JP4094628B2 - 大型バルコニー - Google Patents

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本発明は、主にマンション等の集合住宅に設けられる大型バルコニーに関し、特に良好な採光と通気性を保持しつつ、容積率算定の床面積に算入される部分を少なくして現実的により広いバルコニーを提供する。
一般に、マンション等の集合住宅には、室内空間の延長としてバルコニーが各住戸の室外側に突き出して設けられることが多い。バルコニーはガーデニングやサンデッキ等の場として活用できるだけでなく、洗濯物を干したり、エアコンの室外機などを設置したりするペースとして利用でき、さらに火災時などに隣の住戸に避難するための避難通路としても利用することができる。
このため、最近ではより広いバルコニーの設置が望まれるようになり、この要望に答える最も簡単な方法として、単にバルコニーの奥行きを深くすることが考えられる。
ところで、バルコニーに対しても建築基準法上の容積率に関する規定が適用され、原則としてバルコニーの先端から住戸側に奥行き2mまでの部分については床面積に算入されないが、2mを超える部分については床面積に算入される。
特許第3342431号 特開2001−295483号公報 特開平11−124901 特開2000−199347号公報
単にバルコニーの奥行きを深くしただけでは、バルコニーの先端から住戸側に奥行きが2mを超えた部分については、上記した法上の規制により床面積に算入されてしまうため、特に容積率の厳しい地域に建設される集合住宅のバルコニーには不利であり、現実的とはいえない。
また、奥行きが深くなるにしたがって、バルコニーの先端から住戸までの距離が長くなり、そのためバルコニーに遮られて太陽光を住戸に充分採り込むことができないだけでなく、住戸の通気性も悪くなる等の課題が生ずる。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、各住戸の良好な採光と通気性を保持しつつ、容積率算定の床面積に算入される部分を少なくして現実的により広い大型バルコニーを提供することを目的とするものである。
請求項1記載の大型バルコニーは、互いに隣接する複数の住戸にそれぞれ配置された大型バルコニーであって、各住戸の柱および梁の室外側にバルコニー全体が突き出して設けられ、前記柱および梁は住戸とバルコニーとの間に設けられた開口部より室内側よりに配置され、各住戸の柱および梁の室外側に前記住戸および隣接する住戸のバルコニーに接して吹抜け部が設けられ、当該吹抜け部の前記住戸と対峙する側に隣接する住戸のバルコニーに通じる避難通路が設けられ、かつ住戸から室外側に突き出す片持ち梁が前記吹抜け部に接して設けられていることを特徴とするものである。
請求項2記載の大型バルコニーは、互いに隣接する複数の住戸にそれぞれ配置された大型バルコニーであって、各住戸の柱および梁の室外側にバルコニー全体が突き出して設けられ、前記柱および梁は住戸とバルコニーとの間に設けられた開口部より室内側よりに配置され、各住戸の柱および梁の室外側に前記住戸および隣接する住戸のバルコニーに接して吹抜け部が設けられ、前記大型バルコニー部分に広いスペースを利用して避難用ハッチが設けられ、かつ住戸から室外側に突き出す片持ち梁が前記吹抜け部に接して設けられていることを特徴とするものである。
請求項3記載の大型バルコニーは、請求項1または2に記載の大型バルコニーにおいて、片持ち梁を逆梁としたことを特徴とするものである。
本発明は特に、吹抜け部が設けられたことで、奥行きが2mを超えるバルコニーであっても、バルコニーの先端から2mまでの部分については床面積に算入されないことに加え、さらに吹抜け部周縁の各部から2mまでの部分についても床面積に算入されないため、現実的に広いバルコニーを提供することができる。
また、吹抜け部は住戸に接して設けられているため、バルコニーの奥行きが深くなっても、太陽光がバルコニーに遮られることなく、吹抜け部を通して住戸の奥深くまで充分に採り込むことができ、また通気性を損なうこともない。
したがって、本発明の大型バルコニーによれば、これまで以上に広いスペースをガーデニングやサンデッキ等の場として活用でき、一戸建と変わらないライフスタイルを享受することができる。また、広いスペースを利用し、必要に応じて避難用のハッチや梯子などの避難設備も備え付けることができる。
なお、この場合のバルコニーおよび吹抜け部の周囲には、転落防止のために例えば、手すり、フェンス、腰壁などを設けることができるが、これらはいずれも、建築基準法上の「吹きさらしの廊下」の要件を満足するように設けてあればよい。すなわち、外気に有効に開放されている部分の高さが1,1m以上で、かつ天井高の1/2以上であること等の要件を満足するように設ければよい。また、この要件を満足するものであれば、必要に応じて柱や壁などを配置して耐震性を高めることもできる。
また、一般に吹抜け部とは、玄関ホール等に最上階まで連続する空間をいうが、ここにいう吹抜け部とは、上下階に貫通し、少なくとも採光と通気を確保可能な開口も含む。また、吹抜け部の位置や形状等は特に限定されないが、少なくとも吹抜け部の一部がバルコニーの先端から住居側に2m後退した位置に設けられていればよい。
なおここで、「バルコニーが住戸に近接して設けられている」とは、バルコニーが住戸とほぼ接するように設けられていることを意味し、施工上または構造上必要なわずかなスペース、さらには窓拭きなどのメンテナンス用やエアコン設置用のスペース等がある場合も含まれる。
本発明は特に、住戸側で火災などが発生した場合に備えたものであり、住戸から充分離れた通路を通って隣の住戸に安全に避難することができる。本発明の場合、バルコニーの奥行きが深くても、バルコニーの先端部分の雨掛りに加えて、バルコニーの両側部分の雨掛りも吹抜け部を通して確保することができるため、バルコニーの先端部分のみならず両側にも様々な植栽を施すことにより戸建てと代わらない癒しのある庭を提供することができる。
また、バルコニーの周囲に植栽を施すことで、雨のバルコニーへの吹き込みが抑制され、バルコニーの目隠しにもなる。
また、吹抜け部が隣接する各住戸のバルコニーに接して設けられていることで、吹抜け部が住戸間の緩衝帯となり、住戸間のプライバシーを確保することができる。本発明は、吹抜け部に接して片持ち梁が設けられていることで、抜抜け部を設けたことによるバルコニーの強度低下を低減することができるため、必要に応じて大きな吹抜け部を設けることができる。
本発明は奥行きが相当深いバルコニーであっても、吹抜け部が設けられたことで、吹抜け部の各部から2mまでの部分についても床面積に算入されないため、現実的により広いバルコニーを提供することができる。また、吹抜け部を通して良好な採光と通気性、さらに広い雨掛り部分を確保することもできる。
図1〜図3は、マンションとして建設された集合住宅を示し、図1はその外観を示す一部正面図、図2は基準階の一部平面図、そして、図3(a),(b)は基準階の一部縦断面図である。
図において、互いに独立した住戸1,1が互いに隣接して配置され、各住戸1の室外側には大型のバルコニー2がそれぞれ設けられ、さらに当該各バルコニー2に吹抜け部3がそれぞれ設けられている。
また、住戸1とバルコニー2との間に開口部4が設けられ、当該開口部4を通して住戸1とバルコニー2との間を自由に行き来でき、また採光と通気がなされている。
バルコニー2は、各住戸1の外壁から室外側に所定長さ突き出して設けられ、当該バルコニー2の横幅(間口)Wは住戸1の横幅とほぼ等幅とされ、また各バルコニー2の先端から住戸1までの奥行きLは2mを超えている。
吹抜け部3の住居1側は住戸1に近接し、その反対側はバルコニー2の先端から住居1側に2m後退した位置より室外側に延長して設けられている。なお、この場合の吹抜け部3の住戸1側は、住戸1とバルコニー2との間に配置された柱5と大梁6を挟んで住戸1に近接して設けられている。
また、吹抜け部3は隣接する住戸1のバルコニー2に接して設けられ、当該吹抜け部3と接する位置に、住戸1側から屋外側に突出する片持ち梁7が室外側に突き出して設けられ、さらに、吹抜け部3の住戸1と対峙する側には隣接する住戸1のバルコニー2に通じる避難通路8が設けられている。
このように構成されたバルコニー2の周囲と吹抜け部3の周囲には、転落防止のため、手すり付きのフェンス9が設置されている。フェンス9は特に、採光と通気性を遮らないようなもの、例えば格子やネット等から形成されている。
このような構成において、各住戸1の屋外側に設置されたバルコニー2の奥行きLが4m、幅Wが6程度である場合、バルコニー2の先端から住戸1側に2m後退した部分S(図2において斜線部分)については、法上の規定により床面積に算入されない。
また、吹抜け部3が設けられたことで、吹抜け部3の周縁部から2m後退した部分S(図2において網目部分)も床面積に算入されない。したがって、奥行きL=4mのバルコニーを設置したとしても、床面積に算入される部分はほとんどなくなるため、容積率を算定する上で非常に有利となり、現実的により広いバルコニー2を提供することができる。
また、バルコニー2の奥行きが4mと相当深くても、吹抜け部3が設けられ、
当該吹抜け部3は特に住戸1に接して設けられているため、太陽光を住戸1の奥深くまで採り込むことができ、また吹抜け部3は上下階を貫通しているため通気性もよい。
また、バルコニー2の奥行きが深くなっても、バルコニー2の先端部分の雨掛りに加えて、バルコニー2の両側部分の雨掛りも吹抜け部3を通して確保することができるため、バルコニー2の外周に植栽を施すことにより戸建てと代わらない癒しのある庭を提供することができる。符号10は植栽として配置されたプランターである。
なお、住戸1とバルコニー2との間に配置された柱5と大梁6を開口部4よりやや室内側より配置し、バルコニー2を住戸1に近接して配置することで、開口部4の内法高を高くして太陽光をより多く住戸に採り込むことができ、また通気性を高めることができる。さらに、吹抜け部3に接して配置された片持ち梁7を、逆ハンチ付きのいわゆる逆梁とすることにより、片持ち梁7によって太陽光が遮られることもない。
本発明は、本発明は良好な採光と通気性を保持しつつ、容積率算定の床面積に算入される部分を少なくして現実的により広いバルコニーを提供でき、特にマンション等の集合住宅のバルコニーとして実用性が期待される。
集合住宅の外観を示す一部正面図である。 基準階を示す一部平面図である。 (a),(b)は基準階を示し、それぞれ図2におけるイ−イ線、ロ−ロ線断面図である。
符号の説明
1 住戸
2 バルコニー
3 吹抜け部
4 開口部
5 柱
6 大梁
7 片持ち梁
8 避難通路
9 フェンス
10 プランター

Claims (3)

  1. 互いに隣接する複数の住戸にそれぞれ配置された大型バルコニーであって、各住戸の柱および梁の室外側にバルコニー全体が突き出して設けられ、前記柱および梁は住戸とバルコニーとの間に設けられた開口部より室内側よりに配置され、各住戸の柱および梁の室外側に前記住戸および隣接する住戸のバルコニーに接して吹抜け部が設けられ、当該吹抜け部の前記住戸と対峙する側に隣接する住戸のバルコニーに通じる避難通路が設けられ、かつ住戸から室外側に突き出す片持ち梁が前記吹抜け部に接して設けられていることを特徴とする大型バルコニー。
  2. 互いに隣接する複数の住戸にそれぞれ配置された大型バルコニーであって、各住戸の柱および梁の室外側にバルコニー全体が突き出して設けられ、前記柱および梁は住戸とバルコニーとの間に設けられた開口部より室内側よりに配置され、各住戸の柱および梁の室外側に前記住戸および隣接する住戸のバルコニーに接して吹抜け部が設けられ、前記大型バルコニー部分に広いスペースを利用して避難用ハッチが設けられ、かつ住戸から室外側に突き出す片持ち梁が前記吹抜け部に接して設けられていることを特徴とする大型バルコニー。
  3. 片持ち梁を逆梁としたことを特徴とする請求項1または2に記載の大型バルコニー。
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