JP4096453B2 - オフセット印刷可能なフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷が可能なフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、一般のオフセット印刷物と重ねて使用されたり、直接印刷されても部分的にフィルムに凹凸がついたり、全体的にカールすることなく、また耐水性に優れ、静電気による障害を抑えたオフセット印刷可能なフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷は多色印刷が容易なため、上質紙やコート紙などの紙基材、ポリエチレンテレフタレートシートのようなプラスチックフィルムの印刷に使用されている。一般の汎用型オフセットインキは、乾燥時間を早めるためにインキ成分中のビヒクルとして、乾性油、樹脂、および高沸点石油系溶剤である鉱油等を配合した速乾性インキが使用されている。
しかしながら、汎用性オフセットインキを用いてオレフィンフィルム、特に合成紙基材に印刷すると、インキ中の高沸点石油系溶剤によって基材である合成紙が膨潤し、部分的に凹凸が発生したり、あるいは基材全体がカールするなどの溶剤アタックを受け、印刷が難しい。
【0003】
特に半透明合成紙は、自動車のカタログや会社案内などのパンフレットとして一般印刷物の間に挿入して使用される場合があり、このような場合でも一般印刷物のオフセットインキ中の高沸点石油系溶剤が合成紙に影響を与え、部分的な凹凸、全体のカールなどの問題を生じるので一般のオフセットインキは使用できず、また一般のオフセット印刷物と混合で使用することもできなかった。
このため特開平4−77530号公報では、オフセットインキ中の高沸点石油系溶剤の浸透を防止するため、合成紙基材上に溶剤浸透防止層を設ける方法が開示されている。しかしながら、この溶剤浸透防止層上には、更に印刷適性を付与した塗工剤層を設ける必要があり、コスト高となる。
【0004】
ポリオレフィン樹脂に無機充填物と少量の添加剤を加えたものを原料として、二軸延伸フィルム形成によりミクロボイドを発生させながらシート化したものであるポリオレフィン系合成紙は、汎用型オフセット印刷に用いられているオフセットインキで印刷すると、そのオフセットインキに45〜70重量%含まれる鉱油のような高沸点石油系溶剤によって膨潤する。このため印刷した合成紙が部分的に凹凸を生じたり、あるいは印刷物全体にカールを生じるいわゆる溶剤アタックが発生し、印刷品質の低下をきたしていた。
一方、合成紙などに使用するポリオレフィンフィルム用の特殊オフセットインキは、汎用オフセットインキと比較して、印刷機上での水の量とインキの量との調整が難しく、さらに印刷機上でのインキの粘度が変化して作業性が劣る問題がある。
また、低湿における印刷機での合成紙の静電気障害(紙の重ね送りやロールへの巻き付けなど)も問題となっており、印刷機を頻繁に止める必要が出てくるので、印刷会社での不満は甚だしく、品質改良の要求が高まっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐水性、インキ乾燥性に優れ、静電気による障害を抑え、汎用オフセットインキを使用しても、凹凸やカールなどの問題を生じないオフセット印刷可能なフィルムを提供することにある。
【0006】
本発明者らは鋭意研究した結果、ポリオレフィンフィルムの表面に、ジアセトン基を有するポリビニルアルコール、顔料の特定配合、帯電防止剤を含有する塗工層を設けることにより、上記のような課題を解決した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、ポリオレフィンフィルムの少なくとも一面上に、ジアセトン基を0.5〜10モル%有するポリビニルアルコール100重量部、顔料10〜200重量部、ヒドラジン系化合物0.1〜10重量部、帯電防止剤5〜40重量部を含有する塗工層を0.5〜7g/m2設けたフィルムであって、前記フィルムのJIS K7100の条件下における表面抵抗値が、1×1013Ω以下であることを特徴とするオフセット印刷可能なフィルムに関するものである。
本発明の第2の発明は、上記第1の発明においてポリオレフィンフィルムが合成紙であるオフセット印刷可能なフィルムに関するものである。
本発明の第3の発明は、上記第1又は第2の発明において顔料がシリカであるオフセット印刷可能なフィルムに関するものである。
本発明の第4の発明は、上記第1ないし第3のいずれかの発明において帯電防止剤がポリスチレンスルホン酸アンモニウムであるオフセット印刷可能なフィルムに関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるポリビニルアルコールは、ジアセトン基を0.5〜10モル%有する単量体とビニルエステルとの共重合体の部分または完全ケン化物であって、ジアセトン基をもつ単量体とビニルエステルとを共重合して得た樹脂をケン化することにより製造される。ジアセトン基の含有量が0.5モル%未満になると満足な耐水性が得られず、また10モル%を超えると水への溶解性が低下するだけでなく、塗工層としての耐水性も低下するため好ましくない。
【0009】
また、ポリビニルアルコールの重合度については300〜3000程度のものが使用され、ケン化度は90%以上のものが好ましい。
上記の共重合に使用するビニルエステルとしては、特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが例示される。なかでも酢酸ビニルが工業的に好ましい。
【0010】
また、ジアセトン基をもつ単量体についても特に限定されるものではなく、例えばジアセトンアクリルアミド、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレートなどが挙げられる。なかでもジアセトンアクリルアミドが好ましい。
上記ジアセトン基をもつ単量体とビニルエステルとの共重合方法としては、従来より公知のバルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの各種重合方法が可能であり、なかでもメタノールを溶剤として用いる溶液重合が工業的に好ましい。
ジアセトン基をもつ単量体とビニルエステルとを共重合して得た樹脂のケン化方法としては、従来より公知のアルカリケン化および酸ケン化を適用することができ、なかでもメタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。
【0011】
上記ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲においてビニルエステルおよび/またはジアセトン基をもつ単量体と共重合可能な単量体(例えばクロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸およびこれらのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびこれらのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類、不飽和スルホン酸およびその塩、炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類など)とともに共重合したものであってもよい。このほか、共重合により得られたポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、グラフト化、リン酸エステル化などの反応によって後変性したものを使用することも可能である。
【0012】
本発明によれば、オフセット印刷性の優れたフィルムの塗工は、オフセット印刷インキ中の溶剤によって、凹凸の部分的な発生やフィルム基材全体のカールが生じる溶剤アタックを防止するために、塗料配合はジアセトン基を0.5〜10モル%有するポリビニルアルコール100重量部、顔料10〜200重量部、ヒドラジン系化合物0.1〜10重量部、帯電防止剤5〜40重量部とする。従って塗料配合中のジアセトン基含有ポリビニルアルコールの配合量は約28.6〜86.9重量%となる。ジアセトン基含有ポリビニルアルコールの配合量が下限に満たないと、塗工層の溶剤バリヤー性が不足し、溶剤アタックを受けやすくなる。一方上限を超えるとインキが塗工層上に載らなくなる。
【0013】
塗工層にはオフセット印刷後のインキ乾燥性を得、かつ塗工層表面をマット化するため、前記ジアセトン基含有ポリビニルアルコール100重量部に対して顔料を10〜200重量部配合する。顔料の配合量が10重量部未満ではインキ乾燥性が十分でなく、一方200重量部を超えると溶剤バリヤー性が低下し、また表面抵抗が高くなり、印刷時の印刷機での搬送性が悪くなり、また印刷機へのロール巻き付きなども起こり、印刷機を頻繁に止める必要があるため、印刷会社が大変迷惑を被る。
本発明に使用される顔料としてはシリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、サチンホワイト、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、プラスチックピグメントなどの顔料が使用可能であるが、インキ乾燥性と溶剤バリヤー性の問題からシリカ顔料が好ましい。
【0014】
本発明で使用されるポリビニルアルコールの耐水化剤としては、ヒドラジン系化合物がジアセトン基との反応性の点から特に好ましい。係るヒドラジン化合物の具体例としては、ヒドラジンおよびその1水和物、フェニルヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、安息香酸ヒドラジド、蟻酸ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、n−酪酸ヒドラジド、イソ酪酸ヒドラジド、n−吉草酸ヒドラジド、イソ吉草酸ヒドラジド、ピバリン酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジドなどが挙げられる。
これらは、単独または併用して使用することが可能である。
【0015】
上記ヒドラジン系化合物をオフセット印刷可能な塗工層に添加する場合、その使用量について、ヒドラジン系化合物の種類や塗工層中に使用される前記ポリビニルアルコールのジアセトン基の割合により変化するため限定されないが、前記ジアセトン基含有ポリビニルアルコール100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは1〜8重量部程度である。ヒドラジン系化合物の量が下限に満たないと耐水性が発現せず、上限を超えると、架橋反応が飽和状態となりコスト高となる。
【0016】
本発明で用いる帯電防止剤とは、有機系の吸湿して静電気を逃す化合物であり、アニオン系、カチオン系、両性の化合物などである。
アニオン系帯電防止剤としては、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホウ酸およびそれらの塩を持つ化合物が挙げられる。これらの中では、その帯電防止性の強さと工業的に入手しやすいことから、スルホン酸系帯電防止剤が好ましい。例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸カリウム、ポリスチレンスルホン酸セシウム、ポリスチレンスルホン酸アンモニウムなどである。もちろん、他の共重合できるモノマーと、スチレンスルホン酸およびその塩、との共重合体も含まれる。また低分子のスルホン酸系化合物も有効である。例えばアルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステルなどが挙げられる。例えばドデシルスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セシル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩などである。これらの中でも、塗工層の耐水性発現を妨げない点から特にポリスルホン酸塩が好ましく、更に好ましくはポリスチレンスルホン酸アンモニウムである。
【0017】
カチオン系帯電防止剤としては、低分子化合物として、第1級アミンの塩酸塩、第2級アミンの塩酸塩、第3級の塩酸塩、第4級アンモニウム塩が代表的である。用いられるアミンとしては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、ラウリルジメチルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、ステアリルジメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ピリジン、モルホリン、グアニジン、ヒドラジンなどが挙げられる。また第4級アンモニウム塩としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルピリジウムブロミド、ステアラミドメチルピリジニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムメトサルフェートなどが挙げられる。高分子カチオン系帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩型スチレン重合体、第4級アンモニウム塩型ジアリルアミン重合体などが挙げられる。具体的には、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどである。
【0018】
両性系帯電防止剤としては、アミン塩型カチオンを有するカルボン酸塩型両性界面活性剤、第4級アンモニウム塩型のカチオンを有するカルボン酸塩型両性界面活性剤等が使用可能である。例えば、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
【0019】
上記帯電防止剤をオフセット印刷可能な塗工層に添加する場合、前記ジアセトン基含有ポリビニルアルコール100重量部に対して5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部程度である。5重量部に満たないと表面抵抗値が1×1013Ω以上となって帯電防止の効果が十分でなく、印刷機における重ね送りやロールへの巻き付きなどが起こり、印刷機を頻繁に止める必要があり、甚だ経済性が悪くなる。また、40重量部を超えて添加しても表面抵抗が飽和状態になり、コストが高くなるので適さない。印刷機での合成紙の静電気障害を解決するためには、表面抵抗が1012Ω以下、好ましくは1011Ω以下である。
【0020】
本発明における塗工層の塗工量は、乾燥後の重量で0.5〜7g/m2であることが好ましい。塗工量が0.5g/m2未満では十分な溶剤バリヤー性が得られず、一方7g/m2を超えると、必要以上に塗工量が厚くなり、コストが高くなるばかりでなく、塗工層に起因するカールの影響も大きくなる。
【0021】
本発明に使用するポリオレフィンフィルムには、一軸延伸ポリプロピレンフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリオレフィン系合成紙などが含まれる。本発明においてポリオレフィン系合成紙とは、ポリオレフィン樹脂を主原料に種々の樹脂加工法を応用して紙としての加工性、印刷・筆記性などの機能を付与した薄膜状の製品である。
中でも次に示す製造方法によって得られる合成紙が好ましい。合成紙基材は、ポリプロピレン樹脂に無機充填材および少量の添加材を加えて混合し、押し出し機で混練後、ダイ・スリットから溶融樹脂膜を押し出し、これを一旦冷却後、再び軟化温度前後まで加熱して、縦及び横の方向に同時または逐次二軸延伸して成膜することにより得られる。こうして得られたポリプロピレン樹脂シートを一軸に延伸、その両面にさらに充填含有樹脂を貼合、中間層の一軸延伸方向と直角の方向に延伸した3層からなる。この延伸中に樹脂シートの内部に多数のミクロポイドが生成され、表面付近では亀裂となって、印刷・筆記性の向上、白色度・不透明や風合いの付与の役割を果たしている。(製造プロセスは、印刷雑誌 1995(Vol.78)8、33ページより引用した。)
得られた合成紙の所望の片面あるいは両面に、濡れ張力の増大、また基材表面の活性化の目的でコロナ処理、火炎処理など公知の方法によって表面処理を行ってもよい。
本発明において溶剤バリヤー性、耐水性、インキ乾燥性に悪影響を与えない範囲で塗工層中に濡れ剤などの添加剤を含有させてもよい。
【0022】
本発明により得られたオフセット印刷可能なフィルムは、従来にない耐水性とインキ乾燥性の品質を維持しながら、溶剤アタックに対する防止性に優れ、印刷機による搬送時の問題(静電気の問題)もなく、かつ各種パンフレットとして、一般の紙基材を用いたオフセット印刷物と混合して使用できる。
【0023】
【実施例】
本発明を下記の実施例により、詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例中の「部」および「%」は特に限定しない限り、各々「重量部」および「重量%」を表す。
【0024】
実施例1
▲1▼ ジアセトン基を有するポリビニルアルコールの合成
攪拌機、温度計、および滴下ロート、還流冷却器を取り付けたフラスコ中に、酢酸ビニル670部、ジアセトンアクリルアミド10部およびメタノール172部を仕込み、フラスコ内を窒素置換した後、フラスコ内の温度を60℃まで昇温した。この系に2,2−アゾビスイソブチロニトリル1部をメタノール50部に溶解した溶液を添加して、重合を開始させた。重合開始後、5時間かけてジアセトンアクリルアミド59部をメタノール39部に溶解した溶液を一定速度で滴下し、6時間で重合を停止した。重合収率は78%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、ジアセトンアクリルアミド共重合成分を含有する酢酸ビニル系重合物の50%メタノール溶液を得た。この溶液500部にメタノール50部と水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液10部とを加えて攪拌し、40℃でケン化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後に乾燥して、ジアセトン基を有するポリビニルアルコールを得た。このポリビニルアルコールのジアセトン基の含有率は6.3モル%、重合度は1780、鹸化度は99モル%であった。
【0025】
▲2▼ オフセット印刷可能なフィルムの作製
半透明合成紙(王子油化合成紙製 TPGA−75、不透明度32%、厚さ77μm、76g/m2)を基材としてその両面に、スパークギャップ方式でコロナ処理を施した。その後、下記組成1の塗料をメイヤーバーにより、乾燥後の塗工量が3g/m2となるように塗工して試料を得た。
組成1
▲1▼ で得られたジアセトン基を有するポリビニルアルコール 100重量部
シリカ 40重量部
(ミズカシルP526、平均粒径:3μm、水澤化学工業社製)
ポリスチレンスルホン酸アンモニウム 20重量部
(ケミスタット SA−136、三洋化成工業社製)
アジピン酸ジヒドラジド (大塚化学社製) 6重量部
【0026】
得られた試料を下記評価方法で評価した。評価結果を表1に示す。
評価方法
1) 溶剤バリヤー性
得られた試料を10cm角の大きさに切断し、その試料をRI印刷機(石川島産業機械社製)で下記印刷条件で印刷し、温度20℃、湿度60%RHの環境下に24時間放置し、カールによる四隅の高さをmm単位で測定し、平均値をカール高さとした。カール高さが5mm以下ならば良好である。
印刷条件
インキの種類:大日本インキ化学工業社製 GEOS−G墨
インキ量:0.35g/全ロール
印刷速度:30rpm
この条件でインキをインキ練りロールで30秒間練り、つぎにインキ練りロールを左右反転させてまた30秒間練る。その後展色胴に装着していた測定用試料に印圧目盛り5で展色させる。
【0027】
2) インキ乾燥性
得られた試料を幅1.5cm、長さ20cmの大きさに切断した測定用試料を、RI印刷機(石川島産業機械社製)で上記条件で印刷した後、厚さ95μmの合成紙(FPG95:王子油化合成紙製)を別のインキを付けていないインキ練りロールに装着しておき、測定用試料に展色された測定用試料と上記合成紙を印圧目盛り7で重ね合せ、インキの裏取りを行う。インキの裏取りの濃度をマクベス濃度計で測定し、0.1以下になるまでの時間を測定し、乾燥時間とする。乾燥時間が5時間以上で不可である。原反並の3時間以下であれば問題ない。
3) 耐水性
得られた試料を水中に30秒間浸漬し、その上から綿棒で擦り、塗膜が剥がれはじめるまでの回数を調べた。30回以上であれば問題はない。
4)表面抵抗
得られた試料を10cm角の大きさに切断した測定用試料を、JIS K 7100の条件下、ウルトラ ハイ レジスタンス メーター(アドバンテスト社製)で測定した。
5)印刷時の搬送性
得られた試料を545mm×788mmの大きさに切断した試料をLITHRONE(KOMORI CORPORATION)4色刷りで印刷した。試料が問題無く印刷機に送られ印刷されれば○とし、重ね送りや印刷機のロールへの巻き付けが起これば×とした。
【0028】
実施例2
実施例1における▲1▼のジアセトン基を有するポリビニルアルコールの合成において、重合度が500となるように重合条件を調整し、かつジアセトン基の含有率が0.8モル%となるようにジアセトンアクリルアミドの添加量を調整した以外は、実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
【0029】
実施例3
実施例1における▲1▼のジアセトン基を有するポリビニルアルコールの合成において、重合度が500となるように重合条件を調整し、かつジアセトン基の含有率が8モル%となるようにジアセトンアクリルアミドの添加量を調整した以外は、実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
【0030】
実施例4
実施例1における組成1のミズカシルP526の代わりに、サイリシア530(シリカ平均粒径:1.9μm、富士サイリシア化学社製)を配合した以外は、実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
【0031】
実施例5
実施例1における組成1の帯電防止剤の量を、8重量部とした以外は、実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
【0032】
実施例6
実施例1における組成1のアジピン酸ジヒドラジドの代わりに、ポリアクリル酸ヒドラジド1重量部とした以外は、実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
【0033】
実施例7
実施例1における組成1のポリスチレンスルホン酸アンモニウムの代わりに、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを使用した以外は、実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。評価結果は良かったが、耐水性の発現まで常温(20℃)で2週間必要とした。
【0034】
比較例1
実施例で使用した半透明合成紙(王子油化合成紙社製、TPGA−75)基材自身の耐水性、不透明度、印刷後のカールの発生状態およびインキ乾燥性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0035】
比較例2
実施例1において、乾燥後の塗工量を0.3g/m2とした以外は、実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
【0036】
比較例3
実施例1における▲1▼のジアセトン基を有するポリビニルアルコールの代わりに、完全ケン化ポリビニルアルコール(PVA−177、クラレ社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
【0037】
比較例4
下記組成2の塗料を使用し、それ以外は実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
組成2
▲1▼で得られたジアセトン基を有するポリビニルアルコール 100重量部
シリカ 8重量部
(ミズカシルP526、平均粒径:3μm、水澤化学工業社製)
ポリスチレンスルホン酸アンモニウム 36重量部
(ケミスタット SA−136、三洋化成工業社製)
アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製) 6重量部
【0038】
比較例5
下記組成3の塗料を使用し、それ以外は実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
組成3
▲1▼で得られたジアセトン基を有するポリビニルアルコール 100重量部
シリカ 210重量部
(ミズカシルP526、平均粒径:3μm、水澤化学工業社製)
ポリスチレンスルホン酸アンモニウム 12重量部
(ケミスタット SA−136、三洋化成工業社製)
アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製) 6重量部
【0039】
比較例6
下記組成4の塗料を使用し、それ以外は実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
組成4
▲1▼で得られたジアセトン基を有するポリビニルアルコール 100重量部
シリカ 40重量部
(ミズカシルP526、平均粒径:3μm、水澤化学工業社製)
ポリスチレンスルホン酸アンモニウム 4重量部
(ケミスタット SA−136、三洋化成工業社製)
アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製) 8重量部
【0040】
比較例7
帯電防止剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして試料を得た。評価結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004096453
【0042】
表1の評価結果からわかるように、本発明によるオフセット可能なフィルムは、耐水性とインキ乾燥性の品質を維持しながら、オフセット印刷インキ中の溶剤アタックを防止し、印刷時に重ね送りやロールへの巻き付けもなく、良好であった(実施例1〜7)。一方基材そのものや、本発明以外の塗工層を有するフィルムは、溶剤アタックを受ける、耐水性が劣る、インキ乾燥性が劣る、印刷時に重ね送りをするなど、オフセット印刷用のフィルムとして満足できるものではない。(比較例1〜7)
【0043】
【発明の効果】
本発明に係るオフセット印刷可能なフィルムは、耐水性、インキ乾燥性に優れ、汎用オフセットインキを使用しても、凹凸やカールなどの問題を生じることが無く、また印刷機搬送時の静電気の問題も無く、実用上極めて有用なものである。

Claims (4)

  1. ポリオレフィンフィルムの少なくとも一面上に、ジアセトン基を0.5〜10モル%有するポリビニルアルコール100重量部、顔料10〜200重量部、ヒドラジン系化合物0.1〜10重量部、帯電防止剤5〜40重量部を含有する塗工層を0.5〜7g/m2設けたフィルムであって、前記フィルムのJIS K7100の条件下における表面抵抗値が、1×1013Ω以下であることを特徴とするオフセット印刷可能なフィルム。
  2. ポリオレフィンフィルムが合成紙である請求項1に記載されたオフセット印刷可能なフィルム。
  3. 顔料がシリカである請求項1又は2に記載されたオフセット印刷可能なフィルム。
  4. 帯電防止剤がポリスチレンスルホン酸アンモニウムである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載されたオフセット印刷可能なフィルム。
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