JP2003213541A5 - - Google Patents

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Description

【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、タテ糸およびヨコ糸共に、総繊度が44〜220デシテックス、単糸繊度が0.7〜8デシテックスのフィラメント糸からなり、隣接するタテ糸同士の隙間と、隣接するヨコ糸同士の隙間が共に30μm以下で、KES法による織物表面の表面粗さの平均偏差(SMD)がタテ方向・ヨコ方向共に4.0μm以下で、摩擦帯電圧がタテ方向・ヨコ方向共に4kV以下である花粉付着防止織物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり花粉が付着しにくく、織物の繊維間および衣料内に入り込みにくい構造の布帛について鋭意検討し、フィラメント糸使い織物の中でも、総繊度、単糸繊度、糸と糸の間の隙間、KES法による表面粗さの平均偏差(SMD)、摩擦帯電圧を特定範囲に選択して織物を作製することにより、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0015】
KES法による表面粗さの平均偏差(SMD)をタテ方向・ヨコ方向共に4.0μm以下にすることにより、織物表面の凹凸が少なく花粉が付着しにくく、入り込みにくくなる。本発明の表面粗さの平均偏差(SMD)は、実施例中にて後述する方法で測定することができる。
【0028】
(3)表面粗さの平均偏差(SMD)
カトーテック(株)KES−FB4を用い、タテ20cm×ヨコ20cmにカットした織物を20℃×65%RHの環境下で調湿する。20gf/cmの張力をかけた織物に、0.5mm径のピアノ線1本を5mm幅に折り曲げた接触子を10gfで織物に着圧する。この接触子はバネで圧着されているが、バネの定数は25gfとする。圧着された接触子を0.1cm/secの一定速度で水平に長さ2cm移動し測定する。上記方法でタテ方向、ヨコ方向の表面粗さの平均偏差(SMD)を測定し、大きい方を表した。
【0035】
[実施例1]
タテ糸、ヨコ糸共に、56デシテックス、40フィラメントのナイロン生糸を使用し、平織を製織後、通常の染色方法で、リラックス・精練、染色を行った後、アニオン系界面活性剤エレナイトAB−100(高松油脂(株)製)1wt%からなる処理液に浸漬後、ピックアップ率40%になるようにマングルで絞り、170℃で30秒間熱乾燥セットする帯電防止加工を実施し、タテ密度175本/2.54cm、ヨコ密度107本/2.54cmの織物を作製した。タテ糸とタテ糸の隙間は0μm、ヨコ糸とヨコ糸の隙間が0μm、表面粗さの平均偏差(SMD)が3.2μm、摩擦帯電圧が2.5kVで、この織物の花粉付着防止性は、疑似花粉付着数が90個で、総合評価として、花粉付着防止性が優れていた。
結果を表1に示す。
【0036】
[実施例2]
84デシテックス、72フィラメントのPET加工糸をタテ糸に用いた。ヨコ糸には、芯部に制電剤を含有させた芯鞘型複合ポリエステルフィラメントで、156デシテックス18フィラメントの未延伸糸を加撚前に加熱した後、加熱体と仮より具との間で加熱体と糸条とが離れる点とは異なる位置に撚り止め装置を設け、撚り止め装置を加撚開始点として延伸仮撚した78デシテックス、18フィラメントの低捲縮糸を使用した。これらのタテ糸とヨコ糸で平織を製織後、通常の染色方法で、リラックス・精練、染色、乾燥、仕上げセットを行い、タテ密度188本/2.54cm、ヨコ密度98本/2.54cmの織物を作製した。タテ糸とタテ糸の隙間は0μm、ヨコ糸とヨコ糸の隙間が0μm、表面粗さの平均偏差(SMD)が2.1μm、摩擦帯電圧が0.4kVであった。伸度が35%、伸縮復元率(CR)が38%、捲縮発現伸長率(TR)が2.6%、交絡数が5個であった。この織物の花粉付着防止性は、疑似花粉付着数が65個で、総合評価として、花粉付着防止性が優れていた。結果を表1に示す。
【0037】
[比較例1]
ポリエステル100%使い50番手の紡績糸を使用した平織物を通常の染色方法で、リラックス・精練、染色、乾燥、仕上げセットを行い、タテ密度127本/2.54cm、ヨコ密度90本/2.54cmの織物を作製した。タテ糸とタテ糸の隙間は20μm、ヨコ糸とヨコ糸の隙間が17μm、表面粗さの平均偏差(SMD)が2.9μm、摩擦帯電圧が5.5kVで、この織物の花粉付着防止性は、疑似花粉付着数が265個で、総合評価として、花粉付着防止性が劣っていた。結果を表1に示す。
【0038】
[比較例2]
タテ糸に167デシテックス、48フィラメントのPET強撚加工糸を使用し、ヨコ糸に167デシテックス、48フィラメントのPET加工糸を使用し、平織を製織後、通常の染色方法で、リラックス・精練、染色を行った後、カチオン系界面活性剤エレナイトK−102(高松油脂(株)製)1wt%処理液に浸漬後、ピックアップ率40%になるようにマングルで絞り、180℃で30秒間の仕上セットによる帯電防止加工を実施し、タテ密度95本/2.54cm、ヨコ密度59本/2.54cmの織物を作製した。タテ糸とタテ糸の隙間は110μm、ヨコ糸とヨコ糸の隙間が240μm、表面粗さの平均偏差(SMD)が7.3μm、摩擦帯電圧が1.9kVで、この織物の花粉付着防止性は、疑似花粉付着数が258個で、総合評価として、花粉付着防止性が劣っていた。結果を表1に示す。

Claims (7)

  1. タテ糸およびヨコ糸共に、総繊度が44〜220デシテックス、単糸繊度が0.7〜8デシテックスのフィラメント糸からなり、隣接するタテ糸同士の隙間と、隣接するヨコ糸同士の隙間が共に30μm以下で、KES法による織物表面の表面粗さの平均偏差(SMD)がタテ方向・ヨコ方向共に4.0μm以下で、摩擦帯電圧がタテ方向・ヨコ方向共に4kV以下である花粉付着防止織物。
  2. タテ糸およびヨコ糸の少なくとも一方に制電性合成繊維フィラメント糸を含む請求項1記載の花粉付着防止織物。
  3. 制電性合成繊維フィラメント糸が、芯鞘型複合繊維で芯部に制電剤を含有する請求項2記載の花粉付着防止織物。
  4. タテ糸およびヨコ糸の少なくとも一方が、下記(1)・(4)の特性を満足する合成繊維フィラメント糸の捲縮糸である請求項1・3のいずれかに記載の花粉付着防止織物。
    (1)伸度が20%以上50%以下、
    (2)伸縮復元率(CR)が10%以上40%以下、
    (3)捲縮発現伸長率(TR)が0.5%以上25%以下、
    (4)交絡数が4以上50以下
  5. 合成繊維フィラメント糸の捲縮糸の捲縮発現伸長率(TR)が0.5%以上8%以下である請求項4に記載の花粉付着防止織物。
  6. 請求項1・5のいずれか記載の花粉付着防止織物を縫製してなる、花粉付着防止織物製品。
  7. コート、ブルゾン、ウインドブレーカー、ブラウス、シャツ、スカート、スラックス、スカーフ、エプロン、帽子、手袋、腕カバー、布団干しカバーのいずれかである請求項6記載の花粉付着防止織物製品。
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