JP2004268812A - 表皮付成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表皮30周囲の三辺の端縁部を基材13の対応する三辺の端縁部に、表皮30端縁部の断面略L字状の折曲げ部36により基材13の各辺の側面から該側面に連続する裏面の一部まで延びてそれらを被覆するように取り付け、表皮30周囲の残り一辺の前端縁部は、その裏面に突設した係合片38,39を基材13の前端縁部に形成した係合孔24,25へ係合して取り付けるようにする。表皮30周囲の一辺に折曲げ部36が形成されていないので、表皮30を基材13に取り付ける際に折曲げ部36を有する他の三辺を容易に拡げることができ、表皮の全周が連続した開口部を拡げて基材の全体の周縁部に亘り被せる作業を不要とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表皮が設けられた表皮付成形体に関し、特に、その表皮の取付性を高めるための技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の表皮付成形体として、例えば特許文献1に示されるように、車両の内装材であるアームレストに適用したものが知られている。この特許文献1に示されるアームレストでは、自動車用の内装材であるサイドトリムに爪によって取り付けられる芯材としての樹脂製の矩形状成形体本体に、ポリウレタンフォーム等のパット材としての弾性材を積層し、この表面をクロスや合成樹脂シート等の表皮で覆ってアームレストを形成するようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8―282397号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の特許文献1のように、表皮を矩形状の成形体本体に被せて表皮付成形体を作るとき、表皮は軟質材料により開口部を有する略袋状に形成され、その表皮における開口部の周縁部を成形体本体の外周端縁部に該成形体本体の側面から端縁部裏面に連続して被覆されるように取り付ける取付作業(組付作業)が行われる。
【0005】
しかし、その場合、表皮が軟質の材料で成形されていても、その開口部を拡げて成形体本体の周縁部全体に亘り被せることが難しく、その取付作業が極めて面倒で手間を要するという問題があり、特に、成形体本体と表皮との間に上記のような弾性材があると顕著になる。
【0006】
本発明の目的とするところは、成形体本体に対する表皮の取付構造に改良を施すことで、たとえ軟質材料の表皮であっても、その成形体本体に対する取付けを容易に行い得るようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、表皮を成形体本体の周囲全体の端縁部に被せるのではなく、その一部は係合構造による取付けとして、表皮の周囲全体の端縁部の押拡げ作業をなくすようにした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明では、連続した軟質の表皮が成形体本体の表面、端縁部側面及び端縁部裏面に連続して被覆された表皮付成形体が対象である。
【0009】
そして、上記成形体本体は平面視で略矩形状の板状体からなり、この成形体本体の一辺の端縁部には成形体本体の表裏面を貫通する係合孔が形成されている。
【0010】
また、上記表皮周囲の端縁部のうち上記成形体本体の係合孔を有する上記一辺を除いた残りの各辺に対応する端縁部には、該成形体本体の残りの各辺の端縁部の側面から該側面に連続する裏面の一部まで延びてそれらを被覆する断面略L字状の折曲げ部が形成されている一方、上記表皮周囲の端縁部のうち上記成形体本体の係合孔を有する上記一辺に対応する端縁部の裏面には、該係合孔に挿通されて係止される係合片が一体に突設されていることを特徴とする。
【0011】
上記の構成によると、表皮を成形体本体に取り付ける場合、表皮を成形体本体に対し、表皮周囲の端縁部のうち折曲げ部を有する端縁部が、成形体本体において係合孔を有する一辺を除いた残りの各辺の端縁部と対応するように配置して、その折曲げ部を拡げて成形体本体の上記残りの各辺の端縁部の側面から該側面に連続する裏面の一部まで延びるようにそれらを被覆する。次いで、表皮周囲の端縁部のうちの一辺の端縁部裏面に突設されている係合片を、該一辺に対応する成形体本体の端縁部の係合孔に挿通して係止すればよく、以上により表皮が成形体本体に取り付けられる。
【0012】
尚、この他、上記とは逆の方法で組み付けることも可能である。すなわち、まず、表皮の係合片を成形体本体の係合孔に係止させ、その後に表皮の折曲げ部を成形体本体の端縁部に嵌め込むのである。
【0013】
このように表皮を成形体本体に取り付ける際、表皮周囲の三辺の端縁部を折曲げ部により成形体本体の対応する三辺の端縁部に被覆して取り付け、表皮周囲の残り一辺の端縁部は、その裏面に突設した係合片を成形体本体の残り一辺の端縁部の係合孔へ係合して取り付けるが、上記表皮周囲の一辺に折曲げ部がないことから、表皮の折曲げ部を有する残り三辺を容易に拡げることができる。このため、従来のように表皮の全周が連続した開口部を拡げて成形体本体の全体の周縁部に亘り被せる作業は不要となり、たとえ表皮が軟質材料であっても成形体本体への取付作業が容易になる。
【0014】
また、表皮周囲の三辺の端縁部を折曲げ部により成形体本体の対応する三辺の端縁部に被覆して取り付けるとき、その折曲げ部が成形体本体の端縁部裏面まで被覆されるように取り付けられるので、表皮の端縁部が成形体本体の端縁部に精度よく確実に取り付けられるようになり、その見映えをよくすることができる。
【0015】
請求項2の発明では、上記成形体本体と表皮との間に弾性材が充填されていることとする。つまり、成形体本体と表皮との間に弾性材があっても、表皮の成形体本体への取付作業を容易に行うことができる。
【0016】
請求項3の発明では、表皮付成形体は車両用アームレストとする。このことで、表皮付成形体で車両用アームレストを構成する場合に、そのアームレストの表皮を基材としての成形体本体に容易に取り付けることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0018】
図4は本発明の実施形態に係る車両用アームレストを有するサイドトリムAを示し、このサイドトリムAは、自動車(車両)における車室内の内装材(図示例では左ドアの内装材)として用いられる例えばポリプロピレン(PP)樹脂等からなるもので、その上下略中央部よりも上側寄り部分には断面略矩形状のアームレスト10が形成され、このアームレスト10は前側アームレスト11及び後側アームレスト12に分割されている。
【0019】
すなわち、サイドトリムAはその略全体を占めるパネル状のトリム本体1を備え、このトリム本体1における車室内側の表面には、その一部を他の部分よりも車室内側(図4で左下側)に突出させて車幅方向の厚さを厚くした膨出部2が形成されている。この膨出部2は、トリム本体1の下部の全体に亘り車両の前後方向(図4の左右方向)に延びるように形成された下側膨出部3と、この下側膨出部3の後端部(図4の左端部)上端から上方に上下略中央部よりも上側寄り位置まで延びるように連続して形成された後側膨出部4と、この後側膨出部4上端の前端隅角部から前側に前後方向の略中央部よりも前側寄り部分まで延びるように形成された上側膨出部としての上記前側アームレスト11とからなっている。
【0020】
そして、上記膨出部2の後側膨出部4上側でかつ前側アームレスト11の後側に、トリム本体1とは別体の断面矩形状の上記後側アームレスト12が前側アームレスト11を後側に延長するように配置されて一体的に取付固定されており、これら前側アームレスト11と後側アームレスト12とによりアームレスト10が構成されている。尚、上記トリム本体1は分割ラインDで上部材1a及び下部材2bに2分割され、これらは一体的に結合されている。
【0021】
本発明の特徴に係る構造は上記後側アームレスト12にあり、この後側アームレスト12は表皮付成形体からなる。図1及び図3に示すように、後側アームレスト12は、平面視で略矩形状の板状体からなる成形体本体としての基材13を備えている。具体的には、この基材13は、例えばポリプロピレン(PP)樹脂等からなり断面略L字状に折れ曲がった異形の底部を有する箱状のもので、水平底部14と、この水平底部14の車室内側の端部から直角に下側に折れ曲がって延びる横側底部15と、これら水平底部14及び横側底部15に直交する上下方向に延び、両底部14,15の後端間にそれらを接続するように設けられた後側底部16と、これら水平底部14、横側底部15及び後側底部16からなる底部全体の外周縁部から連続して略直角に突出する枠部17とが、上記水平底部14、横側底部15及び後側底部16を箱底部としかつ枠部17を該箱底部の全体を取り囲む箱側壁部とするように一体に成形されている。
【0022】
具体的には、上記基材13の箱側壁部をなす枠部17のうち、水平底部14の車外側端部に接続されている起立壁部17a(図1で上側のもの。図3で右側のもの)は、その水平底部14の車外側端部から上側に向かって垂直に延びるもので、その上端部17hは車外側に折れ曲がって水平に延びている。また、水平底部14の前端部に接続されている起立壁部17bは同様に上側に向かって垂直に延びるもので、その上端部17iは前側に水平に延びている。さらに、横側底部15の前端部に接続されている起立壁部17cは車室内側に向かって延びる垂直状のもので、その先端部17jは前側に折れ曲がって垂直に延びている。横側底部15の下端部に接続されている起立壁部17dは車室内側に向かって水平に延びている。後側底部16の上下方向に延びる車室外側端部に接続されている起立壁部17fは後側に向かって延びる垂直状のものであり、一方、後側底部16の水平方向に延びる下端部に接続されている起立壁部17eは後側に向かって延びる水平状のものとされている。
【0023】
そして、上記水平底部14の車外側端部及び前端部にそれぞれ接続されている起立壁部17a,17bの突出高さhは他の枠部起立壁部17c〜17fの突出高さよりも大きく設定されており、箱状の基材13における水平底部14での深さが横側底部15及び後側底部16よりも深くなっている(図3参照)。
【0024】
上記水平底部14の車外側端部に接続されている起立壁部17aは水平底部14よりも下側に延長された延長部18を有し、この延長部18の車外側面には、車外方向に向かって平行に延びる複数本(図示例では3本)の取付ピン20,20,…が前後方向に並んで一体に突設されている。また、横側底部15の車外側面(裏面)にも、車外方向に向かって平行に延びる複数本(図示例では2本)の取付ピン21,21,…が前後方向に並んで一体に突設されている。
【0025】
そして、図3に示す如く、分割ラインDで分割されたトリム本体1の上部材1aの下端部において後側アームレスト12に対応する部分には、上記基材13における起立壁部17aの延長部18の取付ピン20,20,…を挿通可能な複数のピン挿通孔6,6,…(1つのみ示す)が前後方向に並んで貫通形成されている。一方、トリム本体1の下部材1bの上端部において後側アームレスト12に対応する部分には、車室外側に向かって段差状に折れ曲がった段差部1cが形成され、この段差部1cの底部1dには、上記基材13における横側底部15の取付ピン21,21,…を挿通可能な複数のピン挿通孔7,7,…(1つのみ示す)が前後方向に並んで貫通形成されており、基材13に後述する弾性材27及び表皮30を取り付けた後、その基材13の枠部17における起立壁部17aの延長部18の各取付ピン20をトリム本体1の上部材1a下端部における各ピン挿通孔6に、また基材13における横側底部15の各取付ピン21をトリム本体1の下部材1bにおける段差部1cの底部1dの各ピン挿通孔7にそれぞれ車室内側から挿通して、その各ピン挿通孔6,7から突出した取付ピン20,21の先端部をピン挿通孔6,7周りのトリム本体1に溶着することにより、後側アームレスト12(基材13)をトリム本体1に取付固定するようにしている。尚、水平底部14の車外側端部における起立壁部17aの延長部18は、その裏面で補強リブ部18aにより水平底部14下面に一体に結合されている。
【0026】
上記基材13の一辺たる前辺の端縁部、具体的には水平底部14の前端部に接続されている枠部17の起立壁部17bにおいて、その前側に水平に延びている上端部17iには1つの上側係合孔24が、また横側底部15の前端部に接続されている起立壁部17cにおいて、その前側に垂直に延びている先端部17jには1つの横側係合孔25がそれぞれ基材13の表裏面を貫通するように形成され、この各係合孔14,25はいずれも基材13の前辺に沿った方向(車幅方向)に長いスリット状のものからなっている。
【0027】
そして、上記基材13には、塩化ビニール等の軟質材からなる連続した表皮30が基材13の表面、端縁部の側面及び端縁部の裏面に連続して被覆され、この表皮30は箱状の基材13の開口を覆うように被覆している。この表皮30を構成する例えば塩化ビニールは軟質で可撓性、伸縮性を有する。
【0028】
上記表皮30は上記基材13に略対応した断面略L字状のもので、基材13の水平底部14に対応して配置される水平部31と、この水平部31の車室内側の端部から下側に延び、基材13の横側底部15に対応して配置される横側垂直部32と、これら水平部31及び横側垂直部32の後端間にそれらを接続するように設けられ、基材13の後側底部16に対応して配置される後側垂直部33とを備えている。
【0029】
さらに、上記表皮30周囲の端縁部のうち、上記基材13の係合孔24,25を有する前辺を除いた残りの車外側、車室内下側、後部車外側及び後部下側の各辺に対応する端縁部には、該基材13の残りの各辺の端縁部の側面から該側面に連続する裏面の一部まで延びてそれらに被覆した状態で係止される断面略L字状の折曲げ部36が形成されている。
【0030】
具体的には、図3に示すように、水平部31の室外側端部に形成されている折曲げ部36は、基材13における水平底部14の車外側の端部に接続された枠部17における起立壁部17aの上端部17hの側端面から該側端面に連続する裏面の一部まで延びてそれらを被覆している。他の折曲げ部36は、例えば図3に横側垂直部32の下端縁部で例示するように、枠部17における起立壁部17dの下側面から該下側面に連続する裏面の一部まで延びてそれらを被覆している。
【0031】
一方、上記表皮30周囲の端縁部のうち上記基材13の係合孔24,25を有する前辺に対応する前端縁部の裏面、具体的には上記水平部31の前端縁部の裏面には下向きに延びる下向き係合片38が、また横側垂直部32の前端縁部の裏面には車外側に向かって延びる横向き係合片39がそれぞれ一体に突設されている。この各係合片38,39はいずれも上記基材13の各係合孔24,25に挿通可能な板状のもので、その先端部には他の部分よりも幅の狭い摘み引張部40が形成されている。また、各係合片38,39の前側面(後側面でもよい)の途中には、係合孔24,25の周縁部に係止して係合片38,39を抜け止めするための係止突部41が一体に突設されている。
【0032】
さらに、上記基材13と表皮30との間にはポリウレタン等からなる弾性材27が箱状の基材13内に配置された状態で充填されている。
【0033】
そして、上記表皮30を基材13に取り付けるときには、その基材13内に、予め別途成形された弾性材27を配置充填した後に表皮30の車外側、車室内下側、後部車外側及び後部下側の各辺の端縁部にある折曲げ部36を基材13の対応する端縁部に被覆して係止し、その状態で、図2に拡大詳示するように、下向き係合片38を基材13の上側係合孔24に上側から、また横向き係合片39を基材13の横側係合孔25に車室内側からそれぞれ各係合片38,39の摘み引張部40が基材13の裏側に突出するように挿入した後、その各摘み引張部40を基材13の裏側から引っ張って、各係合片38,39の係止突部41を係合孔24,25の周縁部に係止することにより、表皮30を基材13に一体的に取り付けるようにしている。
【0034】
次に、この実施形態において、サイドトリムAのアームレスト10を形成する場合について説明すると、予め、アームレスト10の一部をなす後側アームレスト12を作る。すなわち、まず、箱状の基材13内に弾性材27を配置充填した後、表皮30を基材13に対し、表皮30周囲の三辺の端縁部にある折曲げ部36が、基材13の前辺を除いた残りの各辺の端縁部と対応するように配置し、その表皮30周囲の折曲げ部36のある三辺の開口部を拡げながら、該折曲げ部36を基材13の各辺の端縁部の側面から該側面に連続する裏面の一部まで延びるようにそれらを被覆する。そのとき、表皮30周囲の一辺には折曲げ部36が形成されていないので、その表皮30の折曲げ部36を有する他の三辺を容易に拡げることができる。
【0035】
上記折曲げ部36は断面略L字状のものであるので、基材13の各辺の端縁部の側面から裏面の一部まで被覆することで、その基材13の各辺の端縁部に係止される。この折曲げ部36の被覆状態では、表皮30の前端部のみが基材13の前端部から離隔可能な状態となる。
【0036】
次いで、図2に示すように、表皮30周囲の端縁部のうちの前辺の端縁部裏面に突設されている2つの係合片38,39をそれぞれ基材13の前端縁部の係合孔24,25に挿通して係止すればよく、以上により表皮30の基材13への取付けが完了して後側アームレスト12が得られる。
【0037】
その際、上記表皮30前端縁部の各係合片38,39の摘み引張部40を基材13の裏側から引っ張りながら係合孔24,25に挿通させ、係合片38,39前側面の係止突部41が係合孔24,25を通り抜けて基材13の裏側に移動することで、その係止突部41により係合片38,39が係合孔24,25の周縁部に係止して抜け止めされる。このように係合片38,39を引張操作することにより、表皮30を基材13に容易に取り付けることができる。
【0038】
こうして組み付けた後側アームレスト12は前側に係合片38,39が露出して見映えが悪いが、この後側アームレスト12をトリム本体1の前側アームレスト11の後側に配置し、基材13の各取付ピン20,21をトリム本体1の対応する各ピン挿通孔6,7に挿通して、その先端部をトリム本体1に溶着すればよく、このことで、後側アームレスト12が上面及び室内側面をそれぞれ前側アームレスト11の上面及び室内側面と面一にしてトリム本体1に取付固定され、その前側の係合片38,39も前側アームレスト11の後面に覆われて隠蔽される。
【0039】
そのとき、表皮30周囲の三辺の端縁部の折曲げ部36は基材13の対応する三辺の端縁部の裏面まで被覆されるように取り付けられているので、この表皮30の端縁部が基材13の端縁部に精度よく確実に取り付けられ、その見映えが向上する。
【0040】
したがって、この実施形態では、上記のように、表皮30周囲の車外側、車室内下側、後部側の三つの辺の端縁部を折曲げ部36により基材13の対応する三辺の端縁部に被覆して取り付け、表皮30周囲の残りの前端縁部は、その裏面に突設した1対の係合片38,39をそれぞれ基材13前辺の端縁部の1対の係合孔24,25へ係合して取り付けるが、上記表皮30周囲の一辺に折曲げ部36が形成されていないことにより、その表皮30の折曲げ部36を有する他の三辺の押し拡げが容易となるので、従来のように伸び難い表皮の開口部を拡げて基材の周縁部全体に亘り被せる作業は不要となる。このため、たとえ表皮30が軟質材で伸び易い材料であっても、また基材13と表皮30との間に弾性材27が介在されていても、表皮30の基材13への取付作業を容易に行うことができ、作業性の向上に寄与することができる。
【0041】
尚、上記実施形態1においては、基材13の前端部の上側係合孔24及び横側係合孔25をいずれも1つずつ形成し、これら係合孔24,25にそれぞれ挿通される表皮30の前端縁部裏面の下向き係合片38及び横向き係合片39をも1つずつ設けているが、上側係合孔24及び下向き係合片38の数と、横側係合孔25及び横向き係合片39の数とについてはその少なくとも一方を2以上に増加してもよい。
【0042】
また、実施形態1においては、上側係合孔24及び横側係合孔25、下向き係合片38及び横向き係合片39をいずれも基材13の前縁部に沿った方向(車幅方向)に長い断面形状のものとしているが、前後方向やその他の方向に長い断面形状のものとしてもよい。この場合も、係合孔及び係合片の数は適宜選択することができる。
【0043】
(実施形態2)
図5及び図6は本発明の実施形態2を示し(尚、図1〜図4と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、上記実施形態1では基材13の係合孔24,25をスリット状とし、表皮30の係合片38,39を板状としているのに対し、これらの形状を変えたものである。
【0044】
すなわち、この実施形態では、基材13の水平底部14前端部に接続されている枠部17の起立壁部17bの上端部17iには基材13の前端部に沿って並んだ2つの上側係合孔24,24が、また横側底部15の前端部に接続されている起立壁部17cの先端部17jには同様の2つの横側係合孔25,25がそれぞれ基材13の表裏面を貫通するように形成され、この各係合孔24,25はいずれも円形孔からなっている。
【0045】
一方、表皮30の水平部31の前端縁部の裏面には下向きに延びる2つの下向き係合片38,38が、また横側垂直部32の前端縁部の裏面には車外側に延びる2つの横向き係合片39,39がそれぞれ一体に突設されている。この各係合片38,39はいずれも上記基材13の各係合孔24,25を挿通可能な円筒状のもので、その外周面の途中には係合片38,39の外周面全体に亘り円環状の係止突部41が一体に突設されている。その他の構成は上記実施形態1と同様である。
【0046】
したがって、この実施形態においては、表皮30の各係合片38,39を基材13の対応する係合孔24,25に挿通する場合、上記実施形態1とは異なり、表皮30の各係合片38,39を基材13の係合孔24,25に基材13の表側から押し込めばよく、係合片38,39外周面の円環状の係止突部41が係合孔24,25を通り抜けて(そのとき、円筒状の係合片38,39は小径となるように変形する)基材13の裏側に移動することで、その係止突部41により係合片38,39が抜け止めされる。尚、表皮30は軟質材であるが、係合片38,39が円筒状であるため、これら係合片38,39を表側から押しても係合片38,39は屈曲することなく係合孔24,25に挿入される。よって、この実施形態でも実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0047】
尚、この実施形態2においても、係合孔24,25及び係合片38,39の数を適宜変更することができる。また、この実施形態2のように、係合孔24,25を円形孔とし、係合片38,39を円筒状のものとするのに代え、係合孔24,25を細長い長孔又は楕円孔とし(その長径方向は限定されない)、係合片38,39は該長孔又は楕円孔に挿通可能な断面長円形状又は断面楕円形状の筒部で形成してもよく、上記実施形態2と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
(他の実施形態)
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、種々の他の実施形態をも包含するものである。例えば、上記実施形態では、後側アームレスト12を断面略L字状のものとしているが、平板状のものでもよく、基材が平面視で略矩形状の板状体からなるものであればよい。
【0049】
また、上記実施形態では、アームレスト10を前側アームレスト11と後側アームレスト12とで構成し、そのうちの後側アームレスト12のみに本発明の構造を適用しているが、本発明は、分割されていないアームレストにも適用できるのは勿論のことである。
【0050】
さらに、上記実施形態では、基材13を異形の箱状とし、その内部に弾性材27を配置充填しているが、本発明は、平板状の基材上に弾性材27を配置し、その上に表皮を被せた構造のアームレストにも適用することができる。また、上記実施形態は、基材13と表皮30との間に弾性材27が充填されているアームレストの場合であるが、本発明は、基材と表皮との間に弾性材が充填されていないアームレストに対しても適用することができる。
【0051】
また、上記各実施形態は、自動車の内装材としてのサイドトリムAのアームレスト10に本発明を適用したものであるが、本発明は自動車以外の車両におけるアームレストにも適用でき、さらにはアームレスト以外に、平面視で略矩形状の板状体からなる成形体本体を有する通常一般の表皮付成形体にも適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明のように、請求項1の発明によると、連続した軟質の表皮が平面視で略矩形板状の成形体本体の表面、端縁部側面及び端縁部裏面に連続して被覆された表皮付成形体として、表皮周囲の三辺の端縁部を成形体本体の対応する三辺の端縁部に、表皮端縁部の断面略L字状の折曲げ部により成形体本体の各辺の側面から該側面に連続する裏面の一部まで延びてそれらを被覆するように取り付け、表皮周囲の残り一辺の端縁部は、その裏面に突設した係合片を成形体本体の残り一辺の端縁部に形成した係合孔へ係合して取り付けるようにしたことにより、表皮周囲の一辺に折曲げ部が形成されていないので、表皮の成形体本体への取付けの際に、その表皮の折曲げ部を有する他の三辺を容易に拡げることができ、表皮の全周が連続した開口部を拡げて成形体本体の周縁部全体に亘り被せる作業を不要とでき、表皮が軟質材料であってもその成形体本体への取付作業の容易化を図ることができる。
【0053】
請求項2の発明によれば、成形体本体と表皮との間に弾性材を充填したことにより、成形体本体及び表皮の間に弾性材が充填される表皮付成形体であっても、その表皮の成形体本体への取付作業を容易に行うことができる。
【0054】
請求項3の発明によると、表皮付成形体を車両用アームレストとしたことにより、表皮付成形体で構成される車両用アームレストにおいて、その表皮を基材としての成形体本体に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る車両用の後側アームレストの主要部材を拡大して示す分解斜視図である。
【図2】表皮の係合片が基材の係合孔に挿通されて取り付けられる状態を示す断面図である。
【図3】図4のIII−III線拡大断面図である。
【図4】車両用アームレストを有するサイドトリムの斜視図である。
【図5】本発明の実施形態2を示す図1相当図である。
【図6】実施形態2を示す図2相当図である。
【符号の説明】
A サイドトリム
1 トリム本体
10 アームレスト
11 前側アームレスト
12 後側アームレスト
13 基材(成形体本体)
24 上側係合孔
25 横側係合孔
27 弾性材
30 表皮
36 折曲げ部
38 下向き係合片
39 横向き係合片
Claims (3)
- 連続した軟質の表皮が成形体本体の表面、端縁部側面及び端縁部裏面に連続して被覆された表皮付成形体であって、
上記成形体本体は平面視で略矩形状の板状体からなり、
上記成形体本体の一辺の端縁部には成形体本体の表裏面を貫通する係合孔が形成され、
上記表皮周囲の端縁部のうち上記成形体本体の係合孔を有する上記一辺を除いた残りの各辺に対応する端縁部には、該成形体本体の残りの各辺の端縁部の側面から該側面に連続する裏面の一部まで延びてそれらを被覆する断面略L字状の折曲げ部が形成されている一方、
上記表皮周囲の端縁部のうち上記成形体本体の係合孔を有する上記一辺に対応する端縁部の裏面には、該係合孔に挿通されて係止される係合片が一体に突設されていることを特徴とする表皮付成形体。 - 請求項1の表皮付成形体において、
成形体本体と表皮との間に弾性材が充填されていることを特徴とする表皮付成形体。 - 車両用アームレストであることを特徴とする請求項2の表皮付成形体。
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