JP4091160B2 - 椅子の座席 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、上面をクッション材と表皮材とで覆った内シェルと外シェルとを有する椅子の座席に関する。
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂材料製のシェルを有する椅子の張り構造では、クッション材をシェルに付け、その上から表皮材を被せ、表皮材の縁部を、シェルの裏側などにタッカー針により止め付けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来方法では、作業者の技量により、張り上がり品質、工数等に差が生じやすく、また廃棄時にシェルからタッカー針を分別するのに相当な工数が必要となる。
【0004】
本発明は、椅子の座席において、表皮材のシェルへの張り上がり品質を安定させ、張り工数を削減し、分別廃棄の容易性を計ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 上面をクッション材と表皮材とで覆った内シェルの前部を下方に屈曲させ、その前縁に薄肉部を介して前向突出する係合片を設けるとともに、外シェルの前部を、前記内シェルの前部と同様に下方に屈曲させ、その前縁に、前記内シェルの前縁が嵌合しうる上方が開口する断面U字形の嵌合溝を形成し、かつ、この嵌合溝の後面に、前記内シェルの前縁の裏面側と対向し、前記薄肉部で折り返した前記係合片の端部が係合しうる係合段部を設け、前記クッション材に表皮材を張り付けた張り材を、内シェルの上面に張り込み、内シェルの前端の係合片に重なるその前縁部を、前記係合片とともに薄肉部のところで内 側に折り返して、内シェルの内側に重ね、この内シェルの前端を、外シェルの前部の嵌合溝に挿入し、内シェルの前縁の裏面側と対向するように薄肉部で折り返した係合片の端部を、前記係合段部に係合する。
【0007】
(2) 上記(1)項において、内シェルの後縁部を下方に屈曲させるとともに、外シェルの後縁部に内方より外方が高くなる上向段部を設け、前記内シェルの後縁部を前記外シェルの上向段部の内側に沿うように配置する。
【0008】
(3) 上記(1)または(2)項において、内シェルの左右両側の縁部を下方に屈曲させるとともに、外シェルの左右両側の縁部に内方より外方が高くなる上向段部を設け、前記内シェルの左右両側の縁部を、前記外シェルの段部の内側に沿うように配置する。
【0009】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、内シェルの後部下面に下方に突出する係合軸を設け、外シェルの後部には前記係合軸が係合する係合孔を設ける。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明にかかる座席(1)を備えた椅子(A)を示す。
図2は、座席(1)だけを分解状態で拡大して示す図で、椅子の前後方向の断面を示している。図3は、座席(1)の組み上がった状態の前後端部だけを拡大して示し、図4は、座席の左右方向の断面を示している。
【0011】
図2〜図4に示すように、座席(1)は、外シェル(2)と、内シエル(3)と、内シェル(3)の上に張り付けられるクッション材(4)及び表皮材(5)を主要部材としている。
【0012】
外シェル(2)、内シェル(3)ともに、合成樹脂材料の成形品であって、外シェル(2)は、一体成形のリブ(6)により補強されている。
【0013】
図2に示すように、外シェル(2)は、その前部が下方に丸く屈曲して、その前縁には、後述する内シェル(3)の前縁が嵌合する上方が開口する断面U字形の嵌合溝(7)が形成され、かつ、嵌合溝(7)の後側に、内シェル(3)の前縁の裏面と対向するように係合段部(8)が設けられている。この詳細は、図3に示されている。
【0014】
外シェル(2)の後部は、緩やかに上方に屈曲し、後縁部に、内方より外方が高くなる上向段部(9)が形成されている。
【0015】
内シェル(3)の前部は、外シェル(2)の前部の形状に合わせて下方に丸く屈曲され、その前縁には、薄肉部(10)を介して、前方に突出する係合片(11)が設けられている。
内シェル(3)の後部は、外シェル(2)の後側の形状に合わせて上方に緩やかに屈曲し、外シェル(2)の上向段部(9)の内側に沿う長さの下向折り曲げ部(13)で終わっている。
【0016】
座席(1)の左右方向の両端部においては、図4に示すように、外シェル(2)は、凹入段部(12)で終わっており、内シェル(3)は、クッション材(4)及び表皮材(5)を挟んで凹入段部(12)に嵌合される下向折り曲げ部(13)で終わっている。
【0017】
クッション材(4)は、例えば発泡ポリウレタン樹脂材料により形成され、それにビニルレザーのような表皮材(5)を張り付けて張り材としてある。
【0018】
このような張り材を、スタンピング成形により内シェル(3)の上面に張り込み、内シェル(3)の前端の係合片(11)に重なるその前縁部を、係合片(11)とともに薄肉部(10)のところで内側に折り返して、内シェル(3)の内側に重ねる。
【0019】
このように準備した内シェル(3)の後部及び左右両側部の下向折り曲げ部(13)を、図3および図4に示すように、重ねた張り材とともに外シェル(3)の内側に入り込ませて、上向段部(9)および凹入段部(12)に嵌合させる。
【0020】
ついで、内シェル(3)の前端を、外シェル(2)の前部の抜け止め用の嵌合溝(7)に挿入すると、内シェル(3)の前縁の裏面側と対向するように薄肉部(10)で折り返した係合片(11)の端部が係合段部(8)と係合して、張り材はしっかりと係止される。この状況は、図3に拡大して詳細に示してある。
【0021】
内シェル(3)の後部下面に突設した複数個の係合軸(14)を、それに対応するように外シェル(2)に設けた係合孔(15)に圧嵌して係合することにより、内シェル(3)は外シェル(2)と一体化される。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、張り上がり品質の安定した張り材の張りを、容易に、工程数少なく低コストで行うことができ、しかもタッカー針を使用しないので、容易に分別廃棄できる座席とすることができる。
【0023】
請求項2記載の発明のように、内シェルの後側の縁部を下方に屈曲させるとともに、外シェルの後側の縁部に内方より外方が高くなる段部を設け、前記内シェルの後側の縁部を前記外シェルの段部の内側に沿うように配置すると、シート材の後端部を内シェルと外シェルとの間にしっかりと挟んで係止することができる。
【0024】
請求項3記載の発明のように、内シェルの左右両側の縁部を下方に屈曲させるとともに、外シェルの左右両側の縁部に内方より外方が高くなる段部を設け、前記内シェルの左右両側の縁部を前記外シェルの段部の内側に沿うように配置すると、張り材の左右両端部を内シェルと外シェルとの間にしっかりと挟んで係止することができる。
【0025】
請求項4記載の発明のように、内シェルの後部下面に下方に突出する係合軸を設け、外シェルの後部には前記係合軸が係合する係合孔を設けると、内外シェルの後部をしっかりと合体させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を備える椅子の側面図である。
【図2】 図1の座席の分解縦断側面図である。
【図3】 図2に示すものを組合せたときの拡大縦断側面図である。
【図4】 図1のIV−IV線に沿う拡大縦断正面図である。
【符号の説明】
(A)椅子
(1)座席
(2)外シェル
(3)内シェル
(4)クッション材
(5)表皮材
(6)リブ
(7)嵌合溝
(8)係合段部
(9)上向段部
(10)薄肉部
(11)係合片
(12)凹入段部
(13)下向折り曲げ部
(14)係合軸
(15)係合孔

Claims (4)

  1. 上面をクッション材と表皮材とで覆った内シェルの前部を下方に屈曲させ、その前縁に薄肉部を介して前向突出する係合片を設けるとともに、外シェルの前部を、前記内シェルの前部と同様に下方に屈曲させ、その前縁に、前記内シェルの前縁が嵌合しうる上方が開口する断面U字形の嵌合溝を形成し、かつ、この嵌合溝の後面に、前記内シェルの前縁の裏面側と対向し、前記薄肉部で折り返した前記係合片の端部が係合しうる係合段部を設け、前記クッション材に表皮材を張り付けた張り材を、内シェルの上面に張り込み、内シェルの前端の係合片に重なるその前縁部を、前記係合片とともに薄肉部のところで内側に折り返して、内シェルの内側に重ね、この内シェルの前端を、外シェルの前部の嵌合溝に挿入し、内シェルの前縁の裏面側と対向するように薄肉部で折り返した係合片の端部を、前記係合段部に係合したことを特徴とする椅子の座席。
  2. 内シェルの後縁部を下方に屈曲させるとともに、外シェルの後縁部に内方より外方が高くなる上向段部を設け、前記内シェルの後縁部を前記外シェルの上向段部の内側に沿うように配置した請求項1記載の椅子の座席。
  3. 内シェルの左右両側の縁部を下方に屈曲させるとともに、外シェルの左右両側の縁部に内方より外方が高くなる上向段部を設け、前記内シェルの左右両側の縁部を、前記外シェルの段部の内側に沿うように配置した請求項1または2記載の椅子の座席。
  4. 内シェルの後部下面に下方に突出する係合軸を設け、外シェルの後部には前記係合軸が係合する係合孔を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の椅子の座席。
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