JP4094287B2 - スタッキング椅子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積み重ねて収納することができる椅子(一般にはスタッキング椅子あるいは積み重ね椅子と呼ばれる)に関する。更に詳述すると、本発明は、積み重ねられる椅子と椅子との間に一定の隙間を与えるためのスペーサの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に従来のスタッキング椅子101の一例を示す。このスタッキング椅子101は、脚フレーム106の前脚部102及び上フレーム部105を後脚部103及び下フレーム部104よりも内側にオフセットさせており、他のスタッキング椅子101を座の上に積み重ねようとするときに下のスタッキング椅子の脚フレーム106の外側に上のスタッキング椅子101の脚フレーム106が配置されて積み重ねを可能とするように設けられている。ここで、左右の脚フレーム106の下フレーム部104には、床面に向けて突出する脚キャップ105がそれぞれ前後に取り付けられている。この脚キャップ105は、椅子の積み重ね時に下側のスタッキング椅子101の下フレーム部104に載ることによって、その突出量(脚キャップ高さ)分だけ上側のスタッキング椅子101を浮かせて上側のスタッキング椅子の座107と下側のスタッキング椅子101の座107との間に隙間をあけて下側の座107のクッション材が上側の座107によって潰されないようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のスタッキング椅子101では、上の椅子の脚キャップ105を下の椅子の下フレーム104の上に載せることで上下のスタッキング椅子101の間の隙間を確保しながら積み上げるようにしているので、積み上げ時の椅子の傾きや脚106の変形等により一部の脚キャップ105が下フレーム104からずれてしまうと、積み重ねられたスタッキング椅子101が傾いてしまう問題を有している。特に、下フレーム部のパイプが細い場合には、脚キャップ105が下フレーム104の上からずれ易いため、椅子の積み上げが斜めになり易い。1カ所でも斜めになると、それ以降(上の方)は全て斜めになるため、積み上げ脚数が増えるに従って姿勢が不安定になる。
【0004】
本発明は、積み重ねたスタッキング椅子の傾きを防止し、積み重ね時の安定化を図ることができるスタッキング椅子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、積み重ね時に互いに当接する部分を少なくとも上下に有するスタッキング椅子において、下の当接部分よりも下あるいは上に突出する第1のスペーサと、上の当接部分よりも下に突出する第2のスペーサとを備え、スペーサの少なくとも一方が積み重ねられた他のスタッキング椅子と当接して上下の座の間に隙間を設けるようにしている。
【0006】
したがって、スタッキング椅子を積み重ねると、第1のスペーサと第2のスペーサの少なくとも一方によって上側のスタッキング椅子が下側のスタッキング椅子に対して第1ないし第2のスペーサの突出量の分だけ浮上して、複数のスタッキング椅子を座同士が接触しない状態で積み重ねることができる。第1のスペーサと第2のスペーサのそれぞれがスタッキング椅子間に隙間を生じさせるように機能するので、脚の変形等によっていずれか一方のスペーサがずれたとしても、もう一方のスペーサによってスタッキング椅子の隙間を適正に維持することができ、また、スタッキング椅子の大きな傾きを防止することができる。また、第1のスペーサと第2のスペーサとが同時に下のスタッキング椅子に当接するときには、積み重ねたスタッキング椅子の荷重を第1のスペーサと第2のスペーサとに分散させて支持することができる。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のスタッキング椅子において、第1のスペーサと第2のスペーサとが、積み重ね脚数が少ない時にはいずれか一方が主となって他のスタッキング椅子に当接し、積み重ね脚数が増えて下層のスタッキング椅子にかかる重量が増加するに伴って他方のスペーサも補助的に当接する関係にあるようにしている。この場合、例えば積み重ね脚数が少なくスタッキング椅子にあまり大きな荷重が掛かっていない状態では、一方のスペーサのみが他のスタッキング椅子に主に当接して直ぐに立脚する。即ち、生じさせる隙間が広い方のスペーサ、換言すれば突出量(高さ)が大きい方のスペーサが優先的に下のスタッキング椅子と当接して積み重ねられる。そして、積み重ねの脚数が多くなりスタッキング椅子に掛かる荷重が大きくなると、既に他のスタッキング椅子に当接しているスペーサに加え、もう一方のスペーサも他のスタッキング椅子に当接する。即ち、スタッキング椅子に大きな荷重が掛かることでスタッキング椅子に撓み等が発生して積み重ねの間隔が狭くなり、生じさせる隙間が狭い方のスペーサ、換言すれば突出量(高さ)が小さい方のスペーサも他のスタッキング椅子に当接して多点支持される。そして、大きな荷重を両方のスペーサに分散させて支持することができる。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のスタッキング椅子において、第2のスペーサが座成形品に一体に設けられるようにしている。したがって、座成形品を脚フレームに取り付けると同時に第2のスペーサの取付を完了できるので、第2のスペーサをわざわざ取り付ける手間がかからない。しかも、座成形品の射出成形時に同時に第2のスペーサを形成することができるので、第2のスペーサの製造並びに部品管理が容易である。
【0009】
更に、請求項4記載の発明は、請求項3記載のスタッキング椅子において、上の当接部分は座を支持する上フレーム部であり、かつ第2のスペーサが上フレーム部を把持して座成形品を上フレーム部に固定するクリップを兼ねるようにしている。この場合には、座成形品の変形や撓みが生じても、第2のスペーサを上フレーム部から下に確実に突出させ得る。しかも、上フレーム部にクリップ部分の抱き込むようにして把持することで座成形品を装着するとと同時に第2のスペーサの取付を完了できるので、第2のスペーサをわざわざ取り付ける手間がかからない。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載のスタッキング椅子において、座成形品が上フレーム部及び座周縁部を覆う座カバーであるようにしている。したがって、脚フレームの上フレーム部及び座の周縁部を覆う外観部材並びに保護部材としての座カバーを装着すると同時に第2のスペーサの取付を完了できるので、第2のスペーサをわざわざ取り付ける手間がかからない。また、第2のスペーサが当接する位置が座カバー部分となり、第2のスペーサと座のクッション部分との当接を回避することができる。しかも、座カバーの射出成形時に同時に第2のスペーサを形成することができので、第2のスペーサの製造並びに部品管理が容易である。更に、座カバーの変形や撓みが生じても、第2のスペーサを上フレーム部から下に確実に突出させ得る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1から図4に、本発明のスタッキング椅子をサークル脚椅子に適用した実施形態の一例を示す。このスタッキング椅子1は、前後の脚部2,3と底辺となる下フレーム部4並びに座を受け支える上フレーム部9との積み重ね時に互いに当接する部分を少なくとも上下に備える脚フレーム6によって座5を支持し、且つ座5を他のスタッキング椅子1の座5に重ねて積み重ねることが可能な構成とされている。このスタッキング椅子1は、下フレーム部4よりも下あるいは上に突出する第1のスペーサ7と、上フレーム部9よりも下に突出する第2のスペーサ8とを備え、スペーサ7,8の少なくとも一方が積み重ねられた他のスタッキング椅子と当接して上下の座5の間に隙間を設けるように構成されている。脚フレーム6は、1本のフレームを折り曲げることによって、前後の脚部2,3と下フレーム部4並びに上フレーム部9とを連続的に形成する所謂サークルフレームと呼ばれるものである。この脚フレーム6を左右に配置して図示していない横パイプないし横板で互いに連結することにより、座5を支持する脚を構成している。ここで、左右一対の脚フレーム6の前脚部2及び上フレーム部9は、後脚部3及び下フレーム部4よりも内側にオフセットさせており、他のスタッキング椅子1を座5の上に積み重ねようとするときに下のスタッキング椅子の脚フレーム6の外側に上のスタッキング椅子1の脚フレーム6が配置されて積み重ねを可能とするように設けられている。
【0013】
尚、本実施形態では、座5は、左右の脚フレーム6の上フレーム部9によって支持されている。例えば、上フレーム部9に溶接付けされた支持板9aあるいは図示していない座枠などに座5を取付けることによって支持されている。ここで、座5は、例えば図示していない座枠に対して座面を構成できるだけの張力や強度を有するメッシュシートを張り付けたものや、更にはメッシュシートの上に必要に応じてクッション材や上張り地を覆ったもの、あるいは硬質の座板にクッション材と上張り地を施したものなど、様々な構造や材料からなる座の採用が可能である。
【0014】
本実施形態では、座5は上フレーム部9及び座の周縁部を覆う外観部材並びに保護部材としての座カバー10を装着している。座カバー10には、図6に示すように、上フレーム部9を抱え込むように把持して当該座カバー10を上フレーム部9に係止させるためのクリップ11が設けられている。このクリップ11は、図5に示すように、座カバー10の内側の上フレーム部9と接する面のほぼ中央位置に一体成形されており、更にその先端側に第2のスペーサ8が一体成形されている。クリップ11は第2スペーサ8と座カバー10の側壁面とを連結するリブで構成されており、その内側の上フレーム部9に接触する部分はパイプ外径と同じ曲率半径の曲面とされている。また、座カバー10のクリップ11よりも内側の面には、クリップ11との間で上フレーム部9を挟むリブ10aが設けられている。そして、このリブ10aとクリップ11との間で上フレーム部9を抱え込んで、座カバー10を上フレーム部9に押し込むだけで取り付け得るように設けられている。第2のスペーサ8は、クリップ11の底面に一体成形されており、スタッキング椅子1を重ねた場合に下側のスタッキング椅子1の座カバー10の表側の面と当接して下側のスタッキング椅子1の座5から上側のスタッキング椅子1の座5を離間させる。
【0015】
また、脚フレーム6の下フレーム部4には、第1のスペーサ7が固定されている。第1のスペーサ7は、下フレーム部4の前後2箇所に例えばねじ止めなどによって取り付けられている。第1のスペーサ7は下フレーム部4の下方に突出しており、図7に示すように、スタッキング椅子1を重ねた場合に下側のスタッキング椅子1の下フレーム部4から上側のスタッキング椅子1の下フレーム部4を離間させる。
【0016】
第1のスペーサ7が生じさせる上下の座5の隙間と第2のスペーサ8が生じさせる上下の座5の隙間は異なっている。即ち、第1のスペーサ7の高さ(突出量)と第2のスペーサ8の高さ(突出量)とは、僅かに異なり、少ない脚数をスタッキングする時には第2のスペーサ8とその下の座カバー10との間に微妙な隙間を開けるように設定されている。本実施形態では、例えば第1のスペーサ7が生じさせる隙間は第2のスペーサ8が生じさせる隙間よりも若干、例えば数mm程度広くなっている。
【0017】
なお、第1のスペーサ7の外側の側面には引掛けアーム7aが設けられており、複数のスタッキング椅子1を左右に並べて配置した場合に隣り合うスタッキング椅子1の引掛けアーム7a同士を繋げることができるようになっている。即ち、第1のスペーサ7は左右に並べたスタッキング椅子1を連結する手段としても機能する。図中の符号12は背凭れである。
【0018】
以上のように構成されたスタッキング椅子によると、床に置いたスタッキング椅子1の両脚フレーム6の外側に別のスタッキング椅子1の両脚フレーム6を斜め前方から差し込むことで、スタッキング椅子1を上下に積み重ねることができる。
【0019】
このとき、上側のスタッキング椅子1の第1のスペーサ7と第2のスペーサ8のうち、突出量(高さ)が大きい方のスペーサ即ち相手側部材との間に生じさせる隙間が広い方のスペーサ、本実施形態では第1のスペーサ7が下のスタッキング椅子1の対応する箇所即ち下フレーム部4に当接し、下側のスタッキング椅子1に対して上側のスタッキング椅子1を突出量分だけ浮いた状態で支持する。この状態では、上下のスタッキング椅子1の座5の間隔即ち第1のスペーサ7が生じさせる隙間が第2のスペーサ8が生じさせる隙間よりも若干広く、第2のスペーサ8は図6に示すように若干浮き上がっている。即ち、積み重ねの脚数が少なくスタッキング椅子1にあまり大きな荷重が加わっていない状態では、第1のスペーサ7のみが下のスタッキング椅子1の下フレーム部4に当接し、積み重ねたスタッキング椅子1の座5の間に隙間をあけてこれら座5同士の接触を防止する。
【0020】
そして、積み重ねの脚数が多くなりスタッキング椅子1に掛かる荷重が大きくなると、スタッキング椅子1の撓み等によってスタッキング椅子1の座5の間隔が狭くなり、第1のスペーサ7に加えて第2のスペーサ8も当接するようになる。即ち、大きな荷重がかかると、多点支持となり積み重ね姿勢を安定させると共に、荷重を第1のスペーサ7と第2のスペーサ8によって分散させて支持し、積み重ねたスタッキング椅子1の座5同士の接触を防止する。
【0021】
このように、スタッキング椅子1に掛かる荷重の大きさに応じて当接させるスペーサ7,8の数を変化させることができるので、積み重ねを安定化することができる。しかも、スタッキング椅子1を積み重ねる場合、最初から両方のスペーサ7,8を当接させる場合に比べて、両方のスペーサ7,8の製造時の寸法誤差や取付誤差などの影響を受けることが少なく、スタッキング椅子1を傾けずに真上に容易に積み重ねることが可能となる。
【0022】
また、スタッキング椅子1に掛かる荷重があまり大きくない場合であっても、脚フレーム6の変形や横滑りなどにより第1のスペーサ7がその下の下フレーム部4からずれたときには第2のスペーサ8が座カバー10に当接する。このため、第1のスペーサ7が下フレーム部4からずれたときでも、積み重ねたスタッキング椅子1が大きく傾斜することがなく、スタッキング椅子1を安定的に積み重ねることができる。
【0023】
第2のスペーサ8は座カバー10に形成されたクリップ11に一体成形されているので、第2のスペーサ8を別部材としてわざわざ取り付ける必要がなくなる。また、第2のスペーサ8が当接する位置が平坦面から成る座カバー10の周縁部分となり、曲面からなるパイプとは異なって横滑りし難く、クッション部分への当接を避けることができる。即ち、第2のスペーサ8によって座板10のクッション部分を変形させてしまうことがない。
【0024】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では第2のスペーサ8を座カバー10のクリップ11と一体成形していたがこれに特に限定される理由はなく、クリップ機能を持たせずに座カバー10と一体成形したり、第2のスペーサ8を独立した部材(ブロック)として上フレーム部9又は座カバー10にビス止めや接着などで取り付けるようにしても良い。また、本実施形態では、第2のスペーサ8は金型コストを安価にするため左右の辺の中央に1カ所ずつとしているが、場合によっては第1スペーサ7と同様に前後に1カ所ずつ、計4カ所設けるようにしても良いし、更にはそれ以上の数を設けるようにしても良い。また、第1のスペーサ7の数も前後に1つずつの2カ所ではなく、それ以上設けるようにしても良い。
【0025】
更に、座を樹脂成形品で構成する場合には、第2のスペーサを座と一体成形することも可能である。即ち、クツション材並びに上張り地を支持する座板を樹脂製シェルとしたり、樹脂製枠とこれに一体成形ないし後付により一体化されるメッシュシートなどのテンション材とで座を構成したり、座の樹脂製枠を構造体としてメッシュシートを張設した場合などに、これら樹脂製シェルや枠などと一体に第2のスペーサ8を形成したり、あるいはそれらに第2のスペーサ8をビス止めなどで固定したりすることも可能である。これら、樹脂製シェルないし枠は、図示していないが、上フレーム部9に取り付けられて支持される。
【0026】
また、第1のスペーサ7と第2のスペーサ8との高さの関係、即ち相手側部材との間に生じさせる隙間の大きさの関係は、場合によっては第2のスペーサ8が生じさせる隙間を第1のスペーサ7が生じさせる隙間よりも若干広くし、まず最初に第2のスペーサ8を他のスタッキング椅子1に当接させた後、荷重の増加に応じて第1のスペーサ7も他のスタッキング椅子1に当接させるようにしても良いし、更には第1のスペーサ7が生じさせる隙間と第2のスペーサ8が生じさせる隙間の広さを同じにし、両方のスペーサが同時に他のスタッキング椅子1に当接するようにしても良い。
【0027】
更に、上述の説明では、第1のスペーサ7を下フレーム部4の下方に突出させていたが、第1のスペーサ7を下フレーム部4の上方に突出させ、積み重ねられるスタッキング椅子の下フレーム部4の下面と当接させるようにしても良い。
【0028】
また、上述の説明では、脚フレーム6に上フレーム部9を設けて当該上フレーム部9によって座カバー10や座5を支持するようにしていたが、必ずしもこのような支持構造に限るものではなく、例えば上フレーム部9を省略し、前後の脚部2,3によって直接座5あるいは座カバー10を支持するようにしても良い。この場合でも、座カバー10に設けられた第2のスペーサ8は下のスタッキング椅子1の座カバー10の上面に当接して隙間を開けることができる。また、このような場合においても、座を樹脂成形品として第2のスペーサを射出成形時に一体成形することも可能である。
【0029】
更に、本実施形態では主に所謂サークル脚の椅子に適用した場合について主に説明したが、積み重ね時に互いに当接する部分を少なくとも上下に有するのであれば特定の脚構造には限定されず、例えば、図示していないが、所謂カンチレバー脚についても適用可能である。このカンチレバー脚は、脚フレームの脚部が前脚部ないし後脚部のいずれか一方しかなく、座を支持する上フレーム部を床面に当接する下フレーム部(脚座とも呼ばれる)との間で脚フレームのばね性を利用して片持ち支持する構造である。このカンチレバー脚の場合、座及び座を支える上フレーム部が脚座となる下フレーム部よりも幅が狭く形成され、これらを連結する脚部例えば前脚部が傾斜することよって積み重ね可能な構造とされている。そして、下の当接部分たる下フレーム部に第1のスペーサ7を、上の当接部分たる上フレーム部に第2のスペーサ8をそれぞれ設置するようにして、スペーサ7,8の少なくとも一方が積み重ねられた他のスタッキング椅子と当接して上下の座の間に隙間を設けるようにしても良い。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載のスタッキング椅子によると、脚の変形等によっていずれか一方のスペーサがずれたとしても、もう一方のスペーサによってスタッキング椅子の座の間隔を適正に維持することができると共に、スタッキング椅子の大きな傾きを防止することができる。また、積み重ねたスタッキング椅子の荷重を第1のスペーサと第2のスペーサとに分散させて支持することができる。これらのため、積み重ねの安定化を図ることができる。
【0031】
また、請求項2記載のスタッキング椅子によると、スタッキング椅子に掛かる荷重の大きさに応じて当接するスペーサの数を増やして多点支持することができるので、支持点の増加と荷重の分散により安定支持できる。しかも、スタッキング椅子を積み重ねる場合、最初から両方のスペーサを当接させる場合に比べて、両方のスペーサの製造時の寸法誤差や取付誤差などの影響を受けることが少ないので、スタッキング椅子を傾けずに真上に容易に積み重ねることが可能となり、積み重ねの安定化をより一層図ることができる。
【0032】
また、請求項3記載の発明によると、座成形品を脚フレームに取り付けると同時に第2のスペーサの取付を完了できるので、第2のスペーサをわざわざ取り付ける手間がかからない。しかも、座成形品の射出成形時に同時に第2のスペーサを形成することができるので、第2のスペーサの製造並びに部品管理が容易であると共に部品点数を低減させて製造コストを下げうる。
【0033】
また、請求項4記載の発明によると、座成形品の変形や撓みが生じても、第2のスペーサを上フレーム部から下に確実に突出させて確実に座成形品と当接させて積み重ね姿勢を安定にすることができる。しかも、上フレーム部にクリップ部分の抱き込むようにして把持することで座成形品を装着すると同時に第2のスペーサの取付を完了できるので、第2のスペーサをわざわざ取り付ける手間がかからない。
【0034】
また、請求項5記載の発明によると、外観部材並びに保護部材である座カバーを脚フレームの上フレーム部に装着すると同時に第2のスペーサの取付を完了できるので、第2のスペーサをわざわざ取り付ける手間がかからない。また、第2のスペーサが当接する位置が座カバー部分となり、第2のスペーサと座のクッション部分との当接を回避することができ、第2のスペーサによって座のクッション部分を潰してしまうことを防止することができる。しかも、座カバーの射出成形時に同時に第2のスペーサを形成することができので、第2のスペーサの製造並びに部品管理が容易である。更に、座カバーの変形や撓みが生じても、第2のスペーサを上フレーム部から下に確実に突出させ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスタッキング椅子の実施形態の一例を示す側面図である。
【図2】同スタッキング椅子の正面図である。
【図3】スタッキング椅子の積み重ね状態を示す側面図である。
【図4】スタッキング椅子の積み重ね状態を示す正面図である。
【図5】同スタッキング椅子の座カバーの底面を示す斜視図である。
【図6】第2のスペーサを示す断面図である。
【図7】第1のスペーサを示す断面図である。
【図8】従来のスタッキング椅子の側面図である。
【符号の説明】
1 スタッキング椅子
2 前脚部
3 後脚部
4 下フレーム部
5 座
6 脚フレーム
7 第1のスペーサ
8 第2のスペーサ
9 上フレーム部

Claims (5)

  1. 積み重ね時に互いに当接する部分を少なくとも上下に有するスタッキング椅子において、前記下の当接部分よりも下あるいは上に突出する第1のスペーサと、前記上の当接部分よりも下に突出する第2のスペーサとを備え、前記スペーサの少なくとも一方が積み重ねられた他のスタッキング椅子と当接して上下の座の間に隙間を設けることを特徴とするスタッキング椅子。
  2. 前記第1のスペーサと前記第2のスペーサとは、積み重ね脚数が少ない時にはいずれか一方が主となって他のスタッキング椅子に当接し、積み重ね脚数が増えて下層のスタッキング椅子にかかる重量が増加するに伴って他方のスペーサも補助的に当接する関係にあることを特徴とする請求項1記載のスタッキング椅子。
  3. 前記第2のスペーサは座成形品に一体に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のスタッキング椅子。
  4. 前記上の当接部分は前記座を支持する上フレーム部であり、かつ前記第2のスペーサは前記上フレーム部を把持して前記座成形品を前記上フレーム部に固定するクリップを兼ねていることを特徴とする請求項3記載のスタッキング椅子。
  5. 前記座成形品は前記上フレーム部及び座周縁部を覆う座カバーであることを特徴とする請求項4記載のスタッキング椅子。
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