JP4088659B1 - 離型抵抗が大きい領域と小さい領域を持つ成形品を成形するための射出成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】音孔部2などを有することにより、離型抵抗の大きい領域と小さい領域を持つ成形品1の離型持に、離型抵抗の大きい領域と小さい領域に別けて突出駒4、8を設け、この突出駒4、8は、離型開始直後は同時に上昇し、離型抵抗の大きい領域から音孔成形用のピン2aの一部が離れたところで突出駒4の上昇を止め、突出駒8だけを上昇させて成形品1の離型を行う。このようにすると、離型抵抗の大きい領域に負荷が集中せず、この離型抵抗の大きい部分に変形が生じない。
【選択図】図1
Description
そこで、成形品を離型するために、離型抵抗の大きい部分をブロックやピン等で突き出す方法が採られているが、このような方法によると、離型抵抗の大きさ故に孔の領域において製品が容易に変形したり、割れ等が発生するという問題がある。
更には、キャビティ内において音孔成形用ピンの林立により、この林立した領域において樹脂の流動性が乏しくなり、ピンの林立部の中央部にガスがたまり易く、ショートショットが発生して成形不良が生じやすい。そこで、このショートショットを改善するために、ピンの林立部を部分的に入駒構造となし、この入駒部にガス抜き用の隙間を形成し、ここからガスを外へ排出するということも一般に行われる。
しかし、入駒の場合、ブロックの隙間においてガス成分中の液体もしくは固体が析出し、この隙間に付着することにより、目詰まりが発生してガスの抜けが悪くなったり、抜け出なくなるという問題がある。
その内容は、突出し板上段は型開き機構に連動した引っ張りリンクに連結し、この突出し板上段には突出し連結棒が、突出し連結棒にはストリッパープレートがそれぞれ一体的に連結され、また突出しピンを一体的に連結した突出し板の下段には型開き後に前進する突出しロッドが連結された構造である。
しかし、この金型構造は、第一段階として成形品の外側を離型させ、第二段階として成形品の内側を離型させるため、部分的に微細な音孔が形成される成形品の成形には用いることができない。
b.前記成形品1を離型させるための突出駒は、前記離型抵抗が大きい領域を突き出すための内側突出駒4と離型抵抗の小さい領域を突き出すための外側突出駒8に分けて設けたこと、
c.前記内側突出駒4を突き出すための連結ロッド11の後端は、可動ブロック10に連結されていると共に、この可動ブロック10は、弾性体9の力によりその突出する作動量が一定ストロークだけ作動するようにストッパーブロック12により規制されていること、
d.前記外側突出駒8の後端は、突出板5に連結されていると共に、この突出板5の作動ストロークは、前記可動ブロック10の作動ストロークより大きく設定され、更に突出板5には、作動方向とは逆方向に突出板5を押し戻すスプリングが7設けられていること、
e.前記可動ブロック10を突き出す弾性体9の弾発力は、前記作動板5を押し戻すスプリング7の弾発力より小さく設定されていること、
f.前記内側突出駒4の正面の一部に、孫駒組込凹部4bを形成すると共に、この孫駒組込凹部4b内に孫駒4aを組み込んだこと、
g.前記孫駒4a及び内側突出駒4間の周側面であって、金型表面から少し入った位置にそれぞれガス抜き溝13を形成し、更にこのガス抜き溝13から前記周側面に沿い、かつ金型3の奥行き方向に向けて金型3に形成したガス排出孔14に通じるガス抜き溝13を設けたこと、
h.を特徴とするものである。
また、内側突出駒及び、孫駒を設置し、孫駒の側面にガス抜き溝を形成することで、離型抵抗の大きい領域のガスを効果的に排除するようにした。この結果、ショートショットの発生による成形不良の問題が生じるのを防止することができる。さらに、内側突出駒と内側突出駒を収納する凹部との隙間において、内側突出駒が凹部側面を摺動するため、隙間に付着したガスや液体からの析出物が外部へ掻き出されることで、セルフクリーニング的な作用を持つ様になり、その結果、隙間に目詰まりが発生して成形不良が発生したりするのを防止することができる。よって、歩留まり良く量産することが可能となる。
6は、リターンピンであって、このリターンピン6は、下端が突出板5に連結され、上端側は金型3に設けたスライド孔3aにスライド自在に挿入され、そして突出板5と金型3間には、前記弾性体9の弾性力よりも大きい弾性力のスプリング7が組み付けられていることにより、型開き時に可動ブロック10は突出板5により前進が押さえられていて動かない構造となっている。
図1の状態は、金型3(キャビティ)が開いて、成形品1を取り出す直前の状態である。この状態では、可動ブロック10は、弾性体9により押されているが、突出板5に当って動かないため、内側突出駒4は外側突出駒8と共に未だ動かない。図2は、突き出し初期の状態である。図示しない突き出し動作により突出板5が前進を始めると、これに連結してある外側突出駒8が前進し、併せて突出板5が前進することで可動ブロック10が弾性体9により一緒に前進し、成形品1を金型3から少し離型させる。これが第一段階の離型作用である。このまま突出板5が突き出し動作を続けると、可動ブロック10はストッパブロック12に当接して、これに連結されている内側突出駒4の前進が停止する。
更には、音孔部2の中心部には、図4に示されるような孫駒4aと図6に示されるような隙間4cとこれに続くガスを排出するためのガス抜き溝13を設けた。樹脂は、HIPSを用い射出成形にて成形を行い、溶融樹脂を注入した後、保圧、冷却を経て離型する前の状態が図9である。充填時に音孔部2の外周囲から巻き込まれたガスは、内側突出駒4の周囲及び、孫駒4aの周囲に形成されている隙間4cを経由してガス抜き溝13及びガス排出孔14から金型3の外側へ速やかに排出され、ショートショットによる不良を生じることなく、キャビティ内の隅々まで樹脂は充填された。
なお、内側突出駒4の突き出しストロークは、少なくともこの内側突出駒4部分以外のピン2aから成形品1に成形された音孔の内面が離れればそれで良く、それ以上可動ブロック10は前進しなくても良い。
図12は離型工程における最終状態を示し、実施例1の図11(又は図3)に相当するものである。可動ブロック10へは2本の内側突出ピン17a、17bの後端が連結されており、その内側突出ピン17a、17bの先端には微細な音孔を形成するためのピン2aが複数設けられている。
離型方法は、実施例1の場合と同一である。
実施例1の成形品1を用いて、内側突出駒4が作動しないようにした、離型せしめる音孔部2の範囲は、図13で示されるように、外側突出駒8の間の長い距離となる。この成形品1を金型3から離型するために外側突出駒8を動作させていくと、突き出す位置が離れているため、音孔部2の中心が金型3から離型するのに大きな変形を伴った。その結果、音孔部2の中心部が離型する段階において、図14に示されるように変形が残留してしまい、良品を得ることができなかった。
実施例1の成形品1を用いて、突き出しタイミングとして、外側突出駒8を最初に作動させ、次いで内側突出駒4を作動させて突き出しを行った(図15)。所謂、時間差突き出しといわれる手法である。突き出し動作初期は、比較例1のように外側突出駒8間の長い距離を突き出すため、音孔部2の中心部が離型せずに残る。その後、外側突出駒8を動作させたまま、内側突出駒4を外側と同じ移動速度で動作させた。その結果、音孔部2は、図16に示されるように突き出し開始の時間差分の変形を保持したまま突き出され、その間に音孔部2は変形したまま固化が進むため、変形が残留し、良品を得ることができなかった。
実施例1の成形品1を用いて、突き出しタイミングとして、図17のように内側突出駒4を最初に作動させたところ、内側突出駒4が小さいため、その周囲に応力が集中し、成形品1の変形と角部に割れが生じ、良品を得ることができなかった。
実施例1の成形品1を用いて、図18に示したように内側突出駒4と外側突出駒8を全て同時に動作させ、突き出しを行ったところ、突き出し完了の時点においても、内側突出駒4の形状が金型3から離型しておらず、成形品1を取り出すのが困難であった。
実施例1の成形品1及び金型構造を用い、孫駒4aを設置せず、内側突出駒4の周囲にガス逃げ溝13を設置しない駒形状として射出成形を行ったところ、連続成形の途中で、入駒の隙間に樹脂から発生したガスが付着し、隙間が詰まることでガスの排出が疎外され、音孔部2の中心にガス溜まりが原因となるショートショットが生じ、連続して良品を得ることができなかった。
2 音孔部
3 金型
4 内側突出駒
5 突出板
6 リターンピン
7 スプリング
8 外側突出駒
9 弾性体
10 可動ブロック
11 連結ロッド
12 ストッパーブロック
Claims (1)
- a.離型抵抗が大きい領域となる音孔成形部を中央に形成し、前記音孔成形部より離型抵抗の小さい領域を前記離型抵抗の大きい領域の外側に形成した成形品1の射出成形用金型3において、
b.前記成形品1を離型させるための突出駒は、前記離型抵抗が大きい領域を突き出すための内側突出駒4と離型抵抗の小さい領域を突き出すための外側突出駒8に分けて設けたこと、
c.前記内側突出駒4を突き出すための連結ロッド11の後端は、可動ブロック10に連結されていると共に、この可動ブロック10は、弾性体9の力によりその突出する作動量が一定ストロークだけ作動するようにストッパーブロック12により規制されていること、
d.前記外側突出駒8の後端は、突出板5に連結されていると共に、この突出板5の作動ストロークは、前記可動ブロック10の作動ストロークより大きく設定され、更に突出板5には、作動方向とは逆方向に突出板5を押し戻すスプリングが7設けられていること、
e.前記可動ブロック10を突き出す弾性体9の弾発力は、前記作動板5を押し戻すスプリング7の弾発力より小さく設定されていること、
f.前記内側突出駒4の正面の一部に、孫駒組込凹部4bを形成すると共に、この孫駒組込凹部4b内に孫駒4aを組み込んだこと、
g.前記孫駒4a及び内側突出駒4間の周側面であって、金型表面から少し入った位置にそれぞれガス抜き溝13を形成し、更にこのガス抜き溝13から前記周側面に沿い、かつ金型3の奥行き方向に向けて金型3に形成したガス排出孔14に通じるガス抜き溝13を設けたこと、
h.を特徴とする離型抵抗が大きい領域と小さい領域を持つ成形品を成形するための射出成形用金型。
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