JP4087661B2 - 材料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空蒸着の技術分野に属し、詳しくは、真空蒸着装置において、蒸発位置に成膜材料を供給する材料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)の照射を受けると、この放射線エネルギーの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光の照射を受けると、蓄積されたエネルギーに応じた輝尽発光を示す蛍光体が知られている。この蛍光体は、蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)と呼ばれ、医療用途などの各種の用途に利用されている。
【0003】
一例として、この蓄積性蛍光体を含有する層(以下、蛍光体層とする)を有するシート(以下、蛍光体シートとする(放射線像変換シートとも呼ばれている)を利用する、放射線画像情報記録再生システムが知られており、例えば、FCR(Fuji Computed Radiography)等として実用化されている。
このシステムでは、蛍光体シート(蛍光体層)に人体などの被写体の放射線画像情報を記録し、記録後に、蛍光体シートをレーザ光等の励起光で2次元的に走査して輝尽発光光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再生した画像を、写真感光材料等の記録材料、CRT等の表示装置に被写体の放射線画像を可視像として出力する。
【0004】
このような蛍光体シートは、通常、蓄積性蛍光体の粉末をバインダ等を含む溶媒に分散してなる塗料を調製して、この塗料をガラスや樹脂製のシート状の支持体に塗布し、乾燥して、蛍光体層を形成することによって、作製される。
これに対し、真空蒸着やスパッタリング等の物理蒸着法(気相成膜法)によって、支持体に蛍光体層を形成してなる蛍光体シートも知られている(特許第2789194号、特開平5−249299号等の各公報参照)。蒸着によって作製される蛍光体層は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、バインダなどの蓄積性蛍光体以外の成分が殆ど含まれないので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常に良好であるという、優れた特性を有している。
【0005】
一般的に、真空蒸着は、光学部品のコーティング、磁気記録媒体や電子ディスプレイの製造等の各種の分野における薄膜の成膜方法として利用されている。これらにおける蒸着による成膜では、ほとんどの場合は、形成する膜の厚さは1μm以下で、厚くても3μm程度である。
これに対し、真空蒸着で形成される蛍光体シートの蛍光体層は、薄くても200μm以上、通常で500μm程度、厚い場合で1000μmもの厚さが必要になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通常の真空蒸着装置では、このような厚さの膜は1つの材料で成膜することは不可能であるので、蛍光体層の成膜中に成膜材料を追加する必要があり、それに応じて、材料供給装置を備える真空蒸着装置も各種、知られている。
【0007】
ここで、蓄積成膜蛍光体、特に、好適な蛍光特性を有するために、各種の蛍光体シートで利用されるアルカリハライド系の蓄積性蛍光体の成膜材料は、一般的に、吸湿性が高い。そのため、真空蒸着による成膜中に水分を放出して、蛍光体層の品質を低下させてしまう場合がある。
蓄積性蛍光体の成膜材料は、通常、粉末状やワイヤー状で提供されるが、前記吸湿による不都合を低減するためには、表面積を小さくする必要があり、従って、真空蒸着では、成膜材料は、ある程度の大きさのタブレット(錠剤状)やインゴット(柱状)等に成形して使用するのが好ましい。
【0008】
従って、真空蒸着用の材料供給装置は、ある程度の大きさを有するタブレットやインゴットに成形された成膜材料を供給できるのが好ましく、さらに、成膜材料を取得あるいは成形する際の選択性や自由度を考慮すれば、タブレットとインゴットの両方を使用できるのが、特に好ましい。
ところが、成膜材料として、多数のタブレットを連続的に供給でき、好ましくは、タブレットとインゴットの両方を使用でき、前述のような膜厚に対応できる量の材料を安定して供給できる真空蒸着用の材料供給装置は、今だ、実現されていない。
【0009】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、真空蒸着装置に装着されて、蒸発位置に成膜材料を供給する材料供給装置であって、多数のタブレットを連続的に供給でき、さらに、タブレットおよびインゴットの両者の使用も可能にでき、蛍光体シートに蓄積性蛍光体層を成膜する場合のように、200μmを超えるような厚さの成膜を行う際にも、十分な量の成膜材料を供給することができる、真空蒸着用の材料供給装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、真空蒸着装置に装着され、所定の蒸発位置に成膜材料を供給する材料供給装置であって、前記成膜材料が装填され、同じ回転中心を有し、互いに独立に回転可能で、回転軸の延在方向に離間して配置される複数のターレットと、前記ターレットに装填された成膜材料を、前記ターレットの回転軸の延在方向に移動することにより、成膜材料を所定の蒸発位置に移動する移動部材を有する移動手段と、前記複数のターレットを独立に回転する回転手段とを有すると共に、各ターレットは、成膜材料の装填位置に対応して、前記移動部材が通過するための複数の移動用貫通孔を有し、さらに、各ターレットの回転中心を中心とする同サイズの円周に対応する位置に、前記移動部材および移動用貫通孔が位置し、また、少なくとも成膜基板から最も遠いターレット以外は、前記円周に対応する位置に成膜材料が通過するための供給用貫通孔を有することを特徴とする材料供給装置を提供する。
【0011】
このような本発明の材料供給装置において、成膜材料を収容する収容容器を有し、この収容容器を前記移動用貫通孔に装着するのが好ましく、また、前記収容容器は、成形された成膜材料を収容するものであり、かつ、成膜材料を収容した状態において、少なくとも前記収容容器の上端部近傍は、成膜材料と収容容器内壁との間に成膜材料の溶融液が流れ込めるだけの間隙を有するのが好ましい。また、本発明の材料供給装置において、成膜基板側の幾つかの前記ターレットが、着脱自在に構成されるのが好ましく、さらに、錠剤状もしくは柱状に成形された成膜材料を供給するものであり、柱状の成膜材料を供給する際には、前記成膜基板側の幾つかのターレットを取り外すのが好ましい。また、本発明の材料供給装置において、前記移動手段は、成膜の進行に伴う成膜材料の消費による、成膜材料の蒸発面の降下に応じて、成膜材料を持ち上げて、蒸発面を所定の蒸発位置に保つのが好ましく、さらに、前記供給用貫通孔は、前記収容容器を通過可能なサイズであるのが好ましく、また、前記移動用貫通孔は、段付きであり、この段に、前記錠剤状もしくは柱状に成形された成膜材料を載置されるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の材料供給装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0013】
図1に、本発明の材料供給装置を装着した、真空蒸着装置の一例の概念図を示す。
図示例の真空蒸着装置(以下、蒸着装置10とする)は、二元の真空蒸着によって、シート状の基板Sの表面に、蓄積性蛍光体を含有する層((蓄積性)蛍光体層)を形成して、蓄積性蛍光体シート(以下、蛍光体シートとする)を作製するものであり、基本的に、真空チャンバ12と、基板回転機構14と、加熱蒸発部16とを有して構成される、いわゆる基板回転型の真空蒸着装置である。この加熱蒸発部16には、本発明の材料供給装置18が装着されている。
また、真空チャンバ12には、系内を排気して所定の真空度にするための、図示しない真空ポンプ(真空排気手段)が接続される。
【0014】
図示例の蒸着装置10は、一例として、臭化セシウム(CsBr)および臭化ユーロピウム(EuBrx (xは、通常、2〜3))を成膜材料とした二元の真空蒸着を行って、基板にCsBr:Euを蓄積性蛍光体とする蛍光体層を成膜して、蛍光体シートを作製する。
この蛍光体層の成膜においては、蛍光体の成膜材料が臭化セシウムで、付活剤の成膜材料が臭化ユーロピウムである。
【0015】
真空チャンバ12は、鉄、ステンレス、アルミニウム等で形成される、真空蒸着装置で利用される公知の真空チャンバ(ベルジャー、真空槽)である。
前述のように、真空チャンバ12には、図示しない真空ポンプが接続される。真空ポンプにも、特に限定はなく、必要な到達真空度を達成できるものであれば、真空蒸着装置で利用されている各種のものが利用可能である。一例として、油拡散ポンプ、クライオポンプ、ターボモレキュラポンプ等を利用すればよく、また、補助として、クライオコイル等を併用してもよい。なお、前述の蛍光体層を成膜する蒸着装置10においては、真空チャンバ12内の到達真空度は、6.7×10-3Pa以下、特に4.0×10-4Pa以下であるのが好ましい。
【0016】
基板回転機構14は、基板Sを保持して回転するもので、回転駆動源20と、ターンテーブル22とから構成される。
ターンテーブル22は、上側の本体24と下側(加熱蒸発部16側)のシースヒータ26とからなる円板で、その中心に、回転駆動源20と係合する回転軸28が固定される。ターンテーブル22は、後述する加熱蒸発部16(成膜材料の蒸発位置)に対応する所定位置において、下面(シースヒータ26の下面)に基板Sを保持して、回転駆動源20によって所定速度で回転される。また、シースヒータ26は、成膜される基板Sを裏面(成膜面と逆面)から加熱する。
なお、基板Sは、マスクを兼ねるホルダや治具等を用いた公知の方法で、成膜面を下方に向けてターンテーブル22に保持すればよい。
【0017】
真空チャンバ12の下方には、加熱蒸発部16が配置される。
前述のように、蒸着装置10は、臭化セシウムおよび臭化ユーロピウムを成膜材料として用い、これらを個々に加熱蒸発する二元の真空蒸着を行うものであり、加熱蒸発部16は、セシウム蒸発部30(以下、Cs蒸発部30とする)と、ユーロピウム蒸発部32(以下、Eu蒸発部32とする)と、本発明の材料供給装置18とを有する。
【0018】
Eu蒸発部32は、抵抗加熱装置34によって、蒸発位置(ルツボ)に収容した臭化ユーロピウム(付活剤の成膜材料)を抵抗加熱して蒸発する部位ある。
図示例の蒸着装置10において、抵抗加熱装置34は、公知のものである。具体的には、加熱装置(蒸発源)としては、ボートタイプ、フィラメントタイプ、クルーシブルタイプ、チムニータイプ、Kセル(クヌーセンセル)等、抵抗加熱装置で用いられる各種の装置が、また、電源(加熱制御手段)としては、サイリスタ方式、DC方式、熱電対フィードバック方式等、抵抗加熱装置で用いられる各種の方式が、それぞれ、使用される。
抵抗加熱を行う際の出力にも特に限定はなく、付活剤材料等に応じて適宜設定すればよいが、図示例においては、ヒータの抵抗値によっても異なるが、1A〜1000A程度とすればよい。
【0019】
一方、Cs蒸発部30は、電子銃36から出射した電子線(エレクトロンビーム=EB)を所定の蒸発位置に照射することにより、本発明の材料供給装置18によって蒸発位置に供給された、蛍光体の成膜材料である臭化セシウムを加熱蒸発する、公知の電子線加熱装置である。
【0020】
従って、電子銃36としては、電子線を180°偏向して蒸発位置に入射する180°偏向銃、同270°偏向銃、90°偏向直進銃等、真空蒸着において利用されている各種の電子銃が利用可能である。図示例においては、電子銃36は、一例として、270°偏向銃を利用している。
電子銃36のエミッション電流やEBの加速電圧にも限定はなく、成膜材料や成膜する膜厚に応じた十分なものであればよい。図示例においては、一例として、EBの加速電圧は−1kV〜−30kV、エミッション電流は、50mA〜2Aとするのが好ましい。また、成膜速度にも特に限定はないが、図示例においては、10nm/sec〜5000nm/secが好ましい。
【0021】
ここで、前述のように、蛍光体シートに成膜される蛍光体層は、通常の真空蒸着膜に比して非常に厚く、薄くても200μm程度、通常500μm程度、厚い場合には、1000μmを超える場合も有る。図示例においては、膜厚は、50μm〜1000μm、特に、200μm〜500μmが好ましい。さらに、付活剤と蛍光体とは、例えば、モル濃度比で0.0005/1〜0.01/1程度と、蛍光体層の大部分が蛍光体である。
そのため、図示例の蒸着装置10において、加熱蒸発部16には、本発明の材料供給装置18(以下、供給装置18とする)が装着されており、蛍光体の成膜材料である臭化セシウムは、この供給装置18によって、Cs蒸発部30の所定の蒸発位置に供給される。
【0022】
図2に、本発明の供給装置18の概略図を示す。なお、図2において、(A)は、供給装置18を基板S側から見た図(上面図)であり、(B)は、図1と同方向から見た図(正面図)である。
供給装置18は、図3に示されるような、タブレット(錠剤状)に成形された成膜材料(図示例では臭化セシウム 以下、タブレットTbとする)と、インゴット(柱状)に成形された成膜材料(同前 以下、インゴットInとする)を、所定の蒸発位置、すなわち電子銃36からのEBの照射位置に供給するものである。このような供給装置18は、基本的に、3つのターレット50(第1ターレット50a、第2ターレット50b、および第3ターレット50c)と、昇降手段52と、各ターレット50を回転する回転手段(図示省略)とを有して構成される。
【0023】
なお、タブレットTbやインゴットInの成形方法には、特に限定はなく、用いる成膜材料に応じた方法が、各種、利用可能である。例えば、粉末状の成膜材料を成形用のダイスに投入して、粉末金型プレス成形機で成形した後、真空乾燥処理を行う成形方法等が例示される。
また、図示例においては、成膜材料は、共に円柱状に成形されているが、成膜材料の形状は、円柱以外にも、角柱状であってもよい。
【0024】
ターレット50は、下面の中心に回転軸54(各ターレット50では、54a、54bおよび54c)有する円盤で、タブレットTbもしくはインゴットInを収容した容器56(図3参照)を装着する装填孔58(移動用貫通孔)、および、容器56を通過させるための供給孔60(供給用貫通孔)が形成される(図2(B)では、供給孔60のみを示す)。
図示例においては、ターレット50には、6つの装填孔58と1つの供給孔60との、計7つの孔が、ターレット50の回転と中心を一致する円周上に、同じ回転角間隔で形成されている。
【0025】
なお、本発明において、装填孔58(供給用貫通孔)の数は、これに限定はされず、5個以下でも7個以上でもよい。また、後に明らかになるが、最も下(基板Sと最も離れた)の第3ターレット50cは、容器56を通過させる必要が無いので、供給孔60を形成せずに、全ての孔を装填孔58としてもよい。
さらに、各ターレット50は、回転中心が一致しており、かつ、各貫通孔が、ターレットの回転と中心を一致する同じ円周上に形成されていれば、個々の形状やサイズが異なっていてもよい。
【0026】
前述のように、第1ターレット50aの下面には回転軸54aが、第2ターレット50bの下面には回転軸54bが、第3ターレット50cの下面には回転軸54cが、それぞれ、固定される。図示例において、回転軸54は中空の円柱で、下方のターレット50ほど、大きな径を有する。
3つのターレット50は、回転軸54aを回転軸54bに挿入し、さらに、この回転軸54bを回転軸54cに挿入した状態で、回転軸方向にタブレットTbのサイズ(高さ)に応じた所定の間隔離間して、自身の回転軸54によって、同じ回転中心で個々に回転可能に支持される。また、各回転軸54は、公知の方法で、真空チャンバ12に固定されるハウジング62に軸支され(図1参照)、かつ、上方の2段の第1ターレット50aおよび第2ターレット50bは、着脱可能に構成される。
なお、各ターレット50を所定間隔で保持する方法は、リブやフランジ等で支持する方法、各種の保持部材を用いる方法等、公知の方法を利用すればよい。
【0027】
各ターレット50は、図示しない回転手段によって、それぞれ、独立して回転される。
ターレット50を独立して回転にする方法には、特に限定はなく、公知の各種の方法が利用可能である。例えば、回転軸54bは回転軸54cよりも下方に突出し、回転軸54aは回転軸54bよりも下方に突出するようにすると共に、各回転軸54の下端部にギヤ等の伝達手段を装着して、各回転軸54のギヤにモータを係合して、独立して回転する方法等が例示される(最長の回転軸54aは、モータの回転軸と直結でも可)。
【0028】
前述のように、タブレットTbおよびインゴットInは、共に、容器56に収容される。
この容器56は、図3(A)に示されるように、下端が閉塞する円筒状の円筒部57aと、この円筒部57aの上端外周に固定される平板リング状の鍔部57bとを有するもので、円筒部57aの外径は、装填孔58の内径よりも若干小さい。さらに、鍔部57bの外径は、装填孔58の内径よりも大きく、かつ、供給孔60の内径よりも、若干小さい。
図示例の供給装置18においては、タブレットTbもしくはインゴットInを容器56に収容して、この容器56の円筒部57aを装填孔58に挿入して鍔部57bをターレット50に載置することにより、タブレットTb等(成膜材料)が装填される。また、容器56の鍔部57bは、供給孔60よりも小さいので、容器56は供給孔60を通過することができる。
【0029】
ここで、EBによる加熱を行うCs蒸発部30においては、各種の要因によってEBの揺らぎ等を生じることがあり、これに起因して、タブレットTbもしくはインゴットIn(成膜材料)へのEBの入射角度が変動したり、入射位置が不適性になってしまう場合がある。
このような入射角度の変動等が起こると、EBによる加熱位置の変動等が生じて、溶融した成膜材料(臭化セシウム)がタブレットTb等から流れ落ちてしまう、いわゆる液垂れを生じてしまうことがある。また、液垂れは、蒸着レートを高くするために、高出力なEBを使用した場合等にも発生し易い。
当然のことであるが、液垂れした成膜材料が、後述する昇降手段52の本体64やピストン66に付着すると、供給装置18の誤動作の原因になる。
【0030】
このような不都合を回避するために、本発明の供給装置18においては、ターレット50に成膜材料を装填する際にタブレットTbやインゴットInを収容する容器は、例えば、図3(B)に示される容器56bや、図3(C)に示される容器56cのように、タブレットTbやインゴットInを収容した状態において、少なくとも上端部近傍は、材料と収容容器内壁との間に成膜材料の溶融液が流れ込めるだけの間隙を有する形状とするのが好ましい。
すなわち、タブレットTb等を収容する容器は、成膜材料を収容してターレット50への装填を補助すると共に、成膜材料の液垂れを生じた場合に、液溜めとしても作用するような形状とするのが好ましい。
【0031】
このような構成とすることにより、EBの入射角度の変動や、高出力なEBの使用により液垂れを生じた場合にも、溶融した成膜材料が昇降手段52等に付着することを防いで、液垂れによる供給装置18の誤動作を確実に防止でき、安定した蒸着を行うことが可能になる。
【0032】
なお、このような容器の液溜めの大きさは、収容する成膜材料の量、蒸着レート等に応じて、液垂れした成膜材料を溢れることなく収容でき、装置の安定動作を確保できる大きさを、適宜、決定すればよい。
【0033】
また、容器が液溜めを有する際には、供給孔60は、このような液溜めを有する容器56bや容器56cが通過できるサイズにする必要があるのは、もちろんである。
さらに、容器56bや容器56cのような、液溜めを有する容器のターレット50の装填孔58への装填は、例えば、容器56bのように成膜材料の液溜めとなる幅広部に、前記鍔部57aのような作用を持たせて行ってもよく、また、容器56cのように、下面に装填孔58への装填のための凸部を形成して行ってもよく、容器の形状に応じた各種の方法で行えばよい。
【0034】
図4に、供給装置18にタブレットTbを装填した状態を示す。
前述のように、各ターレット50には、6つの装填孔58が形成されるので、1つのターレット50にタブレットTbを収容した容器56を6つ載置して、合計で18個のタブレットTbを装填することができる。
なお、図4に示される状態では、第1ターレット50aは後述する図6(A)に示される状態で、第2ターレット50bおよび第3ターレット50cは、同図6(B)に示される状態となっている。
【0035】
また、前述のように、1段目と2段目の第1ターレット50aおよび第2ターレット50bは、共に、着脱可能に構成される。
供給装置18にインゴットInを装填する際には、図5に示すように、第1ターレット50aおよび第2ターレット50bを取り外して、インゴットInを収容した容器56を1番下の第3ターレット50cの装填孔60に挿入して、載置する。これにより、合計で6つのインゴットInを供給装置18に装填することができる。
図5に示される例では、第3ターレット50cは、図6(A)に示される状態となっている。
【0036】
なお、図示例の供給装置18は、好ましい態様として、第1ターレット50aおよび第2ターレット50bを着脱自在として、インゴットInとタブレットTbの両方を使用可能にしているが、本発明は、これに限定はされず、全ターレットを取り外し不可能として、タブレットTbのみに対応するものでもよい。
【0037】
図示例において、昇降手段52は、真空チャンバ12に固定される本体64と、ピストン(ピストンロッド)66と、ピストン66の先端に配置される、装填孔58の内径よりも若干小さい外径を有する円盤状の載置部材68とを有して構成される。また、昇降手段52は、ピストン66の移動(上昇)方向をターレット50の回転方向と一致し、かつ、載置部材68の中心が、前記装填孔58が配列される円周と一致するように配置される。
このような昇降手段52は、例えば、空気圧シリンダや油圧シリンダ等のアクチュエータを利用して構成すればよい。
【0038】
昇降手段52は、ピストン66を上昇(本体64から突出)することにより、載置部材68を上昇し、ターレット50に装着された容器56を載置部材68に載置して、さらに持ち上げて、タブレットTbやインゴットIn(成膜材料)の上面(蒸発面)を所定の蒸発位置に供給する。
さらに、容器56に収容されるタブレットTb等が空になったら、ピストン66を下降(本体64に収納)して載置部材68を降下し、空になった容器56を下ろして、ターレット50に戻す。
【0039】
ここで、昇降手段52は、好ましくは(インゴットInの場合は、ある程度までは必須)、成膜の進行に伴うタブレットTbなどの消費による、成膜材料の蒸発面の降下に応じて、載置部材68すなわち成膜材料を持ち上げて、蒸発面を所定の蒸発位置に保つ。
【0040】
安定した真空蒸着を行うためには、蒸発面が一定位置であるのが好ましいのは、もちろんであるが、本発明者らの検討によれば、特に、図示例のようなEB加熱を行う場合には、良好な真空蒸着を行って、高品質な膜を安定して成膜するためには、EBを成膜材料の蒸発面に対して垂直に入射(90°入射)するのが好ましい。
【0041】
ここで、偏向銃を用いるEB加熱では、蒸発面の位置によってEBの入射角度が異なり、さらに、成膜の進行によって蒸発面が降下するため、EBの入射角度は変動する。
これに対し、昇降手段52(移動手段)を有し、昇降手段52によって成膜材料(タブレットTbやインゴットIn)を蒸発位置に供給する本発明の供給装置18によれば、使用する電子銃等に応じて、蒸発位置をEBが垂直に入射する位置に、適宜、設定し、此処に蒸発面を持ってくることができる。さらに、成膜の進行による蒸発面の降下に応じて、昇降手段52によって成膜材料を上昇することにより、蒸発面を所定の蒸発位置に保つことができる。
従って、これにより、蒸発面の安定のみならず、常時、EBを垂直入射することを可能にして、安定して、高品質な成膜を行うことができる。
【0042】
本発明において、昇降手段は、図示例のような空気圧シリンダや油圧シリンダを利用するものに限定はされず、ターレット50に載置された容器56(成膜材料)を蒸発位置に供給するのに十分な移動ストロークを実現できるものであれば、各種のものが利用可能であり、例えば、カムを利用するアクチュエータ、リンクを利用するアクチュエータ、ギヤを利用するアクチュエータ等、公知の手段が各種利用可能である。
また、図示例においては、載置部材68は、容器56を載置するのみであるが、これで不安定な場合には、載置部材が容器の円筒部56aを収納するような構成としてもよい。
【0043】
以下、本発明の供給装置18の作用について説明する。
前述のように、成膜材料としてタブレットTbを用いる場合には、真空チャンバ12を開放して、図4に示すように、タブレットTbを収容した容器56を、各ターレット50の装填孔58に挿入し、載置する。
【0044】
必要数のタブレットTbの装填(容器56の載置)が終了したら、最上段の第1ターレット50aを、1つの装填孔58が、昇降手段52(載置部材68)に対応する位置(以下、昇降位置とする)となるように回転する。一例として、図6(A)に示される状態とする。
他方、第2ターレット50bおよび第3ターレット50cは、供給孔60が昇降位置となるように回転する。すなわち、両ターレット50は、図6(B)に示される状態とする。
【0045】
供給装置18は、成膜開始に先立ち、この状態から、昇降手段52の載置部材68を上昇する。前述のように、第2ターレット50bおよび第3ターレット50cは、供給孔60が昇降位置に有り、第1ターレット50aは1つの装填孔58が昇降位置に有る。従って、載置部材68は、下方2つのターレット50の供給孔60を通過して、第1ターレット50aの昇降位置に位置する容器56(図4に点線で示す)を載置して、持ち上げる。
この載置部材68の上昇は、図4に示されるように、蒸発面(タブレットTbの上面)が、所定の蒸発位置となった時点で停止する(容器56を蒸発位置に上昇)。
【0046】
この状態で、電子銃36が駆動してEBを蒸発位置に照射し、かつ、加熱抵抗装置34が駆動して、蓄積性蛍光体層の真空蒸着が開始される。
なお、蒸着によってタブレットTb(臭化セシウム)が消費され、蒸発面が降下するが、好ましくは、昇降手段52は、それに応じて載置部材68を上昇し、タブレットTbの蒸発面を、所定の蒸発位置に保つ。
【0047】
蒸着に供されている容器56に収容されるタブレットTbが無くなる(残量が所定量となる)と、蒸着を一時停止し、昇降手段52が載置部材68を第1ターレット50aの下まで降下して、空になった容器56を第1ターレット50aに載置する(容器56をターレット50に戻す)。
次いで、第1ターレット50aのみを、反時計方向に所定角度(本例では、約51.4°)回転して、隣の装填孔58を昇降位置に移動する(容器56の切り換え)。さらに、昇降手段52が載置部材68を上昇して、この位置の容器56を蒸発位置まで上昇し、先と同様に、タブレットTbが無くなるまで真空蒸着を行い、タブレットTbが無くなるまで蒸着を行う。
以下、同様に、空になった容器56を第1ターレット50aに戻し、第1ターレット50aを回転による容器56の切り換えを行い、容器56を蒸着位置に上昇し、蒸着を行い、容器56を第1ターレット50に戻すことを繰り返す。
【0048】
このようにして、第1ターレット50aに載置される全てのタブレットTbが空になったら、昇降手段52は、載置部材68を2段目の第2ターレット50bよりも下方に降下する。
その後、第1ターレット50aを反時計方向に所定角度回転して、昇降位置に供給孔60を位置し(すなわち、図6(B)に示される状態)、また、第2ターレット50bも反時計方向に所定角度回転して、昇降位置に、供給孔60の隣の装填孔58を位置する(すなわち、図6(A)に示される状態)。
【0049】
次いで、昇降手段52が載置部材68を上昇する。
この状態では、第2ターレット50bは昇降位置に装填孔58が位置し、第1ターレット50aは昇降位置に供給孔60が位置するので、載置部材68は、第2ターレット50bの昇降位置に位置する容器56を載置して、持ち上げ、また、この容器56は、ターレット50aの供給孔60をする。
昇降手段52が、この容器56を蒸発位置まで上昇したら、次いで、同様に蒸着が行われる。
【0050】
タブレットTbが無くなったら、蒸着を停止し、昇降手段52が載置部材68を降下し、空になった容器56を第2ターレット50bに戻す。
次いで、第2ターレット50bが反時計方向に所定回度回転して容器56を切り換え、再度、昇降手段52が載置部材68を上昇して、昇降位置に位置する容器56を蒸発位置まで持ち上げ、以下、第1ターレット50aに準じて、各装填孔58の容器56に収納されるタブレットTbを、順次、蒸発位置に供給して、真空蒸着を行う。
【0051】
第2ターレット50bに装填されるタブレットTbが全て無くなったら、昇降手段52は、載置部材68を最下段の第3ターレット50bよりも下方に降下する。その後、先に準じて、第2ターレット50bを反時計方向に所定角度回転して、昇降位置に供給孔60を位置し(図6(B)の状態)、また、第3ターレット50cも反時計方向に所定角度回転して、昇降位置に装填孔58を位置する(図6(A)の状態)。
以下、前記第1ターレット50aおよび第2ターレット50bの場合に準じて、「昇降手段52による容器56(タブレットTb)の蒸発位置への上昇→真空蒸着→第3ターレット50cに空の容器56を戻す→第3ターレット50cの回転による容器56の切り換え」を繰り返し行い、第3ターレット50cに装填されたタブレットTbを用いた真空蒸着を行う。
【0052】
他方、インゴットInを用いて真空蒸着を行う場合には、まず、図5に示されるように、供給装置18から第1ターレット50aおよび第2ターレット50bを取り外し、第3ターレット50cのみとする。
次いで、インゴットInを収容した容器56を、第3ターレット50cの装填孔58に挿入して、第3ターレット50cにインゴットInを装填する。次いで、必要に応じて、第3ターレット50cを回転して、1つの装填孔58を昇降位置に位置させる。図5においては、一例として、第3ターレット50cは、図6(A)に示される状態となっている。
【0053】
次いで、昇降手段52が載置部材68を上昇して、容器56を載置して上昇し、図5に点線で示すように、蒸発面(インゴットInの上面)を蒸発位置に位置する(容器56を蒸発位置に上昇する)。
この状態で、EB加熱による真空蒸着が行われる。ここで、インゴットInを用いて蒸着を行う場合には、蒸着によるインゴットInの消費、および、それによる蒸発面の降下に応じて、昇降手段52が容器56を上昇して、インゴットInの蒸発面を所定の蒸発位置に保つようにする。なお、本発明においては、容器56が、インゴットInの上面降下が蒸着で問題にならない程度の高さに来た時点で、それ以上の上昇を行わないようにしてもよい。
【0054】
このようにして、蒸着に供されているインゴットInが無くなったら、蒸着を停止して、昇降手段52が第3ターレット50cよりも下方に載置部材68を降下し、空になった容器56を第3ターレット50cに戻す。
次いで、第3ターレット50cを反時計方向に所定角度回転して、隣の装填孔58を昇降位置に位置し(容器56の切り換え)、同様に、昇降手段52が容器56を蒸発位置まで上昇し、真空蒸着を行う。
【0055】
この容器56に収容されるインゴットInが無くなったら、以下、同様に、昇降手段52が空になった容器56を降下してターレット50cに戻し、ターレット50cを回転して容器56を切り換え、容器56を蒸発位置まで上昇して真空蒸着を行うことを、繰り返し行い、第3ターレット50cに装填されたインゴットInによる真空蒸着を行う。
【0056】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、成膜材料として、前述の材料の吸湿性に起因する膜品質低下を低減できるタブレットTbやインゴットInを用いることができる。しかも、このような成膜材料を連続的に供給することができるので、厚さが200μmを超えるような厚膜も容易に成膜でき、前述の蛍光体シートの蛍光体層の成膜等にも、好適に対応できる。
また、本発明によれば、EBの行路等に応じて蒸発位置を設定し、此処に蒸発面を位置することができ、さらに、成膜中も蒸着面を此処に維持することができるので、常時、EBを蒸発面に垂直入射することができ、高品位な成膜を安定して行うことができる。
【0057】
なお、以上の例は、ターレット50を反時計方向に回転して容器56の切り換えを行ったが、時計方向に回転してもよいのは、もちろんである。
また、図示例においては、好ましい態様として、容器56にはタブレットやインゴットを収容したが、本発明においては、容器に粉末状や顆粒状等の成膜材料を収容して、材料供給を行ってもよい。
さらに、図示例においては、好ましい態様として、タブレットTbやインゴットInを容器56(容器52bや容器56c)に収容して装填したが、本発明はこれに限定はされず、例えば、図7に示されるように、ターレット70の装填孔72を段付きにして、この段にタブレットTbやインゴットInを載置してもよい。あるいは、段付きではなく、装填孔をテーパ状にして、同様にタブレットTb等を載置してもよく、安定性に問題が無ければ、平板状のターレットに直接載置してもよい。
【0058】
また、本発明の供給装置18によって供給された成膜材料の加熱蒸発手段も、図示例の電子銃(電子線加熱)に限定はされず、装置構成上可能で、かつ、十分な蒸着レートを確保できるものであれば、チムニ型のルツボなどを用いる高周波誘導加熱、アークプラズマ加熱等の各種の手段が利用可能である。
この際においても、成膜の進行による蒸発面の降下に応じて、昇降手段52によって成膜材料を上昇して、蒸発面を一定に保つのが好ましい。このようにすることにより、例えば、チムニ型のルツボを用いる場合には、ルツボ内壁への不要な成膜材料の付着を防止することができる。
【0059】
前述のように、蒸着装置10は、回転型の真空蒸着装置を利用するもので、蛍光体シートを製造する際には、まず、真空チャンバ12を開放して、前述のように、ターレット50にタブレットTbやインゴットInを装填し、また、ターンテーブル22下面の所定位置に成膜面を下方に向けて基板Sを装着する。
その後、真空チャンバ12を閉塞して減圧すると共に、シースヒータ26を駆動して、基板Sを裏面から加熱する。平行して、Cs蒸発部30において、本発明の供給装置18のターレット50を回転して容器56を上昇可能な状態とし、次いで、昇降装置52によって、容器56を蒸発位置まで上昇する。
【0060】
真空チャンバ12の内部が所定の真空度になったら、回転駆動源20によってターンテーブル22を所定速度で回転しつつ、加熱蒸発部16において、Eu蒸発部32の抵抗加熱装置34を駆動して蒸発位置(ルツボ)に収容された臭化ユーロピウムを蒸発させ、かつ、Cs蒸発部30の電子銃36を駆動して、蒸発位置に上昇された容器56に収容される臭化セシウム(タブレットTbもしくはインゴットIn)を蒸発させ、基板SへのCsBr:Euの蒸着すなわち蛍光体層の成膜が開始される。
成膜中に、容器56に収容されたタブレットTbやインゴットInが無くなった場合は、加熱を停止し、先のようにして、空になった容器56をターレット50に戻し、容器56を切り換え、タブレットTb等を収容する容器56を蒸発位置に上昇する。
【0061】
成膜を終了したら、ターンテーブル22の回転を停止し、真空チャンバ12を開放して、蛍光体層の成膜を終了した基板Sを取り出し、再度、成膜を行う際には、基板Sの装填、必要に応じたタブレットTbやインゴットInの装填等を行って、以下、同様にして、成膜を行えばよい。
【0062】
以上の例は、本発明の材料供給装置を、臭化セシウムと臭化ユーロピウムとを別々に蒸発させる2元の真空蒸着に利用したものであるが、本発明はこれに限定されず、成膜材料の材料供給を必要とする各種の真空蒸着装置に、全て、利用可能である。
例えば、本発明は、1つの成膜材料を蒸発して成膜を行う一元の真空蒸着装置に利用するものであってもよく、あるいは、図示例のような2元の加熱蒸発部を2以上有する多元の真空蒸着装置に利用するものであってもよく、一元の加熱蒸発部を複数有する多元の真空蒸着装置利用するものであってもよく、さらに、多元の加熱蒸発部の適宜選択された1以上の位置のみに本発明の材料供給装置を利用するものであってもよい。
【0063】
また、本発明の材料供給装置は、図示例のような基板回転型の真空蒸着装置に利用されるのにも限定はされず、例えば、真空チャンバに連結するロード室とアンロード室とを有し、基板をロード室に装填し、ロード室→真空チャンバ→アンロード室と基板を搬送しつつ成膜を行い、アンロード室から取り出す、いわゆるロードロックタイプの真空蒸着装置に利用されてもよく、あるいは、基板を所定位置に固定して蒸着を行うタイプの真空蒸着装置を利用されてもよい。
【0064】
以上、本発明の材料供給装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【0065】
例えば、図示例の材料供給装置は、3つのターレットを有するものであるが、本発明は、これに限定はされず、ターレットは1つであってもよく、2つのターレットを有するものであってもよく、あるいは、4つ以上のターレットを有するものであってもよい。当然のことであるが、ターレットが1つの場合には、成膜材料が通過するための供給用貫通孔(供給孔)は不要である。
また、図示例では、好ましい態様として、ターレットから成膜材料を持ち上げた位置に蒸発位置を設定しているが、本発明は、これに限定はされず、複数のターレットを有する場合には、ターレット上に載置した位置の材料上面を蒸発面としてもよい。従って、この場合には、タブレットを装填する最上段のターレットは、装填孔(移動用貫通孔)を設けなくてもよい。
さらに、図示例の材料供給装置では、インゴットを装填する場合には、最下段以外のターレットを外しているが、本発明は、これに限定はされず、インゴットのサイズや、ターレットから蒸発位置までの距離等に応じて、下方の複数のターレットを残して、その最上段のターレットにインゴットを装填してもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、真空蒸着による成膜において、タブレットやインゴットに成形した成膜材料を使用することができるので、成膜材料もの吸湿に伴う膜品質低下を防止でき、しかも、このような材料を連続的に供給することができるので、厚さが200μmを超えるような、蛍光体シートの蓄積性蛍光体層の成膜にも、好適に対応できる。
また、本発明によれば、常時、成膜材料の蒸発面を所定の蒸発位置に保持することができるので、例えば、EBによる加熱であれば、常に、EBを蒸発面に垂直入射することができ、高品位な成膜を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の材料供給装置を利用する真空蒸着装置の一例の概念図である。
【図2】 本発明の材料供給装置の一例の概念図であって、(A)は上面図、(B)は正面図である。
【図3】 (A)は、図2に示される材料供給装置の使用方法を説明するための概略斜視図、(B)および(C)は、図2に示される材料供給装置における成膜材料収容容器の別の例の概略図である。
【図4】 図2に示される材料供給装置の1つの使用態様を説明するための概念図である。
【図5】 図2に示される材料供給装置の別の使用態様を説明するための概念図である。
【図6】 (A)および(B)は、図2に示される材料供給装置の使用方法を説明するための概念図である。
【図7】 本発明の材料供給装置の別の例のターレットの一部断面の部分拡大図である。
【符号の説明】
10 真空蒸着装置
12 真空チャンバ
14 基板回転機構
16 加熱蒸発部
18 (材料)供給装置
20 回転駆動源
22 ターンテーブル
24 本体
26 シースヒータ
28 回転軸
30 Cs蒸発部
32 Eu蒸発部
34 抵抗加熱装置
36 電子銃
50,70 ターレット
52 昇降手段
54 回転軸
56 容器
58,72 装填孔
60 供給孔
62 ハウジング
64 本体
66 ピストン
68 載置部材
Claims (8)
- 真空蒸着装置に装着され、所定の蒸発位置に成膜材料を供給する材料供給装置であって、
前記成膜材料が装填され、同じ回転中心を有し、互いに独立に回転可能で、回転軸の延在方向に離間して配置される複数のターレットと、
前記ターレットに装填された成膜材料を、前記ターレットの回転軸の延在方向に移動することにより、成膜材料を所定の蒸発位置に移動する移動部材を有する移動手段と、
前記複数のターレットを独立に回転する回転手段とを有すると共に、
各ターレットは、成膜材料の装填位置に対応して、前記移動部材が通過するための複数の移動用貫通孔を有し、さらに、各ターレットの回転中心を中心とする同サイズの円周に対応する位置に、前記移動部材および移動用貫通孔が位置し、
また、少なくとも成膜基板から最も遠いターレット以外は、前記円周に対応する位置に成膜材料が通過するための供給用貫通孔を有することを特徴とする材料供給装置。 - 成膜材料を収容する収容容器を有し、この収容容器を前記移動用貫通孔に装着する請求項1に記載の材料供給装置。
- 前記収容容器は、成形された成膜材料を収容するものであり、かつ、成膜材料を収容した状態において、少なくとも前記収容容器の上端部近傍は、成膜材料と収容容器内壁との間に成膜材料の溶融液が流れ込めるだけの間隙を有する請求項2に記載の材料供給装置。
- 成膜基板側の幾つかの前記ターレットが、着脱自在に構成される請求項1〜3のいずれかに記載の材料供給装置。
- 錠剤状もしくは柱状に成形された成膜材料を供給するものであり、柱状の成膜材料を供給する際には、前記成膜基板側の幾つかのターレットを取り外す請求項4に記載の材料供給装置。
- 前記移動手段は、成膜の進行に伴う成膜材料の消費による、成膜材料の蒸発面の降下に応じて、成膜材料を持ち上げて、蒸発面を所定の蒸発位置に保つ請求項1〜5に記載の材料供給装置。
- 前記供給用貫通孔は、前記収容容器を通過可能なサイズである請求項3に記載の材料供給装置。
- 前記移動用貫通孔は、段付きであり、この段に、前記錠剤状もしくは柱状に成形された成膜材料を載置される請求項4に記載の材料供給装置。
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