JP4089528B2 - 車両用車輪 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用の車輪に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両が別の物体と衝突した場合に、搭乗者や車両への衝撃をできるだけ少なくするための衝撃吸収構造が、従来から種々提案されている。そのような衝撃吸収構造としては、例えばバンパとサイドメンバとの間に衝撃吸収部材の一種であるクラッシュボックスを介装したものがある。
【0003】
また、発泡弾性体等を封入することにより衝撃を吸収することができる車輪が知られている。例えば、下記特許文献1には、ノーパンクチューブをクッション用スペースに封入した車輪が記載されている。このノーパンクチューブは、単泡スポンジゴム部分内に複数条のソフト高反撥性中実ゴム体等をノーパンクチューブの長手方向に沿わせて埋設したものである。このノーパンクチューブを封入した車輪では、埋設されたソフト高反撥性中実ゴム体等により衝撃が吸収される。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−197905号公報(第2頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の車輪は、車両衝突時における衝撃吸収が充分ではない。そのため、車両衝突時における衝撃吸収性能の向上が要望されている。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、車両衝突時の衝撃吸収性能を向上させた車両用車輪を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る車両用車輪は、ホイールと、ホイールのリムに取り付けられるタイヤとを備える車両用車輪において、タイヤの内面とリムとの間に、車両衝突時に荷重を受けることにより変形して衝撃を吸収する衝撃吸収部材が設けられており、その衝撃吸収部材は、車両のロッカー部の前方又は後方に、前記ロッカー部に対向して配置されて構成されている。
【0008】
本発明に係る車両用車輪によれば、タイヤの内面とホイールのリムとの間に衝撃吸収部材が設けられており、車両衝突時にはこの衝撃吸収部材により衝撃が吸収されるので、車両衝突時の衝撃吸収性能を向上させることができる。また、車両衝突時には衝撃吸収部材とロッカー部とが当接し、衝撃吸収部材が変形されることにより衝撃が吸収されるので、車両衝突時の衝撃吸収性能を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。
【0013】
(第1実施形態)
まず、図1乃至図3を併せて用いて、第1実施形態に係る車両用車輪1の構成について説明する。図1は車両用車輪1の側面図であり、図2は図1のII−II線に沿っての断面図である。また、図3は車両用車輪1の一部を断面とした要部の斜視図である。なお、本明細書においては、車両が直前進している際の前方方向を「前方」と定め、「前」「後」「左」「右」等の方向を表わす語を用いることとする。
【0014】
車両用車輪1は、ホイール10と、ホイール10のリム12Aにはめ込まれたタイヤ20とを備えている。
【0015】
ホイール10は、例えば、筒型状をしたスチール(鋼板)製のリム12Aと円盤状のディスク14とが、リム12Aの内周部において溶接等により結合されたものである。なお、ホイール10は、鋳造や鍛造によってリム12Aとディスク14とが一体的に成形されたものであってもよい。この場合、ホイール10の材料としては、アルミニウム合金等の軽合金が用いられる。
【0016】
リム12Aの外周部にはタイヤ20がはめ込まれている。リム12Aとタイヤ20との間には、空気室が形成されている。なお、空気に代えて発泡弾性体等を封入してもよい。
【0017】
ホイール10のリム12Aには、衝撃吸収部材30が取り付けられている。衝撃吸収部材30は、径方向の断面形状が略コの字状をしたスチール(鋼板)製等の環状部材である。この衝撃吸収部材30は、コの字状の開放部をリム12A側にして、リム12Aの周壁面にその全周にわたって取り付けられている。取り付けには溶接等の方法が用いられる。なお、衝撃吸収部材30の径方向断面形状は、略コの字状に限られず、例えば台形状や円状、あるいは口の字状であってもよい。
【0018】
衝撃吸収部材30は、車両衝突時において、荷重を受けることにより座屈変形して衝撃を吸収する。また、衝撃吸収部材30には、溝30aが設けられ、座屈変形作用により前方からの衝撃エネルギーを吸収しやすいようになっている。なお、この溝30aは孔であってもよい。
【0019】
衝撃吸収部材30の高さh、幅w及び厚みt、並びに溝30aの数等は、衝撃吸収性能及び走行性能等を考慮して決定される。即ち、車両重量等に応じて充分な衝撃吸収性能を発揮すると共に、走行中におけるタイヤ内面との干渉や異常振動等を発生しないような値に各寸法等が設定される。
【0020】
次に、図4を参照して車両Vにおける車両用車輪1の配置について説明する。ここで、図4は車両用車輪1を装着した車両Vの衝撃吸収構造を示す模式図である。
【0021】
車両Vは、キャビンの左右両側部に沿って延びる左右一対のロッカー部40L,40Rと、これら左右ロッカー部40L,40Rの前端間を左右に接続するダッシュクロスメンバ54と、このダッシュクロスメンバ54から車体前方に向けて延びる左右一対のフロントサイドメンバ52L,52Rとを備える。左右のフロントサイドメンバ52L,52Rの前端にはフロントバンパ50が支持されている。また、左右のフロントサイドメンバ52L,52Rの外側には、左右の前輪1FL,1FRが配置されている。
【0022】
一方、左右ロッカー部40L,40Rの後端間は、リヤクロスメンバ56により左右に接続されている。このリヤクロスメンバ56には、車両後方に向けて延びる左右一対のリヤサイドメンバ58L,58Rが接続されている。左右のリヤサイドメンバ58L,58Rの後端にはリヤバンパ60が支持されている。また、左右のリヤサイドメンバ58L,58Rの外側には、左右の後輪1RL,1RRが配置されている。
【0023】
図4に示されるように、左右のロッカー部40L,40Rの前端は、左右の前輪1FL,1FRの後面に対向するように配設されている。また、左右のロッカー部40L,40Rの後端は、左右の後輪1RL,1RRの前面に対向するように配設されている。さらに、フロントバンパ50の左端部、左前輪1FL、左ロッカー部40L、左後輪1RL及びリヤバンパ60の左端部は、車体前後方向に整列して配設される。同様に、フロントバンパ50の右端部、右前輪1FR、右ロッカー部40R、右後輪1RR及びリヤバンパ60の右端部は、車体前後方向に整列して配設される。
【0024】
次に、図5を参照して車両用車輪1の作用について説明する。図5は車両用車輪1による衝撃吸収の過程を説明するための図である。ここでは、右前輪1FRを例にして説明をおこなう。左前輪1FL及び左右後輪1RL,1RRについては右前輪1FRの場合と同一又は同様であるので説明を省略する。なお、衝撃吸収部材30はタイヤ内面との干渉や異常振動等を発生しないように設計されるので、通常走行においては、車両用車輪1は衝撃吸収部材30を備えていない通常のタイヤと同等の走行性能を発揮する。
【0025】
車両Vが障害物Bに衝突する際には、まずフロントバンパ50が障害物Bに当接する(図5(a)参照)。
【0026】
次の段階では、フロントバンパ50が変形することで衝撃を吸収する。さらに、タイヤ20の前方の空気室が圧縮されて変形することにより、衝撃の一部が吸収されるとともに、ホイール10の前側に位置する衝撃吸収部材30の前面が圧壊されたフロントバンパ50に当接する(図5(b)参照)。
【0027】
そして、ホイール10の前側に位置する衝撃吸収部材30が座屈変形することにより衝撃を吸収する。一方、右前輪1FRのタイヤ20の後方部分がロッカー部40Rの前面と当接する(図5(c)参照)。
【0028】
さらに、タイヤ20の後方の空気室が圧縮されて変形することにより、衝撃の一部が吸収されるとともに、ホイール10の後側に位置する衝撃吸収部材30の後面がロッカー部40Rの前面と当接する(図5(d)参照)。
【0029】
そして、ホイール10の後側に位置する衝撃吸収部材30が座屈変形することにより、さらに衝撃を吸収する(図5(e)参照)。
【0030】
以上のようにして、車両Vが障害物Bに衝突する際の衝撃が衝撃吸収部材30等により吸収される。
【0031】
このように、車両用車輪1によれば、車両衝突時には、リム12Aの周壁部に取り付けられている衝撃吸収部材30が座屈変形することにより衝撃が吸収されるので、車両衝突時の衝撃吸収性能を向上させることができる。
【0032】
また、車両Vでは車両用車輪1が左右後輪1RL,1RRにも適用されているので、追突された場合の衝撃吸収性能を高めることができる。
【0033】
さらに、車両用車輪1に衝撃吸収部材30を設けることにより、衝撃吸収性能が向上するため、車両本体のクラッシャブルゾーンを小さくすることが可能となる。これにより、車両デザイン上要求されているフロントオーバーハングの短縮化にも応えることができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る車両用車輪2の構成について説明する。図6は第2実施形態に係る車両用車輪2の水平断面図である。
【0035】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、図6に示されるように、リム12Aの周壁部に衝撃吸収部材30を取り付ける代わりに、リム12Bの径方向の断面形状が波型に成形されている点である。リム12Bをこのような構造とすることにより、リム自体に衝撃吸収部材としての機能を持たせることができる。なお、リム12Bの径方向の断面形状は波型に限られず、衝撃を吸収できる形状であればよい。
【0036】
車両用車輪2におけるリム12B以外の構成及び車両用車輪2の衝突に対する作用などは、上記第1実施形態の場合と同一又は同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0037】
リム12Bを上記のような構造とすることにより、本実施形態においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、衝撃吸収部材30の形状は上記実施形態に限られず、円筒状や、多孔質部材であってもよく、衝撃を吸収する部材であれば、特に形状、材質は限定されない。また、第2実施形態に係る車両用車輪2おいて、リム12Bとタイヤ20との間に保護カバー等を設けてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、衝撃吸収部材をタイヤの内面とホイールのリムとの間に備える構成としたので、車両衝突時の衝撃吸収性能を向上させることが可能となる。また、通常走行時には、衝撃吸収部材を備えていない通常のタイヤと同等の走行性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る車両用車輪の側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿っての断面図である。
【図3】第1実施形態に係る車両用車輪の一部を断面とした要部の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る車両用車輪を装着した車両の衝撃吸収構造を示す模式図である。
【図5】第1実施形態に係る車両用車輪の作用を説明するための図である。
【図6】第2実施形態に係る車両用車輪の水平断面図である。
【符号の説明】
1,2…車両用車輪、10…ホイール、12A,12B…リム、20…タイヤ、30…衝撃吸収部材、40R,40L…ロッカー部。
Claims (1)
- ホイールと、前記ホイールのリムに取り付けられるタイヤとを備える車両用車輪において、
前記タイヤの内面と前記リムとの間に、車両衝突時に荷重を受けることにより変形して衝撃を吸収する衝撃吸収部材が設けられており、
前記衝撃吸収部材は、車両のロッカー部の前方又は後方に、前記ロッカー部に対向して配置されていること、
を特徴とする車両用車輪。
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2003
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