JP4090214B2 - 螺旋付き杭の成形用金枠およびコア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、螺旋付き杭の成形用金枠およびコアの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属製杭として、先端外周に螺旋状の羽根(以下螺旋条という)を形成した螺旋付き杭が知られている。
【0003】
この螺旋付き杭は、一般に螺旋条が杭周囲を一周以上旋回しているので、脱型時に製品を軸方向に引き抜く遠心力鋳造では製造できない。
このような問題を解消するため、螺旋条の周回数を、杭周囲の一周以下として、軸方向引抜を可能とすることにより、先端に螺旋条を有する杭を遠心力鋳造法によって連続的に成形できるようにした螺旋付き杭の鋳造装置が提案されている(例えば特開平11−179517号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記螺旋付き杭を連続的に製造する場合、従来では、図4に示すように、杭となる管を遠心力により鋳造する筒状の金枠1の端面1bに径方向に広がる第一の螺旋面2を形成し、この第一の螺旋面2の周方向外縁より軸方向に伸びる外周枠部3aと、この外周枠部3aから段状に拡径された軸方向延出筒部3を一体に形成した金枠1を使用し、前記第一の螺旋面2に対し螺旋付き杭Pの螺旋条P1の肉厚に相当する隙間を隔てて対面する第二の螺旋面4を有するコア部材5を、矢印で示すように前記軸方向延出筒部3内へ同軸に嵌め込むことにより螺旋条の型を形成し、両者を固定した後に高速回転させて溶融鋳鉄を流しこみ、末端に螺旋条P1を有する杭Pを成形し、次いで金枠1の回転を止め、コア部材5を外し杭Pを脱型する工程で製造されている。
【0005】
しかしながら、この方法を実施するには、コア部材5の金枠1への嵌めこみを、第一の螺旋面2と第二の螺旋面4との対面状態を正しく一致させた上、これらの対面間隔を螺旋条の厚さに合致するように嵌め込んでセットしなくてはならず、この調整に手間取る問題があった。
【0006】
すなわち図5に示すように、上記の調整は、金枠1を静止状態とし、両者の位置合わせを、金枠1かコア部材5のどちらかを人力などで軸周囲に相対回転させて第一と第二の螺旋面の対面状態を合致させ、また軸方向へ押し込むことにより図4に示すようにセットする作業手順によるので、金枠の位置設定や脱着に手間がかかり、また連続製造する場合は前回の鋳造時の残熱で金枠1が高温となっているので危険作業ともなる欠点があった。
【0007】
この発明は上記問題を解消し、金枠に対するコア部材の位置合わせと固定を、金枠を静止させず駆動回転させながらでも可能とし、また型の設定と脱着の迅速化ならびに安全化を図ることを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の螺旋付き杭の成形用金枠およびコアは、杭となる管を遠心力により鋳造する筒状部を有する金枠であって、前記筒状部の端面が螺旋状の端面とされ、この螺旋状の端面が、螺旋巻回始端と終端との間にできる軸方向面を含め径方向へ拡大されて第一の螺旋面とされ、さらにこの第一の螺旋面の周方向外縁より軸方向に伸びる軸方向延出筒部を一体に形成してなる金枠と、背面側が保持具で支持されるとともに、前記第一の螺旋面に対面する螺旋面および軸方向面を有する第二の螺旋面を有したコア部材とからなり、前記金枠の軸方向延出筒部内面と、前記保持具の外面との一部に、前記金枠とコア部材との互いの軸方向距離を近づけていったとき、前記第一の螺旋面と第二の螺旋面の軸方向面が対面接触する直前の周方向一定位置で互いに接触する突起がそれぞれ設けられ、この両突起の軸方向長さが、該両突起が接触後さらに前記コア部材を前記金枠に接近させて行ったときに、第一の螺旋面と前記第二の螺旋面の軸方向面の周方向投影面が重なる直前で互いに軸方向にすれ違って接触が解消される軸方向長さとされてなるものである。
【0009】
従って、この発明の螺旋付き杭の成形用金枠およびコアによれば、金枠の一端にコア部材をセットする場合、回転させた金枠にコア部材を接近していけば、突起が衝突することによって第一の螺旋面に対し第二の螺旋面の回転方向位置が、正確な位置に近い状態に調整されると共に、突起の衝突によってコア部材が金枠とほぼ同じ回転数となるように付勢される。その後、そのままコア部材を金枠の一端に押し込んでいけば、突起の係合は外れ、今度は第一の軸方向面と第二の軸方向面とが接して、第一の螺旋面に対し第二の螺旋面が、正確な位置にセットされる。そしてこのままコア部材を押し込んでいき軸方向位置を所定の位置に固定すれば、金枠の回転を完全に停止することなく金枠とコアの位置の設定、固定が可能となるのである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の実施の形態である螺旋付き杭の金枠とコアを示す説明図で、(a)は縦断面図、(b)は要部側面図である。
【0011】
なお、この実施の形態において使用される金枠1の従来と異なる点は金枠1内面とコア部材のための保持具の外面に設けた突起10、11の構造にあり、それ以外の従来と同一部分に付いては図4、図5に付した符号を示すことで詳細な説明は省略する。
【0012】
ただし、図1(a)において、図中2aは第一の螺旋面2の螺旋巻回始端2bと終端2cとの間にできる軸方向面を示す。
図示例の場合、この軸方向面2cは、金枠1の軸線1aを含む平面とした場合を示しているが、金枠1の軸線1aに対し型抜が容易な開き勝手の方向へ傾斜させた面としても良い。
【0013】
また軸方向延出筒部3には、前記第一の螺旋面2に対面する第二の螺旋面4を有するコア部材5が嵌合可能とされている。すなわち、この第二の螺旋面4は第一の螺旋面2と等しいピッチのねじ面とされ、第二の螺旋面4の始端4bと終端4cとの間に形成される軸方向面4aが、第一の螺旋面2の軸方向面2aと隙間無く接するように形成されている。
【0014】
この第二の螺旋面4の軸方向面4aも前記と同様、金枠1の第一の螺旋面2に合わせ、金枠1の軸線1aに対し型抜が容易な開き勝手の方向へ傾斜させた面としても良い。
【0015】
このコア部材5は鋳物砂で成形され、中心部に貫通孔を設けたドーナツ上とされている。そして、この鋳物砂製のコア部材5は、背面側5aが保持具6で支持されるようになっている。
【0016】
この保持具6は、その背面側6aがベアリング7を介して支持部材により支持可能とされている。
そして、上記金枠1の第一の螺旋面2周囲から軸方向に延びる軸方向延出筒部3の内面と、この軸方向延出筒部3内に挿入される前記保持具6の外面に、互いに周方向相対回転した時に接触可能な突起10、11が形成されている。
【0017】
この突起10、11の周方向位置は、金枠1を第一の軸方向面2aが前面となるように回転させ、そこへコア部材5を近づけていったとき、図1(b)に示すように第一の螺旋面2の軸方向面2aと、第二の螺旋面4の軸方向面4a(点線で示す)とが当接する直前で突起10が突起11に接するような位置に設けられている。
【0018】
なお、軸方向延出筒部3の先端側3bは、突起11を受容できるよう図示のように段状に拡径されている。
また、この突起10、11の軸方向位置については、前記金枠1と前記コア部材5の軸方向距離を近づけていったとき、前記第一の螺旋面2の軸方向面2aと第二の螺旋面4の軸方向面4aとの周方向投影面が重なる直前、すなわち、前記軸方向面2a、4aが対面接触する直前で互いにすれ違って接触が解消される長さとされて構成されている。
【0019】
また、ベアリング7部には図示されていないが油圧装置、エアシリンダなどが係合可能とされ、矢印で示すように軸方向へ進退可能とされ、前記コア部材5は金枠1の軸1aと同一軸上を軸周囲に回転しながら軸方向へ移動できるようにされている。
【0020】
次に、この実施の形態の作動について説明する。
まず、図1(a)に示したように、コア部材5を保持具6に取り付けて自由回転可能にする。
【0021】
次いで、図2(a)に示すように第一の螺旋面2における軸方向面2aを矢印で示すように進ませる方向へ、ゆっくり回転させる。
そして、図外の油圧装置やエアシリンダなどの駆動装置を使用して保持具6(図1(a))を移動させ、これに保持させたコア部材5を第一の螺旋面2を囲む軸方向延出筒部3へ挿入していく。
【0022】
そのまま挿入していくとコア部材5の突起11は図2(b)に示すように軸方向延出筒部3内面に設けた突起10と周方向に衝突する。
この衝突によりコア部材5は金枠1とほとんど同じ回転速度で回転させられ、相対速度差がほとんど無くなる。
【0023】
なお、このときの衝撃は、金属部分に設けられた突起10、11同士の衝突であるので、砂型などとされたコア部材5がショックにより破壊される心配はない。
【0024】
その後さらにコア部材5を押し込んでいくと、図2(c)に示すようにコア側の突起11は金枠側の突起10部分を通り抜け、コア部材5は惰性回転の状態となる。
【0025】
しかし、このとき、両者の周方向位置関係は、第一、第二の螺旋面2、4の軸方向面2a、4aを対面当接する状態に近いので、この直後両者が接触したときの衝撃はほとんど無い。また、当接すれば図2(d)に示すように互いの軸方向面を当接した状態で両者は一体となって回転する。
【0026】
最終的にコア部材5は、第一の螺旋面2の周方向外縁より軸方向に伸びる外周枠部3aに当接する。
その状態となれば図3に示したようにコア部材5と金枠1は固定爪(図示せず)などで離れないように固定される。
【0027】
次いで、金枠1を高速に回転させ、内部に溶融鋳鉄を流し込んで螺旋付き杭を遠心力鋳造法により成形する。
成形が終了すれば、回転数を下げ、固定爪を外しコア部材5を引き出し成形した杭P(図4)を金枠1から軸方向へ引出すのである。
【0028】
そして、保持具6に新たなコア部材5を装着し、金枠1が回転している間に再び上記と同様にしてコア部材5を金枠1に挿入して取り付け、成形を繰り返すのである。
【0029】
以上説明したように、この発明の螺旋付き杭の成形用金枠およびコアによれば、金枠1が回転していてもコア部材5のセットが可能となるため、従来のようにコア部材5を金枠1にセットする際、金枠1の回転を完全に停止させなくて良いので、金枠1の反復使用に要する時間を短くすることができ、迅速な製造が可能となる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の螺旋付き杭の成形用金枠およびコアによれば、螺旋付き杭を製造する場合、杭先端の螺旋条を成形するのに必要なコア部材の金枠に対する脱着が、金枠を回転させたままでできるので、金枠を完全に停止させて位置合わせする工程が省略でき、製造時間の短縮化が図られ、生産効率の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の螺旋付き杭の成形用金枠およびコアの説明図であり(a)は断面図、(b)は要部側面図である。
【図2】この発明の螺旋付き杭の成形用金枠およびコアを使用する場合の工程説明図であり、(a)より順に(b)(c)(d)へと工程が進む状態を示している。
【図3】この発明の実施の形態の螺旋付き杭の成形用金枠およびコアをセットした状態を示す断面図である。
【図4】従来使用されている螺旋付き杭の成形用金枠およびコアの断面図である。
【図5】従来の螺旋付き杭の成形用金枠およびコアの使用状態を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 金枠
1a 金枠の中心回転軸線
1b 金枠端面
2 第一の螺旋面
2a 第一の螺旋面に形成された軸方向面
3 軸方向延出筒部
3b 軸方向延出筒部
4 第二の螺旋面
4a 第二の螺旋面に形成された軸方向面
5 コア部材
6 保持具
7 ベアリング
Claims (1)
- 杭となる管を遠心力により鋳造する筒状部を有する金枠であって、前記筒状部の端面が螺旋状の端面とされ、この螺旋状の端面が、螺旋巻回始端と終端との間にできる軸方向面を含め径方向へ拡大されて第一の螺旋面とされ、さらにこの第一の螺旋面の周方向外縁より軸方向に伸びる軸方向延出筒部を一体に形成してなる金枠と、背面側が保持具で支持されるとともに、前記第一の螺旋面に対面する螺旋面および軸方向面を有する第二の螺旋面を有したコア部材とからなり、前記金枠の軸方向延出筒部内面と、前記保持具の外面との一部に、前記金枠とコア部材との互いの軸方向距離を近づけていったとき、前記第一の螺旋面と第二の螺旋面の軸方向面が対面接触する直前の周方向一定位置で互いに接触する突起がそれぞれ設けられ、この両突起の軸方向長さが、該両突起が接触後さらに前記コア部材を前記金枠に接近させて行ったときに、第一の螺旋面と前記第二の螺旋面の軸方向面の周方向投影面が重なる直前で互いに軸方向にすれ違って接触が解消される軸方向長さとされてなる螺旋付き杭の成形用金枠およびコア。
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