JP4098851B2 - 走査結像光学系における結像ミラーの製造方法・走査結像光学系および光走査装置 - Google Patents

走査結像光学系における結像ミラーの製造方法・走査結像光学系および光走査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は走査結像光学系における結像ミラーの製造方法・走査結像光学系および光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光走査装置における問題の一つとして「走査線曲がり」の問題がある。走査線は、被走査面上に集光された光スポットが被走査面上で描く軌跡であり、直線であることが理想であるが、種々の原因で直線にならずに曲がりを生じてしまう。
走査線曲がりには、光走査光学系の製造誤差や組み付け誤差等の「誤差的な原因」によるものと、光学系の設計上、走査線曲がりが不可避的に発生する「設計上の原因」によるものとがある。
【0003】
誤差的な原因による走査線曲がりは、光学素子の作製精度や組み付け精度を高めたり、あるいは、製造や組み付けの公差を考慮して「作製や組み付けの誤差による走査線曲がりの劣化が少なくなるような光走査光学系」を設計することにより対処できる。
【0004】
設計上の原因による走査線曲がりの例としては、走査結像光学系として「結像機能を持つ凹面鏡」を用いる場合が有る。光偏向器による偏向光束をこのような凹面鏡に入射させて被走査面に光スポットを結像させようとすると、凹面鏡による反射光束が光偏向器に戻らないようにするために、偏向光束の入射方向に対して凹面鏡の光軸をずらせたり、あるいは凹面鏡を傾けたりする必要がある。
凹面鏡をこのように配備すると、偏向光束が凹面鏡上で移動する軌跡が「凹面鏡の光軸を含む平面」とずれるため、被走査面上で走査線曲がりが不可避的に発生する。このような設計上の原因による走査線曲がりに対処する方法として、補助的な光学素子を用いて走査線曲がりを有効に軽減する方法と、光偏向器と凹面鏡と被走査面との相対的な位置関係を調整する方法とがある。
【0005】
補助的な光学素子を用いる方法は、走査線曲がりを十分に補正することが難しい。光学系の位置関係調整により走査線曲がりを補正する方法としては、特開平1−306813号公報のものが知られている。しかし、この方法は結像機能を持つ凹面鏡の反射面形状が放物面に限られるため、光走査の等速性や光スポット径の安定性等、光走査に必要な他の属性と走査線曲がり補正の両立が難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、光走査装置の設計上、不可避的に発生する走査線曲がりを、設計上で補正できる全く新規な走査結像光学系の実現、即ち、上記走査結像光学系における結像ミラーの製造方法の提供、上記走査結像光学系自体の実現を課題とする。
この発明はまた、上記走査結像光学系を用いることにより、走査線曲がりを原理的に補正できる光走査装置の実現を別の課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の走査結像光学系の製造方法は「回転多面鏡の回転軸に直交する面内において、光源側からの入射光束の主光線の方向と、光走査による書込み領域の中央位置に集光す るときの偏向光束の主光線が回転多面鏡から出る方向とが角度をなすように上記光源側からの入射光束を上記回転多面鏡に向けて入射させるとともに、上記回転多面鏡による偏向の起点に、主走査対応方向に長い線像として結像させて偏向させ、偏向光束を被走査面上に光スポットとして集光させて光走査を行う光走査装置の上記回転多面鏡以後の光路上に配備され、上記偏向の起点と被走査面位置とを副走査対応方向において幾何光学的な共役関係とする機能を有する走査結像光学系に含まれて、結像機能を有し、走査線の曲がりを補正する補正反射面を反射面として有する結像ミラーを製造する方法」であって、以下の点を特徴とする。
即ち、上記補正反射面について、主走査対応方向を長手方向、副走査対応方向を幅方向とし、上記結像ミラーに固定して、上記長手方向をy軸方向、幅方向をz軸方向、上記補正反射面の中央部を通り、上記y軸方向およびz軸方向に直交する方向をx軸方向とし、これらx、y、z軸方向を、上記中央部を原点位置とする直角座標系である固有座標系x、y、zとし、走査線曲がり補正機能を持たないとした場合の補正反射面形状である基準反射面形状と上記xy面との交線上において、xz面に平行な副走査断面内における上記補正反射面の断面形状のz方向に対する傾き角として定義される固有傾きを、光走査装置固有の走査線曲がりを補正するように、上記y座標に応じて設定することにより、上記副走査断面内における曲率中心を主走査対応方向に連ねた曲率中心線が、3次元的な曲線となり、且つ、上記曲率中心線が、主走査対応方向に直交する対称面を持たず、主走査対応方向に非対称的である補正反射面形状をなすように製造する
【0008】
「光走査装置固有の走査線曲がり」は「補正反射面が走査線曲がりを補正する機能を持たないものとして、光学設計を行った状態における設計上の走査線曲がり」をいい、光走査装置の設計上「不可避的に発生する走査線曲がり」である。
補正反射面における「固有傾き」は上記の如く、補正反射面に走査線曲がり補正機能が無いとした場合の反射面の傾き(補正反射面の設置上の基準の傾き)からの傾きをいう。
【0009】
「副走査断面」は、補正反射面近傍において主走査対応方向(光源から被走査面に至る光路上で主走査方向と対応する方向)に直交する平断面を言う。
【0010】
走査結像光学系は、上記補正反射面を持つ光学素子の他に、レンズ系を有しても良い。
【0011】
走査結像光学系は「結像機能を有する結像ミラー」を含むが、この結像機能は、偏向光束を主走査対応方向において被走査面上に集光させ、副走査対応方向(光源から被走査面に至る光路上で副走査方向と対応する方向)に関しては他の光学素子(例えば長尺トロイダルレンズ)等と共働して、偏向光束を被走査面上に集光するような結像機能でもよいし、結像ミラーが(単独で)偏向光束を被走査面上に光スポットとして集光させるような結像機能であることもできる。
【0012】
補正反射面は、副走査断面内の形状を「非円弧形状」とすることもでき、この場合における上記「曲率中心」は近軸曲率中心を言う。この場合の「近軸」は、副走査断面内における補正反射面の中心軸の近傍の、ガウス光学が略成り立つ範囲を言う。
「曲率中心線が3次元的な曲線である」とは、曲率中心線が同一平面内にないことを意味する。曲率中心線は「主走査対応方向に直交する対称面を持たず、主走査対応方向に非対称的」である。
即ち、主走査対応方向に直交する平面(前記副走査断面と平行な面)を任意の位置におき、この平面を鏡面として、この平面の片側にある曲率中心線の鏡像を想像したとき、この鏡像は上記平面がどの位置にあっても、平面の他方の側にある曲率中心線と重なりあわない。
請求項1記載の方法により製造される結像ミラーは、偏向光束を被走査面上に光スポットとして集光させる結像機能を持つものとして製造されることができる(請求項2)
【0013】
請求項3記載の走査結像光学系は「回転多面鏡の回転軸に直交する面内において、光源側からの光束を、光走査による書込み領域の中央位置へ向かう偏向光束に対して交わるように上記回転多面鏡に向けて入射させるとともに、上記回転多面鏡による偏向の起点に、主走査方向に長い線像として集光させて偏向させ、偏向光束を被走査面上に光スポットとして集光させて光走査を行う光走査装置の上記回転多面鏡以後の光路上に配備される走査結像光学系であって、以下の如き特徴を有する。
即ち、結像機能を有する結像ミラーを含み、且つ、上記偏向の起点と被走査面位置とを副走査対応方向において、幾何光学的な共役関係とする機能を有し、走査線の曲がりを補正する補正反射面を有する。
この補正反射面は、主走査対応方向にも副走査対応方向にもパワーを持たない反射鏡に、主走査対応方向を軸とする捻りを与え、その反射面の副走査断面内における固有傾きが、光走査装置固有の走査線曲がりを補正するように、上記入射位置ごとに定められ、且つ、主走査対応方向に連続的に変化している。
【0014】
上記請求項3に記載された走査結像光学系は「等角速度的に偏向する偏向光束による光走査を等速化する機能を有する」ことができる(請求項4)。
【0015】
この発明の光走査装置は「回転多面鏡の回転軸に直交する面内において、光源側からの光束を、光走査による書込み領域の中央位置へ向かう偏向光束に対して交わるように上記回転多面鏡に向けて入射させるとともに、上記回転多面鏡による偏向の起点に、主走査方向に長い線像として集光させて偏向させ、偏向光束を被走査面上に光スポットとして集光させて光走査を行う光走査装置」であって、請求項4に記載の走査結像光学系を用いることを特徴とする。
【0016】
請求項1や3に記載の走査結像光学系は上記の如く「光偏向器以後の光路上に配備」される。
【0017】
また、請求項5記載の光走査装置には、上記の如く、走査結像光学系として「等角速度的に偏向する偏向光束による光走査を等速化する機能」を有するものが用いられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、発明の実施の1形態を示す図である
「光源」である半導体レーザ1からの光束は、カップリングレンズ2により以後の光学系にカップリングされる。カップリングされた光束は「平行光束または弱い発散性もしくは弱い集束性の光束」となり、アパーチュア3の開口部を通過することにより光束周辺部を遮断されて所望の「ビーム整形」を受けたのち、副走査対応方向にのみ正のパワーを持つシリンダレンズ5により副走査対応方向に集束し、「光偏向器」である回転多面鏡6の偏向反射面近傍に「主走査対応方向に長い線像」として結像する。
偏向反射面による反射光束は、回転多面鏡6の矢印方向への等速回転に伴い等角速度的に偏向しつつ「走査結像光学系」である結像ミラー7に入射し、反射されると「被走査面」に周面を合致させた光導電性の感光体10の周面に光スポットとして集光し、被走査面(実体的には感光体10)を光走査する。
【0019】
即ち、結像ミラー7は「光偏向器6による偏向光束を単独で被走査面上に光スポットとして集光させる機能」を有するものとして製造されている請求項2)。さらに、結像ミラー7は「等角速度的に偏向する偏向光束による光走査を等速化する機能」を有するとともに、光偏向器6による偏向の起点近傍と被走査面10位置とを「副走査対応方向において、幾何光学的な共役関係とする機能」を有するものとして製造されている。従って、図1の光走査装置は、回転多面鏡6の「面倒れ」を補正する機能を有する。
【0020】
図1に示すX,Y,Z方向は互いに直交し、Y方向が主走査対応方向(被走査面上では主走査方向)、Z方向が副走査対応方向(被走査面上では副走査方向)であり、XZ面に平行な面が「副走査断面」である。半導体レーザ1から回転多面鏡6に至る光路上では、シリンダレンズ5のパワーの無い方向が主走査対応方向、シリンダレンズ5のパワーが作用する方向が副走査対応方向である。
【0021】
即ち、図1の光走査装置は、光源1側からの光束を光偏向器6により偏向させ、走査結像光学系7により被走査面10上に光スポットとして集光させて光走査を行う光走査装置である。この光走査装置はまた、光源からの光束を光偏向器6により等角速度的に偏向させ、等速的な光走査を行う光走査装置でもあり、光源からの光束を回転多面鏡6の偏向反射面近傍に、主走査対応方向に長い線像として結像させるとともに回転多面鏡6により等角速度的に偏向させ、走査結像光学系7により被走査面上に光スポットとして集光させて等速的な光走査を行う光走査装置でもある
【0022】
図2(a)は、図1における回転多面鏡6以後の部分を、図1における「Y方向から見た状態」を説明図的に示している。回転多面鏡6による偏向光束は、回転多面鏡6の回転軸に直交する面内で偏向し、結像ミラー7は、反射光束が回転多面鏡6に「ケラれ」ることなく被走査面に到達するように、ティルト角(軸外し角ともいう):βをXZ面内で与えられている。後述するように、結像ミラー7の反射面は補正反射面である。
図2(b)は、走査線曲がり補正機能をもたない結像ミラー7’を、結像ミラー7の代わりに用いた場合を示している。
【0023】
図1に示したように、回転多面鏡6により偏向される偏向光束29aは、結像ミラー7の反射面位置7aに入射して反射光束30aとなり、被走査面上で位置31aに光スポットとして集光する。被走査面上の位置31aは「光走査による書込み領域の中央位置」である。偏向光束29bは、結像ミラー7の反射面位置7bに入射して反射光束30bとなり、被走査面上で位置31bに光スポットとして集光する。位置31bは上記書込み領域の「書込み開始側端部」である。
【0024】
結像ミラー7’を用いたときに上記位置7a,7bに対応する位置を、図2の(b)に位置7a’,7b’として示す。結像ミラー7’では、ティルト角:βが(図面に直交する)Y方向において「至る所同じ」であるため、位置7a’で反射された光束30a’も、位置7b’で反射された光束30b’も副走査対応方向には略同じ方向に向かう。このため、被走査面10に到達するとき、光スポットの位置は結像ミラー7’における反射位置に応じて副走査方向にずれることになり「走査線曲がり」が発生する。
【0025】
図1の実施の形態において、結像ミラー7にはティルト角:βが与えられるが、結像ミラー7は、主走査対応方向(図1のY方向)における偏向光束の入射位置における、反射面の副走査断面内で「固有傾き:Δβ(Y)」を有し、副走査断面内の傾きは、偏向光束の入射位置に応じて「β+Δβ(Y)」となっている。
固有傾き:Δβ(Y)は、Y座標に応じて変化し「走査線曲がりを補正する」ように定められている。即ち、結像ミラー7の反射面は「補正反射面」である。
【0026】
結像ミラー7への偏向光束の入射位置は、図2(a)に示すように、回転多面鏡6の回転軸に直交する平面(理想的に偏向された偏向光束の主光線の掃引により形成される平面)と結像ミラー反射面との交線である。この交線上における主走査対応方向の座標をY座標で表すと、副走査断面(XZ面)内における結像ミラー7の反射面の傾き:β+Δβ(Y)は、図3に示すように、Y座標に応じて連続的に変化しており、この傾きの変化により「走査線の曲がりを補正できる」ようになっているのである。
【0027】
換言すれば、結像ミラー7の反射面は「補正反射面」として、補正反射面への偏向光束の入射位置における副走査断面内の固有傾き:Δβ(Y)が「光走査装置固有の走査線曲がり(Δβ(Y)≡0とした結像ミラー7’を用いたとすれば発生するであろう設計上の走査線曲がり)を補正するように、入射位置に応じて定められている」のである。
【0028】
このことを別の方法で表現すれば、以下のようになる。
図4では、「結像ミラー7に固定的に設定した座標系:x,y,z」を用いて説明する。この座標系:x,y,zを「固有座標系」と呼ぶことにする。y座標は、結像ミラー7の反射面の「長手方向」の座標であり、z座標は上記反射面の「幅方向」の座標である。x座標はy,z座標に直交する。
座標系:x,y,zを用いると、結像ミラー7の反射面の形状は、fを関数記号として「x=f(y,z)」で決定されることになる。
【0029】
この固有座標系における形状:x=f(y,z)を、光走査装置の空間に固定された座標系に変換したものが、光走査装置内に設定された座標系で表された反射面形状になる。
【0030】
ここでは説明の簡単のため、y方向が主走査対応方向(図1のY方向)と平行であるとする。そうすると「副走査断面」は、xz面に平行である。図4においては、z方向およびx方向は、図1におけるZ,X方向とは合致しない。
【0031】
結像ミラー7は、偏向光束を被走査面上に光スポットとして結像する結像機能を有し、さらにまた、走査の等速性(所謂「fθ特性」)や像面湾曲補正のための機能を有する。従って、結像ミラー7の反射面形状は「光走査装置内での形状」としては、Y方向に関して「等速特性や主走査方向の像面湾曲を良好に補正するような形状」に定められ、副走査断面内における反射面の曲率半径(非円弧形状にあっては前記近軸曲率半径)は「副走査方向の像面湾曲を良好に補正する」ようにY方向に変化している。
図4において、結像ミラー7における固有傾き:Δβ(y)が「至る所で0」であるとしたとき、上記副走査断面内の反射面の曲率中心を連ねた線は、例えば、図4の曲線(破線)20aの如き曲線(xy面内にある)となる。
なお、図4において、結像ミラー7の反射面とxy面との交線部分を、任意の副走査断面内で考えたとき、この交線部分が前述の「副走査断面内における近軸部」である。
【0032】
請求項1記載の発明のように、光走査装置空間の副走査断面内の固有傾き:Δβ(Y)が「光走査装置固有の走査線曲がりを補正するように、入射位置に応じて定められている」と、上記曲率中心を連ねた曲率中心線は、図4に符号20で示すごとき曲線となる。図から明らかなように、曲線20は同一平面内になく「3次元的な曲線」である。図4において、曲線20bは曲線20をzy面に平行な面に投影した「射影」である。
【0033】
ところで、図1の如き実施の形態では、所謂「サグ」の問題がある。即ち、回転多面鏡6は「回転軸が偏向反射面と離れている」ため、回転多面鏡6が回転するにつれ、図5に示すように、光源側からの光束による「線像」の結像位置:Pと偏向反射面6Aとの間にずれが生じる。この「ずれ」を「サグ」と呼び、図5に「ΔX」で示す。このような「サグ:ΔX」があると、結像ミラー7の結像の縦倍率により、光スポットの副走査対応方向における結像位置:P’は、被走査面10に対して、図5のようにΔX’だけずれ、光スポットの副走査方向のスポット径が像高に応じて変動することになる。
これを避けるには、結像ミラー7における副走査断面における曲率半径(結像ミラー7の副走査対応方向の結像パワーを決定する)の変化を、上記「サグ」の影響を考慮して決定すればよい。「サグ:ΔX」は、図6に示すように、回転多面鏡の回転角:±αに応じ、α=30度(このとき、光スポットは、書込み領域の中央位置30a(図1参照)に結像する)の回りに非対称に発生するので、このようなサグの影響を補正するように、副走査断面内における曲率半径を変化させると、曲率半径の変化は、y方向に非対称的な変化となる。その結果、図4に示すように曲率中心線20は主走査対応方向(y方向)に非対称的な曲線になる。
【0034】
図9は、実施の別形態を示す図である。
図1に示した実施の形態との違いは「走査結像光学系が、結像ミラー7’と光路折り曲げミラー8とで構成されている」点、および「走査結像ミラー7’の反射面は補正反射面でなく、光路折り曲げミラー8の反射面が補正反射面である」点である。繁雑を避けるため、混同の虞れがないと思われるものに就いては図1におけると同一の符号を用いた。
【0035】
図示されない光源から、光偏向器である回転多面鏡6に至る部分の光学的構成は、図1の実施の形態と同様で、光源からの光束はカップリングレンズの作用により平行光束または弱い発散性もしくは弱い集束性の光束となり、アパーチュアによる「ビーム整形」を受け、シリンダレンズにより副走査対応方向に集束し、「光偏向器」である回転多面鏡6の偏向反射面近傍に主走査対応方向に長い線像として結像する。
回転多面鏡6により等角速度的に偏向された偏向光束は、結像ミラー7’に反射されると光路折り曲げミラー8により光路を折り曲げられ、被走査面に周面を合致させた感光体10の周面に光スポットとして集光し、被走査面(実体的には感光体10)を光走査する。
【0036】
即ち、結像ミラー7’は、光偏向器6による偏向光束を「単独で被走査面上に光スポットとして集光させる機能」を有する。さらに、結像ミラー7’は「等角速度的に偏向する偏向光束による光走査を等速化する機能」を有するとともに、光偏向器6による偏向の起点近傍と被走査面10位置とを副走査対応方向において「幾何光学的な共役関係とする機能」を有する。図示のように「光走査装置の装置空間に固定した座標」として、互いに直交する「x’,y’,z’方向」を定める。y’方向が「主走査対応方向(被走査面上では主走査方向)」であり、副走査断面は「x’z’面」に平行な面である。
【0037】
図9の光走査装置は、光源側からの光束を光偏向器6により偏向させ、走査結像光学系7’,8により被走査面10上に光スポットとして集光させて光走査を行う光走査装置である。この光走査装置はまた、光源からの光束を光偏向器6により等角速度的に偏向させ、等速的な光走査を行う光走査装置でもあり、光源からの光束を回転多面鏡6の偏向反射面近傍に主走査対応方向に長い線像として結像させるとともに、回転多面鏡6により等角速度的に偏向させ、走査結像光学系7’,8により被走査面上に光スポットとして集光させて等速的な光走査を行う光走査装置でもある。
【0038】
図9に示すように、結像ミラー7’には、ティルト角(軸外し角):βがx’z’面内で与えられている。光路折り曲げミラー8は平面鏡に「長手方向(y’方向)を軸として捻りを与えた形状」で、その反射面は「補正反射面」である。
即ち図9の実施の形態においては、走査結像光学系の一部をなす光路折り曲げミラー8が「主・副走査対応方向ともパワーを持たない反射鏡に、y’方向を軸として捻りを与えたもの」であり、その反射面の「副走査断面内における傾き」が、主走査対応方向に連続的に変化しているのである
【0039】
光路折り曲げミラー8が「単なる平面鏡」であると、結像ミラー7’に走査線曲がりを補正する機能がないので「走査線の曲がり」が発生する。この場合に発生する走査線の曲がりが「光走査装置固有の走査線曲がり」である。
【0040】
光路折り曲げミラー8における、反射面の捻りによる固有傾き:Δβ(y’)は座標:y’の関数であり、上記「光走査装置固有の走査線曲がり」を補正できるように定められている。図10は、上記固有傾き:Δβ(y’)を与えられた光路折り曲げミラー8の反射面の形状を説明図的に示している。
【0041】
図9に示すように、結像ミラー7’の反射面位置7a’,7b’で反射された偏向光束29a’,29b’は、光路折り曲げミラー8への入射位置における光路折り曲げミラー8の反射面の副走査断面内での傾きの違いにより、図10に示すように反射光束30a’,30b’の反射角が異なり、これにより「走査線曲がり」が補正される。
【0042】
【実施例】
以下、具体的な実施例を説明する。実施例1は、図1〜図6に即して説明した実施の形態の実施例であり、実施例2,3は、図9,図10に即して説明した実施の形態の実施例である。なお、実施例1〜3とも、カップリングレンズ2によりカップリングされた光束は「弱い集束性の光束」となる。「光偏向器」として用いられる回転多面鏡6は、偏向反射面数:6、内接円半径:12mm、光源側からの入射光束の主光線と、光スポットが光書込み領域の中央部(図1において位置31a)に集光するときの偏向光束の主光線とがなす角は60度である。また、光走査による書込み幅は、上記「光書込み領域の中央部」を中心として±109mmである。
【0043】
実施例1
図14に実施例1の「光学配置」を示す。図14に示すように、光源側から数えて、第i番目の面(レンズ面、アパーチュア面、偏向反射面、結像ミラーの反射面)の曲率半径(非円弧形状にあっては近軸曲率半径)を、主・副走査対応方向に就きそれぞれ「rmi,rsi(i=1〜7):単位:mm」、第i番目の面と第i+1番目の面との光軸上の面間隔を「d (i=1〜6):単位:mm」、光源からカップリングレンズの入射側レンズ面に至る光軸上の距離を「d(i=0:単位:mm)」、結像ミラー7から被走査面10に至る距離を「d(i=7:単位:mm)」とする。また、光源側から数えて第j番目のレンズの材質の使用波長に対する屈折率をN(j=1,2)で表す。
【0044】
図14において、Y方向は主走査対応方向であり、X’’方向は「光源から結像ミラー7の反射面に至る光路をカップリングレンズ2の光軸に沿って直線的に延長した方向」である。Z’’方向は、X’’方向およびY方向に直交する方向であって、回転多面鏡6の回転軸方向に平行である。
【0045】
結像ミラー7に関しては、前記固有座標系:x,y,z(図4参照)を図14中に示す。結像ミラー7は「補正反射面」として走査線曲がり補正機能を有し、このために固有傾き:Δβ(y)が与えられるのであるが、説明の順序として、まず、結像ミラー7に「走査線曲がり補正機能が与えられていない場合(Δ(y)≡0)」を基準状態とし、この基準状態で走査線曲がりが最小になるように、結像ミラー7を配備したときのティルト角(軸外し角)を「β(単位:度)」、主走査対応方向のシフト量を「η(単位:mm)」とする。この状態で残存する走査線曲がりが「光走査装置固有の走査線曲がり」である。
図14から明らかなように「主走査対応方向であるY方向」と「固有座標系におけるy方向」とは互いに平行であり、シフト量:ηは、結像ミラー7の固有座標系におけるxz面と「X’’Z’’面」とのY方向(y方向でもある)のずれであり、ティルト角:βは固有座標軸:zと座標軸:Z’’とが成す角である。
前記曲率半径は、結像ミラー7に関しては「上記固有座標系におけるxy面およびxz面内における値」である。x方向は、上記y,z方向に直交する方向で、X’’方向から時計回りに角:βだけ傾いた方向である。
【0046】
「補正反射面における副走査断面」は、上記のようにティルト角:β・シフト量:ηを与えられた状態において、図14の「X’’Z’’面に平行な平断面」である。
結像ミラー7の「反射面形状」は以下の如くに特定される。
先ず、固有座標系において「固有傾き:Δβ(y)≡0とした状態」を考え、この状態における「xy面内の形状」と、反射面の「xz面内の曲率(曲率半径の逆数)」とを、主走査対応方向に平行な座標:yの関数として特定し、次いで、この状態において、固有傾き:Δβ(y)を与える。
【0047】
i rmisii η β j Nj
0 12.9325
1 ∞ ∞ 3.0 1 1.7122(Cレンズ)
2 -10.2987 -10.2987 14.46
3 ∞ ∞ 24.60 (アパーチュア)
4 ∞ 29.5 3.0 2 1.5112(CYレンズ)
5 ∞ ∞ 53.2
6 ∞ ∞ 111.0 (偏向反射面)
7 -360.0 -131.0 160.0 0.45 2.5 (結像ミラー)
上において、Cレンズはカップリングレンズ、CYレンズはシリンダレンズである。
【0048】
結像ミラー7の「xy面内の形状」は、非球面形状に関連して知られた周知の式:
x=(y/r)/[1+√{1−(1+K)(y/r)}]
+Ay+By6+Cy8+Dy10+Ey12+Fy14+Gy16+..
において、r,K,A〜Gを与えて形状を特定する。
結像ミラー7の反射面のxy面内の形状:
=−360,K=−0.82982,A= 9.47965E−11,
B= 1.70228E−13,C=−7.81309E−18,
D=−3.27682E−22,E=−3.18515E−25,
F= 2.50390E−29,G= 1.51822E−33 。
【0049】
結像ミラー7の反射面のxz面内における形状は、上記固有座標系の座標:yにおける副走査断面内の曲率:Csn(y)を、式
Csn(y)=(1/r)+Σb・y**n(n=1,2,3,..)で表し、
と係数:bを与えて形状を特定する。なお、y**nはyのn乗を表す。
結像ミラー7の反射面の副走査断面内の曲率:Csn(y):
=−131.0,b1= 7.81955E−09,
2=−6.70610E−8,b3= 2.45171E−11,
4=−5.84477E−13,b5=−3.61511E−15,
6= 1.29274E−16,b7= 6.73126E−19,
8=−3.26120E−20,b9=−5.04102E−23,
10= 2.54690E−24 。
【0050】
Csn(y)の式は奇数次の項を含み、y=0に対して非対称的である。上記において、「E−8」等は「べき乗」であり、例えば「E−8」は、10-8を表し、この数値がその前の数値にかかるのである。
【0051】
結像ミラー7におけるxz面内の固有傾き:Δβ(y)(単位:度)
y Δβ(y)
75.298 0.2200
65.909 0.1682
48.190 0.0900
31.537 0.0388
15.582 0.0097
0.000 0.0000
−15.518 0.0088
−31.280 0.0369
−47.610 0.0869
−64.871 0.1633
−73.980 0.2193
Δβ(y)は、xz面内でx軸方向への傾きを「正」とする。
前述の如く、図14において、副走査断面(光走査装置の装置空間内で、主走査対応方向(Y方向)に直交する平断面)はX’’Z’’面に平行な面であり、この面は結像ミラー7に固定された固有座標系x,y,zではxz面に平行で、座標:Yと座標:yとの間には、y=Y−η、即ち、Y=y+ηの関係があるから、上記固有傾きは、光走査装置空間においては、Δβ(Y)=Δβ(y+η)で特定されることになる。
【0052】
上記のように、結像ミラー7の反射面形状は「固有傾きまで含め」て決定されたから、これを前記ティルト量:βとシフト量:ηとで態位を定めて、光走査装置に組み込むことができる。
【0053】
このようにして実現される光学配置を持つ、実施例1に関する像面湾曲(破線は主走査方向・実線は副走査方向)・走査線曲がり・fθ特性を図7に示す。実施例1に対する比較例として、上記結像ミラーにおいて、固有傾き:Δβ(Y)=0とした場合の像面湾曲・走査線曲がり・fθ特性を図8に示す。比較例では像面湾曲・fθ特性は良好であるが「光走査装置固有の走査線曲がり」として、最大:1.064mmの走査線曲がりが発生している。これに対し、固有傾き:Δβ(Y)により走査線曲がりを補正した実施例1では、像面湾曲・fθ特性の良好性を保ちつつ走査線曲がりを最大:0.001mmに減少させている。
【0054】
実施例2
実施例2は、図9に即して説明した実施の形態の実施例である。
実施例1におけると同様、光源側から数えて第i番目の面(レンズ面、アパーチュア面、偏向反射面、結像ミラーの反射面)の曲率半径(非円弧形状に在っては近軸曲率半径)を、主・副走査対応方向に就きそれぞれ「rmi,rsi(i=1〜8):単位:mm」、第i番目の面と第i+1番目の面との光軸上の面間隔を「di(i=1〜6):単位:mm」、光源からカップリングレンズの入射側レンズ面に至る光軸上の距離を「d0(i=0:単位:mm)」、結像ミラー7’から被走査面10に至る距離を「d7(i=7:単位:mm)」とする。
【0055】
光路折り曲げミラー8の位置は、結像ミラー7’と被走査面との光路長を満足すれば適宜に定めることができる。また、光路折り曲げミラー8のティルト角:β(y’)は、結像ミラー7’から(書込み領域の中央位置に)入射する入射光束に対する副走査断面(図9のxz面に平行な面)内での傾き角である。光源側から数えて第j番目のレンズの材質の使用波長に対する屈折率はNj(j=1,2)で表す。
結像ミラー7’には「光路折り曲げミラー8に走査線曲がり補正機能が与えられていない場合」を基準状態とし、この基準状態で走査線曲がりが最小になるように、ティルト角(軸外し角):β(単位:度)と主走査対応方向のシフト量:η(単位:mm)が与えられており、この場合に発生する走査線曲がりが「光走査装置固有の走査線曲がり」である。
【0056】
結像ミラー7’に関しても、前述の実施例1における結像ミラー7に対するのと同一の固有座標系:x,y,zを想定し、反射面の「xy面内の形状」及び、「xz面内の曲率」のy方向における変化は、実施例1におけると同じく上述の式:
x=(y2/rm)/[1+√{1−(1+K)(y/rm)2}]
+Ay4+By6+Cy8+Dy10+Ey12+Fy14+Gy16+..
および、式:
Csn(y)=(1/rs)+Σbn・y**n(n=1,2,3,...)
を用いて特定する。
【0057】
i rmisii η β j Nj
0 12.9325
1 ∞ ∞ 3.0 1 1.7122(Cレンズ)
2 -10.2987 -10.2987 14.46
3 ∞ ∞ 24.60 (アパーチュア)
4 ∞ 29.5 3.0 2 1.5112(CYレンズ)
5 ∞ ∞ 53.2
6 ∞ ∞ 111.0 (偏向反射面)
7 -360.0 -131.0 160.0 0.45 2.5 (結像ミラー)。
8 ∞ ∞ 45 (折り曲げミラー)。
【0058】
結像ミラー7’の反射面のxy面内の形状
【0059】
m=−360,K=−0.82982,A= 9.47965E−11,
B= 1.70228E−13,C=−7.81309E−18,
D=−3.27682E−22,E=−3.18515E−25,
F= 2.50390E−29,G= 1.51822E−33 。
【0060】
結像ミラー7’の反射面の副走査断面内における曲率:Csn(y)
s=−131.0,b1= 7.81955E−09,
2=−6.70610E−8,b3= 2.45171E−11,
4=−5.84477E−13,b5=−3.61511E−15,
6= 1.29274E−16,b7= 6.73126E−19,
8=−3.26120E−20,b9=−5.04102E−23,
10= 2.54690E−24 。
【0061】
Csn(y)の式は奇数次の項を含み、y=0に対して非対称的である。即ち、実施例2における結像ミラー7’の反射面の形状は、実施例1における結像ミラー7の反射面形状において、Δβ(y)≡0としたものであり、光学配置(偏向反射面からの距離、ティルト角:β、シフト量:η)も実施例1におけると同じである。なお、図9におけるx’,y’,z’方向と、上記x,y,zの関係は、主走査対応方向に平行なy,y’方向につき「y’=y+η」であり、z方向は、z’方向から時計回りに角:βだけ回転させた方向であり、x方向は、x’方向から時計回りに角:βだけ回転させた方向である。
【0062】
光路折り曲げミラー8における反射面の、図9におけるx’z’面内での固有傾き:Δβ(y)(単位:度。主走査対応方向に平行な座標としては、結像ミラー7’の固有座標系における座標:yを用いる)は、以下のように与えられえる。
y Δβ(y)
88.978 −0.3349
78.651 −0.2639
58.425 −0.1479
38.677 −0.0651
19.252 −0.0160
0.000 0.0000
−19.212 −0.0169
−38.517 −0.0667
−58.066 −0.1497
−78.012 −0.2659
−88.170 −0.3366
固有傾き:Δβ(y’)は、x’z’面内でz軸方向への傾きを「負」とする。
光走査装置の装置空間(図9の座標系:x’,y’,z’で表される空間)内での固有傾き:Δβ(y’)は、上記固有座標系での固有傾き:Δβ(y)とシフト量:ηを用いて、Δβ(y’)=Δβ(y+η)で与えられる。
【0063】
上記の如くして光学配置を特定される実施例2に関する、像面湾曲・走査線曲がり・fθ特性を図11に示す。実施例2に対する比較例として、実施例2における光路折り曲げミラー8において、Δβ(y’)≡0とした場合の像面湾曲・走査線曲がり・fθ特性を図12に示す。比較例では、像面湾曲・fθ特性は良好であるが「光走査装置固有の走査線曲がり」として、最大:1.064mmの走査線曲がりが発生している。これに対し、光路折り曲げミラー8の補正反射面の固有傾き:Δβ(Y)により走査線曲がりを補正した実施例2では、fθ特性の良好性を保ちつつ、走査線曲がりを最大:0.001mmに減少している。
【0064】
しかし、実施例2では上記比較例に比して、特に、副走査方向の像面湾曲(実線)が比較例の0.003mmから0.851mmへと劣化している。
図15に示すように、結像ミラー7’により反射されて光路折り曲げミラー8に入射する偏向光束は、偏向角の増大とともに主走査対応方向に斜めに大きく傾いて入射する。この入射方向の傾きのため、副走査対応方向の走査線曲がり補正の作用が主走査方向の像面湾曲に影響するものと考えられる。もっとも、副走査方向の像面湾曲:0.851mmは、劣化したといっても「実用上の光走査に於いては十分に小さ」く、実用上の問題はない。
【0065】
実施例3
上記実施例2における副走査方向の像面湾曲の劣化を補正するために、結像ミラー7’の反射面において、副走査断面内の形状を決定する曲率:
Csn(y)=(1/rs)+Σbn・y**n
のみを以下のように変更した。
【0066】
結像ミラー7’の反射面の副走査断面における曲率:Csn(y)
s=−131.0,b1= 1.69833E−08,
2=−6.32253E−8,b3= 1.41068E−11,
4=−4.58931E−13,b5= 2.38042E−15,
6= 1.76293E−17,b7=−9.10597E−19,
8=−1.10043E−20,b9= 8.97850E−23,
10= 1.31507E−24 。
【0067】
このときの、像面湾曲・走査線曲がり・fθ特性を図13に示す。実施例2に比して、副走査方向の像面湾曲は比較例と同じレベルの0.003mmに改良されている。しかしながら反面、走査線曲がりは、実施例2における0.001mmから0.002mmに劣化している。しかし、劣化したといっても、走査線曲がり最大量:0.002mmは実用上は何ら問題とならない量である。
【0068】
上に説明した実施の形態においては、1面の補正反射面のみで光走査装置固有の走査線曲がりを補正したが、走査結像光学系内に2面あるいはそれ以上の補正反射面を設け、これら複数の補正反射面に走査線曲がり補正効果を分配し、複数の補正反射面により合成的に走査線曲がりが補正されるようにしてもよい。
なお、図6のサグの発生状態は上記各実施例における光学配置によっている。
【0069】
また、図7,8,11,12,13における「Yの値」は、主走査方向の座標ではなく、光スポットの最大像高の値を表していることを付記しておく。
【0070】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば新規な走査結像光学系における結像ミラーの製造方法・走査結像光学系および光走査装置を実現できる。この発明の走査結像光学系は、走査線の曲がりを補正する補正反射面を有し、この補正反射面により光走査装置固有の走査線曲がりを補正でき、「極めて直線性の良い走査線」を実現でき、上記結像ミラーは、このような機能を有するものとして製造される。
また、この発明の光走査装置は、上記走査結像光学系を用いることにより、直線性の良い走査線により極めて良好な光走査を実現できる。
また、請求項1の方法で製造される結像ミラーの補正反射面は、fθ特性等の等速特性や像面湾曲を良好に補正する機能と走査線曲がり補正機能とを独立的に設計できるので、等速特性や像面湾曲を良好に保ちつつ、走査線曲がりを良好に補正できる。
【0071】
また、請求項3記載の発明の走査結像光学系は、主走査対応方向にも副走査対応方向にもパワーを持たない反射鏡に、主走査対応方向を軸とする捻りを与えることにより形成できるので、補正反射面の形状が比較的単純であり、容易且つ安価に補正反射面を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光走査装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】 上記実施の形態における走査線曲がり補正機能を説明するための図である。
【図3】 図1の実施の形態における結像ミラーの反射面における、偏向光束の入射位置における副走査断面内の固有傾き:Δβ(Y)を説明するための図である。
【図4】 図1の実施の形態の結像ミラー7における、副走査断面内の曲率中心を主走査対応方向に連ねた曲率中心線が、3次元的な曲線になることを、結像ミラー7の固有座標系により説明するための図である。
【図5】 図1の実施の形態におけるサグを説明するための図である。
【図6】 図1の実施の形態におけるサグの発生状態を示す図である。
【図7】 実施例1に関する像面湾曲・走査線曲がり・fθ特性を示す図である。
【図8】 実施例1に対する比較例に関する像面湾曲・走査線曲がり・fθ特性を示す図である。
【図9】 発明の実施の別の形態を説明するための図である。
【図10】 図9の実施の形態における光路折り曲げミラー8の反射面の形状を説明するための図である。
【図11】 実施例2に関する像面湾曲・走査線曲がり・fθ特性を示す図である。
【図12】 実施例2に対する比較例に関する像面湾曲・走査線曲がり・fθ特性を示す図である。
【図13】 実施例3に関する像面湾曲・走査線曲がり・fθ特性を示す図である。
【図14】 実施例1に関する光学配置を説明するための図である。
【図15】 実施例2において、比較例よりも像面湾曲が僅かに劣化する理由を説明するための図である。
【符号の説明】
1 光源としての半導体レーザ
2 カップリングレンズ
3 ビーム整形用アパーチュア
5 シリンダレンズ
6 光偏向器としての回転多面鏡
7 結像ミラー
10 感光体

Claims (5)

  1. 回転多面鏡の回転軸に直交する面内において、光源側からの入射光束の主光線の方向と、光走査による書込み領域の中央位置に集光するときの偏向光束の主光線が回転多面鏡から出る方向とが角度をなすように上記光源側からの入射光束を上記回転多面鏡に向けて入射させるとともに、上記回転多面鏡による偏向の起点に、主走査対応方向に長い線像として結像させて偏向させ、偏向光束を被走査面上に光スポットとして集光させて光走査を行う光走査装置の上記回転多面鏡以後の光路上に配備され、上記偏向の起点と被走査面位置とを副走査対応方向において幾何光学的な共役関係とする機能を有する走査結像光学系に含まれて、結像機能を有し、走査線の曲がりを補正する補正反射面を反射面として有する結像ミラーを製造する方法であって、
    上記補正反射面について、主走査対応方向を長手方向、副走査対応方向を幅方向とし、上記結像ミラーに固定して、上記長手方向をy軸方向、幅方向をz軸方向、上記補正反射面の中央部を通り、上記y軸方向およびz軸方向に直交する方向をx軸方向とし、これらx、y、z軸方向を、上記中央部を原点位置とする直角座標系である固有座標系x、y、zとし、
    走査線曲がり補正機能を持たないとした場合の補正反射面形状である基準反射面形状と上記xy面との交線上において、xz面に平行な副走査断面内における上記補正反射面の断面形状のz方向に対する傾き角として定義される固有傾きを、光走査装置固有の走査線曲がりを補正するように、上記y座標に応じて設定することにより、
    上記副走査断面内における曲率中心を主走査対応方向に連ねた曲率中心線が、3次元的な曲線となり、且つ、上記曲率中心線が、主走査対応方向に直交する対称面を持たず、主走査対応方向に非対称的である補正反射面形状をなすように製造することを特徴とする走査結像光学系における結像ミラーの製造方法
  2. 請求項1記載の走査結像光学系における結像ミラーの製造方法において、
    結像ミラーは、偏向光束を被走査面上に光スポットとして集光させる結像機能を持つものとして製造されることを特徴とする走査結像光学系における結像ミラーの製造方法
  3. 回転多面鏡の回転軸に直交する面内において、光源側からの光束を、光走査による書込み領域の中央位置へ向かう偏向光束に対して交わるように上記回転多面鏡に向けて入射させるとともに、上記回転多面鏡による偏向の起点に、主走査方向に長い線像として集光させて偏向させ、偏向光束を被走査面上に光スポットとして集光させて光走査を行う光走査装置の上記回転多面鏡以後の光路上に配備される走査結像光学系であって、
    結像機能を有する結像ミラーを含み、且つ、上記偏向の起点と被走査面位置とを副走査対応方向において、幾何光学的な共役関係とする機能を有し、
    走査線の曲がりを補正する補正反射面を有し、
    この補正反射面が、主走査対応方向にも副走査対応方向にもパワーを持たない反射鏡に、主走査対応方向を軸とする捻りを与え、その反射面の副走査断面内における固有傾きが、光走査装置固有の走査線曲がりを補正するように、上記入射位置ごとに定められ、且つ、主走査対応方向に連続的に変化しているものであることを特徴とする走査結像光学系。
  4. 請求項3記載の走査結像光学系において、
    等角速度的に偏向する偏向光束による光走査を等速化する機能を有することを特徴とする走査結像光学系。
  5. 回転多面鏡の回転軸に直交する面内において、光源側からの光束を、光走査による書込 み領域の中央位置へ向かう偏向光束に対して交わるように上記回転多面鏡に向けて入射させるとともに、上記回転多面鏡による偏向の起点に、主走査方向に長い線像として集光させて偏向させ、偏向光束を被走査面上に光スポットとして集光させて光走査を行う光走査装置であって、
    請求項4に記載の走査結像光学系を用いることを特徴とする光走査装置。
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