JP4096669B2 - 有機金属触媒およびこれを用いたフェニルシランの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な有機金属触媒、およびそれを用いたフェニルシランの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェニルシランの合成方法として、直接法及びグリニャール法が一般的に知られているが、各々問題がある。
即ち、直接法には、以下の問題がある(非特許文献1参照。)
1)副生成物が多い。
2)原料のタイプが限られる。
3)複雑な精製工程が必要である。
一方、グリニャール反応には、以下の問題がある(非特許文献2参照。)。
1)反応温度の制御が困難である。
2)基質、溶媒の脱水工程が必要である。
3)高コストである。
これらの理由により、直接法又はグリニャール法を工業的にスケールアップさせることは、困難な場合が多い。
【0003】
ロシアでは気相反応の研究が盛んであり、クロロベンゼンとトリクロロシランからフェニルトリクロロシランを得る気相反応が知られている(非特許文献3参照。)。しかし、気相反応は、500〜700℃という高い反応温度を必要とするため、工業的なスケールアップは極めて困難である。
【0004】
田中らは、o-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンと芳香族化合物との反応により、モノアリール化ヒドロシランが選択的に得られることを報告している(非特許文献4参照。)。本反応は、o-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン特有の反応である。
【0005】
最近、増田らは、ヨードベンゼンとトリエトキシシランからフェニルトリエトキシシランを得る新規な製造法を報告している (非特許文献5、非特許文献6参照。)。この報告において、ヨードベンゼンにおけるハロゲンが塩素又は臭素である場合、反応が殆ど進行しないと報告されている。ヨードベンゼンを用いる製造法では、コストが極めて高くなることから、増田らの製造応を工業的にスケールアップさせることは困難である。
【0006】
また、P.DeShongらは極めて嵩高く電子供与性の高いホスフィン(Buchwald's ligand)を用い、置換ブロモベンゼンとトリエトキシシランからフェニルシランが合成できることを報告している(非特許文献7参照。)。しかしながら、反応の進行は、ブロモベンゼン上の置換基が電子供与基である場合に限られ、電子吸引基である場合あるいは無置換ブロモベンゼンでは、対応するフェニルシランはほとんど得ることができない。
【0007】
【非特許文献1】
日本化学会編, 実験化学講座24「有機合成VI ヘテロ元素・典型金属元素化合物」、第4版、 丸善株式会社、1992年9月25日発行、 p.126
【非特許文献2】
日本化学会編, 実験化学講座24「有機合成VI ヘテロ元素・典型金属元素化合物」、第4版、 丸善株式会社、1992年9月25日発行、 p.123
【非特許文献3】
"Zh. Obshch. Khim." 1995, 65, p.1869-1872
【非特許文献4】
"Organometallics", 1993, 12, p.2065-2069
【非特許文献5】
"The Journal of Organic Chemistry", 1997, 62, p.8569-8571
【非特許文献6】
"Organic Letter", 2002, p.1843-1845
【非特許文献7】
"The Journal of Organic Chemistry", 2001, 66, p.7449-7455
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は増田ら、DeShongらの製造法において、ハロゲン化アリールとして安価な臭化アリール、塩化アリールを用いても、円滑なフェニルシランの生成を可能とする触媒となり得る新規な有機金属触媒、およびその触媒を用いた安価な工業的製造方法を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式[1]で表される芳香族化合物とパラジウム化合物とからなる新規な有機金属触媒、およびその存在下で、ハロゲン化アリール[2]とヒドロシラン[3]とを液相で反応させることを特徴とするフェニルシラン[4]の製造方法である。
【0010】
【化5】
【0011】
[上式において、R1はアリーレン基またはシリル基を有しても良いアリーレン基である。R2、R3はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアリールオキシ基、アリールアルキルオキシ基またはシリル基を有しても良い炭化水素基を示す。R4は水素原子、シリル基を有しても良い炭化水素基またはシリル基を示す。
また、R2、R3 およびR 4 はこれら2個以上が相互に連結して環を形成しても良い。]
【0012】
【化6】
(上式において、R9は有機基であり、Xは臭素または塩素であり、nは0〜5の整数である。)
【0013】
【化7】
【0014】
(上式において、R10、R11及びR12は炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、アリール基または塩素であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0015】
【化8】
【0016】
(上式において、R9、R10、R11、R12及びnは上記と同義である。)
【0017】
以下、本発明について詳述する。
【0018】
【発明の実施の形態】
「パラジウム化合物」
本発明におけるパラジウム化合物は、触媒の活性中心たるパラジウムを含む化合物である。
パラジウム化合物としては、一般的に0価または2価のパラジウムが使用できる。触媒前駆体であるパラジウム化合物の好ましい例として、パラジウムブラック、アリルパラジウム クロライド ダイマー、クロチルパラジウムクロライド ダイマー、ジアセテートビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、トランス−ジクロロジアミン パラジウム(II)、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)アセチルアセトン、パラジウム(II)クロライド、パラジウム(II)オキサイド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルムアダクト等がある。その中でも、触媒の得やすさ、活性を考慮すると、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルムアダクト、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)クロライドが最も好ましい。
【0019】
「P=O結合およびフェノール性水酸基を有する芳香族化合物またはそのフェノール性水酸基をエーテル化した芳香族化合物」
本発明におけるP=O結合およびフェノール性水酸基を有する芳香族化合物またはそのフェノール性水酸基をエーテル化した芳香族化合物は、遷移金属化合物と反応して有機金属触媒を形成するものであり、下記式[1]に示す構造式で表されるものである。
【0020】
【化9】
【0021】
[上式において、R1はアリーレン基またはシリル基を有しても良いアリーレン基である。R2、R3はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアリールオキシ基、アリールアルキルオキシ基またはシリル基を有しても良い炭化水素基を示す。R4は水素原子、シリル基を有しても良い炭化水素基またはシリル基を示す。
また、R2、R3 およびR 4 はこれら2個以上が相互に連結して環を形成しても良い。]
【0022】
上式[1]で表される化合物は、下式[5]で表されるが如く、形式的にリン原子およびフェノール性水酸基またはそのフェノール性水酸基をエーテル化したエーテル基の酸素原子と、パラジウム原子(式[5]ではMと表示されている)を結合させた際、6員環を形成可能な化合物が望ましい。
【0023】
【化10】
【0024】
[上式において、R1はアリーレン基またはシリル基を有しても良いアリーレン基である。R2、R3はそれぞれ同一または相異なり、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアリールオキシ基、アリールアルキルオキシ基またはシリル基を有しても良い炭化水素基を示す。R4は水素原子、シリル基を有しても良い炭化水素基またはシリル基を示す。
Qは単結合を示す。Mはパラジウム原子を示す。
また、R2、R3 およびR 4 はこれら2個以上が相互に連結して環を形成しても良い。]
【0025】
以下に上記一般式[1]で表されるP=O結合およびフェノール性水酸基を有する芳香族化合物またはそのフェノール性水酸基をエーテル化した芳香族化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0026】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0027】
「有機金属触媒」
本発明における有機金属触媒は、P=O結合およびフェノール性水酸基を有する芳香族化合物またはそのフェノール性水酸基をエーテル化した芳香族化合物と、遷移金属化合物とから調製できる。P=O結合およびフェノール性水酸基を有する芳香族化合物またはそのフェノール性水酸基をエーテル化した芳香族化合物は、遷移金属原子との相互作用により触媒の活性、選択性を向上させる効果がある。
【0028】
P=O結合およびフェノール性水酸基を有する芳香族化合物またはそのフェノール性水酸基をエーテル化した芳香族化合物と、遷移金属化合物との好ましい反応割合は、遷移金属化合物における遷移金属1モルあたりP=O結合およびフェノール性水酸基を有する芳香族化合物またはそのフェノール性水酸基をエーテル化した芳香族化合物が0.5〜6モルとなる割合である。0.5モル以下では触媒活性が不十分であり、6モル以上では芳香族化合物が多すぎて経済的に不利になるだけでなく、逆に触媒活性が低下する場合もある。
【0029】
「ハロゲン化アリール」
本発明におけるハロゲン化アリールは、下式[2]で表されるものである。好ましい例は、ブロモベンゼン、クロロベンゼンである。
下式[2]におけるR9は、本発明における有機金属触媒の形成を阻害するものでない限り、制限されない。
【0030】
【化15】
【0031】
「ヒドロシラン」
本発明におけるヒドロシランは下式[3]で表されるものである。
下式[3]において、R10、R11、R12は炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、アリール基または塩素であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
【化16】
【0033】
好ましいヒドロシランとして、トリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン等のクロロシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリエチルシラン等のアルキルシランがある。その中でも、原料の得やすさ、生成物の機能を考慮すると、トリアルコキシシランが最も好ましい。
【0034】
「反応溶媒」
好ましい反応溶媒は、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N, N-ジメチルホルムアミドの非プロトン性の極性溶媒、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族、ヘキサン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素等である。反応の収率を考慮すると、これらの中でN-メチルピロリドンが最も好ましい。
反応溶媒の使用量については特に制限はなく、反応系における反応基質濃度が1〜99%となる範囲内で所望に応じて適宜調整すれば良い。
【0035】
「塩基」
本発明における反応を円滑に進行させるには、生成する酸を捕捉するために塩基を反応系に共存させることが望ましい。好ましい塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等である。反応の収率を考慮すると、これらの中でトリアルキルアミンが最も好ましい。
塩基の濃度は、反応系において捕捉する酸の発生量に応じて適宜調整すればよく、通常ハロゲン化アリール1モル当たり塩基1〜5モルとなる割合とする。
【0036】
「触媒濃度、反応温度」
触媒の好ましい使用量は、ハロゲン化アリールの仕込み量に対して、0.001 mol%から20 mol%である。
また、反応温度の制御操作は、外部からの加熱に依存するため、一概に決められないが、通常、反応温度を室温〜120℃の範囲に保持することで、反応を円滑に継続させることができる。
【0037】
「反応操作」
反応系を不活性ガス雰囲気とした後、上記の遷移金属化合物(触媒前駆体)、上記一般式[1]で表される芳香族化合物、反応溶媒、反応原料及び塩基を各々所定量添加して、所定の温度で数分〜数時間攪拌して反応させる。この際、反応系に添加する順序に特に制限はないが、ハロゲン化アリールとヒドロシランとを反応させる際には、本発明における有機金属触媒を存在させるようにすることが必要である。
反応系におけるハロゲン化アリールとヒドロシランの仕込割合は、理論的には等モル比であるが、反応を効率的に進行させるために、ヒドロシランをやや過剰に供給することが好ましい。好ましい仕込み割合は、ハロゲン化アリール1モル当たりヒドロシラン1〜3モルである。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を参考例および実施例によって具体的に説明する。
【0039】
(実施例1)
〈化合物A−1の合成〉
乾燥窒素雰囲気下、磁気攪拌子、ラバーセプタムを備えた50mlの反応器に2−ブロモフェノール1.73g(10mmol)、乾燥トリエチルアミン1.52g(15mmol)、乾燥ジエチルエーテル30mlを仕込んだ。氷冷下、ジフェニルリン酸クロリド3.22g(12mmol)を滴下し、そのまま1時間攪拌した。更に、室温下5時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮後、ジクロロメタンで希釈し、不溶物を濾別した。濾液は希塩酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム精製し、化合物A−1を無色オイルとして3.59g(8.9mmol)得た(収率89%)。
【0040】
【化17】
【0041】
得られた生成物の物性を下記に示す。
1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=6.96-7.11(m,1H);δ=7.11-7.39(m,11H);δ=7.39-7.49(m,1H);δ=7.49-7.60(m,1H)
【0042】
〈化合物A−2の合成〉
乾燥窒素雰囲気下、磁気攪拌子、ラバーセプタムを備えた20mlの反応器に化合物A−1 0.81g(2.0mmol)、乾燥テトラヒドロフラン5mlを仕込んだ。反応系を-78℃に冷却し、1.6M n-ブチルリチウムヘキサン溶液1.38ml(2.2mmol)をゆっくり滴下し、そのまま30分間攪拌した。室温まで昇温後、飽和塩化アンモニウム水溶液5mlを加えた。ジエチルエーテルで抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム精製し、化合物A−2を白色結晶として0.59g(1.8mmol)得た(収率90%)。
【0043】
【化18】
【0044】
得られた生成物の物性を下記に示す。
1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=6.82-7.01(m,2H);δ=7.01-7.39(m,10H);δ=7.39-7.52(m,1H);δ=7.52-7.68(m,1H) ;δ=9.84(s,1H)
【0045】
〈フェニルシランの合成〉
乾燥窒素雰囲気下、磁気攪拌子、冷却管、ラバーセプタムを備えた反応器にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) クロロホルムアダクト31mg(0.03mmol)、化合物A−2 20mg(0.6mmol)を仕込んだ。N-メチルピロリドン 4mLを加え、室温にて15分間攪拌した。反応系内にトリエトキシシラン 0.49g(3.0mmol)を加え、室温にて5分間攪拌した。予め調製した混合液〔トルエン(内部標準)0.2mL、クロロベンゼン 0.23g(2.0mmol)、ジイソプロピルエチルアミン0.78g(6.0mmol)〕を加えた。室温にて1時間攪拌後、ガスクロマトグラフィーにてフェニルトリエトキシシランの収率を求めた。その結果は以下の通りである。
【0046】
フェニルトリエトキシシランの収率:25%
質量分析(EI)
観測ピーク:195、240
ライブラリー(フェニルトリエトキシシラン):195(M+-OC2H5)、240(M+)
【0047】
質量分析(CI)
観測ピーク:241
ライブラリー(フェニルトリエトキシシラン):241(M++1)
【0048】
(実施例2)
実施例1のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) クロロホルムアダクトを酢酸パラジウム13mg(0.06mmol)とした以外、同様の仕込にて、室温で1時間反応させた。反応結果は以下の通りである。
フェニルトリエトキシシランの収率:32%
【0049】
(実施例3)
実施例2においてクロロベンゼンをブロモベンゼン0.31g(2.0mmol)とした以外、同様の仕込にて、室温で1時間反応させた。反応結果は以下の通りである。フェニルトリエトキシシランの収率:40%
【0050】
(実施例4)
〈化合物Bの合成〉
乾燥窒素雰囲気下、磁気攪拌子、冷却管、ラバーセプタムを備えた30mlの反応器に水素化ナトリウム58mg(2.4mmol)、乾燥ジエチルエーテル5mlを仕込んだ。氷冷下、化合物A−2 0.65g(2.0mmol)の乾燥ジエチルエーテル溶液10mlを滴下し、そのまま1時間攪拌した。ここへヨウ化メチル1.14g(8.0mmol)を滴下した。滴下完了後、室温下で1時間攪拌し、更に2時間加熱還流した。室温まで放冷後、蒸留水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム精製し、化合物Bを白色結晶として0.24g(0.72mmol)得た(収率36%)。
【0051】
【化19】
【0052】
得られた生成物の物性を下記に示す。
1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=3.76 (s,3H);δ=6.88-7.41(m,12H);δ=7.47-7.59(m,1H);δ=7.59-7.78(m,1H)
【0053】
〈フェニルシランの合成〉
実施例2において化合物A−2を化合物B 20mg(0.06mmol)とした以外、同様の仕込にて、室温で1時間反応させた。反応結果は以下の通りである。
フェニルトリエトキシシランの収率:39%
【0054】
(実施例5)
実施例3において化合物A−2を化合物B 20mg(0.06mmol)とした以外、同様の仕込にて、室温で1時間反応させた。反応結果は以下の通りである。
フェニルトリエトキシシランの収率:55%
【0055】
【発明の効果】
本発明によって、温和な条件下で、種々のフェニルシランを低コストで製造することができる。
本発明により製造されるフェニルアルコキシシラン及びフェニルクロロシランは、ケイ素原子に結合した加水分解性の官能基が存在するため、他の有機ケイ素化合物(ポリマーを含む)との反応によりシロキサン結合を形成したり、無機化合物中のシラノール基とカップリング反応させることができる。
また、フェニル基を含有するため、耐熱性シルセスキオキサンの原料となる。そのため、有機合成化合物の中間原料、ポリマー樹脂の合成原料、ポリマーの改質剤、無機化合物の表面処理剤、ハードコート剤として有用である。
Claims (3)
- ヒドロシランがトリアルコキシシランであることを特徴とする請求項2記載のフェニルシランの製造方法。
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