。
【0024】また疎水化層3は水をはじく撥水性を有し
シリコーンゴム層2との密着性も高いことから、耐熱水
性試験においても良好な結果を発揮するものである。さ
らに基材1とシリコーンゴム層2の密着性向上により、
放熱シートを形成する際に切断(ハーフカット)したと
しても基材1とシリコーンゴム層2の間に剥離が生じに
くいものである。また基材1として金属箔を用いた場合
にはクロスを用いる場合よりも低コスト化を図ることが
でき、しかもシリコーンゴム成形体(放熱シート)に占
める金属の割合が多くなって、高熱伝導化が図れるもの
である。
【0025】またシリコーンゴム層2の形成は図2
(a)のように、基材1の両面に行ってもよいし、図2
(b)のように基材1の片面にのみ行ってもよいが、基
材1の片面のみにシリコーンゴム層2を形成すると、基
材1の他の片面が露出することになり、直接この露出面
に放熱器をロウ付けや半田付けすることが可能となる。
従って、放熱シートからの放熱器への熱導電性が高まっ
て放熱効果を高めることができるものである。
【0026】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
る。 (実施例1、2) 表1に示すシランカップリング剤をイソプロピルアルコ
ールに5%の濃度で希釈し、基材1としてガラス板をこ
の希釈液に浸漬した後、引き上げてから100℃の乾燥
機中で1時間エージングを行って基材1の表面に疎水化
層3を形成した。また二液付加反応型シリコーンゲル剤
(東レダウコーニング社製の品番SE1885)100
vol%に対して熱伝導性フィラーであるアルミナを6
0vol%真空混練により充填してシリコーンゴム組成
物を調製した。この後、基材1にシリコーンゴム組成物
を10×25mm、1mm厚で塗布し、120℃で2時
間の加熱条件でシリコーンゴム組成物を硬化させること
によって、基材1の表面にシリコーンゴム層2を有する
シリコーン成形体を形成した。 (実施例3) 基材1としてアルミニウム箔を用いた以外は実施例2と
同様にしてシリコーン成形体を形成した。 (実施例4) 基材1として銅箔を用いた以外は実施例2と同様にして
シリコーン成形体を形成した。 (実施例5) 基材1としてニッケル箔を用いた以外は実施例2と同様
にしてシリコーン成形体を形成した。 (比較例1) 基材1を希釈液に浸漬せずに用いた以外は、実施例1、
2と同様にしてシリコーン成形体を形成した。 (比較例2) カップリング剤としてメチルトリメトキシシランを用い
た以外は、実施例1、2と同様にしてシリコーン成形体
を形成した。 (比較例3) カップリング剤としてテトライソプロピルビス(ジオク
チルホスファイト)チタネートを用いた以外は、実施例
1、2と同様にしてシリコーン成形体を形成した。 (比較例4) 基材1を希釈液に浸漬せずに用いた以外は、実施例3と
同様にしてシリコーン成形体を形成した。 (比較例5) 基材1を希釈液に浸漬せずに用いた以外は、実施例4と
同様にしてシリコーン成形体を形成した。
【0027】上記実施例1乃至及び比較例1乃至5に
ついて、JIS K 6850を参考にして基材1とシ
リコーンゴム層2の密着性(接着力)を評価した。つま
りシリコーンゴム層2の1cmに切り目を入れ、この
部分をオートグラフにより室温で引張り速度10mm/
分の割合で引張り、剥がれた際の引張せん断応力の測定
を行った。この引張せん断応力の測定は、常態と耐湿信
頼性試験後と熱衝撃試験後に行った。耐湿信頼性試験は
85℃の温度で85%の相対湿度の条件下に300時間
放置するものである。熱衝撃試験は125℃で30分間
の放置と、−40℃で30間の放置とを100サイクル
繰り返すものである。
【0028】結果を表1に示す。
【0029】尚、以下に実施例及び比較例で使用したシ
ランカップリング剤を示すが、この際、−OMeはメト
キシ基を、−Meはメチル基をそれぞれ意味する。
【0030】実施例1のn−ヘキシルトリメトキシシラ
ンは、一般式YSiXであって、Xは−OMe、Yは
−n−C13である。
【0031】実施例2、3、4、5のn−デシルトリメ
トキシシランは、一般式YSiXであって、Xは−O
Me、Yは−n−C1021である。
【0032】比較例2のメチルトリメトキシシランは、
一般式YSiXであって、Xは−OMe、Yは−Me
である。
【0033】
【表1】
【0034】表1の実施例1乃至5と比較例1を対比す
ると判るように、長鎖アルキル基を有するカップリング
剤を用いて基材1の表面処理を行なうことによって、初
期(常態)の密着力(密着性)を2倍以上にすることが
できる。また実施例1乃至5と比較例2を対比すると判
るように、脂肪族長鎖アルキル基がメチル基に置き換わ
ると密着力が低下することから、脂肪族長鎖アルキル基
の効果で密着性が向上することが判る。
【0035】また耐湿信頼性試験後及び熱衝撃試験後の
密着力に関しても、常態の密着力と比較すると、未処理
のものやメチルトリメトキシシランで処理を行なったも
のが、50%以上の密着力(密着強度)の低下を招くの
に対して、脂肪族長鎖アルキル基を有するカップリング
剤で処理を行なったものでは、密着力の低下は50%以
下であった
【0036】また実施例1乃至の密着力が20kgf
/cm以上であるのに対して、比較例1、3の密着力
は実施例1乃至の密着力よりもかなり低い。このこと
からガラス板の代わりに本発明のカップリング剤で表面
処理したガラスクロスを用いても密着力が20kgf/
cm以上になることは確実であり、しかも本発明のカ
ップリング剤で表面処理しないガラスクロスを用いた場
合は、基材1とシリコーンゴム層2の密着力が低下する
と考えられる。またアルミニウムクロスを用いた場合
も、実施例3と比較例4の結果からガラスクロスの場合
と同様のことが言える。
【0037】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に記載の
発明は、無機材料の基材に熱伝導性フィラーを充填した
シリコーンゴム層を形成したシリコーンゴム成形体にお
いて、上記(a)のカップリング剤で表面処理がなされ
た基材を用いたので、カップリング剤による基材の表面
処理によって、基材の表面の極性をシリコーンゴム層の
極性に近づくように溶解度パラメーターを下げることが
でき、基材とシリコーンゴム層の密着性を高めることが
できるものである。従って、熱伝導性フィラーが高充填
されて高い熱伝導性を有するシリコーンゴム組成物を用
いてシリコーンゴム層を形成しても、高密着性、高強度
に形成することができるものである。
【0038】また本発明の請求項に記載の発明は、基
材としてアルミニウムクロスまたはガラスクロスを用い
たので、金属箔を基材として用いるよりもシリコーンゴ
ム層との密着性を高めることができ、基材とシリコーン
ゴム層が剥離しにくくなるものである。
【0039】本発明の請求項3乃至6に記載の発明は、
基材としてアルミニウム箔や銅箔やニッケル箔などの金
属箔を用いたので、クロスを用いる場合よりも低コスト
化を図ることができ、しかも金属の割合が多くなって高
熱伝導化が図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、(a)は断
面図、(b)は模式図である。
【図2】(a)は同上の実施の形態の一例を示す断面
図、(b)は同上の実施の形態の他例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 基材 2 シリコーンゴム層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−321191(JP,A) 特開 平7−292251(JP,A) 実開 平4−71236(JP,U) 特許3290127(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 5/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機材料の基材に熱伝導性フィラーを充
    填したシリコーンゴム層を形成したシリコーンゴム成形
    体において、下記(a)のカップリング剤で表面処理が
    なされた基材を用いて成ることを特徴とするシリコーン
    ゴム成形体。 (a)一般式がYSiXであるシランカップリング
    剤。ただし、Xは加水分解基であって、メトキシ基、エ
    トキシ基のいずれかである。またYは炭素数6個以上
    8個以下の脂肪族長鎖アルキル基である。
  2. 【請求項2】 基材としてアルミニウムクロスまたはガ
    ラスクロスを用いて成ることを特徴とする請求項1に記
    載のシリコーンゴム成形体
  3. 【請求項3】 基材として金属箔を用いて成ることを特
    徴とする請求項1に記載のシリコーンゴム成形体。
  4. 【請求項4】 金属箔としてアルミニウム箔を用いて成
    ることを特徴とする請求項3に記載のシリコーンゴム成
    形体。
  5. 【請求項5】 金属箔として銅箔を用いて成ることを特
    徴とする請求項3に記載のシリコーンゴム成形体。
  6. 【請求項6】 金属箔としてニッケル箔を用いて成るこ
    とを特徴とする請求項3に記載のシリコーンゴム成形
    体。
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