JP3697428B2 - 着色雲母チタン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は着色雲母チタンに関し、さらに詳しくは、優れた二色性と高彩度の透過光を有し、肌の濃色部分を目立たなくさせる肌色調整用の粉体として有用な着色雲母チタンに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来より、二色系パール剤として、雲母チタン表面に酸化鉄系の着色剤を被覆した着色雲母チタンが使用されてきた。
一方、本願発明者は先に雲母チタンにおける被覆二酸化チタンの膜厚を制御することにより、この雲母チタンが特定の波長の光に対するフィルター効果を有していることを利用して肌色調整用組成物の濃色部分を調整することができることを見い出している。この干渉性物質としての雲母チタンは、通常、ベースメーク料として下地料やファンデーション等の基剤中に配合されるが、肌の濃色部分を目立たなくさせると共に肌を自然な色に見せるために、基剤中には酸化鉄等の顔料を併用することが一般的である。しかし、着色剤として酸化鉄等を基剤中に配合した場合、雲母チタンの干渉作用は酸化鉄等による光の吸収、散乱のため著しく弱められる。そのため、従来、酸化鉄等を直接雲母チタンに被覆して酸化鉄等による光の吸収、散乱を抑える素材、すなわち二色性のパール剤があるが、このものは酸化鉄等の粒子径が数百nm以上と大きいため、このものによる光の吸収が大きくなり、雲母チタンによる透過干渉光が弱められて、その効果を十分に発揮できないという欠点があった。
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたもので、優れた二色性を有する着色雲母チタンを提供すること、および透過干渉光が着色剤によって弱められることのない着色雲母チタンを配合した肌色調製用組成物を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は、平均粒子径60〜150nmの微粒子酸化鉄を雲母チタン上に被覆したことを特徴とする着色雲母チタンである。
【0004】
以下、本発明の構成について説明する。
本発明の着色雲母チタンは、平均粒子径60〜150nmの微粒子酸化鉄が雲母チタン上に被覆されたものである。ここで、雲母チタン(A)と微粒子酸化鉄(B)との比(重量比)は、(A):(B)=(99.5:0.5)〜(90:10)であることが好ましく、さらに好ましくは、(99:1)〜(97:3)である。(A):(B)が90:10を超えると、透過干渉が弱くなり、(A):(B)が99.5:0.5より小さいと、二色性が弱まる。
被覆する微粒子酸化鉄の平均粒子径は60〜150nmであり、好ましくは80〜120nmである。平均粒子径が60nmより小さいと、酸化鉄による着色効果が弱まって二色性に劣るようになり、平均粒子径が150nmより大きいと、酸化鉄による光の吸収が強くなるため、透過干渉が弱まる。
【0005】
本発明の着色雲母チタンの基盤となる雲母チタンを製造するには種々の方法をとることができる。
その製法としては真空蒸着処理もあるが、特公昭43−25644号公報に見られるような硫酸チタニル、四塩化チタンなどのチタンの無機酸塩を雲母の存在下で中和法あるいは加水分解法によって分解し、含水酸化チタンあるいは二酸化チタンを析出させた後、大気中500〜1000℃、好ましくは700〜900℃の温度で焼成する方法が一般的である。使用する雲母はどのようなものでもよく、例えば白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母などを挙げることができる。粒子径は特に制限されないが、化粧品顔料や一般工業用顔料として利用する場合には、粒子径1〜50μm程度で、粒子形状ができるだけ偏平なものが美しい干渉色が発揮されやすいため好ましい。
【0006】
本発明の着色雲母チタンの製造法としては、以下のような方法が挙げられる。塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、シュウ酸第一鉄、シュウ酸第二鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、リン酸第二鉄、クエン酸第二鉄、乳酸第一鉄、フマル酸鉄などの無機、有機鉄化合物の水溶液中に前記方法にて合成した雲母チタンを添加した後、該雲母チタン分散鉄化合物の水溶液を一旦苛性ソーダ、苛性カリ、アンモニア水などのアルカリを用いてpH5.6〜7.0、好ましくはpH6.0〜6.5の範囲に調整して鉄化合物の一部を中和分解させ、含水酸化鉄の超微粒子を雲母チタン粒子表面に析出させる。次に、この超微粒子含水酸化鉄被覆雲母チタンを分散させた鉄化合物水溶液を加温して50〜100℃、好ましくは80℃以上に昇温させた後、苛性ソーダ、苛性カリ、アンモニア水などのアルカリ水溶液を添加してpHを8.0〜9.5に保ち、鉄化合物を完全に中和分解させて、これを150℃以上、好ましくは400℃以上で焼成することによって、先に雲母チタン粒子表面に析出させた超微粒子酸化鉄を核とする微粒子酸化鉄被覆雲母チタンを製造することができる。
また該超微粒子含水酸化鉄被覆雲母チタンを分散させた鉄化合物水溶液に、鉄化合物の中和分解に必要な当量以上の尿素を添加した後、これを撹拌しながら加温して50〜100℃、好ましくは80℃以上に保ち、鉄化合物を完全に中和分解させ、これを150℃以上、好ましくは400℃以上で焼成することによって、先に雲母チタン粒子表面に析出させた超微粒子酸化鉄を核とする微粒子酸化鉄被覆雲母チタンを製造することもできる。なお、尿素は鉄化合物と共に、反応の前に予め加えておくこともできる。
【0007】
本発明の着色雲母チタンは、その優れた二色性を利用して化粧料用の顔料として用いることができる。化粧料中の着色雲母チタンの配合量は全粉末量に対して10重量%以上が好ましい。
また、着色雲母チタン以外に配合することのできる粉末成分としては、タルク,カオリン,雲母,絹雲母(セリサイト),白雲母,金雲母,合成雲母,紅雲母,黒雲母,リチア雲母,パーミキュライト,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム,ケイ酸バリウム,ケイ酸カルシウム,ケイ酸マグネシウム,ケイ酸ストロンチウム,タングステン酸金属塩,マグネシウム,シリカ,アルミナ,ゼオライト,硫酸バリウム,焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ),リン酸カルシウム,弗素アパタイト,ヒドロキシアパタイト,セラミックパウダー,金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛,パルミチン酸カルシウム,ステアリン酸アルミニウム),窒化ホウ素等の無機粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末),ポリエチレン粉末,ポリメタクリル酸メチル粉末,ポリスチレン粉末,スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末,ベンゾグアナミン樹脂粉末,ポリ四弗化エチレン粉末,セルロース粉末等の有機粉末、二酸化チタン,酸化亜鉛等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ),チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄,黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄,カーボンブラック,低次酸化チタン等の無機黒色系顔料、マンゴバイオレット,コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、酸化クロム,水酸化クロム,チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、群青,紺青等の無機青色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ,酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス,酸化チタンコーテッドタルク,着色酸化チタンコーテッドマイカ,オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料、アルミニウムパウダー,カッパーパウダー等の金属粉末顔料、赤色201号,赤色202号,赤色204号,赤色205号,赤色220号,赤色226号,赤色228号,赤色405号,橙色203号,橙色204号,黄色205号,黄色401号,青色404号などの有機顔料、赤色3号,赤色104号,赤色106号,赤色227号,赤色230号,赤色401号,赤色505号,橙色205号,黄色4号,黄色5号,黄色202号,黄色203号,緑色3号,青色1号などのジルコニウム,バリウムまたはアルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフィル,β−カロチン等の天然色素等が挙げられる。これらは1種を用いてもよいし2種以上を用いてもよい。但し、一般の化粧品に適用できる粉末であれば良く、上記の成分に限定されるものではない。
【0008】
本発明の化粧料には必要に応じて、さらに油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗酸化剤、香料、各種薬剤など化粧料に一般に使用されるものを必要に応じて配合してもよい。
【0009】
さらに、本発明によれば、肌の濃色部分を目立たなくさせる肌色調整用組成物であって、調整しようとする肌の色に対して補色の色を透過干渉色として有し、雲母チタン上に平均粒子径60〜150nmの微粒子酸化鉄を被覆した着色雲母チタンを配合した肌色調整用組成物が提供される。
【0010】
本発明者らはすでに、肌の濃色部分を基剤の陰ぺい力を利用するのではなく、干渉を有する物質の透過干渉光が特定の波長の光に対するフィルター効果を有していることに着目し、このフィルター効果を利用して肌の濃色部分を調整する肌色調整用組成物を開発している。その作用機序を図面を参照して説明すると、次の通りである。
【0011】
まず、透過干渉光を有する物質(薄膜)に単色光を照射した時の反射干渉光について考察すると、図8(a)に示すように、薄膜1に単色光2が入射した場合、薄膜1に入射した単色光の一部分はその第1の面1aから反射されて3aとなり、その残りの光は薄膜1を通って中へ入って行き、第2面1bから反射されて3bとなる。そこで第1面1aから反射された光3aと第2面1bから反射された光3bとが同時に眼に入ってくる。しかしここで二つの異なる媒体の境界面において位相の変化が起こるということを考えに入れる必要がある。即ち、屈折率nの媒体5内を進んで来た光が、屈折率n′の媒体(薄膜1)との境界面において反射および屈折をなしたときに、n>n′の場合には入射光線と反射光線とが入射点において同じ位相を有し、n<n′の場合には入射光線と反射光線との間にπだけの位相差を生ずる。それを波長のずれで言い表すと半波長のずれになっている。
【0012】
そこで光学的に密な媒体から光学的に疎な媒体に入射した光線がその境界面において反射するときには、波形はそのまま折れた形で反射するが、光学的に疎な媒体から光学的に密な媒体に進んで行って、その境界面において反射される場合には、入射点の所で半波長だけ失われた形で反射する。しかし屈折の場合には、n>n′であっても、n<n′であっても屈折光線に位相の変化が起こらない。それゆえに実際の場合には薄膜1の厚さが、用いられている光の波長の整数倍である所でその作用が打ち消し合い、したがって暗くなり、薄膜1の厚さが光の半波長、またはその奇数倍である所でその作用が強め合い、したがって明るく見える。
【0013】
また、透過干渉光について考察すると、図8(b)に示すように、透明な物体の薄膜1に単色光2が入射した場合、薄膜1の第1の面1aから入射した単色光の一部分は薄膜1を通り、第2の面1bから出射して4aとなり、残りの光は第2の面1bで反射して、第1の面1aでさらに反射した後、第2の面1bから出射して4bとなる。そしてこの透過干渉光4は、薄膜1の厚さが、用いられている光の波長の整数倍である所でその作用が強め合って明るく見え、薄膜1の厚さが光の半波長、またはその奇数倍である所でその作用が消し合って暗く見える。
【0014】
以上は、単色光を薄膜に照射した場合について、用いられる薄膜の厚さと光強度との関係について述べたが、ある特定の膜厚を有する薄膜に白色光を当てた場合には、強められる波長光が薄膜の厚さによって変化する。そして、所定の薄膜厚で、ある波長光が反射干渉光においてその作用を強め合い明るく見えた場合には、透過干渉光においては上記と同じ原理により、その作用を弱め合い暗く見える。そして、その結果として、反射干渉光の波長光と補色関係にある透過干渉色が得られる。このように干渉を有する物質は、特定の波長光に対するフィルター効果を有しており、薄膜厚を制御することで任意の波長光のフィルターとすることができる。
【0015】
一方、肌の濃色部分は、肌に白色光が入射し、その濃色部分に対応する波長光を散乱反射する結果、認識されるものである。したがって、肌の濃色部分を目立たなくさせるためには、白色光の中から、特に肌の濃色部分に対応する波長光を前記した原理に基づいて除去した光が肌に入射するようにすればよい。肌の濃色部分を仮に青系であるとすると、青色に対応する400〜550nm付近の波長光を透過干渉光に含まない、あるいは少ない物質を肌上に被覆することにより、皮膚内からの青系の発色が自然に抑えられ、肌の濃色部分を目立たなくさせることができる。透過干渉光の波長の制御は、前記したように、薄膜厚を調整することで任意に行うことができる。また、表面干渉光(反射干渉光)については、前記した原理に基づき、透過干渉色と補色関係にある波長光が強調される。このため、肌の濃色部分が青系のものに用いる干渉性物質では青い表面干渉色となるが、干渉色は光の入射角に対して方向性があり、正反射近傍で強く発現し、その他の方向ではほとんど観察できないため、別途、ファンデーションを被覆することにより、あるいは干渉光を有する物質と共に着色剤を配合することにより、色修正可能である。
【0016】
ここで、干渉光を有する物質として雲母チタンを用い、着色剤として酸化鉄等を基剤中に配合した場合、雲母チタンの干渉作用は酸化鉄等による光の吸収、散乱のため著しく弱められる。そのため、従来、酸化鉄等を直接雲母チタンに被覆して酸化鉄等による光の吸収、散乱を抑える素材、すなわち二色性のパール剤があるが、このものは酸化鉄等の粒子径が数百nm以上と大きいため、このものによる光の吸収が大きくなり、雲母チタンによる透過干渉光が弱められて、その効果を十分に発揮できないという欠点がある。
【0017】
それに対し、本発明の着色雲母チタンをこの肌色調整用の干渉光を有する物質として用いた場合は、粒子径が60〜150nmと小さい微粒子酸化鉄で被覆されているので、酸化鉄による光の吸収が小さく、透過干渉光が着色剤によって弱められることがない。さらには、酸化鉄のもつ外観色と反射干渉色による優れた二色性が得られる。
【0018】
本発明の肌色調整用組成物において、着色雲母チタンの配合量は、組成物中の全粉末量に対して10重量%以上、好ましくは15重量%以上である。
【0019】
また本発明によれば、肌の赤系の濃色部分を目立たなくさせる肌色調整用組成物であって、光学的膜厚が190〜270nmまたは405〜500nmの二酸化チタンで被覆された雲母チタン上にさらに平均粒子径60〜150nmの微粒子酸化鉄を被覆した着色雲母チタンを配合した赤系の肌色調整用組成物が提供される。この組成物は特に血管腫のような、肌の赤い濃色部分を目立たなくさせるために有用である。
【0020】
本発明による赤系の肌色調整用組成物を物理的指標によって表すと次のようである。即ち、下記Aの測定法により求めた隠蔽力が100以下であり、かつ下記Bの測定法により求めた赤色カバー力が8以上であるような赤系の肌色調整用組成物である。
【0021】
A:肌色調整用組成物を濃度80重量%で硝化綿ビヒクルに混合したのち、白色および黒色の下地をもつ隠蔽力試験紙に厚さ30μmになるように塗布し、当該白色下地と黒色下地における測色値の色差ΔEを用いて下記式(1)により求める。
【0022】
【数1】
隠蔽力=(1÷ΔE)×100 …(1)
【0023】
B:肌色調整用組成物を濃度80重量%で硝化綿ビヒクルに混合したのち、赤色透明PETフィルムに厚さ30μmになるように塗布し、入射光角45゜、受光角−15゜で測色を行い、下記式(2)により求める。
【0024】
【数2】
赤色カバー力={(V−W)/V}×100 …(2)
【0025】
(式中、Vは肌色調整用組成物を塗布していない赤色透明PETフィルムの600〜730nmにおける反射率の積分値を示し、Wは肌色調整用組成物を塗布した赤色透明PETフィルムの600〜730nmにおける反射率の積分値を示す。)
ここで、赤色カバー力は10以上であることがさらに好ましい。
【0026】
さらに本発明によれば、肌の青系の濃色部分を目立たなくさせる肌色調整用組成物であって、光学的膜厚が290〜380nmまたは530〜660nmの二酸化チタンで被覆された雲母チタン上にさらに平均粒子径60〜150nmの微粒子酸化鉄を被覆した着色雲母チタンを配合した青系の肌色調整用組成物が提供される。この組成物は、特に太田母斑のような肌の青い濃色部分を目立たなくさせるために有用である。
【0027】
本発明による青系の肌色調整用組成物を物理的指標によって表すと次のようである。即ち、下記Aの測定法により求めた隠蔽力が100以下であり、かつ下記Cの測定法により求めた青色カバー力が40以上であるような青系の肌色調整用組成物である。
【0028】
A:肌色調整用組成物を濃度80重量%で硝化綿ビヒクルに混合したのち、白色および黒色の下地をもつ隠蔽力試験紙に厚さ30μmになるように塗布し、当該白色下地と黒色下地における測色値の色差ΔEを用いて下記式(1)により求める。
【0029】
【数3】
隠蔽力=(1÷ΔE)×100 …(1)
【0030】
C:肌色調整用組成物を濃度80重量%で硝化綿ビヒクルに混合したのち、青色透明PETフィルムに厚さ30μmになるように塗布し、入射光角45゜、受光角−15゜で測色を行い、下記式(3)により求める。
【0031】
【数4】
青色カバー力={(X−Y)/X}×100 …(3)
【0032】
(式中、Xは肌色調整用組成物を塗布していない青色透明PETフィルムの400〜550nmにおける反射率の積分値を示し、Yは肌色調整用組成物を塗布した青色透明PETフィルムの400〜550nmにおける反射率の積分値を示す。)
ここで、青色カバー力は45以上であることがさらに好ましい。
【0033】
本発明の肌色調整用組成物は、上記の着色雲母チタンを配合してなるものであり、主としてメークアップ化粧料として、またその中でもベースメーク料として使用することができる。メークアップ化粧料として使用する場合、その種類や用途に応じて着色雲母チタンのみからなるものとしてもよく、着色雲母チタンの他に各種粉体、油剤および水のうちの1種以上を配合してなるようにすることもできる。着色雲母チタンの他に配合することができる粉体および油剤は、化粧料の場合と同様である。また、本発明の組成物には必要に応じて、さらに界面活性剤、保湿剤、増粘剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗酸化剤、香料、各種薬剤など化粧料に一般に使用されるものを配合してもよい。
【0034】
【実施例】
次に本発明の着色雲母チタンおよびこれを配合した肌色調整用組成物を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合はすべて重量%である。
【0035】
実施例1
雲母50部をイオン交換水500部に添加して十分に撹拌して均一に分散させた。得られた分散液に濃度40重量%の硫酸チタニル水溶液312.5部を加えて、撹拌しながら加熱して6時間沸騰させた。放冷後、濾過、水洗し、900℃で焼成して、青色の干渉色をもった二酸化チタンで被覆された雲母(雲母チタン)100部を得た。
また、別にシュウ酸第二鉄アンモニウム53.6部および尿素22.5部をイオン交換水2000部に溶解させ、これを0.1M苛成ソーダ水溶液でpH5.8に調整し、得られた水溶液に、先に合成した雲母チタン100部を加えて十分に撹拌し、均一に分散させた。
次にこのpH5.8に調整した雲母チタン分散液を撹拌しながら加熱して、6時間沸騰させた。放冷後、濾過、水洗し、400℃で焼成して、肌色の外観色と青色の鮮やかな反射干渉および黄色の鮮明な透過干渉をもつ微粒子酸化鉄で被覆された雲母チタン103部を得た。
【0036】
図1は、得られた微粒子酸化鉄被覆雲母チタンの反射干渉光(図中、Aで示す。)および透過干渉光(図中、Bで示す。)の波長(nm)と反射率(%)との関係を示したものである。ここで、反射干渉光の測定は、村上色彩科学研究所のgoniospectrophotometer GCMS−3によるものとし、透過干渉光の測定は島津製作所のクロマトスキャナーによるものとした。また、図2は、比較のために本実施例と同じく青色の反射干渉をもつ市販の酸化鉄被覆雲母チタン(マール社製デュオクロムYB)を用いて図1と同様に測定を行った結果を示したものである。図1および図2を比較すると本発明品の透過干渉光と反射干渉光の分光反射率曲線は共に従来品に比較して反射率が高く、しかも曲線の形状がシャープであり、単一に近い波長光に反射極大、極小をもつことから、本発明品は従来品に比べて、透過干渉光および反射干渉光が強く、しかも高彩度であることが分かる。また図3は、得られた微粒子酸化鉄被覆雲母チタンの正反射光および拡散反射光の波長と反射率との関係を村上色彩科学研究所のgoniospectrophotometer GCMS−3によって測定して示したものである。条件は、入射角−70°、正反射角60°、拡散反射角−50°、試料15μm厚、透明PETフィルム100μm厚とした。また比較のために、本実施例と同じく青色の反射干渉をもつ市販の酸化鉄被覆雲母チタン(マール社製デュオクロムYB)を用いて図3と同様に測定を行った結果を図4に示した。
図3および図4を比較すると、本発明品の正反射光と拡散反射光の分光反射率曲線は共に従来品に比較して反射率差が高く、しかも曲線の形状がシャープであることから、本発明品は従来品に比べて、正反射光および拡散反射光が共に強く、しかも高彩度で優れた二色性をもつ着色雲母チタン(着色パール剤)であることが分かる。
【0037】
実施例2
シュウ酸第二鉄アンモニウム53.6部および尿素22.5部をイオン交換水2000部に溶解させ、これを0.1M苛性ソーダ水溶液でpH6.2に調整して得られた水溶液にドイツMerck社製の赤色干渉雲母チタン(テミロンスーパーレッド)100部を加えて、十分に撹拌して均一に分散させた。
次に、この雲母チタン分散液を撹拌しながら加熱して、6時間沸騰させた。放冷後、濾過、水洗し、400℃で焼成して、肌色の外観色と赤色の鮮やかな反射干渉および緑色の鮮明な透過干渉をもつ微粒子酸化鉄で被覆された雲母チタン102部を得た。
得られた微粒子酸化鉄被覆赤色干渉雲母チタンの表面を被覆している酸化鉄の粒度を調べるため、別に雲母チタンを加えずに実施例1と同一の条件下で酸化鉄を合成した。
得られた酸化鉄の粒度をHiac/Royco社製レーザー回折式粒度測定機NICOMP270で測定したところ、図5に示すように、平均粒子径71nmで、35〜300nmに正規分布した粒度分布をもつことが分かった。
【0038】
実施例3、比較例1〜3
表1に示す組成の青系濃色部分補正用油性コンパクトファンデーションを以下の方法で製造し、後述する方法で青色カバー力および隠蔽力を測定した。その結果を併せて表1に示す。
【0039】
(製法)
(3)〜(6)を加熱溶解後、(7)〜(14)を添加し、ディスパー分散する。このものを特殊機化製TKミル処理し、85℃に加熱する。予め、90℃にて加熱溶融、混合しておいた(1),(2)さらに(15)をこれに添加し、脱気する。所定の中皿に充填し、放冷して青系濃色部分補正用油性コンパクト状ファンデーションを得た。
【0040】
【表1】
【0041】
*1:実施例1の着色雲母チタン
(外観色:肌色,反射干渉色:青色,透過干渉色:黄色)
*2:マール社製デュオクロムYB
(外観色:肌色,反射干渉色:青色,透過干渉色:黄色)
【0042】
次に、得られた青系濃色部分補正用油性コンパクトファンデーションのカバー効果、透明感、仕上がりの自然さについて評価を行った。評価方法は、重度の青アザ(太田母斑等)の濃色部分保有者10名を対象とし、第三者による視感判定を行って、5(ある、あるいは自然)から1(ない、あるいは不自然)までの5段階評価をし、各評価値の平均値を求めた。
さらに肌色の測定(正常部と濃色部)をミノルタ測色計CM−1000により塗布前後で実施し、色差を測定し平均値を算出した。
これらの結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2から明らかなように、本発明の黄色の透過干渉光を持つ着色雲母チタンを配合した実施例3のファンデーションは、太田母斑の青色の濃色部のカバー効果(肌色補正効果)に優れているにもかかわらず、透明感があり自然な仕上がりであった。さらにこれらの補正用ファンデーションを塗布したのち、市販のパウダリーファンデーションを塗布すると、雲母チタンの光沢が自然な透明感に変化し、正常部と遜色のない仕上がり感であった。
これに対し、従来の二酸化チタンを多量配合した比較例1は、カバー効果はあるものの、透明感のない粉っぽい仕上がりであり、また、アルミニウム粉末を配合した比較例2はさらに優れた隠蔽性を示したが、仕上がりに不自然なギラギラ感があって不自然な仕上がりであり、使用感触にもガサツキがあった。さらに市販の酸化鉄被覆雲母チタンを使用した比較例3は、比較例1,2には全ての項目で勝っていたが、透明感、仕上がりの自然さの点で本発明の着色雲母チタンを使用した実施例3に劣るものであった。
【0045】
実施例4、比較例4〜7
表3に示す組成の赤系濃色部分補正用油性スティックファンデーションを以下の方法で製造し、後述する方法で赤色カバー力および隠蔽力を測定した。その結果を併せて表3に示す。
【0046】
(製法)
(3)〜(6)を加熱溶解後、(7)〜(14)を添加し、ディスパー分散する。このものを特殊機化製TKミル処理し、85℃に加熱する。予め、95℃にて加熱溶融、混合しておいた(1),(2)さらに(15)をこれに添加し、脱気する。所定のスティック容器に充填し、放冷して赤系濃色部分補正用油性スティックファンデーションを得た。
【0047】
【表3】
【0048】
*3:実施例2の着色雲母チタン
(外観色:肌色,反射干渉色:赤色,透過干渉色:緑色)
*4:マール社製デュオクロムYR
(外観色:肌色,反射干渉色:赤色,透過干渉色:緑色)
*5:マール社製デュオクロムYB
(外観色:肌色,反射干渉色:青色,透過干渉色:黄色)
【0049】
次に、得られた赤系濃色部分補正用油性スティックファンデーションのカバー効果、透明感、仕上がりの自然さについて評価を行った。評価方法は、重度の赤アザ(血管腫等)の濃色部分保有者10名を対象とし、第三者による視感判定を行って、5(ある、あるいは自然)から1(ない、あるいは不自然)までの5段階評価をし、各評価値の平均値を求めた。
さらに肌色の測定(正常部と濃色部)を前記の方法で色差測定し、平均値を算出した。
これらの結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
表4から明らかなように、本発明の緑色の透過光を持つ実施例2の着色雲母チタンを配合した実施例4のファンデーションは、血管腫の赤色の濃色部のカバー効果(肌色補正効果)に非常に優れており、しかも、透明感のある自然な仕上がりであった。さらにこの補正用のファンデーションを塗布した後、市販の乳化ファンデーションを正常部、濃色部の両方に塗布したところ、濃色部の光沢が抑制され、正常部と遜色のない仕上がりが得られた。
これに対し、従来の二酸化チタンを多量配合した比較例4は、カバー効果はあるものの、透明感のない粉っぽい仕上がりであり、また、アルミニウム粉末を配合した比較例5は優れた隠蔽性を示したが、仕上がりに不自然なギラギラ感があって不自然な仕上がりであり、さらに使用感触にもガサツキがあった。さらに、実施例4で用いた実施例2の着色雲母チタンと同系色の透過干渉光(緑色)を持つ市販の酸化鉄被覆雲母チタンを使用した比較例6は、比較例4,5には全ての項目で勝っていたが、透明感、仕上がりの自然さの点で本発明の着色雲母チタンを使用した実施例4に劣るものであった。さらに、実施例4で用いた実施例2の着色雲母チタンの透過干渉光と補色に近い関係にある黄色の透過干渉光をもつ市販の着色雲母チタンを使用した比較例7は、透明感があるもののカバー効果がほとんど認められなく、補正用ファンデーションとしては好ましくないものであった。
【0052】
☆隠蔽力、青色系カバー力および赤色系カバー力の効果試験
▲1▼隠蔽力効果試験法
(試料)
実施例3で製造した青系の肌色調整用組成物(S−1)、実施例4で製造した赤系の肌色調整用組成物(S−2)、市販品である肌の濃色部分カバー用の部分用下地ファンデーション(株式会社資生堂製、スポッツカバー、R−1)および市販品である部分用下地ファンデーション(C社製、R−2)の3品を試料として用いた。
(方法)
上記各試料を80wt%の濃度で硝化綿ビヒクルに小型撹拌機を用いて均一に混合し、これを白および黒の下地をもつ隠蔽力試験紙にアプリケータによって30μmの厚さで塗布した。次に白および黒の下地に塗布した試料の色調をミノルタCM1000を用いて測色し、得られた白および黒の下地に塗布した試料の色差ΔEを求め、更にこの色差を用いて(1)式によって隠蔽力を求めた。
【0053】
【数5】
隠蔽力=(1÷ΔE)×100 …(1)
【0054】
なお、隠蔽力1000は色差が0.1であり、白黒下地を共に完全に隠蔽する水準、隠蔽力100は色差が1.0であり、白黒下地でほとんど色調に差がない水準、および隠蔽力10は色差が10.0であり、白黒下地がはっきりと見分けられる水準である。
【0055】
▲2▼青色系カバー力効果試験方法
(試料)
隠蔽力効果試験におけるS−1,R−1およびR−2を用いた。
(方法)
青色の透明PETフィルムに隠蔽力効果試験と同様の方法で各試料を塗布し、これを村上色彩科学研究所製の変角測色機GCMS3を用いて入射角45゜、受光角−15゜の条件で測色を行った。
対照として測定した青色の透明PETフィルムの波長400〜550nmにおおける反射率の積分値と、試料を塗布した青色PETフィルムの波長400〜550nmにおける反射率の積分値との差比を(3)式によって求め、青色カバー力とした。
【0056】
【数6】
青色カバー力={(X−Y)/X}×100 …(3)
【0057】
(式中、Xは肌色調整用組成物を塗布していない青色透明PETフィルムの400〜550nmにおける反射率の積分値を示し、Yは肌色調整用組成物を塗布した青色透明PETフィルムの400〜550nmにおける反射率の積分値を示す。)
【0058】
▲3▼赤色系カバー力効果試験法
(試料)
隠蔽力効果試験におけるS−2,R−1およびR−2を用いた。
(方法)
赤色の透明PETフィルムに青色系カバー効果測定の場合と同様の方法で各試料を塗布し、これを村上色彩科学研究所製の変角測色機GCMS3を用いて入射角45゜、受光角−15゜の条件で測色を行った。
対照として測定した赤色の透明PETフィルムの波長600〜780nmにおおける反射率の積分値と、試料を塗布した赤色PETフィルムの波長600〜780nmにおける反射率の積分値との差比を(2)式によって求め、赤色カバー力とした。
【0059】
【数7】
赤色カバー力={(V−W)/V}×100 …(2)
【0060】
(式中、Vは肌色調整用組成物を塗布していない赤色透明PETフィルムの600〜730nmにおける反射率の積分値を示し、Wは肌色調整用組成物を塗布した赤色透明PETフィルムの600〜730nmにおける反射率の積分値を示す。)
【0061】
▲4▼結果
図6は、本発明による青系の肌色調整用組成物であるS−1と従来品であるR−1,R−2の、隠蔽力および青色カバー力の結果を示す図であり、図7は本発明による赤系の肌色調整用組成物であるS−2と従来品であるR−1,R−2の、隠蔽力および赤色カバー力の結果を示す図である。
まず、S−1,S−2と比較すると従来の部分用下地ファンデーションであるR−1,R−2は極めて高い隠蔽力をもっていることが分かる。このように従来品は全て肌の濃色部位を隠蔽することによって色補正をしているものである。これに対してS−1およびS−2は従来品と比較すると、その数十分の一から数百分の一の値の隠蔽力しかもたないことが分かる。
しかし図6では、青色カバー力は隠蔽力がほとんどないS−1の方が従来品R−1,R−2よりも高いことを示している。また、図7では、赤色カバー力は隠蔽力がほとんどないS−2の方が従来品R−1,R−2よりも高いことを示している。このように本発明の肌色調整用組成物は隠蔽性が低いにも関わらず、極めて高い青色および赤色カバー力をもつことが分かる。
【0062】
【0063】
(製法)
(1)〜(3)を撹拌混合した後、(4)〜(6)を添加し分散させる。その中に、(9)に(7)および(8)を溶解させた水相部を加え乳化させることにより、隠蔽力が12で、青色カバー力が65の青色濃色部分補正用油中水型乳化ファンデーションを得た。
【0064】
(効果)
このファンデーションを太田母斑の青色濃色部分をもつパネルに塗布したところ、透明感のある仕上がりであるにもかかわらず、濃色部分を効果的に補正し、優れた隠蔽効果を示した。正常部と、このファンデーションを塗布した濃色部の両者の上に市販の固形白粉を塗布したところ、濃色部の補正ファンデーションによる光沢が抑制され、両部位の差はほとんど認められず、自然な仕上がり感であった。
【0065】
【0066】
(製法)
(1)〜(5)および(14)を90℃に加熱し溶解後、(6)〜(12)を加え、90℃にてホモジナイザーにて分散する。さらに予め95℃に加熱しておいた(13),(15),(16)の混合物を添加し乳化する。その後、所定のスティック容器に充填し室温まで冷却して目的の隠蔽力が10で、赤色カバー力が14の赤色濃色部分補正用スティック状油中水型乳化ファンデーションを得た。
【0067】
(効果)
このスティック状油中水型乳化ファンデーションは、血管腫のような重度の赤色系濃色部分に対し、透明感のある自然な仕上がりで効果的に濃色部分をカバーするだけでなく、にきび跡、赤ら顔といった軽度の赤系濃色部分の補正にも効果的であった。
【0068】
実施例7 軽度の赤色濃色部分補正用パウダリーファンデーション
(配合処方)
(1) タルク 20.0 重量%
(2) セリサイト 38.8
(3) 着色雲母チタン(赤色干渉色系) 9.0
(実施例2の着色雲母チタン)
(4) 二酸化チタン 11.0
(5) 球状ポリスチレン 5.0
(6) 赤酸化鉄 0.6
(7) 黄酸化鉄 1.8
(8) 黒酸化鉄 0.1
(9) ヘリンドンピンク 0.2
(10) パラベン 0.5
(11) 流動パラフィン 5.0
(12) ジメチルシリコーン 5.0
(13) ソルビタンモノイソステアレート 2.0
(14) セレシン 1.0
【0069】
(製法)
(1)〜(9)を撹拌混合したものに、予め加熱溶解しておいた(10)〜(14)を添加し、混合分散する。このものをパルベライザーで粉砕し、中皿に打型して隠蔽力が17で、赤色カバー力が14の軽度の赤色濃色部分補正用パウダリーファンデーションを得た。
【0070】
(効果)
このパウダリーファンデーションをにきび跡、赤ら顔等の軽度の赤色濃色部分を顔にもつパネルに塗布したところ、肌の赤みを効果的に補正し、さらに素肌に近い自然な仕上がり感であった。
【0071】
実施例8 軽度の青色濃色部分補正用パウダリーファンデーション
(配合処方)
(1) タルク 20.0 重量%
(2) セリサイト 38.8
(3) 着色雲母チタン(青色干渉色系) 9.0
(実施例1の着色雲母チタン)
(4) 二酸化チタン 11.0
(5) 球状ポリスチレン 5.0
(6) 赤酸化鉄 0.6
(7) 黄酸化鉄 1.8
(8) 黒酸化鉄 0.1
(9) ヘリンドンピンク 0.2
(10) パラベン 0.5
(11) 流動パラフィン 5.0
(12) ジメチルシリコーン 5.0
(13) ソルビタンモノイソステアレート 2.0
(14) セレシン 1.0
【0072】
(製法)
(1)〜(9)を撹拌混合したものに、予め加熱溶解しておいた(10)〜(14)を添加し、混合分散する。このものをパルベライザーで粉砕し、中皿に打型して隠蔽力が15で、青色カバー力が52の軽度の青色濃色部分補正用パウダリーファンデーションを得た。
【0073】
(効果)
このパウダリーファンデーションを軽度の青色濃色部分を顔にもつパネルに塗布したところ、肌の青みを効果的に補正し、さらに素肌に近い自然な仕上がり感であった。
【0074】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の着色雲母チタンは、通常の化粧料に配合した時には、優れた二色性を有する化粧料とすることができる。また、肌色調整用の干渉性物質として用いると、表面酸化鉄による光の吸収が小さく透過干渉色が弱められることがないので、そのフィルター効果を十分に発揮して、肌の濃色部分を目立たなくさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による微粒子酸化鉄被覆雲母チタンの反射干渉光および透過干渉光の反射率の波長依存性を示す特性図である。
【図2】従来の酸化鉄被覆雲母チタンの反射干渉光および透過干渉光の反射率の波長依存性を示す特性図である。
【図3】本発明による微粒子酸化鉄被覆雲母チタンの正反射光および拡散反射光の波長と反射率との関係を示す図である。
【図4】従来の酸化鉄被覆雲母チタンの一例の正反射光および拡散反射光の波長と反射率との関係を示す図である。
【図5】本発明による微粒子酸化鉄被覆雲母チタンの粒度分布を示す図である。
【図6】本発明による青色系の肌色調整用組成物の隠蔽力と青色カバー力を従来品と比較して示す図である。
【図7】本発明による赤色系の肌色調整用組成物の隠蔽力と赤色カバー力を従来品と比較して示す図である。
【図8】干渉性物質の作用を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 薄膜
2 単色光
3a,3b 反射干渉光
4a,4b 透過干渉光
5 媒体
Claims (4)
- 肌の赤系の濃色部分を目立たなくさせるのに用いられる着色雲母チタンからなる肌色調整剤であって、
前記着色雲母チタンが、光学的膜厚が190〜270nmまたは405〜500nmの二酸化チタンで被覆された雲母チタン上にさらに平均粒子径が60〜150nmの微粒子酸化鉄を被覆してなり、雲母チタン(A)と微粒子酸化鉄(B)との比(重量比)が(A):(B)=(99.5:0.5)〜(90:10)であることを特徴とする肌色調整剤。 - 肌の赤系の濃色部分を目立たなくさせるのに用いられる着色雲母チタンからなる肌色調整剤の製造方法であって、
前記着色雲母チタンの製造方法が、光学的膜厚が190〜270nmまたは405〜500nmの二酸化チタンで被覆された雲母チタン上にさらに平均粒子径60〜150nmの微粒子酸化鉄を被覆し、雲母チタン(A)と微粒子酸化鉄(B)との比(重量比)を(A):(B)=(99.5:0.5)〜(90:10)とすることを特徴とする肌色調整剤の製造方法。 - 肌の青系の濃色部分を目立たなくさせるのに用いられる着色雲母チタンからなる肌色調整剤であって、
前記着色雲母チタンが、光学的膜厚が290〜380nmまたは530〜660nmの二酸化チタンで被覆された雲母チタン上にさらに平均粒子径60〜150nmの微粒子酸化鉄を被覆してなり、雲母チタン(A)と微粒子酸化鉄(B)との比(重量比)が(A):(B)=(99.5:0.5)〜(90:10)であることを特徴とする肌色調整剤。 - 肌の青系の濃色部分を目立たなくさせるのに用いられる着色雲母チタンからなる肌色調整剤の製造方法であって、
前記着色雲母チタンの製造方法が、光学的膜厚が290〜380nmまたは530〜660nmの二酸化チタンで被覆された雲母チタン上にさらに平均粒子径60〜150nmの微粒子酸化鉄を被覆し、雲母チタン(A)と微粒子酸化鉄(B)との比(重量比)を(A):(B)=(99.5:0.5)〜(90:10)とすることを特徴とする肌色調整剤の製造方法。
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