JP4099270B2 - 触媒化学蒸着装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本願の発明は、触媒を用いた化学蒸着法によって基板に対して所定の薄膜を作成する触媒化学蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSI(大規模集積回路)を始めとする各種半導体デバイスやLCD(液晶ディスプレイ)等の製作においては、基板上に所定の薄膜を作成するプロセスが存在する。このうち所定の組成の薄膜を比較的容易に作成できることから、従来から化学蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)法による成膜が多く用いられている。
CVD法には、プラズマを生じさせて気体の化学反応を行うプラズマCVD法や、基板を加熱することにより気体の化学反応を行う熱CVD法などの他に、熱触媒体を使用した触媒化学蒸着(Catalytic CVD、CAT−CVD)法と呼ばれる方法がある。
【0003】
図8は、CAT−CVD法を行う従来の触媒化学蒸着装置の概略構成を示す正面図である。図8に示す触媒化学蒸着装置は、内部で基板9に対して所定の処理がなされる処理容器1と、処理容器1内に所定の蒸着用ガスを供給するガス供給系2と、供給された蒸着用ガスが表面付近を通過するように処理容器1内に設けられた熱触媒体3と、熱触媒体3が関与した蒸着用ガスの反応により所定の薄膜が作成される処理容器1内の位置に基板9を保持する基板ホルダー4とを備えている。
【0004】
図8に示す触媒化学蒸着装置では、熱触媒体3を所定温度に加熱した状態で、処理容器1内に所定の反応性ガスを蒸着用ガスとして供給し、熱触媒体3の表面を通過させながら蒸着用ガスを基板9の表面に到達させる。熱触媒体3の表面反応等を触媒として利用しながら、蒸着用ガスの反応により基板9に所定の薄膜が作成される。
図9は、図8の装置に使用された熱触媒体3の構成を説明する平面概略図である。熱触媒体3は、タングステン等の金属で形成されたワイヤー状の部材である。ワイヤー状の部材からなる熱触媒体3は、基板9に平行な面に沿って鋸波状に折り曲げられ、枠体31に保持されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記CAT−CVD法は、熱触媒体の触媒作用を利用するため、プラズマCVD法や熱CVD法に比べて比較的低温で成膜できる長所がある。プラズマCVD法では、プラズマからの熱によって基板の温度が高くなり易いし、熱CVD法では、熱のみによって反応を起こさせるため、どうしても基板の温度が高くなり易い。高集積度化や高機能化が益々進む半導体デバイスの製作においては、プロセスの低温下(基板温度の低減)が求められており、この点でCAT−CVD法は特に優れている。
【0006】
しかしながら、CAT−CVD法においても、熱触媒体がかなり高温に加熱され、この熱触媒体が基板の付近に設けられるため、熱触媒体からの基板に与えられる熱の問題がある。熱触媒体は基板から離して配置され、また処理容器内は1〜数十Pa程度の真空に維持されるため、伝導伝達や対流による熱熱触媒体から基板への熱の伝達は殆どない。熱の伝達で問題となるのは、熱触媒体からの輻射による基板への熱伝達である。
このような問題にもかかわらず、従来の触媒化学蒸着装置では、この熱触媒体からの熱輻射を低減させるような試みはなされていなかった。本願の発明は、この熱触媒体から基板への熱輻射という点を解決課題とするものであり、基板への熱輻射を低減することでさらなるプロセスの低温化を可能にするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、内部で基板に対して所定の処理がなされる処理容器と、処理容器内に所定の蒸着用ガスを供給するガス供給系と、供給された蒸着用ガスが表面付近を通過するように処理容器内に設けられた熱触媒体と、熱触媒体が関与した蒸着用ガスの反応により所定の薄膜が作成される処理容器内の位置に基板を保持する基板ホルダーとを備えた触媒化学蒸着装置であって、前記熱触媒体は板材からなるものであり、その断面形状において長尺な方の面が基板に対して垂直になるように設けられており、その基板側の端面は当該熱触媒体の他の表面に比べて熱輻射率が小さくなっているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、内部で基板に対して所定の処理がなされる処理容器と、処理容器内に所定の蒸着用ガスを供給するガス供給系と、供給された蒸着用ガスが表面付近を通過するように処理容器内に設けられた熱触媒体と、熱触媒体が関与した蒸着用ガスの反応により所定の薄膜が作成される処理容器内の位置に基板を保持する基板ホルダーとを備えた触媒化学蒸着装置であって、
前記熱触媒体は板材からなるものであり、その断面形状において長尺な方の面が基板に対して垂直になるように設けられており、その基板側の端面は別の部材で覆われており、
この別の部材の基板に対向する面は基板に対向しない面よりも熱輻射率が小さくなっているか、又は、この別の部材の基板に対向する面の温度が熱触媒体の表面の温度よりも低くなるよう、別の部材の熱伝達率が充分低いかもしくは熱触媒体と別の部材との間の熱伝達率が充分低くなっているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項記載の発明は、上記請求項1又は2の構成において、前記熱触媒体は帯状の板材からなるものであり、幅方向を折れ線にして折り曲げられているという構成を有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本願の発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願の発明の第一の実施形態の触媒化学蒸着装置の構成を説明する正面概略図である。図1に示す触媒化学蒸着装置は、内部で基板9に対して所定の処理がなされる処理容器1と、処理容器1内に反応性ガスよりなる所定の蒸着用ガスを供給するガス供給系2と、供給された蒸着用ガスが表面付近を通過するように処理容器1内に設けられた熱触媒体3と、熱触媒体3が関与した蒸着用ガスの反応により所定の薄膜が作成される処理容器1内の位置に基板9を保持する基板ホルダー4とを備えている。
【0009】
処理容器1は、排気系11を備えた気密な容器であり、基板9の出し入れを行うための不図示のゲートバルブを備えている。処理容器1は、ステンレス又はアルミニウム等の材質で形成されており、電気的には接地されている。
排気系11は、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプを備えており、処理容器1内を10-8Torr程度に排気可能に構成されている。尚、排気系11は、不図示の排気速度調整器を備えている。
【0010】
ガス供給系2は、所定の蒸着用ガスを溜めたガスボンベ21と、処理容器1内に設けられたガス供給器22と、ガスボンベ21とガス供給器22とを繋ぐ配管23と、配管23上に設けられたバルブ24や流量調整器25とから構成されている。
ガス供給器22は中空の部材であり、基板ホルダー4に対向した前面を有している。この前面には、小さなガス吹き出し孔220が多数形成されている。ガスボンベ21から配管23を通してガス供給器22にガスが導入され、このガスがガス吹き出し孔220から吹き出して処理容器1内に供給されるようになっている。
【0011】
基板ホルダー4は、処理容器1の上壁部から内部に突出する設けられた部材であり、下面に基板9を保持するようになっている。基板9は、基板ホルダー4に設けられた不図示の爪によりその縁が掛けられて保持されるか、又は、下面に静電吸着されて保持されるようになっている。
また、この基板ホルダー4は、基板9の表面で最終的な反応を生じさせて蒸着を行うために基板9を加熱する加熱機構としても機能している。即ち、基板ホルダー4内には、基板9を所定温度に加熱するヒータ41が設けられている。ヒータ41は、カートリッジヒータ等の抵抗発熱方式のものである。基板9はヒータ41により室温〜300又は600℃程度に加熱されるようになっている。
【0012】
熱触媒体3の構成は、本実施形態の装置の大きな特徴点を成している。熱触媒体3の構成について、図1及び図2を使用して説明する。図2は、図1の装置に使用された熱触媒体の構成を説明する斜視概略図である。
図1及び図2から分かるように、本実施形態における熱触媒体3は、一つの帯板状の部材を複雑に屈曲させた形状である。より具体的に言えば、大きなコ状の形状の内部で矩形波状に屈曲させた形状である。そして、熱触媒体3は、断面形状において長尺な面が基板9に垂直になるように、つまり帯板の幅方向が基板9に垂直になるように配置されている。
【0013】
熱触媒体3には、加熱機構30が設けられている。加熱機構30は熱触媒体3を通電してジュール熱を発生させることで熱触媒体3を加熱するよう構成されている。具体的には、加熱機構30は熱触媒体3に所定の交流電流を流す交流電源である。一方、熱触媒体3はタングステン、タンタル、モリブデン等の金属製であり、図2に示すように、この帯板状の部材からなる熱触媒体3の長さ方向の端面には電極が設けられている。電極には、加熱機構30からの通電線が接続されている。加熱機構30には、例えば1000W程度の電源が用いられ、熱触媒体3を1900℃程度まで加熱できるよう構成される。
【0014】
さて、本実施形態の装置の大きな特徴点は、図1及び図2に示すような構成及び配置の熱触媒体3を使用することによって、基板9への熱輻射を低減させている点である。この点を、図3を使用して説明する。図3は、図1及び図2に示す熱触媒体3の長所を説明する模式図である。
上述したように、本実施形態の特徴点は、熱触媒体3に帯板状の部材を使用し、その断面形状において長尺な面(以下、長尺面)が基板と垂直になるように配置する点である。従って、断面形状において短尺な面(端面)は、基板に対して平行となる。このような構成及び配置の熱触媒体3を使用すると、従来のようなワイヤー状の熱触媒体を使用する場合に比べ、基板9を加熱する度合いが小さくなる。
【0015】
説明を簡単にするために、熱触媒体3が単純な直線状の帯板とワイヤーである場合を想定する。図3中(1)が帯板状の熱触媒体3を使用する場合であり、(2)がワイヤー状の熱触媒体3を使用する場合である。後述するように、熱触媒体3は、表面反応によって触媒作用をもたらすから、表面積はできるだけ大きい方がよい。図3に示す例では、両者とも同じ表面積であるとする。つまり、図3の(1)(2)とも、熱触媒作用としては同様である。例えば、(1)の熱触媒体3の断面が1×5mmであるとすると、(2)の熱触媒体は、2πr=(1+5)×2=12mm2 で、r=2.4mm程度になる。
【0016】
熱輻射は輻射線による加熱であるから、その加熱の方向性は、発光体の配光特性と同様に考えて良い。図3の(1)と(2)とを比べると分かるように、基板9の一点から帯板状の熱触媒体3を見込む角度θ1 は、同じ点からワイヤー状の熱触媒体3を見込む角度θ2 に比べて常に小さい。従って、熱触媒体3が同一温度である場合、熱触媒体3から基板9に到達する輻射線の量は、帯板状の方がワイヤー状に比べて常に小さくなる。
【0017】
図2や図8に示すように屈曲させた場合にも基本的には同じであって、同一表面積である場合、基板9に平行に延びるワイヤー状の熱触媒体3に比べて、長尺面が基板9に垂直になるように配置した板状の熱触媒体3の方が基板9に到達する熱輻射の量が少なくなる。
【0018】
尚、「熱輻射の量」とは、厳密には熱輻射のエネルギーを全波長域にわたって積分したものである。但し、特定の波長域の輻射線が基板9に到達することが問題となる場合などには、その波長域で積分したエネルギーの量を「熱輻射の量」とする場合がある。
【0019】
また、図2に示すように、本実施形態では、帯板状の部材をその幅方向を折れ線にして折り曲げたものを熱触媒体3として使用している。このため、ある程度小さな占有空間で大きな表面積を得ることができ、熱触媒作用をより多く得ることができる。また、隣り合う各板部分が互いに対向しているので、お互いに熱輻射で加熱し合うことになる。このため、一定温度に加熱する際の加熱効率が向上するメリットもある。
【0020】
より具体的な寸法例を挙げると、先ほどと異なるが、熱触媒体3は、幅1.0cmで厚さ70μm程度のタングステン製の帯板を使用する。この帯板を長さ100〜200cm程度使用し、図2に示すように屈曲させる。隣り合う部分の間隔は、3mm程度である。
【0021】
本実施形態の装置は、このように熱触媒体3から基板9への熱輻射が低減されているので、基板9の温度をさらに低くして蒸着を行うことができる。この点は、より低温のプロセスが要求されているガリウム砒素系半導体デバイスの製作に大きな威力を発揮する。
【0022】
また、熱触媒体3は、板材でなくとも、箔よりなる部材即ち箔材を使用して構成することができる。熱触媒体3は、前述した通り加熱機構30により通電加熱される。この際、体積の小さい熱触媒体3の方が小さな電力で所定温度に加熱することができる。この点を考慮すると、熱触媒体3が板材よりなる場合でも、その厚さは薄い方が良い。従って、板材に代えて箔材を熱触媒体3として用いる場合がある。板材と箔材との概念の相違は微妙であるが、箔材の場合、「断面形状において短尺な面」というのが存在しないことがあるので、その表面が基板9に対して垂直になるようにする。
【0023】
熱触媒体3を箔材で構成する場合、図1及び図2と同様に帯状のものを使用することが好ましい。帯状の箔材は、その幅方向を折れ線にして例えば鋸波状に折り曲げられる。このままでは箔材がその形状を保持するのが難しいので、垂直なピンを設け、折れ線の部分でピンに箔材をひっかけて保持させる。尚、ピンは、例えば方形の枠上に固定する。このような構成の熱触媒体3であっても、前述したのと同様の効果が得られる。
【0024】
また、基板9は上述した通り基板ホルダー4内のヒータ41によって加熱されている。そして、基板ホルダー4は基板9の温度を測定する熱電対等の不図示の温度センサを備えており、基板9の温度はフィードバック制御される。しかしながら、基板9は熱触媒体3からの熱輻射によっても加熱されており、この熱輻射による加熱分が多いと、基板9の温度制御の制御性が低下する問題がある。逆に言えば、基板9への熱輻射が低減された本実施形態の構成は、基板9の温度制御の制御性が向上し、基板9の温度を安定して一定に保つことができる。
【0025】
さらに、上述した熱触媒体3の形状は、加熱効率という点も優れている。即ち、図2に示すように屈曲した熱触媒体3の形状では、矩形波状の部分等で帯板の表面が向かい合っている。この向かい合う部分では互いに熱輻射によって加熱しあうことになる。このため、熱触媒体3を所定の温度に加熱する際に要する電力が小さくできる。つまり、熱触媒体3から外部に放出される熱輻射を少なくし熱触媒体3内で互いに加熱する熱輻射を多くすることで、加熱の電力効率を高めた構成となっている。
【0026】
次に、本実施形態の触媒化学蒸着装置の動作について説明する。
まず、処理容器1に隣接した不図示のロードロック室に基板9を配置するとともにロードロック室及び処理容器1内を所定の圧力まで排気し、その後、不図示のゲートバルブを開けて基板9を処理容器1内に搬入する。基板9は、基板ホルダー4に保持される。基板ホルダー4内のヒータ41が予め動作しており、基板ホルダー4に保持された基板9は、ヒータ41からの熱によって所定温度に加熱される。
【0027】
この状態で、ガス供給系2が動作する。即ち、バルブ24が開きガス供給器22を通して蒸着用ガスが処理容器1内に供給される。供給された蒸着用ガスは、熱触媒体3の表面を通過して基板9に達する。この際、熱触媒体3が触媒として関与した反応が生じ、基板9の表面に所定の薄膜が堆積する。薄膜が所定の厚さに達したら、バルブ24を閉じて蒸着用ガスの供給を停止し、処理容器1内を再度排気する。その後、基板9を処理容器1から取り出す。
【0028】
蒸着の具体例について、前述と同様に窒化シリコン膜を作成する場合を例にして説明すると、蒸着用ガスとして、モンシランを0.5cc/分、アンモニアを50cc/分の割合で混合して導入する。熱触媒体3の温度を1700℃、基板9の温度を300℃、処理容器1内の圧力を1.3Paに維持して蒸着を行うと、120オングスローム/分程度の成膜速度で窒化シリコン膜の作成が行える。尚、このような窒化シリコン膜は、パッシベーション膜として効果的に利用できる。
【0029】
次に、上記蒸着に利用されている触媒反応について、補足して説明を行う。図3は、CAT−CVD法の蒸着メカニズムを説明する概略図である。
上記窒化シリコン膜を作成する場合を例にとると、導入されたモノシランガスが、所定温度に加熱された熱触媒体3の表面(タングステン表面)を通過する際、水素分子の吸着解離反応に類似したシランの接触分解反応が生じ、SiH3 *及びH* という分解活性種が生成される。詳細なメカニズムは明かではないが、モノシランを構成する一つの水素がタングステン表面に吸着することで、その水素とシリコンの結合が弱まってモノシランが分解し、タングステン表面への吸着が熱によって解かれてSiH3 *及びH* という分解活性種が生成されると考えられる。アンモニアガスにも同様な接触分解反応が生じ、NH2 *及びH* という分解活性種が生成される。そして、これらの分解活性種が基板9に到達してシリコン窒化膜の堆積に寄与する。即ち、反応式で示すと、
SiH4(g)→SiH3 * (g)+H* (g)
NH3(g)→NH2 * (g)+H* (g)
aSiH3 * (g)+bNH2 * (g)→cSiNx(s)
となる。尚、gの添え字はガス状態、sの添え字は固体状態であることを意味する。
【0030】
次に、本願発明の第二の実施形態について説明する。図5は、本願発明の第二の実施形態の要部を説明する斜視概略図である。この第二の実施形態は、熱触媒体3の構成が第一の実施形態の構成と異なるのみである。第二の実施形態では、熱触媒体3から基板9への熱輻射をさらに低減させるため、熱触媒体3の基板9側の端面は、熱触媒体3の他の表面に比べて熱輻射率が低くなっている。
【0031】
具体的に説明すると、熱触媒体3の基板9側の端面は、被覆材32で被覆されている。熱触媒体3は前述と同様にタングステン製であり、被覆材32は高融点でタングステンよりも熱輻射率が低い材料である。このような材料としては例えば白金が挙げられる。また、チタン等の白金より高融点の金属も考えられる。被覆材32は被覆膜であり、溶射、スパッタ又は蒸着等の方法により基板31の端面に形成される。被覆材32の厚さは、例えば1μm程度である。尚、被覆材32は熱触媒作用があっても良いし無くてもよい。熱触媒作用があるとより好適であるが、無くてもその表面積は小さいので問題とならない。
【0032】
この第二の実施形態の装置では、第一の実施形態と同様に熱触媒体3が板材であってその端面が基板9に平行に配置されている上、熱輻射率の小さな材料の被覆材32で基板9側の端面が被覆されているため、熱触媒体3から基板9への熱輻射の量がさらに少なくなっている。従って、基板9の温度上昇をさらに抑制することができる。
尚、上記構成では、熱輻射率の小さな材料で被覆することで基板9に向かっての熱輻射の量を少なくしたが、熱触媒体の表面状態を変えることによって熱輻射の量を少なくすることは可能である。例えば、第一の実施形態における熱触媒体3の基板9側の端面を鏡面加工処理すると、その端面から放出される熱輻射の量を低減させることができる。
【0033】
次に、本願発明の第三の実施形態について説明する。図6は、本願発明の第三の実施形態の要部を説明する斜視概略図である。この第三の実施形態は、第二の実施形態と同様、熱触媒体3の構成が第一の実施形態の構成と異なるのみである。
この第三の実施形態では、熱触媒体3の基板9側の端面は、別の部材33で覆われている。そして、この別の部材33の基板9に対向する面の温度が熱触媒体3の表面の温度よりも低くなるよう構成されている。
別の部材33は、第二の実施形態における被覆材32と同様に、熱触媒体3の基板9側の端面を覆うものであるが、被覆膜として形成される被覆材32とは異なり、ある程度の厚みを持って熱触媒体3の端面を覆っている。
【0034】
この第三の実施形態は、別の部材33の特にその基板9に対向した面(以下、基板対向面)の温度が熱触媒体3の表面の温度より低くなるようにすることで基板9への熱輻射を少なくするものである。基板対向面の温度を低くする構成は、二通り考えられる。その一つは、熱触媒体3と別の部材33との間の熱伝達率が低くして熱触媒体3の熱が別の部材33に伝わらないようにする構成である。別の一つは、別の部材33自体に熱伝導率の低い材料を使用して別の部材33内に温度差を設けるようにする構成である。
【0035】
前者の構成としては、例えば別の部材33も熱触媒体3と同じタングステン製とし、別の部材33と熱触媒体3との間に熱遮蔽性の部材を介在させる構成が挙げられる。また、別の部材33と熱触媒体3を少し離間させるようにしても、それらの周囲の雰囲気は真空であるので、同様の効果が得られる。また、後者の構成としては、別の部材33に耐熱性で熱伝導率の小さな材料例えばタンタルやマグネシウム等を使用するようにする。尚、いずれの場合においても、別の部材33の厚みは1〜3mm程度でよい。
【0036】
上記説明では、別の部材33の基板対向面の温度を低くするよう構成したが、別の部材33の基板対向面を熱輻射率を小さくするよう構成してもよい。例えば、第二の実施形態のように、基板対向面の表面を熱輻射率の小さな材料で被覆したり、熱輻射率が小さくなるような処理を表面に施すようにしてもよい。尚、この第三の実施形態においても、別の部材33は熱触媒作用のあっても無くてもよい。熱触媒作用がある場合は、熱触媒体3の一部として捉えることができる。
【0037】
次に、請求項5に対応した第四の実施形態について説明する。図7は、本願発明の第四の実施形態の要部を説明する斜視概略図である。この第四の実施形態は、第二、三の実施形態と同様、熱触媒体3の構成が第一の実施形態の構成と異なるのみである。
この第四の実施形態では、図7に示すように、熱触媒体3はコイル状であって、このコイルの軸方向が基板9の表面に対して平行になるよう設けられている。熱触媒体3は、例えば直径0.5mm程度のタングステン線をコイル状にしたものである。コイルの直径即ちコイルが成す仮想円筒面の直径(図7中にRで示す)は例えば7mm、コイルのピッチ即ち隣り合う線の幅(図7中にpで示す)は例えば1.5mmである。
【0038】
このように熱触媒体3をコイル状にしてその軸が基板9の表面に平行に配置すると、図9に示すような鋸波状のワイヤーよりなる場合に比べ、同一表面積及び同一温度で条件下で、やはり基板9への熱輻射を少なくできる効果がある。即ち、同一径及び同一長さのワイヤーを鋸波状にする場合と、コイル状にする場合とを比べると、コイル状にした方が隣り合う線同士が熱輻射で互いに加熱し合う量が多くなる。そして、相対的に基板9に向かって放出される熱輻射の量が少なくなる。また、隣り合う線同士で加熱する割合が高くなるため、一定温度に加熱する際の電力効率が向上する。
【0039】
尚、基板9への熱輻射の低減や電力効率の向上のためには、コイルの隣り合う線同士がある程度接近している必要がある。つまり、コイルの巻き方がある程度密になっている必要がある。コイルの隣り合う線同士が離れていると、線の一点が隣りの線を見込む角度が小さくなり、到達する輻射線の量が低下する。このため、熱輻射による相互加熱の量が低下してしまう。図7に示すように、コイルが成す仮想円筒面の直径をR、コイルのピッチをpとしたとき、十分な電力効率の向上のためにはp/Rが5以下であることが必要である。尚、この仮想円筒面の直径は、コイルの線の中心で取っても良いし、コイルの線の外縁又は内縁で取ってもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明した通り、本願の請求項1の発明によれば、基板への熱輻射が低減するのでさらなる低温プロセスが可能になる。また、基板の加熱を安定して行えるので、プロセスの信頼性が高くなる。これに加え、熱触媒体の基板側の端面の熱輻射率が小さいので、基板への熱輻射をさらに低減させる効果がある。
また、請求項2の発明によれば、基板への熱輻射が低減するのでさらなる低温プロセスが可能になる。また、基板の加熱を安定して行えるので、プロセスの信頼性が高くなる。これに加え、熱触媒体の基板側の端面を覆うよう設けられた別の部材の基板に対向した面の熱輻射率が小さくなるか又はその面の温度が低くなるので、基板への熱輻射をさらに低減させる効果がある。
また、請求項の発明によれば、上記請求項1の効果に加え、熱触媒体の表面積が大きく取れるので熱触媒作用が多く得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の発明の第一の実施形態の触媒化学蒸着装置の構成を説明する正面概略図である。
【図2】図1の装置に使用された熱触媒体の構成を説明する斜視概略図である。
【図3】図1及び図2に示す熱触媒体の長所を説明する模式図である。
【図4】CAT−CVD法の蒸着メカニズムを説明する概略図である。
【図5】本願発明の第二の実施形態の要部を説明する斜視概略図である。
【図6】本願発明の第三の実施形態の要部を説明する斜視概略図である。
【図7】本願発明の第四の実施形態の要部を説明する斜視概略図である。
【図8】図8は、CAT−CVD法を行う従来の触媒化学蒸着装置の概略構成を示す正面図である。
【図9】図8の装置に使用された熱触媒体3の構成を説明する平面概略図である。
【符号の説明】
1 処理容器
11 排気系
2 ガス供給系
3 熱触媒体
30 加熱機構
32 被覆材
33 別の部材
4 基板ホルダー
41 ヒータ

Claims (3)

  1. 内部で基板に対して所定の処理がなされる処理容器と、処理容器内に所定の蒸着用ガスを供給するガス供給系と、供給された蒸着用ガスが表面付近を通過するように処理容器内に設けられた熱触媒体と、熱触媒体が関与した蒸着用ガスの反応により所定の薄膜が作成される処理容器内の位置に基板を保持する基板ホルダーとを備えた触媒化学蒸着装置であって、
    前記熱触媒体は板材からなるものであり、その断面形状において長尺な方の面が基板に対して垂直になるように設けられており、その基板側の端面は当該熱触媒体の他の表面に比べて熱輻射率が小さくなっていることを特徴とする触媒化学蒸着装置。
  2. 内部で基板に対して所定の処理がなされる処理容器と、処理容器内に所定の蒸着用ガスを供給するガス供給系と、供給された蒸着用ガスが表面付近を通過するように処理容器内に設けられた熱触媒体と、熱触媒体が関与した蒸着用ガスの反応により所定の薄膜が作成される処理容器内の位置に基板を保持する基板ホルダーとを備えた触媒化学蒸着装置であって、
    前記熱触媒体は板材からなるものであり、その断面形状において長尺な方の面が基板に対して垂直になるように設けられており、その基板側の端面は別の部材で覆われており、
    この別の部材の基板に対向する面は基板に対向しない面よりも熱輻射率が小さくなっているか、又は、この別の部材の基板に対向する面の温度が熱触媒体の表面の温度よりも低くなるよう、別の部材の熱伝達率が充分低いかもしくは熱触媒体と別の部材との間の熱伝達率が充分低くなっていることを特徴とする触媒化学蒸着装置。
  3. 前記熱触媒体は、前記熱触媒体は帯状の板材からなるものであり、幅方向を折れ線にして折り曲げられていることを特徴とする請求項1又は2記載の触媒化学蒸着装置。
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