JP4367526B2 - クーリングモジュール - Google Patents

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Description

本発明は、ファンシュラウドとエアクリーナとを備えたクーリングモジュールに関する。
従来より、ラジエータやコンデンサ等の熱交換器、およびこれらの熱交換器に冷却空気を供給する送風機は、共通のフロントエンドパネル(文献によっては、シュラウドパネル、キャリア又はラジエータサポート等とも呼ばれる)を介して車両ボディに組み付けられている。フロントエンドパネルには、送風機のファンシュラウドが一体に成形されている。ファンシュラウドは、送風機を保持するとともに、熱交換器から送風機に至る空気通路を形成するものである。
ところで、特許文献1には、フロントエンドパネルの強度を向上させるために、フロントエンドパネルの上方側梁部材を閉断面化し、その閉断面化された空間をエアクリーナを収納する空間として利用したクーリングモジュールが記載されている。
一方、特許文献2には、ラジエータおよびコンデンサに対向するように配置され、送風ファンを保持する補助ケースを備え、補助ケースに送風ファンを囲う略円筒形のファンシュラウドを設け、このファンシュラウドの一部をエアクリーナの側壁部が兼ねるような構成とすることによって、室外機ユニットをコンパクト化した定置型空調装置が記載されている。
特開平11−171041号公報 特開平10−238825号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のクーリングモジュールでは、送風機のファンシュラウドとエアクリーナとが車両上下方向に並列に配置されているため、クーリングモジュール全体が大型化し、重量が大となるという問題がある。
ところで、近年、歩行者と車両とが衝突した際に歩行者が受けるダメージを低減したいという要望がある。そこで、エンジンフード(ボンネット)とフロントエンドパネルとの隙間、すなわちエンジンルームにおける車両上方側の空きスペースをできるだけ多く取り、歩行者が車体前端部に衝突した際にエンジンフード等が容易に変形して衝撃を緩和するようにしている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のクーリングモジュールでは、フロントエンドパネルの上方側梁部材内、すなわちファンシュラウドの車両上方側にエアクリーナを配置しているため、エンジンルームにおける車両上方側の空きスペースが小さくなり、歩行者保護性能が低下するという問題がある。
一方、上記特許文献2に記載されたファンシュラウドを車両用のクーリングモジュールに適用した場合、クーリングモジュールを小型化し、エンジンルームにおける車両上方側の空きスペースを小さくすることができる。しかしながら、引用文献2において、エアクリーナは熱交換器と対向するように配置されているため、熱交換器を通過した空気によりエアクリーナが加熱され、これによりエアクリーナを介してエンジンへと吸入される吸気が昇温してしまうという問題がある。
本発明は、上記点に鑑み、エアクリーナを備えるクーリングモジュールにおいて、吸気の温度上昇を抑制しつつ、クーリングモジュール全体の軽量化を図るとともに、歩行者保護性能を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、車両の前端部に搭載され、空気と熱媒体との熱交換を行う熱交換器(1、2)と、熱交換器(1、2)の空気流れ下流側に配置され、熱交換器(1、2)に空気を供給する送風機(3)を保持するとともに、熱交換器(1、2)から送風機(3)へと空気を導くファンシュラウド(4)と、内燃機関の吸気に含まれる異物を除去するエアクリーナ(5)とを備えるクーリングモジュールであって、ファンシュラウド(4)は、空気通路をなす導風部(4b)を有しており、エアクリーナ(5)の車両前方側端部は、車両前方から見て、熱交換器(1、2)から水平方向にずれた位置に配されており、導風部(4b)は、エアクリーナ(5)側の一部が廃止されており、エアクリーナ(5)の外壁面(50)の一部は、車両の後方に向かう程送風機(3)に近づく形状を成し、導風部(4b)の廃止された一部の代わりを構成しており、導風部(4b)の代わりを構成しているエアクリーナ(5)の外壁面(50)、熱交換器(1、2)との間に所定の隙間(7)を隔てて配置されており、熱交換器(1、2)の空気流れ上流側の空気が所定の隙間(7)を介して空気流れ下流側に導かれるようになっていることを第1の特徴としている。
これにより、エアクリーナ(5)の一部をファンシュラウド(4)の導風部(4b)として機能させることができるため、その部分のファンシュラウド(4)を廃止することができる。このため、クーリングモジュール全体の軽量化を図ることができる。
また、熱交換器(1、2)とエアクリーナ(5)とを車両前方から見て水平方向にずらして配置することで、エンジンルームにおける車両上方側の空きスペースを確保することができるため、歩行者保護性能を向上させることができる。
さらに、エアクリーナ(5)の車両前方側端部を、車両前方から見て熱交換器(1、2)からずれた位置に配置することにより、熱交換器(1、2)の上流側空気によってエアクリーナ(5)を冷却し、内燃機関の吸気の温度上昇を抑制することができる。特に、エアクリーナ(5)の外壁面(50)のうち熱交換器(1、2)側に配される部分と熱交換器(1、2)との間には隙間(7)が設定されており、熱交換器(1、2)の空気流れ上流側の空気が隙間(7)を介して空気流れ下流側に導かれるようになっているため、隙間(7)を通過する空気でエアクリーナ(5)を積極的に冷却することができる。その結果、吸気の温度上昇を抑制し、内燃機関の発生トルクを増加させることが可能となる。
このように、吸気の温度上昇を抑制しつつ、クーリングモジュール全体の軽量化を図るとともに、歩行者保護性能を向上させることが可能となる。
また、本発明では、エアクリーナ(5)は、異物を除去するエアクリーナエレメント(5a)と、エアクリーナエレメント(5a)を収容するエアクリーナケース(5b)およびエアクリーナキャップ(5c)とを有しており、エアクリーナエレメント(5a)は、エアクリーナケース(5b)とエアクリーナキャップ(5c)との間に挟持されており、エアクリーナケース(5b)およびエアクリーナキャップ(5c)のうち、いずれか一方がファンシュラウド(4)と一体に成形されているとともに、その外壁面(50)の一部が導風部(4b)を構成しており、エアクリーナエレメント(5a)は、空気流れ方向に直交する面に対して略平行になっていることを第2の特徴としている。
ところで、例えばファンシュラウド(4)を樹脂にて成形する場合、2つの金型のうち少なくとも一方の金型を、ファンシュラウド(4)の車両搭載時における空気流れ方向と平行な方向に移動させることにより、2つの金型内に形成されるキャビティ(金型空間)からファンシュラウド(4)を取り出すことが生産性の面で優れている。
そして、例えばエアクリーナケース(5b)をファンシュラウド(4)と一体に成形する場合、本発明のようにエアクリーナエレメント(5a)を、空気流れ方向に直交する面に対して略平行にすることで、エアクリーナケース(5b)の開口方向を型抜き方向と一致させることができる。このため、特別なスライド型を別途設けることなく、ファンシュラウド(4)とエアクリーナケース(5b)とを容易に一体成形することが可能となる。
さらに、エアクリーナケース(5b)が一体化されたファンシュラウド(4)の製造用金型を安価なものとすることができる。このため、設備投資額を抑制することができ、エアクリーナケース(5b)が一体化されたファンシュラウド(4)の製造原価が上昇してしまうことを抑制できる。
なお、エアクリーナキャップ(5c)をファンシュラウド(4)と一体に成形する場合も、上述したエアクリーナケース(5b)をファンシュラウド(4)と一体に成形する場合と同様の効果を得ることができる。
また、本発明では、エアクリーナ(5)は、車両上下方向の長さ(H)が水平方向の長さ(W)より長くなっていることを第3の特徴としている。
これにより、エアクリーナ(5)の下方側の何も配置できないスペース(いわゆるデッドスペース)を小さくすることができるため、スペース効率を向上させることが可能となる。
また、エアクリーナ(5)の車両上下方向の長さ(H)が水平方向の長さ(W)より短くなっている場合と比較して、ファンシュラウド(4)と、エアクリーナ(5)におけるファンシュラウド(4)から最も離れた部位との距離を短くすることができるため、エアクリーナ(5)の強度を向上させることが可能となる。
また、本発明では、エアクリーナ(5)には、空気を取り入れる空気入口(51)と、清浄空気を流出させる空気出口(52)とが設けられており、空気入口(51)は、エアクリーナ(5)における車両上下方向中央部から下方側の部位に配置され、空気出口(52)は、エアクリーナ(5)における車両上下方向中央部から上方側の部位に配置されていることを第4の特徴としている。
一般的に、内燃機関の各気筒に空気を分配するインテークマニホールドは、内燃機関の上方側に配置されるため、空気出口(52)をエアクリーナ(5)における車両上下方向中央部から上方側の部位に配置することで、エアクリーナ(5)とインテークマニホールドとを接続するダクトの取り回しを簡素化できる。
このとき、空気入口(51)を、エアクリーナ(5)における車両上下方向中央部から下方側の部位に配置することで、エアクリーナ(5)内の空気流れをスムーズにすることができるため、圧損を小さくすることが可能となる。
また、本発明では、ファンシュラウド(4)は、弾性変形可能な弾性部材(9)を介して車両ボディ(10)に固定されていることを第5の特徴としている。
これにより、内燃機関の振動が、エアクリーナ(5)が一体化されたファンシュラウド(4)を介して車両ボディ(10)に伝達することを抑制できる。
また、ファンシュラウド(4)を、熱交換器(1、2)に固定し、熱交換器(1、2)を、弾性変形可能な弾性部材(9)を介して車両ボディ(10)に固定するようにしてもよい。このようにしても、上記第5の特徴と同様に、内燃機関の振動が、エアクリーナ(5)が一体化されたファンシュラウド(4)を介して車両ボディ(10)に伝達することを抑制できる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。本第1実施形態のクーリングモジュールは、車両の前端部(エンジンルーム内)に搭載される。
図1は本第1実施形態に係るクーリングモジュールを車両前方側から見た斜視図で、図2は本第1実施形態に係るクーリングモジュールを車両後方側から見た斜視図で、図3は図1のA−A断面図である。
図1〜図3に示すように、クーリングモジュールは、図示しないエンジン(内燃機関)の冷却水と外気とを熱交換させて冷却水を冷却するラジエータ1と、図示しない車両用冷凍サイクル(空調装置)内を循環する冷媒と外気とを熱交換させて冷媒を冷却するコンデンサ2と、ラジエータ1およびコンデンサ2に冷却風を送風する電動ファン(送風機)3と、電動ファン3を保持するとともに、ラジエータ1およびコンデンサ2から電動ファン3に至る空気通路を形成して、電動ファン3により誘起される空気流がラジエータ1およびコンデンサ2に流れるように空気流をガイドする電動ファンシュラウド4と、エンジンの吸気に含まれる異物を除去するエアクリーナ5を備えている。以下、ラジエータ1およびコンデンサ2をまとめて熱交換器1、2ともいう。なお、エンジン冷却水および冷媒が、本発明の熱媒体に相当している。
コンデンサ2は、ラジエータ1よりも空気流れ上流側(車両前方側)に配置されている。電動ファン3は、ラジエータ1よりも空気流れ下流側(車両後方側)に配置されている。また、熱交換器1、2とエアクリーナ5の車両前方側端部とは、車両前方側から見て水平方向にずれるように、すなわち水平方向(本実施形態では車両幅方向)に並列に配置されている。
電動ファン3は、空気流を発生させるファン3aと、ファン3aを回転駆動する電動モータ3bとを有している。
電動ファンシュラウド4は、樹脂製(例えば、ガラス繊維入りポリプロピレン)であって、電動ファン3を保持するステー部4aと、ステー部4a(電動ファン3が保持された部位)より空気流れ上流側に配置され、上記空気通路を形成する導風部4bとを有している。
エアクリーナ5は、異物を除去するエアクリーナエレメント5aと、エアクリーナエレメント5aを収容するエアクリーナケース5bおよびエアクリーナキャップ5cとを有している。また、エアクリーナエレメント5aは、エアクリーナケース5bとエアクリーナキャップ5cとの間に挟持されている。
エアクリーナケース5bは、電動ファンシュラウド4と同一の材質、すなわち樹脂(例えば、ガラス繊維入りポリプロピレン)にて形成されている。エアクリーナケース5bは、略直方体の容器状に形成され、一面が開口しており、この開口面に取り付けられた枠体にエアクリーナエレメント5aが差し込まれて固定されている。そして、エアクリーナケース5bにおける他の一面には、エアクリーナ5b内に空気を取り入れる空気入口51が形成されている。吸気入口51には、筒状のインレットダクト61が接続されている。
また、エアクリーナケース5bの車両前方側端面5dは、車両前方側から見て熱交換器1、2から水平方向にずれるように配置されており、熱交換器1、2を通過する前の空気が当たるようになっている。
エアクリーナキャップ5cは、エアクリーナ5bと同一の材質、すなわち樹脂(例えば、ガラス繊維入りポリプロピレン)にて形成されている。エアクリーナキャップ5cは、エアクリーナケース5bと同様に、略直方体の容器状に形成され、一面が開口しており、この開口面はエアクリーナエレメント5aを挟んでエアクリーナケース5bと締結する嵌着構造を端面周囲に有している。そして、エアクリーナキャップ5cにおける他の一面には、エアクリーナエレメント5aで濾過された清浄空気を流出させる空気出口52が形成されている。吸気出口52には、筒状のアウトレットダクト62が接続されている。アウトレットダクト62の他端側は、図示しないエンジンの各気筒に空気を分配するインテークマニホールドに接続されている。
エアクリーナエレメント5aは、濾材(例えば、合成繊維の不織布、濾紙等)によって構成されている。また、エアクリーナエレメント5aは、車両前後方向(空気流れ方向)に直交する面に対して略平行になっている。すなわち、エアクリーナケース5bとエアクリーナキャップ5cとが、車両前後方向に直列に配置されている。
図3に示すように、エアクリーナケース5bは、電動ファンシュラウド4と一体に形成されている。そして、エアクリーナケース5bにおける空気流れ上流側の外壁面50のうち、熱交換器1、2側に配される部位(熱交換器1、2に対向している部位)が、電動ファンシュラウド4の導風部4bの一部を構成している。
また、エアクリーナケース5bの外壁面50における導風部4bを構成している部位と熱交換器1、2との間には隙間7が設定されており、電動ファン3の負圧により、熱交換器1、2の前面側(空気流れ上流側)の空気が隙間7を介して車両後方側に導かれるようになっている。このため、隙間7に流入した熱交換器1、2の全面側の空気を、エアクリーナ5の外壁面50のうち導風部4bの一部を構成する部分に沿って車両後方側に流すことができる。
図1および図2に戻り、本実施形態のクーリングモジュールは、冷却水回路内の冷却水体積変化を吸収するリザーブタンク8を備えている。リザーブタンク8は樹脂にて形成されており、電動ファンシュラウド4の空気流れ下流側の面に固定されている。より詳細には、リザーブタンク8は、熱交換器1、2を挟んでエアクリーナ5と反対側に配置されている。
図4は、本第1実施形態に係るクーリングモジュールの車両搭載状態を示す概略正面図である。なお、図4は、空気流れ下流側(車両後方側)から見た状態を示している。なお、図4において、リザーブタンク8は図示を省略している。
図4に示すように、エアクリーナ5は、車両上下方向の長さHが、車両幅方向の長さWより長くなっている。すなわち、エアクリーナ5において、車両幅方向の長さWに対する車両上下方向の長さHの比H/Wが1以上となっている。なお、「エアクリーナ5の車両上下方向の長さH」とは、エアクリーナ5における車両上下方向の長さが最も長い部位の長さのことをいう。同様に、「エアクリーナ5の車両幅方向の長さW」とは、エアクリーナ5における車両幅方向の長さが最も長い部位の長さのことをいう。
また、空気入口61は、エアクリーナ5(詳細にはエアクリーナケース5b)における車両上下方向中央部(図4中破線C参照)から下方側の部位に配置されている。一方、空気出口62は、エアクリーナ5(詳細には、エアクリーナキャップ5c)における車両上下方向中央部から上方側の部位に配置されている。
また、本実施形態では、電動ファンシュラウド4はラジエータ1に固定されている。そして、電動ファンシュラウド4が固定されたラジエータ1は、弾性変形可能なゴムブッシュ(弾性部材)9を介して、車両ボディ10に固定されている。具体的には、ラジエータ1の車両上下方向両端部に設けられたピン1aに予めゴムブッシュ9を取り付けておき、このピン1aを車両ボディ10の一部と嵌合させている。これにより、電動ファンシュラウド4が固定されたラジエータ1、すなわちクーリングモジュールが車両へ搭載される。このとき、コンデンサ2を予めラジエータ1に組み付けておいてもよいし、コンデンサ2単体を直接車両ボディ10に固定するようにしてもよい。
なお、本実施形態のエアクリーナケース5bが一体化された電動ファンシュラウド4は、射出成形によって形成される。より詳細には、射出成形に用いられる2つの金型のうち少なくとも一方の金型を、電動ファンシュラウド4の車両搭載時における車両前後方向と平行な方向に移動させることにより、2つの金型内に形成されるキャビティ(金型空間)からエアクリーナケース5が一体化された電動ファンシュラウド4を取り出すようになっている。
以上説明したように、エアクリーナケース5bを電動ファンシュラウド4と一体に形成し、エアクリーナケース5bにおける空気流れ上流側の外壁面50の一部を電動ファンシュラウド4の導風部4bとして構成させる、すなわちエアクリーナケース5bの一部を導風部4bとして機能させることで、その部分(エアクリーナケース5bにおける導風部4bを構成している部分)の電動ファンシュラウド4を廃止することができる。このため、クーリングモジュール全体の軽量化を図ることができる。
また、熱交換器1、2とエアクリーナ5とを車両幅方向に隣接するように配置することで、エンジンルームにおける車両上方側の空きスペースを確保することができるため、歩行者保護性能を向上させることができる。
このように、クーリングモジュール全体の軽量化を図るとともに、歩行者保護性能を向上させることが可能となる。
また、エアクリーナケース5bを電動ファンシュラウド4と一体に形成し、エアクリーナケース5bにおける空気流れ上流側の外壁面50の一部を電動ファンシュラウド4の導風部4bとして構成させることで、車両前後方向から見たときの投影面積を小さくすることができる。このため、射出成形機の小型化を図ることができる。
また、エアクリーナ5の車両前方側端面5dが、車両前方側から見て熱交換器1、2と重ならないように配されているので、熱交換器1、2を通過していない空気をエアクリーナ5に当てることによってエアクリーナ5を冷却し、これにより吸気の温度上昇を抑制し、内燃機関の発生トルクを増加させることが可能となる。
また、導風部4bを構成しているエアクリーナケース5bの外壁面50と、熱交換器1、2との間に隙間7を設定し、電動ファン3の負圧により、熱交換器1、2の前面側の空気が隙間7を介して車両後方側に導かれるようにすることで、隙間7を通過する空気でエアクリーナ5を積極的に冷却することができる。このため、吸気の温度上昇をより抑制し、内燃機関の発生トルクをより増加させることが可能となる。
また、エアクリーナエレメント5aを空気流れ方向に直交する面に対して略平行にすることで、エアクリーナケース5bの開口方向を、射出成形時の型抜き方向と一致させることができる。このため、特別なスライド型を別途設けることなく、電動ファンシュラウド4とエアクリーナケース5bとを容易に一体成形することが可能となる。さらに、エアクリーナケース5bが一体化された電動ファンシュラウド4の製造用金型を安価なものとすることができる。このため、設備投資額を抑制することができ、エアクリーナケース5bが一体化された電動ファンシュラウド4の製造原価が上昇してしまうことを抑制できる。
ところで、従来より、エンジンルームにおけるエアクリーナ5の下方側は、何も配置することができない、いわゆるデッドスペースとなっていた。これに対し、本実施形態のように、エアクリーナ5の車両上下方向の長さHを車両幅方向の長さWより長くすることで、エアクリーナ5の下方側のデッドスペースを小さくすることができるため、スペース効率を向上させることが可能となる。
また、エアクリーナ5の車両上下方向の長さHが水平方向の長さWより短くなっている場合と比較して、電動ファンシュラウド4と、エアクリーナ5におけるファンシュラウド4から最も離れた部位との距離を短くすることができるため、エアクリーナ5の強度を向上させることが可能となる。
ところで、一般的な車両のインテークマニホールドは、エンジンの上方側に配置されている。このため、本実施形態のように、空気出口52をエアクリーナ5における車両上下方向中央部から上方側の部位に配置することで、エアクリーナ5とインテークマニホールドとを接続するアウトレットダクト62の取り回しを簡素化できる。このとき、空気入口51を、エアクリーナ5における車両上下方向中央部から下方側の部位に配置することで、エアクリーナ5内の空気流れをスムーズにすることができるため、圧損を小さくすることが可能となる。
ところで、エアクリーナ5は、アウトレットダクト62を介してエンジンに接続されているため、エンジン振動が伝わるようになっている。このため、エアクリーナ5が一体化された電動ファンシュラウド4を車両ボディ10に直接固定すると、エンジン振動がエアクリーナ5から電動ファンシュラウド4、そして車両ボディ10に伝達してしまう。これに対し、本実施形態のように、エアクリーナ5が一体化された電動ファンシュラウド4を、弾性変形可能なゴムブッシュ9を介して車両ボディ10に固定することで、エンジン振動がゴムブッシュ9によって吸収されるため、車両ボディ10に伝達することを抑制できる。
ところで、インレットダクト61の空気導入口61a(図1、2および4参照)から空気を導入する際に吸気音が発生するが、この吸気音が車室内に伝達すると乗員に不快感を与える。
図5は、インレットダクト61の空気導入口61aにおける吸気音の騒音レベルとエンジン回転数との関係を示す特性図である。図5において、実線xは本実施形態のクーリングモジュール(エアクリーナ5を電動ファンシュラウド4と一体化した構造)を車両に搭載した場合の測定結果を示し、破線yは従来のクーリングモジュール(エアクリーナ5を電動ファンシュラウド4と一体化していない構造)を車両に搭載した場合の測定結果を示している。
エアクリーナ5を電動ファンシュラウド4と一体化させることにより、エアクリーナ5単体の場合と比較して、インレットダクト61に接続されている部品の質量が増加する。このため、図5に示すように、エアクリーナ5を電動ファンシュラウド4と一体化させることにより、ピーク時の騒音レベルを低減できる。これにより、乗員に与える不快感を低減することが可能となる。
また、電動ファンシュラウド4にリザーブタンク8を設けるとともに、このリザーブタンク8を熱交換器1、2を挟んでエアクリーナ5と反対側に配置することで、電動ファンシュラウド4の車両幅方向の重量バランスが不均等になることを抑制できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図6は、本第2実施形態に係るクーリングモジュールの車両搭載状態を示す概略正面図である。なお、図6は、空気流れ下流側(車両後方側)から見た状態を示している。なお、図6において、リザーブタンク8は図示を省略している。
図6に示すように、本実施形態では、ラジエータ1は、電動ファンシュラウド4に固定されている。そして、ラジエータ1が固定された電動ファンシュラウド4は、弾性変形可能なゴムブッシュ(弾性部材)9を介して、車両ボディ10に固定されている。具体的には、電動ファンシュラウド4の車両上下方向両端部に設けられたピン4cに予めゴムブッシュ9を取り付けておき、このピン4cを車両ボディ10の一部と嵌合させている。これにより、ラジエータ1が固定された電動ファンシュラウド4、すなわちクーリングモジュールが車両へ搭載される。このとき、コンデンサ2を予めラジエータ1に組み付けておいてもよいし、コンデンサ2単体を直接車両ボディ10に固定するようにしてもよい。
これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、エアクリーナケース5bを電動ファンシュラウド4に一体化したが、エアクリーナキャップ5cを電動ファンシュラウド4に一体化してもよい。
また、上記各実施形態では、エアクリーナケース5bに空気入口51を設けるとともにエアクリーナキャップ5cに空気出口52を設けたが、エアクリーナケース5bに空気出口52を設けるとともにエアクリーナキャップ5cに空気入口51を設けてもよい。
第1実施形態に係るクーリングモジュールを車両前方側から見た斜視図である。 第1実施形態に係るクーリングモジュールを車両後方側から見た斜視図である。 図1のA−A断面図である。 第1実施形態に係るクーリングモジュールの車両搭載状態を示す概略正面図である。 インレットダクト61の空気導入口61aにおける吸気音の騒音レベルとエンジン回転数との関係を示す特性図である。 第2実施形態に係るクーリングモジュールの車両搭載状態を示す概略正面図である。
符号の説明
1…ラジエータ(熱交換器)、2…コンデンサ(熱交換器)、3…電動ファン(送風機)、4…電動ファンシュラウド、4b…導風部、5…エアクリーナ、5a…エアクリーナエレメント、5b…エアクリーナケース、5c…エアクリーナキャップ、9…ゴムブッシュ(弾性部材)、10…車両ボディ、50…外壁面。

Claims (6)

  1. 車両の前端部に搭載され、空気と熱媒体との熱交換を行う熱交換器(1、2)と、前記熱交換器(1、2)の空気流れ下流側に配置され、前記熱交換器(1、2)に空気を供給する送風機(3)を保持するとともに、前記熱交換器(1、2)から前記送風機(3)へと空気を導くファンシュラウド(4)と、内燃機関の吸気に含まれる異物を除去するエアクリーナ(5)とを備えるクーリングモジュールであって、
    前記ファンシュラウド(4)は、空気通路をなす導風部(4b)を有しており、
    前記エアクリーナ(5)の車両前方側端部は、車両前方から見て、前記熱交換器(1、2)から水平方向にずれた位置に配されており、
    前記導風部(4b)は、前記エアクリーナ(5)側の一部が廃止されており、
    前記エアクリーナ(5)の外壁面(50)の一部は、前記車両の後方に向かう程前記送風機(3)に近づく形状を成し、前記導風部(4b)の前記廃止された一部の代わりを構成しており、
    前記導風部(4b)の代わりを構成している前記エアクリーナ(5)の前記外壁面(50)、前記熱交換器(1、2)との間に所定の隙間(7)を隔てて配置されており、
    前記熱交換器(1、2)の空気流れ上流側の空気が前記所定の隙間(7)を介して空気流れ下流側に導かれるようになっていることを特徴とすクーリングモジュール。
  2. 前記エアクリーナ(5)は、異物を除去するエアクリーナエレメント(5a)と、前記エアクリーナエレメント(5a)を収容するエアクリーナケース(5b)およびエアクリーナキャップ(5c)とを有しており、
    前記エアクリーナエレメント(5a)は、前記エアクリーナケース(5b)と前記エアクリーナキャップ(5c)との間に挟持されており、
    前記エアクリーナケース(5b)および前記エアクリーナキャップ(5c)のうち、いずれか一方が前記ファンシュラウド(4)と一体に成形されているとともに、その外壁面(50)の一部が前記導風部(4b)を構成しており、
    前記エアクリーナエレメント(5a)は、空気流れ方向に直交する面に対して略平行になっていることを特徴とする請求項1に記載のクーリングモジュール。
  3. 前記エアクリーナ(5)は、車両上下方向の長さ(H)が水平方向の長さ(W)より長くなっていることを特徴とする請求項1または2に記載のクーリングモジュール。
  4. 前記エアクリーナ(5)には、空気を取り入れる空気入口(51)と、清浄空気を流出させる空気出口(52)とが設けられており、
    前記空気入口(51)は、前記エアクリーナ(5)における車両上下方向中央部から下方側の部位に配置され、前記空気出口(52)は、前記エアクリーナ(5)における車両上下方向中央部から上方側の部位に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
  5. 前記ファンシュラウド(4)は、弾性変形可能な弾性部材(9)を介して車両ボディ(10)に固定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
  6. 前記ファンシュラウド(4)は、前記熱交換器(1、2)に固定されており、
    前記熱交換器(1、2)は、弾性変形可能な弾性部材(9)を介して車両ボディ(10)に固定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
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