JP4087916B2 - 赤色顔料、その製造方法およびそれを用いた化粧料 - Google Patents

赤色顔料、その製造方法およびそれを用いた化粧料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な赤色顔料、その製造方法及びその赤色顔料を含有する化粧料に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、コチニール色素を特定の担体に強固に固着させた赤色顔料、それを製造する方法及びその赤色顔料を含有するメイクアップ化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、メキシコ、中央アメリカ及び南アメリカの砂漠地帯に産するサボテンの類に寄生するエンジムシ(Coccus cacti L.)の雌の体内には赤色の色素「コチニール色素(主成分:カルミン酸)」が含まれていることが知られている。このコチニール色素は、赤色の色調を安定して保つことが難しく、鮮やかな赤色を呈する状態で固定化することは、これまで容易ではなかった。
【0003】
一方、粉末状の硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、セルロース及びナイロン樹脂などは、化粧料の体質顔料や白色顔料として使用されている。
【0004】
体質顔料に染料を沈着させた「染め付け顔料」が知られている。この染め付け顔料は、染料を溶解した水溶液中に体質顔料を分散させ、これにタンニンと酒石酸アンチモニルカリウムまたは樹脂セッケンあるいは金属塩などの沈殿剤を加えることによって、体質顔料の上に染料を沈着させたものである。しかし、この方法で染着される染料は、塩基性染料や酸性染料であって、コチニール色素のような媒染染料ではなく、得られる顔料の色調は薄く鮮やかなものではない。
また、コチニール色素は、カリウムミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)や石灰乳[微粉末の消石灰(水酸化カルシウム)]などの沈殿剤で処理することによって、水に不溶性のレーキ物となることが知られている。このことから、コチニール色素を溶解した水溶液中に体質顔料や白色顔料などの担体物質を分散させて、これにカリウムミョウバンなどの沈殿剤を加えれば、コチニール色素は担体物質に固着することが期待される。しかし、この従来の方法を応用しても、コチニール色素を鮮やかな赤色を呈する状態で担体物質に固定化することは困難であり、その色調は紫色となる。
このように、コチニール色素を鮮やかな赤色を呈する状態で担体物質に安定的に固定化させてなる赤色顔料は、これまで見出されていないのが実情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、コチニール色素を鮮やかな赤色を呈する状態で安定的に固定化させて成る赤色顔料とし、このものを化粧料成分として用いるようにすることを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、コチニール色素を鮮やかな赤色を呈する状態で安定的に固定化させることについて鋭意研究を重ねた結果、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩と水溶性アルミニウム塩で処理した特定の担体物質を、固着促進剤の存在下に、コチニール色素のレーキ物を微分散させた水性溶媒と接触させることにより、コチニール色素は鮮やかな赤色を呈する状態で、該担体物質に容易にかつ強固に固着することを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、粉末状の硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、セルロース及びナイロ樹脂の中から選ばれた担体物質にコチニール色素を固着させることにより、得られる顔料の色相がマンセル表色系で5.0RPから10.0RPの範囲に固定された赤色顔料及び化粧料の基本組成100重量部に対し、この赤色顔料0.01〜50重量部を配合したことを特徴とするメイクアップ化粧料を提供するものである。
【0008】
また、本発明に従えば、前記赤色顔料は、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩と水溶性アルミニウム塩で処理した粉末の硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、セルロースまたはナイロン樹脂を、さらにアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩と水溶性アルミニウム塩から成る固着促進剤の存在下で、コチニール色素のレーキ物を微分散させた水性溶媒と接触させることにより製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、コチニール色素を固着させる担体物質として、粉末状の硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、セルロース及びナイロン樹脂の中から選ばれたものが用いられる。
【0010】
ここで、硫酸バリウムとしては、例えば天然の重晶石を粉砕し、空気中または水中で比重の違いによって分離して得られる平均粒径4〜10μmの「ひ性硫酸バリウム」、または硫化バリウムの水溶液に硫酸ナトリウムを作用させるか、もしくは塩化バリウムの水溶液に硫酸を作用させることによって沈殿させた平均粒径0.1〜15μmの「沈降性硫酸バリウム」、あるいは硫酸バリウムを沈降させる際に、板状結晶を形成させるように沈降させた板状径5〜10μm、厚さ0.1〜0.4μmの「板状硫酸バリウム」,もしくは結晶形を球状として0.1μmの微細な「球状微粒子硫酸バリウム」などが挙げられる。
【0011】
次に、酸化チタン(二酸化チタン)としては、例えば平均粒径が0.1〜0.5μmのルチル型チタン微粉末、アナターゼ型チタン微粉末及び化学的純度が高くルチル型とアナターゼ型の混合物で粒子が10〜50nmと非常に微細な超微粒子酸化チタンなどが挙げられる。
【0012】
次に、タルク、カオリン、マイカ及びセリサイトとしては、例えば平均粒子径が3〜15μmのタルク粉末、平均粒子径が0.3〜5μmのカオリン粉末、平均粒子径が4〜6μmのマイカ及び平均粒子径が3〜7μmのセリサイト(絹雲母)およびセリサイトを焼成して粉砕した焼成セリサイト(焼成絹雲母)などが挙げられる。
【0013】
次に、粉末のセルロースとしては、例えば平均粒子径が5〜40μmの結晶セルロース及び酢酸セルロースを加水分解して得られる平均粒子径が8〜10μmの微粉末球状セルロースなどが挙げられる。
【0014】
そして、粉末のナイロンとしては、例えばナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン11及びナイロン12などのポリアミド系ポリマー樹脂または繊維を微粉砕して得られる平均粒子径が1〜40μmのナイロンパウダー及び真球状に造られた平均粒径が5μm前後のナイロン微粒子などが挙げられる。
【0015】
本発明においては、前記の粉末状担体物質は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
一方、本発明において用いられるコチニール色素のレーキ物は、アルミニウム、カルシウム又はアルミニウムとカルシウムのレーキ物であって、これはコチニール色素の水溶液にアルミニウム塩あるいはカルシウム塩もしくはこの両方を加えることによって調製してもよいし、既にコチニール色素のレーキ物として市販されているものを使用してもよい。市販されているものとしては、例えばカルミン[(株)マツモト交商及び岩瀬コスファ(株)]、カルミンレーキ[(株)伊那貿易商会]、カルミン“サンエイ”[三栄源エフ・エフ・アイ(株)]などを挙げることができ、それぞれアルミニウム又はカルシウムのレーキ物もしくはアルミニウムとカルシウムのレーキ物である。
【0017】
本発明の赤色顔料は、前記の粉末状担体物質にコチニール色素を強固に固定化させたもであり、その製造方法は、先ず[第1段の前処理工程]において、前記の粉末状担体物質をアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩と水溶性アルミニウム塩で処理する。次に[第2段の固着工程]において、固着促進剤の存在下、第1段で処理した粉末状担体物質をコチニール色素のレーキ物が微分散している水性溶媒と接触させることにより、所望の赤色顔料を製造することができる。
【0018】
本発明方法における[第1段の前処理工程]においては、粉末状担体物質の処理剤として、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩と水溶性アルミニウム塩が用いられる。ここで、アルカリ金属の水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。そして、一方の水溶性アルミニウム塩としては、例えば硫酸アルミニウムカリウム・12水和物、硫酸アルミニウムナトリウム・12水和物、硫酸アルミニウムアンモニウム・12水和物、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。これらのアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、水溶性アルミニウム塩においても、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩と水溶性アルミニウム塩の組み合わせは、自由に選択して差し支えない。
【0019】
この「第一段の前処理工程」の具体的な方法としては、水溶性アルミニウム塩を溶解した水溶液に前記の粉末状担体物質を分散させたのち、かき混ぜながらアルカリ金属の水酸化物またはアルカリ金属の炭酸塩を添加する方法が簡便である。ここで用いられるアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩は、そのまま徐々に添加してもよいし、水溶液の形で添加してもよい。この第1段の処理は、室温で行ってもよいが、40〜80℃程度の温度で30分ないし1時間程度行うのが有利である。
【0020】
この[第1段の前処理工程]で前記粉末状担体物質を処理するために用いる水溶性アルミニウム塩の使用量は、担体物質に対して20〜30重量%を使用し、この水溶液としては、0.3〜3.0%(W/V%)程度の濃度が適当である。また、ここで添加するアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩は、担体物質に対して1.0〜25.0重量%使用し、これを水溶液にして用いる場合は、0.5〜5.0%(W/V%)程度の濃度で使用するのが適当である。
【0021】
この[第1段の前処理工程]を行ったのち、該粉末状担体物質は、ろ過や遠心分離などの公知の手段で脱水して取り出され、次の[第2段の固着工程]に用いられる。
【0022】
次に、本発明方法における[第2段の固着工程]においては、固着促進剤が用いられる。ここで用いられる固着促進剤は、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩と水溶性アルミニウム塩から成り、前記[第1段の前処理工程]で用いられるアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩及び水溶性アルミニウム塩と同様のものが用いられる.この[第2段の固着工程]においてもアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩及び水溶性アルミニウム塩は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、前記[第1段の前処理工程]とこの[第2段の固着工程]では、異なるアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩及び水溶性アルミニウム塩を用いてもよい。
【0023】
また、この[第2段の固着工程]における水性溶媒としては、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が好適である。この水溶性有機溶剤として、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコールが好ましく、これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、水と水溶性有機溶剤との混合割合は、水1容積に対し、水溶性有機溶剤が0.1〜0.6容量部が適当である。
【0024】
次にコチニール色素の使用量は、レーキ物として第1段で処理した該粉末状担体物質に対して、1重量%〜80重量%の範囲で任意に選択することができ、これを該担体物質に固着させることができる。
【0025】
この[第2段の固着工程]の具体的な方法としては、先ず水性溶媒にコチニール色素のレーキ物を加え、ホモディスパーまたはホモミキサーなどの高速分散機を用いて高速撹拌し、コチニール色素のレーキ物を微分散する。そして、これに第1段で処理した粉末状担体物質を撹拌しながら加えて分散させ、固着促進剤としてアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩と水溶性アルミニウム塩を添加する方法が簡便である。ここで水性溶媒中に微分散されるコチニール色素のレーキ物は、0.1〜3.0%(W/V%)程度の濃度に調製される。また、ここで用いられるアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩及び水溶性アルミニウム塩は、そのまま徐々に添加してもよいが、それぞれ水に溶解して用いることが好ましい。また、この第2段の固着工程は、室温で行ってもよいが、40〜60℃程度の温度で30分ないし1時間程度おこなうのが有利である。
【0026】
この[第2段の固着工程]において、固着処理剤として用いられるアルカリ金属の水酸化物または炭酸塩は、第1段で処理した該粉末状担体物質に対して0.2〜8.0重量%使用し、また水溶性アルミニウム塩は、第1段で処理した該粉末状担体物質に対して0.2〜20.0重量%を使用する。また、これらを水溶液にして用いる場合は、それぞれ0.2〜5.0%(W/V%)程度の濃度で使用するのが適当である。
【0027】
このようにして、コチニール色素のレーキ物が微分散して赤色を呈していた水性溶媒は、固着処理が進むにしたがい無色透明となり、前記の粉末状担体物質に、コチニール色素が鮮やかな赤色を呈する状態で強固に固着される。固着処理後、色素が固着し固定化した担体を、ろ過や遠心分離などの公知の手段で取り出し、乾燥したのち、必要ならば粉砕(解砕)処理することにより、所望の堅牢度に優れた微粉末状の色相がマンセル表色系で5.0RPから10.0RPの赤色顔料が得られる。
【0028】
コチニール色素は、食品の着色料などにも使用されており、また前記の粉末状担体物質は、それぞれ安全性が高く、該担体物質にコチニール色素を固着させた本発明の赤色顔料は、化粧料の着色料として極めて好適に用いることができる。
【0029】
本発明のメイクアップ化粧料は、前記赤色顔料を着色剤として配合したものであり、その配合量は、化粧料の基本組成100重量部に対し、0.01〜50重量部の範囲で選ばれる。この赤色顔料の最適な配合量は、化粧料の種類に応じて、前記範囲で選ばれる。
【0030】
本発明のメイクアップ化粧料における基本組成としては、特に制限はなく、従来各種メイクアップ化粧料、例えばアイシャドウ、ほほ紅、ファンデーション、口紅、美爪料などに慣用されている基本組成を挙げることができる。また、本発明のメイクアップ化粧料には、必要に応じ、無機顔料や有機顔料などの他の着色剤を適宜配合してもよい。
本発明のメイクアップ化粧料の調製方法については特に制限はなく、従来メイクアップ化粧料の調製に慣用されている方法を用いることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の赤色顔料は、特定の粉末状担体物質に、コチニール色素を深赤色から濃色の鮮やかな赤色を呈する状態で強固に固着させたものであって、水や水溶性の有機溶剤が存在する条件下でも固着した色素は溶出せず、皮膚への伸展性に優れ、化粧料などの着色剤として好適に用いられる。
また、本発明のメイクアップ化粧料は前記赤色顔料を含有するのもであって、鮮やかな色調をもち、かつ肌への付着性と、のびやなじみなどの良好な使用感を持つものであり、例えばアイシャドウ、ほほ紅、ファンデーション、口紅、美爪料などとして好適に用いられる。
【0032】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、得られた顔料の物性は次のようにして求めた。
(1)外観
目視観察による。
(2)色相H、明度V、彩度C
積分球を用いた分光光度計[日本分光工業(株)製、分光光度計「Ubest50」]によって、波長380〜780nmの反射スペクトル測定し、C光源(青空を含む昼光)を標準光源とし、国際照明委員会(CIE)の定めた2度視野に基づく表色系に従ってマンセル座標を求める色彩計算プログラム[日本分光工業(株)製、TSV−433型色彩計算プログラム]を用いて測定した。なお、Rは赤の色相領域、Pは紫の色相領域、Bは青の色相領域、Yは黄の色相領域を表す。
(3)色素溶出性試験
調製された顔料0.5gを試験管に採り、エタノールと水との容量比1:9の混合物10mlを加え、室温で30分間振とうしたのち、放置し、上澄液の着色状態を目視により観察して、色素の溶出性を確認した。
【0033】
実施例1
(1) 精製水600mlに硫酸アルミニウムカリウム・12水和物10gを加えて溶解し、次いでかき混ぜながら、これに硫酸バリウム粉末[堺化学工業(株)製:板状硫酸バリウム「板状硫酸バリウムH」、純度98%、粒径5〜10μm×0.2μm、メジアン径7.416μm]10gを投入し分散させ、この水溶液の温度を50℃に昇温し、撹拌を続けながら1%(W/V%)水酸化カリウム水溶液50mlを加えて、さらに50℃で30分間かき混ぜた。その後、硫酸バリウム粉末をろ過して取り出し、風乾した。
(2) 精製水480mlにエチルアルコール120mlを加えて水性溶媒とし、これにコチニール色素のアルミニウム・カルシウム・レーキ[三栄源エフ・エフ・アイ(株)製:カルミン“サンエイ”]6gを加え、これをホモディスパーを用い回転数を5,000回転(R/M)にセットし10分間高速回転させ微分散させて染浴を調製した。次い染浴を撹拌しながら、これに(1)で調製した硫酸バリウム粉末の全量を投入し分散させ、染浴の温度を50℃に昇温し、撹拌を続けながら固着促進剤として0.6%(W/V%)硫酸アルミニウムカリウム・12水和物水溶液90mlを滴下し、次いで1%(W/V%)水酸化カリウム水溶液8mlを滴下して、さらに50℃で1時間かき混ぜた。その後、赤色化した硫酸バリウム粉末をろ別し、50℃で乾燥し、乳鉢で粉砕して深赤色の外観を有する微粉末状の顔料9.9gを得た。ろ液は無色透明であり、pHは5であった。また、50℃で乾燥したにもかかわらず、強固に固着されたコチニール色素は退色せず鮮やかな深赤色を呈しており、得られた顔料は耐熱性に優れていることが確認された。
このようにして得られた赤色顔料の分光反射スペクトルを図1に示す。また、このスペクトルから求められた色相Hは8.4RP(紫味を帯びた赤色)、明度Vは4.4、彩度Cは6.6であった。
さらに色素溶解性試験の結果、得られた顔料から色素の溶出は全くなく、良好であった。
【0034】
比較例
実施例1におけるコチニール色素のアルミニウム・カルシウム・レーキ6gの代わりにレーキ化されていないエンジムシの乾燥虫体から抽出したコチニール色素[アルプス薬品工業(株)製“コチニール末”:色価E:544.1(10%、1cm、吸収波長495nm)]3gを用いた以外は、全く実施例1と同様にして顔料の製造を行った。このようにして得られた顔料は、“くすみ(濁った)”のある紫色を呈していた。この分光反射スペクトルを図2に示す。また、このスペクトルから求められた色相Hは8.6P(紫色)、明度Vは4.2、彩度Cは3.8であった。
さらに色素溶解性試験の結果、得られた顔料から赤色の色素が多量に溶出した。このように、レーキ化されていないコチニール色素では、赤色の顔料を得ることが出来ず、また固定化することもできないことが確認された。
【0035】
実施例2〜8
担体物質として粉末状の酸化チタン(実施例2)、タルク(実施例3)、カオリン(実施例4)、マイカ(実施例5)、セリサイト(実施例6)、セルロース(実施例7)及びナイロン樹脂(実施例8)を用い、コチニール色素のレーキ物としてアルミニウム・カルシウム・レーキ[三栄源エフ・エフ・アイ(株)製:カルミン“サンエイ”]を用いて、表1〜4に示す条件で実施例1と同様にして実施し、鮮やかな深赤色を呈した顔料をそれぞれ得た。
実施例2〜8で得られた顔料の分光反射スペクトルを図3(実施例2)、図4(実施例3)、図5(実施例4)、図6(実施例5)、図7(実施例6)、図8(実施例7)及び図9(実施例8)に示す。
また、これらの実施例によって得られた顔料の各色素溶解性試験の結果は、全て良好であり、得られた各顔料からは色素の溶出が全くなかった。
なお、表1〜4中に記載した、酸化チタンは石原産業(株)製:超微粒子酸化チタン「TTO−55(A)(平均粒子径0.04μm)」を示し、タルクは東色ピグメント(株)製:「タルクS(平均粒子径18μm)」を示し、カオリンは東色ピグメント(株)製:「カオリンA(平均粒子径0.5μm)」を示し、マイカは東色ピグメント(株)製:「マイカM(平均粒子径20μm)」を示し、セリサイトは東色ピグメント(株)製:「セリサイトJ(平均粒子径4.3μm)」を示し、セルロースはチッソ(株)製:球状セルロース「セルフローC−25(平均粒子径8〜10μm)」を示し、ナイロン樹脂は東レ(株)製:真球状ナイロン微粒子「SP−500(平均粒子径5μm)」を示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004087916
【0037】
【表2】
Figure 0004087916
【0038】
【表3】
Figure 0004087916
【0039】
【表4】
Figure 0004087916
【0040】
[化粧料の製造]
実施例9 口紅の製造
Figure 0004087916
前記(A)成分を三本ローラーで混練りし、これを(B)成分の溶解混合物中に添加して再度三本ローラーで混練りしたのち、再溶解して金型に流し込み、冷却して口紅を得た。
本発明の赤色顔料は分散性も良好で、得られた口紅の色調、付着性、伸び、触感は極めて良好であった。
【0041】
実施例10 口紅の製造
Figure 0004087916
前記(A)成分を三本ローラーで混練りし、これを(B)成分の溶解混合物中に添加して再度三本ローラーで混練りしたのち、再溶解して金型に流し込み、冷却して口紅を得た。
本発明の赤色顔料は分散性も良好で、得られた口紅の色調、付着性、伸び、触感は極めて良好であった。
【0042】
実施例11 ほほ紅の製造
Figure 0004087916
前記(A)成分をブレンダーでよくかき混ぜて混合し、そこに(B)成分を噴霧し、さらにブレンダーでかき混ぜて混合し、粉砕機で処理したのち、金型に打型してほほ紅を得た。
得られたほほ紅の色調、付着性、伸び、触感及び耐水性(耐汗性)は極めて良好であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた赤色顔料の分光反射スペクトル図。
【図2】比較例で得られた紫色顔料の分光反射スペクトル図。
【図3】実施例2で得られた赤色顔料の分光反射スペクトル図。
【図4】実施例3で得られた赤色顔料の分光反射スペクトル図。
【図5】実施例4で得られた赤色顔料の分光反射スペクトル図。
【図6】実施例5で得られた赤色顔料の分光反射スペクトル図。
【図7】実施例6で得られた赤色顔料の分光反射スペクトル図。
【図8】実施例7で得られた赤色顔料の分光反射スペクトル図。
【図9】実施例8で得られた赤色顔料の分光反射スペクトル図。

Claims (3)

  1. アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩と水溶性アルミニウム塩で処理した粉末の硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、セルロース及びナイロン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩水溶性アルミニウム塩から成る固着促進剤の存在下で、コチニール色素のレーキ物を微分散させた水性溶媒と接触させることを特徴とする赤色顔料の製造方法。
  2. コチニール色素のレーキ物がアルミニウム及び/又はカルシウムを含むレーキ物である請求項記載の赤色顔料の製造方法。
  3. 水性溶媒が水とアルコールの混合溶媒である請求項1又は2に記載の赤色顔料の製造方法。
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