JP4098867B2 - アリールアミンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子材料用素材又はその中間体として有用なアリールアミン、特にトリアリールアミン又はジアリールアミンを高純度且つ低コストで製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の反応はウルマン縮合反応として分類される反応の範疇に含まれる。
ウルマン縮合反応は芳香族アミンを芳香族ハロゲン化合物、好ましくは芳香族ヨウ化化合物とを塩基及び銅触媒の存在下でカップリングする反応であり、F.Ullmann(Chem.Ber.,36,2382(1902))によって発見された。
従来、この反応における溶媒としては、イオン化電位9.1eV以上のアルキルベンゼン、ハロゲノベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族化合物、又はデカン、トリデカンなどの飽和脂肪族炭化水素化合物が使用されている。
また、反応を促進させる手段として環式含窒素化合物であるピリジン類やキノリン類などが反応溶媒として使用されている(例えばTetrahedron Lett.,4531(1965)、Tetrahedron Lett.,679(1966))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の溶媒として芳香族化合物又は飽和脂肪族炭化水素化合物を使用する反応は一般的に反応時間が長く、しかも実用的なアリール化速度を達成するためにはかなりの高温を必要とするため、置換基の酸化や生成物の2量化反応などによって副生成物が生成する欠点がある。
また、反応を促進させる手段として環式含窒素化合物であるピリジン類やキノリン類などが反応溶媒として使用する場合、副生成物が生成する問題は解決されていない。
更に、この副生成物の分離精製は非常に困難で、電子材料用素材又はその中間体として使用するのに高純度に精製しようとすると収率が低下し、しかもコストが高くなり実用的でないという問題点があった。
【0004】
以上説明したように、高純度且つ高収率でアリールアミンを製造する実用的な方法が、未だ得られていない状況にある。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解決せしめ、高純度のアリールアミン、特にトリアリールアミン又はジアリールアミンを低コストで製造する、即ち短時間で高収率を得ることができる新規な方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
(1)芳香族アミンと芳香族ハロゲン化物とを、オシメン、ミルセン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、(+)−α−フェランドレン、(−)−β−フェランドレン、(−)−1−p−メンテン、(+)−3−p−メンテン、ジペンテン、(+)−リモネン、(+)−サビネン、(+)−α−ピネン、(+)−β−ピネン、ゲラニオール、(+)−シトロネロール、ネロール、(+)−リナロオール、 cis −シトラール、 trans −シトラール、(+)−シトロネラール、(+)−イソメントール、(+)− cis −カルベオール、(+)− trans −カルベオール、(−)−カルボメントール、(+)−ジヒドロカルベオール、(+)−α−テルピネオール、 trans −β−テルピネオール、γ−テルピネオール、(+)−1−p−メンテン−4−オール、(−)−メントール、 trans −1,4−テルピン、 cis −1,8−テルピン、(+)− trans −ソブレロール、(−)−イソプレゴン、(+)−イソメントン、カルベノン、(+)−カルボタナセトン、(−)−カルボメントン、(+)−カルボン、(−)−ジヒドロカルボン、(−)−ピぺリトン、(+)−プレゴン、(−)−メントン、ジオスフェノール及びα−ツジョンからなるモノテルペン化合物群、並びに(−)−β−カジネン、(−)−β−カリオフィレン、(−)−β−サンタレン、(−)−α−セドレン、(+)−β−セリネン、(−)−β−ビサボレン、α−フムレン、ファルネソール及び(+)−ネロリドールからなるセスキテルペン化合物群から選択される溶媒中、下記一般式(1)で示されるキレート銅錯体の存在下で反応させることを特徴とするアリールアミンの製造方法、
【0006】
[Cu(L)k]Xm・nHO (1)
式中、Cuは一価もしくは二価の銅元素を示す。Lは、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,4,6−コリジン、ピコリン酸、キノリン酸、2−ピリジル酢酸、ピリジン−2−アルドオキシム、ピリジン−2−アルデヒド、2−ピリジンメタノール、2−ピリジンエタノール、2−ヒドロキシピリジン、2−シアノピリジン、キノリン、キナルジン、4−メチルキノリン、8−キノリノール、キナルジン酸、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、イミダゾール、イミダゾール−5(4)−酢酸または4,5−ジシアノイミダゾールを示し、kは1〜6の整数を示す。XはOH、Cl、Br、I、NO、NO、SO、ClO、BF、BF、PF、SCN、NCS、又はSを示し、mは0〜2の自然数を示す。nは0〜10の自然数を示す。
【0007】
(2)前記溶媒がテルピネン類、テルピノレンまたはフェランドレン類であることを特徴とする前記(1)記載のアリールアミンの製造方法、
(3)前記Lがピコリン酸、キノリン酸または2,2’−ビピリジルであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載のアリールアミンの製造方法、
によって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳細に説明する。
本発明はアリールアミン、特に電子材料用素材又はその中間体として有用な一群のトリアリールアミンもしくはジアリールアミンをウルマン縮合反応により製造する際に、オシメン、ミルセン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、(+)−α−フェランドレン、(−)−β−フェランドレン、(−)−1−p−メンテン、(+)−3−p−メンテン、ジペンテン、(+)−リモネン、(+)−サビネン、(+)−α−ピネン、(+)−β−ピネン、ゲラニオール、(+)−シトロネロール、ネロール、(+)−リナロオール、 cis −シトラール、 trans −シトラール、(+)−シトロネラール、(+)−イソメントール、(+)− cis −カルベオール、(+)− trans −カルベオール、(−)−カルボメントール、(+)−ジヒドロカルベオール、(+)−α−テルピネオール、 trans −β−テルピネオール、γ−テルピネオール、(+)−1−p−メンテン−4−オール、(−)−メントール、 trans −1,4−テルピン、 cis −1,8−テルピン、(+)− trans −ソブレロール、(−)−イソプレゴン、(+)−イソメントン、カルベノン、(+)−カルボタナセトン、(−)−カルボメントン、(+)−カルボン、(−)−ジヒドロカルボン、(−)−ピぺリトン、(+)−プレゴン、(−)−メントン、ジオスフェノール及びα−ツジョンからなるモノテルペン化合物群、並びに(−)−β−カジネン、(−)−β−カリオフィレン、(−)−β−サンタレン、(−)−α−セドレン、(+)−β−セリネン、(−)−β−ビサボレン、α−フムレン、ファルネソール及び(+)−ネロリドールからなるセスキテルペン化合物群から選択される反応溶媒中で、上記一般式(1)で示されるキレート銅錯体の存在下に反応させることにより、短時間で反応を終了させることができ、高純度な目的化合物を短時間に高収率で得るものである
【0010】
本発明において触媒として使用される一般式(1)で示されるキレート銅錯体は、銅塩とγ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,4,6−コリジン、ピコリン酸、キノリン酸、2−ピリジル酢酸、ピリジン−2−アルドオキシム、ピリジン−2−アルデヒド、2−ピリジンメタノール、2−ピリジンエタノール、2−ヒドロキシピリジン、2−シアノピリジン、キノリン、キナルジン、4−メチルキノリン、8−キノリノール、キナルジン酸、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、イミダゾール、イミダゾール−5(4)−酢酸または4,5−ジシアノイミダゾールの有機配位子化合物から合成されるが、特にピコリン酸、キノリン酸、2,2’−ビピリジルが有効である。
本発明において使用される銅塩としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、沃化銅、酸化第一銅、酸化第二銅、水酸化第二銅、炭酸銅、酢酸銅、硫酸銅、硝酸銅等が挙げられる
【0014】
キレート銅錯体は従来知られた方法によって合成されたものが使用される(例えば、J.Chem.Soc.,1969 A,2219、Aust.J.Chem.,17,219(1964)、Z.Anorg.Chem.227,273(1986)、J.Inorg.Nucl.Chem.,,211(1959)などに開示された方法)。すなわち、上記銅塩および有機配位子化合物をそれぞれ水もしくはアルコールに溶解したものを混合し析出した結晶を濾別、乾燥する方法や、銅塩および有機配位子化合物の混合液を加熱攪拌後、濃縮乾固して乾燥する方法等で合成される。通常、有機配位子化合物は銅塩に対して1,2もしくは3当量使用される。
【0015】
本発明で使用し得る上記キレート銅錯体の好ましい例としては、2,2’−ビピリジル銅(II)硝酸塩三水和物、2,2’−ビピリジル銅(II)硫酸塩二水和物、ビス(2,2’−ビピリジル)銅(II)塩化物六水和物、ビス(2,2’−ビピリジル)銅硝酸塩一水和物、ビス(ピリジン−2−カルボン酸)銅(II)塩化物六水和物等が挙げられる。
8−キノリノール銅や安息香酸銅など市販品として入手可能な場合は、新たに合成の必要はなくそのまま用いても有効であるが、2,2’−ビピリジル銅、ピコリン酸銅、キノリン酸銅などが特に有効である。
銅触媒としてこれらのキレート銅錯体を用いることの利点は、使用する原料において最適の触媒を選択して反応を短時間に終了させることができる点にあり、通常、芳香族ハロゲン化物1モルに対して、0.001〜0.1モル、好ましくは0.005〜0.02モルが使用される。
【0016】
本発明で使用し得る反応溶媒は、特定のモノテルペン化合物群またはセスキテルペン化合物群である。これらは通常、医薬品や香料の原料として広く使用されている化合物である。
具体的には、オシメン、ミルセン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、(+)−α−フェランドレン、(−)−β−フェランドレン、(−)−1−p−メンテン、(+)−3−p−メンテン、ジペンテン、(+)−リモネン、(+)−サビネン、(+)−α−ピネン、(+)−β−ピネン、ゲラニオール、(+)−シトロネロール、ネロール、(+)−リナロオール、 cis −シトラール、 trans −シトラール、(+)−シトロネラール、(+)−イソメントール、(+)− cis −カルベオール、(+)− trans −カルベオール、(−)−カルボメントール、(+)−ジヒドロカルベオール、(+)−α−テルピネオール、 trans −β−テルピネオール、γ−テルピネオール、(+)−1−p−メンテン−4−オール、(−)−メントール、 trans −1,4−テルピン、 cis −1,8−テルピン、(+)− trans −ソブレロール、(−)−イソプレゴン、(+)−イソメントン、カルベノン、(+)−カルボタナセトン、(−)−カルボメントン、(+)−カルボン、(−)−ジヒドロカルボン、(−)−ピぺリトン、(+)−プレゴン、(−)−メントン、ジオスフェノール、α−ツジョンからなるモノテルペン化合物群;(−)−β−カジネン、(−)−β−カリオフィレン、(−)−β−サンタレン、(−)−α−セドレン、(+)−β−セリネン、(−)−β−ビサボレン、α−フムレン、ファルネソール、(+)−ネロリドールからなるセスキテルペン化合物群が挙げられ、特にテルピネン類、テルピノレン、フェランドレン類が有効である。
【0018】
前記に挙げたモノテルペン化合物群またはセスキテルペン化合物群以外の反応溶媒を使用した場合には、反応溶媒、原料、及び生成物が反応してしまったり、不純物の副生が増加して精製が困難となったりして所期の目的を達成できない。
本発明において、上記反応溶媒は、通常原料の芳香族アミン1モルに対して250〜450mlの割合で使用される。
【0019】
反応は使用する原料とキレート銅錯体により異なるが、通常190〜210℃で4〜10時間行われる。
本発明で製造されるアリールアミンとしては、例えば下記一般式(I)、(II)もしくは(III )で示されるトリアリールアミン又はジアリールアミンを挙げることができる。
【0020】
【化3】
Figure 0004098867
【0021】
式中、R3、R4はハメットのσmとして−0.34〜0.71までの置換基、σpとして−0.84〜0.73までの置換基を示し、複数のR3又はR4の各々は同一でも異なってもよく、また複数のR3又はR4のうち各々の2つが互いに結合して環を形成してもよい。Yは1〜3の整数、p又はqは各々1〜4の整数を示す。また、Zは以下の一般式で示される化合物の芳香環の任意の位置で結合手を形成するY価の基を示す。
【0022】
【化4】
Figure 0004098867
【0023】
式中、R5、R6、R7は、各々独立にハメットのσmとして−0.15〜0.43までの置換基、σpとして−0.32〜0.54までの置換基を示し、芳香環のどの部位で結合してもよい。r、s、tは各々1〜5の整数を表す。
【0024】
複数のR3又はR4のうち各々の2つが互いに結合して形成する環としては、シクロヘキシル環、ベンゼン環等が挙げられる。
ここで、ハメットのσmとして−0.34〜0.71までの置換基として具体的には、例えばメチル、t−ブチル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、フェニル、ナフチル等のアリール基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、アミノ、ジメチルアミノ等のアミノ基、ニトロ基、又は塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられ、σpとして−0.84〜0.73までの置換基として具体的には、例えばメチル、t−ブチル等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、アミノ、ジメチルアミノ等のアミノ基、ニトロ基、又は塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
またσmとして−0.15〜0.43までの置換基として具体的には、メチル、t−ブチル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、フェニル、ナフチル等のアリール基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基等が挙げられ、σpとして−0.32〜0.54までの置換基として具体的には、メチル、t−ブチル等のアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、フェニル、ナフチル等のアリール基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
【0025】
一般式(I)、(II)もしくは(III )で示される具体例としては次のものを例示することができる。
【0026】
【化5】
Figure 0004098867
【0027】
【化6】
Figure 0004098867
【0028】
【化7】
Figure 0004098867
【0029】
【化8】
Figure 0004098867
【0030】
【化9】
Figure 0004098867
【0031】
【化10】
Figure 0004098867
【0032】
本発明においてアリールアミン特に上記のトリアリールアミン又はジアリールアミンを製造するために使用される芳香族アミンとしては、上記一般式(I)、(II)もしくは(III )において、Zの代わりに水素原子を有するアミンが挙げられる。また芳香族ハロゲン化合物としては、上記一般式(I)、(II)もしくは(III )におけるZに相当する化合物のハロゲン化物、通常ヨウ化物が用いられ、通常芳香族アミンに対しハロゲン化物0.3〜4.0当量、好ましくは0.9〜2.0当量が使用される。
【0033】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、純度の評価は高速液体クロマトグラフィー(HPLCと略記する)により測定した。
【0034】
〔実施例1〕
(ビス(2,2’−ビピリジル)銅(II)塩化物六水和物の合成)
塩化銅(II)2水和物17.7g(0.1モル)を水800mlに加熱溶解し、これに2,2’−ビピリジル31.2g(0.2モル)をエタノール300mlに溶解させた溶液を加えた。冷却し析出した結晶を濾別しエタノールで洗浄後、真空乾燥した。濃青色結晶として目的化合物を52.7g(収率94.9%)得た。
【0035】
〔実施例2〕
(N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,3−フェニレンジアミン(I−4)の合成)
m−フェニレンジアミン24.9g(0.23モル)、炭酸カリウム129.0g(0.93モル)、ビス(2,2’−ビピリジル)銅(II)塩化物六水和物6.65g(0.012モル)、テルピノレン98mlの混合物を窒素気流下190〜195℃で攪拌し、ヨードベンゼン179.5g(0.88モル)を1時間で滴下後、更に4時間反応させた。反応後、トルエン210mlと水210mlを添加し、分液後トルエンを減圧濃縮する。酢酸エチル160mlとイソプロピルアルコール(IPAと略記する)980mlを添加して晶析させ、淡黄色粗結晶として目的化合物(I−4)を89.5g(収率94.3%)得た。融点131〜132℃、HPLC含量(カラム:super−ODS、溶離液:メタノール、検出UV:254nm、流量:0.6ml/min)は99.5%であった。
元素分析値
Figure 0004098867
【0036】
〔実施例3〕
(N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−9,10−ジアミノフェナントレン(I−11)の合成)
9,10−ジアニリノフェナントレン62.0g(0.17モル)、m−ヨードトルエン110.7g(0.51モル)、炭酸カリウム93.6g(0.68モル)、ビス(2,2’−ビピリジル)銅(II)塩化物六水和物4.44g(0.008モル)、テルピノレン50mlの混合物を窒素気流下200〜210℃で6時間反応させた。反応後、トルエン45ml、酢酸エチル1666ml、水222mlを添加し、分液後メタノール708mlを添加して晶析させ、淡黄色粗結晶として目的化合物(I−11)を89.6g(収率96.8%)得た。融点231〜232℃、HPLC含量(カラム:YMC−A−312、溶離液:メタノール/THF(99/1)、検出UV:254nm、流量:1.0ml/min)は99.4%であった。
元素分析値
Figure 0004098867
【0037】
〔比較例1,2,3〕
実施例3において用いたテルピノレンあるいは下記表1に示す溶媒を用いて実施例3と同様の反応を行い目的化合物(I−11)を合成した。反応溶媒種と銅触媒種を変更した以外は全く同様に操作し、同様にHPLCにより純度(HPLC含量)を評価した。結果を表1に示す。尚、表1においての「ビピリジル銅」は、ビス(2,2’−ビピリジル)銅(II)塩化物六水和物を示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004098867
【0039】
表1から明らかなように従来、反応溶媒として使用されてきた飽和脂肪族炭化水素化合物や芳香族化合物と比較して特定のモノテルペン化合物群またはセスキテルペン化合物群を使用した場合には、銅触媒に有機銅錯体を用いることにより反応が著しく促進され、高純度な目的化合物が得られた。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係わるアリールアミンの製造方法は、電子材料用素材、又はその中間体として有用なアリールアミン、特にトリアリールアミン又はジアリールアミンを高純度且つ低コスト(短時間の反応で高収率を得る)で製造することができ、極めて高い実用性を有するものである。

Claims (3)

  1. 芳香族アミンと芳香族ハロゲン化物とを、オシメン、ミルセン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、(+)−α−フェランドレン、(−)−β−フェランドレン、(−)−1−p−メンテン、(+)−3−p−メンテン、ジペンテン、(+)−リモネン、(+)−サビネン、(+)−α−ピネン、(+)−β−ピネン、ゲラニオール、(+)−シトロネロール、ネロール、(+)−リナロオール、 cis −シトラール、 trans −シトラール、(+)−シトロネラール、(+)−イソメントール、(+)− cis −カルベオール、(+)− trans −カルベオール、(−)−カルボメントール、(+)−ジヒドロカルベオール、(+)−α−テルピネオール、 trans −β−テルピネオール、γ−テルピネオール、(+)−1−p−メンテン−4−オール、(−)−メントール、 trans −1,4−テルピン、 cis −1,8−テルピン、(+)− trans −ソブレロール、(−)−イソプレゴン、(+)−イソメントン、カルベノン、(+)−カルボタナセトン、(−)−カルボメントン、(+)−カルボン、(−)−ジヒドロカルボン、(−)−ピぺリトン、(+)−プレゴン、(−)−メントン、ジオスフェノール及びα−ツジョンからなるモノテルペン化合物群、並びに(−)−β−カジネン、(−)−β−カリオフィレン、(−)−β−サンタレン、(−)−α−セドレン、(+)−β−セリネン、(−)−β−ビサボレン、α−フムレン、ファルネソール及び(+)−ネロリドールからなるセスキテルペン化合物群から選択される溶媒中、下記一般式(1)で示されるキレート銅錯体の存在下で反応させることを特徴とするアリールアミンの製造方法。
    [Cu(L)k]Xm・nHO (1)
    式中、Cuは一価もしくは二価の銅元素を示す。Lは、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,4,6−コリジン、ピコリン酸、キノリン酸、2−ピリジル酢酸、ピリジン−2−アルドオキシム、ピリジン−2−アルデヒド、2−ピリジンメタノール、2−ピリジンエタノール、2−ヒドロキシピリジン、2−シアノピリジン、キノリン、キナルジン、4−メチルキノリン、8−キノリノール、キナルジン酸、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、イミダゾール、イミダゾール−5(4)−酢酸または4,5−ジシアノイミダゾールを示し、kは1〜6の整数を示す。XはOH、Cl、Br、I、NO、NO、SO、ClO、BF、BF、PF、SCN、NCS、又はSを示し、mは0〜2の自然数を示す。nは0〜10の自然数を示す。
  2. 前記溶媒がテルピネン類、テルピノレンまたはフェランドレン類であることを特徴とする請求項1に記載のアリールアミンの製造方法。
  3. 前記Lがピコリン酸、キノリン酸または2,2’−ビピリジルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアリールアミンの製造方法。
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