JP4091588B2 - 安全手摺 - Google Patents

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Description

本発明は、建設作業現場で枠組足場を多段状に組み立てる際に、既設の下段側足場板から、新設した上段側足場板の先行仮設手摺として取り付ける安全手摺に関する。
従来のこの種の安全手摺として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この安全手摺は、両側一対の脚柱と両脚柱の上端部をつなぐ横架材とからなる門形の建枠を対向させて両建枠の横架材間に足場板を架け渡しながら多段状に組み立てられる枠組足場に取り付ける安全手摺であって、左右縦枠、上下横枠及び縦横の中桟によって形成され、両建枠の対向する脚柱間に配置される手摺本体と、この手摺本体を両建枠の対向する脚柱に着脱自在に取り付ける取付手段とから構成される。
ところで、このような安全手摺は、使用時の安全を期するために、一定の使用基準に基づいて落下阻止性能試験を行い、この試験に適合したものしか使用できないようになっている。この落下阻止性能試験は、例えば図13に示すように、枠組足場Kの足場用建枠4に安全手摺Tを取り付け、この安全手摺Tの所定位置に安全帯AのランヤードYのフックFを引っ掛け、ランヤードYの他端に取り付けた85kgの重りWを、安全手摺1から内側へ80cm離れた所定高さ位置(足場板6から90cmの高さ位置)から落下させようとするもので、重りWの落下を阻止できれば、その安全手摺Tの強度的に安全であって、使用可能としている。
特開2003−343079号公報
然るに、特許文献1に記載のような従来の安全手摺にあっては、上記のような落下阻止性能試験には十分耐えうる強度を持ちながら、上記重りWを落下させた時に安全手摺1の取付部が足場用建枠4から外れて、落下するという問題があった。しかして、上記落下阻止性能試験における重りWは作業者に相当するものであるから、重りWの落下によって安全手摺1が取付部から外れて落下するということは、作業者が墜落することであるから、非常に致命的な問題である。
上記の問題を解決するには、安全手摺1を足場用建枠4に取り付ける取付手段を極めて頑丈な構造のものにすることが考えられるが、そうすると安全手摺の取付け作業に非常に手間がかかる上に、取付手段を特別に製作する必要があるためコストが非常に高くつくという別の問題が生じることになる。
本発明は、安全手摺の取付手段を特別に頑丈な構造にすることなく、普通のものを使用することができながら、落下阻止性能試験での重りの落下、即ち作業者の万一の墜落を確実に阻止することのできる安全手摺を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、両側一対の脚柱1と両脚柱1,1の上端部をつなぐ横架材2とからなる建枠4を対向させて両建枠4,4の横架材2,2間に足場板6を架け渡しながら多段状に組み立てられる枠組足場に取り付ける安全手摺であって、夫々鋼管製の左右縦枠11,11と上横枠12とで略倒U字状に形成されると共に下横枠13と横中桟14との間に縦中桟15を介設させ且つ上横枠12と横中桟14との間の両縦枠11,11側寄りに夫々縦中桟15o,15oを介設し両建枠4,4の対向する脚柱1,1間に配置される手摺本体7と、この手摺本体7を両建枠4,4の対向する脚柱1,1に着脱自在に取り付ける取付手段Cとからなり、作業者Mの身に付けた安全帯Aの先端部のフックFを手摺本体7の前記上横枠12における前記縦中桟15o,15oの内方側に取り付けた状態でこの手摺本体7に手摺内側方向の所定の衝撃荷重がかかった時に手摺本体7の縦枠11の所要箇所が手摺内側へ折曲変形するように当該箇所に穴5を開けるなどしてその箇所の縦枠11の断面形状を変化させてなることを特徴とする。
請求項は、請求項に記載の安全手摺において、取付手段Cは、手摺本体7の各縦枠11の中間部に設けられ、建枠4の横架材2に掛止される位置決め用のフック10と、各縦枠11の下端部に設けられ、手摺本体7を建枠4の脚柱1の上部側に固定する下部固定金具8と、各縦枠11の上端部に設けられ、手摺本体7を上段側建枠4の脚柱1に固定する上部固定金具9とからなることを特徴とする。
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、作業者Mが自分の身に付けた安全帯Aの先端部を安全手摺Tの手摺本体7に取り付けた状態で作業をしている時に、作業者Mが足場板6から足を滑らせるなどして墜落状態となり、手摺本体7に、落下阻止性能試験の試験荷重に対応する手摺内側方向の所定の衝撃荷重がかかると、手摺本体7の縦枠11に穴5が開けられたりして縦枠11の断面形状が変化した箇所には他の箇所よりも高い曲げ応力が発生するために、手摺本体は、そのような断面形状の変化した箇所のところから手摺本体7の内側へ折れ曲がって変形し、これによって作業者Mの墜落を阻止することができる。
また本発明によれば、手摺本体7には、上横枠12と横中桟14との間の両縦枠11,11側寄りに夫々縦中桟15o,15oが介設され、安全帯Aの先端部のフックFを手摺本体7の上横枠12における縦中桟15o,15oの内方側に取り付けるから、安全帯Aの先端部フックFは、手摺本体7の上横枠12から横中桟14の方へ滑り落ちることがなく、手摺本体7の最も高い位置に取り付けられることになり、従って上作業者Mの万一の墜落時には落下距離が短くなって、作業者Mの損傷を極力軽減できる。
請求項に係る発明によれば、取付手段Cを、位置決め用フック10と下部固定金具8
と上部固定金具9とから構成することにより、安全手摺取付時位置決めが容易になると共に、手摺本体7を、上下の固定金具8,9により、下段側足場の建枠4,4と上段側足場の建枠4,4とに亘って強固に固定することができる。
以下に本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a)及び(b)は本発明に係る安全手摺Tの取付方法を示す説明斜視図であり、図2の(a)は同安全手摺Tの正面図、(b)は図2の(a)の矢印ロ及びハで示す部分の拡大正面図であり、(
c)は同部分の側面図である。枠組足場は、図1に示すように、両側一対の脚柱1,1と両脚柱1,1の上端部をつなぐ横架材2と補強枠3とからなる門形の建枠4を、一定間隔に対向配置し、両建枠4,4の対向する横架材2,2間に足場板6を架け渡すと共に、両脚柱1,1間に一対のブレースB,BをX形に架け渡しながら順次多段状に組み立てられるようになっている。
この枠組足場に取り付けられる本発明の安全手摺Tは、図2の(a) から分かるように、夫々鋼管製の左右縦枠11,11、上下横枠12,13、横中桟14及び縦中桟15,15oによって形成され、両建枠4,4の対向する脚柱1,1間に配置される手摺本体7と、この手摺本体7を両建枠4,4の対向する脚柱1,1に夫々着脱自在に取り付ける取付手段Cとからなる。取付手段Cは、手摺本体7の各縦枠11の中間部に取り付けられ、建枠4の横架材2に掛止される位置決め用のフック10と、手摺本体7の各縦枠11,12の下端部に取り付けられ、手摺本体7を建枠4の脚柱1の上部側に固定する下部固定金具8と、同手摺本体7を上段側建枠4の脚柱1の下部側に固定する上部固定金具9とによって構成される。
そして、手摺本体7の左右各縦枠11には、図3の(a) に示すように作業者Mの身に付けた安全帯Aの先端部を安全手摺Tの手摺本体7に取り付けた状態でこの手摺本体7に手摺内側方向の所定の衝撃荷重がかかった時に手摺本体7の縦枠11の所要箇所が安全手摺Tの内側へ折れ曲がって変形するように(図5参照)当該箇所に穴5が開口されている。この穴5の開口される箇所は、図1及び図2から分かるように、手摺本体7の左右各縦枠11における位置決め用フック10の設けられた箇所の少し上部側、即ち足場板6の上面より若干上側位置であって、縦枠11の正面側と背面側との両側2箇所に設けられるが、縦枠11の正面側と背面側の何れか片側1箇所でもよい。
この安全手摺Tの手摺本体7は、左右縦枠11と上横枠12とが1本の鋼管によって略倒U字状に形成されていると共に、左右縦枠11,11の上部側間に横中桟14が介設され、この横中桟14と下横枠13との間には夫々中央寄り側に縦中桟15,15が介設され、そして上横枠12と横中桟14との間の両縦枠11,11側寄りに夫々縦中桟15o,15oが介設されている。
取付手段Cのフック10は、図7の(a)〜(d)に示すように、縦枠11に取り付けられた取付アーム10aの先端部下側に、建枠4の横架材2に上方より嵌合掛止するフック部10bを有し、また取付アーム10aの先端部上側には、安全手摺の取り付け又は取り外し時にこの安全手摺Tを逆様にした状態で建枠4の横架材2に嵌合係止するフック部10cが形成されている。
下部固定金具8と上部固定金具9とは同じ構造で、詳細な構造を図9〜図12に示す。図9の(a) は固定金具8,9が固定位置にある時の正面図であり、(b) は平面図である。図10の(a) は固定金具8,9が収納位置にある時の正面図、(b) はロック手段19のバネ20(第1バネ31と第2バネ32)を示す斜視図であり、図11の(a) は固定金具8,9の取付状態を示す正面図、(b) は平面図、(c) は側面図であり、図12の(a) は固定金具8,9の回動部材18を示す正面図、(b) は平面図である。
図9及び図10を参照すると、各固定金具8,9は、手摺本体7の縦枠11に固着された取付部材16と、建枠4の脚柱1に係脱自在に係合する脚柱係合部17を一端部に有し、脚柱係合部17が脚柱1に係合する固定位置と脚柱係合部17が脚柱1から離脱して手摺本体7の縦枠11に沿うように折り畳み収納される収納位置との間で回動可能に取付部材16に枢軸28によって枢着された回動部材18と、この回動部材18を固定位置及び収納位置にロックするロック手段19とによって構成される。回動部材18の他端部、即ち脚柱係合部17と反対側の端部には、固定位置において手摺本体7の縦枠11に係合し、収納位置において手摺本体7の縦枠11から離脱する縦枠係合部25が設けてある。
各固定金具8,9のロック手段19は、取付部材16と回動部材18との互いの摺接面部の一方側に係合突片21をバネ20によって他方の摺接面部側に弾接するように設けると共に、他方の摺接面部側に、回動部材18が回動して固定位置及び収納位置に来た時に係合突片21が係合して回動部材18を固定位置及び収納位置に夫々ロックする固定位置用ロック孔22Aと収納位置用ロック孔22Bとを設けたものからなる。
取付部材16は、図11に示すように、両側板16a,16aとこれらをつなぐ連結板16bとにより下向きコ字状に形成されたもので、両側板16a,16aの一端側が建枠4の各縦枠11に固着され、両側板16a,16aの夫々先端部には下部側に枢軸挿通孔23が、上部側に貫通孔24が設けてある。回動部材18は、図12に示すように、両側板18a,18aと背板18bとからなるコ形本体18oと、このコ形本体18oの先端部に連設された脚柱係合部17とによって構成され、コ形本体18oの両側板18a,18aには夫々の中央部に枢軸挿通孔26が設けられ、この枢軸挿通孔26を中心とする一定半径上の夫々所定位置に固定位置用ロック孔22Aと収納位置用ロック孔22Bとが90°の角度間隔で設けられている。また、背板18bの後端側に手摺本体7の縦枠11に係合する円弧状凹部からなる縦枠係合部25が形成されている。
上記ロック手段19のバネ20は第1バネ31と第2バネ32とによって構成される。図10の(b) に示すように、第1バネ31は、基板部31aの両端部から両側板31b,31bを末広がり状に延出した台形枠状の幅広板バネからなるもので、両側板31b,31bには基板部31aから遠い方の端部に夫々枢軸挿通孔27が設けられている。第2バネ32は、基板部32aの両端部から両側板32b,32bを末広がり状に延出した台形枠状の幅狭板バネからなるもので、両側板32b,32bの夫々先端側に、外側方へ突出する係合突片21,21がプレス加工により一体形成され、各係合突片21の先端部は半球状を成している。
上記固定金具8,9を組み立てるには、先ず、台形枠状の幅広板バネからなる第1バネ31に、台形枠状の幅狭板バネからなる第2バネ32を、図10の(b) に示すように両側板32b,32bが両側板31b,31bを横方向から挟み付けるように嵌合し、この状態で両バネ31,32を、手摺本体7の縦枠11に固着された取付部材16の両側板16a,16a間に配置して、第2バネ32の両側板32b,32bにある両係合突片21,21を取付部材16の両側板16a,16aの貫通孔24,24に貫通させると共に、両係合突片21,21の先端半球状部分21a,21aを、回動部材18のコ形本体18oの両側板18a,18aに設けられた例えば固定位置用ロック孔22A,22Aに係合させる。これによって、第2バネ32の両側板32b,32bが圧縮されて平行に位置し、これに伴って第1バネ31の両側板31b,31bも圧縮されて平行に位置する。
それから第1バネ31の両側板31b,31bに設けられた枢軸挿通孔27,27と、取付部材16の両側板16a,16aに設けられた枢軸挿通孔23,23と、回動部材18の両側板18a,18aに設けられた枢軸挿通孔26,26とを同軸に位置させて、これらの枢軸挿通孔にボルトからなる枢軸28を挿通し、そのボルトの挿通端部にナット29を螺合することにより、固定金具8,9の組立が完了し、図9の(a) 及び(b) に示すような状態となる。
図10の(a) は、第1バネ31及び第2バネ32を介して取付部材16側に取り付けられた係合突片21が回動部材18側の収納位置用ロック孔22Bに係合して、回動部材18を収納位置にロックした状態を示す。この収納位置では回動部材18の長手方向が手摺本体7の縦枠11の長手方向と平行になり、回動部材18の後端側の脚柱係合部17が上向きとなり、その先端側の縦枠係合部25が下向きとなる。この図10の(a) のように収納位置において上向き状態にある回動部材18の脚柱係合部17の右側面部を、作業者が手作業で回転力を与えると、回動部材18側の収納位置用ロック孔22Bに係合している係合突片21の先端半球状部分21aが、第1バネ31及び第2バネ32の付勢力に抗して収納位置用ロック孔22Bから離脱して回動部材18の側板18aの内側面に乗り上げて、この側板18aの内側面に弾接した状態で、回動部材18は図10の(a) に関して半時計回りに回動する。
そして回動部材18を図10の(a) に示す収納位置から90°回動させることにより、回動部材18の脚柱係合部17が建枠4の脚柱1に係合すると同時に、縦枠係合部25が手摺本体7の縦枠11に係合し、同時にまた係合突片21の先端半球状部分21aが回動部材18の固定位置用ロック孔22Aに係合し、これにより回動部材18は収納位置から固定位置に位置変更されると同時に固定位置にロックされて、図9の(a) に示すような状態となる。
上記のように構成される安全手摺Tの使用方法について説明するならば、先ず、図1の(a)に示すように、一対の建枠4,4を対向配置し、両建枠4,4の対向する脚柱1,1間にブレースB,BをX状に掛張した後、両建枠4,4に安全手摺を取り付け、その後に両建枠4,4の対向する横架材2,2に足場板6を架け渡して、1段目足場を組み立てる。安全手摺の取付けにあたっては、取付手段Cの上下固定金具8,9を何れも、図10の(a)に示すように回動部材18を手摺本体7の縦枠11に沿って折り畳んだ収納位置にセットして、ロック手段19によりロックした状態で、手摺本体7の両側の位置決めフック10,10を、図1の(a)及び図2の(a)に示すように両建枠4,4の対向する横架材2,2に引っ掛けて、手摺本体7の位置を決定する。
上記のようにして位置決め用フック10,10を両建枠4,4の対向する横架材2,2に引っ掛けて位置決めしたならば、各下部固定金具8の回動部材18を固定位置へ回動操作して、回動部材18の一端部の脚柱係合部17を建枠4の脚柱1に係合させると共に、他端部の縦枠係合部25を手摺本体7の縦枠11に係合し、同時にまたロック手段19によって回動部材18を固定位置にロックし、これによって各下部固定金具8を1段目足場用建枠4の脚柱1に固定する。
次に、図1の(a) に示すような1段目足場の足場板1に昇って、1段目側建枠4,4に2段目側の建枠4,4を夫々継ぎ足し、そして未だ固定していなかった安全手摺Tの上部固定金具9,9を、上述した下部固定金具8の場合と同様な方法で2段目側建枠4,4の脚柱1に固定し、この2段側建枠4,4の対向する脚柱1,1間にブレースB,BをX状に掛張して、図1の(b) に示すような状態とする。
この2段目足場の組立作業は、1段目足場の足場板6の上で行うことになるが、この2段目足場には、下部固定金具8によって建枠4の脚柱1の上部側に固定して安全手摺Tの上側半分以上が足場板6より上方に突出しているから、作業を安全に行うことができる。また、安全手摺Tの手摺本体7は、上下の固定金具8,9により、1段目足場の建枠4,4と2段目足場の建枠4,4とに亘って確実強固に固定されることになる。
そして、この2段目足場には、両建枠4,4の対向する横架材2,2に足場板6を架け渡した後、両建枠4,4に安全手摺を上述した1段目の場合と同様にして取り付ける。以降は、上記同様な方法によって安全手摺を設置しながら、多段状に足場を組み上げて
ゆく。尚、この実施形態では、図面の表示が複雑になる関係上、両側一対の建枠4,4に足場板6を架け渡した最小限の足場を図示すると共に、この足場の手前側にのみ安全手摺を設置した状態を示しているが、実際には、足場は水平方向に連続スパンで連設され、また安全手摺Tは各足場の手前側と奥側の両側に設置されるものである。
上記のようにして足場用建枠4に安全手摺Tを取り付けた枠組足場の上で作業をする時に、作業者Mは、図3の(a) に示すように、安全帯Aの一端部を自身の胴ベルトNに取り付けると共に、その先端部を安全手摺Tの手摺本体7に取り付けて作業を行う。尚、安全帯Aは、ランヤードYと、このランヤードYの一端部に設けてあって、作業者Mの胴ベルトNに取り付けるための取付リングRと、ランヤードYの先端部に設けてあって、安全手摺Tに引っ掛けられるフックFとからなる。また、安全帯AのフックFの取付位置は、図3の(a) 及び(b) に示すように、手摺本体7の上横枠12における縦中桟15oの内方側となっている。
こうして作業者Mが自分の身に付けた安全帯Aの先端部を安全手摺Tの手摺本体7に取り付けた状態で作業をしている時に、作業者Mが足場板6から足を滑らせるなどして墜落状態となって、手摺本体7に、落下阻止性能試験の試験荷重に対応する手摺内側方向の衝撃荷重がかかると、手摺本体7の縦枠11の穴5が開いた箇所には他の箇所よりも高い曲げ応力が発生するために、この手摺本体76は、図5の仮想線で示すように穴5が開けられたところから手摺本体7の内側へ折れ曲がって変形し、これによって作業者Mの墜落を阻止することができる。因みに、そのような穴5が設けられていない場合には、手摺本体7は、取付手段Cである上下固定金具8,9のところから外れて落下するおそれがあり、非常に危険を事態をまねくことになる。
また、手摺本体7には、上横枠12と横中桟14との間の両縦枠11側寄りに夫々縦中桟15oが介設されていることから、安全帯AのフックFを図3の(a) 及び(b) に示すように手摺本体7の上横枠12における縦中桟15oの内方側に引っ掛けることによって、フックFは、手摺本体7の上横枠12から横中桟14の方へ滑り落ちることがなく、手摺本体7の最も高い位置に取り付けられることになり、従って上記のような作業者Mの万一の墜落時には落下距離が短くなって、作業者Mの損傷を極力軽減できる。
手摺本体7が、左右縦枠11,11と上横枠12とで略倒U字状に形成されていると共に下横枠13と横中桟14との間に縦中桟15,15が介設されている場合に、仮に上横枠12と横中桟14との間の両縦枠11側寄りに夫々縦中桟15oが介設されていなければ、安全帯AのフックFを手摺本体7の上横枠12に引っ掛けていても、上記のような作業者Mの万一の墜落時には、フックFが手摺本体7の上横枠12の端部から縦枠11に沿って横中桟14側まで滑り落ち、これがために作業者Mの落下距離が長くなって、人体が損傷するおそれがある。
図2及び図3に示す安全手摺Tでは、手摺本体7の各縦枠11の所定箇所に穴5を開けることにより、その箇所の断面形状を変化させて、手摺本体7に手摺内側方向の所定の衝撃荷重がかかった時に当該箇所が手摺内側へ折曲変形するようにしたが、図4に示す安全手摺Tでは、手摺本体7の各縦枠11の所定箇所を前記衝撃荷重方向に圧潰して潰し部35を形成することにより、その箇所の断面形状を変化させた場合を示している。
この潰し部の35の形成箇所は、左右各縦枠11における位置決め用フック10の設けられた箇所の少し上部側、つまり足場板6の上面より若干上側位置で、縦枠11の背面側(安全手摺Tを設置した時に手摺Tの内側となる側面)の片側のみであるが、縦枠11の正面側と背面側の両側に形成してもよい。何れにしても、この潰し部35は、縦枠11の所要箇所を衝撃荷重のかかる方向に圧潰して、その方向の縦枠11の厚み(幅)が小さくなるように形成する必要がある。
しかして、図3に示すように作業者Mが自分の身に付けた安全帯Aの先端部を安全手摺Tの手摺本体7に取り付けた状態で作業をしている時に、作業者Mが足場板6から足を滑らせるなどして墜落状態となって、手摺本体7に、落下阻止性能試験の試験荷重に対応する手摺内側方向の衝撃荷重がかかると、手摺本体7の縦枠11の潰し部35が形成された箇所には他の箇所よりも高い曲げ応力が発生するために、この手摺本体は、図6の仮想線で示すように潰し部35のところから手摺本体7の内側へ折れ曲がって変形し、これによって作業者Mの墜落を阻止することができる。
(a) 及び(b) は本発明に係る安全手摺の取付方法を説明する説明斜視図である。 (a) は安全手摺の正面図、(b) は図7の(a) 及び(b) の矢印イで示す部分の拡大正面図、(c) は同部分の側面図ある。 (a) は安全手摺に安全帯を取り付けた状態を示す正面図、(b) は安全手摺の手摺本体への安全帯のフックの取付状態を示す拡大図である。 (a) は本願発明に係る他の安全手摺を示す正面図であり、(b) は図8の(a)及び(b) の矢印ニで示す部分の拡大正面図、(c) は同部分の側面図ある。 手摺本体の縦枠に設けた穴のところから縦枠が手摺の内側へ変形する状態を仮想線で示す説明図である。 手摺本体の縦枠に設けた潰し部のところから縦枠が手摺の内側へ変形する状態を仮想線で示す説明図である。 (a) 及び(b) は図2の(a) のロ及びハで示す部分の拡大図、(c) 及び(d) は(a) 及び(b) の夫々平面図である。 (a) 及び(b) は図4の(a) のホ及びヘで示す部分の拡大図、(c) 及び(d) は(a) 及び(b) の夫々平面図である。 (a) は固定位置にある上下各固定金具の拡大正面図、(b) は拡大平面図である。 (a) は収納位置から固定位置にある上下各固定金具の拡大正面図、(b) はロック手段の第1バネ及び第2バネを示す斜視図である。 各固定金具の取付部材を示すもので、(a) は正面図、(b) は平面図、(c)は側面図である。 固定金具の回動部材を示すもので、(a) は正面図であり、(b) は平面図である。 安全手摺の落下阻止性能試験の例を示す説明図である。
符号の説明
T 安全手摺
A 安全帯
1 脚柱
2 横架材
4 足場用建枠
5 足場用建枠の縦枠に設けた穴
6 足場板
7 手摺本体
C 取付手段
8 下部固定金具
9 上部固定金具
10 位置決め用のフック
11 手摺本体の縦枠
12,13 手摺本体の上下横枠
14 横中桟
15a 縦中桟
15b 縦中桟
16 固定金具の取付部材
17 回動部材の脚柱係合部
18 固定金具の回動部材
19 固定金具のロック手段
35 足場用建枠の縦枠に設けた潰し部

Claims (2)

  1. 両側一対の脚柱と両脚柱の上端部をつなぐ横架材とからなる建枠を対向させて両建枠の横架材間に足場板を架け渡しながら多段状に組み立てられる枠組足場に取り付ける安全手摺であって、夫々鋼管製の左右縦枠と上横枠とで略倒U字状に形成されると共に下横枠と横中桟との間に縦中桟が介設させ且つ上横枠と横中桟との間の両縦枠側寄りに夫々縦中桟を介設し両建枠の対向する脚柱間に配置される手摺本体と、この手摺本体を両建枠の対向する脚柱に着脱自在に取り付ける取付手段とからなり、作業者の身に付けた安全帯の先端部のフックを手摺本体の前記上横枠における前記縦中桟の内方側に取り付けた状態でこの手摺本体に手摺内側方向の所定の衝撃荷重がかかった時に手摺本体の縦枠の所要箇所が手摺内側へ折曲変形するように当該箇所に穴を開けるなどしてその箇所の縦枠の断面形状を変化させてなることを特徴とする。
  2. 取付手段は、手摺本体の各縦枠の中間部に設けられ、建枠の横架材に掛止される位置決め用のフックと、各縦枠の下端部に設けられ、手摺本体を建枠の脚柱の上部側に固定する下部固定金具と、各縦枠の上端部に設けられ、手摺本体を上段側建枠の脚柱に固定する上部固定金具とからなることを特徴とする請求項に記載の安全手摺。
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