JP4098213B2 - 足場用建枠 - Google Patents

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Description

本発明は、建築現場等に使用する足場用建枠に関する。
建築現場等で用いられる枠組足場は、通常、横桟と縦柱から構成される鳥居形状やH形状の建枠を複数個組み立てることによって形成される。
建枠の複数個を所定の間隔で建物とは直角に立設し、建枠に筋違(すじかい)を取り付け固定して複数個の建枠を自立させた後、手摺枠を取り付け固定し、さらに建枠の横桟の上に足場板(布板)を架け渡すことで、1単位の足場を形成する。次に、既に立設した建枠の上に、別途用意された建枠を載置し、この建枠にも別途用意された筋違と手摺枠を取り付け固定した後、新たに形成された自立した建枠の横桟の上に別途用意した足場板を架け渡すことによって一つ上の段の足場を形成する。建枠の上に別の建枠を載置するには、通常、建枠を構成する縦柱の上に、別の建枠の縦柱を継ぎ足すようにして載置する。これを順次繰り返すことによって、全体の枠組み足場を形成する。
建枠には筋違及び手摺枠を取り付けるためのロック金具の複数がその縦柱に設けられている。枠組足場を下から組み上げる場合、順次、建枠の縦柱に設けられたロック金具に筋違及び手摺枠を取り付けられて、1単位の足場ごとに、建枠に筋違及び手摺枠が固定される。
逆の作業で、枠組足場を順次上から解体する際にも、最上段の足場の建枠の縦柱にロック金具によって固定された筋違及び手摺枠のロックを外して、筋違及び手摺枠を最上段の建枠から取り外してから、最上段の建枠を取り外すことになる。そして、同様に、一つ下の足場についても、順次、1単位の足場ごとに、建枠に固定された筋違及び手摺枠のロックを外して、取り付けられた筋違及び手摺枠を建枠から取り外していくことになる。
建枠の例としては、鳥居型建枠とH枠が代表的である。以下に、それぞれ、建枠を1段当たり3個用いたときを想定して、足場を組み立てる手順を説明する。
鳥居型建枠は上部に横桟を有する鳥居形状の建枠であり、この鳥居型建枠を用いて、枠組足場を形成する一例を図12に示す。(a)が正面図、(b)が右側面図である。地面の上に敷板90を敷いて、1段目の鳥居型建枠31の3個を建物とは直角に等間隔に立設し、建物側に筋違8を建枠の建物側の縦柱51に設置された2つのロック金具11に取り付けて固定することによって、1段目の鳥居型建枠31が自立する。そして道路側に手摺枠(図示せず)を建枠の道路側の縦柱52に設置された2つのロック金具12に取り付けて固定した後、1段目の鳥居型建枠31の上部横桟6の上に1段目の足場板91を架け渡して1段目の足場を形成する。次に、別途に3個の鳥居型建枠を用意し、既に立設した1段目の鳥居型建枠の縦柱51,52の上に、新たに2段目の鳥居型建枠32の縦柱51,52を載置したのち固定し、建物側に筋違8を建枠の建物側の縦柱51に設置された2つのロック金具11に取り付けて固定することによって、2段目の鳥居型建枠32が自立する。そして道路側に手摺枠(図示せず)を建枠の道路側の縦柱52に設置された2つのロック金具12に取り付けて固定した後、この2段目の鳥居型建枠32の上部横桟6の上に2段目の足場板92を架け渡して2段目の足場を形成する。
H枠は中間部に横桟を有するH型形状の建枠であり、このH枠を用いて、枠組足場を形成する一例を図13に示す。(a)が正面図、(b)が背面図、そして(c)が右側面図である。地面の上に敷板90を敷いて、3個の最下段の建枠40を建物とは直角に等間隔に立設するが、この場合の最下段の建枠40は、H枠ではなく、H枠の半分の高さの建枠を用いる。建物側にH枠の半分の高さの筋違兼手摺枠81を建枠の建物側の縦柱51に設置された2つのロック金具11に取り付けて固定することによって、最下段の建枠40を自立させる。そして道路側にH枠の半分の高さの手摺枠82を建枠の道路側の縦柱52に設置された2つのロック金具12に取り付けて固定して後、最下段の建枠40の下部横桟10の上に1段目の足場板91を架け渡して最下段の足場を形成する。
次に、3個のH枠41を用意し、既に立設した最下段の建枠(H枠の半分の高さの建枠)40の縦柱51,52の上に、H枠41の縦柱51,52を載置したのち固定して、1段目のH枠41を立設する。建物側にH枠の半分の高さの筋違兼手摺枠81をH枠の建物側の縦柱51の上半分に設置された2つのロック金具11に取り付けて固定することによって、1段目のH枠41を自立させる。そして道路側にはH枠の半分の高さの手摺枠82をH枠41の道路側の縦柱52の下半分に設置された2つのロック金具12に取り付け、さらに、道路側にはH枠の半分の高さの手摺枠82をH枠41の道路側の縦柱52の上半分に設置された2つのロック金具12に取り付ける。そして、1段目のH枠41の中間部横桟7の上に2段目の足場板92を架け渡して2段目の足場を形成する。
次に、別途に3個のH枠42を用意し、既に立設した1段目のH枠41の縦柱の上に、新たなH枠42の縦柱51,52を載置したのち固定して、2段目のH枠42を立設する。建物側にH枠の半分の高さの筋違兼手摺枠81をH枠の建物側の縦柱51の上半分に設置された2つのロック金具11に取り付けて固定することによって、2段目のH枠42を自立させる。そして道路側にはH枠の半分の高さの手摺枠82をH枠42の道路側の縦柱52の下半分に設置された2つのロック金具12に取り付け、さらに、道路側にはH枠の半分の高さの手摺枠82をH枠42の道路側の縦柱52の上半分に設置された2つのロック金具12に取り付ける。そして、2段目のH枠42の中間部横桟7の上に3段目の足場板93を架け渡して3段目の足場を形成する。
このように、建枠には建物側に筋違又は手摺枠が、道路側に手摺枠が、それぞれ取り付けられ、固定される。
筋違の先端は孔(取付孔)が開いており、その取付孔が建枠のロック金具に嵌め込まれてから、ロック金具の爪金具を作動させて固定される。また、手摺枠には、その枠の上段と下段に、先端に孔(取付孔)の開いた固定用金具が複数取り付けられ、その取付孔が建枠のロック金具に嵌め込まれてから、ロック金具の爪金具を作動させて固定される。なお、ロック金具には、先端に取付孔が開いた筋違又は手摺枠の固定用金具を少なくとも2枚嵌め込むことができるだけの長さを有する。
ロック金具の爪金具の作動は、手動で行われるものもあれば、自動的に行われるものもある。自動的に行われるものとしては、バネ式や重力落下式のものがある。図14に、ロック金具1に組み込まれた爪金具13の例を示す。(a)がバネ式、(b)が重力落下式である。バネ式の爪金具13には、バネ17が内蔵されている。いずれも、取付孔を差し込むと爪金具13が作動する。すなわち、爪金具13が矢印方向に移動してロックされる。
図15にロック金具1に組み込まれたバネ式の爪金具13が作動する状態を示す。(a)がロック金具1の側面図、(b)が正面図である。ロック金具1に筋違又は手摺枠の取付孔14を差し込むと、外側に出ている爪金具13がロック金具1の内部に収納された後、内蔵されたバネの力で外側に出てくる。これが、爪金具13が作動した状態であり、外力によって爪金具13をロック金具1の内部に収納しないかぎり、取付孔14に矢印方向に力がかかっても取付孔14はロック金具1から外れないので、筋違又は手摺枠は建枠に固定されたままとなる。
このロック金具は、1つの建枠に複数個設けられている。1つの建枠に必要なロック金具の個数は、隣り合う2つの建枠の間に設ける筋違や手摺枠の形状と個数によって異なる。
図16に、種々の筋違や手摺枠の例を挙げる。(a)は隣り合う建枠の間にX状の筋違をに取り付けた例である。(b)は隣り合う建枠の間に三角形状の筋違兼手摺枠を1個取り付けた例である。(c)は隣り合う建枠の間に1本の斜材からなる筋違を取り付けた例である。そして、(d)は隣り合う建枠の間に手摺枠を1個取り付けた例である。いずれも、筋違又は手摺枠を建枠の縦柱に設けられたロック金具に嵌め込むための取付孔14を複数個有している。
建枠の建物側の縦柱のロック金具は、上述の鳥居型建枠(図12)の例では、筋違は隣り合う建枠の間に2本交叉状に取り付けられる(図16(a)参照)ので、1つの建枠の建物側にロック金具は2個必要である。そして、上述のH枠(図13)の例では、三角形状の筋違兼手摺枠(図16(b)参照)が隣り合う建枠の間に1個設けられるので、1つの建枠の建物側に2個又は1個が必要である。なお、筋違を隣り合う建枠の間に1本だけ設ける(図16(c)参照)こともあり、この場合は、1つの建枠の建物側に1個あればよい。
また、建枠の道路側の縦柱のロック金具は、上述のH枠(図13)の例では、外周が矩形状の手摺枠(図16(d)参照)が隣り合う建枠の間に上下2個が設けられるので、1つの建枠の道路側に4個必要である。
しかしながら、一般に、建枠は建物側と道路側とは区別せずに用いられるので、ロック金具の個数は、建物側と道路側では同数としている。図12に例示した鳥居型建枠の場合は縦柱のそれぞれに2個設けており、図13で例示したH枠の場合は縦柱のそれぞれに4個設けている。
このような足場用建枠に筋違や手摺枠を取り付けるための、筋違や手摺枠の取付孔に嵌め込ませることができる建枠のロック金具については、技術の改良がなされていない。このため、このような建枠のロック金具についての文献は見あたらない。特許文献1には、建枠に手摺枠を嵌め込ませた後に、手摺枠を遊びがないように固定するためのクランプ金具などのロック機構についての改良技術が記載されているが、建枠に手摺枠を取り付ける際のロック金具は記載されていない。
特開平6−307072号公報
このように、足場用建枠に筋違や手摺枠を取り付けるための、筋違や手摺枠の取付孔に嵌め込ませる建枠のロック金具については、ロック金具の爪金具が作動すれば、外力によって爪金具を内側に動かさないかぎり、筋違又は手摺枠が建枠から外れることはない。しかも、ロック金具の爪具を作動するために、爪具に作業員の手が直接触れる必要はなく、筋違又は手摺枠を建枠に取り付ける際に筋違又は手摺枠の取付孔が爪具に触れるだけで爪具が作動する。したがって、足場を組み立てるときは、建枠の縦柱に設置したロック金具の爪金具に筋違又は手摺枠の取付孔を嵌め込ませることによって、ロック金具の爪金具が作動するように、筋違又は手摺枠を取り付けていけばよい。
しかしながら、逆の作業で、足場を順次上から解体するときは、建枠の縦柱からロック金具の爪金具を順次解除する必要があるが、建枠の縦柱からロック金具の爪金具を解除するためには、外力によって爪金具を内側に動かした状態で、筋違又は手摺枠の取付孔をロック金具から取り外すという手間を必要とする。しかも、固定される取付孔の数だけの作業を行う必要があるので、1個の建枠に対して、前述の鳥居型建枠を用いた例(図12参照)で4回、H枠を用いた例(図13)の場合で6回の、取り外す作業が必要となる。
また、建枠としてH枠を用いて足場を組み立てる場合の利点は、自動的に作動するロック金具を設置しておけば、下の段のH枠の足場板の上にいても、上の段のH枠の縦柱のロック金具に筋違又は手摺枠を取り付けることができることにある。
図17は、高さ1.8mのH枠を用いて足場を組み立てる場合の作業図を示す。(a)は全体図、(b)は作業者の頭上近傍の拡大図である。作業者15は建物側の筋違兼手摺枠81を既に取り付け終えて、今は道路側の手摺枠82を取り付けようとしている。H枠の縦柱に自動的に作動するロック金具21が設置されているので、作業者15は下の段のH枠の足場板の上にいたままで、高さ2.0mに設置されたロック金具21だけでなく、高さ2.6mに設置されたロック金具22にも、建物側の筋違兼手摺枠81と道路側の手摺枠82を取り付けることができる。このように、下の段のH枠の足場板の上にいたままで、上の段のH枠の縦柱のロック金具に筋違又は手摺枠を取り付けることができるので、上の段に上った際に既に建物側と道路側の両側に筋違と手摺枠の両方が取り付けられた状態となっており、上の段での作業を安全に行うことができるという特徴を有する。
しかしながら、逆の作業で、足場を解体する場合は、作業者が上の段にある道路側の手摺枠82と建物側の筋違兼手摺枠81を下段から取り外すとき、高さ2.0mに設置されたロック金具21の爪金具13は手で解除できる高さにあるが、高さ2.6mに設置されたロック金具22には手が届かない。したがって、高さ2.6mに設置されたロック金具22の爪金具13を解除するためには、専用解体治具が必要となる。
図18は、高さ1.8mのH枠を用いて組み立てられた足場を解体する場合の作業図を示す。(a)は作業者の頭上近傍の拡大図である。作業者15は、道路側の手摺枠82を取り外そうとしている。高さ2.0mに設置されたロック金具21の爪金具13は手で解除できたが、高さ2.6mに設置されたロック金具22には手が届かないので、専用解体治具16を用いて、高さ2.6mに設置されたロック金具22の爪金具13を解除作業をしている。作業者15が、(b)に示すようにロック金具22に専用解体金具16を差し込み、そして、(c)に示すように専用解体金具16を回転させることによって、爪金具13が解除される。
このように、組み立てられた足場を解体する場合には、専用の解体治具が必要となるだけでなく、片手で専用解体治具を操作しながら、残る片手で手摺枠を支えるという作業が必要となり、作業者がバランスを崩して、作業者が足場から転落する恐れがあった。
したがって、足場を順次上から解体する場合、筋違又は手摺枠を取り外す際の、建枠の縦柱に設けられたロック金具の爪金具を順次解除する手間を減らす必要がある。また、専用の解体治具を不要とすることによって作業者の安全を守ることが求められる。
本発明者らは、筋違又は手摺枠を取り外す際の、建枠の縦柱に設けられたロック金具の形状を種々に検討した結果、次の(1)〜(7)の知見を得た。
(1)建枠に取り付ける1つの筋違は、例えば、図16(a)〜(c)にみるごとく、隣り合う建枠の縦柱の建物側の2個又は3個のロック金具によって固定されている。また、建枠の道路側に取り付ける1つの手摺枠(筋違としての機能も有することから建物側に取り付けることもできる。このときは、筋違兼手摺枠となる。)は、例えば、図16(d)にみるごとく、隣り合う建枠の縦柱の建物側又は道路側の4個のロック金具によって固定されている。このように、1個の筋違又は手摺枠は、筋違又は手摺枠の形状はどうであれ、必ず建枠の縦柱に設けられた複数のロック金具によって固定されている。
(2)したがって、ロック金具による筋違又は手摺枠の固定機能を1個のロック金具だけで発揮させる必要はなく、2個あるいは3個以上のロック金具の組合せによって、筋違又は手摺枠の固定機能を発揮させることができる。
(3)すなわち、1つの筋違又は手摺枠に設けられた複数の取付孔のうち少なくとも1つに嵌め込むロック金具は、その爪金具を作動させることによって固定する方式の可動型ロック金具である必要はなく、固定型ロック金具の形状を工夫すれば、爪金具を有しない固定型ロック金具であっても構わない。固定型ロック金具は、それ自体が爪金具のようなロック作動機能を有しなくても、可動型ロック金具と組み合わせて使うことによって、可動型ロック金具の爪金具の作動によって連動して固定型ロック金具が固定される形状であればよい。
(4)1つの手摺枠を2つのH枠の間に取り付ける場合を考えてみると、1つの手摺枠には取付孔が4個設けられているので、H枠の縦柱にはそれぞれ、上下2個のロック金具が必要である。このとき、作業員の手が届かない上部ロック金具を固定型ロック金具とし、作業員の手が届く下部ロック金具を可動型ロック金具とすることによって、手摺枠の取付孔は4個ともH枠の縦柱に固定することができる。
(5)したがって、足場を組み立てる際には、まず上部の固定型ロック金具に手摺枠の上部2個の取付孔を嵌めあわせた後、下部の可動型ロック金具に手摺枠の下部2個の取付孔を嵌めあわせて、爪金具を作動させることによって、手摺枠を固定する。下部の可動型ロック金具の爪金具を解除しない限り、固定型ロック金具もふくめて、4個の取付孔はロック金具から外れることなく、手摺枠はH枠に固定されたままとなる。
(6)逆に、足場を順次上から解体する場合、まず作業員の手の届く下部の可動型ロック金具の爪金具を解除した後、1つの手摺枠全体を一定方向にスライドし、所定の角度に傾ければ、手摺枠の上部の取付孔が建枠の上部の固定型ロック金具から外れるので、1つの手摺枠全体を建枠から外すことができる。
(7)以上は、手摺枠をH枠に取り付ける場合であるが、H枠の代わりに鳥居型建枠に取り付ける場合も同様である。また、手摺枠の代わりに筋違又は筋違兼手摺枠を使用する場合も同様である。1つの建枠の縦柱に設けられる固定型ロック金具と可動型ロック金具の配置は、隣り合う上下で対をなせばよい。
本発明にかかる建枠は、これらの知見に基づいて完成したものであり、次に記載する通りである。
「手摺枠又は筋違の取付孔に嵌め合わせることができるロック金具を複数個設けてなる足場用建枠であって、建枠を構成する縦柱に対をなして設置されるロック金具の一方が可動型ロック金具であり、他方が金具の途中で角度θ=20゜〜30゜の上向きの角度変位点を有する固定型ロック金具であることを特徴とする建枠。」
ここで、固定型ロック金具は金具の途中で段差を有していてもよい。
そして、建枠としては、上部横桟と2本の縦柱を有する鳥居型建枠と、中間部横桟と2本の縦柱を有するH枠が代表的であるが、特に建枠の形状にはこだわらないので、他の形状の建枠であっても何ら差し支えない。
また、ロック金具の縦柱一本当たりの個数としては、2個以上設置されていればよく、奇数であっても構わない。1つの建枠の縦柱に必要なロック金具の個数は、隣り合う2つの建枠の間に設ける筋違や手摺枠の形状と個数によって異なるし、建物側と道路側でも異なるので、一概には決められない。そして、一般に、建枠は建物側と道路側とは区別せずに用いられるので、通常は、ロック金具の縦柱一本当たりの個数は偶数個設置するのが好ましい。特に好ましくは、鳥居型建枠の場合は4個、H枠の場合は8個である。
本発明によれば、固定型ロック金具と可動型ロック金具を建枠の縦柱に対をなして配置することによって、手摺枠を取り外す際のロック金具の解除の手間は半減する。また、専用の解体治具の操作も不要となるので、作業者の安全を守ることが可能となる。
本発明に係る建枠の一例を、図面を用いて説明する。
図1は、建枠としてH枠を用いる場合の建物側の縦柱51と道路側の縦柱52に設けられた、固定ロック金具23と可動ロック金具24の配置を示す。(a)はH枠の上半分を示す図であり、(b)上部ロック金具23の拡大図、(c)は下部の可動ロック金具24の拡大図である。ロック金具は、上部の固定ロック金具23と下部の可動ロック金具24が、対になって設置されている。ここで、上部の固定ロック金具23は金具の途中で上向きの角度変位点と段差25を有し、下部の可動ロック金具24には爪金具13が組み込まれている。このH枠と隣のH枠との間には、建物側の縦柱51に筋違8が既に取り付けられて、この段のH枠は自立している。
図2において、このH枠と隣のH枠との間の道路側に、取付孔14が開けられた固定用金具20が4個設けられている手摺枠9を1つ取り付ける場合、手摺枠の上部の2個の取付孔14がH枠の縦柱に設けられた上部の固定ロック金具23嵌められた後、手摺枠の下部の2個の取付孔がH枠の縦柱に設けられた下部の可動ロック金具24に嵌められて、下部の可動ロック金具の爪金具13を作動することによって、手摺枠全体が2つの隣り合ったH枠に固定される。
図3は、上部固定ロック金具23と下部の可動ロック金具24が、それぞれ、手摺枠の固定金具20に開けられた取付孔14に嵌めあわせた状態のロック金具近傍の模式図である。(a)が上部固定ロック金具23、(b)が下部の可動ロック金具24である。上部の固定ロック金具23嵌めあわされた取付孔14は、固定ロック金具の途中で上向きの角度変位点と段差25に当たるので、矢印の方向に力がかかっても外れない。そして、下部の可動ロック金具に嵌めあわされた取付孔14は作動した爪金具13に当たるので、矢印の方向に力がかかっても外れない。このように、固定ロック金具と可動ロック金具を対として設置すれば、両方を可動ロックにしなくても、手摺枠を建枠に固定することができる。
逆に、足場を解体する場合、まず下部の可動型ロック金具24の爪金具13を解除した後、手摺枠全体を作業者側に引き出せば、手摺枠の上部の固定金具20に開けられた取付孔14が建枠の縦柱に設けられた上部の固定型ロック金具23から外れるので、1つの手摺枠全体を建枠から外すことができる。なお、固定型ロック金具の形状によっては、下部の可動型ロック金具24の爪金具13を解除した後、手摺枠の下部を作業者側に引き出した後、手摺枠全体を特定の角度で上方向に持ち上げるか、又は一旦スライドした後手摺枠全体を特定の角度で上方向に持ち上げれることが必要となる場合もある。このように、上部固定型ロック金具23から手摺枠を外す方法は、固定型ロック金具の形状に依存する。
次に、上部の固定型ロック金具から手摺枠を外す方法の一例を示す。図4は、下部の可動ロック金具24の爪金具13が解除されて、下部の可動ロック金具24から手摺枠の下部の固定金具20に開けられた取付孔14が外れた状態で、上部固定ロック金具23から手摺枠の上部の固定金具20に開けられた取付孔14を外す際のロック金具近傍の模式図である。(a)が上部固定ロック金具23、(b)が下部の可動ロック金具24である。ここでは、上部固定ロック金具23は、その途中で角度θで上向きの角度変位点を有しかつ角度変位点の付近に段差25を有している。また先端部26の外径は根本部27の外径よりも小さくしている。このような金具の途中で上向きの角度変位点と段差25と先端部26を有する固定ロック金具23の場合は、まず下部の可動型ロック金具24の爪金具13を解除した後、手摺枠の下方を作業者側に引き出した後、手摺枠全体を一旦上方にスライドし、その後、手摺枠の上部の固定金具20に開けられた取付孔14が上部のロック金具の先端をすり抜けるように手摺枠上部を角度θで上方向に持ち上ることによって、手摺枠全体を建枠から外すことができる。
本発明に係る固定ロック金具23の形状の他の例として、図6(a)金具の途中に上向きの角度変位点28を有する固定型ロック金具23示す。これらの形状は、足場に使用される建枠の種類、筋違又は手摺枠の形状と個数、筋違又は手摺枠に要求される安全性の大小などによって、異なってくる。
したがって、本発明に係る固定型ロック金具23の形状としては、(1)固定ロック金具途中に上向きの角度変位点を有するもの(図6(a)参照)、又は、(2)固定ロック金具途中に上向きの角度変位点を有しかつ段差を有するもの(図4(a)参照)である。
なお、ロック金具を複数個設けてなる足場用建枠の参考例としては、図5、図7及び図8に示すものが考えられる。すなわち、図5(a)にストレートタイプの固定型ロック金具23を、図7に段差25を途中に有する固定型ロック金具23を、そして、図8に先端部26の外径を根本部27よりも大きくした固定型ロック金具23を、それぞれ示すが、これらはいずれも参考例であって、本発明例ではない。
以下、本発明に係る固定型ロック金具のそれぞれの形状について、詳述する。
(1)固定ロック金具途中に上向きの角度変位点があることについて
図5の(a)に参考例としてストレートタイプの固定型ロック金具を、(b)に可動型ロック金具を、それぞれ示す。上部固定型ロック金具23と下部の可動型ロック金具24の距離は一定であって、可動型ロック金具24の爪金具13が作動しているため、可動型ロック金具24に嵌め込まれた取付孔14は固定されている。したがって固定型ロック金具23がこのようなストレートタイプの場合であっても、固定型ロック金具23嵌め込まれた取付孔14は、固定型ロック金具23上を一定距離を水平移動するものの固定型ロック金具から外れることはない。しかしながら、固定型ロック金具23上を筋違又は手摺枠の上部の取付孔14が水平移動する分だけ、手摺枠の上部は揺れやすい。したがって、筋違又は手摺枠の上部の揺れを少なくするためには、固定ロック金具途中に角度θの上向きの角度変位点を設ける。図6の(a)に上向きの角度変位点28を有する固定型ロック金具23を、(b)に可動型ロック金具を、それぞれ示す。
このときの上向きの角度θは、20゜〜30゜とする。上向きの角度が小さすぎるとストレートタイプの固定型ロック金具と同様の現象が起きるし、大きすぎると筋違又は手摺枠を取り付けるときと取り外すときに、その移動距離が多くなり手間がかかる。
なお、固定ロック金具先端は上側を向いているのが、好ましい。固定ロック金具先端が上側を向いていれば、筋違又は手摺枠に衝撃が加わっても、筋違又は手摺枠が抜け落ちないからである。
(2) 固定ロック金具途中に上向きの角度変位点を有しかつ段差を有するものあることについて
固定ロック金具途中に上向きの角度θの変位点があれば、筋違又は手摺枠の上部の揺れを少なくすることができる。しかしながら、固定ロック金具途中に上向きの角度変位点があるだけでは、筋違又は手摺枠の上部を建枠の内側方向に強い力で引っ張った場合に固定型ロック金具の変形が起こる可能性がある。図9の(a)途中に上向きの角度変位点28がある固定ロック金具23である。(b)は(a)の固定ロック金具23取付孔14を嵌め込んだ状態である。このとき、矢印方向に強い力がかかると、固定ロック金具斜辺部分が押されるので、固定ロック金具23根本部27に又は固定ロック金具途中に弾性又は塑性変形がおこって、筋違又は手摺枠が外れる可能性がある。(c)は途中に上向きの角度変位点を有した上でさらに段差25を有する固定型ロック金具23である。この場合は、矢印方向に強い力がかかっても、取付孔14は段差25に引っ掛かり、曲げ荷重ではなく引張荷重が固定型ロック金具かかるので、固定ロック金具23変形が生じにくくなるので、筋違又は手摺枠が外れる可能性は小さくなる。
また、固定型ロック金具段差を途中に有しているだけでは、前述の通り、その段差の大きさによっては嵌め込まれた取付孔がその段差を乗り越えてしまう可能性があるし、固定型ロック金具としての強度が落ちる可能性がある。しかしながら、このような途中上向きの角度変位点を有した上でさらに段差25を有する固定型ロック金具23では、段差をそれ程大きくしなくても嵌め込まれた取付孔がその段差を乗り越えてしまう可能性は小さく、その分固定型ロック金具の強度を落とさずにすますことができる。
このように、ロック金具を可動型ロック金具と固定型ロック金具の対にすることにより、ロック金具を解除する動作が減る。また、専用解体治具を使用しなくても、筋違又は手摺枠取り外せる事が可能となる。
図10は、可動型ロック金具23と固定型ロック金具24が設けられている、高さ1.8mのH枠を用いて組み立てられた足場を解体する場合の作業図を示す。作業者15は、道路側に取り付けられていた手摺枠9を取り外そうとしている。高さ2.0mに設置されたロック金具24の爪金具を手で解除した後、手摺枠9を矢印方向に移動させるだけで、手摺枠9を高さ2.6mに設置されたロック金具23からも簡単に取り外すことができる。このように、専用解体治具が不要となるため、作業者は片手だけでも又は両手を使っても自在に組み立てられた足場を解体できる。したがって、筋違又は手摺枠を取り外す際に作業者がバランスを崩して足場から転落するおそれが少なくなる。
最後に、筋違の取付孔又は手摺枠の固定用金具に設けられた取付孔の形状を図11に例示する。(a)は円形、(b)は楕円形、(c)はだるま形である。固定型ロック金具と可動型ロック金具の両方に嵌め込むことのできる形状であれば、取付孔14の形状は特に制約はないが、(a)〜(c)のようにRのついた形状が好ましい
本発明によれば、金具の途中で上向きの角度変位点を有する固定型ロック金具と可動型ロック金具を建枠の縦柱に対をなして配置することによって、建築現場等に使用する足場用建枠から手摺枠を取り外す際のロック金具の解除の手間は半減する。また、専用の解体治具の操作も不要となるので、作業者の転落等の危険がなくなり、作業者の安全を守ることが可能となる。
建枠としてH枠を用いる場合の縦柱に設けられたロック金具の配置を示す。(a)は全体図、(b)は金具の途中で上向きの角度変位点を有する固定型ロック金具、(c)は可動型ロック金具である。 1つの手摺枠が2つの隣り合ったH枠に固定された状態を示す。 上部固定ロック金具と下部の可動ロック金具を、それぞれ、手摺枠の取付孔に嵌めあわせた状態のロック金具近傍の模式図である。(a)は金具の途中で上向きの角度変位点を有する固定型ロック金具、(b)は可動型ロック金具である。 下部の可動ロック金具から手摺枠の下部の取付孔14が外れた状態で上部の固定ロック金具から手摺枠の上部の取付孔14を外す際のロック金具近傍の模式図である。(a)は金具の途中で上向きの角度変位点を有する固定型ロック金具、(b)は可動型ロック金具である。 (a)に参考例としてストレートタイプの固定型ロック金具を、(b)に可動型ロック金具を、それぞれ示す。 (a)に金具の途中で上向きの角度変位点を有する固定型ロック金具を、(b)に可動型ロック金具を、それぞれ示す。 (a)に参考例にかかる段差を途中に有する固定型ロック金具の側面図を示す。(b)がそのA断面図、(c)がそのB断面図である。 参考例として、先端部の外径を根本部よりも大きくし固定型ロック金具を示す。(a)は固定ロック金具の正面図であり、(b)は側面図である。 (a)は金具の途中で上向きの角度変位点を有する固定ロック金具であり、(b)は(a)の固定ロック金具を手摺枠又は筋違の取付孔に嵌め合わせてなる状態を示す。(c)は金具の途中に上向きの角度変位点を有した上でさらに段差を有してなる本発明に係る固定型ロック金具である。 可動型ロック金具と本発明に係る固定型ロック金具が設けられているH枠を用いて組み立てられた足場を解体する場合の作業図を示す。 筋違の取付孔又は手摺枠の固定用金具に設けられた取付孔の形状の例示である。(a)は円形、(b)は楕円形、(c)はだるま形である。 鳥居型建枠を用いて枠組足場を形成する一例を示す。(a)が正面図、(b)が右側面図である。 H枠を用いて枠組足場を形成する一例を示す。(a)が正面図、(b)が背面図、そして(c)が右側面図である。 可動型ロック金具に組み込まれた爪金具の例を示す。(a)がバネ式、(b)が重力落下式である。 可動型ロック金具に組み込まれたバネ式の爪金具が作動する状態を示す。(a)が側面図、(b)が正面図である。 種々の筋違や手摺枠を隣り合う建枠の間に取り付けた例を示す。(a)は筋違を2本交叉状に取り付けた例である。(b)は三角形状の筋違兼手摺枠を1個取り付けた例である。(c)は筋違を1本だけ取り付けた例である。(d)は手摺枠を1個取り付けた例である。 H枠を用いて足場を組み立てる場合の作業図を示す。(a)は全体図、(b)は作業者の頭上近傍の拡大図である。 H枠を用いて組み立てられた足場を解体する場合の作業図を示す。(a)は作業者の頭上近傍の拡大図である。(b)は可動型ロック金具に専用解体金具を差し込む作業を、そして、(c)専用解体金具を回転させることによって可動型ロック金具に組み込まれたバネ式の爪金具を解除する作業を示す。
符号の説明
6 上部横桟
7 中間部横桟
8 筋違
9 手摺枠
10 下部横桟
11 建物側縦柱のロック金具
12 道路側縦柱のロック金具
13 爪金具
14 取付孔
15 作業者
16 専用解体金具
17 バネ
20 固定用金具
21 高さ2.0mに設置されたロック金具
22 高さ2.6mに設置されたロック金具
23 固定ロック金具
24 可動ロック金具
25 段差
26 先端部
27 根本部
28 上向きの角度変位点
31 1段目の鳥居型建枠
32 2段目の鳥居型建枠
40 最下段の建枠
41 1段目のH枠
42 2段目のH枠
51 建物側の縦柱
52 道路側の縦柱
81 建物側の筋違兼手摺枠
82 道路側の手摺枠
90 敷板
91 1段目の足場板
92 2段目の足場板
93 3段目の足場板

Claims (6)

  1. 手摺枠又は筋違の取付孔に嵌め合わせることができるロック金具を複数個設けてなる足場用建枠であって、建枠を構成する縦柱に対をなして設置されるロック金具の一方が可動型ロック金具であり、他方が金具の途中で角度θ=20゜〜30゜の上向きの角度変位点を有する固定型ロック金具であることを特徴とする建枠。
  2. 固定型ロック金具が金具の途中で段差を有することを特徴とする請求項1に記載の建枠。
  3. 建枠が上部横桟と2本の縦柱を有する鳥居型形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の建枠。
  4. ロック金具が縦柱一本当たり偶数個設置されていることを特徴とする請求項に記載の建枠。
  5. 建枠が中間部横桟と2本の縦柱を有するH型形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の建枠。
  6. ロック金具が縦柱一本当たり偶数個設置されていることを特徴とする請求項に記載の建枠。
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