JP4089404B2 - 花粉付着防止織物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、花粉症の原因である花粉が付着しにくい花粉付着防止織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
花粉症は現代病であり、春先になると鼻、目などに症状が起こり不快感を覚える人が多くなっている。花粉症は発病するとなかなか完治しない病気で、その治療も確立されておらず、予防策として皮膚、目、鼻、口に花粉が触れないようさまざまな対策がとられている。
【0003】
鼻や口に花粉が触れない対策としては、防塵マスクなどがあり静電気を発生させてマスク内に花粉を吸着し、鼻や口で花粉を吸引しない方法が一般的である。
【0004】
これらは、常にマスクをした状態でないと効果はなく、日常生活的にマスクをすることは、息苦しく負担になるものである。また、衣服に付着した花粉については付着したまま、家の中に持ち込まれマスクをはずせば、外の環境に近い状態となる。
【0005】
花粉を防止するものとして、特開平6−158494には、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、塩基性基またはホルミル基を有する化合物を含有し平行水分率が1%以上である花粉補足用繊維構造物が提案されている。これらは花粉のアレルゲン物質を化学的に吸着するするものであり、これらを衣料として用いた場合、花粉を付着させたまま家の中に入ることになる。要するに家の中に花粉を持ち込むことになり花粉症の人にとっては返って好ましくないものである。
【0006】
また花粉を付着させないものとしては、特開平6−126093には有孔フィルム/シートにより形成された洗濯物用花粉防止カバーが提案されている。これらは花粉が通過せず、水蒸気が通過する範囲の大きさの孔を有するフィルムを用いるものであるが、フィルムでるため一般衣料として用いた場合、ファッション性に欠け、またカーテンなどのインテリア用品としてもドレープ性がないなど汎用性に欠けるものであった。またフィルムは静電気が発生しやすく、花粉を呼び寄せやすくまた一旦付着した花粉はなかなか取れないという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−158494号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、浮遊する花粉が付着しにくく、且つ落ちやすい花粉付着防止織物を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の織物は、KES法による布帛表面の摩擦係数の平均偏差(MMD)のタテ方向、ヨコ方向の各々の値が0.04以下で、かつ表面粗さの平均偏差(SMD)のタテ方向、ヨコ方向の各々の値が4.0μm以下であって、かつ擬似花粉の繊維構造物表面への付着数が、下記測定方法で250個以下である布帛を用いてなり、さらに該布帛表面に、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを必須の重合単位とする重合体が付与されていることを特徴とする花粉付着防止織物である。
(測定方法)7×7cmの繊維布帛30枚を20℃×65%RHで24時間調湿後、1gの擬似花粉と共にポリエチレン袋の中に入れ、20℃×65%RHの空気で、約20リットルに膨らませ口を縛る。
【0010】
かかるポリエチレン袋を1回/1秒の速度で縛り口を基準に上下に100 回振ったのち、繊維布帛を取り出し、繊維布帛表面を50倍に拡大し7.5 ×10cmの範囲の擬似花粉の個数を数える。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり花粉が付着しにくという花粉付着防止性を向上させた花粉付着防止織物について鋭意検討した結果、KES法による布帛表面の摩擦係数の平均偏差(MMD)のタテ方向、ヨコ方向の各々の値が0.04以下で、かつ表面粗さの平均偏差(SMD)のタテ方向、ヨコ方向の各々の値が4.0μm以下である布帛、つまり布帛表面が平滑である布帛が、擬似花粉の付着が少なく、つまり実際の花粉付着も少なくなり、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0012】
本発明でいう摩擦係数の平均偏差は、KES法による布帛表面の摩擦係数の平均偏差(MMD)であり、タテ方向、ヨコ方向の各々の値が0.04以下であることが好ましい。本発明でいうタテ方向とは布帛の長さ方向であり、ヨコ方向とは布帛の幅方向である。MMDが大きいということは摩擦係数の変動が大きく布帛表面を摩擦した時、粘着性が高く引っかかりやすいことを意味する。MMDが0.04より大きいと摩擦時のひっかかりが大きくなり、花粉が布帛表面に引っかかって付着しやすく、落ちにくくなってしまうものである。
【0013】
本発明のMMDは、カトーテック(株)KES−FB4を用い20℃×65%RHの環境下で測定する。20gf/cmの張力をかけた布帛に、0.5mmΦのピアノ線を10本並べ5×5mmに面上に巻いた接触子を50gfの力で接触面を布帛に圧着させ、0.1cm/秒の一定の速度で水平に2cm移動させた時の摩擦係数の平均偏差である。
【0014】
本発明でいう表面粗さの平均偏差(SMD)は、KES法による布帛の表面粗さであり、タテ方向、ヨコ方向の各々の値が4.0μm以下であることが好ましい。SMDが大きいということは布帛表面の凹凸が大きいことを意味する。SMDが4.0μmより大きいと布帛表面の凹部に花粉は入り込み落ちにくくなってしまうものである。
【0015】
本発明のSMDは、カトーテック(株)KES−FB4を用い20℃×65%RHの環境下で測定する。20gf/cmの張力をかけた布帛に、0.5mmΦのピアノ線を5mm幅に1本折り曲げた接触子を10gfで試料に圧着する。この接触子はバネで圧着されるが、バネの定数は25gfとする。圧着させた摩擦子を0.1cm/秒の一定の速度で水平に2cm移動させた時の布帛表面粗さの平均偏差である。
【0016】
本発明でいう擬似花粉とは、石松子((有)津田商店 製)という花粉の粒径に近い天然物であり、30〜40μmのシダ科のヒカゲノカズラの胞子である。大気中に浮遊している埃などの粒子は、10μm前後の非常に粒子の細かい無機物質が多く、また排気ガスなどに含まれるカーボンブラックにおいては、0.1μm前後とさらに細かい粒子であり、20〜60μmである花粉とは布帛への付着状態が異なるが、擬似花粉は花粉に近い粒径および形状の擬似花粉が布帛表面に付着しにくいということは、花粉も付着しにくいものである。
【0017】
本発明は、かかる擬似花粉をポリエチレン袋に1g入れ、7cm×7cmの繊維布帛30枚と共に1分間撹拌し、繊維表面に付着した擬似花粉の個数が、繊維布帛表面を50倍に拡大し、7.5×10cmの範囲で250個以下であるものである。擬似花粉の付着個数が250個を越えると、生地表面を肉眼で見た時に明らかに花粉の付着が確認でき、花粉が付着しにくいとは言い難いものである。
【0018】
本発明の織物は、布帛表面にシリコーン系化合物、ポリエステル系化合物、ワックス系化合物、パラフィン系化合物、メラミン系化合物、グリオキザール系化合物、ウレタン系化合物、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド系化合物、無機系化合物等が固着していてもよく、
【0019】
フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを必須の重合単位とする重合体は布帛表面に固着していることが必須である。重合体は、他の重合性モノマとの共重合体であっても良い。
【0020】
本発明でいうフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、フルオロアルキル基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基部分に存在する化合物をいう。
【0021】
フルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。フルオロアルキル基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。また、フルオロアルキル基は、直鎖状または分岐状の基が好ましい。分岐状の基である場合には、分岐部分がフルオロアルキル基の末端部分に存在し、かつ、炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。 さらにフルオロアルキル基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基(すなわちパーフルオロアルキル基)、またはパーフルオロアルキル基を末端部分に有する基が好ましい。
【0022】
パーフルオロアルキル基の場合、炭素数は、1〜20が好ましく、4〜16が特に好ましい。炭素数が4未満の場合には、加工剤組成物の撥水性能が低下する傾向にあり、16より多い場合には、共重合体が常温で固体となり、昇華性も大きく、取扱いが困難になる恐れがある。
【0023】
本発明の重合体は、かかる重合単位を1種または2種以上含んでいてもよい。かかる重合単位を2種以上含む場合には、炭素数の異なるフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。
【0024】
また、本発明の重合体は、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを重合単位として含むことが好ましい。かかるポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールであることが好ましい。特に好ましくは疎水性のポリプロピレングリコールであり、これを含むことによりMMD、SMDの数値が低くなり、平滑性が向上し、花粉付着防止性がさらに大きく向上するものである。
【0025】
本発明の重合体は、アミノプラスト樹脂、多官能性イソシアネート基含有ウレタン樹脂の少なくとも1種とを含有してなる樹脂組成物を構成し、かかる樹脂組成物の形で固着されているのが好ましい。かかる樹脂組成物として用いることにより、該重合体の布帛表面への固着の耐久性が向上するものである。
【0026】
アミノプラスト樹脂としては、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどのメラミン樹脂、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールヒドロキシ尿素などの尿素系樹脂、ジメチロールウロンなどのウロン樹脂などを用いることができる。中でもヘキサメチロールメラミン、トリメチロールメラミンが好適である。
【0027】
多官能性イソシアネート基含有ウレタン樹脂としては、分子中に2個以上のイソシアネート官能基を含む有機化合物であれば特に限定されるものではない。具体例としてはトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニールメタンジイソシアネート、水素添加ジフェニールメタンジイソシアネート、トリフェニールトリイソシアネート、キシレジンイソシアネート、ジクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、フリセリントリレンジイソシアネートアダクトなどに70〜200℃の加熱時に解離して活性なイソシアネート基が再生できるようなブロッキング化化合物として、フェノール、マロン酸ジエチルエステル、メチルエチルケトオキシム、重亜硫酸ソーダ、ε−カプロラクタムなどを反応させた多官能ブロックイソシアネートウレタン樹脂を挙げることができる。ブロックイソシアネートの熱分離速度の向上と熱解離温度の低下とを促進するために用いる解離触媒としてはジブチルスズジオレート、ジブチルスズステアレート、ステアリル亜鉛、有機アミン化合物が好ましい。
【0028】
本発明の重合体におけるフルオロアルキル基含有重合単位の含有割合は、布帛表面に付与された樹脂成分中、30〜70wt%であることが好ましい。30wt%未満の場合は疎水性が低く粘着性が高くなり布帛表面のMMDが高くなり花粉付着が多くなる場合がある。また70wt%を越えると撥水性が高くなるが布帛表面のかさつき感が高くなり、布帛表面のMMD、SMDが高くなり花粉付着が多くなる傾向がある。
【0029】
布帛への樹脂組成物の付与方法としては、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを必須の重合単位とする重合体に、アミノプラスト樹脂および/または、多官能性イソシアネート基含有ウレタン樹脂を加えた処理液を布帛に付着した後熱処理されることが好ましい。処理液を付与する方法は、かかる処理液に布帛を浸漬後パッディング法で付与する方法、またはスプレー法で付与することが好ましい。熱処理は、乾熱処理または湿熱処理のいずれかであり、好ましくは100〜200℃の乾熱処理が好ましい。100℃未満であると洗濯耐久性が不十分であり、200℃を越えると繊維の黄変、脆化が生じる傾向にある。
【0030】
また、花粉は、大気汚染物質と比較して粒径が大きく、30μm前後であるため、かかる重合体が単繊維に均一に被膜として被覆されている必要はなく、繊維束をかかる重合体が覆っていればよい。このことからかかる重合体が布帛にコーティングされ、布帛の片面または両面にシート状に付着していても良い。
【0031】
かかる織物を構成する繊維として、合成繊維、天然繊維、および再生繊維から選ばれた少なくとも1種を使用することができるが、かかる合成繊維としてはポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維またはポリオレフィン系繊維等が好ましい。ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを主成分とした共重合ポリエステル系繊維等が含まれ、また、ポリアミド系繊維としては、ナイロン6,ナイロン66および第3成分を共重合したもの等である。ポリオレフィン系繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。また天然繊維としては、絹等が好ましく、再生繊維としてはビスコースレーヨン等が好ましい。
【0032】
本発明においては、織物を構成する繊維または繊維束が交錯してできる隙間が、30μm以下であることが好ましい。花粉の粒径は30μm前後であるため隙間が30μmを越えると、隙間から花粉が織物の内部に入り込む可能性があるためである。
【0033】
また、織物を構成する繊維としては、特に好ましくは長繊維が用いられる。
【0034】
本発明においては、布帛表面の平滑性を高めるために織物が用いられる。
【0035】
本発明の織物は、花粉が付着しにくいということから、コート、ウインドブレーカー、ブラウス、ドレスシャツ、スカート、スラックス、手袋、帽子または布団カバー、布団干しカバーなどの用途に好適に使用されるものである。
【0036】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の品質評価は次の方法に従った。(花粉付着防止性)
7×7cmの繊維布帛30枚を20℃×65%RHで24時間調湿後、1gの擬似花粉と共にポリエチレン袋の中に入れ、20℃×65%RHの空気で、約20リットルに膨らませ口を縛る。
【0037】
かかるポリエチレン袋を1回/1秒の速度で縛り口を基準に上下に100回振ったのち、繊維布帛を取り出し、繊維布帛表面を50倍に拡大し7.5×10cmの範囲の擬似花粉の個数を数える。
(摩擦係数平均偏差/MMD)
1.20×20cmの試験片を準備する。
2.カトーテック(株)KES−FB4を用い20℃×65%RHの環境下で20gfの張力をかけ試験片を取り付ける。
3.0.5mmΦのピアノ線を5×5mmに10本面上に巻いた接触子に50gfで試料に圧着させ、0.1cm/秒の一定速度で水平に移動させ測定する。4.上記方法で布帛のタテ、ヨコ方法を測定する。
(布帛表面粗さの平均偏差/SMD)
1.20×20cmの試験片を準備する。
2.カトーテック(株)KES−FB4を用い20℃×65%RHの環境下で20gfの張力をかけ試験片を取り付ける。
3.0.5mmΦのピアノ線を5mm幅に1本折り曲げた接触子に10gfで試料に圧着させ0.1cm/秒の一定速度で水平に移動させ測定する。
4.上記方法で布帛のタテ、ヨコ方法を測定する。
【0041】
実施例1
タテ糸:ポリエステル 84dtex/72f 加工糸ヨコ糸:ポリエステル〃 加工糸密度:188×99本/インチ上記織物を通常条件で精練、染色、乾燥した。
【0042】
次いで、パーフルオロアルキルエチルアクリレートおよび、ポリオキシエチレングリコールモノメタクリレートおよびポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレートの共重合体TKガード208(高松油脂(株)製)、
50g/lおよびアミノプラスト樹脂であるスミテックスレジンM−3(住友化学工業(株)製) 3g/lおよび触媒として有機アミンからなる触媒スミテックスレジンACX(住友化学工業(株)製) 2g/l、ブロックイソシアネートであるスーパーフレッシュJB−7200((株)京絹化成 製)
3g/lからなる処理液に試験布を浸漬したのち絞り率80%で絞り、130℃で乾燥後さらに175℃で45秒間乾熱処理を行った。
【0043】
得られた試験布について、花粉付着防止性、MMD、SMDの評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
得られた試験布は、MMDタテ0.0237,ヨコ0.0135であり、SMDはタテ0.996、ヨコ1.313μmであった。布帛表面の粘着性が低く摩擦時の引っかかりがが少なくまた布帛表面が平滑であり、擬似花粉付着数は179個と優れた花粉付着防止性を示した。
【0045】
比較例1
タテ糸:ポリエステル 167dtex/48f 加工糸
ヨコ糸:ポリエステル65%/綿35% 45番手
密度 :68×61本/インチ
上記織物を通常条件で精練、染色、乾燥し160℃で仕上げセットを行った。
【0046】
得られた試験布について、花粉付着防止性、MMD、SMDの評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】
得られた試験布は、MMDがタテ0.0785、ヨコ0.0564であり、SMDがタテ5.608,ヨコ3.214であった。摩擦時の引っかかりが大きく、布帛表面の平滑性に欠けるものであり、つまり花粉の引っかかりが多く、擬似花粉付着数は684個と花粉付着防止性が十分ではないものであった。
【0048】
比較例2
タテ糸:ポリエステル 56dtex/72f
生糸ヨコ糸:ポリエステル 84dtex/72f
生糸密度 :174×109本/インチ
上記織物を通常条件で精練、染色、乾燥した。
【0049】
次いで、リン酸エステル系帯電防止剤であるエレナスタットEA−7(京浜化成(株)製)20g/lからなる処理液に試験布を浸漬したのち絞り率80%で絞り、160℃で乾燥/乾熱処理を行った。
【0050】
得られた試験布について、花粉付着防止性、MMD、SMDの評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
得られた試験布は、MMDがタテ0.0564、ヨコ0.0355SMDがタテ4.404,ヨコ2.112であった。帯電防止剤による布帛表面の粘着性が高く、また布帛表面の平滑性に欠け、花粉が引っ付きやすいものであった。擬似花粉付着数は756個と花粉付着防止性が十分ではないものであった。
【0052】
【表1】
【0053】
表1から明らかなように、実施例1のものは、比較例のものに比して、優れた花粉付着防止性を有することがわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、従来になかった優れた花粉付着防止織物を提供することができ、特にコート、ウインドブレーカー、ブラウス、帽子、布団干しカバーなど幅広い用途に好適な素材を提供することができるものである。
Claims (9)
- KES法による布帛表面の摩擦係数の平均偏差(MMD)のタテ方向、ヨコ方向の各々の値が0.04以下で、かつ表面粗さの平均偏差(SMD)のタテ方向、ヨコ方向の各々の値が4.0μm以下であって、かつ擬似花粉の繊維構造物表面への付着数が、下記測定方法で250個以下である布帛を用いてなり、さらに該布帛表面に、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを必須の重合単位とする重合体が付与されていることを特徴とする花粉付着防止織物。
(測定方法)7×7cmの繊維布帛30枚を20℃×65%RHで24時間調湿後、1gの擬似花粉と共にポリエチレン袋の中に入れ、20℃×65%RHの空気で、約20リットルに膨らませ口を縛る。かかるポリエチレン袋を1回/1秒の速度で縛り口を基準に上下に100回振ったのち、繊維布帛を取り出し、繊維布帛表面を50倍に拡大し7.5×10cmの範囲の擬似花粉の個数を数える。 - ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルを重合単位として含む重合体が布帛表面に付与されていることを特徴とする請求項1に記載の花粉付着防止織物。
- 該ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールであることを特徴とする請求項3に記載の花粉付着防止織物。
- 該重合体におけるフルオロアルキル基含有重合単位の割合が、布帛に付与される樹脂成分中、30〜70wt%であることを特徴とする請求項2に記載の花粉付着防止織物。
- 該重合体が、アミノプラスト樹脂および/または多官能性イソシアネート基含有ウレタン樹脂との樹脂組成物として、布帛に付与されているものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の花粉付着防止織物。
- 該重合体または該樹脂組成物が、布帛の片面または両面にコーティングされシート状に付着しているものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の花粉付着防止織物。
- 該布帛を構成する繊維または繊維束が交錯してできる隙間が30μm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の花粉付着防止織物。
- 該布帛を構成する繊維が、長繊維であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の花粉付着防止織物。
- 該繊維構造物が、コート、ウインドブレーカー、ブラウス、ドレスシャツ、スカート、スラックス、手袋、帽子または布団カバーおよび布団干しカバーである請求項1〜8のいずれかに記載の花粉付着防止織物。
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