JP4096389B2 - 自動車の前部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されて車体前端部に取付けられるシュラウドパネルを備えたような自動車の前部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にシュラウドパネルは、プレス加工により形成された鉄板製の複数の部品を溶接等により接合して構成されていたが、溶接工程等が必要な関係上、組付け工数が大となり、生産性が悪化する問題点があった。
このような問題点を解決するために、車体前端部に取付けられる樹脂製のシュラウドパネルを備えた自動車の前部構造が既に発明されている(特開平7−285460号公報参照)。
【0003】
すなわち、樹脂により形成されて車体前端部に取付けられる車両のラジエータコアサポートと、このラジエータコアサポートに形成されてバンパと係合するバンパリテーナと、所定の凹部としてラジエータコアサポートに形成されたヘッドランプハウジングとを備え、上述のラジエータコアサポート、バンパリテーナ、ヘッドランプハウジングを樹脂により一体成形すると共に、上述のヘッドランプハウジングにはヘッドランプをクリップ固定する一方、ラジエータコアサポートのシュラウドアッパメンバにはエアクリーナへ吸気を導くエアプレートを取付けたものである。
【0004】
この従来構造によれば、ユニット化により生産性の向上を図ることができる利点がある反面、上述のラジエータコアサポートを液体貯溜用の閉空間またはエアクリーナ収納空間として有効利用することができない問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1記載の発明は、シュラウドパネルの上部に位置するアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口した第1凹部を一体形成し、上記第1凹部に、該凹部と連通する管路が形成された蓋部を接合して液体貯溜用の閉空間を形成することで、接合により閉空間を確保することができ、この閉空間をラジエータサブタンクまたはウインドウォッシャタンク等の液体貯溜用に有効利用することができるうえ、部品コスト、組立てコストの低減とシュラウドパネルの剛性向上との両立を図ることができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、上述のアッパシュラウドメンバとシュラウドパネル下端部とを連結するシュラウドステーに隣接させて上述の液体貯溜用の閉空間を形成することで、この閉空間のシュラウドステーへの隣接により、さらなる剛性向上を確保することができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、上述の液体貯溜用の閉空間に対してシュラウドステーを隔てた他側で、かつ該シュラウドステーに隣接させてアッパシュラウドメンバに吸気導入通路用の第2凹部を形成することで、シュラウドステーの隣接位置両側に第1凹部と第2凹部とが位置し、これによりシュラウドパネルの剛性をより一層向上させることができると共に、これら各凹部を液体貯溜用、吸気導入通路用として有効利用することができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、上述の第2凹部をエアクリーナ収納空間に設定することで、シュラウドパネルとエアクリーナとの一体ユニット化が図れ、部品コスト、組立てコストをさらに低減させることができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、シュラウドパネルの上部に位置するアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口する凹部を一体形成すると共に、上記凹部に、該凹部と連通する管路が形成された蓋部を接合して閉空間を形成し、上記閉空間をラジエータサブタンクと成すことで、上述の閉空間によりシュラウドパネルの剛性向上を図ることができると共にシュラウドパネルとラジエータサブタンクとの一体ユニット化が図れ、部品コスト、組立てコストの低減を達成することができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、上述のアッパシュラウドメンバとシュラウドパネル下端部とを連結するシュラウドステーに隣接させて上述のラジエータサブタンクを形成することで、このラジエータサブタンクのシュラウドステーへの隣接によりシュラウドパネルの剛性をさらに高めることができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、上述のラジエータサブタンクに対してシュラウドステーを隔てた他側で、かつ該シュラウドステーに隣接させてアッパシュラウドメンバにエアクリーナ収納空間を設けることで、シュラウドステーの隣接位置両側にラジエータサブタンクとエアクリーナ収納空間とが位置し、これによりシュラウドパネルの剛性をより一層向上させることができると共に、シュラウドパネルに対するラジエータサブタンクおよびエアクリーナの一体ユニット化が図れ、部品コスト、組立てコストをさらに低減させることができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、シュラウドパネルの上部に位置するアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口する凹部を一体形成すると共に、上記シュラウドパネルの上記前面に該凹部と連通する吸気孔を形成し、上記凹部内にエアクリーナ収納空間を設けることで、この収納空間によりシュラウドパネルの剛性確保を図ることができると共に、シュラウドパネルとエアクリーナとの一体ユニット化が図れ、部品コスト、組立てコストの低減を達成することができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、上述のアッパシュラウドメンバとシュラウドパネル下端部とを連結するシュラウドステーに隣接させて上述のエアクリーナ収納空間を設けることで、エアクリーナ収納空間のシュラウドステーへの隣接により、シュラウドパネル剛性のさらなる向上を図ることができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、記載の発明の目的と併せて、上述のシュラウドステーにフードロックを設けることで、フードロック時の耐荷重性の向上を図ることができると共に、フードロックの一体ユニット化を達成することができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されて車体前端部に取付けられるシュラウドパネルを備えた自動車の前部構造であって、上記シュラウドパネルの上部に位置するアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口した第1凹部を一体形成し、上記第1凹部に、該凹部と連通する管路が形成された蓋部を接合して液体貯溜用の閉空間を形成した自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、上記アッパシュラウドメンバとシュラウドパネル下端部とを連結するシュラウドステーを設け、上記シュラウドステーに隣接させて上記液体貯溜用の閉空間が形成された自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、上記液体貯溜用の閉空間に対してシュラウドステーを隔てた他側で、かつ該シュラウドステーに隣接させて上記アッパシュラウドメンバに吸気導入通路用の第2凹部が形成された自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、上記第2凹部をエアクリーナ収納空間に設定した自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されて車体前端部に取付けられるシュラウドパネルを備えた自動車の前部構造であって、上記シュラウドパネルの上部に位置するアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口する凹部を一体形成すると共に、上記凹部に、該凹部と連通する管路が形成された蓋部を接合して閉空間を形成し、上記閉空間をラジエータサブタンクと成した自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明は、上記アッパシュラウドメンバとシュラウドパネル下端部とを連結するシュラウドステーを設け、該シュラウドステーに隣接させて上記ラジエータサブタンクを形成した自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明は、上記ラジエータサブタンクに対してシュラウドステーを隔てた他側で、かつ該シュラウドステーに隣接させて上記アッパシュラウドメンバにエアクリーナ収納空間が設けられた自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0022】
請求項8記載の発明は、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されて車体前端部に取付けられるシュラウドパネルを備えた自動車の前部構造であって、上記シュラウドパネルの上部に位置するアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口する凹部を一体形成すると共に、上記シュラウドパネルの上記前面に該凹部と連通する吸気孔を形成し、上記凹部内にエアクリーナ収納空間を設けた自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0023】
請求項9記載の発明は、上記アッパシュラウドメンバとシュラウドパネル下端部とを連結するシュラウドステーを設け、該シュラウドステーに隣接させて上記エアクリーナ収納空間を備えた自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の発明は、上記シュラウドステーにフードロックを設けた自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0025】
請求項11記載の発明は、上記凹部は、上記アッパシュラウドメンバの上記上面と、上記前面とにより形成される角部に形成された自動車の前部構造であることを特徴とする。
【0026】
【発明の作用及び効果】
請求項1記載の発明によれば、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されたシュラウドパネルのアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口した第1凹部を一体形成し、上記第1凹部に、該凹部と連通する管路が形成された蓋部を接合して液体貯溜用の閉空間を形成したので、上記接合により閉空間を確保することができ、この閉空間をラジエータサブタンクまたはウインドウオッシャタンク等の液体貯溜用として有効利用することができる。この結果、閉空間にてシュラウドパネルの剛性向上を図ることができると共に、シュラウドパネルに対するラジエータサブタンクまたはウインドウオシャタンク等の一体ユニット化が可能となるので、部品コスト、組立てコストの低減を図ることができる効果がある。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、上述のシュラウドステーに隣接させて液体貯溜用の閉空間を形成したので、この閉空間のシュラウドステー(高剛性部)への隣接構造により、さらなる剛性向上を確保することができる効果がある。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、上述の液体貯溜用の閉空間に対してシュラウドステーを隔てた他側で、しかもシュラウドステーに隣接させてアッパシュラウドメンバに吸気導入通路用の第2凹部を形成したので、シュラウドステーの隣接位置両側に第1凹部と第2凹部とが位置し、これによりシュラウドパネルの剛性をより一層向上させることができると共に、これら各凹部を液体貯溜用、吸気導入通路用として有効利用することができる効果がある。
【0029】
請求項4記載の発明によれば、上述の第2凹部をエアクリーナ収納空間に設定したので、シュラウドパネルとエアクリーナとの一体ユニット化を図ることができて、部品コスト、組立てコストをさらに低減させることができる効果がある。
【0030】
請求項5記載の発明によれば、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されたシュラウドパネルのアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口する凹部を一体形成すると共に、上記凹部に、該凹部と連通する管路が形成された蓋部を接合して閉空間を形成し、上記閉空間をラジエータサブタンクと成したので、上述の閉空間によりシュラウドパネルの剛性向上を図ることができると共に、シュラウドパネルとラジエータサブタンクとの一体ユニット化を図ることができて、部品コスト、組立てコストの低減を達成することができる効果がある。
【0031】
請求項6記載の発明によれば、上述のシュラウドステーに隣接させてラジエータサブタンクを形成したので、このラジエータサブタンクのシュラウドステーへの隣接構造により、シュラウドパネルの剛性をさらに高めることができる効果がある。
【0032】
請求項7記載の発明によれば、上述のラジエータサブタンクに対してシュラウドステーを隔てた他側で、しかもシュラウドステーに隣接させてアッパシュラウドメンバにエアクリーナ収納空間を設けたので、シュラウドステーの隣接位置両側にラジエータサブタンクとエアクリーナ収納空間とが位置し、これによりシュラウドパネルの剛性をより一層向上させることができると共に、シュラウドパネルに対するラジエータサブタンクおよびエアクリーナの一体ユニット化を図ることができて、部品コスト、組立てコストをさらに低減させることができる効果がある。
【0033】
請求項8記載の発明によれば、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されたシュラウドパネルのアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口する凹部を一体形成すると共に、上記シュラウドパネルの上記前面に該凹部と連通する吸気孔を形成し、上記凹部内にエアクリーナ収納空間を設けたので、この収納空間によりシュラウドパネルの剛性確保を図ることができると共に、シュラウドパネルとエアクリーナとの一体ユニット化を図ることができて、部品コスト、組立てコストの低減を達成することができる効果がある。
【0034】
請求項9記載の発明によれば、上述のシュラウドステーに隣接させてエアクリーナ収納空間を設けたので、このエアクリーン収納空間のシュラウドステーへの隣接構造により、シュラウドパネルの剛性をさらに向上させることができる効果がある。
【0035】
請求項10記載の発明によれば、上述のシュラウドステー(高剛性部)にフードロックを設けたので、フード開閉時になかんずくフードロック時の耐荷重性の向上を図ることができる効果がある。
【0036】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車の前部構造を示し、図1においてガラス繊維で補強されたポリプロピレン等の繊維強化プラスチックにより形成されて車体前端部に取付けられるシュラウドパネル1を設け、このシュラウドパネル1の上部には左右方向(車幅方向)に指向するアッパシュラウドメンバ2を一体成形している。
【0037】
また、上述のアッパシュラウドメンバ2の略中央とシュラウドパネル下端部3の略中央とを上下方向に連結するシュラウドセンタステー4を一体形成し、このシュラウドセンタステー4の上下方向略中間位置であって該シュラウドセンタステー4を隔てた左右両位置には円形の開口部5,5を形成し、これら開口部5,5の口縁と連結して開口部5,5内に位置するようにファン取付部6,6を一体形成している。
【0038】
さらに、上述の開口部5,5の口縁と上述のアッパシュラウドメンバ2との間を一体連結するシュラウドサイド部7,7を一体形成し、これら左右の各シュラウドサイド部7,7にはランプ配設部8,8を開口形成している。
【0039】
上述のアッパシュラウドメンバ2の左右両端部には該端部から車体後方(図1の矢印R方向)に指向する取付部9,9を一体形成し、これらの各取付部9,9には取付孔10,10を穿設し、該取付孔10を利用して上述の各取付部9,9をフェンダパネル(図示せず)に取付けるように構成している。
【0040】
また、上述の各シュラウドサイド部7,7におけるランプ配設部8,8の口縁近傍には車体前方(図1の矢印F方向)に延びる取付部11,11を一体成形し、これらの各取付部11,11には取付孔12,12を穿設している。
同様に、上述のシュラウドパネル1の下域部左右両端部から車体前方に延びる取付部13,13を一体成形し、これらの各取付部13,13には取付孔14,14を穿設形成している。而して、上述の各取付孔12,14を利用して上述の各取付部11,13をホイールハウス(図示せず)に取付けるように構成している。
【0041】
さらに、上述の各開口部5,5と対応してシュラウドパネル下端部3から車体前方(図1の矢印F方向)に水平に延びる取付部15,15を一体成形し、これらの各取付部15,15には異径の取付孔16,17を穿設すると共に,ガセット(gusset)18を一体成形して、上述の各取付孔16,17を利用して取付部15,15を車体側のクロスメンバ(図示せず)に取付けるように構成している。
【0042】
図1のA−A線矢視断面に相当する図2に示すように高剛性部としてのシュラウドセンタステー4の一側(図示左側)隣接部位において上述のアッパシュラウドメンバ2にはリヤ側が開放した第1凹部19を形成し、またシュラウドセンタステー4の他側(図示右側)隣接部位において上述のアッパシュラウドメンバ2には同様にリヤ側が開放した第2凹部20を形成している。
ここで、上述の第1凹部19は図2、図3に示す如く側壁19a,19bおよび底壁19cとアッパシュラウドメンバ2とで囲繞されている。この第1凹部19のリヤ側開放部19dと対応するフロント側開放部21aを備えた同材質の蓋部材21を設け、これら両開放部19d,21aを接合たとえば熱板融着して、図3に示す状体から図4に示すように溶着部22を形成することで、液体貯溜用の閉空間23を構成している。この実施例では、上述の閉空間23をラジエータサブタンク24として有効利用するので、上述の蓋部材21(図3参照)には予め管路25,26が一体形成されている。なお、図4における27はサブタンクキャップである。
【0043】
一方、上述の液体貯溜用の閉空間23に対してシュラウドセンタステー4を隔てた他側に位置する前述の第2凹部20は図2、図5に示す如く側壁20a,20bおよび底壁20cとアッパシュラウドメンバ2とで囲繞されている。この第2凹部20はエンジンに対する吸気導入通路用のエアクリーナ収納空間として有効利用されるので、該第2凹部20のフロント側略中央と連通するように上述のアッパシュラウドメンバ2には吸気孔28が穿設形成されている。
【0044】
また、図5に示すように上述のアッパシュラウドメンバ2のトップデッキ部リヤ側にはストッパ29を有する係入孔30が形成される一方、底壁20cの後端下部には係止突部31が一体形成されている。
さらに、上述の第2凹部20(つまりエアクリーナ収納空間)のリヤ側開放部20dに対して着脱可能に取付けられるエアクリーナハウジング32を設け、このエアクリーナハウジング32のフロント側開放部32aの口縁にはパッキング33(シール部材)を配設すると共に、エアクリーナハウジング32の前端上部には係入爪34を一体形成し、また、エアクリーナハウジング32の底面には上述の係止突部31を係合するためのフック35を取り付けている。
【0045】
而して、上述の第2凹部20にエレメント36(図6参照)を位置させた状態下において、図6に示すようにエアクリーナハウジング32の係入爪34をアッパシュラウドメンバ2の係入孔30に挿入して、この係入爪34をストッパ29で位置規制した後に、フック35を係止突部31に係合して、エアクリーナ37を構成している。なお上述のエレメント36(エアフィルタ)の下流側と連通するように上記エアクリーナハウジング32の一部に浄化空気出口(図示せず)を形成する。
【0046】
ところで、上述のシュラウドセンタステー4の上部には図1に示す如く複数の取付孔38…を形成し、これらの取付孔38…を利用してシュラウドセンタステー4の上部前面には図2に示す如くフードロック39を固定している。
図7〜図12は図1で示したシュラウドパネル1の各部断面構造を示し、図1の矢印B線に沿うように図7はシュラウドセンタステー4の断面を示し、このシュラウドセンタステー4にはその両サイドからヤ側へ突出し、かつ上下方向に延びるリブ4a,4bが一体成形され、シュラウドセンタステー4それ自体の剛性向上を図っている。
【0047】
図1の矢印C線に沿う図8は開口部5とランプ配設部8との間の断面を示し、シュラウドパネル1には開口部5に沿ってリヤ側へ突出するリブ5aと、ランプ配設部8に沿ってリヤ側へ突出するリブ8aとが一体成形されて、各部5,8の剛性向上を図っている。
【0048】
図1の矢印D線に沿う図9はシュラウドサイド部7の断面を示し、このシュラウドサイド部7にはリヤ側へ突出するリブ7a,7bが一体成形されて、その剛性向上を図っている。
図1の矢印E線に沿う図10はアッパシュラウドメンバ2の端部からリヤ側に延びる取付部9の断面を示し、この取付部9は断面方形状に構成されている。
【0049】
図1の矢印G線に沿う図11はランプ配設部8と対応する位置のアッパシュラウドメンバ2の断面を示し、このアッパシュラウドメンバ2の該部には下方へ突出するリブ2aが一体成形されて、その剛性向上を図っている。
図1の矢印H線に沿う図12はシュラウドパネル下端部3および車体側クロスメンバに対する取付部15の断面を示し、シュラウドパネル下端部3に対して取付部15は略直角状に一体成形され、しかもコーナ部を連結する一対のガセット18によりその強度が補強されている。
【0050】
このように構成したシュラウドパネル1に対してラジエータサブタンク24(図4参照)およびエアクリーナ37(図6参照)が一体ユニット化されることは勿論、該シュラウドパネル1に対してランプ、ラジエータ、クリーングファンが予めアセンブリされた状態下において、このユニットが車両に組付けられる。
【0051】
以上要するに、上記実施例の自動車の前部構造によれば、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されたシュラウドパネル1のアッパシュラウドメンバ2に第1凹部19を形成し、この第1凹部19に蓋部(蓋部材21参照)を接合(たとえば溶着)して液体貯溜用の閉空間23を形成したので、上記接合により閉空間23を確保することができ、この閉空間23をラジエータサブタンク24またはウインドウオッシャタンク等の液体貯溜用として有効利用することができる。この結果、閉空間23にてシュラウドパネル1の剛性向上を図ることができると共に、シュラウドパネル1に対するラジエータサブタンク24またはウインドウオシャタンク等の一体ユニット化が可能となるので、部品コスト、組立てコストの低減を図ることができる効果がある。
【0052】
また、上述のシュラウドステー(シュラウドセンタステー4参照)に隣接させて液体貯溜用の閉空間23を形成したので、この閉空間23のシュラウドセンタステー4(高剛性部)への隣接構造により、さらなる剛性向上を確保することができる効果がある。
【0053】
さらに、上述の液体貯溜用の閉空間23に対してシュラウドセンタステー4を隔てた他側で、しかも、シュラウドセンタステー4に隣接させてアッパシュラウドメンバ2に吸気導入通路用の第2凹部20を形成したので、シュラウドセンタステー4の隣接位置両側に第1凹部19と第2凹部20とが位置し、これによりシュラウドパネル1の剛性をより一層向上させることができると共に、これら各凹部19,20を液体貯溜用、吸気導入通路用として有効利用することができる効果がある。
【0054】
さらにまた、上述の第2凹部20をエアクリーナ収納空間に設定したので、シュラウドパネル1とエアクリーナ37との一体ユニット化を図ることができて、部品コスト、組立てコストをさらに低減させることができる効果がある。
【0055】
加えて、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されたシュラウドパネル1のアッパシュラウドメンバ2に閉空間23を形成し、この閉空間23をラジエータサブタンク24と成したので、上述の閉空間23によりシュラウドパネル1の剛性向上を図ることができると共に、シュラウドパネル1とラジエータサブタンク24との一体ユニット化を図ることができて、部品コスト、組立てコストの低減を達成することができる効果がある。
【0056】
また、上述のシュラウドステー(シュラウドセンタステー4参照)に隣接させてラジエータサブタンク24を形成したので、このラジエータサブタンク24のシュラウドステー(シュラウドセンタステー4参照)への隣接構造により、シュラウドパネル1の剛性をさらに高めることができる効果がある。
【0057】
さらに、上述のラジエータサブタンク24に対してシュラウドステー(シュラウドセンタステー4参照)を隔てた他側で、しかもシュラウドセンタステー4に隣接させてアッパシュラウドメンバ2にエアクリーナ収納空間(第2凹部20参照)を設けたので、シュラウドセンタステー4の隣接位置両側にラジエータサブタンク24とエアクリーナ収納空間とが位置し、これによりシュラウドパネル1の剛性をより一層向上させることができると共に、シュラウドパネル1に対するラジエータサブタンク24およびエアクリーナ37の一体ユニット化を図ることができて、部品コスト、組立てコストをさらに低減させることができる効果がある。
【0058】
加えて、樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されたシュラウドパネル1のアッパシュラウドメンバ2にエアクリーナ収納空間(第2凹部20参照)を設けたので、この収納空間によりシュラウドパネル1の剛性確保を図ることができると共に、シュラウドパネル1とエアクリーナ37との一体ユニット化を図ることができて、部品コスト、組立てコストの低減を達成することができる効果がある。
【0059】
また、上述のシュラウドステー(シュラウドセンタステー4参照)に隣接させてエアクリーナ収納空間(第2凹部20参照)を設けたので、このエアクリーナ収納空間のシュラウドセンタステー4への隣接構造により、シュラウドパネル1の剛性をさらに向上させることができる効果がある。
さらに、上述のシュラウドセンタステー4(高剛性部)にフードロック39を設けたので、ボンネット等のフード開閉時になかんずくフードロック時の耐荷重性の向上を図ることができる効果がある。
【0060】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の蓋部は、実施例の蓋部材21に対応し、
以下同様に、
蓋部の接合は、蓋部材21の溶着に対応し、
シュラウドステーは、シュラウドセンタステー4に対応し、
シュラウドパネルの構成材料は、ガラス繊維で補強されたポリプロピレンに対応するも、この発明は上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0061】
例えば、蓋部の接合は溶着に代えて接着手段であってもよく、また図4に示す閉空間23間をラジエータサブタンク24と成す構成に代えて、この閉空間23をウインドウオッシャタンク等の他の液体貯溜用タンクと成してもよく、さらには、アッパシュラウドメンバ2に2つの閉空間を並設形成して、一方の閉空間をラジエータサブタンクと成し、他方の閉空間をウインドウオッシャタンクと成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自動車の前部構造を示す斜視図。
【図2】 図1のA−A線矢視断面図。
【図3】 第1凹部および蓋部の縦断面図。
【図4】 閉空間の縦断面図。
【図5】 第2凹部およびエアクリーナハウジングの縦断面図。
【図6】 シュラウドパネルに一体ユニット化されたエアクリーナの縦断面図。
【図7】 図1の矢印B線に沿う断面図。
【図8】 図1の矢印C線に沿う断面図。
【図9】 図1の矢印D線に沿う断面図。
【図10】 図1の矢印E線に沿う断面図。
【図11】 図1の矢印G線に沿う断面図。
【図12】 図1の矢印H線に沿う断面図。
【符号の説明】
1…シュラウドパネル
2…アッパシュラウドメンバ
3…シュラウドパネル下端部
4…シュラウドセンタステー
19…第1凹部
20…第2凹部(エアクリーナ収納空間)
21…蓋部材
23…閉空間
24…ラジエータサブタンク
25,26…管路
28…吸気孔
39…フードロック
Claims (11)
- 樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されて車体前端部に取付けられるシュラウドパネルを備えた自動車の前部構造であって、
上記シュラウドパネルの上部に位置するアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口した第1凹部を一体形成し、上記第1凹部に、該凹部と連通する管路が形成された蓋部を接合して液体貯溜用の閉空間を形成した
自動車の前部構造。 - 上記アッパシュラウドメンバとシュラウドパネル下端部とを連結するシュラウドステーを設け、
上記シュラウドステーに隣接させて上記液体貯溜用の閉空間が形成された
請求項1記載の自動車の前部構造。 - 上記液体貯溜用の閉空間に対してシュラウドステーを隔てた他側で、かつ該シュラウドステーに隣接させて上記アッパシュラウドメンバに吸気導入通路用の第2凹部が形成された
請求項2記載の自動車の前部構造。 - 上記第2凹部をエアクリーナ収納空間に設定した
請求項3記載の自動車の前部構造。 - 樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されて車体前端部に取付けられるシュラウドパネルを備えた自動車の前部構造であって、
上記シュラウドパネルの上部に位置するアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口する凹部を一体形成すると共に、上記凹部に、該凹部と連通する管路が形成された蓋部を接合して閉空間を形成し、上記閉空間をラジエータサブタンクと成した
自動車の前部構造。 - 上記アッパシュラウドメンバとシュラウドパネル下端部とを連結するシュラウドステーを設け、
該シュラウドステーに隣接させて上記ラジエータサブタンクを形成した
請求項5記載の自動車の前部構造。 - 上記ラジエータサブタンクに対してシュラウドステーを隔てた他側で、かつ該シュラウドステーに隣接させて上記アッパシュラウドメンバにエアクリーナ収納空間が設けられた
請求項6記載の自動車の前部構造。 - 樹脂または繊維強化プラスチックにより形成されて車体前端部に取付けられるシュラウドパネルを備えた自動車の前部構造であって、
上記シュラウドパネルの上部に位置するアッパシュラウドメンバにおいて、側面視で、該アッパシュラウドメンバ上縁の車両前後方向に延設する上面より下方で、かつアッパシュラウドメンバの前部で上下方向に延設する前面より後方に、リヤ側が開口する凹部を一体形成すると共に、上記シュラウドパネルの上記前面に該凹部と連通する吸気孔を形成し、 上記凹部内にエアクリーナ収納空間を設けた
自動車の前部構造。 - 上記アッパシュラウドメンバとシュラウドパネル下端部とを連結するシュラウドステーを設け、
該シュラウドステーに隣接させて上記エアクリーナ収納空間を備えた
請求項8記載の自動車の前部構造。 - 上記シュラウドステーにフードロックを設けた
請求項2,3,4,6,7,9の何れか1に記載の自動車の前部構造。 - 上記凹部は、上記アッパシュラウドメンバの上記上面と、上記前面とにより形成される角部に形成された
請求項1,5,8の何れか1に記載の自動車の前部構造。
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