JP3564530B2 - テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼンの製造方法 - Google Patents
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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、含ケイ素ポリマー製造のためのモノマーとなる、テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類の製造方法に関するものである。テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類から合成される含ケイ素ポリマーは、耐熱性材料や発光・光電変換材料として有用なものである。アリール基が電子供与性置換基を有するフェニル基の場合、中心ベンゼン核に影響することなく、これを選択的にトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等に置換することができるので、各種の置換基を導入することが可能になり、ポリマーの溶解性、物性、耐熱性等を制御することができる。また、テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類及びそれを含むポリマーは、シリコンカーバイドセラミックスの原料としても用いられる。
【0002】
【従来の技術】
テトラキス(シリル)ベンゼン類は、ケイ素上の置換基としてアルキル基のみを有するもの、及び水素とアルキル基のみを有するものは知られている。J. Organomet. Chem., 84, 165 (1975)には、1,2,4,5−テトラクロロベンゼンを、HMPT中、マグネシウム金属の共存下にトリメチルクロロシランによってシリル化することによる、1,2,4,5−テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼンの合成が開示されている。Tetrahedron Lett., 911 (1973)には、1,2,4,5−テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼンの光分解による異性化で、1,2,3,5−テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼンが生成することが記載されている。また、Helv. Chim. Acta, 57, 1010 (1974)には、1,2,4,5−テトラブロモベンゼンを、THF中、マグネシウム金属の共存下にジメチルクロロシランと反応させて、1,2,4,5−テトラキス(ジメチルシリル)ベンゼンが得られる反応が報告されている。一方、Chem. Lett., 471 (1998)によれば、1,2,4,5−テトラブロモベンゼンを、触媒量のシアン化第一銅の共存下、マグネシウム金属と共にジイソプロピルクロロシランと反応させることにより、1,2,4,5−テトラキス(ジイソプロピルシリル)ベンゼンが得られる。さらに、Organometallics, 17, 5830 (1998)においては、THF中で、1,2,4,5−テトラブロモベンゼンをジエチルフルオロシランと反応させることにより、1,2,4,5−テトラキス(ジエチルシリル)ベンゼンが得られる合成反応が開示されている。特開平10−120791においては、1,2,4,5−テトラキス(ジメチルシリル)ベンゼンが開示されている。また、ケイ素上の置換基として水素のほかにアリール基を有するテトラキス(シリル)ベンゼン類も知られているが、その有効な製造方法は、これまで知られていなかった。
【0003】
Schmidbaurらは、Z. Naturforsch., 49b, 1036 (1994)において、1,2,4,5−テトラブロモベンゼンを金属マグネシウム共存下に大過剰のp−トリルクロロシランとともに長時間加熱撹拌しても、1,2,4,5−テトラキス(p−トリルシリル)ベンゼンは得られず、1,4−ジブロモー2,5−ビス(p−トリルシリル)ベンゼンのみが得られたと報告している。即ち、対応するテトラハロベンゼンから出発しても、テトラキス(アリールシリル)ベンゼンを合成することは困難であると考えられていた。
【0004】
テトラキス(シリル)ベンゼン類のケイ素上の水素は、触媒を用いる脱水素ダブルシリル化、ヒドロシリル化、脱水素シリル化等の反応によって不飽和有機化合物と反応させ、各種の有機基に置換することができる。また、単独で脱水素縮合を行うか、二官能性の不飽和有機化合物と反応させることによって、種々の構造の含ケイ素ポリマーを合成することができる(特開平10−120791参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ケイ素上の置換基として、水素のほかに、電子供与性置換基を有するフェニル基を持つテトラキス(シリル)ベンゼン類の新しい製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、テトラハロベンゼン類を、まずマグネシウムの共存下にジアリールハロシラン類によってシリル化してジハロビス(ジアリールシリル)ベンゼン類とハロトリス(ジアリールシリル)ベンゼン類との混合物を得、次いで、有機リチウム試薬によりベンゼン核上に残るハロゲンをリチウムに置換してジアリールハロシラン類によってシリル化することにより、テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類が得られることを見いだした。これらの事実に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明によれば、一般式(1)
【化4】
(式中、R1は、電子供与性置換基を有するフェニル基を表す。)で表される、テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類の新しい製造方法が提供される。
【0008】
本発明のテトラキス(シリル)ベンゼン類の四個のシリル基が置換されたベンゼン核の置換位置は、1,2,4,5−置換体、1,2,3,5−置換体、及び1,2,3,4−置換体の三種類が考えられ、原料の一般式(2)
【化5】
(式中、Xはハロゲンを表す。)で表されるテトラハロベンゼン類の選択によって、任意のものが提供される。テトラハロベンゼン類のハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、より好ましくは臭素が例示される。
【0009】
上記一般式(2)のテトラハロベンゼン類を、一般式(3)
【化6】
(式中、Zはハロゲンを表し、R1は、電子供与性置換基を有するフェニル基を表す。)で表されるハロシラン類を用い、まずマグネシウム共存下でシリル化反応を行い、次いで有機リチウム試薬によりベンゼン核上に残るハロゲンをリチウムに置換してからシリル化することにより、提供される。一般式(3)におけるハロゲンZを例示すれば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素をあげることができる。一般式(1)及び(3)における電子供与性置換基としては、炭素数1〜20の直鎖または分枝のアルキル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基等をあげることができ、一般式(1)及び(3)における電子供与性置換基を有するフェニル基を例示すれば、p−トリル基、m−トリル基、p−エチルフェニル基、p−イソプロピルフェニル基、p−sec−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−アニシル基、m−アニシル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、p−N,N−ジメチルアミノフェニル基等を挙げることができる。
また、有機リチウム試薬としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウム等を挙げることができる。一段階目のマグネシウムを用いるシリル化反応では、マグネシウム及びハロシラン類は、原料であるテトラハロベンゼンに対し2当量以上用いれば良いが、3当量以上用いることが望ましい。反応温度は、反応速度と副反応防止の観点から、望ましくは−50℃〜50℃の範囲であり、より望ましくは0℃〜30℃の範囲である。溶媒は、一般にグリニャール試薬の生成と反応に用いられる溶媒を用いることができるが、これを例示すれば、THF、エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、グリム、ジグリム、ジフェニルエーテル等をあげることができる。
二段階目の有機リチウム試薬を用いる反応では、一度の反応でベンゼン核上に残るすべてのハロゲンを置換できないときには同一の操作を二度繰り返すことができる。用いる有機リチウム試薬およびハロシランの量は原料のテトラハロベンゼンに対し2当量以上用いれば良いが、同一の操作を二度繰り返す時には一回の操作当たりそれぞれ1当量以上用いればよい。反応温度は、溶媒の融点から沸点までの温度が用いられるが、好ましくは−90℃から30℃、より好ましくは−80℃から0℃である。
溶媒は反応温度において有機リチウム試薬と反応しないものなら特に制限はないが、好ましくはエーテル系の溶媒が用いられる。これを例示すれば、THF、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、グリム、ジグリム等をあげることができる。
【0010】
本発明の製造方法において提供されるテトラキス(シリル)ベンゼン類は、再結晶、カラムクロマトグラフィー等によって容易に分離精製することができる。
【0011】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明の態様を明らかにするが、本発明は、もとより以下の実施例に限定されるものではない。
【0012】
実施例1
金属マグネシウム7.6g(0.31mol)およびTHF30mLを含むフラスコ中に1,2−ジブロモエタン0.60mL(7.0mmol)を加え30分間撹拌した。次に、ジ(p−トリル)クロロシラン74g(0.30mol)を加えた後、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン39.4g(0.10mol)のTHF溶液(350mL)を水冷下、40分かけて摘下した。その後室温で4日間撹拌した。反応液をマススペクトルで分析することにより、ビス[ジ(p−トリル)シリル]ジブロモベンゼン(M+ = 654)が主生成物として生成していることを確認した。また、2,4,5−トリス[ジ(p−トリル)シリル]−1−ブロモベンゼン(M+ = 786)も少量生成していることも確認した。反応混合物にエーテル400mLを加えた後ろ過し、ろ液に水200mLを加え分液した。有機層を重曹水および水で順次洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧下溶媒留去後、粗生成物をそのまま次の反応に用いた。
上記粗生成物をTHF560mLに溶解し、−78℃で撹拌しながらn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.53M、79mL、0.12mol)を滴下し、−78℃で4時間撹拌後、ジ(p−トリル)クロロシラン31.3g(0.13mol)を加えた。−78℃で20分撹拌後、約1時間かけて室温まで昇温した。
次いで再びフラスコを−78℃に冷却し、撹拌しながらn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.53M、66mL、0.10mol)を滴下し、−78℃で90分間撹拌した。ついでジ(p−トリル)クロロシラン25g(0.10mol)を滴下した後、−78℃から徐々に室温まで温度を上げて撹拌した。エーテル250mL、1%重曹水100mLを加え分液後、有機層を1%重曹水、水で順次洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥した。
溶媒を減圧下留去後、ヘキサン600mLを加えることにより1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼンが白色結晶として得られた(7.25g)。さらに、ろ液を濃縮後カラムクロマトグラフィーでの精製およびヘキサンからの再結晶により6.80gの1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼンが得られた。合計収量15.05g(収率15.2%)
【0013】
1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼン
1H NMR (CDCl3, 499.1 MHz): δ 2.35 (24H, s), 5.59 (4H, s), 7.03 (16H, d, J = 8Hz), 7.19 (16H, d, J = 8Hz), 7.73 (2H, s).
13C NMR (CDCl3, 125.4 MHz): δ 21.65,128.61, 130.25, 135.89, 139.09, 141.74, 144.42.
29Si NMR (CDCl3, 99.1 MHz): δ −22.63(JSi−H = 195Hz).
【0014】
比較例1
金属マグネシウム3.32g(0.136mol)、p−トリルクロロシラン27.5g(0.18mol)、THF50mLを含むフラスコを70℃に加熱し、その中に1,2,4,5−テトラブロモベンゼン17.25g(43.8mmol)のTHF溶液(100mL)を1時間かけて滴下した。滴下終了後15時間リフラックスした。室温まで冷却後ジクロロメタン100mLを加え、不溶物をろ過により除いた。ろ液を重曹を混ぜた氷に注ぎ、さらにクロロホルム70mLを加えた。分液後有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。この反応混合物をマススペクトルにより分析した結果、1,2,4,5−テトラキス(p−トリルシリル)ベンゼンは確認されなかった。硫酸マグネシウムをろ別後、溶媒を減圧下留去し、ヘキサン80mLを加えると1,4−ジブロモ−2,5−ビス(p−トリルシリル)ベンゼンが白色固体として析出した。4.34g(21%)。
【0015】
比較例2
金属マグネシウム1.04g(43mmol)およびTHF8mLの混合物中に1,2−ジブロモエタン0.3mL(3.5mmol)を加え30分間撹拌した。次にシアン化第一銅38mg(0.42mmol)、ジ(p−トリル)クロロシラン9.7g(39mmol)を加えた後、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン1.92g(4.88mmol)のTHF溶液(15mL)を1時間かけて室温で滴下した。室温で22時間撹拌後、反応溶液をMSで分析した結果、少量の1−ブロモ−2,4,5−トリス[p−トリルシリル]ベンゼンが検出されたが、1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼンは検出されなかった。反応液をさらに3日間リフラックスした後MSで分析した結果、1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼンに対応するシグナルが痕跡量確認されたが、単離することはできなかった。
【0016】
【発明の効果】
本発明の製造方法によって、耐熱性含ケイ素ポリマー製造のためのモノマーとなる、ケイ素上に水素と電子供与性置換基を有するフェニル基を有するテトラキス(シリル)ベンゼン類を提供することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、含ケイ素ポリマー製造のためのモノマーとなる、テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類の製造方法に関するものである。テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類から合成される含ケイ素ポリマーは、耐熱性材料や発光・光電変換材料として有用なものである。アリール基が電子供与性置換基を有するフェニル基の場合、中心ベンゼン核に影響することなく、これを選択的にトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等に置換することができるので、各種の置換基を導入することが可能になり、ポリマーの溶解性、物性、耐熱性等を制御することができる。また、テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類及びそれを含むポリマーは、シリコンカーバイドセラミックスの原料としても用いられる。
【0002】
【従来の技術】
テトラキス(シリル)ベンゼン類は、ケイ素上の置換基としてアルキル基のみを有するもの、及び水素とアルキル基のみを有するものは知られている。J. Organomet. Chem., 84, 165 (1975)には、1,2,4,5−テトラクロロベンゼンを、HMPT中、マグネシウム金属の共存下にトリメチルクロロシランによってシリル化することによる、1,2,4,5−テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼンの合成が開示されている。Tetrahedron Lett., 911 (1973)には、1,2,4,5−テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼンの光分解による異性化で、1,2,3,5−テトラキス(トリメチルシリル)ベンゼンが生成することが記載されている。また、Helv. Chim. Acta, 57, 1010 (1974)には、1,2,4,5−テトラブロモベンゼンを、THF中、マグネシウム金属の共存下にジメチルクロロシランと反応させて、1,2,4,5−テトラキス(ジメチルシリル)ベンゼンが得られる反応が報告されている。一方、Chem. Lett., 471 (1998)によれば、1,2,4,5−テトラブロモベンゼンを、触媒量のシアン化第一銅の共存下、マグネシウム金属と共にジイソプロピルクロロシランと反応させることにより、1,2,4,5−テトラキス(ジイソプロピルシリル)ベンゼンが得られる。さらに、Organometallics, 17, 5830 (1998)においては、THF中で、1,2,4,5−テトラブロモベンゼンをジエチルフルオロシランと反応させることにより、1,2,4,5−テトラキス(ジエチルシリル)ベンゼンが得られる合成反応が開示されている。特開平10−120791においては、1,2,4,5−テトラキス(ジメチルシリル)ベンゼンが開示されている。また、ケイ素上の置換基として水素のほかにアリール基を有するテトラキス(シリル)ベンゼン類も知られているが、その有効な製造方法は、これまで知られていなかった。
【0003】
Schmidbaurらは、Z. Naturforsch., 49b, 1036 (1994)において、1,2,4,5−テトラブロモベンゼンを金属マグネシウム共存下に大過剰のp−トリルクロロシランとともに長時間加熱撹拌しても、1,2,4,5−テトラキス(p−トリルシリル)ベンゼンは得られず、1,4−ジブロモー2,5−ビス(p−トリルシリル)ベンゼンのみが得られたと報告している。即ち、対応するテトラハロベンゼンから出発しても、テトラキス(アリールシリル)ベンゼンを合成することは困難であると考えられていた。
【0004】
テトラキス(シリル)ベンゼン類のケイ素上の水素は、触媒を用いる脱水素ダブルシリル化、ヒドロシリル化、脱水素シリル化等の反応によって不飽和有機化合物と反応させ、各種の有機基に置換することができる。また、単独で脱水素縮合を行うか、二官能性の不飽和有機化合物と反応させることによって、種々の構造の含ケイ素ポリマーを合成することができる(特開平10−120791参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ケイ素上の置換基として、水素のほかに、電子供与性置換基を有するフェニル基を持つテトラキス(シリル)ベンゼン類の新しい製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、テトラハロベンゼン類を、まずマグネシウムの共存下にジアリールハロシラン類によってシリル化してジハロビス(ジアリールシリル)ベンゼン類とハロトリス(ジアリールシリル)ベンゼン類との混合物を得、次いで、有機リチウム試薬によりベンゼン核上に残るハロゲンをリチウムに置換してジアリールハロシラン類によってシリル化することにより、テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類が得られることを見いだした。これらの事実に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明によれば、一般式(1)
【化4】
(式中、R1は、電子供与性置換基を有するフェニル基を表す。)で表される、テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼン類の新しい製造方法が提供される。
【0008】
本発明のテトラキス(シリル)ベンゼン類の四個のシリル基が置換されたベンゼン核の置換位置は、1,2,4,5−置換体、1,2,3,5−置換体、及び1,2,3,4−置換体の三種類が考えられ、原料の一般式(2)
【化5】
(式中、Xはハロゲンを表す。)で表されるテトラハロベンゼン類の選択によって、任意のものが提供される。テトラハロベンゼン類のハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、より好ましくは臭素が例示される。
【0009】
上記一般式(2)のテトラハロベンゼン類を、一般式(3)
【化6】
(式中、Zはハロゲンを表し、R1は、電子供与性置換基を有するフェニル基を表す。)で表されるハロシラン類を用い、まずマグネシウム共存下でシリル化反応を行い、次いで有機リチウム試薬によりベンゼン核上に残るハロゲンをリチウムに置換してからシリル化することにより、提供される。一般式(3)におけるハロゲンZを例示すれば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素をあげることができる。一般式(1)及び(3)における電子供与性置換基としては、炭素数1〜20の直鎖または分枝のアルキル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基等をあげることができ、一般式(1)及び(3)における電子供与性置換基を有するフェニル基を例示すれば、p−トリル基、m−トリル基、p−エチルフェニル基、p−イソプロピルフェニル基、p−sec−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−アニシル基、m−アニシル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、p−N,N−ジメチルアミノフェニル基等を挙げることができる。
また、有機リチウム試薬としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウム等を挙げることができる。一段階目のマグネシウムを用いるシリル化反応では、マグネシウム及びハロシラン類は、原料であるテトラハロベンゼンに対し2当量以上用いれば良いが、3当量以上用いることが望ましい。反応温度は、反応速度と副反応防止の観点から、望ましくは−50℃〜50℃の範囲であり、より望ましくは0℃〜30℃の範囲である。溶媒は、一般にグリニャール試薬の生成と反応に用いられる溶媒を用いることができるが、これを例示すれば、THF、エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、グリム、ジグリム、ジフェニルエーテル等をあげることができる。
二段階目の有機リチウム試薬を用いる反応では、一度の反応でベンゼン核上に残るすべてのハロゲンを置換できないときには同一の操作を二度繰り返すことができる。用いる有機リチウム試薬およびハロシランの量は原料のテトラハロベンゼンに対し2当量以上用いれば良いが、同一の操作を二度繰り返す時には一回の操作当たりそれぞれ1当量以上用いればよい。反応温度は、溶媒の融点から沸点までの温度が用いられるが、好ましくは−90℃から30℃、より好ましくは−80℃から0℃である。
溶媒は反応温度において有機リチウム試薬と反応しないものなら特に制限はないが、好ましくはエーテル系の溶媒が用いられる。これを例示すれば、THF、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、グリム、ジグリム等をあげることができる。
【0010】
本発明の製造方法において提供されるテトラキス(シリル)ベンゼン類は、再結晶、カラムクロマトグラフィー等によって容易に分離精製することができる。
【0011】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明の態様を明らかにするが、本発明は、もとより以下の実施例に限定されるものではない。
【0012】
実施例1
金属マグネシウム7.6g(0.31mol)およびTHF30mLを含むフラスコ中に1,2−ジブロモエタン0.60mL(7.0mmol)を加え30分間撹拌した。次に、ジ(p−トリル)クロロシラン74g(0.30mol)を加えた後、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン39.4g(0.10mol)のTHF溶液(350mL)を水冷下、40分かけて摘下した。その後室温で4日間撹拌した。反応液をマススペクトルで分析することにより、ビス[ジ(p−トリル)シリル]ジブロモベンゼン(M+ = 654)が主生成物として生成していることを確認した。また、2,4,5−トリス[ジ(p−トリル)シリル]−1−ブロモベンゼン(M+ = 786)も少量生成していることも確認した。反応混合物にエーテル400mLを加えた後ろ過し、ろ液に水200mLを加え分液した。有機層を重曹水および水で順次洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧下溶媒留去後、粗生成物をそのまま次の反応に用いた。
上記粗生成物をTHF560mLに溶解し、−78℃で撹拌しながらn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.53M、79mL、0.12mol)を滴下し、−78℃で4時間撹拌後、ジ(p−トリル)クロロシラン31.3g(0.13mol)を加えた。−78℃で20分撹拌後、約1時間かけて室温まで昇温した。
次いで再びフラスコを−78℃に冷却し、撹拌しながらn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.53M、66mL、0.10mol)を滴下し、−78℃で90分間撹拌した。ついでジ(p−トリル)クロロシラン25g(0.10mol)を滴下した後、−78℃から徐々に室温まで温度を上げて撹拌した。エーテル250mL、1%重曹水100mLを加え分液後、有機層を1%重曹水、水で順次洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥した。
溶媒を減圧下留去後、ヘキサン600mLを加えることにより1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼンが白色結晶として得られた(7.25g)。さらに、ろ液を濃縮後カラムクロマトグラフィーでの精製およびヘキサンからの再結晶により6.80gの1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼンが得られた。合計収量15.05g(収率15.2%)
【0013】
1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼン
1H NMR (CDCl3, 499.1 MHz): δ 2.35 (24H, s), 5.59 (4H, s), 7.03 (16H, d, J = 8Hz), 7.19 (16H, d, J = 8Hz), 7.73 (2H, s).
13C NMR (CDCl3, 125.4 MHz): δ 21.65,128.61, 130.25, 135.89, 139.09, 141.74, 144.42.
29Si NMR (CDCl3, 99.1 MHz): δ −22.63(JSi−H = 195Hz).
【0014】
比較例1
金属マグネシウム3.32g(0.136mol)、p−トリルクロロシラン27.5g(0.18mol)、THF50mLを含むフラスコを70℃に加熱し、その中に1,2,4,5−テトラブロモベンゼン17.25g(43.8mmol)のTHF溶液(100mL)を1時間かけて滴下した。滴下終了後15時間リフラックスした。室温まで冷却後ジクロロメタン100mLを加え、不溶物をろ過により除いた。ろ液を重曹を混ぜた氷に注ぎ、さらにクロロホルム70mLを加えた。分液後有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。この反応混合物をマススペクトルにより分析した結果、1,2,4,5−テトラキス(p−トリルシリル)ベンゼンは確認されなかった。硫酸マグネシウムをろ別後、溶媒を減圧下留去し、ヘキサン80mLを加えると1,4−ジブロモ−2,5−ビス(p−トリルシリル)ベンゼンが白色固体として析出した。4.34g(21%)。
【0015】
比較例2
金属マグネシウム1.04g(43mmol)およびTHF8mLの混合物中に1,2−ジブロモエタン0.3mL(3.5mmol)を加え30分間撹拌した。次にシアン化第一銅38mg(0.42mmol)、ジ(p−トリル)クロロシラン9.7g(39mmol)を加えた後、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン1.92g(4.88mmol)のTHF溶液(15mL)を1時間かけて室温で滴下した。室温で22時間撹拌後、反応溶液をMSで分析した結果、少量の1−ブロモ−2,4,5−トリス[p−トリルシリル]ベンゼンが検出されたが、1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼンは検出されなかった。反応液をさらに3日間リフラックスした後MSで分析した結果、1,2,4,5−テトラキス[ジ(p−トリル)シリル]ベンゼンに対応するシグナルが痕跡量確認されたが、単離することはできなかった。
【0016】
【発明の効果】
本発明の製造方法によって、耐熱性含ケイ素ポリマー製造のためのモノマーとなる、ケイ素上に水素と電子供与性置換基を有するフェニル基を有するテトラキス(シリル)ベンゼン類を提供することができる。
Claims (1)
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22144199A JP3564530B2 (ja) | 1999-08-04 | 1999-08-04 | テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22144199A JP3564530B2 (ja) | 1999-08-04 | 1999-08-04 | テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼンの製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001048887A JP2001048887A (ja) | 2001-02-20 |
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ID=16766795
Family Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP22144199A Expired - Lifetime JP3564530B2 (ja) | 1999-08-04 | 1999-08-04 | テトラキス(ジアリールシリル)ベンゼンの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3564530B2 (ja) |
-
1999
- 1999-08-04 JP JP22144199A patent/JP3564530B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| JP2001048887A (ja) | 2001-02-20 |
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