JP4093606B2 - 半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の製造方法に関し、特に、光通信システムや光情報処理システム等の光源として用いるリッジ構造を有する実屈折率導波型半導体レーザー素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のリッジ構造を有する実屈折率導波型半導体レーザ素子の製造方法として、特開平1−117327号公報に開示された方法を説明する。図4に、同公報に開示された作製方法を示す。図4において、41はn−GaAs基板、42はn−GaAsバッファ層(厚さ1μm)、43はn−Al0.4Ga0.6Asクラッド層(厚さ2μm)、44はGaAs(100Å)/Al0.2Ga0.8As(30Å)多重量子井戸活性層(4ウェル)、45はp−Al0.4Ga0.6Asクラッド層(厚さ1.5μm)、46はp−GaAsキャップ層(厚さ1.5μm)である。
【0003】
まず、上記の層を積層した後、p−GaAsキャップ層45の上に2.5μm幅のフォトマスクを形成し、p−GaAsキャップ層45及びp−Al0.4Ga0.6Asクラッド層46をGaAs/Al0.2Ga0.8As多重量子井戸活性層44の手前0.2μmまでRIE(反応性イオンエッチング)法により、エッチング除去してリッジ部を形成する。以上の工程までの半導体レーザ素子の断面図を図4(a)に示す。
【0004】
次に、全面をプラズマCVD(化学気相成長)法により、厚さ1200Åの絶縁膜であるSiN膜47で被覆する。以上の工程までの半導体レーザ素子の断面図を図4(b)に示す。
【0005】
この上からレジスト膜48(Az1370;ヘキスト製)をリッジ部外の平坦部上で1μm厚となるようにスピンコートする。以上の工程までの半導体レーザ素子の断面図を図4(c)に示す。
【0006】
この際、リッジ部直上のレジスト膜厚は、リッジ部外の平坦部のレジスト膜厚に比べ薄くなることを利用して、O2雰囲気でRIE法によりレジスト膜を全面に対してエッチングし、リッジ部直上のSiN膜のみを露出させる。以上の工程までの半導体レーザ素子の断面図を図4(d)に示す。
【0007】
次に、CF4雰囲気で、RIE法等でp−GaAsキャップ層46が露出するまで絶縁膜を除去する。以上の工程までの半導体レーザ素子の断面図を図4(e)に示す。
【0008】
以上の工程により、p−Al0.4GaO.6Asクラッド層45とSiN膜47の屈折率差による横方向の光閉じ込めと、電流をリッジ部に有効に注入するための窓構造が実現される。
【0009】
同公報によって示された製造方法を用いることによって、マスク合わせを必要とする困難なフォトリソグラフィー技術を伴わない、セルフアラインプロセスによるリッジ部直上の絶縁膜のみのエッチング除去が可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では以下の問題点があった。
【0011】
レジスト塗布後に、レジストエッチングを行い、リッジ部直上の絶縁膜のみを露出させる前述の工程において、図4(d)のようなレジスト形状を得るためには、リッジ部直上の絶縁膜を確実に露出させ、且つ、エッチングを適当な時間で終了することでリッジ部以外のレジスト膜は残す必要がある。従って、ウェハ面内で該レジスト膜の厚さに分布がある場合には、半導体素子製造における歩留まりの点で問題が生ずる。
【0012】
以下、図5(c)〜(e)を参照して、これについて詳しく説明する。
【0013】
通常の半導体レーザー素子製造においては、リッジ部とリッジ部との間隔はレーザーチップの取り扱いを容易にする等のため100〜400μm程度とされる。各層の屈折率に応じて光導波路としてのリッジ部の形状は、活性層より生じる光がp−GaAsキャップ層45の吸収の影響を及ぼさないようにリッジ部の高さを0.5〜2μm程度に、またレーザー光出力を上げても高次モードが出現しないようにリッジ幅を1〜5μm程度に設定する。
【0014】
半導体レーザ素子の上面にSiN膜47を成膜し、さらにその上にレジスト膜をスピンコートする際、リッジ部直上のレジスト膜厚と隣合うリッジ部とリッジ部の間の平坦部(以下、リッジ部外の平坦部と記す。)上とのレジスト膜厚とに十分な差を確保するためには、比較的低粘度(5〜30cst)のレジスト膜を低回転(3000〜5000rpm程度)でスピンコートする等、各条件を適宜選定することが必要である。しかし、ウェハ全面において均一に所望のレジスト形状を実現するのは容易ではなく、ウェハ周辺部においてはリッジ部近傍の平坦部上の膜厚「D’」が、リッジ直上部での厚さ「d」及びリッジから十分離れた平坦部での厚さ「D」に対してd<D’<Dとなる不良箇所50が比較的多く発生する。この状態での半導体レーザ素子の断面図を図5(c)に示す。
【0015】
この時、ドライエッチングでリッジ部直上の絶縁膜を確実に露出させるようにエッチングを行うことによって、リッジ部外の平坦部のSiN膜の一部47’も露出する。この状態での半導体レーザ素子の断面図を図5(d)に示す。
【0016】
次に、SiN膜のエッチングを行う工程ではリッジ部外の平坦部の半導体層の一部45’が露出することとなり、素子特性上好ましくない無効電流が発生する。この状態での半導体レーザ素子の断面図を図5(e)に示す。従って、該レジストエッチング時間を厳密に最適化することが必要になり、また、半導体レーザ素子製造における歩留まりが向上しない等の問題があった。
【0017】
以上の問題点を鑑みて、本発明に係る半導体レーザ素子の製造方法は、リッジ部の直上のみのSiN膜を除去する工程において、レジスト膜厚等のウェハ面内分布に対して許容範囲が広く、かつ、再現性にも優れたレジスト膜厚を調整する方法を提供して、特性の揃った良好な半導体レーザ素子を歩留り良く製造することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、微小突起部と平坦部を有する基板上に、前記微小突起部および平坦部を被覆するように第1の膜を形成する工程と、前記第1の膜上に、該第1の膜を介して、前記微小突起部および平坦部を被覆するようにレジスト膜を形成する工程と、前記基板を静止保持して、前記レジスト膜を現像液に、該現像液の攪拌を行わないで、浸液することによって、前記微小突起部直上にあるレジスト膜を、前記微小突起部以外の平坦部上にあるレジスト膜よりも、速く膜減りさせて、それによって、前記微小突起部上の第1の膜を露出させる工程と、前記露出させた微小突起部上の第1の膜を除去する工程とを備えることを特徴とする。
この発明のさらに好ましい実施態様によれば、前記微小突起部直上にあるレジスト膜が、前記微小突起部以外の平坦部上にあるレジスト膜よりも、概ね1.5倍以上速く膜減りするように、前記第1の膜を露出させる。
【0019】
又、本発明に係る請求項1に記載の半導体素子において、特に、前記微小突起部を有する基板が、リッジ構造を有する半導体レーザ素子を有した基板であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る請求項2に記載の半導体素子において、前記リッジ構造を有する半導体レーザ素子を有した基板において、リッジ部外の平坦部の寸法に対するリッジ部の幅の比が0.3より小さいことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0022】
図1に、リッジ構造を有する実屈折率導波型半導体レーザー素子の製造工程における本発明の実施の形態を示す。
【0023】
まず、下記に示す半導体層を積層し、その後、5μm幅のレジストマスクを用いてウェットエッチングにより幅2.5μm, 高さ1.3μmのリッジ部を形成し、レジストマスクを除去した後、基板全面にプラズマCVD法により絶縁膜であるSiN膜19を厚さ3000Å形成した状態である。以上の工程までの半導体レーザー素子の断面図を図1(a)に示す。ここで、11はn−GaAs基板、12はn−GaAsバッファ層(厚さ1μm)、13はn−Al0.6Ga0.4Asクラッド層(1μm)、14はAl0.18Ga0.82As活性層(0.08μm)、15はp−Al0.5Ga0.5Asキャリアバリア層(0.2μm)、16はp−Al0.25Ga0.75Asガイド層(0.1μm)、17はp−Al0.75Ga0.25Asクラッド層(0.8μm)、18はp−GaAsコンタクト層(0.5μm)である。
【0024】
この上からレジスト膜20(溶解阻止型ノボラック樹脂系ポジレジスト、粘度約5cst)を4000rpmでスピンコートし、ホットプレート上で90℃,100秒のソフトベーキングを行なう。以上の工程までの半導体レーザー素子の断面図を図1(b)に示す。ウェハ中心部のリッジ部から離れた平坦部上でのレジスト膜厚「D」は約5000Å、リッジ部直上でのレジスト膜厚「d」は約1000Åであり、またウェハ周辺部では、図5(c)に示したようなレジスト膜の薄い不良平坦部の厚みD’のウェハ面内での最小値「D’min」は約2000Åであった。
【0025】
このウェハのレジスト膜を感光させないまま、10℃に保った現像液(有機アルカリタイプ;テトラアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)中に60秒間静止保持し、膜減りさせる。(以下、現像液エッチングと記す。)この時、攪拌は行なわない。これによりSiN膜19'をリッジ部直上のみを露出させる。以上の工程までのレーザー素子の断面図を図1(c)に示す。
【0026】
次に、レジスト膜の耐薬品性を高めるため110℃,100秒のハードベークを行なう。その後、レジスト膜は侵さずSiN膜19に選択的にアタックするエッチャントBHF(バッファードフッ酸)を用いてGaAsコンタクト層18が露出するまでエッチングし、レジスト剥離、基板研磨、メタライゼーション等、通常のレーザーダイオードの製造プロセスを適用して半導体レーザ素子が完成する。以上の工程までの半導体レーザー素子の断面図を図1(d)に示す。
【0027】
現像液エッチング時間tに対するリッジ部外の平坦部上でのレジストの膜減り量「ΔD」及びリッジ部直上でのレジストの膜減り量「Δd」の変化を調べた結果を図2(a)に示す。上述した条件でレジスト膜をスピンコートし、10℃で現像液エッチングを行った。常にΔd>ΔDであり、ΔDはtの増大につれて飽和するが、Δdにおいてはこの傾向は顕著には認められないことがわかる。
【0028】
従って、リッジ部直上のレジスト膜を優先的に膜減りさせることができ、膜減り量の面内ばらつき(±約250Å)を考慮すると、図中に示した50<t<100(秒)程度の範囲では、リッジ部直上の厚さ約1000Åのレジスト膜を除去すると同時に
リッジ外平坦部での膜減り量ΔD<リッジ部外の平坦部で最も薄いレジスト膜厚D’min
も満たされ、確実にリッジ部外の平坦部での絶縁膜抜けによる不良発生を防止できる。
【0029】
一方、レジスト膜厚調整を、全面均一にドライエッチング等で行う場合には、レジスト膜厚の面内分布を直接反映するため、エッチングの面内ばらつきを考慮するとエッチング許容時間は非常に狭い範囲となり、リッジ部外の平坦部でのレジスト膜抜けを低減することは困難である。
【0030】
また、本発明のようにレジスト膜を未露光のまま現像液エッチングする方法では、レジストの膜減り量は各プロセス条件に依存する。以下では、溶解阻止型ノボラック樹脂系ポジレジストの有機アルカリタイプ現像液による現像液エッチングにおいて、望まれる各プロセス条件について説明する。
【0031】
まず、2.5μm幅のリッジ部直上の厚さ1000Åのレジスト膜をほぼ消失させるエッチング時間をΔt、リッジ外の平坦部上レジスト膜を同様に1000Å膜減りさせるのに要する時間をΔTとして、十分なプロセスマージンの取れるΔT/Δt≧1.5を基準に評価した。図2(a)の場合、ΔT/Δt=60/30=2である。ホットプレートによる100秒間のソフトベークの温度を横軸に取った場合のΔT/Δtを図2(b)に示す。レジストスピンコート及び現像液エッチングの条件は、図2(a)の時と同条件とした。70℃ではベークが不十分で溶媒がレジスト膜中に残るため、膜減り速度が大きくΔT/Δt=1となる。温度を上げればほぼΔT/Δt=2となるが、180℃以上ではリッジ上でレジストが丸く盛り上がる場合が見られ、評価が困難であった。また、150℃以上のベーク温度では、全てのプロセスが終了した後のレジスト剥離が困難になるので、80〜150℃程度でのベークが望ましい。110℃以上でベークする場合には、エッチング後のハードベークは不要である。
【0032】
現像液エッチング条件は変えず、ソフトベーク温度を90℃とし、その時間を変えて同様の実験を行なったところ、60秒以上でほぼΔT/Δt=2が得られた。ベーキングの効果はオーブンでも同様であり、例えば、ホットプレートで90℃,100秒の場合と等しい膜減り量を与えるのはオーブンで90℃,20分のベーキングというように実験的に対応付けられる。
【0033】
ソフトベーク条件をホットプレートで90℃,100秒に固定した場合、現像液温度が低い方が膜減り量が大きく、また、10℃程度においてΔT/Δtが最も大きく取れた。現像液温度が5〜25℃での現像液エッチングが望ましい。
【0034】
また、ΔT/Δtはリッジ幅にも依存する。図2(c)に、各リッジ幅によって変化するリッジ部直上のレジスト膜をエッチングする時間からΔT/Δtを評価した結果を示す。レジストスピンコート、ベーキング及び現像液エッチングは同図2(a)と同条件とした。同図よりリッジ幅4μm以下が望ましい。なお、リッジ幅3μm, リッジ高さ1.3μmの場合に、リッジ部の両側にあるエッチングされた平坦部の長さ(リッジ部外の平坦部の寸法と記す)が各々10μm程度以上あれば、ΔT/Δt≧1.5を満たすことも確認した。すなわち、リッジ幅/リッジ部外平坦部の幅≦0.3を満たせばリッジ部以外のクラッド層及びコンタクト層をエッチング除去して全て平坦化する必要はない。また、リッジ部の幅が4μm以下の場合に、特に、有効に本発明を実施できる。
【0035】
また、溶解阻止型ノボラック樹脂系ポジレジストの有機アルカリタイプ現像液による未露光状態での膜減りエッチングに関するプロセス条件について詳述したが、レジストおよび現像液の種類によらず、平坦部基板上での膜減り量が現像エッチング時間とともに飽和するようなレジストを用いた場合に、特に、本発明が有効であることはいうまでもない。
【0036】
図3には、本発明の他の実施の形態を示す。リッジ導波型半導体レーザーにおいては、絶縁膜以外にも、活性層よりもエネルギーギャップが大きく屈折率の小さい半導体層でリッジ外部を埋め込むことによって光吸収のない実屈折率ガイド構造とし、かつ該埋込層を基板と同じ伝導型の層あるいは高抵抗層を含む構成とすることで十分な電流狭窄構造を実現することができる。
【0037】
図3において、101はn−GaAs基板、102はn−GaAsバッファ層(厚さ0.5μm)、103はn−Al0.6Ga0.4As下部クラッド層(1μm)、104はAl0.15Ga0.85As活性層(0.05μm)、105はp−Al0.5Ga0.5As上部第1クラッド層(0.2μm)、106はp−GaAsエッチングストップ層(0.003μm)、107はp−Al0.25Ga0.75As上部第2クラッド層(1.2μm)、108はp−GaAsキャップ層(0.8μm)であり、n−GaAs基板101上にMOCVD法による結晶成長で順次形成される。フォトリソグラフィー技術により5μm幅のストライプ状のレジストマスク114を形成し、p−GaAsキャップ層108の上幅3μm、p−Al0.25Ga0.75As上部第2クラッド層107の下幅2μmとなるようウェットエッチングを行った。以上の工程までの半導体レーザ素子の断面図は図3(a)に示す。この2層よりなるリッジ部113の高さは、2μmである。
【0038】
リッジ形成に用いたレジストマスクを除去し、2回目のMOCVD法による結晶成長で、全面にn−Al0.7Ga0.3As電流ブロック層109、n−GaAs第1保護層110、p−GaAs第2保護層111を順次形成する。以上の工程までの半導体レーザー素子の断面図を図3(b)に示す。この際、p−GaAsキャップ層108直上では成長が進むにつれ平坦部が狭くなる。従って、2回目の結晶成長で最終的に形成される突起部の形状は、最上層の平坦部の幅は1μm程度と狭くなっている。このウェハ上にレジスト膜115を3000rpmでスピンコートし、90℃, 100秒のベーキングを行った。さらに、レジスト膜を感光させないまま20℃に保った現像液中で、60秒間静止保持しレジストを膜減りさせ、その後、110℃, 100秒のハードベークを行った。以上の工程までの半導体レーザー素子の断面図を図3(c)に示す。
【0039】
突起部上面が全面平坦な場合に比べ、本実施の形態に示す構造の半導体レーザ素子の作製では、レジストの膜厚分布の形状依存性によるリッジ部直上とリッジ外平坦部上のレジスト膜厚差が大きくなるとともに、現像液によるレジスト膜減り量のリッジ部直上とリッジ外平坦部上との差も大きくなるため、本発明による現像液を用いた不要層除去のためのレジスト膜厚調整方法がますます好適に使用できた。
【0040】
次に、リッジ部直上の不要な層を除去する。レジスト膜やAlGaAsに対しては作用せず、GaAsのみに選択的にアタックするエッチャント、例えばアンモニア系エッチャント(NH4OH:H2O2:H2O=1:30:50)を用いて、GaAs保護層110及び111を選択的にエッチング除去する。以上の工程までのレーザー素子の断面図を図3(d)に示す。さらに、残るn−Al0.7Ga0.3As電流ブロック層109を、例えば硫酸系エッチャント(H2SO4:H2O2:H2O=1:8:50)により、p−GaAsキャップ層108が露出するまでエッチング除去する。以上の工程までの半導体レーザー素子の断面図を図3(e)に示す。
【0041】
その後、レジスト膜115を剥離し、表面がほぼ平坦になったウェハ全面にp−GaAsコンタクト層を結晶成長し、基板研磨、メタライゼーション等、通常のレーザーダイオードの製造プロセスを適用して素子が完成する。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、突起部をもつ半導体素子において、突起部直上では不要かつ突起部以外の平坦部上では必要な層として、例えば絶縁膜を一旦全面に形成し、さらに突起部直上の不要層のみをエッチング除去する一連の工程において、突起部直上の不要層のみを露出させるためのレジスト膜厚調整を、本発明に係る方法で既存の設備である現像液、現像プロセスを用いて行なうことにより、ドライエッチング素子等を用いた場合に比べて、非常に低コストでセルフアラインに行なうことができる。
【0043】
さらに、上記レジスト膜厚等のウェハ面内分布に対して許容範囲が広く、かつ再現性に優れ、所望の構造の半導体素子を容易に歩留まりよく製造することができる。
【0044】
この他、本発明は、半導体レーザー素子として、少なくとも、周囲に対して実効的な屈折率を高め、かつ電流注入領域を限定する突起部を有する構造を持つ場合、それらの製造に容易に適用でき、無効電流のない良好な半導体レーザ素子を歩留まりよく得られる。すなわち、活性層が突起部内部に存在する場合や内部に回折格子が形成された分布帰還型レーザー素子等の電流狭窄構造作製プロセスにも適用できる。
【0045】
また、電流注入窓の必要な光導波路、光スイッチ、光変調器等の光デバイスの製造工程にも適用でき、さらに単に電流注入領域を限定する微小な突起部を有する電子デバイスの製造、及びこれらと前記光デバイスをモノリシックに集積化する場合の製造工程にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体素子の製造工程断面図である。
【図2】本発明に係る現像液エッチングにおけるパラメータ相関図である。
【図3】本発明に係るリッジ型半導体レーザ素子製造工程断面図である。
【図4】従来の半導体素子の製造工程断面図である。
【図5】従来の半導体素子の製造工程における問題点を示す図である。
【符号の説明】
11 n−GaAs基板
12 n−GaAsバッファ層
13 n−Al0.6Ga0.4Asクラッド層
14 Al0.18Ga0.82As活性層
15 p−Al0.5Ga0.5Asキャリアバリア層
16 p−Al0.25Ga0.75Asガイド層
17 p−Al0.75Ga0.25Asクラッド層
18 p−GaAsコンタクト層
19 SiN膜
19’ リッジ部直上のSiN膜
20 レジスト膜
101 n−GaAs基板
102 n−GaAsバッファ層
103 n−Al0.6Ga0.4As下部クラッド層
104 Al0.15Ga0.85As活性層
105 p−Al0.5Ga0.5As上部第1クラッド層
106 p−GaAsエッチングストップ層
107 p−Al0.25Ga0.75As上部第2クラッド層
108 p−GaAsキャップ層
109 n−Al0.7Ga0.3As電流ブロック層
110 p−GaAs第1保護層層
111 p−GaAs第2保護層層
115 レジスト膜
Claims (4)
- 微小突起部と平坦部を有する基板上に、前記微小突起部および平坦部を被覆するように第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜上に、該第1の膜を介して、前記微小突起部および平坦部を被覆するようにレジスト膜を形成する工程と、
前記基板を静止保持して、前記レジスト膜を現像液に、該現像液の攪拌を行わないで、浸液することによって、前記微小突起部直上にあるレジスト膜を、前記微小突起部以外の平坦部上にあるレジスト膜よりも、速く膜減りさせて、それによって、前記微小突起部上の第1の膜を露出させる工程と、
前記露出させた微小突起部上の第1の膜を除去する工程と、を備えた半導体素子の製造方法。 - 前記微小突起部直上にあるレジスト膜が、前記微小突起部以外の平坦部上にあるレジスト膜よりも、概ね1.5倍以上速く膜減りするように、前記第1の膜を露出させることを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記微小突起部を有する基板が、リッジ構造を有する半導体レーザ素子を有した基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記リッジ構造を有する半導体レーザ素子を有した基板において、リッジ部外の平坦部の寸法に対するリッジ部の幅の比が0.3より小さいことを特徴とする請求項3に記載の半導体素子の製造方法。
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