JP4097905B2 - プリント基板供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板加工機にプリント基板を供給するためのプリント基板供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭60−263639号公報には、加工前のプリント基板を複数収納するマガジンと、プリント基板を搬送する搬送機構とを備え、マガジンに収納されたプリント基板を搬送してプリント基板加工機のテーブルに載置するようにしたプリント基板搬送装置が開示されている。この技術によれば、プリント基板を連続して加工することができるので、作業能率を向上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プリント基板の長さがプリント基板を載置するテーブルの移動距離よりも短い場合には、上述のプリント基板搬送装置で十分対応することができる。
【0004】
しかし、近年、一辺の長さがテーブルの移動距離よりも長く、かつ、板厚が厚いプリント基板(以下「大板厚板基板」という。)の加工が要求されるようになってきている。このような大板厚板基板を加工する場合、テーブルの移動距離の不足分を補うべく加工の途中でプリント基板の載置方向を水平方向に180度回転させて向きを変える必要があり、従来のプリント基板搬送装置では対応することができない。
【0005】
また、大板厚板基板は、外径寸法が大きいだけでなく、質量が20kgを超えるものが多い。このため、大板厚板基板をプリント基板加工機のテーブルに載置するとき、及び向きを変えるときには、複数の作業者を必要としていただけでなく、作業に時間を要していた。
【0006】
本発明は、上述事情に鑑みてなされたものであり、大板厚板基板の段取り作業を少人数で容易に行うことができ、しかも段取り作業時間を短縮することができるプリント基板供給装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、プリント基板加工機との間でプリント基板の授受を行うプリント基板供給装置において、床面を走行可能な台車と、前記台車に搭載された、上下方向位置決め自在な荷台と、プリント基板を収納保持するとともに前記荷台によって垂直方向に揺動自在に支持された基板収納箱と、を備え、前記基板収納箱は、前記床面に対して少なくとも水平方向に180度回転可能であり、かつ開口部を上部に配置し底部を下部に配置して前記プリント基板を立てた状態で保持する第1の位置と、前記開口部と前記底部とをほぼ同高さに配置して前記プリント基板をほぼ水平に保持する第2の位置との間を揺動可能であり、前記底部を開閉自在に構成することにより、前記第2の位置をとったときに前記開口部と開放状態の前記底部との双方を介して前記プリント基板加工機との間で前記プリント基板の授受を行うことができる、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る本発明は、請求項1に記載のプリント基板供給装置において、前記基板収納箱は、前記第2の位置をとったときに前記プリント基板を下方から支持する複数のローラ部材を有する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る本発明は、請求項1又は2に記載のプリント基板供給装置において、前記台車は床面上で回転自在である、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る本発明は、請求項1又は2に記載のプリント基板供給装置において、前記台車に対して、前記荷台を縦方向の軸を中心に回転させる回転装置を備える、ことを特徴とする。
【0011】
〔作用〕
台車を走行させることで、プリント基板供給装置をプリント基板加工装置に対向させることができ、また、基板収納箱を第2の位置に配置することで、プリント基板をほぼ水平にすることができ、さらに台車上の荷台を上下方向に位置決めすることにより基板を、例えばプリント基板加工機のテーブルと同高さにすることができる。したがって、作業者は基板収納箱内のプリント基板をほぼ水平に移動させるだけでテーブル上に移載することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明に係るプリント基板供給装置の正面断面図、図2は側面断面図、図3は、図1におけるA−A線矢視図である。
【0014】
これらの図において、台車1は公知の台車(例えば、株式会社スギヤス製)である。台車1の荷台2は、1対の支柱3a,3bに支持されている。支柱3a、3bは、支点4を中心として開度が変えられるようにして、走行部5に支持されている。走行部5は車輪6a,6b,6cに支持されている。これら車輪6a,6b,6cは、縦方向の軸を中心に回転可能な軸受6d,6e,6fによって回転自在に支持されている。したがって、走行部5全体は、例えば床面上で容易に回転できるようになっている。走行部5の一方の側面には、荷台2を上下させるための駆動装置7が配置されている。駆動装置7は、油圧装置及びチェーン等から構成されている。そして、ペダル8を上下させることにより、荷台2を上昇させることができ、所望の位置でペダル8の上下動を停止すると、荷台2をその時点における位置に(高さ)保持することがでる。また、ハンドル9の近傍に配置されたリリースレバー10を操作して(図1中の上方に引く)油圧を開放することにより、荷台2を下降させることができる。
【0015】
図示の収納箱(基板収納箱)20は、2枚の大板厚板基板21を収納できるように構成されており、上方に開口部20aを有する有底の方形の箱状に形成されている。収納箱側板22aにはプリント基板21を収納する際に使用する2個の開口部23が設けられている。また、側板22aと側板22cとの間には、回転面の上端が同一面になるようにして、複数のローラ(ローラ部材)24が配置されている。
【0016】
底板(底部)25は、ボルトなどの締結手段(不図示)により収納箱20の底部に着脱自在に固定されている。底板25の上面には回転の軸線が底板25と平行かつ軸線がローラ24の軸線と直角なローラ26が複数配置されている。収納箱20は図1,図2に示す状態、すなわち開口部20aを上部に、また底部25を下部に配置した状態が第1の位置をとったときの状態である。
【0017】
バー27は、収納箱20に収納した大板厚板基板21が外部に飛び出すことを防止するためのものであり、一方の端部が側板22dの端部に回転自在に支持され、他方の端部が例えばボルトにより側板22bの端部に固定されている。
【0018】
側板22aと側板22cには軸受28が配置されている。軸受28に係合する軸30の両端は荷台2に立設された1対の支柱31に支持されている。
【0019】
次に、図4,図5,図6を参照しながら、この実施の形態における大板厚板基板21の供給手順を説明する。
【0020】
まず、台車1をプリント基板加工機50に対向させる。プリント基板加工機50のテーブル51には、複数の上下方向移動自在の支持装置52が配置されている。支持装置52は、上端に回転自在のボールが配置されており、下端に位置決めしたとき、ボールの上端がプリント基板の載置面よりも下方に位置決めされるように構成されている。
【0021】
次に、テーブル51を図4〜図6の右側の移動端に位置決めするとともに、支持装置52を上昇させる。そして、収納箱20を軸30の回りに回転させ、図4に示すように、開口部20a側をテーブル51に対向させた第2の位置に配置する。すると、支持装置52の上端と、上側に収納された大板厚板基板21の下面がほぼ同一の高さになる。
【0022】
この状態で、図5に示すように、大板厚板基板21を図の左方に移動させる。このとき、大板厚板基板21は、ローラ24及び支持装置52により支持されるので、容易に移動させることができる。
【0023】
大板厚板基板21の右端21Rをテーブル51の右方の移動端Rに一致させると、大板厚板基板21の左端21Lは、ドリル53の軸線から距離Lだけ図5中の左方に外れる。ドリル53は、紙面と垂直な方向に移動し、またテーブル51は、図5中の位置が右方の移動端であるので、プリント基板加工機50におけるドリル53の軸線から左端21Lまでの領域は、プリント基板加工機50による加工ができない領域(以下「加工不能領域D」という。)となる。なお、この加工不能領域Dに対して、プリント基板加工機50による加工ができる領域を、以下「加工可能領域C」という。
【0024】
次に、支持装置52を下降させた後、大板厚板基板21をテーブル51上に固定し、大板厚板基板21のうちの加工可能領域Cに対応する部分(以下「部分c」という)の加工を行う。なお、このとき大板厚板基板21のうちの加工不能領域Dに対応する部分を、以下「部分d」とすると、上述の加工後に、部分dは、未加工領域として残る。
【0025】
部分cの加工が終了したら、支持装置52を上昇させ、大板厚板基板21を右方に移動させて収納箱20に戻す。次に、台車1全体を水平面内で180度回転させ、図6に示すように、底板25側をテーブル51に対向させる。そして、底板25を外した後、大板厚板基板21を図6中の左方に移動させ、大板厚板基板21の右端(図5における左端21L)をテーブル51の移動端Rに合わせる。これにより、大板厚板基板21のうちの未加工領域である部分dが、加工可能領域C内に配置されることになる。
【0026】
以下、上述と同様にして、部分dの加工を行い、部分dの加工が終了したら、大板厚板基板21を収納箱20に戻す。以上で、1枚目の大板厚板基板21の加工が終了する。
【0027】
次に、2枚目の大板厚板基板21の加工を行う。
【0028】
まず、荷台2を上昇させ、下側に収納されている大板厚板基板21の下面を、支持装置52の上端の高さに位置決めする。以下、上述の1枚目の大板厚板基板21の手順と同様にして2枚目の大板厚板基板21を加工する。
【0029】
2枚の大板厚板基板21の加工が終了したら、基板保管場所(不図示)に台車1を移動させ、加工が終了した2枚の大板厚板基板21を台車1から降ろし、未加工の別の大板厚板基板21を収納箱20に収納させる。
【0030】
上述の本実施の形態では、板厚が異なる大板厚板基板21であっても、1枚目は常に支持装置52の高さに位置決めされるので、作業が容易である。
【0031】
また、図2に示すように、運搬時には、大板厚板基板21を垂直方向に立てて運搬するようにしたので、搬送通路の幅を小さくすることができる。
【0032】
また、底板25にローラ26を配置したので、例えば収納箱20を立てた状態で大板厚板基板21を搬入する際、大板厚板基板21の端部をローラ26に載せることにより、重い大板厚板基板21を、容易かつ短時間で収納箱20に収納することができる。
【0033】
なお、ローラ24に代えて、回転自在のボールにより大板厚板基板21を支持させるようにしてもよい。
【0034】
また、水平状態の大板厚板基板21の向きを水平面内で180度変える際、台車1全体を180度回転させるようにしたが、荷台2に、垂直方向の軸の回りに回転するターンテーブル(不図示)を配置し、支柱31をこのターンテーブル上に立設するようにしてもよい。この場合には、大板厚板基板21の向きを180度回転させるには、台車1全体ではなく、ターンテーブルを180度回転させればよい。
【0035】
また、大板厚板基板21の収納枚数は2枚に限らず、1枚又は3枚以上にすることができる。
【0036】
また、収納箱20を垂直状態あるいは水平状態を維持させるためのストッパ手段を設けるようにすると、さらに作業性を向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、プリント基板を基板収納箱に収納し、基板収納箱を第2の位置に配置してプリント基板をほぼ水平にし、さらに荷台を上下方向に位置決めすることで高さ調整することにより、プリント基板の下面をプリント基板加工機のテーブル面に一致させることができる。したがって、作業者は例えばプリント基板が大板厚板基板であってもこれを支える必要がないので、体力の劣る作業者、例えば女性でも1人で、容易に大板厚板基板をプリント基板加工機のテーブルにセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリント基板供給装置の正面断面図である。
【図2】本発明に係るプリント基板供給装置の側面断面図である。
【図3】図1におけるA−A断面図である。
【図4】本発明における大板厚板基板供給手順を説明する図である。
【図5】本発明における大板厚板基板供給手順を説明する図である。
【図6】本発明における大板厚板基板供給手順を説明する図である。
【符号の説明】
1 台車
20 収納箱
21 大板厚板基板
30 軸
51 テーブル
52 支持装置
Claims (4)
- プリント基板加工機との間でプリント基板の授受を行うプリント基板供給装置において、
床面を走行可能な台車と、
前記台車に搭載された、上下方向位置決め自在な荷台と、
プリント基板を収納保持するとともに前記荷台によって垂直方向に揺動自在に支持された基板収納箱と、を備え、
前記基板収納箱は、前記床面に対して少なくとも水平方向に180度回転可能であり、かつ開口部を上部に配置し底部を下部に配置して前記プリント基板を立てた状態で保持する第1の位置と、前記開口部と前記底部とをほぼ同高さに配置して前記プリント基板をほぼ水平に保持する第2の位置との間を揺動可能であり、前記底部を開閉自在に構成することにより、前記第2の位置をとったときに前記開口部と開放状態の前記底部との双方を介して前記プリント基板加工機との間で前記プリント基板の授受を行うことができる、
ことを特徴とするプリント基板供給装置。 - 前記基板収納箱は、前記第2の位置をとったときに前記プリント基板を下方から支持する複数のローラ部材を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプリント基板供給装置。 - 前記台車は床面上で回転自在である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント基板供給装置。 - 前記台車に対して、前記荷台を縦方向の軸を中心に回転させる回転装置を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント基板供給装置。
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