JP4090454B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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また、液透過性の表面材料層に長手方向に連続するまたは長手方向に向かって配列するエンボス圧縮部を形成したものが開示されている(例えば特許文献2参照)。特許文献2記載の吸収性物品においては、エンボスパターンとして、線状圧縮部が非圧縮部の周囲を連続して囲むリーフ状のパターン模様や小円形エンボス(点エンボス)が設けられている。
特許文献2記載の吸収性物品においては、液透過性の表面材料層にエンボス圧着部を設けているため、表面材料層に皺やヨレが生じ易くなり、また、液止め効果も低い。さらに、エンボス圧着部およびその周辺による液の滞留も起こり易い。
本実施形態の生理用ナプキンは、図1〜図3に示すように、液保持性の吸収層A及び液不透過性の防漏層Bを備えた実質的に縦長の吸収性本体Cを有する生理用ナプキン1であって、吸収性本体Cの肌当接面側の両側縁部にはそれぞれに沿って略全長に亘って設けられた左右一対の液不透過性であるサイドシート5,5が配されている。
サイドシート5には、非エンボス部を包囲した形状に形成された包囲エンボス部71〜77が設けられている。前記包囲エンボス71〜77には、図4(包囲エンボス71について記載)に示すように、その周縁部分に深く凹んだエンボス部71Aが形成され、その内側の非エンボス部71Bは該エンボス部71Aよりも浅く凹んでいる。前記エンボス部71Aには、広い幅のエンボス領域71Pと狭い幅のエンボス領域71Qとが不規則に配置されており、エンボス部71Aは、部分的にエンボス幅が変化している。
表面シート2は、吸収体4の上面の全域を被覆しており、吸収体4の側縁から若干延出しているが、裏面シート3とは接触していない。裏面シート3は、吸収体4の下面の全域を被覆し、吸収体4の側縁から外方に延出している。
裏面シート3とサイドシート5とは、図1及び図2に示すように、吸収性本体Cの両側縁及びウイングDの周縁において接合されてサイドシール部Eを形成している。また、表面シート2と裏面シート3とは、図1に示すように、それぞれ吸収体4の前後端から延出し、その延出部分において接合されてエンドシール部Fを形成している。
「長手方向に実質的に連続する」とは、平面視で実際に連続している場合のみならず、平面視では連続していないが、平面視で、長手方向に直交する(幅方向に延びる)仮想直線を介することによって連続する場合も含む。ただし、平面視で実際に連続しておらず仮想直線を介して連続している方が、実際に連続している場合と比較し、皺やヨレが生じ難く、柔軟性の低下が生じ難くなる観点から望ましい。
エンボスライン61〜63から構成されるエンボスパターンPのうち最内部に位置する部位は、サイドシート5の内側縁5D(図2参照)から幅方向に10mm以内に含まれるように配置されることが好ましく、また吸収性本体Cの幅方向に沿う幅が3mm以上であることが好ましい。
このように複数のエンボスがクラスター構造状に配置されて、クラスター構造状エンボスを形成することで、サイドシートに大きな皺が入り難く形成されるため防漏性を高めることができ、模様パターンによる工夫された印象を与えることができる。さらに、本発明におけるクラスター構造状エンボスでは、包囲エンボスを含んでなることから、肌触りにも優れたものとなる。
サイドシート5には、形態の異なる複数個の包囲エンボスが散在しており、本実施形態においては、前記包囲エンボス71、72の他にも、例えば包囲エンボス73〜77が設けられている。
図4に示すように、包囲エンボス71には、その周縁部分に深く凹んだエンボス部71A(ハッチング部分)が形成されている。エンボス部71Aの内側部分の非エンボス部71Bは、エンボス部71Aが形成されることにより、エンボス部71Aの外側よりも浅く凹んでいる。更に、図4(a)に示すように、エンボス部71Aの内周部分の曲率半径は、肌触り向上やエンボス切れ防止の観点から、外周部分の曲率半径と同じかそれより大きくなされている。
本実施形態においては、エンボス部71Aは、素材厚みの20%以下(t1/t0)に圧縮された部位で、非エンボス部71Bは、素材厚みの10〜95%(t2/t0)に圧縮された部位(ただしt2>t1)である。
光の透過性が異なるということは、透明度が異なることであり、透明化されている場合と、白化されている場合とがある。透明化させる場合には、サイドシート5を構成する繊維を融点付近もしくはそれ以上に加熱圧縮して、エンボス部71Aにおいて繊維の形状を失わせて透明化させる。また、白化させる場合には、繊維の形状を失わない程度に加熱圧縮するか、芯鞘構造繊維の鞘成分の融点付近に加熱圧縮して、繊維の形状を部分的に維持して白化させて、エンボス部の周囲より白くする。
透明化させた場合は、視認性が高いだけでなく、サイドシート同士もしくは表面シートなど他の材料との接合性に優れ、防漏性をより高められる点で好ましい。白化させた場合には、視認性が一層高くなり、包囲エンボスやその集合体が形成する模様を形成することができ、好ましい。
ここで、構造的に強い又は弱いとは、剛性の強さ又は弱さである。エンボス部71Aに構造的に強い領域71Pと構造的に弱い領域71Qが形成されることにより、サイドシート5が装着による湾曲や変形が生じた際に、包囲エンボス71内で抵抗力が分散され、サイドシート5が柔軟に装着者に追従することができる。
裏面シートとしては液不透過性であれば特に制限はなく、不織布やフィルム等が挙げられる。ここでいう「液不透過性」とは液を通しにくい難透過性の材料も含んでいる。本実施形態においては防漏性のフィルムシートが用いられている。
吸収体としては、パルプや不織布、紙やそれに高吸水性ポリマーが配合されたもの等の公知のものが用いられる。
サイドシートの坪量には特に制限はないが、前述のような効果をもたらすためには、坪量が15g/m2以上あるほうが好ましく、更に好ましくは、複数枚を重ねあわせ接合するようにエンボスを設け、全体として30g/m2以上の坪量を有するものである。
サイドシートは一枚でも良いし、さらに防漏性やクッション性、エンボスの視認性を高めるために2枚以上を組合せてもよい。防漏性を高めるエンボスは2枚以上のシートに対して重ね合わせて施しても良いし、どれか一部の層のみに施しても良い。
エンボスライン61,62及び63並びに包囲エンボス71〜77の形成方法には特に制限はなく、本実施形態においてはヒートシールにより曲線状に形成されている。
また、サイドシート5にエンボスパターンが形成されているため、表面シートには皺が入りにくく、装着感や側部への液の拡散が防止できる。
本発明の吸収性物品は、生理用ナプキン以外に、パンティライナー、おりものシート、失禁パッド等にも適用することができる。
包囲エンボスは、サイドシートに設けるだけでなく、吸収性物品の外面を形成するシートであれば、表面シート、裏面シート、ウイング等に設けることができる。例えば、表面シートにおけるエンドシール部近傍に設け、防水シートと接合することで、従来用いていたエンドシールの代わりとすることができる。
表面シートで吸収体の一部を覆い、サイドシートと表面シートを吸収体側部上面にて重ね、そこに包囲エンボス、エンボスラインや単エンボスなどによりサイドシートと表面シートを接合して形成しても良い。
包囲エンボスのエンボス部における構造的に強い領域は、エンボス部において部分的に強くシールすることにより形成することもできる。
クラスター構造状エンボスは、包囲エンボスのみが組み合わされて形成されていてもよく、包囲エンボスとその他のエンボスが組み合わされて形成されていてもよい。その他のエンボスとしては、例えば、凹部のみよりなる単エンボスが挙げられる。
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 サイドシート
61、62、63 エンボスライン
71、72、73、74、75、76、77 包囲エンボス
71A エンボス部
71B 非エンボス部
81 包囲エンボスの集合体
A 吸収層
B 防漏層
C 吸収性本体
D ウイング
E サイドシール部
F エンドシール部
P エンボスパターン
Claims (6)
- 液保持性の吸収層及び液不透過性の防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の肌当接面側の両側縁部それぞれに沿って略全長に亘って設けられた左右一対の液不透過性であるサイドシートとを有する吸収性物品であって、
前記サイドシートに、非エンボス部を包囲した形状に形成された包囲エンボスが複数設けられ、該包囲エンボスを含む複数のエンボスによりクラスター構造状エンボスが形成されており、
前記包囲エンボスのエンボス部は、部分的にエンボス幅が変化している吸収性物品。 - 液保持性の吸収層及び液不透過性の防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の肌当接面側の両側縁部それぞれに沿って略全長に亘って設けられた左右一対の液不透過性であるサイドシートとを有する吸収性物品であって、
前記サイドシートに、非エンボス部を包囲した形状に形成された包囲エンボスが複数設けられ、該包囲エンボスを含む複数のエンボスによりクラスター構造状エンボスが形成されており、
前記包囲エンボスのエンボス部は、白化によりその周囲より白くなされている吸収性物品。 - 前記包囲エンボスのエンボス部は、部分的に構造的に強い領域を有している請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記包囲エンボスのエンボス部は、その内周部分の曲率半径がその外周部分の曲率半径と同じかそれより大きくなされている請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記非エンボス部は、前記包囲エンボスの外側よりも浅く凹んでいる請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記包囲エンボスのエンボス部は、素材厚みの20%以下に圧縮された部位であり、前記非エンボス部は、素材厚みの10〜95%に圧縮された部位であり、該エンボス部の厚みが該非エンボス部の厚みよりも小さい請求項1又は2記載の吸収性物品。
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